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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/46 20180101AFI20241009BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20241009BHJP
   F24F 11/84 20180101ALI20241009BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F5/00 101Z
F24F11/84
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024119460
(22)【出願日】2024-07-25
【審査請求日】2024-07-25
(31)【優先権主張番号】P 2023170861
(32)【優先日】2023-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】原田 真輔
(72)【発明者】
【氏名】久米 貴大
【審査官】葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/193686(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/053924(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/104827(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D3/00-3/02
F24D3/08,3/18
F24F5/00
F24F11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱媒体(RF2)の温度を調節し、前記第1熱媒体(RF2)と第2熱媒体(RF1)との間で熱交換することにより、前記第2熱媒体(RF1)の温度を目標温度に調整する温度調整部(10)と、
前記温度調整部(10)から前記第2熱媒体(RF1)が供給され、空間を冷却又は加熱する複数の熱機器(21、22、23、121、122、221、222)と、
前記複数の熱機器(21、22、23、121、122、221、222)のそれぞれに接続され、対象空間の室内温度が設定温度になるように、接続された前記熱機器(21、22、23、121、122、221、222)に流れる前記第2熱媒体(RF1)の流量を制御する複数の流量調節器(31、32、33、131、132、231、232)と、
前記複数の流量調節器(31、32、33、131、132、231、232)における前記第2熱媒体(RF1)の流量に対応する負荷率を監視し、前記複数の流量調節器(31、32、33、131、132、231、232)のうち少なくとも一つの流量調節器(31、32、33、131、132、231、232)における前記負荷率が目標負荷率以上となるように前記目標温度を制御する制御部(40、140、240)と、
を備える空調システム(1、2、3)。
【請求項2】
前記複数の流量調節器(31、32、33)のそれぞれに接続され、接続された前記流量調節器(31、32、33)を制御する温調器(51、52、53)を複数備え、
前記複数の熱機器(21、22、23)のそれぞれは、異なる前記対象空間を冷却又は加熱する、
請求項1に記載の空調システム(1)。
【請求項3】
前記複数の流量調節器(33、131、132、231、232)のそれぞれに接続され、接続された前記流量調節器(33、131、132、231、232)を制御する温調器(53、151、152、251、252)を複数備え、
前記複数の熱機器(23、121、122、221、222)の少なくとも2つの前記熱機器(121、122、221、222)は、同じ前記対象空間を冷却又は加熱する、
請求項1に記載の空調システム(2、3)。
【請求項4】
前記複数の熱機器(221、222)のそれぞれに接続された少なくとも2つの前記流量調節器(231、232)を制御する温調器(251)を備える、
請求項1に記載の空調システム(3)。
【請求項5】
前記制御部(40、140、240)は、前記負荷率が目標負荷率に到達する前記流量調節器(31、32、33、131、132、231、232)が無い場合に、冷房運転では前記目標温度を上げ、暖房運転では前記目標温度を下げるように制御する、
請求項1に記載の空調システム(1、2、3)。
【請求項6】
前記制御部(40、140、240)は、前記負荷率が目標負荷率に到達する前記流量調節器(31、32、33、131、132、231、232)があり且つ前記対象空間の室内温度が前記設定温度に到達しない場合に、冷房運転では前記目標温度を下げ、暖房運転では前記目標温度を上げるように制御する、
請求項1に記載の空調システム(1、2、3)。
【請求項7】
前記制御部(40)は、前記負荷率が目標負荷率以上となる前記流量調節器(31、32、33)が接続する前記熱機器が冷却又は加熱する第1対象空間の室内温度が前記設定温度に到達しない場合、前記第1対象空間に隣接する第2対象空間における前記熱機器に接続する前記流量調節器(31、32、33)の前記負荷率を上昇させるように制御する、
請求項1に記載の空調システム(1)。
【請求項8】
前記制御部(40)は、前記第2対象空間における前記熱機器に接続する前記流量調節器(31、32、33)の前記負荷率を上昇させるように制御した後に前記第1対象空間の室内温度が前記設定温度に到達しない場合は、冷房運転では前記目標温度を下げ、暖房運転では前記目標温度を上げるように制御する、
請求項7に記載の空調システム(1)。
【請求項9】
前記制御部(40、140、240)は、前記負荷率が目標負荷率以上となる前記流量調節器(31、32、33、131、132、231、232)が接続する前記熱機器が冷却又は加熱する第1対象空間の室内温度が前記設定温度に到達せずに、前記第1対象空間の室内温度の変化率が第1変化率以下である場合、前記目標温度を制御する、
請求項1に記載の空調システム(1、2、3)。
【請求項10】
前記複数の熱機器における第1熱機器及び第2熱機器のそれぞれは、同じ前記対象空間である第3対象空間を冷却又は加熱し、
