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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】シートシステム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20241009BHJP
   A63F 13/245 20140101ALI20241009BHJP
   A63F 13/21 20140101ALI20241009BHJP
   A63F 13/52 20140101ALI20241009BHJP
【FI】
B60N2/90
A63F13/245
A63F13/21
A63F13/52
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023142276
(22)【出願日】2023-09-01
(62)【分割の表示】P 2019079991の分割
【原出願日】2019-04-19
(65)【公開番号】P2023160909
(43)【公開日】2023-11-02
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭 裕之
(72)【発明者】
【氏名】草野 惇至
(72)【発明者】
【氏名】古和 宗高
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-081401(JP,A)
【文献】特開2010-285148(JP,A)
【文献】特開2013-062694(JP,A)
【文献】特表2004-530503(JP,A)
【文献】特表2013-538755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-2/90
A63F 13/214,13/218
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のシートシステムであって、
車両に設けられ、少なくとも1つのセンサが設けられたシート本体と、
前記車両に配置され、前記センサからの信号を処理する第1制御装置と、
前記車両に配置され、前記第1制御装置と通信し、前記第1制御装置からの信号に基づいて情報を通知する第1ユーザインタフェースと、
前記車両外に配置され、第2ユーザインタフェースを有し、前記第1制御装置と通信する携帯端末とを有し、
前記第1制御装置は、前記センサからの信号に基づいて前記シート本体に着座した第1ユーザの生体情報を含むユーザ情報を取得するユーザ情報処理部を有し、
前記第1制御装置は、前記ユーザ情報を前記携帯端末に送信し、前記第2ユーザインタフェースに前記ユーザ情報を含むユーザ情報画面を表示させ、
前記携帯端末は、第2制御装置を有し、
前記第1制御装置及び前記携帯端末は、サーバと通信し、
前記ユーザ情報は、前記第1制御装置、前記サーバ、前記第2制御装置の少なくとも1つに保存され、
前記第2制御装置は、前記第1ユーザと異なる第2ユーザの操作に応じて保存された前記ユーザ情報を選択し、選択した前記ユーザ情報に基づいて前記ユーザ情報画面を生成し、前記ユーザ情報画面を前記第2ユーザインタフェースに表示させるシートシステム。
【請求項2】
前記シート本体に着座した前記第1ユーザを撮像するカメラを有し、
前記シート本体は、車室のフロアに設けられたシートクッションと、前記シートクッションの後部に結合されたシートバックと、前記シートバックの上側に設けられたヘッドレストとを有し、
前記カメラが前記シートバックの上部又は前記ヘッドレストに設けられている請求項に記載のシートシステム。
【請求項3】
前記第1制御装置が、前記センサと無線通信を行う請求項1又は請求項2に記載のシートシステム。
【請求項4】
車両用のシートシステムであって、
車両に設けられ、少なくとも1つのセンサが設けられたシート本体と、
前記車両に配置され、前記センサからの信号を処理する第1制御装置と、
前記車両に配置され、前記第1制御装置と通信し、前記第1制御装置からの信号に基づいて情報を通知する第1ユーザインタフェースと、
前記車両外に配置され、第2ユーザインタフェースを有し、前記第1制御装置と通信する携帯端末とを有し、
前記第1制御装置は、前記センサからの信号に基づいて前記シート本体に着座した第1ユーザの生体情報を含むユーザ情報を取得するユーザ情報処理部を有し、
前記第1制御装置は、前記ユーザ情報を前記携帯端末に送信し、前記第2ユーザインタフェースに前記ユーザ情報を含むユーザ情報画面を表示させ、
