(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】置換空調システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
F24F 3/044 20060101AFI20241009BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20241009BHJP
F24F 11/79 20180101ALI20241009BHJP
F24F 11/80 20180101ALI20241009BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20241009BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20241009BHJP
F24F 13/068 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
F24F3/044
F24F11/74
F24F11/79
F24F11/80
F24F7/007
F24F7/003
F24F13/068
(21)【出願番号】P 2024026030
(22)【出願日】2024-02-22
【審査請求日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2023026715
(32)【優先日】2023-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023124631
(32)【優先日】2023-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】荒川 武士
(72)【発明者】
【氏名】松井 伸樹
(72)【発明者】
【氏名】岡本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】矢本 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】大高 将悟
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-299644(JP,A)
【文献】特開2007-218547(JP,A)
【文献】国際公開第2021/235139(WO,A1)
【文献】特開2008-256269(JP,A)
【文献】特開平10-281533(JP,A)
【文献】特開2014-077599(JP,A)
【文献】特開2008-075973(JP,A)
【文献】特開2008-304124(JP,A)
【文献】国際公開第2022/137735(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/131157(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/000965(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/044
F24F 11/74
F24F 11/79
F24F 11/80
F24F 7/007
F24F 7/003
F24F 13/068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の下方に空調空気を供給し、前記室内の上方から室内空気を排出することにより、前記室内に温度又は空気成分の成層を形成可能に構成されており、
前記室内の温度又は空気成分を検出する検出部
と、制御部とを備え、
前記検出部は、前記室内における成層の想定境界高さよりも上方に設定される第1高さ及び前記想定境界高さよりも下方に設定される第2高さにおける温度又は空気成分を検出
し、
前記制御部は、前記検出部で検出した前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分に基づいて、前記室内における成層の境界高さに関する情報を導出する
置換空調システム。
【請求項2】
前記第1高さは前記室内における人の頭部よりも上方として予め設定される
請求項1に記載の置換空調システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分に基づいて、
前記第1高さと前記第2高さとの間における成層の境界の有無を判定する
請求項
1又は請求項2に記載の置換空調システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分の差が所定値未満であり、且つ前記室内に供給される空調空気の吹出風量の変化が増加傾向にある場合、前記室内における成層の境界高さが前記第1高さ及び前記第2高さの間に設定される前記想定境界高さよりも上にあり、
前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分の差が所定値未満であり、且つ前記室内に供給される空調空気の吹出風量の変化が減少傾向にある場合、前記室内における成層の境界高さが前記第1高さ及び前記第2高さの間に設定される前記想定境界高さよりも下にあると判定する
請求項
1又は請求項2に記載の置換空調システム。
【請求項5】
前記検出部は、前記第1高さよりも上方に設定される第3高さにおける温度又は空気成分を検出し、
前記第3高さにおける温度又は空気成分は前記室内空気の排出経路における温度又は空気成分を含み、
前記制御部は、前記第1高さ、前記第2高さ及び前記第3高さにおける温度又は空気成分に基づいて、前記室内における成層の境界高さに関する情報を導出する
請求項
1又は請求項2に記載の置換空調システム。
【請求項6】
前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分に基づき取得される成層の境界高さに関する情報に応じて、前記室内における成層の境界高さが前記想定境界高さに近づくように前記室内に供給する空調空気の風量又は温度を調整する
請求項1又は請求項2に記載の置換空調システム。
【請求項7】
前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分に基づき取得される成層の境界高さに関する情報に応じて、成層の境界高さを示す情報を表示する表示部を備える
請求項1又は請求項2に記載の置換空調システム。
【請求項8】
前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分に基づき前記第1高さと前記第2高さとの間に成層の境界が無いと判定された場合、警告情報を出力する
請求項1又は請求項2に記載の置換空調システム。
【請求項9】
室内の下方に空調空気を供給し、前記室内の上方から室内空気を排出することにより、前記室内に温度又は空気成分の成層を形成可能に構成される置換空調システムの備える検出部で検出された、前記室内における成層の想定境界高さよりも上方に設定される第1高さ及び前記想定境界高さよりも下方に設定される第2高さにおける温度又は空気成分を取得し、
