(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】工作機械、及び、その制御方法
(51)【国際特許分類】
B23B 15/00 20060101AFI20241009BHJP
B23Q 7/00 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
B23B15/00 G
B23Q7/00 A
(21)【出願番号】P 2020209948
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000107642
【氏名又は名称】スター精密株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【氏名又は名称】横井 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100124958
【氏名又は名称】池田 建志
(72)【発明者】
【氏名】吉川 大二郎
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/132648(WO,A1)
【文献】特開平02-243205(JP,A)
【文献】特開2004-114226(JP,A)
【文献】特開2014-024144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 1/00-25/06
B23Q 7/00- 7/18
B23Q11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを把持して回転可能な第一主軸と、
前記ワークを加工する工具を保持する刃物台と、
前記ワークから形成された製品を受け止めるための製品受けを把持して回転可能、且つ、移動可能な第二主軸と、
開口を有し、該開口から落下した前記製品を排出するためのシュートと、
前記第二主軸の移動及び回転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第一主軸で把持された前記ワークから形成された前記製品を受け止め位置において前記製品受けで受け止め、前記製品を放出する放出位置へ前記製品受けを移動させて回転させることにより前記製品を前記開口から前記シュートに放出させ、且つ、新たに前記製品を受け止めるために前記製品受けを前記受け止め位置に移動させる制御が可能であり、前記放出位置において
前記開口の上に位置する前記製品受けで前記開口を塞いだ状態で前記第二主軸を待機させる、工作機械。
【請求項2】
前記制御部は、前記製品受けを放出姿勢まで回転させることにより前記製品を前記開口から前記シュートに放出させる制御が可能であり、前記放出姿勢のまま前記製品受けで前記開口を塞いだ状態で前記第二主軸を待機させる、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
ワークを把持して回転可能な第一主軸と、
前記ワークを加工する工具を保持する刃物台と、
前記ワークから形成された製品を受け止めるための製品受けを把持して回転可能、且つ、移動可能な第二主軸と、
開口を有し、該開口から落下した前記製品を排出するためのシュートと、を備える工作機械の制御方法であって、
前記第一主軸で把持された前記ワークから形成された前記製品を受け止め位置において前記製品受けで受け止め、前記製品を放出する放出位置へ前記製品受けを移動させて回転させることにより前記製品を前記開口から前記シュートに放出した後、
前記放出位置において前記開口の上に位置する前記製品受けで前記開口を塞いだ状態で待機し、待機後に新たに前記製品を受け止めるために前記製品受けを前記受け止め位置に戻すように、前記第二主軸の移動及び回転を制御する、工作機械の制御方法。
【請求項4】
前記製品受けを放出姿勢まで回転させることにより前記製品を前記開口から前記シュートに放出した後、前記放出姿勢のまま前記製品受けで前記開口を塞いだ状態で待機するように、前記第二主軸の移動及び回転を制御する、請求項3に記載の工作機械の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の主軸のいずれかで把持した製品受けで製品を搬出する工作機械、及び、その制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械として、メインスピンドル、及び、該メインスピンドルに対向するサブスピンドルを加工室内に備える主軸対向旋盤が知られている。メインスピンドルとサブスピンドルは、ワークを把持して回転可能である。ここで、ワークから形成される製品には、短尺の製品等、サブスピンドルで把持することができない製品がある。そのため、製品受けを把持したサブスピンドルで製品をメインスピンドルの位置から加工室外に搬出することが行われている。
【0003】
特許文献1に開示された工作機械は、少なくとも2つの主軸を有し、該主軸の一つまたは双方が、主軸の回転軸線方向に相対的に進退動可能で、該主軸の相対的な動作を介して、一つの主軸で加工された一次加工物を他方の主軸に受渡し、加工物の背面側に当る部分の2次加工を行うことが可能である。当該工作機械は、主軸の一つで加工物搬出容器を保持し、主軸のオリエンテーションの制御によって加工物搬出容器を転倒させることによって加工物(製品)を加工領域より搬出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加工室に製品排出用のシュートがある場合、サブスピンドルに把持された製品受けからシュートに製品を入れることが考えられる。ただ、シュートが加工室にあるため、ワークの切屑がシュートに侵入して製品に付着し、製品から切屑を除去する手間がかかることが想定される。