前記第1ユーザインタフェースは前記第1ユーザの入力を受け付け、
前記第1制御装置は、前記第1ユーザインタフェースからの入力に基づいて前記第2ユーザインタフェースに出力を行うシートシステム。
【請求項5】
前記第1制御装置は、アプリケーションを実行するアプリケーション処理部と、鑑賞画像作成部とを有し、
前記アプリケーション処理部は、ゲーム画面を生成し、前記第2ユーザインタフェースに前記ゲーム画面を表示させると共に、前記センサからの信号に基づいて、ゲーム処理を実行し、前記第2ユーザインタフェースに表示する前記ゲーム画面を変化させ、
前記鑑賞画像作成部は、前記カメラからの画像情報と、前記ゲーム画面とに基づいて、前記カメラからの前記画像情報と、前記ゲーム画面との少なくとも一方を含む鑑賞画像を作成し、
前記鑑賞画像は前記第1制御装置、前記サーバ、前記第2制御装置の少なくとも1つに保存され、
前記第2制御装置は、前記第2ユーザの操作に応じて保存された前記鑑賞画像を選択し、前記第2ユーザインタフェースに表示させる請求項に記載のシートシステム。
【請求項6】
前記携帯端末の前記第2ユーザインタフェースは、メッセージの入力を受け付け、前記第2制御装置は入力された前記メッセージを前記第1制御装置に送信し、
前記第1制御装置の前記アプリケーション処理部は受け取った前記メッセージを前記ゲーム画面に表示させる請求項に記載のシートシステム。
【請求項7】
前記第2制御装置が、インターネットを介して前記第1ユーザインタフェースと通信する請求項に記載のシートシステム。
【請求項8】
前記シートクッション及び前記シートバックのそれぞれは、骨格をなすフレームと、前記フレームに支持されたパッドと、前記パッドの外面に被せられた表皮材とを有し、
前記シートバックの前記フレームは、下端において前記シートクッションの前記フレームの後端に回動可能に取り付けられている請求項に記載のシートシステム。
【請求項9】
前記第1制御装置は、ナビゲーションシステムの制御装置を構成する請求項1~のいずれか1つの項に記載のシートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着座者のシートに圧力センサ等を搭載して、着座者の着座姿勢を推定する装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-064131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートに設けられたセンサによって得られる着座者の情報を、他のユーザが共有できると様々な利点がある。例えば、シートに設けられたセンサを入力装置としてゲームを構成した場合、ゲームの経過や結果を他のユーザが知ることができ、ゲームの商品価値を高めることができる。また、視界外にシートがある場合や、シートが遠隔地にある場合において、他のユーザは目視によらず着座者の状態を把握することができ、育児や介護、見守り等に利用することができる。
【0005】
本発明は、以上の背景を鑑み、シートに着座したユーザの情報を他のユーザが取得することができるシートシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、シートシステム(1)であって、シート本体(5)と、前記シート本体に設けられた少なくとも1つのセンサ(40)と、前記センサからの信号を処理する制御装置(46)と、前記制御装置と通信し、前記制御装置からの信号に基づいて情報を通知する第1ユーザインタフェース(69)とを有する。
【0007】
この態様によれば、シートに着座したユーザの情報を他のユーザが第1ユーザインタフェースを使用して取得することができる。他のユーザは、視界外にシートがある場合や、シートが遠隔地にある場合において、目視によらずシートに着座したユーザの状態を把握することができ、育児や介護、見守り等に利用することができる。
【0008】
上記の態様において、前記センサが前記シート本体に着座した着座者から得られる情報を取得するとよい。生体情報は、例えば体温や脈拍、発汗、匂い等を含み、センサは、温度センサや脈拍センサ、湿度センサ、匂いセンサ等を含むとよい。
【0009】
この態様によれば、シートに着座したユーザの生体情報を他のユーザが取得することができる。
【0010】
上記の態様において、前記シート本体に着座した前記着座者を撮像するカメラ(51)を含み、前記制御装置は、前記第1ユーザインタフェースに前記カメラによって撮像された画像を表示させるとよい。