前記制御部(240)は、前記第1熱機器に接続する前記流量調節器(231、232)の前記負荷率が目標負荷率以上であり、前記第2熱機器に接続する前記流量調節器(231、232)の前記負荷率が目標負荷率未満であって、前記第3対象空間の室内温度が前記設定温度に到達しない場合、前記第2熱機器に接続する前記流量調節器(231、232)の前記負荷率を上昇させるように制御する、
請求項1に記載の空調システム(3)。
【請求項11】
前記制御部(40、140、240)は、暖房運転の状況で、前記対象空間における前記設定温度が高い温度値に変更されたとき、冷房運転の状況で、前記対象空間における前記設定温度が低い温度値に変更されたとき、又は、停止されていた前記熱機器が運転を開始したとき、前記対象空間の温度と前記設定温度との温度差に基づいて、前記温度調整部(10)における前記目標温度の調整幅を決定する、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の空調システム(1、2、3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヒートポンプユニットと、ヒートポンプユニットに接続され且つ温調水の温度を調整する暖房ユニットと、暖房ユニットから温調水が供給される床暖房パネルとを備えた暖房装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-172933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1における温調水が供給される床暖房パネルに例示されるように、単一の熱源から熱媒体を複数の熱機器に供給して、空間を冷却又は加熱する空調システムにおいて、複数の熱機器が設定温度になるように制御することが検討されているが、熱媒体の供給温度を制御し、運転効率を向上させる技術については検討されていない。
【0005】
本開示は、熱機器に熱媒体を効率的に供給することで、運転効率を向上させる空調システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の空調システムは、
第1熱媒体の温度を調節し、前記第1熱媒体と第2熱媒体との間で熱交換することにより、前記第2熱媒体の温度を目標温度に調整する温度調整部と、
前記温度調整部から前記第2熱媒体が供給され、空間を冷却又は加熱する複数の熱機器と、
前記複数の熱機器のそれぞれに接続され、対象空間の室内温度が設定温度になるように、接続された前記熱機器に流れる前記第2熱媒体の流量を制御する複数の流量調節器と、
前記複数の流量調節器における前記第2熱媒体の流量に対応する負荷率を監視し、前記複数の流量調節器のうち少なくとも一つの流量調節器における前記負荷率が目標負荷率以上となるように前記目標温度を制御する制御部と、
を備える空調システムである。
【0007】
第1観点の空調システムによれば、熱機器に熱媒体を効率的に供給することで、運転効率を向上できる。
【0008】
第2観点の空調システムは、第1観点の空調システムにおいて、前記複数の流量調節器のそれぞれに接続され、接続された前記流量調節器を制御する温調器を複数備え、前記複数の熱機器のそれぞれは、異なる前記対象空間を冷却又は加熱してもよい。
【0009】
第3観点の空調システムは、第1観点の空調システムにおいて、前記複数の流量調節器のそれぞれに接続され、接続された前記流量調節器を制御する温調器を複数備え、前記複数の熱機器の少なくとも2つの前記熱機器は、同じ前記対象空間を冷却又は加熱してもよい。
【0010】
第4観点の空調システムは、第1観点の空調システムにおいて、前記複数の熱機器のそれぞれに接続された少なくとも2つの前記流量調節器を制御する温調器を備えてもよい。
【0011】
第5観点の空調システムは、第1観点から第4観点の空調システムにおいて、前記制御部は、前記負荷率が目標負荷率に到達する前記流量調節器が無い場合に、冷房運転では前記目標温度を上げ、暖房運転では前記目標温度を下げるように制御してもよい。
【0012】
第6観点の空調システムは、第1観点から第5観点の空調システムにおいて、前記制御部は、前記負荷率が目標負荷率に到達する前記流量調節器があり且つ前記対象空間の室内温度が前記設定温度に到達しない場合に、冷房運転では前記目標温度を下げ、暖房運転では前記目標温度を上げるように制御してもよい。
【0013】
第7観点の空調システムは、第1観点から第6観点の空調システムにおいて、前記制御部は、前記負荷率が目標負荷率以上となる前記流量調節器が接続する前記熱機器が冷却又は加熱する第1対象空間の室内温度が前記設定温度に到達しない場合、前記第1対象空間に隣接する第2対象空間における前記熱機器に接続する前記流量調節器の前記負荷率を上昇させるように制御してもよい。
【0014】
第8観点の空調システムは、第7観点の空調システムにおいて、前記制御部は、前記第2対象空間における前記熱機器に接続する前記流量調節器の前記負荷率を上昇させるように制御した後に前記第1対象空間の室内温度が前記設定温度に到達しない場合は、冷房運転では前記目標温度を下げ、暖房運転では前記目標温度を上げるように制御してもよい。
【0015】
第9観点の空調システムは、第1観点の空調システムにおいて、前記制御部は、前記負荷率が目標負荷率以上となる前記流量調節器が接続する前記熱機器が冷却又は加熱する第1対象空間の室内温度が前記設定温度に到達せずに、前記第1対象空間の室内温度の変化率が第1変化率以下である場合、前記目標温度を制御してもよい。
【0016】
第10観点の空調システムは、第1観点の空調システムにおいて、前記複数の熱機器における第1熱機器及び第2熱機器のそれぞれは、同じ前記対象空間である第3対象空間を冷却又は加熱し、前記制御部は、前記第1熱機器に接続する前記流量調節器の前記負荷率が目標負荷率以上であり、前記第2熱機器に接続する前記流量調節器の前記負荷率が目標負荷率未満であって、前記第3対象空間の室内温度が前記設定温度に到達しない場合、前記第2熱機器に接続する前記流量調節器の前記負荷率を上昇させるように制御してもよい。
【0017】
第11観点の空調システムは、第1観点から第10観点の空調システムにおいて、前記制御部は、暖房運転の状況で、前記対象空間における前記設定温度が高い温度値に変更されたとき、冷房運転の状況で、前記対象空間における前記設定温度が低い温度値に変更されたとき、又は、停止されていた前記熱機器が運転を開始したとき、前記対象空間の温度と前記設定温度との温度差に基づいて、前記温度調整部における前記目標温度の調整幅を決定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本実施形態に係る空調システムにおける構成の概要を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る空調システムにおける処理を説明するフロー図である。