尚、上述のような問題は、主軸対向旋盤に限らず、マシニングセンター等、種々の工作機械に存在する。
【0006】
本発明は、製品排出用のシュートに侵入する切屑を少なくさせることが可能な工作機械、及び、その制御方法を開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の工作機械は、
ワークを把持して回転可能な第一主軸と、
前記ワークを加工する工具を保持する刃物台と、
前記ワークから形成された製品を受け止めるための製品受けを把持して回転可能、且つ、移動可能な第二主軸と、
開口を有し、該開口から落下した前記製品を排出するためのシュートと、
前記第二主軸の移動及び回転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第一主軸で把持された前記ワークから形成された前記製品を受け止め位置において前記製品受けで受け止め、前記製品を放出する放出位置へ前記製品受けを移動させて回転させることにより前記製品を前記開口から前記シュートに放出させ、且つ、新たに前記製品を受け止めるために前記製品受けを前記受け止め位置に移動させる制御が可能であり、前記放出位置において前記開口の上に位置する前記製品受けで前記開口を塞いだ状態で前記第二主軸を待機させる、態様を有する。
【0008】
また、本発明の工作機械の制御方法は、
ワークを把持して回転可能な第一主軸と、
前記ワークを加工する工具を保持する刃物台と、
前記ワークから形成された製品を受け止めるための製品受けを把持して回転可能、且つ、移動可能な第二主軸と、
開口を有し、該開口から落下した前記製品を排出するためのシュートと、を備える工作機械の制御方法であって、
前記第一主軸で把持された前記ワークから形成された前記製品を受け止め位置において前記製品受けで受け止め、前記製品を放出する放出位置へ前記製品受けを移動させて回転させることにより前記製品を前記開口から前記シュートに放出した後、前記放出位置において前記開口の上に位置する前記製品受けで前記開口を塞いだ状態で待機し、待機後に新たに前記製品を受け止めるために前記製品受けを前記受け止め位置に戻すように、前記第二主軸の移動及び回転を制御する、態様を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製品排出用のシュートに侵入する切屑を少なくさせることが可能な工作機械、及び、その制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】工作機械の構成例を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図1のA1方向から見たときの工作機械を模式的に例示する図である。
【
図3】
図2のA2方向から見たときのシュートと製品受けとの位置関係を模式的に例示する図である。
【
図4】製品受けの末端面側の外観を模式的に例示する図である。
【
図5】製品受けの先端面側の外観を模式的に例示する図である。
【
図6】工作機械の電気回路の構成例を模式的に示すブロック図である。
【
図7】放出姿勢の製品受けが放出位置にある状態の工作機械の例を模式的に示す平面図である。
【
図8】受け取り姿勢の製品受けが受け取り位置にある状態の工作機械の例を模式的に示す平面図である。
【
図9】製品受けの傾斜面に庇部を有する工作機械の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0012】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、
図1~9に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
【0013】
[態様1]
図1等に例示するように、本技術の一態様に係る工作機械1は、第一主軸13、刃物台25、第二主軸14、シュート30、及び、制御部U1を備える。前記第一主軸13は、ワークW1を把持して回転可能である。前記刃物台25は、前記ワークW1を加工する工具T0を保持している。前記第二主軸14は、前記ワークW1から形成された製品W2を受け止めるための製品受け40を把持して回転可能、且つ、移動可能である。前記シュート30は、開口32を有し、該記開口32から落下した前記製品W2を排出する。前記制御部U1は、前記第二主軸14の移動及び回転を制御する。前記制御部U1は、前記第一主軸13で把持された前記ワークW1から形成された前記製品W2を受け止め位置P3において前記製品受け40で受け止め、前記製品W2を放出する放出位置P2へ前記製品受け40を移動させて回転させることにより前記製品W2を前記開口32から前記シュート30に放出させ、且つ、新たに前記製品W2を受け止めるために前記製品受け40を前記受け止め位置P3に移動させる制御が可能であり、前記放出位置P2において前記製品受け40で前記開口32を塞いだ状態で前記第二主軸14を待機させる。
【0014】
