(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】降車支援装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241009BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20241009BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08B21/00 N
G08B23/00 530A
G08B23/00 520B
(21)【出願番号】P 2021212742
(22)【出願日】2021-12-27
【審査請求日】2023-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 紀之
(72)【発明者】
【氏名】石田 正穂
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-127595(JP,A)
【文献】特開2014-085869(JP,A)
【文献】特開2021-128545(JP,A)
【文献】特開2008-158578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0251599(US,A1)
【文献】中国実用新案第211166672(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G08B 19/00 - 31/00
B60R 16/00 - 16/08
B60R 21/00 - 21/017
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周囲の情報を取得する周囲情報取得装置と、前記自車両の乗員に警報を報知する報知装置と、ドア
が開扉
している状況を検出する開扉検出装置と、前記報知装置を制御する制御装置と、を含み、前記制御装置は、前記開扉検出装置によりドアが開扉している
状況が検出されている状況において、前記周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて前記乗員が降車することが危険であると判定したときには、前記報知装置による警報の報知を開始し、前記周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて前記乗員が降車することが危険ではなくなったと判定したときには、前記報知装置による警報の報知を終了するよう構成された、降車支援装置において、
前記制御装置は、ドアが最後に開扉された後
でドアが開扉している状況における前記報知装置による警報の報知回数が基準回数以上であるときには、乗員に与える警報の煩わしさが低減されるように前記報知装置による警報を変更するよう構成され
、
更に、前記制御装置は、前記開扉検出装置によりドアが閉扉したことが検出されたときには、前記報知装置による警報の報知を終了すると共に前記警報の報知回数を0にリセットするよう構成された、降車支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の降車支援装置において、前記制御装置は、前記開扉検出装置によりドアが開扉している
状況が検出されている状況において、前記周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて開扉しているドアと同一の側に後方から接近する他車両又は停止する他車両が検出されたときに、前記報知装置による警報の報知を開始し、前記周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて前記他車両が前記自車両の側方よりも前方へ移動したことが検出されたときに、前記報知装置による警報の報知を終了するよう構成された、降車支援装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の降車支援装置において、前記制御装置は、乗員に対する警報の訴求度を低減することにより乗員に与える警報の煩わしさが低減されるように前記報知装置による警報を変更するよう構成された、降車支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の降車支援装置において、前記報知装置による警報は複数種類の警報を含み、前記制御装置は、警報の数を低減することにより乗員に対する警報の訴求度を低減するよう構成された、降車支援装置。
【請求項5】
請求項4に記載の降車支援装置において、前記複数種類の警報は、音声発話の聴覚警報を含み、前記制御装置は、前記音声発話の聴覚警報を除外することにより乗員に対する警報の訴求度を低減するよう構成された、降車支援装置。
【請求項6】
請求項4に記載の降車支援装置において、前記複数種類の警報は、聴覚警報及び視覚警報を含み、前記制御装置は、前記聴覚警報を除外することにより乗員に対する警報の訴求度を低減するよう構成された、降車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両の降車支援装置に係る。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両の降車支援装置として、ドアが開扉され、乗員が降車することが危険であると判定されたときには、報知装置を作動させて乗員に警報を報知するよう構成された降車支援装置が知られている。例えば、下記の特許文献1には、自車両の後側方に自車両に接近する他車両が存在し、他車両が接近する側の自車両のドアが開扉しているときには、自車両の乗員に対し他車両の接近に関する情報をスピーカなどにより報知する降車支援装置が記載されている。この種の降車支援装置によれば、乗員に警報が報知されない場合に比して、降車時の乗員の安全性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、上記のような従来の降車支援装置においては、自車両のドアが開扉している状況で他車両のような物体が自車両に接近する度に警報が報知されるため、複数の物体が順次接近し通過する状況において、乗員が度重なる警報に煩わしさを感じることがある。