取得した前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分に基づいて、前記室内における成層の境界高さに関する情報を取得する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、置換空調システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空調システムの1つとして、置換空調システムが知られている。置換空調システムでは、室内空間の居住域における汚染物質濃度の高い空気を、汚染物質濃度の低い新鮮な空気で順次置換することにより、居住域の汚染物質濃度を低減し、室内空間の空気環境を良好に維持することができる。
【0003】
例えば特許文献1には、予め設定された居住域の温度成層高さの温度を検出し、その検出値に基づいて吹上げファンの回転数を制御する大空間建物の空調制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、予め設定された温度成層高さの温度値を検出するものであり、必ずしも温度又は空気成分の成層の状態の把握に適した情報を検出するものではない。
【0006】
本開示の目的は、温度又は空気成分の成層の状態の把握に適した情報を検出することが可能な置換空調システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の観点に係る置換空調システムは、室内の下方に空調空気を供給し、前記室内の上方から室内空気を排出することにより、前記室内に温度又は空気成分の成層を形成可能に構成されており、前記室内の温度又は空気成分を検出する検出部を備え、前記検出部は、前記室内における成層の想定境界高さよりも上方に設定される第1高さ及び前記想定境界高さよりも下方に設定される第2高さにおける温度又は空気成分を検出する。
【0008】
本開示の第2の観点に係る置換空調システムは、第1の観点に係る置換空調システムであって、前記第1高さは前記室内における人の頭部よりも上方として予め設定される。
【0009】
本開示の第3の観点に係る置換空調システムは、第1の観点又は第2の観点に係る置換空調システムであって、制御部を備え、前記制御部は、前記検出部で検出した前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分に基づいて、前記室内における成層の境界高さに関する情報を導出する。
【0010】
本開示の第4の観点に係る置換空調システムは、第3の観点に係る置換空調システムであって、前記制御部は、前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分に基づいて、前記第1高さと前記第2高さとの間における成層の境界の有無を判定する。
【0011】
本開示の第5の観点に係る置換空調システムは、第3の観点又は第4の観点に係る置換空調システムであって、前記制御部は、前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分の差が所定値未満であり、且つ前記室内に供給される空調空気の吹出風量の変化が増加傾向にある場合、前記室内における成層の境界高さが前記第1高さ及び前記第2高さの間に設定される前記想定境界高さよりも上にあり、前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分の差が所定値未満であり、且つ前記室内に供給される空調空気の吹出風量の変化が減少傾向にある場合、前記室内における成層の境界高さが前記第1高さ及び前記第2高さの間に設定される前記想定境界高さよりも下にあると判定する。
【0012】
本開示の第6の観点に係る置換空調システムは、第3の観点から第5の観点のいずれか1つに係る置換空調システムであって、前記検出部は、前記第1高さよりも上方に設定される第3高さにおける温度又は空気成分を検出し、前記第3高さにおける温度又は空気成分は前記室内空気の排出経路における温度又は空気成分を含み、前記制御部は、前記第1高さ、前記第2高さ及び前記第3高さにおける温度又は空気成分に基づいて、前記室内における成層の境界高さに関する情報を導出する。
【0013】
本開示の第7の観点に係る置換空調システムは、第1の観点から第6の観点のいずれか1つに係る置換空調システムであって、前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分に基づき取得される成層の境界高さに関する情報に応じて、前記室内における成層の境界高さが前記想定境界高さに近づくように前記室内に供給する空調空気の風量又は温度を調整する。
【0014】
本開示の第8の観点に係る置換空調システムは、第1の観点から第7の観点のいずれか1つに係る置換空調システムであって、前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分に基づき取得される成層の境界高さに関する情報に応じて、成層の境界高さを示す情報を表示する表示部を備える。
【0015】
本開示の第9の観点に係る置換空調システムは、第1の観点から第8の観点のいずれか1つに係る置換空調システムであって、前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分に基づき前記第1高さと前記第2高さとの間に成層の境界が無いと判定された場合、警告情報を出力する。
【0016】
本開示の第10の観点に係る情報処理方法は、室内の下方に空調空気を供給し、前記室内の上方から室内空気を排出することにより、前記室内に温度又は空気成分の成層を形成可能に構成される置換空調システムの備える検出部で検出された、前記室内における成層の想定境界高さよりも上方に設定される第1高さ及び前記想定境界高さよりも下方に設定される第2高さにおける温度又は空気成分を取得し、取得した前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分に基づいて、前記室内における成層の境界高さに関する情報を取得する処理をコンピュータが実行する。
【0017】
本開示の第11の観点に係る情報処理方法は、室内の下方に空調空気を供給し、前記室内の上方から室内空気を排出することにより、前記室内に温度又は空気成分の成層を形成可能に構成される置換空調システムの備える検出部で検出された、前記室内における成層の想定境界高さよりも上方に設定される第1高さ及び前記想定境界高さよりも下方に設定される第2高さにおける温度又は空気成分を取得し、取得した前記第1高さ及び前記第2高さにおける温度又は空気成分に基づいて、前記室内における成層の境界高さに関する情報を取得する処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【0018】
本開示によれば、温度成層の状態の把握に適した情報を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態の置換空調システムの概要図である。
【
図3】実施形態の置換空調システムについて、室内の高さと空気温度との関係をシミュレーションした結果を示すグラフである。
【
図4】制御装置による判定処理を説明するフローチャートである。
【
図5】置換空調システムの他の構成を示す概要図である。
【
図6】第2実施形態の置換空調システムの概要図である。
【
図7】第2実施形態の制御装置による判定処理を説明するフローチャートである。
【
図8】第4実施形態の置換空調システム100の概要図である。
【