以上より、製品受け40が回転することにより製品W2が開口32からシュート30に放出されると、製品受け40は、シュート30の開口32を塞いだ状態で待機し、待機後に新たに製品W2を受け止めるために受け止め位置P3に戻る。シュート30の開口32を塞いだ製品受け40は、ワークW1の切屑がシュート30に侵入することを抑制する。従って、上記態様は、製品排出用のシュートに侵入する切屑を少なくさせることが可能な工作機械を提供することができる。その結果、製品から切屑を除去する作業が軽減される。
【0015】
ここで、工作機械には、旋盤、マシニングセンター、等が含まれる。
第二主軸は、第一主軸の主軸中心線に沿って第一主軸に対向してもよいし、第一主軸に対向しないように配置されてもよい。
製品受けにより受け止められる製品は、第一主軸で把持されたワークから工具で切り離された部分でもよいし、第一主軸の把持から解放された加工済ワークでもよい。
上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0016】
[態様2]
図2,3,7に例示するように、前記制御部U1は、前記製品受け40を放出姿勢52まで回転させることにより前記製品W2を前記開口32から前記シュート30に放出させる制御が可能であり、前記放出姿勢52のまま前記製品受け40で前記開口32を塞いだ状態で前記第二主軸14を待機させてもよい。この態様は、シュート30の開口32を塞ぐために製品受け40を回転させる必要がないので、ワークの加工から製品の排出までの製造サイクルの効率を向上させることができる。
【0017】
[態様3]
また、本技術の一態様に係る工作機械1の制御方法は、前記第一主軸13で把持された前記ワークW1から形成された前記製品W2を受け止め位置P3において前記製品受け40で受け止め、前記製品W2を放出する放出位置P2へ前記製品受け40を移動させて回転させることにより前記製品W2を前記開口32から前記シュート30に放出した後、前記製品受け40で前記開口32を塞いだ状態で待機し、待機後に新たに前記製品W2を受け止めるために前記製品受け40を前記受け止め位置P3に戻すように、前記第二主軸14の移動及び回転を制御する。
【0018】
製品受け40が回転することにより製品W2が開口32からシュート30に放出された後、製品受け40は、シュート30の開口32を塞いだ状態で待機し、待機後に新たに製品W2を受け止めるために受け止め位置P3に戻る。シュート30の開口32を塞いだ製品受け40は、ワークW1の切屑がシュート30に侵入することを抑制する。従って、上記態様は、製品排出用のシュートに侵入する切屑を少なくさせることが可能な工作機械の制御方法を提供することができる。その結果、製品から切屑を除去する作業が軽減される。
【0019】
[態様4]
図2,3,7に例示するように、本制御方法は、前記製品受け40を放出姿勢52まで回転させることにより前記製品W2を前記開口32から前記シュート30に放出した後、前記放出姿勢52のまま前記製品受け40で前記開口32を塞いだ状態で待機するように、前記第二主軸14の移動及び回転を制御してもよい。この態様は、シュート30の開口32を塞ぐために製品受け40を回転させる必要がないので、ワークの加工から製品の排出までの製造サイクルの効率を向上させることができる。
【0020】
(2)工作機械の構成の具体例:
図1は、工作機械1の例として旋盤の構成を模式的に例示する平面図である。
図2は、
図1のA1方向から見たときの工作機械1を模式的に例示する図である。
図1,2に示す工作機械1は、ワークW1の加工の数値制御を行うNC(数値制御)装置70を備えるNC旋盤である。
図1には便宜上、NC装置70も示しているが、NC装置70は
図1に示す位置にあるとは限らない。
図1,2に示す工作機械1の制御軸は、「X」で示されるX軸、「Y」で示されるY軸、及び、「Z」で示されるZ軸を含んでいる。Z軸方向は、ワークW1の回転中心となる主軸中心線AX1、及び、製品受け40の回転中心となる主軸中心線AX2に沿った水平方向である。X軸方向は、Z軸と直交する水平方向である。Y軸方向は、Z軸と直交する鉛直方向である。尚、Z軸とX軸とは交差していれば直交していなくてもよく、Z軸とY軸とは交差していれば直交していなくてもよく、X軸とY軸とは交差していれば直交していなくてもよい。また、本明細書において参照される図面は、本技術を説明するための例を示しているに過ぎず、本技術を限定するものではない。各部の位置関係の説明は、例示に過ぎない。従って、左右を逆にしたり、回転方向を逆にしたり等することも、本技術に含まれる。方向や位置等の同一は、厳密な一致に限定されず、誤差により厳密な一致からずれることを含む。
【0021】
図1,2に示す工作機械1は、主軸台11,12、主軸台駆動部17,18、クーラント吐出部60、支持台20、ガイドブッシュ21、刃物台25、刃物台駆動部26、製品排出用のシュート30、シュート駆動部38、NC装置70、等を備えるNC工作機械である。
【0022】
主軸台11,12は、Z軸方向において互いに対向している。主軸台11には、メインスピンドルや正面主軸と呼ばれる第一主軸13が組み込まれている。主軸台12には、サブスピンドルや背面主軸や対向主軸と呼ばれる第二主軸14が組み込まれている。