【0011】
この態様によれば、シートに着座したユーザの画像情報を他のユーザが第1ユーザインタフェースを使用して取得することができる。
【0012】
上記の態様において、前記カメラがシートバック(8)の上部又はヘッドレスト(9)に設けられているとよい。
【0013】
この態様によれば、シートバック又はヘッドレストを利用してカメラを支持することができ、カメラを支持するための他の架台を省略することができる。
【0014】
上記の態様において、前記制御装置が、前記センサからの信号に基づいてアプリケーションを実行するアプリケーション処理部(57)を有し、前記アプリケーション処理部が生成した画像を前記第1ユーザインタフェースに表示させるとよい。
【0015】
この態様によれば、シート本体に着座したユーザがプレイするゲームのゲーム画面を、他のユーザが第1ユーザインタフェースを利用して確認することができる。すなわち、他のユーザが、ゲームをプレイするユーザと共にゲームを楽しむことができる。
【0016】
上記の態様において、前記制御装置が携帯端末(49)を構成し、前記センサと無線通信を行い、前記携帯端末が前記画像を表示する第2ユーザインタフェース(47)を有するとよい。
【0017】
この態様によれば、シート本体に着座したユーザは携帯端末の第2ユーザインタフェースによって画像を確認することができる。また、制御装置及び第2ユーザインタフェースを例えばタブレットPCやスマートフォン等の公知の携帯端末を利用して構成することができる。
【0018】
上記の態様において、前記第1ユーザインタフェースはユーザの入力を受け付け、前記制御装置は、前記第1ユーザインタフェースからの入力に基づいて前記第2ユーザインタフェースに出力を行うとよい。
【0019】
この態様によれば、ゲームをプレイするユーザと異なる他のユーザは入力装置を利用してゲームに参加することができる。
【0020】
上記の態様において、前記制御装置が、インターネット(59)を介して第1ユーザインタフェースと通信するとよい。
【0021】
この態様によれば、シート本体に対して遠隔地にいるユーザがシート本体に着座したユーザの情報を取得することができる。
【0022】
上記の態様において、前記シートシステムが、乗物用のシートシステムであるとよい。
【0023】
この態様によれば、センサをシートにユーザが着座しているか否かを検出するための着座センサに流用することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様は、シートシステム(1)であって、シート本体(5)と、前記シート本体に設けられた少なくとも1つのセンサ(40)と、前記センサからの信号を処理する制御装置(46)と、前記制御装置と通信し、前記制御装置からの信号に基づいて情報を通知する第1ユーザインタフェース(69)とを有する。
【0025】
この態様によれば、シートに着座したユーザの情報を他のユーザが第1ユーザインタフェースを使用して取得することができる。他のユーザは、視界外にシートがある場合や、シートが遠隔地にある場合において、目視によらずシートに着座したユーザの状態を把握することができ、育児や介護、見守り等に利用することができる。
【0026】
上記の態様において、前記センサが前記シート本体に着座した着座者から得られる情報を取得するとよい。生体情報は、例えば体温や脈拍、発汗、匂い等を含み、センサは、温度センサや脈拍センサ、湿度センサ、匂いセンサ等を含むとよい。
【0027】
この態様によれば、シートに着座したユーザの生体情報を他のユーザが取得することができる。
【0028】
上記の態様において、前記シート本体に着座した前記着座者を撮像するカメラ(51)を含み、前記制御装置は、前記第1ユーザインタフェースに前記カメラによって撮像された画像を表示させるとよい。
【0029】
この態様によれば、シートに着座したユーザの画像情報を他のユーザが第1ユーザインタフェースを使用して取得することができる。
【0030】
上記の態様において、前記カメラがシートバック(8)の上部又はヘッドレスト(9)に設けられているとよい。
【0031】
この態様によれば、シートバック又はヘッドレストを利用してカメラを支持することができ、カメラを支持するための他の架台を省略することができる。
【0032】
上記の態様において、前記制御装置が、前記センサからの信号に基づいてアプリケーションを実行するアプリケーション処理部(57)を有し、前記アプリケーション処理部が生成した画像を前記第1ユーザインタフェースに表示させるとよい。