図9】第4実施形態の制御装置による判定処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の置換空調システム100の概要図である。本実施形態の置換空調システム100は、天井面11、壁面12及び床面13で囲まれた居室1の室内に新鮮な空調空気を供給し、室内の高汚染物質濃度の室内空気を排出することにより置換空調を行うシステムである。居室1は、置換空調システム100による置換空調の対象空間の一例である。対象空間は、例えば、オフィスビル、住宅、病院、レストラン、ライブハウス、学校、工場、倉庫の屋内の空間である。本実施形態では、オフィスビルに置換空調システム100を適用した場合を例示して説明する。
【0022】
置換空調システム100では、清浄度を確保すべき清浄域(成層域)が、居住域高さ以上となるよう、室内に空調空気を供給する。居住域とは、居室1内において、人が活動することが多い空間である。居住域は、床面13から、室内における人(在室者)の頭部高さと同じ高さ又は頭部高さよりもやや上方までの空間であってもよい。室内における人の頭部高さとは、想定される在室者の主な姿勢によって異なり、例えば、椅坐位である場合の頭部、立位である場合の頭部、若しくは臥床位又は床座位である場合の頭部等である。人の頭部高さは、後述する制御装置に対する指令によって予め設定されてもよい。本実施形態では、オフィスビルにおける在室者の姿勢として主に椅座位が想定されることから、例えば、人の頭部高さは床上1.2mであり、居住域は床面13から1.3m以下であってもよい。なお、室内における人の姿勢が立位である場合、例えば、人の頭部高さは、床上1.7mであり、居住域は床面13から1.8m以下であってもよい。室内における人の姿勢が臥床位又は床座位である場合、例えば、人の頭部高さは床上0.9mであり、居住域は床面13から1.0m以下であってもよい。
【0023】
置換空調システム100は、空調機2、吹出口3、吸込口4、検出装置5、表示装置6及び制御装置7等を備える。
【0024】
空調機2は、図示しない室外機と、室内機21とを含む。空調機2は、置換空調方式により、室内の暖房、冷房等の空気調和を行う。室外機は、例えばチラー装置により構成され、圧縮機、熱源側熱交換器、利用側熱交換器等を備える。室内機21は、ケーシング22及び当該ケーシング22内に収容される清浄温調部23等を備える。室内機21と室外機とが水配管で接続されることで、循環回路が構成される。循環回路にて水(循環水)と冷媒とが熱交換されて、冷水が生成される。
【0025】
室内機21は、屋内であって居室1の室外(壁面12の外側)に設けられる。ケーシング22には、外気ダクト81、還気ダクト82、及び給気ダクト83が接続されており、内部に不図示の空気回路が形成されている。外気ダクト81は、流入端が室外空間に開口し、流出端がケーシング22の空気回路の入口に接続する。還気ダクト82は、流入端が天井裏空間に接続し、流出端がケーシング22の空気回路の入口に接続する。天井裏空間には吸込口4が直接繋がっており、天井裏空間は吸込口4のダクトとして機能する。給気ダクト83は、流入端がケーシング22の空気回路の出口に接続し、流出端が吹出口3に接続する。このように、室内機21は、還気ダクト82及び天井裏空間を介して吸込口4に直接的に繋がっているとともに、給気ダクト83を介して吹出口3に直接的に繋がっている。
【0026】
清浄温調部23は、外気ダクト81から送り込まれた外気及び還気ダクト82から送り込まれた室内循環空気としての室内空気を清浄化及び温度調整する。清浄温調部23は、フィルター231、冷却コイル232、及びファン233を備える。ケーシング22内に送り込まれた外気及び室内循環空気は、フィルター231及び冷却コイル232の順に通過する。
【0027】
フィルター231は、外気及び室内循環空気中の塵埃を捕集する。フィルター231は、清浄温調部23のうちの清浄化機能を実現する。冷却コイル232は、熱交換器であり、清浄温調部23のうちの温度調整機能を実現する。ファン233は、フィルター231及び冷却コイル232を通過した空気、すなわち清浄温調された空調空気を給気ダクト83へ搬送する。
【0028】
なお、空気の清浄化手法はフィルター231を用いたフィルター231捕集に限らず、空気中の汚染物質を除去又は不活性化し得るものであればよい。汚染物質は、例えば、人の呼気に含まれるCO2、ウイルス等を含む。清浄温調部23は、例えば紫外線発光装置
を備え、紫外線照射により空気を清浄化してもよい。清浄温調部23は、例えば放電電極及び対向電極を備え、ストリーマ放電により空気を清浄化してもよい。清浄温調部23は、例えば静電式電気集塵器を備え、電気集塵により空気を清浄化してもよい。
【0029】
室内機21は、外気系の通路と、室内循環空気系の通路とを備え、外気と室内循環空気とを分けて清浄温調する構成であってもよい。この場合、外気系の通路には、フィルター231が設けられていなくてもよい。室内機21を通過した外気及び室内循環空気は、混合されて給気ダクト83を通流し、各吹出口3から吹き出されてもよい。又は、外気系の通路及び室内循環空気系の通路それぞれに対応する給気ダクト83及び吹出口3を設け、外気及び室内循環空気を混合することなく各吹出口3から吹き出す構成であってもよい。
【0030】
天井面11に、複数の吹出口3が設けられている。
図1に示す例では、置換空調システム100は、3つの吹出口3を備える。吹出口3は、給気ダクト83を介して室内機21から搬送された空調空気を室内に向けて吹き出す。吹出口3の数は2以下又は4以上であってもよい。
【0031】
吹出口3は、給気口(不図示)を有する筐体31と、筐体31の下壁に形成された吹出筒32とを備える。吹出筒32は、床面13に向けて開口している。吹出筒32の下端縁は、当該吹出筒32の軸線と直交する平面上に位置している。吹出口3は、吹出筒32の軸線が鉛直方向に沿うように配置される。給気ダクト83を水平方向に通流する空調空気は、給気口から筐体31内へ流れ込み、流路を曲げて吹出筒32から吹き出される。吹出口3は、空調空気を天井面11から床面13に向かう下方向に直線的に吹き出す。詳細には、吹出口3は、空調空気を鉛直方向の下向きに吹き出す。なお、吹出筒32の軸線方向及び吹出口3の吹き出し方向は、厳密に鉛直方向に限定されず、略鉛直方向、床面13と直交方向又は床面13と略直交方向であればよい。また、吹出口3における開口の形状は円形に限らず、例えば楕円形、多角形等であってもよい。
【0032】
吹出口3は、開閉可能な蓋体を備え、吹出筒32の開口状態を制御可能に構成されてもよい。吹出筒32は、例えば、開/閉を切り替え可能であってもよく、又は、開状態における開度を調整可能であってもよい。
【0033】
吹出口3は、天井面11において、室内における人の領域の上方を除く領域に設置されることが好ましい。室内における人の領域とは、室内のレイアウト及び使用態様等に基づき特定される、室内の在室者が比較的長期間滞在するであろう領域であってもよい。吹出口3の配置位置は、例えば壁面12、室内の器具、吸込口4、複数の吹出口3を備える場合における他の吹出口3等の位置を考慮して決定してもよい。
【0034】
天井面11にはまた、複数の吸込口4が設けられている。
図1に示す例では、置換空調システム100は、2つの吸込口4を備える。吸込口4は、汚染物質を含む室内空気を吸い込む。吸込口4の数は1又は3以上であってもよい。
【0035】
なお、吹出口3及び吸込口4は必ずしも天井面11に設けられる必要はなく、室内の上方に設置されるものであればよい。吹出口3及び吸込口4は、例えば、室内に配置された給気ダクト83及び還気ダクト82に設置されてもよい。また、置換空調システム100は、図示しない排出口を備え、吸込口4から吸い込んだ室内空気の一部を室外へ排出するものであってよい。
