(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】高周波信号伝送装置、及び高周波信号伝送ケーブル
(51)【国際特許分類】
H01B 7/08 20060101AFI20241009BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20241009BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
H01B7/08
H05K1/02 N
H05K1/11 D
(21)【出願番号】P 2023515906
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2021015932
(87)【国際公開番号】W WO2022224323
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000177690
【氏名又は名称】山一電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高平 浩司
(72)【発明者】
【氏名】米沢 章
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-71200(JP,A)
【文献】国際公開第2015/178313(WO,A1)
【文献】特開2007-234500(JP,A)
【文献】特開2016-92561(JP,A)
【文献】特開2006-351274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/08
H05K 1/02
H05K 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟むように設けられた第1及び第2配線層を備えると共に、前記第1配線層には少なくともM(Mは、2以上の自然数を示す)個の差動伝送路が設けられた高周波信号伝送ケーブルであって、
前記第1配線層には少なくとも2×M個の第1グランド線から成る第1グランド線群が更に設けられ、前記第2配線層には少なくともM個の第2グランド線から成る第2グランド線群が設けられ、
前記M個の差動伝送路の各差動伝送路に対して前記第1グランド線群に含まれる少なくとも2つの第1グランド線が重複せずに割り当てられ、かつ前記M個の差動伝送路の各差動伝送路に対して前記第2グランド線群に含まれる少なくとも1つの第2グランド線が重複せずに割り当てられ、
各差動伝送路が、前記少なくとも2つの第1グランド線により挟まれ、かつ前記少なくとも1つの第2グランド線に対向して設けられる、高周波信号伝送ケーブル。
【請求項2】
前記第1配線層を被覆する第1被覆層を更に備え、前記差動伝送路の信号線は、前記第1被覆層により被覆される部分と比べて前記第1被覆層により被覆されずに露出した部分が幅狭になるように形状付けられることを特徴とする請求項1に記載の高周波信号伝送ケーブル。
【請求項3】
前記差動伝送路の信号線は、その両端のコンタクトパッドがこれらのコンタクトパッドの間を延びる中間配線部よりも幅狭になるように形状付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波信号伝送ケーブル。
【請求項4】
前記第1配線層を被覆する第1被覆層を更に備え、前記第1グランド線は、前記第1被覆層により被覆される部分と比べて前記第1被覆層により被覆されずに露出した部分が幅広になるように形状付けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の高周波信号伝送ケーブル。
【請求項5】
前記第1グランド線は、その両端のコンタクトパッドがこれらのコンタクトパッドの間を延びる中間配線部よりも幅広になるように形状付けられ、この幅広のコンタクトパッドに応じて前記第1グランド線のコンタクトパッドと前記差動伝送路の信号線のコンタクトパッドの間隔が狭くなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の高周波信号伝送ケーブル。
【請求項6】
前記差動伝送路の信号線のコンタクトパッドの幅が、前記第1グランド線のコンタクトパッドの幅の2/3以下又は1/2以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高周波信号伝送ケーブル。
【請求項7】
前記差動伝送路の信号線のコンタクトパッドは、前記第1グランド線のコンタクトパッドよりも当該ケーブルの末端から離れて配置されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の高周波信号伝送ケーブル。
【請求項8】
前記Mは、4以上の自然数を示すことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の高周波信号伝送ケーブル。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の高周波信号伝送ケーブルと、