図1に示す工作機械1は、主軸移動型旋盤であり、NC装置70からの指令に従って主軸台駆動部17が主軸台11をZ軸方向へ移動させ、NC装置70からの指令に従って主軸台駆動部18が主軸台12をZ軸方向及びX軸方向へ移動させる。むろん、工作機械1は主軸台11が移動しない主軸固定型旋盤でもよいし、主軸台12がZ軸方向へ移動せずに主軸台11がZ軸方向へ移動してもよい。
【0023】
第一主軸13は、コレット等といった把持部15を先端部に備え、該把持部15によりワークW1を解放可能に把持する。加工前のワークW1が例えば円柱状(棒状)の長尺な材料である場合、第一主軸13の後端から把持部15にワークW1が供給されてもよい。この場合、
図1に示すように、ワークW1をZ軸方向へ摺動可能に支持するガイドブッシュ21が第一主軸13の前側に配置されてもよい。むろん、工作機械1にガイドブッシュ21が無くても、本技術を適用可能である。ワークW1を把持した第一主軸13は、ワークW1とともに主軸中心線AX1を中心として回転可能である。ワークW1の背面加工が行われる場合、正面加工後のワークW1は、第一主軸13から第二主軸14に引き渡される。第二主軸14は、コレット等といった把持部16を先端部に備え、該把持部16によりワークW1又は製品受け40を解放可能に把持する。ワークW1を把持した第二主軸14は、ワークW1とともに主軸中心線AX2を中心として回転可能、且つ、移動可能である。正面加工後のワークW1は、背面加工により製品となる。また、把持部16が製品受け40を把持している場合、製品受け40を把持した第二主軸14は、製品受け40とともに主軸中心線AX2を中心として回転可能、且つ、移動可能である。
【0024】
主軸台11は、NC装置70からの指令に従って主軸中心線AX1を中心として第一主軸13を回転させるモーターM1を備えている。主軸台12は、NC装置70からの指令に従って主軸中心線AX2を中心として第二主軸14を回転させるモーターM2を備えている。モーターM1,M2には、ビルトインモーター等といったサーボモーターを用いることができる。
【0025】
クーラント吐出部60は、ガイドブッシュ21から突き出たワークW1にクーラントを吐出する。クーラントには、公知のオイル等を用いることができる。加工室C1で使用されたクーラントは、加工室の下部に集められ、再利用される。
【0026】
支持台20は、ガイドブッシュ21を支持し、刃物台駆動部26を介して刃物台25を支持し、シュート駆動部38を介してシュート30を支持している。
刃物台25は、ワークW1を加工するための複数の工具T0が取り付けられている。刃物台駆動部26は、NC装置70からの指令に従って刃物台25をX軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向へ移動させる。むろん、刃物台25や主軸台11,12の移動方向は、
図1に示す方向に限定されない。
図2に示す刃物台25はくし形刃物台であるが、ワークW1を加工するための刃物台はタレット刃物台等でもよい。
図2に示す複数の工具T0は突っ切りバイトを含むバイトであるが、ドリルやエンドミルやポリゴンカッターといった回転工具等も複数の工具に含まれてもよい。1以上の工具は、刃物台に対して着脱可能な工具ユニットに設けられた工具でもよい。刃物台25は、ガイドブッシュ21に支持されているワークW1に対して各種工具T0により加工を行うことが可能である。正面加工後のワークW1を第二主軸14が把持する場合、第一主軸13と第二主軸14とに把持されたワークW1は、突っ切りバイトT1により分離される。刃物台25又は不図示の刃物台は、第二主軸14に把持された正面加工後のワークW1に対して背面加工を行う。
【0027】
ワークW1から形成される製品W2には、短尺の製品等、第二主軸14で把持することができない製品がある。そこで、工作機械1は、加工室C1から外部O1に製品W2を排出するためのシュート30、及び、第二主軸14に把持される製品受け40を備えている。NC装置70は、第一主軸13に把持されたワークW1から形成された製品W2を製品受け40でシュート30に運ぶように、第二主軸14の移動及び回転を制御する。
【0028】
図3は、
図2のA2方向から見たときのシュート30と製品受け40との位置関係を模式的に例示する図である。
図1~3に示すシュート30は、上に向かって開口した本体31、及び、該本体31の一部を覆う天井部材33を備えている。
図2に示すように、本体31は上を向いた開口32を有し、本体31の底面31aは加工室C1から外部O1に向かって下がる傾斜を有している。
図1に示すシュート駆動部38は、NC装置70からの指令に従って本体31をY軸方向へ移動させる。工作機械1にシュート駆動部38があることにより、Y軸方向には移動しない第二主軸14に把持された製品受け40から本体31の開口32までの落差を調整することができる。天井部材33は、昇降せず、本体31の開口32のうちガイドブッシュ21に近い部分を除く範囲の上を覆っている。
図3に示すように、天井部材33の上面34は、Z軸方向に沿ってガイドブッシュ21から主軸台12に向かう内方向D1に向かって下がる傾斜を有している。これにより、シュート30における上面34にワークW1の切屑が付着しても、上面34から加工室C1の床まで切屑が落下し易い。
【0029】
以上より、シュート30の開口32において天井部材33で覆われていない部分から落下した製品W2は、底面31aに沿って加工室C1から外部O1へ排出される。外部O1に排出された製品W2は、例えば、不図示のコンベアにより搬出される。
【0030】