【0036】
検出装置5は、室内の空気温度を検出するセンサである。検出装置5は、検出部に対応する。検出装置5としては、例えば、温度センサ、超音波センサ、赤外線センサ等を用いることができる。検出装置5は、所定の又は適宜の時間間隔で空気温度を検出し、検出した温度を示すデータを制御装置7に出力する。
【0037】
検出装置5は、室内における第1高さの空気温度を示す第1温度と、第1高さよりも鉛直方向において下方の第2高さの空気温度を示す第2温度とを検出する。
図1に示す例では、検出装置5は、第1高さであって第1温度の検出箇所に配置される第1検出装置51と、第2高さであって第2温度の検出箇所に配置される第2検出装置52とを含む。第1検出装置51は、当該第1検出装置51の設置位置周辺の空気温度を第1温度として検出する。第2検出装置52は、当該第2検出装置52の設置位置周辺の空気温度を第2温度として検出する。
【0038】
詳しくは後述するが、制御装置7は、検出装置5により検出された第1温度及び第2温度に基づいて、第1高さと第2高さとの間における温度成層の境界の有無を判定する。第1高さ及び第2高さは、室内における温度成層の想定境界高さを挟む位置として設定される。温度成層の想定境界高さとは、室内において想定される温度成層の境界面の高さを意味する。第1高さは、温度成層の想定境界高さよりも上方に設定され、第2高さは、想定される温度成層の想定境界高さよりも下方に設定される。第1高さは、室内における人の頭部よりも上方として設定されてもよい。なお、第1高さ及び第2高さのいずれか一方は、想定境界高さと同じ高さとして設定されてもよい。
【0039】
温度成層の想定境界高さ、第1高さ及び第2高さは、想定される人の姿勢又は当該姿勢に応じた人の頭部高さによって異なる。第1高さ及び第2高さは、温度成層の境界の有無の判定に先立ち、例えばユーザにより予め設定される。
【0040】
室内に在室する人の姿勢が椅座位である場合、例えば、温度成層の想定境界高さが1.5mであり、第1高さが床上1.5m~1.9mであり、第2高さが床上1.0m~1.4mである。在室者が椅座位である場合、好ましくは第1高さが床上1.6mであり、第2高さが床上1.2mである。
【0041】
又は、在室者が椅座位である場合、例えば、下限としての温度成層の想定境界高さが1.3mであり、第1高さが床上1.3m~1.5mであり、第2高さが床上0.6m~1.2mである。在室者が椅座位である場合、好ましくは第1高さが床上1.4mであり、第2高さが床上1.0mである。
【0042】
室内に在室する人の姿勢が立位である場合、例えば、温度成層の想定境界高さが1.9mであり、第1高さが床上1.9m~2.2mであり、第2高さが床上1.5m~1.8mである。在室者が立位である場合、好ましくは第1高さが床上2.0mであり、第2高さが床上1.6mである。
【0043】
室内に在室する人の姿勢が臥床位又は床座位である場合、例えば、温度成層の想定境界高さが1.1mであり、第1高さが床上1.1m~1.6mであり、第2高さが床上0.6m~1.0mである。在室者が臥床位又は床座位である場合、好ましくは第1高さが床上1.2mであり、第2高さが床上0.7mである。
【0044】
検出装置5はまた、吹出口3からの空調空気に起因する気流が、吹出口3から床面13に到達するまでに通過する通過領域外の空気温度を検出することが好ましい。具体的には、検出装置5は、室内における居住域のうちの、吹出口3の下端面から床面13に向かう真下空間外の空間の温度を検出することが好ましい。吹出口3の下端面とは、吹出口3の下端の外枠(本実施形態では、吹出筒32の下端縁)で囲まれた面を意味する。吹出口3の下端面から床面13に向かう真下空間とは、吹出口3の下端面から床面13までにおいて、鉛直方向視で下端面と重なる範囲を含む立体的な領域に相当する。これにより、空調空気の通過領域内に発生する温度変化に影響されず、空気温度を好適に検出することができる。
【0045】
検出装置5は、検出箇所の空気温度を検出可能であれば、適宜の位置に設置されてよい。例えば、検出装置5として赤外線センサを用いる場合、第1高さ又は第2高さであって、水平方向において空気温度の検出箇所とは異なる位置(例えば壁面12等)に赤外線センサを設置してもよい。赤外線センサは、当該検出装置5の設置位置とは離れた位置に設定される検出箇所の空気温度を検出する。検出装置5は、複数個設置されるものに限らず、例えば、室内の広範囲を撮像可能な1つの赤外線カメラにより第1温度及び第2温度を検出してもよい。
【0046】
表示装置6は、室内の空気環境、特に温度成層の境界面高さに関する情報をユーザへ報知する。表示装置6は、表示部に対応する。表示装置6は、例えば、液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイ装置、LEDランプ等を備える。表示装置6は出力装置と読み替えて、音声等の他の手段でユーザに報知する手段であってもよい。表示装置6は、後述する制御装置7からの指示に従い、ユーザに対して報知すべき各種の情報を表示する。
【0047】
制御装置7は、コンピュータであり、置換空調システム100の各機器を制御する。制御装置7は、空調機2の動作を制御し、吹出口3からの空調空気の吹出風量及び吹出温度を調整する。
【0048】
図2は、制御装置7の構成例を示すブロック図である。制御装置7は、制御部71、記憶部72、通信部73、及び入出力部74等を備える。
【0049】
制御部71は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を備える。制御部71は、内蔵するROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等のメモリ、クロック、カウンタ等を用い、ROMや記憶部72に格納された各種プログラムを実行し、上述したハードウェア各部の動作を制御する。記憶部72は、ハードディスク、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置を備える。記憶部72は、制御部71が参照する各種のコンピュータプログラム及びデータを記憶する。通信部73は、通信ネットワークを介した通信を実現する通信デバイスを備える。
【0050】
入出力部74は、外部装置を接続するための入出力デバイスを備える。入出力部74には、有線又は無線により、空調機2、吹出口3、検出装置5及び表示装置6等が接続される。制御部71は、入出力部74を介して、空調機2、吹出口3及び表示装置6へ制御信号を出力するとともに、検出装置5から出力される検出値を受け付ける。
【0051】
上述のように構成される置換空調システム100において、建物の外部から導入された新鮮空気である外気、及び吸込口4を介して室内から吸い込まれた汚染物質を含む室内空気は、空調機2に搬送される。空調機2に搬送された外気及び室内空気は、フィルター231により清浄化され、冷却コイル232を用いて所定温度に冷却又は加熱された空調空気として、ファン233により所定風量で送出される。
【0052】