前記高周波信号伝送ケーブルがその一方の端部で電気的に接続されるコネクタにして、インシュレータと、前記インシュレータの幅方向に沿って配置され、かつ前記インシュレータにより支持された複数のコンタクト端子を備えるコネクタを備える高周波信号伝送装置。
【請求項10】
前記コネクタにおいて、
前記複数のコンタクト端子は、少なくともM対の信号用コンタクト端子と、少なくとも2×M個のグランド用コンタクト端子を含み、
前記少なくともM対の信号用コンタクト端子に含まれる信号用コンタクト端子の各対に対して前記少なくとも2×M個のグランド用コンタクト端子に含まれる少なくとも2つのグランド用コンタクト端子が重複せずに割り当てられ、前記信号用コンタクト端子の各対が前記少なくとも2つのグランド用コンタクト端子の間に挟まれることを特徴とする請求項9に記載の高周波信号伝送装置。
【請求項11】
前記インシュレータは、インシュレータ本体と、前記インシュレータ本体に対して取り付けられて前記インシュレータの幅方向に沿って配置される少なくともM個の取付部材を備えることを特徴とする請求項10に記載の高周波信号伝送装置。
【請求項12】
各取付部材が、前記信号用コンタクト端子の対が前記少なくとも2つのグランド用コンタクト端子の間に挟まれた少なくとも4つのコンタクト端子を支持するように構成されることを特徴とする請求項11に記載の高周波信号伝送装置。
【請求項13】
各取付部材は、前記少なくとも2つのグランド用コンタクト端子同士を電気的に接続する導電性部材を保持することを特徴とする請求項12に記載の高周波信号伝送装置。
【請求項14】
前記取付部材は、前記導電性部材が挿入される挿入孔を有し、前記導電性部材は、少なくとも2つの突起を有し、各突起が、前記取付部材の挿入孔内に位置する前記グランド用コンタクト端子の露出部に接触することを特徴とする請求項13に記載の高周波信号伝送装置。
【請求項15】
前記高周波信号伝送ケーブルと前記コネクタの接続を補助するべく前記高周波信号伝送ケーブルの一方の端部に取り付けられたプラグ部材を備えることを特徴とする請求項9乃至14のいずれか一項に記載の高周波信号伝送装置。
【請求項16】
前記プラグ部材が少なくとも2つのプラグ突起を有し、これらのプラグ突起の間に前記差動伝送路の信号線のコンタクトパッドと前記第1グランド線のコンタクトパッドが配置されることを特徴とする請求項15に記載の高周波信号伝送装置。
【請求項17】
前記コネクタのインシュレータは、前記プラグ部材のプラグ突起が挿入される孔を有することを特徴とする請求項16に記載の高周波信号伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高周波信号伝送装置、及び高周波信号伝送ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
高周波信号伝送ケーブルでは、差動伝送路間のアイソレーションを高めてクロストークを抑制することが重要である。特許文献1は、フレキシブル配線ケーブルに関し、高速伝送路を挟んで同一平面に第1グランドパターンが配列され、この第1グランドパターンが上層と下層の第1及び第2グランド層に貫通配線を介して接続される。これにより、クロストークや電磁波ノイズが低減され、またグランド電位の安定によりインピーダンス整合が容易になる(同文献の段落0044)。
【0003】
特許文献2では、誘電体基板の上面に差動伝送路を設け、これを挟むように同一平面導体層を設け、誘電体基板の下面の略全体に下側導体層を設け、同一平面導体層と下側導体層を貫通導体で電気的に接続し、更には、貫通導体の間隔と誘電体基板の厚みが差動伝送路で伝送される高周波信号の波長の4分の1以下にすることが開示されている。
【0004】
特許文献3では、上部グランド導体パターンと下部グランド導体パターンの間に信号導体パターンを設け、かつ互いに並走する信号導体パターンの間に空孔を設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-234500号公報
【文献】特開2003-224408号公報
【文献】特開2016-92561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示のように、同一平面で差動伝送路の間に接地線を設け、また誘電体層を挟んで差動伝送路に対向して接地層(所謂、GNDプレーン)を設けることが一般的である。慣例的に、或いはパターン形成の簡便さといった観点から、隣接する差動伝送路の間でグランド線が共有され、また、全ての差動伝送路の間でGNDプレーンが共有される。本願発明者は、このような慣例的な構造を見直し、伝送信号の高周波数化の更なる進展に適合可能な技術を提供する意義を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る高周波信号伝送ケーブルは、誘電体層、及び誘電体層を挟むように設けられた第1及び第2配線層を含むと共に、第1配線層には少なくともM(Mは、2以上の自然数を示す)個の差動伝送路が設けられる。第1配線層には少なくとも2×M個の第1グランド線から成る第1グランド線群が更に設けられ、第2配線層には少なくともM個の第2グランド線から成る第2グランド線群が設けられる。M個の差動伝送路の各差動伝送路に対して第1グランド線群に含まれる少なくとも2つの第1グランド線が重複せずに割り当てられ、かつM個の差動伝送路の各差動伝送路に対して第2グランド線群に含まれる少なくとも1つの第2グランド線が重複せずに割り当てられる。各差動伝送路が、少なくとも2つの第1グランド線により挟まれ、かつ少なくとも1つの第2グランド線に対向して設けられる。