【0005】
本発明は、降車が危険であるときには、乗員に警報を報知することができると共に、複数の他車両が順次接近し通過するような状況において、乗員が警報に煩わしさを感じる虞が低減されるよう改良された降車支援装置を提供する。
【0006】
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
本発明によれば、自車両(102)の周囲の情報を取得する周囲情報取得装置(カメラセンサ12及びレーダセンサ14)と、車両の乗員に警報を報知する報知装置(50)と、ドア(24)が開扉している状況を検出する開扉検出装置(ドアセンサ22)と、報知装置を制御する制御装置(車両制御ECU10)と、を含み、制御装置は、開扉検出装置によりドアが開扉している状況が検出されている状況において(S40)、周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて乗員が降車することが危険であると判定したときには(S20)、報知装置による警報の報知を開始し(S120)、周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて乗員が降車することが危険ではなくなったと判定したときには(S160)、報知装置による警報の報知を終了する(S170)よう構成された、降車支援装置(100)が提供される。
【0007】
制御装置(車両制御ECU10)は、ドア(24)が最後に開扉された後でドアが開扉している状況における報知装置(50)による警報の報知回数(Nx)が基準時間(Nxc)以上であるときには(S80)、乗員に与える警報の煩わしさが低減されるように報知装置による警報を変更する(S130)よう構成され、
更に、前記制御装置は、開扉検出装置(ドアセンサ22)によりドアが閉扉したことが検出されたときには(S140)、報知装置による警報の報知を終了する(S170)と共に警報の報知回数(Nx)を0にリセットする(S150)よう構成される。
【0008】
上記の構成によれば、ドアが開扉している状況において、乗員が降車することが危険であると判定されたときには、警報の報知が開始され、乗員が降車することが危険ではなくなったと判定されたときには、警報の報知が終了される。更に、ドアが最後に開扉された後でドアが開扉している状況における報知装置による警報の報知回数が基準回数以上であるときには、乗員に与える警報の煩わしさが低減されるように報知装置による警報が変更される。
【0009】
よって、乗員が降車することが危険であるときには、報知装置による警報の報知によって、降車しようとする乗員に危険を報知することができる。更に、ドアが最後に開扉された後でドアが開扉している状況における警報の報知回数が基準回数以上であるときには、乗員に与える警報の煩わしさが低減されるので、乗員が警報に煩わしさを感じる虞を低減することができる。
更に、上記の構成によれば、開扉検出装置によりドアが閉扉したことが検出されたときには、報知装置による警報の報知が終了すると共に警報の報知回数が0にリセットされる。よって、乗員が降車を断念してドアを閉扉したような場合に、警報の報知が不必要に継続されること及び乗員が警報に煩わしさを感じることを防止することができる。
【0010】
〔発明の態様〕
本発明の一つの態様においては、制御装置(車両制御ECU10)は、開扉検出装置(ドアセンサ22)によりドアが開扉している状況が検出されている状況において(S40)、周囲情報取得装置(カメラセンサ12及びレーダセンサ14)により取得された情報に基づいて開扉しているドアと同一の側に後方から接近する他車両又は停止する他車両が検出されたときに(S20)、報知装置(50)による警報の報知を開始し(S120)、周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて他車両が自車両の側方よりも前方へ移動したことが検出されたときに(S160)、報知装置による警報の報知を終了する(S170)よう構成される。
【0011】
上記態様によれば、ドアが開扉している状況において、開扉しているドアと同一の側に後方から接近する他車両又は停止する他車両があるときに、警報の報知を開始し、他車両が自車両の側方よりも前方へ移動したときに、警報の報知を終了させることができる。よって、接近する他車両又は停止する他車両に起因して乗員が降車することが危険である状況において、警報の報知をすることができる。
【0012】
本発明の他の一つの態様においては、制御装置(車両制御ECU10)は、乗員に対する警報の訴求度を低減することにより乗員に与える警報の煩わしさが低減されるように報知装置(50)による警報を変更する(S130)よう構成される。
【0013】