空調機2から送出された空調空気は、吹出口3から室内の鉛直下方に直線的に吹き出される。吹出口3は、天井面11の吹出口3からの空調空気が、吹出口3から鉛直下方への一方向流を形成して床面13に直接到達するよう、空調空気を吹き出す。吹出口3から吹き出された空調空気は、床面13付近に到達する。また、発熱体としての人により加熱された暖かい室内空気は、上昇気流に乗って自然上昇する。室内空気には、汚染物質が含まれている。自然上昇した暖かい室内空気の一部分は、吸込口4に吸い込まれ、空調機2に搬送される。
【0053】
置換空調システム100において、吹出口3の風速を比較的低速にすることで、吹出口3からの空調空気の気流の乱れを抑制しつつ、空調空気に起因する気流の室内空気の巻き込みを低減し、温度成層を良好に形成し得るため、好適である。吹出口3における空調空気の平均風速は、居室1の広さ、形状等を考慮して適宜設定することができる。吹出口3の平均風速は、例えば1.2m/s以下とすることができる。
【0054】
このようにして、室内に温度及び空気成分の成層が形成される。
図1に示すように、室内下部、すなわち居住域を含む清浄域(成層域)は、低温且つ清浄な空気で満たされる。室内上部、すなわち清浄域よりも上側の混合域には、高温且つ汚染物質を含む空気の層が形成される。清浄域と混合域との間の境界面が、成層(温度成層)の境界となる。温度成層の境界は、通常、室内における上昇気流量と、室内に供給された給気量(空調空気量)とが等しくなる高さに出現する。
【0055】
置換空調システム100では、検出装置5により所定の又は適宜の時間間隔で第1温度及び第2温度を検出する。制御装置7は、検出された第1温度及び第2温度に基づいて、室内における温度成層の境界高さに関する判定処理を実行する。制御装置7は、判定結果に応じて、吹出口3における目標吹出風量及び目標吹出温度を調整する。本実施形態において、制御装置7により求められる温度成層の境界高さに関する情報は、第1高さと第2高さとの間における成層の境界の有無及び想定境界高さと室内における成層の境界高さとの上下関係を含む。
【0056】
本実施形態の制御装置7が実行する温度成層の境界高さに関する判定方法について説明する。初めに、温度成層の境界高さと空気温度との関係について説明する。
【0057】
図3は、実施形態の置換空調システム100について、室内の高さと空気温度との関係をシミュレーションした結果を示すグラフである。以下の各シミュレーションは、CFD(Computational Fluid Dynamics:数値流体力学)シミュレーションによる。
図3Aは、室内発熱量が大きい場合における室内の高さと空気温度との関係を示す。
図3Bは、室内発熱量が小さい場合における室内の高さと空気温度との関係を示す。
図3A及び
図3Bに示すグラフの縦軸は室内の高さ(単位はm)であり、横軸は空気温度(単位は℃)である。
図3A及び
図3Bはいずれも、想定される温度成層の境界高さが1.8mである場合の例を示す。
【0058】
図3Aにおいて、吹出風量が適切である場合の空気温度変化を実線で示し、吹出風量が過大である場合の空気温度変化を破線で示す。
図3Aに示されるように、吹出風量が適切である場合及び吹出風量が過大である場合のいずれにおいても、室内高さ1.8mにおける空気温度は約26.0℃である。一方で、
図3Aより、温度成層の境界は、吹出風量が適切である場合、想定される約1.8mに出現するが、吹出風量が過大である場合、約2.6mに出現することが分かる。
【0059】
図3Bにおいて、吹出風量が適切である場合の空気温度変化を実線で示し、吹出風量が過少である場合の空気温度変化を破線で示す。
図3Bに示されるように、吹出風量が適切である場合及び吹出風量が過少である場合のいずれにおいても、室内高さ1.8mにおける空気温度は約26.0℃である。一方で、
図3Bより、温度成層の境界は、吹出風量が適切である場合、想定される約1.8mに出現するが、吹出風量が過少である場合、約1.4mに出現することが分かる。
【0060】
図3A及び
図3Bより、想定される温度成層の境界高さの空気温度が同じであっても、実際の温度成層の境界高さは異なることが分かる。すなわち、予め想定される温度成層の境界高さの空気温度が所定値となった場合であっても、温度成層の境界が想定される高さ位置となっていない可能性がある。従って、単に、予め想定される温度成層の境界高さの空気温度を計測し、例えば得られた計測値の高低に基づいて空調空気の吹出風量を調整するといったような制御を実行することは、必ずしも実際の温度成層の状態を考慮するものではない。置換空調方式においては、室内における発熱量や発熱体の位置に応じて温度成層の状態が変化することから、室内の空気環境を適切に調整するためには、実際の温度成層の境界の状態を把握することが重要である。
【0061】
本実施形態では、鉛直方向2箇所における空気温度を検出することで、2箇所の間における温度成層の境界の有無を判定する。すなわち、鉛直方向2箇所の空気温度に基づいて、予め設定される温度成層の境界高さの想定値(想定境界高さ)付近に、実際の温度成層の境界があるか否かを判定する。さらに、境界の有無の判定結果に応じて吹出口3における吹き出し能力を調整することで、効果的な置換空調を実現する。
【0062】
図4は、制御装置7による判定処理を説明するフローチャートである。制御装置7は、判定処理の実行に際し、温度成層の想定境界高さを予め記憶部72に記憶している。制御装置7は、例えば、空調機2の運転時において所定の又は適宜の時間間隔で以下の処理を繰り返し実行する。
【0063】
制御装置7の制御部71は、検出装置5により検出された、第1高さの空気温度を示す第1温度と、第2高さの空気温度を示す第2温度とを取得する(ステップS11)。
【0064】
制御部71は、取得した第1温度と第2温度との比較に基づいて、第1高さと第2高さとの間における温度成層の境界の有無を判定する(ステップS12)。制御部71は、例えば、第1温度と第2温度との差分が予め設定される温度閾値以上であるか否かを判定することにより、温度成層の境界の有無を判定する。第1温度と第2温度との差分が予め設定される閾値未満である場合、第1高さと第2高さとの間に温度成層の境界が無いと判定することができる。第1温度と第2温度との差分が予め設定される閾値以上である場合、第1高さと第2高さとの間に温度成層の境界が有ると判定することができる。
【0065】
第1高さと第2高さとの間に温度成層の境界が無いと判定した場合(ステップS12:NO)、制御部71は、予め設定された想定境界高さと、現在の温度成層の境界高さとの上下関係を判定する(ステップS13)。ステップS13では、制御部71は、第1高さと第2高さとの間に温度成層の境界が無いとする判定結果と、吹出口3における吹出風量とに基づいて、上下関係を判定する。
【0066】
具体的には、制御部71は、直近の所定時間内における吹出風量の時系列データに基づいて、吹出風量の変化が増加傾向又は減少傾向のいずれであるかを判定する。第1高さと第2高さとの間に温度成層の境界が無く、且つ吹出風量が増加傾向にある場合、制御部71は、現在の温度成層の境界が、予め設定された想定境界高さよりも上にあると判定する。第1高さと第2高さとの間に温度成層の境界が無く、且つ吹出風量が減少傾向にある場合、制御部71は、現在の温度成層の境界が、予め設定された想定境界高さよりも下にあると判定する。
【0067】