【0008】
ある差動伝送路を挟むように設けられる少なくとも2つの第1グランド線は、その差動伝送路に対向して設けられる第2グランド線に貫通配線を介して電気的に接続され得る。
【0009】
本開示の別態様に係る高周波信号伝送装置は、上述のいずれかの高周波信号伝送ケーブルと、高周波信号伝送ケーブルがその一方の端部で電気的に接続されるコネクタにして、インシュレータと、前記インシュレータの幅方向に沿って配置され、かつ前記インシュレータにより支持された複数のコンタクト端子を備えるコネクタを含む。
【0010】
幾つかの実施形態では、コネクタにおいて、複数のコンタクト端子は、少なくともM対の信号用コンタクト端子と、少なくとも2×M個のグランド用コンタクト端子を含み、少なくともM対の信号用コンタクト端子に含まれる信号用コンタクト端子の各対に対して少なくとも2×M個のグランド用コンタクト端子に含まれる少なくとも2つのグランド用コンタクト端子が重複せずに割り当てられ、信号用コンタクト端子の各対が少なくとも2つのグランド用コンタクト端子の間に挟まれる。
【0011】
高周波信号伝送装置は、高周波信号伝送ケーブルにその第1端部で電気的に接続される第1コネクタとその第2端部で電気的に接続される第2コネクタを有し得る。各コネクタは、同一のものであり得る。高周波信号伝送ケーブルとコネクタの接続を補助するべく高周波信号伝送ケーブルの一方の端部にプラグ部材が取り付けられ得る。プラグ部材のプラグ突起の間に差動伝送路の信号線のコンタクトパッドと第1グランド線のコンタクトパッドが配置され得る。コネクタのインシュレータは、プラグ部材のプラグ突起が挿入される孔を有し得る。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一態様によれば、伝送信号の高周波数化の更なる進展に適合可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の一態様に係る高周波信号伝送装置の概略的な斜視図である。
【
図3】FPCの概略的かつ部分的な断面構成を示す模式図である。
【
図4】FPCの一端を示す概略的な部分下面図である。
【
図5】コネクタの概略的な斜視図であり、その前側が示される。
【
図6】コネクタの概略的な斜視図であり、その後側が示される。
【
図7】コネクタの概略的な分解斜視図であり、インシュレータ本体から8つの取付部材と9つの固定金具が後方に分離した状態が主に示される。
【
図8】GSSG配列の4つのコンタクト端子がインシュレータ本体の下板に設けられた4つの受容溝に個別に受容された状態を示す模式図である。
【
図9】
図8のX9-X9の一点鎖線に沿う概略的な断面を示す模式図である。
【
図10】取付部材の概略的な分解斜視図であり、取付部材から導電性部材が取り外された状態が示される。
【
図12】
図11のX12-X12の一点鎖線に沿う概略的な断面図である。
【
図14】コネクタにFPCが挿入され、両者が電気的に接続された状態を示す模式図である。
【
図15】別態様に係るFPCの概略的な部分上面図である。
【
図16】
図15のX16-X16の一点鎖線に沿う概略的な断面を示す模式図である。
【
図17】コネクタのコンタクト端子と信号線のコンタクトパッドの接続状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1乃至
図20を参照しつつ、様々な実施形態及び特徴について説明する。当業者は、過剰説明を要せず、各実施形態及び/又は各特徴を組み合わせることができ、この組み合わせによる相乗効果も理解可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明の記述を主たる目的とするものであり、作図の便宜のために簡略化されている。各特徴は、本願に開示された高周波信号伝送ケーブルにのみ有効であるものではなく、本明細書に開示されていない他の様々な高周波信号伝送ケーブルにも通用する普遍的な特徴として理解される。本明細書では、必要に応じて、第1、第2といった用語を用いて、コネクタといった同種のパーツをお互いに区別するが、代替又は追加的に、相対的な位置関係や方向を示す用語(前、後、左、右、上、下)に照らして同種パーツを区別することもできる。
【0015】
高周波信号伝送装置9は、(第1)コネクタ1、(第2)コネクタ2、及びケーブル装置3を有する。コネクタ1,2は、同一構造のコネクタであり、従って、両者を区別することなく説明する。換言すれば、一方のコネクタに関する説明は、他方のコネクタにもそのまま当てはまり、逆も然りである。コネクタ1,2の構成の詳細については後述する。
【0016】