【0033】
この態様によれば、シート本体に着座したユーザがプレイするゲームのゲーム画面を、他のユーザが第1ユーザインタフェースを利用して確認することができる。すなわち、他のユーザが、ゲームをプレイするユーザと共にゲームを楽しむことができる。
【0034】
上記の態様において、前記制御装置が携帯端末(49)を構成し、前記センサと無線通信を行い、前記携帯端末が前記画像を表示する第2ユーザインタフェース(47)を有するとよい。
【0035】
この態様によれば、シート本体に着座したユーザは携帯端末の第2ユーザインタフェースによって画像を確認することができる。また、制御装置及び第2ユーザインタフェースを例えばタブレットPCやスマートフォン等の公知の携帯端末を利用して構成することができる。
【0036】
上記の態様において、前記第1ユーザインタフェースはユーザの入力を受け付け、前記制御装置は、前記第1ユーザインタフェースからの入力に基づいて前記第2ユーザインタフェースに出力を行うとよい。
【0037】
この態様によれば、ゲームをプレイするユーザと異なる他のユーザは入力装置を利用してゲームに参加することができる。
【0038】
上記の態様において、前記制御装置が、インターネット(59)を介して第1ユーザインタフェースと通信するとよい。
【0039】
この態様によれば、シート本体に対して遠隔地にいるユーザがシート本体に着座したユーザの情報を取得することができる。
【0040】
上記の態様において、前記シートシステムが、乗物用のシートシステムであるとよい。
【0041】
この態様によれば、センサをシートにユーザが着座しているか否かを検出するための着座センサに流用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】第1実施形態に係るシートシステムを搭載した車両の車室の斜視図
図2】シート本体の斜視図
図3】第1実施形態に係るシートシステムのブロック図
図4】他の携帯端末のユーザインタフェースに表示される鑑賞画面であって、(A)ゲーム画像のみ、(B)ゲームをプレイするユーザが1人の場合、(B)ゲームをプレイするユーザが複数人の場合
図5】第2実施形態に係るシートシステムのブロック図
図6】第3実施形態に係るシートシステムのブロック図
図7】他の携帯端末のユーザインタフェースに表示されるユーザ情報画面
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照して、本発明に係るシートシステムを自動車等の車両に適用した実施形態を説明する。
【0044】
(第1実施形態)
図1に示すように、シートシステム1は、車室2の底部を画定するフロア3上に配置された少なくとも1つのシート本体5を有する。本実施形態では、シートシステム1は複数のシート本体5を有する。以下の説明では、シート本体5に着座したユーザを基準として、前後、左右、及び上下の各方向を定める。
【0045】
シート本体5は、左右のフロントシートと、フロントシートの後方に設けられた左右のミッドシートと、ミッドシートの後方に設けられた左右のリアシートとを構成する。各シート本体5は、車室2のフロア3に設けられたシートクッション7と、シートクッション7の後部に結合されたシートバック8と、シートバック8の上側に設けられたヘッドレスト9とを有する。
【0046】
図2に示すように、シートクッション7はそれぞれ、骨格をなすシートクッションフレーム(不図示)と、シートクッションフレームに支持されたパッド12と、パッド12の外面に被せられた表皮材13とを有する。同様に、シートバック8はそれぞれ、骨格をなすシートバックフレーム(不図示)と、シートバックフレームに支持されたパッド16と、パッド16の外面に被せられた表皮材17とを有する。シートバックフレームは、下端においてシートクッションフレームの後端に回動可能に取り付けられている。パッド12、16は、例えば発泡ウレタン等の可撓性を有する樹脂材料から形成されている。表皮材13、17は、例えば織布や皮革、合成皮革から形成されている。
【0047】