シュート30の開口32において天井部材33で覆われていない部分は、加工室C1内で上を向いているため、ワークW1の切屑が侵入する可能性がある。本具体例では、製品受け40から製品W2をシュート30に放出した後に、製品W2を放出する放出位置P2から製品受け40を移動させるのではなく、製品受け40でシュート30の開口32を塞いだ状態で待機することにしている。これにより、シュート30に侵入する切屑を少なくさせることができる。
【0031】
図4は、製品受け40の末端面40b側の外観を模式的に例示している。
図5は、製品受け40の先端面40a側の外観を模式的に例示している。
図4,5に示す製品受け40は、第二主軸14に取り付ける時の傾いていない取り付け姿勢51である。
【0032】
図1~5に示す製品受け40は、内部40iで製品W2を受け止める本体41、及び、第二主軸14の把持部16に把持される柄45を備えている。本体41は、柄45とは反対側にある先端面40a、柄45が突出した末端面40b、末端面40bから先端面40aに繋がった屈曲側面40c、及び、該屈曲側面40cとは反対側の切欠付き側面40d、及び、取り付け姿勢51において底部にある傾斜面44を有している。先端面40a、末端面40b、屈曲側面40c、及び、切欠付き側面40dは、内部40iを囲み、製品受け40が取り付け姿勢51であるときに上部が開口し下部が傾斜面44で閉塞している。従って、本体41は、取り付け姿勢51であるときに上部に開口42を有し、内部40iに製品W2を収容可能である。すなわち、取り付け姿勢51は、内部40iに製品W2が保持される姿勢の一つであり、底部とは反対の開口42が上に向かって開口した姿勢である。先端面40aは、
図2,8に例示する受け止め位置P3においてワークW1をZ軸方向へ通すための切欠40eを有している。屈曲側面40cは、開口42を狭めるように傾斜した斜め部43を有している。従って、屈曲側面40cと切欠付き側面40dとの間隔は、斜め部43において狭くなっている。切欠付き側面40dは、
図2,8に例示する受け止め位置P3において突っ切りバイトT1をX軸方向へ通すための切欠40fを有している。切欠40fは、先端面40aの切欠40eに繋がっている。
【0033】
図2,3に示す放出位置P2において、製品受け40は、
図4,5に示す取り付け姿勢51から主軸中心線AX2を中心として180°回転した放出姿勢52とされる。放出姿勢52は、内部40iから製品W2が開口42を通って放出される姿勢であり、底部とは反対の開口42が下に向かって開口した姿勢である。放出位置P2は、放出姿勢52の製品受け40がシュート30の開口32を塞いだ状態で待機する位置とする。放出位置P2は、Z軸方向において第二主軸14が原点位置P1よりも第一主軸13に近付いた位置にある。
図2に示すように、X軸方向において、シュート30の開口32のうち天井部材33で覆われていない部分は、放出姿勢52の製品受け40の幅よりも狭い。ここで、製品受け40の開口42が斜め部43により狭められているので、製品受け40の幅が広くても、製品受け40は製品W2を確実に開口32からシュート30に放出することができる。また、製品受け40の幅がシュート30の開口32のうち天井部材33で覆われていない部分よりも広いことにより、ワークW1の切屑がシュート30に侵入することを防ぐ効果が高い。特に、Y軸方向においてシュート30の本体31と製品受け40との間に隙間CL1が生じる場合、前述の効果が高まる。
【0034】
図3に示すように、放出姿勢52の製品受け40の傾斜面44は、シュート30における上面34に沿った傾斜、すなわち、Z軸方向に沿ってガイドブッシュ21から主軸台12に向かう内方向D1に向かって下がる傾斜を有している。これにより、放出姿勢52の製品受け40の傾斜面44にワークW1の切屑が付着しても、傾斜面44から加工室C1の床まで切屑が落下し易い。
【0035】
また、
図2,8に示す受け止め位置P3において、製品受け40は、
図4,5に示す取り付け姿勢51から主軸中心線AX2を中心として30°回転した受け止め姿勢53とされる。受け止め位置P3は、ワークW1のうち製品W2となる部分が製品受け40の内部40iに入る位置であり、Z軸方向において第二主軸14が原点位置P1よりも第一主軸13に近付いた位置にある。
製品受け40の開口42が斜め部43により狭められていることにより、長尺なワークW1から突っ切りバイトT1で分離された製品W2が開口42から製品受け40の外に出ないようにされている。ただ、製品受け40が傾いていない取り付け姿勢51のままでは、クーラント吐出部60から吐出されるクーラントが斜め部43に遮られてしまう。そこで、NC装置70が主軸中心線AX2を中心として製品受け40を30°傾けた状態に制御することにより、ガイドブッシュ21から突き出たワークW1にクーラントがかかるようにしている。尚、受け止め姿勢53における製品受け40の傾き(θとする。)は、30°に限定されず、傾きθが0°よりも大きく60°以下、より好ましくは45°以下の範囲であれば、ワークW1とクーラント吐出部60との位置関係に応じて適宜変更可能である。受け止め姿勢53は、内部40iに製品W2が保持される姿勢の一つであり、底部とは反対の開口42が斜め上に向かって開口した姿勢である。
【0036】
図6は、工作機械1の電気回路の構成を模式的に例示している。