一般に、乗員に対する警報の訴求度が高いほど、乗員に対する注意喚起の効果は高くなるが、乗員が警報に煩わしさを感じる虞が高くなる。上記態様によれば、乗員に対する警報の訴求度を低減することにより乗員に与える警報の煩わしさが低減されるように報知装置)による警報が変更される。よって、警報の報知回数が基準回数を越える前は、警報の訴求度を確保して乗員に対し必要な注意喚起を行うと共に、警報の報知回数が基準回数を越えた後には、警報の訴求度が低減されるので、乗員が警報に煩わしさを感じる虞を低減することができる。
【0014】
本発明の他の一つの態様においては、報知装置(50)による警報は複数種類の警報を含み、制御装置(車両制御ECU10)は、警報の数を低減することにより乗員に対する警報の訴求度を低減する(S130)よう構成される。
【0015】
一般に、乗員に対する警報の訴求度は、警報の種類が多いほど高い。上記態様によれば、警報の数を低減することにより乗員に対する警報の訴求度が低減される。よって、警報の報知回数が基準回数を越える前は、全ての種類の警報によって必要な注意喚起を行うと共に、警報の報知回数が基準回数を越えた後には、警報の数が低減されることにより警報の訴求度が低減されるので、乗員が警報に煩わしさを感じる虞を低減することができる。
【0016】
更に、本発明の他の一つの態様においては、複数種類の警報は、音声発話の聴覚警報を含み、制御装置(車両制御ECU10)は、音声発話の聴覚警報を除外することにより乗員に対する警報の訴求度を低減する(S80)よう構成される。
【0017】
一般に、音声発話の聴覚警報は、非音声発話の聴覚警報及び視覚警報に比して乗員に対する警報の訴求度が高い。上記態様によれば、音声発話の聴覚警報を除外することにより乗員に対する警報の訴求度が低減される。よって、警報の報知回数が基準回数を越える前は、音声発話の聴覚警報を含む警報によって必要な注意喚起を行うと共に、警報の報知回数が基準回数を越えた後には、音声発話の聴覚警報が除外されることにより警報の訴求度が低減されるので、乗員が警報に煩わしさを感じる虞を低減することができる。更に、全ての聴覚警報が除外される場合に比して、必要な注意喚起を効果的に行うことができる。
【0018】
更に、本発明の他の一つの態様においては、複数種類の警報は、聴覚警報及び視覚警報を含み、制御装置(車両制御ECU10)は、聴覚警報を除外することにより乗員に対する警報の訴求度を低減する(S80)よう構成される。
【0019】
一般に、聴覚警報は視覚警報に比して乗員に対する警報の訴求度が高い。上記態様によれば、聴覚警報を除外することにより乗員に対する警報の訴求度が低減される。よって、警報の報知回数が基準回数を越える前は、聴覚警報及び視覚警報によって必要な注意喚起を行うと共に、警報の報知回数が基準回数を越えた後には、聴覚警報が除外されることにより警報の訴求度が低減されるので、乗員が警報に煩わしさを感じる虞を低減することができる。
【0020】
なお、本願において、警報の報知回数は、ドアが開扉していることが検出されている状況において、警報の報知が開始されてから警報の報知が終了されるまでが1回とカウントされる回数である。更に、基準回数は正の一定の整数であってよい。
【0021】
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いられる名称及び/又は符号が括弧書きで添えられている。しかし、本発明の各構成要素は、括弧書きで添えられた名称及び/又は符号に対応する実施形態の構成要素に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明による降車支援装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。
【
図2】第一の実施形態における降車支援制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図3】第二の実施形態における降車支援制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図4】自車両の右後方から他車両が接近しており、右側のフロントドア及び右側のリヤドアの何れも開扉していない状況を示している。
【
図5】自車両の右後方から他車両が接近している状況において、右側のフロントドアが僅かに開扉している状況を示している。
【
図6】他車両が自車両の右側を通過して自車両の右前方へ移動した状況を示している。
【
図7】右側のフロントドアが僅かに開扉しており、別の他車両が自車両の右後方から接近している状況を示している。
【
図8】自車両の左側に蓋のない側溝のように降車を危険にする不動の対象が存在する状況を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明の実施形態にかかる降車支援装置について詳細に説明する。
【0024】
[第一の実施形態]
<構成>
図1に示されているように、本発明の第一の実施形態に係る降車支援装置100は、車両102に適用され、車両制御ECU10を含んでいる。車両100は、ボデーECU20、メータECU30及びマルチメディアECU40を備えている。なお、ECUは、マイクロコンピュータを主要部として備える電子制御装置(Electronic Control Unit)を意味する。なお、以下の説明においては、車両102を他車両と区別するために、必要に応じて自車両102と呼称する。
【0025】
各ECUのマイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、読み書き可能な不揮発性メモリ(N/M)及びインターフェース(I/F)などを含んでいる。CPUは、ROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現する。更に、これらのECUは、CAN(Controller Area Network)52を介してデータ交換可能(通信可能)に互いに接続されている。従って、特定のECUに接続されたセンサ(スイッチを含む)の検出値などは、他のECUにも送信されるようになっている。