室内における数が変動し得る発熱体(例えば人、電子機器等)の数に変動が無く、数が変動せず熱さが変動し得る発熱体(例えば窓等)からの侵入熱量が増大することによって室内の発熱量が増大した場合を想定する。この場合、室内における発熱面積は変化しないので、上昇気流の風量が若干量しか増大しない。室内への吹出風量を増加させると、空調空気の供給量が上昇気流の風量に対して過大になるので、温度成層の境界が想定高さ以上になると考えられる。従って、室内に供給される空調空気の吹出風量の変化が増加傾向にある場合には、現在の温度成層の境界が想定境界高さよりも上にあると判定することができる。室内に供給される空調空気の吹出風量の変化が減少傾向にある場合には、現在の温度成層の境界が想定境界高さよりも下にあると判定することができる。空調空気の吹出風量の変化は、例えば直近の所定時間内の吹出風量を解析することで特定することができる。吹出風量とは、吹出口3から吹き出される空調空気の量を意味する。
【0068】
ステップS13において、吹出風量が一定である場合には、制御部71は、現在の吹出風量が予め設定される風量閾値以上であるか否かを判定してもよい。第1高さと第2高さとの間に温度成層の境界が無く、且つ一定の吹出風量が風量閾値以上である場合、制御部71は、現在の温度成層の境界が、予め設定された想定境界高さよりも上にあると判定する。第1高さと第2高さとの間に温度成層の境界が無く、且つ一定の吹出風量が風量閾値未満である場合、制御部71は、現在の温度成層の境界が、予め設定された想定境界高さよりも下にあると判定する。
【0069】
制御部71は、境界有無及び上下関係の判定結果に基づいて、温度成層の境界高さに関する警告情報を生成し、生成した警告情報を表示装置6により表示させる(ステップS14)。警告情報は、例えば、現在の温度成層の境界高さが想定境界高さから外れていることを通知する情報を含む。制御部71は、上下関係の判定結果と、出力すべき警告情報との対応情報を予め記憶部72に記憶していてもよい。例えば、現在の温度成層の境界が想定境界高さよりも下にあると判定された場合、所定時間に亘る入室制限を警告情報として出力してもよい。なお制御部71は、表示装置6以外に警告情報を出力してもよい。制御部71は、例えば居室1の管理者に警告情報を送信してもよい。制御部71は、処理をステップS16に進める。
【0070】
第1高さと第2高さとの間に温度成層の境界が有ると判定した場合(ステップS12:YES)、制御部71は、温度成層の境界高さを示す情報を表示装置6により表示させる(ステップS15)。制御部71は、例えば、現在の温度成層高さとして、第1高さと第2高さとの間に設定される想定境界高さを表示装置6に表示させてもよい。ステップS15では、制御部71は、温度成層の境界高さの有無を示す情報を表示させてもよい。制御部71は、例えば、表示装置6のLEDランプの点灯等により、想定境界高さ付近に温度成層の境界が有ることを報知してもよい。制御部71は、処理をステップS16に進める。
【0071】
制御部71は、境界有無の判定結果又は境界有無及び上下関係の判定結果に基づいて、吹出口3における目標吹出温度及び目標吹出風量を調整する(ステップS16)。第1高さと第2高さとの間に温度成層の境界が有る場合、制御部71は、例えば、目標吹出温度及び目標吹出風量を変更することなく維持する。第1高さと第2高さとの間に温度成層の境界が無い場合、制御部71は、例えば、現在の温度成層の境界高さの上下に応じて、目標吹出風量の大小を調整する。現在の温度成層の境界高さが想定境界高さよりも上にある場合、空調空気の供給量が過剰であると考えられるため、目標吹出風量を小さくすることで余分なエネルギーの消費を抑制することができる。現在の温度成層の境界高さが想定境界高さよりも下にある場合、空調空気の供給量が不足していると考えられるため、目標吹出風量を大きくすることで居住域の清浄度を向上することができる。制御部71は、現在の温度成層の境界高さの上下に応じて、目標吹出温度の高低を調整してもよい。
【0072】
制御部71は、吹出口3からの空調空気の吹出温度及び吹出風量が、導出した目標吹出温度及び目標吹出風量となるよう、空調機2の動作を制御するための制御信号を空調機2へ送信する(ステップS17)。
【0073】
吹出風量は、例えば、ファン233の周波数を可変させることにより調整する。周波数の増減に応じて、吹出風量の大小を調整することができる。吹出温度は、例えば、冷水を供給(循環)させる冷水ポンプの送水能力、すなわちポンプの押しのけ量を可変させることにより調整する。これにより、冷水ポンプによって供給される単位時間あたりの水量(質量流量)を可変することができ、当該水量の増減に応じて、吹出温度の高低を調整することができる。又は、吹出温度は、冷水の冷熱源となるチラー装置等において、当該冷水を冷却するための熱交換器の蒸発温度の高低を調整することにより、被空調空間に供給する冷水の温度(水温)の高低を調整するものであってもよい。冷水の温度の高低に応じて、吹出温度の高低を調整することができる。
【0074】
制御装置7は、吹出口3からの空調空気の吹出風量が、導出した目標吹出風量となるよう、吹出口3の開閉を制御するための制御信号を吹出口3へ送信してもよい。制御装置7は、例えば、吹出口3における吹出風量が導出した目標吹出風量となるよう、吹出口3の開度を制御する制御信号を吹出口3に送信する。
【0075】
制御装置7は、室内の温度の目標値に応じて導出された必要総吹出風量としての目標吹出風量と、各吹出口3における吹出風量と基づいて、空調空気を吹き出す吹出口3の数を決定してもよい。制御装置7は、各吹出口3における吹出風量が所定値以下となるよう、吹出口3の数を決定してもよい。制御装置7は、例えば、決定した吹出口3の数と、吹出口3の配置位置とに基づいて、空調空気を吹き出す吹出口3を選択する。制御装置7は、選択した吹出口3のみを開状態とするよう、制御信号を各吹出口3に送信する。制御部71は、一連の処理を終了する。
【0076】
本置換空調システム及び情報処理方法は、吹出口を床下や壁面下部等の室内の下方に設置し、室内の下部に空調空気を直接供給する置換換気空調にも適応可能である。
【0077】
本実施形態に係る置換空調システム100等によれば、室内の上方から床面に空調空気を直達供給する置換換気空調を実現することができる。室内の上方に吹出口3を設置する構成とすることで、床下に吹出口3を設置する場合に比べて、建築依存性が低く、設置が容易となる。
【0078】
検出装置5により検出される温度成層の想定境界高さの上下位置それぞれの空気温度を解析することで、想定境界高さ付近における実際の温度成層の境界有無を容易且つ精度よく判定し得る。判定結果に応じて吹出口3の吹き出し能力を調整することで、実際の温度成層の形成状況に即した空調が可能となる。
【0079】
想定境界高さ付近における境界有無に加えて、想定境界高さと現在の境界高さとの上下関係を判定することで、境界高さの上がり下がりの状態を特定することができ、室内の空気環境をより正確に把握することができる。特定された境界高さの上がり下がりの状態に応じて、吹出口の吹き出し能力を適正に制御し、温度成層の境界高さを所望の高さに制御することができるため、置換空調システム100の清浄度の向上及び省エネルギー化を図ることができる。
【0080】
各種判定結果に応じて警告情報を提示することで、ユーザが早期に警告情報を認識することができ、利便性が向上される。温度成層の境界高さを表示装置6に表示することで、室内の在室者が一見して温度成層の状態を把握することができ、利便性が向上される。
【0081】
想定される居室1の使用態様に応じて想定境界高さ、第1高さ及び第2高さを適宜設定することで、居室1の使用態様に即して温度成層の境界高さを制御することができる。想定境界高さを下限値付近に設定することで、境界面の低下を検知することができる。