ケーブル装置3は、FPC(Flexible Printed Circuits)4と、FPC4とコネクタ1の接続を補助するべくFPC4の端部41に取り付けられた(第1)プラグ部材5と、FPC4とコネクタ2の接続を補助するべくFPC4の端部42に取り付けられた(第2)プラグ部材6を有する。なお、FPC4は、高周波信号伝送ケーブルの非限定の一例である。FPCを代替的にフラットケーブルと呼ぶこともできる。
【0017】
コネクタ1,2は、各々、プラグ部材5,6と機械的に連結され、FPC4(具体的には、FPC4の端部に配列されたコンタクトパッド群)に電気的に接続される。プラグ部材5,6は、同一構造のプラグ部材であり、従って、両者を区別することなく説明する。FPC4及び/又はプラグ部材5,6との関係からコネクタ1,2をレセプタクルコネクトと呼ぶことができる。なお、プラグ部材5,6はオプションパーツであり、省略可能である。
【0018】
FPC4は、誘電体層70、(第1)配線層71、(第2)配線層72と、配線層71を被覆する被覆層73、及び配線層72を被覆する被覆層74の積層体である(
図3参照)。FPC4は、U字状に屈曲可能な程度の可撓性を有するケーブルであるが、可撓性を有しないケーブルも採用可能である。誘電体層70は、LCP(液晶ポリマー)、ポリイミドといった所定の比誘電率を有する樹脂シートであり得る。同様、被覆層73,74は、例えば、LCP(液晶ポリマー)、ポリイミドといった樹脂膜であり得る。FPC4の端部41,42では被覆層が除去され、結果として、被覆層により被覆されている箇所と比較して、後述の信号線85と第1グランド線81の間の浮遊容量が変化する。配線層71,72に含まれる配線は、銅箔といった金属箔であり得る。
【0019】
配線層71には、少なくともM(Mは、2以上の自然数を示す)個の差動伝送路8と、少なくとも2×M個の第1グランド線81(第1グランド線群と呼ぶ)が設けられる。差動伝送路8の信号線85と第1グランド線81が同一平面に配置される。配線層72には少なくともM個の第2グランド線82(第2グランド線群と呼ぶ)が配置される。典型的には、第2グランド線群に含まれる第2グランド線82の数は、第1グランド線群に含まれる第1グランド線81の数の半分であるが、必ずしもこの限りではない。なお、図示の場合、M=8であるが、これに限られない。
【0020】
本開示の一つの特徴として、M個の差動伝送路8の各差動伝送路8に対して第1グランド線群に含まれる少なくとも2つの第1グランド線が重複せずに割り当てられ、かつM個の差動伝送路8の各差動伝送路8に対して第2グランド線群に含まれる少なくとも1つの第2グランド線が重複せずに割り当てられる。この結果として、各差動伝送路8は、(割り当てられた)少なくとも2つの第1グランド線81により(詳細には、同一平面で)挟まれ、(割り当てられた)少なくとも1つの第2グランド線82に(詳細には、誘電体層70を挟んで)対向して設けられる(
図3参照)。かかる構成によれば、差動伝送路の間でグランド線又はGNDプレーンが共有される場合に生じるクロストークが抑制される。なお、グランド線又はGNDプレーンが差動伝送路の間で共有される場合、ある差動伝送路から別の差動伝送路へグランド線又はGNDプレーン経由で信号が漏出してしまうおそれがあり(例えば、グランド線に機器から伝わるコモンモードノイズ(又は電流))、差動伝送方式の採用でもこれを十分に回避できない。
【0021】
幾つかの場合、第1平面の4本の配線(即ち、差動伝送路8の2つの信号線85と2つの第1グランド線81)と第2平面の1つの配線(即ち、1つの第2グランド線82)の(少なくとも)合計5本の配線によって1チャンネルの信号伝送路が構成される。信号伝送路のチャンネル数もMにより表される。有利には、隣接する信号伝送路の間でFPC4上(例えば、FPC4の全長)においてグランド線が共有されない。
【0022】
各信号伝送路において、複数の貫通配線86を介して各第1グランド線81を共通の第2グランド線82に電気的に接続して、第1グランド線81と第2グランド線82の電位を安定化することが好ましい(
図4参照)。なお、第1グランド線81は、第2グランド線82よりも幅狭である。更には、一つの信号伝送路において、ある第1グランド線81と第2グランド線82の接続のために設けられる貫通配線86と、別の第1グランド線81と第2グランド線82の接続のために設けられる貫通配線86に関して、好適には、両者の個数が同一であり、同一ピッチで設けられるが、必ずしもこの限りではない。第2グランド線82と同様の態様で、被覆層73上に複数の個別の第3グランド線(不図示)を形成することもできる。
【0023】
信号線85は、被覆層73により被覆される部分と比べて被覆層73により被覆されずに露出した部分が幅狭になるように形状付けられ得る(
図4の幅W1と幅W2参照)。例えば、信号線85の両端のコンタクトパッド85aが、これらのコンタクトパッド85aの間を延びる中間配線部85bよりも幅狭になるように形状付けられる。これによって被覆層73と空気の比誘電率の差を吸収して均一な信号伝送特性を維持することができる。なお、コンタクトパッド85aを幅狭にすることによりFPC4とコネクタ1,2の電気的接続のためにより高いアライメント精度が必要になってしまうが、これは、プラグ部材の採用により回避することができる。
【0024】