図6に示す工作機械1において、NC装置70には、操作部80、主軸台駆動部17,18、モーターM1,M2、刃物台駆動部26、シュート駆動部38、外部のコンピューター100、等が接続されている。NC装置70、主軸台駆動部18、及び、モーターM2は、制御部U1の例である。
【0037】
NC装置70は、プロセッサーであるCPU(Central Processing Unit)71、半導体メモリーであるROM(Read Only Memory)72、半導体メモリーであるRAM(Random Access Memory)73、時計回路74、I/F(インターフェイス)75、等を備えている。従って、NC装置70は、コンピューターの一種である。
図6では、操作部80、主軸台駆動部17,18、モーターM1,M2、刃物台駆動部26、シュート駆動部38、コンピューター100、等のI/FをまとめてI/F75と示している。ROM72には、加工プログラムPR2を解釈して実行するための制御プログラムPR1が書き込まれている。制御プログラムPR1は、製品受け40を把持した第二主軸14の移動及び回転を制御する製品受け制御プログラムを含んでいる。ROM72は、データを書き換え可能な半導体メモリーでもよい。RAM73には、オペレーターにより作成された加工プログラムPR2が書き換え可能に記憶される。加工プログラムは、NCプログラムとも呼ばれる。CPU71は、RAM73をワークエリアとして使用し、ROM72に記録されている制御プログラムPR1を実行することにより、主軸台駆動部17,18、モーターM1,M2、刃物台駆動部26、シュート駆動部38、等の動作を制御する。むろん、制御プログラムPR1により実現される機能の一部又は全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)といった他の手段により実現させてもよい。
【0038】
操作部80は、入力部81及び表示部82を備え、NC装置70のユーザーインターフェイスとして機能する。入力部81は、例えば、オペレーターから操作入力を受け付けるためのボタンやタッチパネルから構成される。表示部82は、例えば、オペレーターから操作入力を受け付けた各種設定の内容や工作機械1に関する各種情報を表示するディスプレイで構成される。オペレーターは、操作部80やコンピューター100を用いて加工プログラムPR2をRAM73に記憶させることが可能である。
【0039】
外部のコンピューター100は、NC装置70に有線又は無線で接続され、NC装置70からデータを受信したりNC装置70にデータを送信したりする。コンピューター100とNC装置70との接続は、インターネットやイントラネット等のネットワーク接続でもよい。コンピューター100には、タブレット型端末を含むパーソナルコンピューター、スマートフォンといった携帯電話、等が含まれる。
【0040】
(3)具体例に係る工作機械の動作、作用、及び、効果:
次に、第一主軸13に把持されたワークW1から形成された製品W2を工作機械1が製品受け40でシュート30に運ぶ場合における工作機械1の動作を説明する。この場合、オペレーターは、
図1に示す原点位置P1に第二主軸14がいる状態において製品受け40を傾いていない取り付け姿勢51となるように第二主軸14に取り付ける作業を行う。従って、原点位置P1にいる第二主軸14は、取り付け姿勢51の製品受け40の柄45を把持部16で把持している。
【0041】
本具体例の加工プログラムPR2には、以下の指令を記述可能である。
(指令a)原点位置P1において取り付け姿勢51の製品受け40を把持している第二主軸14を放出位置P2に移動させ、当該移動の間に製品受け40を放出姿勢52に変えるように第二主軸14を180°回転させ、製品受け40でシュート30の開口32を塞いだ状態にさせる指令。
(指令b)シュート30の開口32を塞いでいる製品受け40を把持している第二主軸14を原点位置P1経由で受け止め位置P3に移動させ、当該移動の間に製品受け40を受け止め姿勢53に変えるように第二主軸14をθ=30°の回転位置まで回転させた後、第二主軸14を受け止め位置P3から原点位置P1経由で放出位置P2に移動させ、該放出位置P2の直前から製品受け40を放出姿勢52に変えるように第二主軸14を180°の回転位置まで回転させ、製品受け40でシュート30の開口32を塞いだ状態にさせる指令。
(指令c)シュート30の開口32を塞いでいる製品受け40を把持している第二主軸14を原点位置P1に移動させ、当該移動の間に製品受け40を取り付け姿勢51に変えるように第二主軸を180°回転させる指令。
【0042】
指令a,bにおいて、製品受け40が取り付け姿勢51又は受け止め姿勢53であると放出位置P2においてシュート30の本体31に干渉するので、製品受け40は放出位置P2に到着するまでに放出姿勢52への回転を開始する必要がある。指令aにおいて、製品受け40を取り付け姿勢51から放出姿勢52に変え始めるタイミングは、第二主軸14が原点位置P1から放出位置P2の直前まで移動する間であればよい。指令bにおいては、製品受け40からシュート30に製品W2を放出する必要がある。そこで、指令bにおいて、製品受け40を取り付け姿勢51から放出姿勢52に変え始めるタイミングは、製品受け40が原点位置P1から放出位置P2に到着する直前となる。また、指令bにおいて、製品受け40を放出姿勢52から受け止め姿勢53に変え終えるタイミングは、製品受け40が放出位置P2を出発した後であって受け止め位置P3の直前まで移動する間であればよい。