【0082】
(変形例)
図5は、置換空調システム100の他の構成を示す概要図である。置換空調システム100は、吹出口3の上部に室内機21が設置される。
図5に示す例では、複数の吹出口3それぞれに対応するよう、複数の室内機21が設けられている。室内機21は、例えば吹出口3と一体化され、天井面11に配置されてもよい。室内機21は、水配管9を介して不図示の室外機に接続されている。置換空調システム100は、外気ダクト81、還気ダクト82、及び給気ダクト83を備えていなくてもよい。
図5では、説明の簡易のため制御装置7は図示しないが、各室内機21は、有線又は無線により制御装置7に接続されている。
【0083】
室内機21の下側に、吸込口4が形成されている。室内機21の上側には、給気口24が設けられている。室内機21は、吸込口4から吸い込んだ室内循環空気としての室内空気と、給気口24から導入された外気とを吸入する。室内機21の内部構成は第1実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略するが、室内機21は、清浄温調部23により清浄温調した空調空気を、下方の吹出口3に直接的に送り込む。なお、吸込口4は、室内機21に設けられるものに限らず、天井面に設けられていてもよい。室内機21には、給気口24を介して室内循環空気及び外気が流入される。室内機21は、還気ダクト82を介して室内循環空気を吸入してもよい。
【0084】
上記構成によれば、給気ダクト83を初めとする各種ダクトが不要となるため、置換空調システム100の構成を簡素化し、設置が容易となる。
【0085】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1高さ及び第2高さを可変させる構成を説明する。以下の実施形態では主に第1実施形態との相違点を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0086】
図6は、第2実施形態の置換空調システム100の概要図である。第2実施形態の置換空調システム100は、検出装置5として、室内の壁面12において異なる高さに設置される第1検出装置51及び第2検出装置52を備える。第1検出装置51は、第2検出装置52よりも上方に設けられる。第1検出装置51及び第2検出装置52は、例えば赤外線センサである。
【0087】
第1検出装置51及び第2検出装置52はいずれも、角度調整可能な状態で壁面12に固定されることにより、空気温度の検出高さ及び検出位置を変更することができる。
【0088】
第2実施形態の置換空調システム100では、温度成層の想定境界高さを複数用意し、各想定境界高さに応じた第1高さ及び第2高さを予め設定する。検出装置5は、各想定境界高さに対応する第1高さ及び第2高さの空気温度を検出可能に構成される。例えば、第1検出装置51は、検出方向を切り替えることにより、第1想定境界高さに対応する第1高さの第1検出箇所、及び第2想定境界高さに対応する第1高さの第2検出箇所に係る空気温度を検出することができる。第2検出装置52は、検出方向を切り替えることにより、第1想定境界高さに対応する第2高さの第3検出箇所、及び第2想定境界高さに対応する第2高さの第4検出箇所に係る空気温度を検出することができる。
【0089】
第1検出装置51及び第2検出装置52はそれぞれ、3つ以上の想定境界高さに対応する高さ位置での空気温度を検出してもよい。検出装置5の構成は上述の例に限らず、複数の第1高さ及び第2高さにおける空気温度を検出可能であればよい。
【0090】
制御装置7の記憶部72には、想定境界高さと、第1高さ及び第2高さとを対応付けた不図示のテーブルが記憶されている。
【0091】
図7は、第2実施形態の制御装置7による判定処理を説明するフローチャートである。
【0092】
制御装置7の制御部71は、温度成層の想定境界高さを取得する(ステップS21)。制御部71は、例えば、外部装置から送信される想定境界高さの指定を受信することにより、想定境界高さを取得してもよい。制御部71は、不図示の人検知センサからの出力により在室者の姿勢を認識し、予め記憶する人の姿勢と想定境界高さとの対応関係に基づいて、認識した姿勢に応じた想定境界高さを取得してもよい。
【0093】
制御部71は、記憶部72のテーブルに記憶する情報に基づいて、取得した想定境界高さに対応する第1高さ及び第2高さを取得し、取得した第1高さ及び第2高さを検出装置5に出力する(ステップS22)。検出装置5は、制御装置7から受け付けた第1高さ及び第2高さに従い、例えば検出方向を切り替えることにより、想定境界高さに応じた第1高さの空気温度を示す第1温度と、想定境界高さに応じた第2高さの空気温度を示す第2温度とを検出する。
【0094】
以降、制御部71は、
図4に示したフローチャートの処理を実行することにより、取得した想定境界高さ付近における温度成層の境界有無の判定処理を行う。
【0095】
本実施形態によれば、複数の想定境界高さについて、現在の温度成層の状態の適否を判定することができる。室内の多様な使用環境に置換空調システム100を適用させることができ、置換空調システム100の活用度が高まる。
【0096】
(第3実施形態)
第3実施形態では、空気成分の成層の状態の把握に適した情報を検出する構成を説明する。
【0097】
第3実施形態の検出装置5は、室内の空気成分を検出するセンサである。検出装置5としては、例えば空気成分センサを用いることができる。空気成分センサは、例えば二酸化炭素センサ、においセンサ、エアパーティクルセンサ、バイオセンサ等を含む。検出装置5は上述の2種以上のセンサを備えてもよい。検出装置5により検出される空気成分としては、例えば二酸化炭素、臭気物質、飛沫核、ウイルス、又はそれらの組み合わせ等が挙げられる。
【0098】
検出装置5は、室内における第1高さの空気成分の濃度を示す第1濃度と、第2高さの空気成分の濃度を示す第2濃度とを検出する。
【0099】
なお置換空調システム100は、検出装置5により温度及び空気成分の両方を検出することにより、温度及び空気成分の成層をそれぞれ検出するよう構成してもよい。
【0100】
吹出口3を天井に設けた天井吹出型の置換空調システム100においては、吹出口3から吹き出された空調空気は、室内上方の高温且つ汚染物質を含む空気を巻き込みながら、室内下部に供給される。このため、室内における温度勾配が小さくなり、鉛直方向における温度分布よりも空気成分の濃度分布を用いるほうが、成層高さを好適に検出できる場合がある。第3実施形態の制御装置7は、検出装置5により検出された第1濃度と第2濃度とを比較することにより、室内における空気成分の成層の境界高さに関する情報を取得する。
【0101】
第1実施形態の第1温度及び第2温度を第1濃度及び第2濃度と読み替えて、第1実施形態と同様の処理を実行することにより、制御装置7は、第1濃度と第2濃度とに基づく空気成分の成層の境界高さの判定(第1高さと前記第2高さとの間における空気成分の成層の境界の有無の判定)を行う。制御装置7はまた、得られた空気成分の成層の境界高さの判定結果に応じて、各種制御処理や出力処理を実行する。
【0102】
本実施形態によれば、空気成分を考慮して想定境界高さ付近における実際の成層の境界有無を容易且つ精度よく判定し得る。温度勾配が小さい場合であっても、空気成分の濃度勾配に基づいて、成層の境界高さを判定することができる。検出装置により室内の温度及び空気成分の両方を考慮することで、成層の境界高さの判定精度を向上することができる。