図3図3は、本実施形態に係る空調システムの第1変形例における構成の概要を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係る空調システムの第2変形例における構成の概要を示す図である。
図5図5は、本実施形態に係る空調システムの第3変形例における処理を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0020】
本実施形態に係る空調システムについて説明する。本実施形態に係る空調システムは、第1熱媒体の温度を調節し、第1熱媒体と第2熱媒体との間で熱交換することにより、第2熱媒体の温度を目標温度に調整する温度調整部を備える。また、本実施形態に係る空調システムは、温度調整部から第2熱媒体が供給され、空間を冷却又は加熱する複数の熱機器を備える。さらに、本実施形態に係る空調システムは、複数の熱機器のそれぞれに接続され、対象空間の室内温度が設定温度になるように、接続された熱機器に流れる第2熱媒体の流量を制御する複数の流量調節器を備える。また、本実施形態に係る空調システムは、複数の流量調節器における第2熱媒体の流量に対応する負荷率を監視し、複数の流量調節器のうち少なくとも一つの流量調節器における負荷率が目標負荷率以上となるように目標温度を制御する制御部を備える。本実施形態に係る空調システムにおける制御部が、複数の流量調節器のうち少なくとも一つの流量調節器における負荷率が目標負荷率以上となるように、目標温度を制御することによって、それぞれの流量調節部の負荷率を加算した合計負荷率を高くできる。
【0021】
また、本実施形態に係る空調システムは、複数の流量調節器のそれぞれに接続され、接続された流量調節器を制御する温調器を複数備える。そして、本実施形態に係る空調システムは、複数の熱機器のそれぞれは、異なる前記対象空間を冷却又は加熱する。
【0022】
また、別の観点から本実施形態に係る空調システムを説明すると、本実施形態に係る空調システムは、熱媒体の温度を目標温度に調整する温度調整部を備える。また、本実施形態に係る空調システムは、温度調整部から熱媒体が供給され、空間を冷却又は加熱する複数の熱機器を備える。さらに、本実施形態に係る空調システムは、複数の熱機器のそれぞれに接続され、対象空間の室内温度が設定温度になるように、接続された熱機器に流れる熱媒体の流量を制御する複数のバルブを備える。さらにまた、本実施形態に係る空調システムは、複数のバルブにおける熱媒体の流量に対応する負荷率を監視し、前記複数のバルブのうち少なくとも一つのバルブにおける前記負荷率が目標負荷率以上となるように、目標温度を制御する制御部を備える。本実施形態に係る空調システムにおける制御部が、複数のバルブのうち少なくとも一つのバルブにおける負荷率が目標負荷率以上となるように、目標温度を制御することによって、それぞれのバルブの負荷率を加算した合計負荷率を高くできる。
【0023】
また、本実施形態に係る空調システムは、複数のバルブのそれぞれに接続され、接続されたバルブを制御する温調器を複数備える。そして、本実施形態に係る空調システムにおける複数の熱機器のそれぞれは、異なる対象空間を冷却又は加熱する。
【0024】
図1は、本実施形態に係る空調システムの一例である空調システム1における構成の概要を示す図である。空調システム1は、建物Hにおける空間RM1、空間RM2及び空間RM3のそれぞれの温度を調節する空調システムである。
【0025】
建物Hは、例えば、ビル、一般家屋である。また、空間RM1、空間RM2及び空間RM3のそれぞれは、例えば、部屋である。なお、本実施形態に係る空調システムにおいて、冷却又は空調を行う空間は、例えば、居間、台所、便所、廊下、会議室、ホールなどである。
【0026】
空調システム1は、温度調整部10と、熱機器21、熱機器22及び熱機器23と、バルブ31、バルブ32及びバルブ33と、制御部40と、温調器51、温調器52及び温調器53と、を備える。また、バルブ31、バルブ32、バルブ33は、それぞれ温調器51、温調器52、温調器53により制御される。そして、熱機器21、熱機器22及び熱機器23のそれぞれは、建物Hにおいて異なる空間を冷却又は加熱する。空調システム1が備える要素について詳細を説明する。空調システム1は、熱媒体RF2と熱交換した熱媒体RF1により各空間を冷却又は加熱する。言い換えると、空調システム1は、間膨方式の空調システムである。
【0027】
[温度調整部10]
温度調整部10は、熱媒体RF1の温度を目標温度Thwに調節して供給する。温度調整部10は、室外機11と、熱交換器12と、ポンプ13と、を備える。
【0028】
(室外機11)
室外機11は、所定の温度に調整された熱媒体RF2を熱交換器12に供給する。室外機11は、圧縮機と、膨張弁と、熱交換器と、を備える。室外機11は、建物Hの外に設けられる。室外機11は、建物Hの外の空気と熱交換することにより、熱媒体RF2を冷却又は加熱する。
【0029】
熱媒体RF2は、例えば、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)又はハイドロフルオロカーボン(HFC)等に代表される代替フロン等の冷媒である。
【0030】
室外機11は、高温の熱媒体RF2を熱交換器12に供給する場合、すなわち、暖房運転の場合、圧縮機においてガス状態の熱媒体RF2を圧縮して熱交換器12に供給する。そして、室外機11は、熱交換器12において熱交換を行って液状態になった熱媒体RF2を回収する。室外機11は、液状態の熱媒体RF2を膨張弁により減圧して、熱交換器により外気と熱交換して、ガス状態の熱媒体RF2にして、再度圧縮機で圧縮する。
【0031】
室外機11は、低温の熱媒体RF2を熱交換器12に供給する場合、すなわち、冷房運転の場合、圧縮機においてガス状態の熱媒体RF2を圧縮して、室外機11における熱交換器に供給する。そして、室外機11は、室外機11における熱交換器において熱交換して液状態の熱媒体RF2を膨張弁で減圧して、熱交換器12に供給する。室外機11は、熱交換器12において熱交換を行ってガス状態になった熱媒体RF2を回収する。室外機11は、ガス状態の熱媒体RF2を再度圧縮機で圧縮する。