第1グランド線81は、被覆層73により被覆される部分と比べて被覆層73により被覆されずに露出した部分が幅広になるように形状付けられ得る(
図4の幅W3と幅W4参照)。例えば、第1グランド線81は、その両端のコンタクトパッド81aがこれらのコンタクトパッドの間を延びる中間配線部81bよりも幅広になるように形状付けられ、この幅広のコンタクトパッド81aに応じて第1グランド線81のコンタクトパッド81aと信号線85のコンタクトパッド85aの間隔が狭くなる。これによって被覆層73と空気の比誘電率の差を吸収して均一な信号伝送特性を維持することができる。なお、コンタクトパッド81aを幅広にするとしてもコンタクトパッド85aが幅狭であるため、依然としてFPC4とコネクタ1,2の電気的接続のためにより高いアライメント精度が必要になってしまう。なお、信号線85のコンタクトパッド85aの幅は、第1グランド線81のコンタクトパッド81aの幅の2/3以下又は1/2以下であり得る。
【0025】
信号線85のコンタクトパッド85aは、第1グランド線81のコンタクトパッド81aよりもFPC4の末端から離れて配置され得る。これによりコネクタ1のコンタクト端子12の接点部と信号線85のコンタクトパッド85aが接触する時、これらの接点位置と信号線85の先端の間に形成されるオープンスタブの長さを短くすることができる。
【0026】
図1に戻って説明する。プラグ部材5,6は、FPC4の端部41,42に装着される。プラグ部材5は、プラグ本体51、プラグ本体51の幅方向両端に設けられた一対のプラグ突起52と、プラグ本体51の幅方向において一対のプラグ突起52の間に設けられた被ロック部53を有する。プラグ本体51は、FPC4が挿通される空間が設けられた枠体である。従って、プラグ部材5にFPC4が挿通されると、プラグ本体51から前方に延びる一対のプラグ突起52の間にはFPC4のコンタクトパッド(即ち、第1グランド線81のコンタクトパッド81aと信号線85のコンタクトパッド85a)がFPC4の幅方向に沿って配置される。
【0027】
詳細には、(信号線85の)コンタクトパッド85aの対が(第1グランド線81の)コンタクトパッド81aの対により挟まれたコンタクトパッドの単位配列がFPC4の幅方向に配列される。各単位配列において、コンタクトパッド85aがコンタクトパッド81aよりもFPC4の末端から離れて位置付けられる。プラグ部材5についてした説明は、プラグ部材6にも該当し、その説明は省略する(符号5,51~53が符号6,65~67で置き換えられる)。
【0028】
図5乃至
図7に示すように、コネクタ1は、インシュレータ11と、インシュレータ11の幅方向に沿って配置され、かつインシュレータにより支持された複数のコンタクト端子12を有する。インシュレータ11は、任意の絶縁性の樹脂から成り、コンタクト端子12を支持し、かつFPC4を受け入れるレセプタクルとして形状付けられる。インシュレータ11は、インシュレータ本体21と、インシュレータ本体21に対して取り付けられてインシュレータ11の幅方向に沿って配置される少なくともM個の取付部材22を有する。オプションとして、インシュレータ本体21に対する取付部材22の取付のためにM+1個の固定金具23が設けられる。またコネクタ1が実装される実装基板(例えば、マザーボード又はドーターボード)上へのインシュレータ11の固定のために2個の固定金具24が更に設けられる。なお、コネクタ1/インシュレータ11の幅方向は、FPC4の幅方向に等しく、同様、コンタクト端子12の配置方向、及び取付部材22の配置方向に等しい。
【0029】
複数のコンタクト端子12は、少なくともM(Mは、2以上の自然数を示す)対の信号用コンタクト端子12Sと、少なくとも2×M個のグランド用コンタクト端子12Gを含む。更には、少なくともM対の信号用コンタクト端子12Sに含まれる信号用コンタクト端子12Sの各対に対して少なくとも2×M個のグランド用コンタクト端子12Gに含まれる2つのグランド用コンタクト端子12Gが重複せずに割り当てられ、信号用コンタクト端子12Sの各対が2つのグランド用コンタクト端子12Gの間に挟まれる。即ち、信号用コンタクト端子12Sの対がグランド用コンタクト端子12Gの対の間で挟まれたM(Mは2以上の自然数を示す)個の単位配列C1~C8がインシュレータ11の幅方向に沿って配置され得る。コネクタ1の幅方向で隣接する信号用コンタクト端子12Sの対の間でグランド用コンタクト端子が共有されず、信号クロストークの低減が促進される。
【0030】
各取付部材22は、信号用コンタクト端子12Sの対が2つのグランド用コンタクト端子12Gの間に挟まれた4つのコンタクト端子12を支持するように構成され得る。インシュレータ本体21に対してM個の取付部材22を取り付けることによってインシュレータ11にコンタクト端子12が配備される。4つのコンタクト端子12の組み合わせから構成される信号伝送路が異なる取付部材22により支持され、信号伝送路間の電気的なアイソレーションが高められ、クロストークの低減も促進される。なお、取付部材22の個数について、M=8に限らず、M=2又はこれ以上の自然数としても良い。
【0031】
インシュレータ本体21は、FPC4側の前口21a(
図5参照)とFPC4とは反対側の後口21b(