【0103】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第3高さにおける温度又は空気成分をさらに検出する構成を説明する。
【0104】
図8は、第4実施形態の置換空調システム100の概要図である。第4実施形態の置換空調システム100は、検出装置5として、第1検出装置51及び第2検出装置52に加えて、第3検出装置53をさらに備える。第1検出装置51は、想定境界高さよりも上方に設定される第1高さの空気温度を示す第1温度を検出する。第2検出装置52は、想定境界高さよりも下方に設定される第2高さの空気温度を示す第2温度を検出する。第3検出装置53は、第1高さよりも上方に設定される第3高さの空気温度を示す第3温度を検出する。
【0105】
なお、第3高さにおける第3温度は、排出経路(還気経路)内における温度であってもよい。本システムにおいて、吸込口4、天井裏空間及び還気ダクト82は、室内空気の排出経路を構成する。排出経路には断熱材が設けられていてもよい。室内空気は、吸込口4から吸い込まれ、排出経路を流通して清浄温調部23に送られる。排出経路内において、室内空気の温度及び空気成分の状態はほとんど変化しないと想定される。従って、第3高さを、室内の上方であって、第1高さよりも上方に配置される吸込口4の高さであるものとした場合、第3高さにおける温度及び空気成分の濃度と、排出経路内における温度及び空気成分の濃度とは、ほぼ同じ値となる。このため、排出経路内における適宜の位置に第3検出装置53を配置し、第3検出装置53により排出経路内における温度又は空気成分の濃度を検出することで、吸込口4の高さに対応する第3高さの温度又は空気成分の濃度を取得してもよい。排出経路内に配置される第3検出装置53は、第1高さよりも下方に設けられてもよい。
【0106】
制御装置7は、取得した第1温度、第2温度及び第3温度を比較することにより、室内における温度成層の境界の高さを判定する。
図9は、第4実施形態の制御装置7による判定処理を説明するフローチャートである。
【0107】
制御装置7の制御部71は、検出装置5により検出された、第1高さの空気温度を示す第1温度と、第2高さの空気温度を示す第2温度と、第3高さの空気温度を示す第3温度とを取得する(ステップS31)。
【0108】
制御部71は、取得した第1温度、第2温度及び第3温度に基づいて、第1高さと第2高さとの間、及び第3高さと第1高さとの間における温度成層の境界の有無を判定する(ステップS32)。ステップS32では、制御部71は、第1温度と第2温度との比較に基づいて、第1高さと第2高さとの間における温度成層の境界の有無を判定するとともに、第3温度と第1温度との比較に基づいて、第3高さと第1高さとの間における温度成層の境界の有無を判定する。2つの高さ位置の間における温度成層の境界有無の判定は、第1実施形態と同様に、2つの高さ位置における温度の差分(差分の絶対値)が予め設定される閾値未満であるか否かを判定することにより行われる。
【0109】
制御部71は、各判定結果に基づいて、室内における温度成層の境界の高さを特定し、予め設定された想定境界高さと、現在の温度成層の境界高さとの相対的な位置関係を判定する(ステップS33)。相対的な位置関係は、成層の境界高さに関する情報に対応する。
【0110】
第1高さと第2高さとの間に温度成層の境界が有ると判定した場合、制御部71は、温度成層の境界の高さが、第1高さと第2高さとの間であり、現在の温度成層の境界高さが想定境界高さ付近にあると判定する。第3高さと第1高さとの間に温度成層の境界が有ると判定した場合、制御部71は、温度成層の境界の高さが、第3高さと第1高さとの間であり、現在の温度成層の境界高さが想定境界高さよりも上にあると判定する。第3高さを室内における十分に高い位置に設定した場合、第3高さよりも上方に温度成層の境界が存在する可能性は低いと考えられる。従って、第1高さと第2高さとの間及び第3高さと第1高さとの間の両方に温度成層の境界が無いと判定した場合、制御部71は、現在の温度成層の境界の高さが、第2高さよりも下方であり、現在の温度成層の境界の高さが想定境界高さよりも下にあると判定してもよい。例えば、通常想定される設定温度及び設定風量で置換空調システム100を使用した場合に形成され得る最も高い温度成層に対応する境界高さよりも上方に第3高さを設定することにより、第3高さよりも上方に温度成層の境界が存在する可能性を低くすることができる。
【0111】
以降、制御部71は、
図4に示したステップS15~ステップS17と同様の処理を実行することにより、温度成層の境界高さの特定結果に基づいて、特定した境界高さの表示及び境界高さに応じた温度又は風量の調整を実行する。制御部71は、必要に応じて警告情報を表示させてもよい。
【0112】
上述の処理において、制御部71は、第1高さと第2高さとの間に温度成層の境界が無いと判定した場合にのみ、第3高さと第1高さとの間における温度成層の境界の有無の判定を実行してもよい。第1高さと第2高さとの間に温度成層の境界が無く、且つ第3高さと第1高さとの間に温度成層の境界が有る場合、現在の温度成層の境界高さは想定境界高さよりも上方にあると判定することができる。第1高さと第2高さとの間に温度成層の境界が無く、且つ第3高さと第1高さとの間に温度成層の境界が無い場合、現在の温度成層の境界高さは想定境界高さよりも下方にあると判定することができる。
【0113】
なお温度成層の境界の高さの特定は、第1高さと第2高さとの温度差、及び第3高さと第1高さとの温度差の比較に基づいて行われるものに限らない。温度成層の境界の高さの特定は、第1高さ、第2高さ及び第3高さのうちの異なる2つの高さ位置の組み合わせにおける温度差に基づいて行われるものであればよい。例えば、第1高さと第2高さとの温度差、及び第3高さと第2高さとの温度差に基づいて行われてもよく、第1高さと第3高さとの温度差、及び第3高さと第2高さとの温度差に基づいて行われてもよい。
【0114】
上記では、検出装置5が温度センサである場合の例を説明したが、検出装置5による検出値は空気成分の濃度であってもよい。
【0115】
本実施形態によれば、室内における3つの異なる高さの温度又は空気成分を検出することにより、より効率的に現在の温度成層の状態を判定することができる。
【0116】
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、上述の各実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
各実施形態に示すシーケンスは限定されるものではなく、矛盾の無い範囲で、各処理手順はその順序を変更して実行されてもよく、また並行して複数の処理が実行されてもよい。各処理の処理主体は限定されるものではなく、矛盾の無い範囲で、各装置の処理を他の装置が実行してもよい。
【0117】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0118】
100 置換空調システム
1 居室
11 天井面
12 壁面
13 床面
2 空調機
21 室内機
22 ケーシング
23 清浄温調部
231 フィルター
232 冷却コイル
233 ファン
3 吹出口
31 筐体
32 吹出筒
33 下端面
4 吸込口
5 検出装置
6 表示装置
7 制御装置
71 制御部