【0032】
室外機11は、制御部40によって制御される。室外機11は、例えば、制御部40によって、熱媒体RF2の目標温度、流量等が設定される。
【0033】
(熱交換器12)
熱交換器12は、熱媒体RF1と熱媒体RF2との間で熱交換を行う。熱媒体RF2は、例えば、水である。なお、熱媒体RF1は、水に限らず、例えば、不凍液等を含む液体であってもよい。熱媒体RF1は、空気等の気体であってもよい。熱交換器12は、例えば、プレート式、スパイラル式又は二重管式の熱交換器である。
【0034】
室外機11から熱交換器12に供給された高温の熱媒体RF2は、熱媒体RF1により冷却されて室外機11に戻る。高温の熱媒体RF2と熱交換した熱媒体RF1は、加熱されて、熱交換器12から排出される。
【0035】
室外機11から熱交換器12に供給された低温の熱媒体RF2は、熱媒体RF1により加熱されて室外機11に戻る。低温の熱媒体RF2と熱交換した熱媒体RF1は、冷却されて、熱交換器12から排出される。
【0036】
(ポンプ13)
ポンプ13は、熱媒体RF1を、熱機器21、熱機器22及び熱機器23のそれぞれに送る。ポンプ13は、例えば、軸流式ポンプである。
【0037】
ポンプ13は、制御部40によって制御される。ポンプ13は、例えば、制御部40によって、流量等が制御される。
【0038】
熱交換器12、ポンプ13、制御部40は室外機11の内部に備えられる場合もある。
【0039】
[熱機器21、熱機器22及び熱機器23]
熱機器21、熱機器22及び熱機器23のそれぞれは、設置された空間を冷却又は加熱する。熱機器21、熱機器22及び熱機器23のそれぞれは、温度調整部10から熱媒体RF1が供給される。熱機器21、熱機器22及び熱機器23のそれぞれは、供給された熱媒体RF1により、設置された空間を冷却又は加熱する。熱機器21、熱機器22及び熱機器23のそれぞれは、例えば、ラジエータ、ファンコンベクタ、床暖房パネル等である。
【0040】
熱機器21は、空間RM1に設けられる。熱機器21は、空間RM1を冷却又は加熱する。熱機器21における熱媒体RF1は、熱機器21と温度調整部10との間に設けられるバルブ31によって流量を調整される。バルブ31によって、熱媒体RF1の流量が減ると、熱機器21の冷却能力又は加熱能力は低下する。また、バルブ31によって、熱媒体RF1の流量が増えると、熱機器21の冷却能力又は加熱能力は向上する。
【0041】
熱機器22は、空間RM2に設けられる。熱機器22は、空間RM2を冷却又は加熱する。熱機器22における熱媒体RF1は、熱機器22と温度調整部10との間に設けられるバルブ32によって流量を調整される。バルブ32によって、熱媒体RF1の流量が減ると、熱機器22の冷却能力又は加熱能力は低下する。また、バルブ32によって、熱媒体RF1の流量が増えると、熱機器22の冷却能力又は加熱能力は向上する。
【0042】
熱機器23は、空間RM3に設けられる。熱機器23は、空間RM3を冷却又は加熱する。熱機器23における熱媒体RF1は、熱機器23と温度調整部10との間に設けられるバルブ33によって流量を調整される。バルブ33によって、熱媒体RF1の流量が減ると、熱機器23の冷却能力又は加熱能力は低下する。また、バルブ33によって、熱媒体RF1の流量が増えると、熱機器23の冷却能力又は加熱能力は向上する。
【0043】
[バルブ31、バルブ32及びバルブ33]
バルブ31、バルブ32及びバルブ33のそれぞれは、接続される熱機器に流れる熱媒体RF1の流量を調節する。バルブ31、バルブ32及びバルブ33のそれぞれは、例えば、制御バルブである。
【0044】
なお、バルブ31、バルブ32及びバルブ33のそれぞれは、接続される熱機器に流れる熱媒体RF1の流量を制御する流量調節器の一例である。例えば、熱媒体RF1が空気等の気体である場合、熱媒体RF1の流量を制御する流量調節器は、ダンパでもよい。
【0045】
[温調器51、温調器52及び温調器53]
温調器51、温調器52及び温調器53のそれぞれは、対象空間の室内温度が設定温度になるようにバルブを制御する。また、温調器51、温調器52及び温調器53のそれぞれは、制御部40にデータを送信する。温調器51、温調器52及び温調器53のそれぞれから制御部40へのデータ送信は、例えば、有線により送信してもよいし、無線により送信してもよい。
【0046】
温調器51は、空間RM1の室内温度Trm1を測定する。そして、温調器51は、測定した空間RM1の室内温度Trm1が設定温度Ttg1となるように、バルブ31を制御する。例えば、温調器51は、空間RM1の室内温度Trm1が設定温度Ttg1となるように、バルブ31の開度を制御する。また、温調器51は、空間RM1の室内温度Trm1が設定温度Ttg1を含む範囲になるように、バルブ31を開閉するように制御してもよい。さらに、温調器51は、バルブ31の負荷率Pv1を取得する。負荷率Pv1は、例えば、バルブ31の開度又は単位時間当たりにバルブ31が開いている時間の割合である。そして、温調器51は、取得したバルブ31の負荷率Pv1を制御部40に送信する。
【0047】
温調器52は、空間RM2の室内温度Trm2を測定する。そして、温調器52は、測定した空間RM2の室内温度Trm2が設定温度Ttg2となるように、バルブ32を制御する。例えば、温調器52は、空間RM2の室内温度Trm2が設定温度Ttg2となるように、バルブ32の開度を制御する。また、温調器52は、空間RM2の室内温度Trm2が設定温度Ttg2を含む範囲になるように、バルブ32を開閉するように制御してもよい。さらに、温調器52は、バルブ32の負荷率Pv2を取得する。負荷率Pv2は、例えば、バルブ32の開度又は単位時間当たりにバルブ32が開いている時間の割合である。そして、温調器52は、取得したバルブ32の負荷率Pv2を制御部40に送信する。
【0048】
温調器53は、空間RM3の室内温度Trm3を測定する。そして、温調器53は、測定した空間RM3の室内温度Trm3が設定温度Ttg3となるように、バルブ33を制御する。例えば、温調器53は、空間RM3の室内温度Trm3が設定温度Ttg3となるように、バルブ33の開度を制御する。また、温調器53は、空間RM3の室内温度Trm3が設定温度Ttg3を含む範囲になるように、バルブ33を開閉するように制御してもよい。さらに、温調器53は、バルブ33の負荷率Pv3を取得する。負荷率Pv3は、例えば、バルブ33の開度又は単位時間当たりにバルブ33が開いている時間の割合である。そして、温調器53は、取得したバルブ33の負荷率Pv3を制御部40に送信する。