さらに、指令bにおいて放出位置P2と受け止め位置P3との間で原点位置P1を経由させて第二主軸14を移動させるのは、第二主軸14の移動中に製品受け40や第二主軸14が刃物台等の構造物に干渉することを防ぐためである。
【0043】
オペレーターは、加工プログラムPR2において、ワークW1の連続加工の開始前に指令aを記述し、長尺なワークW1から突っ切りバイトT1で製品W2を分離する各タイミングに合わせて指令bを記述し、ワークW1の連続加工の終了後に指令cを記述すればよい。
【0044】
NC装置70は、制御プログラムPR1に従って加工プログラムPR2を解釈して実行する。
指令aの実行時、NC装置70は、原点位置P1において取り付け姿勢51の製品受け40を把持している第二主軸14を放出位置P2に移動させる指令を主軸台駆動部18に出し、第二主軸14が放出位置P2に到着するまでに第二主軸14を180°の回転位置まで回転させる指令をモーターM2に出す。これにより、主軸台駆動部18は原点位置P1から放出位置P2への第二主軸14の移動を開始させ、モーターM2は第二主軸14を180°回転させる。主軸台駆動部18が第二主軸14の移動を終了させると、
図7に示すように第二主軸14は放出位置P2において放出姿勢52の製品受け40を把持している状態となる。この時、
図2,3の放出位置P2における二点鎖線に示すようにシュート30の開口32は製品受け40で塞がれている。
【0045】
指令bの実行時、NC装置70は、まず、放出位置P2において放出姿勢52の製品受け40を把持している第二主軸14を原点位置P1経由で受け止め位置P3に移動させる指令を主軸台駆動部18に出し、第二主軸14が放出位置P2を出発した後であって受け止め位置P3の直前まで移動する間に第二主軸14をθ=30°の回転位置まで回転させる指令をモーターM2に出す。これにより、主軸台駆動部18は原点位置P1経由で放出位置P2から受け止め位置P3への移動を開始させ、モーターM2は第二主軸14が受け止め位置P3の直前に到達するまでに第二主軸14をθ=30°の回転位置まで回転させる。主軸台駆動部18が第二主軸14の移動を終了させると、
図8に示すように第二主軸14は受け止め位置P3において受け止め姿勢53の製品受け40を把持している状態となる。この時、
図3の受け止め姿勢53における二点鎖線に示すようにワークW1の先端、及び、突っ切りバイトT1の先端は製品受け40の内部40iにある。突っ切りバイトT1でワークW1から形成される製品W2は、製品受け40で受け止められる。
以上のようにして、NC装置70は、第一主軸13で把持されたワークW1から形成された製品W2を受け止め位置P3において製品受け40で受け止めるように、第二主軸14の移動及び回転を制御する。
【0046】
次に、NC装置70は、受け止め位置P3において受け止め姿勢53の製品受け40を把持している第二主軸14を原点位置P1経由で放出位置P2に移動させる指令を主軸台駆動部18に出し、第二主軸14が放出位置P2に到着する直前から第二主軸14を180°の回転位置まで回転させる指令をモーターM2に出す。これにより、主軸台駆動部18は原点位置P1経由で受け止め位置P3から放出位置P2への移動を開始させ、モーターM2は第二主軸14が放出位置P2に到着する直前から第二主軸14を180°の回転位置まで回転させる。すると、製品受け40は、製品W2を開口32からシュート30に放出する。主軸台駆動部18が第二主軸14の移動を終了させると、
図7に示すように第二主軸14は放出位置P2において放出姿勢52の製品受け40を把持している状態となる。この時、
図2,3の放出位置P2における二点鎖線に示すようにシュート30の開口32は製品受け40で塞がれている。
以上のようにして、NC装置70は、製品受け40を受け止め位置P3から放出位置P2へ移動させて回転させることにより製品W2を開口32からシュート30に放出した後、放出姿勢52のまま製品受け40で開口32を塞いだ状態で待機するように、第二主軸14の移動及び回転を制御する。
【0047】
第一主軸13に把持されているワークW1には、工具T0で新たな加工が行われる。ワークW1から突っ切りバイトT1で製品W2が形成される前に、NC装置70は、次の指令bを実行する。NC装置70は、まず、主軸台駆動部18と協働して放出位置P2の第二主軸14を原点位置P1経由で受け止め位置P3に移動させ、モーターM2と協働して第二主軸14が放出位置P2を出発した後であって受け止め位置P3の直前まで移動する間に第二主軸14をθ=30°の回転位置まで回転させる指令をモーターM2に出す。これにより、
図8に示すように第二主軸14は受け止め位置P3において受け止め姿勢53の製品受け40を把持している状態となる。
以上のようにして、NC装置70は、シュート30の開口32を塞いだ状態で製品受け40を待機させた後に新たに製品W2を受け止めるために製品受け40を受け止め位置P3に戻すように、第二主軸14の移動及び回転を制御する。
【0048】
指令bの後半において、NC装置70は、主軸台駆動部18と協働して受け止め位置P3の第二主軸14を原点位置P1経由で放出位置P2に移動させ、モーターM2と協働して第二主軸14が放出位置P2に到着する直前から第二主軸14を180°の回転位置まで回転させる。これにより、製品受け40が製品W2を開口32からシュート30に放出し、