図7参照)を有する枠体であり、上板25、下板26、左壁27及び右壁28を有する。なお、前方は、コネクタ1からFPC4に向かう方向であるものとし、この方向を基準として左右も規定される。
【0032】
上板25の上面には凹部31が設けられ、凹部31の底面にはロック部33が設けられる。左壁27に隣接した位置で前後方向にインシュレータ本体21を貫通する貫通孔32が設けられ、同様、右壁28に隣接した位置で前後方向にインシュレータ本体21を貫通する貫通孔32が設けられる。これらの貫通孔32にはプラグ部材5のプラグ突起52が個別に挿入され、コネクタ1に対するFPC4の良好なアライメントが促進される。なお、貫通孔32は、インシュレータ本体21の前口21aに空間的に連通しており、インシュレータ11が幅広になることが抑制される。
【0033】
コネクタ1内にFPC4が所定位置まで十分に挿入される時、プラグ部材5の被ロック部53がインシュレータ本体21のロック部33に係止される。ロック部33と被ロック部53の具体的な係止機構は当業者により様々に設定可能である。例えば、被ロック部53は、コネクタ1内へのFPC4の挿入に応じてロック部33の(後方上り斜面の)ガイド斜面33mを上り、その後、ガイド斜面33mの頂部から下方に延びるロック面33nに接触する枢動可能な爪部である。
【0034】
下板26には、受容溝26gが並列して設けられ、特には、所定数(4つ)の受容溝26gの単位セットがインシュレータ本体21の幅方向に沿って配置される。各受容溝26gは、取付部材22により支持されたコンタクト端子12を受容するべく前後方向に延びる。例えば、各受容溝26gは、前後方向に延びる左右の壁面と前後方向に延びる底面から画定され、上方、前方、及び後方で開口する。コンタクト端子12は、受容溝26gの上方の開口から受容溝26g内に挿入され得る。コンタクト端子12の形状によっては受容溝26gの後口から挿入することも可能である。同一の単位セット内の受容溝26gのピッチ間隔I1は、単位セット間の間隔I2よりも小さく、その1/2以下である。単位集合に含まれる受容溝26gの数は、一つの取付部材22により支持されるコンタクト端子12の数に一致する。
【0035】
各コンタクト端子12は、取付部材22から前方に片持ち梁状に延在するアーム部61と、取付部材22に固定された固定部62と、取付部材22から後方に延在する接点部63を有する(
図7,8参照)。アーム部61は、アーム板部61aと、アーム板部61aよりも取付部材22から離れて設けられ、かつアーム板部61aよりも幅狭のアーム棒部61bを含む。アーム板部61aは、前方に延びるに応じて漸減する左右幅を有する。アーム棒部61bは、アーム板部61aの前端から更に前方に延びる。アーム棒部61bは、FPC4のコンタクトパッドに接触するべき弧状の接点部61cを有するように斜め前方に延び、続いて斜め下方に延びる。アーム棒部61bの採用によってFPC4のコンタクトパッドとのアライメントに関してより高い精度が求められるが、プラグ部材の採用によってこの負担が低減される。
【0036】
接点部61cとアーム棒部61bの前端61dの間のコンタクト端子12の部分がオープンスタブとして機能し、信号伝送の観点からは不要であるが、FPC4との衝突によってコンタクト端子12が座屈してしまうことを抑制するために設けられる。共通の取付部材22により支持されるコンタクト端子12の接点部61cは、インシュレータ11の幅方向に平行な直線L1上に配置されるが、必ずしもこの限りではない。インシュレータ本体21に対して取付部材22を適切に取り付けることによってインシュレータ11に設けられる全てのコンタクト端子12の接点部61cが直線L1上に配置され得る。
【0037】
インシュレータ本体21に対して取付部材22が取り付けられる時、取付部材22のコンタクト端子12のアーム部61が受容溝26gに挿入される(
図9参照)。これにより隣接するコンタクト端子12の間に空気よりも比誘電率が大きい樹脂(例えば、PBT(ポリブチレンテレフタラート)、又はLCP(液晶ポリマー)等)を配置することができ、隣接したコンタクト端子12間の浮遊容量を調整することができ、FPC4とのインピーダンス整合が良好になる。コンタクト端子12は、弧状の接点部61cにおいて受容溝26gから上方に僅かに反り出るため、コンタクト端子12とFPC4の電気的接続は確保される。
【0038】
受容溝26gは、アーム部61の先端(前端)側においてより深くなるように形状付けられる。具体的には、受容溝26gは、コンタクト端子12のアーム板部61aを受容する後方溝部26g1と、コンタクト端子12のオープンスタブを受容する前方溝部26g2を有し、前方溝部26g2の深さが後方溝部26g1の深さよりも深い。これによって、接点部61cの反り出た部分を除いてアーム部61の全体を受容溝26gに受容することができる。
【0039】
受容溝26gの幅は、アーム部61の幅変化に対して対応して(即ち、同調して)設定され得る。即ち、受容溝26gは、アーム板部61aを受容するための第1溝幅と、アーム棒部61bを受容するための第1溝幅よりも狭い第2溝幅を有する。追加又は代替として、受容溝26gは、接点部61cに対応した位置で最小の溝幅を有する。これによってコンタクト端子12間の樹脂量を増加させることができる。