シート本体5には、少なくとも1つのセンサ40が設けられている。センサ40は、シートクッション7に少なくとも1つ、シートバック8に少なくとも1つ設けられていることが好ましい。センサ40は、複数の検出部41と、1つの第1通信部42と、1つのバッテリ43と、複数の検出部41、第1通信部42、バッテリ43とを接続する配線44とを有する。第1通信部42はマイコン等によって構成されているとよい。バッテリ43は、交換式であってもよく、充電可能であってもよい。バッテリ43は、ハーネスの接続による充電やワイヤレス充電によって充電されるとよい。複数の検出部41、第1通信部42、バッテリ43及び配線44は、共通の可撓性を有するシート材45上に配置されていることが好ましい。シート材45は、例えばフレキシブルプリント基板であるとよい。本実施形態では、センサ40の1つは、シートクッション7のパッド12の上面と表皮材13との間に設けられ、他の1つはシートバック8のパッド16の前面と表皮材17との間に設けられている。
【0048】
センサ40は、シート本体5に着座したユーザから受ける荷重やユーザとの接触を検出する荷重センサや感圧スイッチ、タッチセンサを構成する。センサ40の検出部41は、例えば圧電素子やメンブレンスイッチ、静電容量センサであってよい。また、センサ40は、シート本体5に着座したユーザの体温や脈拍、発汗状態、匂い等を検出する生体情報センサを構成するとよい。生体情報センサは、温度センサや、脈拍センサ、湿度センサ、匂いセンサ等を含む。本実施形態では、センサ40は、所定値以上の荷重を受けたときにオン信号を生成するメンブレンスイッチである。
【0049】
図3に示すように、シートシステム1は、更にセンサ40と通信する制御装置46と、制御装置46によって制御されるユーザインタフェース47と、シート本体5に着座した着座者を撮像するカメラ51とを有する。ユーザインタフェース47は、少なくとも画像を表示する出力機能を有し、ユーザの入力を受け付ける入力機能を有することが好ましい。本実施形態では、ユーザインタフェース47は、ユーザのタッチ操作による入力及び画像の表示が可能なタッチパネルディスプレイである。タッチパネルディスプレイは、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイから構成されるとよい。
【0050】
図1及び図3に示すように、カメラ51は、デジタルカメラであってよい。カメラ51は、有線通信又は無線通信によって制御装置46と通信し、撮像した画像データを制御装置46に送信する。カメラ51はシート本体5毎に設けられてもよく、共通のカメラ51が複数のシート本体5に着座したユーザを撮像するようにしてもよい。カメラ51は、車両のルーフ52やピラー53等の構造体や、撮像対象となるシート本体5の前方に位置するシート本体5の背面に設けられるとよい。また、カメラ51は撮像対象となるシート本体5のシートバック8の上部又はヘッドレスト9に設けられ、シート本体5に着座したユーザの顔の側部周辺の画像を撮像するようにしてもよい。
【0051】
本実施形態では、制御装置46とユーザインタフェース47とは一体に組み合わされ、携帯端末49を構成する。他の実施形態では制御装置46とユーザインタフェース47とは、互いに独立した装置として車両に配置されてもよい。
【0052】
制御装置46は、CPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を含む電子制御装置である。制御装置46は、センサ40の第1通信部42と無線通信し、センサ40と通信する第2通信部55と、センサ40からの信号を処理する信号処理部56と、信号処理部56からの信号に基づいてアプリケーションを実行するアプリケーション処理部57と、鑑賞画像作成部58と、インターネット59に接続するために基地局と無線通信するための第3通信部64とを有する。サーバ61はクラウドサーバであってよい。アプリケーション処理部57は、ゲームを含む各種アプリケーションを実行することができる。第2制御装置50は、プラットフォームとして機能し、各種アプリケーションを保持している。アプリケーションは、インターネット59や記憶媒体を介して制御装置46にインポートされてもよい。アプリケーションは、ゲームや、シート本体5や車内の照明や音響装置を操作するためのアプリケーションが含む。本実施形態では、アプリケーション処理部57は、センサ40をコントローラとするゲームアプリケーションを実行する。サーバ61は、携帯端末49と他の携帯端末62とを接続し、オンラインゲームを可能にする。
【0053】