図7に示すように第二主軸14が放出位置P2において放出姿勢52の製品受け40を把持している状態となる。
【0049】
ワークW1の連続加工が終了すると、NC装置70は、最後の指令cを実行する。NC装置70は、放出位置P2において放出姿勢52の製品受け40を把持している第二主軸14を原点位置P1に移動させる指令を主軸台駆動部18に出し、第二主軸14が放出位置P2を出発した後に第二主軸14を0°回転位置まで回転させる指令をモーターM2に出す。これにより、主軸台駆動部18は放出位置P2から原点位置P1への移動を開始させ、モーターM2は第二主軸14が放出位置P2を出発した後に第二主軸14を0°の回転位置まで回転させる。主軸台駆動部18が第二主軸14の移動を終了させると、
図1に示すように第二主軸14は原点位置P1において取り付け姿勢51の製品受け40を把持している状態となる。
【0050】
以上説明したように、放出位置P2へ製品受け40が移動して回転することにより製品W2が開口32からシュート30に放出された後、製品受け40は、シュート30の開口32を塞いだ状態で待機する。この待機の後に、製品受け40が新たに製品W2を受け止めるために受け止め位置P3に戻る。シュート30の開口32を塞いだ製品受け40は、ワークW1の切屑がシュート30に侵入することを抑制する。従って、本具体例は、製品排出用のシュートに侵入する切屑を少なくさせることができ、製品から切屑を除去する作業を軽減させることができる。
また、製品受け40が放出姿勢52のままシュート30の開口32を塞いでいる状態で待機するので、シュート30の開口32を塞ぐために製品受け40を回転させる必要がない。従って、本具体例は、ワークの加工から製品の排出までの製造サイクルの効率を向上させることができる。
【0051】
(4)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
上述した具体例では製品受け40を把持した第二主軸14の移動を原点位置P1経由にしたが、製品受け40を把持した第二主軸14の移動経路に干渉物が無ければ第二主軸14の移動を原点位置P1経由にしなくてもよい。
【0052】
図3に示した例ではシュート30の上面34と製品受け40の傾斜面44が内方向D1に向かって下がる傾斜を有していたが、上面34と傾斜面44はX軸方向に沿ってシュート30からガイドブッシュ21に向かう方向に下がる傾斜を有していてもよい。
【0053】
上述した具体例では放出位置P2の製品受け40とシュート30との間に隙間(例えば
図2に示す隙間CL1)があったが、当該隙間を埋める緩衝材を製品受け40とシュート30の少なくとも一方に設けてもよい。
Y軸方向における隙間CL1については、放出位置P2に製品受け40が待機している間にNC装置70がシュート駆動部38と協働してシュート30の本体31を上昇させることにより隙間CL1を減らす制御を行ってもよい。この場合、製品受け40でシュート30の開口32を塞いでいない時、シュート駆動部38でシュート30を元の高さまで下降させる制御が行われてもよい。
【0054】
図9に例示するように、X軸方向における隙間CL2を隠すため、製品受け40の傾斜面44がシュート30の上面34の方に延出して上面34の一部を覆う庇部44aを有していてもよい。この時シュート30の上面34と傾斜面44の傾斜角度を同角度とするのが好ましい。また、シュート30の上面34が製品受け40の傾斜面44の方に延出して傾斜面44の一部を覆う不図示の庇部を有していてもよい。さらに隙間CL1や隙間CL2を覆うべく製品受け40や開口32等にクッション材を取り付け隙間を塞ぐようにしてもよい。
【0055】
上述した具体例では製品受け40が放出姿勢52のままシュート30の開口32を塞いだ状態で待機したが、製品受け40は放出姿勢52から姿勢を変えてシュート30の開口32を塞いでもよい。例えば、NC装置70は、モーターM2と協働して第二主軸14を90°の回転位置まで回転させることにより製品受け40を横向きの姿勢にしてシュート30の開口32を塞ぐ制御を行ってもよい。
【0056】
尚、工作機械1にシュート駆動部38が無くても、製品排出用のシュートに侵入する切屑を少なくさせる効果が得られる。
【0057】
(5)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、製品排出用のシュートに侵入する切屑を少なくさせることが可能な工作機械等の技術を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1…工作機械、
11,12…主軸台、13…第一主軸、14…第二主軸、15,16…把持部、
17,18…主軸台駆動部、
20…支持台、21…ガイドブッシュ、
25…刃物台、26…刃物台駆動部、
30…シュート、31…本体、32…開口、33…天井部材、34…上面、
40…製品受け、
40a…先端面、40b…末端面、40c…屈曲側面、40d…切欠付き側面、
41…本体、42…開口、43…斜め部、44…傾斜面、44a…庇部、45…柄、
51…取り付け姿勢、52…放出姿勢、53…受け止め姿勢、
60…クーラント吐出部、
70…NC装置、
AX1,AX2…主軸中心線、
C1…加工室、
D1…内方向、
M1,M2…モーター、
O1…外部、
P1…原点位置、P2…放出位置、P3…受け止め位置、
T0…工具、T1…突っ切りバイト、
U1…制御部、
W1…ワーク、W2…製品。