【0040】
なお、FPC4との接触によってアーム部61が下方に押し下げられ、アーム部61の前端61dが受容溝26gの底面に接触し得る。この場合、FPC4とコンタクト端子12がお互いに押圧する関係になり、両者がより確実に電気的に接続される。
【0041】
コンタクト端子12の固定部62には取付部材22の挿入孔34内で露出する露出部62cが設けられる。固定部62の残部62a,62bは、取付部材22の樹脂に埋設されている。接点部63は、取付部材22から後方に延びるが、その長さ、太さ、及び屈曲の態様及び屈曲数について様々な変更が可能である。
【0042】
取付部材22は、導電性部材13が挿入される挿入孔34が設けられた部材である(
図10乃至
図12参照)。取付部材22は、前壁35、後壁36、左壁37、及び右壁38を有する筒体であり、これらの壁により画定される挿入孔34に導電性部材13が圧入され得る。なお、挿入孔34は、上下両側で開口する。右壁38には前後方向に延び、かつ右側で開口した凹部39が設けられる。同様、左壁37には前後方向に延び、かつ左側で開口した凹部39が設けられる。
【0043】
導電性部材13は、導電性フィラーが絶縁性の樹脂に分散した部材であり得る。導電性部材13は、本体部13jと本体部13jから下方に突出する少なくとも2つの突起13pを有する。本体部13jは、下方に延びるに応じて前後幅W4が小さくなるテーパー部材である。突起13pは、本体部13jの左右端から下方に突出するブロック体であり、その下面においてグランド用コンタクト端子12Gの露出部62cの上面に接触する。なお、導電性部材13の(最大)左右幅W3は、取付部材22の左壁37と右壁38の間隔と同一又は僅かに大きい又は小さい。同様、導電性部材13の(最大)前後幅W4は、取付部材22の前壁35と後壁36の間の間隔と同一又は僅かに大きい又は小さい。導電性部材13の上下幅W5は、突起13pの有無により変動する。
【0044】
取付部材22の挿入孔34に導電性部材13が挿入されると、導電性部材13の各突起13pが、挿入孔34内に位置するグランド用コンタクト端子12Gの露出部62cに接触する。突起13pの間には空間13qが設けられ、従って、導電性部材13と信号用コンタクト端子12Sとの電気的な接続が回避される。
【0045】
取付部材22に対するコンタクト端子12の取付(例えば、埋込み)は、インサート成形を活用することで実現可能である。コンタクト端子12の固定部62の残部62a,62bに樹脂が付着して硬化するように射出成形を行う。固定型と可動型から画定されるキャビティー内にコンタクト端子12の上記した部分が配置されるようにし、これに続いて同キャビティー内に溶融樹脂を供給し、これに続いて金型を冷却する。このようにしてキャビティー内の溶融樹脂が硬化し、コンタクト端子12が部分的に埋め込まれた取付部材22が得られる。なお、挿入孔34は、射出成形時にコンタクト端子12を固定するためにキャビティー内に配置されたコアに対応して形成された空間である。
【0046】
取付部材22によりコンタクト端子12が支持されるため、インシュレータ本体21に対する取付部材22を位置決めすることが必要になる。即ち、インシュレータ本体21における取付部材22の位置決め精度の低下は、コネクタ1におけるコンタクト端子12の位置精度の低下に帰結してしまう。このような観点から、幾つかの場合、インシュレータ本体21における取付部材22の位置決めのために固定金具23を用いることができる。
【0047】
固定金具23は、挿入部23a、左右両側に突出した突起23b、及び屈曲部23cを有する(
図7参照)。インシュレータ11の幅方向で取付部材22が隣接する時、隣り合う取付部材22の凹部39の組み合わせによって固定金具23のための挿入路22kが形成される(
図13参照)。固定金具23の挿入部23aが挿入路22kに差し込まれ(好適には、圧入され)、インシュレータ本体21における取付部材22の変位が規制される。固定金具23の突起23bと取付部材22の後面の衝突により固定金具23の差し込み停止位置が定まり、また、取付部材22が突起23bにより後方から押さえられる。屈曲部23cは、コネクタ1の実装基板に対してリフローにより半田付けされる。固定金具23は、コネクタ1が実装される実装基板上においてグランド電位に接続され得る。これによりコネクタ1における信号伝送路間のアイソレーションが高められる。幾つかの場合、固定金具23の挿入部23aは、インシュレータ本体21に設けられた溝に差し込まれ、これにより固定金具23の変位が効果的に規制される。
【0048】
コネクタ1に対してFPC4を電気的に接続するためにコネクタ1に対してプラグ部材5を連結する時、プラグ突起52と貫通孔32の嵌合によってコネクタ1内へのFPC4の挿入が上手く案内される。インシュレータ11の前口21aを介してFPC4がインシュレータ11内に挿入されると、FPC4がインシュレータ本体21の下板26上に配置される。コンタクト端子12の接点部61cは、受容溝26gから上方に僅かに反り出ている。従って、FPC4の挿入に伴ってFPC4の下面がその接点部61cの上面に接触して接点部61cが下方に押し下げられる。FPC4が所定の位置まで挿入されると、コネクタ1の各コンタクト端子12の接点部61cとFPC4の各コンタクトパッド81a,85aに接触が確保される(