【0049】
バルブ31は、熱機器21に流れる熱媒体RF1の流量を調整する。バルブ31は、温調器51により制御される。バルブ31は、例えば、温調器51により開度制御又はオンオフ制御される。バルブ31は温調器51から、弁開度情報あるいはオンオフ信号を受信し、動作する。
【0050】
バルブ32は、熱機器22に流れる熱媒体RF1の流量を調整する。バルブ32は、温調器52により制御される。バルブ32は、例えば、温調器52により開度制御又はオンオフ制御される。バルブ32は温調器52から、弁開度情報あるいはオンオフ信号を受信し、動作する。
【0051】
バルブ33は、熱機器23に流れる熱媒体RF1の流量を調整する。バルブ33は、温調器53により制御される。バルブ33は、例えば、温調器53により開度制御又はオンオフ制御される。バルブ33は温調器53から、弁開度情報あるいはオンオフ信号を受信し、動作する。
【0052】
[制御部40]
制御部40は、空調システム1を制御する。具体的には、制御部40は、温度調整部10から目標温度Thwに調整された熱媒体RF1が設定した量供給されるように制御する。具体的には、制御部40は、室外機11の出力及びポンプ13の流量を設定する。また、制御部40は、負荷率Pv1、負荷率Pv2及び負荷率Pv3に基づいて目標温度Thwを好適な値に設定する。制御部40は、負荷率Pv1、負荷率Pv2及び負荷率Pv3の少なくともいずれか1つが目標負荷率Ptg以上となるように目標温度Thwを制御する。
【0053】
制御部40は、温調器51、温調器52及び温調器53のそれぞれから、バルブ31、バルブ32及びバルブ33のそれぞれの負荷率を収集する。温調器51、温調器52及び温調器53のそれぞれから、バルブ31、バルブ32及びバルブ33のそれぞれの負荷率を収集することにより、制御部40は、バルブ31、バルブ32及びバルブ33のそれぞれの負荷率を監視する。具体的には、制御部40は、温調器51からバルブ31の負荷率Pv1を取得する。また、制御部40は、温調器52からバルブ32の負荷率Pv2を取得する。さらに、制御部40は、温調器53からバルブ33の負荷率Pv3を取得する。
【0054】
なお、上記の例では、バルブ31、バルブ32及びバルブ33のすべてについて負荷率を監視しているが、一部のバルブの負荷率を監視するようにしてもよい。例えば、本実施形態に係る空調システムの制御部は、複数の流量調節器の一部における負荷率を監視するようにしてもよい。本実施形態に係る空調システムの制御部は、監視する流量調節器を、例えば、設定により定めてもよい。
【0055】
制御部40は、取得した負荷率Pv1、負荷率Pv2及び負荷率Pv3の少なくとも一つが目標負荷率Ptg以上になるように、目標温度Thwを制御する。
【0056】
<本実施形態に係る空調システムにおける処理>
本実施形態に係る空調システムにおける処理について、本実施形態に係る空調システムの一例である空調システム1を用いて詳細を説明する。図2は、本実施形態に係る空調システムの一例である空調システム1における処理を説明するフロー図である。
【0057】
空調システム1における制御部40は、複数のバルブのうち少なくとも一つのバルブにおける負荷率が目標負荷率以上となるように、温度調整部10における目標温度Thwを制御する。具体的には、制御部40は、負荷率が目標負荷率に到達するバルブが無い場合に、温度調整部10における出力を下げる。具体的には、制御部40は、冷房運転では目標温度Thwを上げ、暖房運転では目標温度Twhを下げるように制御する。
【0058】
また、複数のバルブのうち少なくとも一つのバルブにおける負荷率が目標負荷率以上で、且つ、負荷率が目標負荷率以上のバルブが接続する熱機器が設けられる対象空間において目標温度に達しない場合、制御部40は、温度調整部10における出力を上げる。具体的には、制御部40は、冷房運転では目標温度Thwを下げ、暖房運転では目標温度Twhを上げるように制御する。
【0059】
(ステップS10)
処理を開始すると、空調システム1における制御部40は、温調器51、温調器52及び温調器53のそれぞれから、バルブ31、バルブ32及びバルブ33のそれぞれにおける負荷率を取得する。具体的には、制御部40は、温調器51からバルブ31の負荷率Pv1を取得する。また、制御部40は、温調器52からバルブ32の負荷率Pv2を取得する。さらに、制御部40は、温調器53からバルブ33の負荷率Pv3を取得する。
【0060】
(ステップS20)
次に、制御部40は、取得した負荷率Pv1、負荷率Pv2及び負荷率Pv3の少なくとも一つが目標負荷率Ptg以上を継続しているか判定する。言い換えると、制御部40は、負荷率が目標負荷率Ptg以上で継続するバルブが1つ以上あるか判定する。なお、図2において、目標負荷率は、100%である例について説明する。負荷率Pv1、負荷率Pv2及び負荷率Pv3の少なくとも一つが目標負荷率Ptg以上である場合(ステップS20のYES)、制御部40はステップS30に処理を進める。負荷率Pv1、負荷率Pv2及び負荷率Pv3の少なくとも一つが目標負荷率Ptg以上でない場合(ステップS20のNO)、制御部40はステップS40に処理を進める。フロー中では目標負荷率Ptgは100%としているが、システムの制約等で100%とならない場合も有り得る。目標負荷率Ptgは、100%に限らず適宜設定されてもよい。例えば、目標負荷率Ptgは、80%以上100%以下の範囲で適宜定めてもよい。また、負荷率Pv1、負荷率Pv2及び負荷率Pv3のそれぞれについて、所定時間の平均値等を用いてもよい。
【0061】
(ステップS30)
次に、制御部40は、負荷率が目標負荷率以上で継続するバルブが冷却又は加熱する対象空間における室温が、目標温度に到達しているかを判定する。負荷率が目標負荷率以上で継続するバルブが冷却又は加熱する対象空間における室温が目標温度に到達している場合(ステップS30のYES)、制御部40は、ステップS80に処理を進める。負荷率が目標負荷率以上で継続するバルブが冷却又は加熱する対象空間における室温が目標温度に到達していない場合(ステップS30のNO)、制御部40はステップS50に処理を進める。
【0062】
(ステップS40)