他の携帯端末62は、車両内にあってもよく、車両外の遠隔地にあってもよい。他の携帯端末62は、公知のタブレットPCやスマートフォンであってよく、制御装置68と入出力可能なユーザインタフェース69を有する。制御装置68はインターネット59に接続するために基地局と無線通信するための第4通信部70を有する。他の携帯端末62は、制御装置46と通信し、ユーザインタフェース69は制御装置46からの信号に基づいて情報を通知する。ユーザインタフェース69は、ユーザインタフェース69は入出力可能なタッチパネルディスプレイであるとよい。
【0054】
車室2の前部を構成するダッシュパネル65にはナビゲーションシステム67が設けられている。ナビゲーションシステム67は、GPS情報と地図情報とに基づいてカーナビゲーション処理を実行する制御装置71と、制御装置71によって生成されたカーナビゲーション画面を表示するユーザインタフェース72とを有する。ナビゲーションシステム67の制御装置71は、携帯端末49の第2通信部55と通信するための第5通信部73を有する。ユーザインタフェース72は入出力可能なタッチパネルディスプレイであるとよい。
【0055】
第1通信部42及び第2通信部55、第5通信部73は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信方式によって通信を行なうとよい。第3通信部64及び第4通信部70は、4Gや5G等の移動通信規格に基づく無線通信によって、インターネット59に接続した基地局装置と通信するとよい。
【0056】
信号処理部56は、センサ40からの信号をアプリケーション処理部57が処理可能な信号に変換する。アプリケーション処理部57は、アプリケーションが起動されるとゲーム画面(画像)を生成し、携帯端末49に設けられたユーザインタフェース47を制御し、ユーザインタフェース47にゲーム画面を表示させる。また、アプリケーション処理部57は、信号処理部56からの信号に基づいて、ゲーム処理を実行し、ユーザインタフェース47に表示するゲーム画面を変化させる。ユーザインタフェース47は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイから構成されるタッチパネルディスプレイであるとよい。アプリケーション処理部57は、第3通信部64によってサーバ61と通信する。アプリケーション処理部57が実行するゲームアプリケーションは、例えばシート本体5に着座したユーザの身体の動きに基づいてゲーム内のキャラクタを動かし、競技を行なうものであってよい。
【0057】
鑑賞画像作成部58は、カメラ51からの画像情報と、ゲーム画面とに基づいて鑑賞画像80を作成する。鑑賞画像80は、他の携帯端末62及びナビゲーションシステム67において表示される画像である。鑑賞画像80は、ゲーム画像と、カメラ画像との少なくとも一方を含む。鑑賞画像80は、例えば、図4(A)に示すようにゲーム画像80Aのみであってもよく、図3(B)に示すように画像の左半部にゲーム画像80Aを表示し、右半部にカメラ画像80Bを表示するとよい。カメラ画像にはゲームをプレイするユーザが含まれる。図3(C)に示すように、車室2内においてゲームをプレイするユーザが複数人存在する場合、右半部を、ゲームをプレイするユーザ数に応じて分割し、各ユーザを撮像したカメラ画像80B、80Bを表示するとよい。
【0058】
制御装置46は鑑賞画像80をナビゲーションシステム67の制御装置71に送信し、制御装置71はユーザインタフェース72に鑑賞画像80を表示させる。また、制御装置46は鑑賞画像80を外部の携帯端末62に送信し、携帯端末62の制御装置68は携帯端末62のユーザインタフェースに鑑賞画像80を表示させる。
【0059】
他の携帯端末62のユーザインタフェース69は、ユーザによるメッセージの入力を受け付け、制御装置68は入力されたメッセージを携帯端末49に送信してもよい。携帯端末49のアプリケーション処理部57は受け取ったメッセージをゲーム画面に表示させてもよい。これによれば、他の携帯端末62を有するユーザもゲームに応援者として参加することができる。
【0060】
また、鑑賞画像80は制御装置46、サーバ61、制御装置68の少なくとも1つに保存されてもよい。制御装置68は、他のユーザの操作に応じて保存された鑑賞画像80を選択し、ユーザインタフェース69に表示してもよい。制御装置68は、過去の鑑賞画像80の一覧を表示した画像選択画面をユーザインタフェース69に表示し、他のユーザに表示すべき鑑賞画像80を選択させるとよい。これにより、他のユーザは過去の鑑賞画像80を確認することができる。
【0061】