図14参照)。詳細には、信号用コンタクト端子12Sのアーム部61の接点部61cが信号線85のコンタクトパッド85aに接触する。同様、グランド用コンタクト端子12Gのアーム部61の接点部61cが第1グランド線81のコンタクトパッド81aに接触する。
【0049】
特筆すべき点としては、FPC4及びコネクタ1,2の組み合わせから構築された高周波信号伝送装置9において、各信号伝送路間でグランド電位が共有されていないことである。具体的には、FPC4の差動伝送路8の間でグランド線が共有されていない。差動伝送路8に電気的に接続されるコネクタ1,2の信号用コンタクト端子12Sの対の間でグランド用コンタクト端子12Gが共有されていない。このようにFPC4とコネクタ1,2の両方において差動伝送路の間でのグランド電位の共有を回避することにより電気的なアイソレーションが高まり、クロストークの抑制が期待できる。なお、FPC4及びコネクタ1,2の両方ではなく、FPC4だけ、又はコネクタ1,2だけにてグランド電位の非共有を実施することもできる。
【0050】
図15乃至
図17に示すように、FPC4の上面に第1グランド線81及び信号線85を形成し、FPC4の下面にコンタクトパッド81a,85aを形成し、両者を個々の貫通配線で接続することもできる。即ち、第1グランド線81のコンタクトパッド81a及び信号線85のコンタクトパッド85aは配線層71に設ける必要はない。
図15乃至
図17には図示していないが、
図3と同様、配線層72には第2グランド線82が形成されている。
【0051】
図18は、高周波信号伝送装置(ケーブル装置の両端にコネクタが結合したもの)に関する挿入損失のシミュレーション結果を示す。
図18(a)は、第1グランド線が、隣接する差動伝送路の間で共有され、かつ第2グランド線が全ての差動伝送路の間で共有される場合の結果を示す。
図18(b)は、本開示の形態の結果を示す。
図18に示すように、本開示の形態では、30GHz付近の周波数においてリップルの改善が達成された。
【0052】
図19は、高周波信号伝送装置(ケーブル装置の両端にコネクタが結合したもの)に関するクロストーク特性のシミュレーション結果を示す。
図19(a)は、NEXT(Near End Cross Talk)のシミュレーション結果を示し、PE1が本実施形態に関し、CE1が比較例に関する。
図19(b)は、FEXT(Far End Cross Talk)のシミュレーション結果を示し、PE1が本実施形態に関し、CE1が比較例に関する。なお、
図19(a)及び
図19(b)の両方において、比較例は、隣接した差動伝送路の間で第1グランド線が共有された(即ち、隣接した差動伝送路の間に一つの第1グランド線が設けられた)ケーブル装置が用いられる。
図19(a)及び
図19(b)に示すようにクロストークがCE1と比べてPE1のほうが小さい。本実施形態によればクロストークの低減が促進されることが確認できた。
【0053】
図20は、ケーブル装置に関するクロストーク特性のシミュレーション結果を示す。
図20(a)は、NEXT(Near End Cross Talk)のシミュレーション結果を示し、PE1が本実施形態に関し、CE1が比較例に関する。
図20(b)は、FEXT(Far End Cross Talk)のシミュレーション結果を示し、PE1が本実施形態に関し、CE1が比較例に関する。なお、
図20(a)及び
図20(b)の両方において、比較例は、隣接した差動伝送路の間で第1グランド線が共有された(即ち、隣接した差動伝送路の間に一つの第1グランド線が設けられた)ケーブル装置が用いられる。
図20(a)及び
図20(b)に示すようにクロストークがCE1と比べてPE1のほうが小さい。本実施形態によればクロストークの低減が促進されることが確認できた。
【0054】
上述の教示を踏まえ、当業者は、各実施形態に対して様々な変更を加えることができる。コンタクト端子の形状は、図示のものに限られず、一つのコンタクト端子に2以上の接点部が設けられるものも採用可能である。FPCの両面のコンタクトパッドに電気的に接続されるようにコンタクト端子を配列させても良い。具体的には、一方のコンタクト端子の配列は、FPCの表側のコンタクトパッドとの接触のために設けられ、他方のコンタクト端子の配列は、FPCの裏側のコンタクトパッドとの接触のために設けられる。このように、FPCは、一面にコンタクトパッドを有するものに限らず、両面にコンタクトパッドが設けられたものも採用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1,2:コネクタ
4:FPC
5,6:プラグ部材
8:差動伝送路
9:高周波信号伝送装置
11:インシュレータ
12:コンタクト端子(12G:グランド用コンタクト端子,12S:信号用コンタクト端子)
13:導電性部材
21:インシュレータ本体
22:取付部材
70:誘電体層
71,72:配線層
73,74:被覆層
81:第1グランド線
82:第2グランド線
85:信号線