制御部40は、温度調整部10の出力を下げる。具体的には、暖房運転の場合、温度調整部10の出力を下げるために、制御部40は、温度調整部10の目標温度Thwを下げる。冷房運転の場合、温度調整部10の出力を下げるために、制御部40は、温度調整部10の目標温度Thwを上げる。制御部40は、温度調整部10の出力を上げたら、ステップS80に処理を進める。
【0063】
(ステップS50)
制御部40は、負荷率が目標負荷率以上で継続するバルブが冷却又は加熱する対象空間(第1対象空間)に隣接する対象空間(隣接空間)(第2対象空間)において、バルブの負荷率を上げる余地があるか判定する。対象空間(第1対象空間)に隣接する対象空間(隣接空間)(第2対象空間)において、バルブの負荷率を上げる余地がある場合(ステップS50のYES)、制御部40はステップS60に処理を進める。対象空間(第1対象空間)に隣接する対象空間(隣接空間)(第2対象空間)において、バルブの負荷率を上げる余地がない場合(ステップS50のNO)、制御部40はステップS70に処理を進める。
【0064】
(ステップS60)
対象空間(第1対象空間)に隣接する対象空間(隣接空間)(第2対象空間)において、バルブの負荷率を上げる余地がある場合(ステップS50のYES)、制御部40は、対象空間(第1対象空間)に隣接する対象空間(隣接空間)(第2対象空間)を冷却又は加熱する熱機器に接続するバルブの負荷率を上げる。そして、制御部40は、ステップS80に処理を進める。
【0065】
(ステップS70)
対象空間(第1対象空間)に隣接する対象空間(隣接空間)(第2対象空間)において、バルブの負荷率を上げる余地がない場合(ステップS50のNO)、制御部40は、温度調整部10の出力を上げる。具体的には、暖房運転の場合、温度調整部10の出力を上げるために、制御部40は、温度調整部10の目標温度Thwを上げる。冷房運転の場合、温度調整部10の出力を上げるために、制御部40は、温度調整部10の目標温度Thwを下げる。制御部40は、温度調整部10の出力を上げたら、ステップS80に処理を進める。
【0066】
(ステップS80)
制御部40は、処理を終了するかどうか判定する。処理を終了する場合(ステップS80のYES)、制御部40は処理を終了する。処理を終了しない場合、言い換えると、処理を継続する場合(ステップS80のNO)、制御部40はステップS10に戻って処理を繰り返す。
【0067】
上述のように、ステップS20の処理により熱機器における負荷率の少なくとも一つが目標負荷率以上になるように、温度調整部10における目標温度Thwを設定することにより、温度調整部10から供給される熱媒体RF1の温度を好適化できる。温度調整部10から供給される熱媒体RF1の温度を好適化することにより、温度調整部10における出力を好適化できる。
【0068】
なお、ステップS20において、負荷率Pv1、負荷率Pv2及び負荷率Pv3の少なくとも一つが目標負荷率Ptg以上で運転しても、空間RM1、空間RM2及び空間RM3のいずれかにおける第1対象空間において、第1対象空間の室内温度が設定温度に到達しない場合が考えられる。第1対象空間において、第1対象空間の室内温度が設定温度に到達しない場合、制御部40は、第1対象空間に隣接する第2対象空間における熱機器に接続するバルブの負荷率を上昇させるように制御して第1対象空間の室内温度が設定温度に到達させてもよい。また、第1対象空間に隣接する第2対象空間における熱機器に接続するバルブの負荷率を上昇させるように制御しても、第1対象空間に隣接する第2対象空間における熱機器に接続するバルブの負荷率を上昇させるように制御した後に、第1対象空間の室内温度が設定温度に到達しない場合、温度調整部10の出力を上げてもよい。
【0069】
また、暖房運転の状況で、空間RM1、空間RM2及び空間RM3のいずれかにおける設定温度が高い温度値に変更されたとき、制御部40は、温度調整部10における熱媒体RF1の目標温度Thwに対する調整幅を大きくしてもよい。また、冷房運転の状況で、空間RM1、空間RM2及び空間RM3のいずれかにおける設定温度が低い温度値に変更されたとき、制御部40は、温度調整部10における熱媒体RF1の目標温度Thwに対する調整幅を大きくしてもよい。更に、停止されていた熱機器が運転を開始したとき、制御部40は、温度調整部10における熱媒体RF1の目標温度Thwに対する調整幅を大きくしてもよい。
【0070】
さらに、暖房運転の状況で、空間RM1、空間RM2及び空間RM3のいずれかにおける設定温度が高い温度値に変更されたとき、制御部40は、温度調整部10における熱媒体RF1の目標温度Thwを所定値上げてもよい。また、暖房運転の状況で、停止されていた熱機器が運転を開始したとき、制御部40は、温度調整部10における熱媒体RF1の目標温度Thwを所定値上げてもよい。
【0071】
また、冷房運転の状況で、対象空間における設定温度が低い温度値に変更されたとき、制御部40は、温度調整部10における熱媒体RF1の目標温度Thwを所定値下げてもよい。また、冷房運転の状況で、停止されていた熱機器が運転を開始したとき、制御部40は、温度調整部10における熱媒体RF1の目標温度Thwを所定値下げてもよい。なお、当該所定値は、熱機器が暖める空間における熱負荷及び放熱特性に基づいて定めてもよい。
【0072】
言い換えると、制御部40は、暖房運転の状況で、対象空間RMにおける設定温度が高い温度値に変更されたとき、冷房運転の状況で、対象空間RMにおける設定温度が低い温度値に変更されたとき、又は、停止されていた熱機器が運転を開始したとき、対象空間RMの温度と設定温度との温度差に基づいて、温度調整部10における目標温度Thwの調整幅を決定してもよい。
【0073】
本実施形態に係る空調システムによれば、熱機器における負荷率に基づいて、温度調整部から供給される熱媒体の温度を好適化できることから、熱機器へ熱媒体を効率的に供給できる。
【0074】
なお、本実施形態に係る空調システムの一例である空調システム1において、空間RM1、空間RM2及び空間RM3の3つの対象空間を空調する例を示したが、本実施形態に係る空調システムが空調する対象空間の数は、3に限らない。例えば、本実施形態に係る空調システムが空調する対象空間の数は、2であってもよいし、4以上であってもよい。本実施形態に係る空調システムにおける熱機器、バルブ、温調器の数についても同様である。
【0075】
なお、熱媒体RF2が第1熱冷媒の一例、熱媒体RF1が第2熱媒体の一例、である。
【0076】
<本実施形態に係る空調システムにおける第1変形例>