また、サーバ61は、複数の制御装置46から送信される鑑賞画像80を保存するとよい。そして、制御装置68は、複数の制御装置46から送信された鑑賞画像80の中から他のユーザの操作に応じて選択された鑑賞画像80をユーザインタフェース69に表示するとよい。制御装置68は、複数の制御装置46から送信された鑑賞画像80の一覧を表示した画像選択画面をユーザインタフェース69に表示し、他のユーザに表示すべき鑑賞画像80を選択させるとよい。これにより、他のユーザは複数の制御装置46によって生成された鑑賞画像80を確認することができる。
【0062】
上述した実施形態によれば、シート本体5に設けられたセンサ40をゲームコントローラとしたビデオゲームをユーザに提供することができる。センサ40は、シート本体5に着座したユーザの身体の動きを検出し、ユーザの身体の動きに応じてゲームを実行する。すなわち、シートシステム1は、シート本体5に着座したユーザが身体を動かすことによって楽しむことができるゲームを提供する。
【0063】
シートシステム1は、シート本体5に着座したユーザの情報を他のユーザが携帯端末62のユーザインタフェース69を使用して取得することができる。他のユーザは、視界外にシートがある場合や、シート本体5が遠隔地にある場合において、目視によらずシート本体5に着座したユーザの状態を把握することができ、育児や介護、見守り等に利用することができる。例えば、ミッドシートであるシート本体5に着座したユーザの情報をフロントシートであるシート本体5に着座したユーザが携帯端末62のユーザインタフェース69を使用して取得することができる。また、車両から遠く離れた場所にいるユーザが、車両内のシート本体5に着座したユーザの情報を取得することができる。
【0064】
また、鑑賞画像80はナビゲーションシステム67のユーザインタフェース72にも表示されるため、フロントシートであるシート本体5に着座したユーザはナビゲーションシステム67のユーザインタフェース72を使用して取得することができる。
【0065】
鑑賞画像80はシート本体5に着座したユーザの撮像画像を含むため、他のユーザはゲームをプレイするユーザの画像を確認することができる。また、鑑賞画像80はゲーム画像も含むため、ユーザのゲームプレイ状況を確認することができる。例えば、車両から離れた遠隔地にいる祖父母が、車両内においてゲームを楽しむ孫の挙動を確認することができる。
【0066】
第1実施形態に係るシートシステム1において、携帯端末62は携帯端末49と比較的近い位置にあるとき、例えば車両内にあるときに、携帯端末49と近距離通信によってインターネット59を介さずに直接に無線通信してもよい。
【0067】
(第2実施形態)
図5に示すように、第2実施形態に係るシートシステム90は、第1実施形態に係るシートシステム1と比較して、ナビゲーションシステム67の制御装置71が、第2通信部55と、信号処理部56と、アプリケーション処理部57と、鑑賞画像作成部58と、第3通信部64とを有する点が異なる。シートシステム90において、携帯端末49は付加的な構成であり、省略してもよい。
【0068】
第2実施形態に係るシートシステム90によれば、車両に備わっているナビゲーションシステム67を利用してセンサ40からの信号処理及びゲーム処理を実行することができ、携帯端末49を省略することができる。
【0069】
(第3実施形態)
図6に示すように、第3実施形態に係るシートシステム100は、第1実施形態に係るシートシステム1と比較して、ユーザ情報処理部101を有する点が異なる。シートシステム100では、センサ40は、シート本体5に着座したユーザから受ける圧力(荷重)を検出する感圧センサと、シート本体5に着座したユーザの脈拍を取得する脈拍センサと、シート本体5に着座したユーザの体温を測定する体温センサとを有する。
【0070】
ユーザ情報処理部101は、センサ40からの信号に基づいて、シート本体5に着座したユーザがいるか否か、シート本体5に着座したユーザの脈拍、シート本体5に着座したユーザの体温を含むユーザ情報を取得する。そして、制御装置46は、ユーザ情報を他の携帯端末62に送信し、ユーザインタフェース69にユーザ情報を含むユーザ情報画面105を表示させる。ユーザ情報画面105は、例えば図7に示す画面であってよい。また、制御装置46は、ユーザ情報をナビゲーションシステム67に送信し、ユーザインタフェース72にユーザ情報画面105を表示させてもよい。
【0071】