本実施形態に係る空調システムの一例である空調システム1において、複数の熱機器のそれぞれは、異なる対象空間を冷却又は加熱する例について説明したが、複数の熱機器の少なくとも2つの熱機器は、同じ対象空間を冷却又は加熱するようにしてもよい。
【0077】
図3は、本実施形態に係る空調システムの第1変形例の一例である空調システム2における構成の概要を示す図である。ここでは、空調システム2において、空調システム1と異なる構成を中心に説明し、共通する事項については空調システム1の説明を参照することとして、ここでは説明を省略する。
【0078】
空調システム2は、建物H1における空間RM11を熱機器121及び熱機器122により冷却又は加熱する。熱機器121及び熱機器122のそれぞれは同じ空間RM11に設けられる。熱機器121及び熱機器122のそれぞれは同じ空間RM11を冷却又は加熱する。
【0079】
熱機器121を流れる熱媒体RF1は、温調器151により制御されるバルブ131により流量を制御される。熱機器122を流れる熱媒体RF1は、温調器152により制御されるバルブ132により流量を制御される。
【0080】
温調器151は、空間RM11の室内温度Trm11を測定する。そして、温調器151は、測定した空間RM11の室内温度Trm11が設定温度Ttg11となるように、バルブ131を制御する。温調器152は、空間RM11の室内温度Trm12を測定する。そして、温調器152は、測定した空間RM11の室内温度Trm12が設定温度Ttg12となるように、バルブ132を制御する。
【0081】
なお、設定温度Ttg12は、設定温度Ttg11と同じ値でもよいし、異なる値でもよい。
【0082】
制御部140は、温調器151、温調器152、温調器53から、それぞれバルブ131の負荷率Pv11、バルブ132の負荷率Pv12、バルブ33の負荷率Pv3を取得する。そして、制御部140は、負荷率Pv11、負荷率Pv12及び負荷率Pv3に基づいて目標温度Thwを好適な値に設定する。
【0083】
本実施形態に係る空調システムの第1変形例は、複数の熱機器の少なくとも2つの熱機器が同じ対象空間を冷却又は加熱することにより、より広い対象空間を空調できる。また、本実施形態に係る空調システムの第1変形例は、対象空間において温度分布を形成できる。更に、本実施形態に係る空調システムの第1変形例は、温度分布がある対象空間において、好適な出力で対象空間を空調できる。
【0084】
<本実施形態に係る空調システムにおける第2変形例>
本実施形態に係る空調システムの第1変形例の一例である空調システム2において、熱機器は、複数のバルブのそれぞれに個別に接続していたが、熱機器は、複数のバルブの少なくとも2つを制御してもよい。
【0085】
図4は、本実施形態に係る空調システムの第2変形例の一例である空調システム3における構成の概要を示す図である。ここでは、空調システム3において、空調システム1又は空調システム2と異なる構成を中心に説明し、共通する事項については空調システム1又は空調システム2の説明を参照することとして、ここでは説明を省略する。
【0086】
空調システム3は、建物H1における空間RM11を熱機器221及び熱機器222により冷却又は加熱する。熱機器221及び熱機器222のそれぞれは同じ空間RM11に設けられる。熱機器221及び熱機器222のそれぞれは同じ空間RM11を冷却又は加熱する。
【0087】
熱機器221を流れる熱媒体RF1は、温調器251により制御されるバルブ231により流量を制御される。熱機器222を流れる熱媒体RF1は、温調器251により制御されるバルブ232により流量を制御される。
【0088】
温調器251は、空間RM11の室内温度Trm21を測定する。そして、温調器251は、測定した空間RM11の室内温度Trm21が設定温度Ttg21となるように、バルブ231及びバルブ232のそれぞれを制御する。
【0089】
制御部240は、温調器251、温調器53から、それぞれバルブ231の負荷率Pv21及びバルブ232の負荷率Pv22、バルブ33の負荷率Pv3を取得する。そして、制御部240は、負荷率Pv21、負荷率Pv22及び負荷率Pv3に基づいて目標温度Thwを好適な値に設定する。
【0090】
本実施形態に係る空調システムの第2変形例は、温調器が複数のバルブの少なくとも2つを制御することにより、システムを簡略化できる。
【0091】
なお、図2に示す空調システム1における処理におけるステップS50において、隣接空間のバルブについて処理を行っていたが、第1変形例又は第2変形例に示すように、同じ対象空間を冷却又は加熱する熱機器において、同様の処理を行ってもよい。
【0092】
例えば、第1変形例を例に説明する。同じ対象空間RM11(第3対象空間)を冷却又は加熱する熱機器121及び熱機器122について、例えば、熱機器121に接続するバルブ131の負荷率が目標負荷率以上であり、熱機器122に接続するバルブ132の負荷率が目標負荷率未満であるとする。制御部140は、対象空間RM11(第3対象空間)の室内温度が設定温度に到達しない場合、熱機器122に接続するバルブ132の負荷率を上昇させるように制御してもよい。なお、上記の例では、熱機器121が第1熱機器の一例、熱機器122が第2熱機器の一例である。なお、熱機器121と熱機器122が逆の場合であってもよい。
【0093】
例えば、第2変形例を例に説明する。同じ対象空間RM11(第3対象空間)を冷却又は加熱する熱機器221及び熱機器222について、例えば、熱機器221に接続するバルブ231の負荷率が目標負荷率以上であり、熱機器222に接続するバルブ232の負荷率が目標負荷率未満であるとする。制御部240は、対象空間RM11(第3対象空間)の室内温度が設定温度に到達しない場合、熱機器222に接続するバルブ232の負荷率を上昇させるように制御してもよい。なお、上記の例では、熱機器221が第1熱機器の一例、熱機器222が第2熱機器の一例である。なお、熱機器221と熱機器222が逆の場合であってもよい。
【0094】
<本実施形態に係る空調システムにおける第3変形例>
本実施形態に係る空調システムにおける第3変形例の処理について、本実施形態に係る空調システムの一例である空調システム1を用いて詳細を説明する。図5は、本実施形態に係る空調システムの第3変形例における処理を説明するフロー図である。
【0095】
第3変形例における処理は、図2に示す空調システム1における処理におけるステップS50の処理に換えて、ステップS150を含む。なお、ステップ150以外のステップについては、前述の説明を参照することとして、ここでは説明を省略する。
【0096】
(ステップS150)
制御部40は、対象空間RMにおける室内温度の変化率(時間変化率)が、第1変化率以下かどうかを判定する。対象空間RMにおける室内温度の変化率(時間変化率)が、第1変化率以下である場合(ステップS150のYES)、制御部40は、ステップS70に進んで、温度調整部10の出力を上げる。対象空間RMにおける室内温度の変化率(時間変化率)が、第1変化率より高い場合(ステップS150のNO)、制御部40は、ステップS80に進んで、処理を繰り返す。
【0097】
対象空間RMにおける室内温度の変化率(時間変化率)が第1変化率以下である場合、例えば、温度が安定していると考えられる。例えば、対象空間RMの温度は、対象空間RMに設けられた熱機器から供給される熱量の他に、隣接する空間の熱機器や同じ対象空間RMにおける別の熱機器から供給される熱量によっても変化する。したがって、対象空間RMにおける室内温度の変化率(時間変化率)が第1変化率以下になってから、温度調整部10の出力を上げることにより、隣接する空間の熱機器や同じ対象空間RMにおける別の熱機器から供給される熱量も有効に活用できる。
【0098】
なお、以上に開示された実施形態は、例えば、以下の態様を含む。
【0099】
[付記1]
熱媒体の温度を目標温度に調整する温度調整部と、
前記温度調整部から前記熱媒体が供給され、空間を冷却又は加熱する複数の熱機器と、
前記複数の熱機器のそれぞれに接続され、対象空間の室内温度が設定温度になるように、接続された前記熱機器に流れる前記熱媒体の流量を制御する複数のバルブと、
前記複数のバルブにおける前記熱媒体の流量に対応する負荷率を監視し、前記複数のバルブのうち少なくとも一つのバルブにおける前記負荷率が目標負荷率以上となるように前記目標温度を制御する制御部と、
を備える空調システム。
【0100】
[付記2]
前記複数のバルブのそれぞれに接続され、接続された前記バルブを制御する温調器を複数備え、
前記複数の熱機器のそれぞれは、異なる前記対象空間を冷却又は加熱する、
付記1に記載の空調システム。
【0101】
[付記3]
前記複数のバルブのそれぞれに接続され、接続された前記バルブを制御する温調器を複数備え、
前記複数の熱機器の少なくとも2つの前記熱機器は、同じ前記対象空間を冷却又は加熱する、
付記1に記載の空調システム。
【0102】
[付記4]
前記複数のバルブの少なくとも2つを制御する温調器を備える、
付記1に記載の空調システム。
【0103】
[付記5]
前記制御部は、前記負荷率が目標負荷率に到達するバルブが無い場合に、冷房運転では前記目標温度を上げ、暖房運転では前記目標温度を下げるように制御する、
付記1に記載の空調システム。
【0104】
[付記6]
前記制御部は、前記負荷率が目標負荷率に到達するバルブがあり且つ前記対象空間の室内温度が前記設定温度に到達しない場合に、冷房運転では前記目標温度を下げ、暖房運転では前記目標温度を上げるように制御する、
付記1に記載の空調システム。
【0105】
[付記7]
前記制御部は、前記負荷率が目標負荷率以上となる前記バルブが接続する前記熱機器が冷却又は加熱する第1対象空間の室内温度が前記設定温度に到達しない場合、前記第1対象空間に隣接する第2対象空間における前記熱機器に接続する前記バルブの負荷率を上昇させるように制御する、
付記1に記載の空調システム。
【0106】
[付記8]
前記制御部は、前記バルブの負荷率が上昇させるように制御した後に第1対象空間の室内温度が前記設定温度に到達しない場合は、冷房運転では前記目標温度を下げ、暖房運転では前記目標温度を上げるように制御する、
付記7に記載の空調システム。
【0107】
[付記9]
前記制御部は、暖房運転の状況で、前記対象空間における前記設定温度が高い温度値に変更されたとき、冷房運転の状況で、前記対象空間における前記設定温度が低い温度値に変更されたとき、又は、停止されていた前記熱機器が運転を開始したとき、前記温度調整部における前記目標温度の調整幅を大きくする、
付記1に記載の空調システム。
【0108】
[付記10]
前記制御部は、
暖房運転の状況で、前記対象空間における前記設定温度が高い温度値に変更されたとき、又は、停止されていた前記熱機器が運転を開始したとき、前記目標温度を所定値上げ、
冷房運転の状況で、前記対象空間における前記設定温度が低い温度値に変更されたとき、又は、停止されていた前記熱機器が運転を開始したとき、前記目標温度を所定値下げる、
付記1に記載の空調システム。
【0109】
[付記11]
前記所定値は、前記熱機器が冷却又は加熱する空間における熱負荷及び放熱特性に基づいて定める、
付記10に記載の空調システム。
【0110】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が可能である。
【符号の説明】
【0111】
1、2、3 空調システム
10 温度調整部
11 室外機
12 熱交換器
13 ポンプ
21、22、23、121、122、221、222 熱機器
31、32、33、131、132、231、232 バルブ
40、140、240 制御部
51、52、53、151、152、251 温調器
Pv1、Pv2、Pv3、Pv11、Pv12、Pv21、Pv22 負荷率
RF1、RF2 熱媒体
RM1、RM2、RM3、RM11 空間
Thw 目標温度
Trm1、Trm2、Trm3、Trm11、Trm12、Trm21 室内温度
Ttg1、Ttg2、Ttg3、Ttg11、Ttg12、Ttg21 設定温度
【要約】
【課題】本開示は、熱機器への熱媒体を効率的に供給することで、運転効率を向上させる空調システムを提供する。
【解決手段】第1熱媒体の温度を調節し、前記第1熱媒体と第2熱媒体との間で熱交換することにより、前記第2熱媒体の温度を目標温度に調整する温度調整部と、前記温度調整部から前記第2熱媒体が供給され、空間を冷却又は加熱する複数の熱機器と、前記複数の熱機器のそれぞれに接続され、対象空間の室内温度が設定温度になるように、接続された前記熱機器に流れる前記第2熱媒体の流量を制御する複数の流量調節器と、前記複数の流量調節器における前記第2熱媒体の流量に対応する負荷率を監視し、前記複数の流量調節器のうち少なくとも一つの流量調節器における前記負荷率が目標負荷率以上となるように前記目標温度を制御する制御部と、を備える空調システム。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5