また、ユーザ情報は制御装置46、サーバ61、制御装置68の少なくとも1つに保存されてもよい。制御装置68は、他のユーザの操作に応じて保存されたユーザ情報を選択し、選択したユーザ情報に基づいてユーザ情報画面105を生成し、ユーザ情報画面105をユーザインタフェース69に表示してもよい。制御装置68は、過去のユーザ情報の一覧を表示したユーザ情報選択画面をユーザインタフェース69に表示し、他のユーザに表示すべきユーザ情報を選択させるとよい。これにより、ユーザは過去のユーザ情報を確認することができる。
【0072】
また、サーバ61は、複数の制御装置46から送信されるユーザ情報を保存するとよい。そして、制御装置68は、複数の制御装置46から送信されたユーザ情報の中から他のユーザの操作に応じて選択されたユーザ情報に基づいてユーザ情報画面105を生成し、ユーザ情報画面105をユーザインタフェース69に表示してもよい。制御装置68は、複数の制御装置46から送信されたユーザ情報の一覧を表示したユーザ情報選択画面をユーザインタフェース69に表示し、他のユーザに表示すべきユーザ情報を選択させるとよい。これにより、他のユーザは複数の制御装置46によって取得されたユーザ情報を確認することができる。
【0073】
シートシステム100によれば、携帯端末62を有するユーザは、シート本体5に着座したユーザがいるか否か、また着座したユーザがいる場合にはそのユーザの脈拍及び体温を含む生体情報を取得することができる。シートシステム100では、センサ40に湿度センサや匂いセンサを含ませることによって、シート本体5に着座したユーザの発汗状態や匂い等も遠隔地にいる他のユーザが取得することができる。
【0074】
シートシステム100は住宅用の椅子に適用することによって高齢者の遠隔地からの見守りに適している。シートシステム100によれば、遠隔地に住む高齢者がシート本体5を利用したか否かや、利用した場合には脈拍や体温等の健康状態を取得することができる。
【0075】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。上記の実施形態では、シートシステムを車両に適用した例について説明したが、シートシステムは自動車以外の他の乗物用のシートや、劇場や住宅等の建造物に設けられるシートに適用してもよい。
【0076】
信号処理部56はセンサ40からの信号に基づいて、シート本体5にチャイルドシート又はブースターシートが搭載されていることを判定し、チャイルドシート又はブースターシートが搭載されている場合に信号処理部56からアプリケーション処理部57への出力を0にしてもよい。センサ40が荷重センサ(感圧センサ)を有する場合に、信号処理部56はセンサ40が検出する荷重分布に基づいてチャイルドシート又はブースターシートがシート本体5に載置されているか否かを検出するとよい。例えば、センサ40が検出する荷重分布が予め設定されたパターンと一致する場合には、シート本体5のシートクッション7上にチャイルドシート又はブースターシートが載置されていると判定するとよい。
【0077】
また、シート本体5に搭載されるチャイルドシート又はブースターシートは、無線通信によって制御装置46に信号を送信することができるセンサを有してもよい。チャイルドシート及びブースターシートが有するセンサは、シート本体5に適用されるセンサ40と同様であってよい。信号処理部56がチャイルドシート又はブースターシートがシート本体5に載置されたことを検出したときにシート本体5のセンサ40からの信号に基づく出力を0にすることによって、チャイルドシート又はブースターシートに設けられたセンサからの信号をアプリケーション処理部57に出力することができる。これにより、チャイルドシート又はブースターシートに着座するユーザもゲームをプレイすることができる。
【符号の説明】
【0078】
1、90、100 :シートシステム
5 :シート本体
7 :シートクッション
8 :シートバック
9 :ヘッドレスト
40 :センサ
46 :制御装置
47 :ユーザインタフェース
49 :携帯端末
51 :カメラ
55 :第2通信部
56 :信号処理部
57 :アプリケーション処理部
58 :鑑賞画像作成部
59 :インターネット
61 :サーバ
62 :携帯端末
64 :第3通信部
65 :ダッシュパネル
67 :ナビゲーションシステム
68 :制御装置
69 :ユーザインタフェース
70 :第4通信部
71 :制御装置
72 :ユーザインタフェース
73 :第5通信部
80 :鑑賞画像
101 :ユーザ情報処理部
105 :ユーザ情報画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7