【0026】
車両制御ECU10には、複数のカメラセンサ12F、12B、12R及び12L及び複数のレーダセンサ14F、14B、14R及び14Lが接続されている。なお、複数のカメラセンサ12F、12B、12R及び12Lは、これらを区別する必要がない場合、「カメラセンサ12」と称呼される。同様に、複数のレーダセンサ14F、14B、14R及び14Lは、これらを区別する必要がない場合、「レーダセンサ14」と称呼される。カメラセンサ12及びレーダセンサ14は、車両102の周囲の情報を取得する周囲情報取得装置として機能する。
【0027】
カメラセンサ12は、図には示されていないが、カメラ部と、カメラ部によって撮影して得られた画像データを解析して道路の白線、他車両などの物標を認識する認識部とを備えている。カメラセンサ12の認識部は、認識した物標に関する情報を所定時間の経過毎に車両制御ECU10に供給する。なお、カメラセンサ12に代えて、LiDAR(Light Detection And Ranging)が使用されてもよい。
【0028】
カメラセンサ12Fは、車両102の前方を撮像するフロントカメラセンサであり、カメラセンサ12Bは、車両102の後方を撮像するバックカメラである。カメラセンサ12Rは、車両102の右側方を撮像する右サイドカメラであり、カメラセンサ12Lは、車両102の左側方を撮像する左サイドカメラである。
【0029】
レーダセンサ14は、レーダ送受信部及び信号処理部(図示せず)を備えており、レーダ送受信部が、ミリ波帯の電波(以下、「ミリ波」と称呼する)を放射し、放射範囲内に存在する立体物(例えば、他車両、自転車、ガードレールなど)によって反射されたミリ波(即ち、反射波)を受信する。信号処理部は、送信したミリ波と受信した反射波との位相差、反射波の減衰レベル及びミリ波を送信してから反射波を受信するまでの時間などに基づいて、自車両と立体物との距離、自車両と立体物との相対速度、自車両に対する立体物の相対位置(方向)などを表す情報(以下、周辺情報と呼ぶ)を所定時間の経過毎に取得して車両制御ECU10に供給する。
【0030】
レーダセンサ14Fは、車両102の前端部に設けられ、車両の前方の周辺情報を取得する。レーダセンサ14Bは、車両102の後端部に設けられ、車両の後方の周辺情報を取得する。レーダセンサ14Rは、車両102の右側部に設けられ、車両の右側方の周辺情報を取得する。レーダセンサ14Lは、車両102の左側部に設けられ、車両の左側方の周辺情報を取得する。
【0031】
更に、車両制御ECU10には、室内カメラ16が接続されている。室内カメラ16は、
図1には示されていないが、ルームミラー又はその近傍の車体に取り付けられ、左右に光軸を揺動させながら車室内を撮影し、撮影により取得した画像情報、特に乗員の有無に関する情報を車両制御ECU10に供給する。なお、車室外及び車室内を360度に亘り撮影するカメラを備えたドライブレコーダ装置が車両102に搭載されている場合には、室内カメラ16はドライブレコーダ装置のカメラであってよい。
【0032】
ボデーECU20には、複数のドアセンサ22FR、22FL、22RR及び22RLが接続されている。ドアセンサ22FR、22FL、22RR及び22RLは、それぞれ右側フロントドア24FR、左側フロントドア24FR、右側リヤドア24RR及び左側リヤドア24RLが開扉している状況を検出する開扉検出装置として機能する。なお、複数のドアセンサ22FR、22FL、22RR及び22RLは、これらを区別する必要がない場合、「ドアセンサ22」と称呼される。ドア24FR、24FR、24RR及び24RLは、これらを区別する必要がない場合、「ドア24」と称呼される。各ドアセンサ22は、対応するドア24が開扉している状況にあるときには、そのことを示す信号を、ボデーECU20へ出力すると共に、CAN52を介して車両制御ECU10へ出力する。
【0033】
メータECU30には、インジケータ32R、32L及びブザー34が接続されている。インジケータ32R及び32Lは、それぞれ右側及び左側のドアミラーに車室内から見えるように設置されている。インジケータ32R及び32Lは、車両制御ECU10から送信される警報指令に応答してメータECU30から作動信号が出力されたときに点灯又は点滅し、視覚警報を報知する。インジケータ32R及び32Lは、これらを区別する必要がない場合、「インジケータ32」と称呼される。また、ブザー34は、車両制御ECU10から送信される警報指令に応答してメータECU30からブザー鳴動信号が出力されたときに鳴動し、聴覚警報を報知する。
【0034】
マルチメディアECU40には、ディスプレイ42及びスピーカ44が接続されている。マルチメディアECU40は、車両制御ECU10から送信される表示指令に従ってディスプレイ42に指令に係る表示をする。また、マルチメディアECU40は、車両制御ECU10から送信される音声発話指令に従ってスピーカ44から音声発話の警報を発生させる。よって、ディスプレイ42は、視覚警報を報知し、スピーカ44は、聴覚警報を報知する。なお、スピーカ44は、例えばオーディオ装置のスピーカであってよい。また、ディスプレイ42は、例えばヘッドアップディスプレイ或いはメータ類及び各種の情報が表示されるマルチインフォーメーションディスプレイであってよく、ナビゲーション装置のディスプレイであってもよい。
【0035】
ディスプレイ42に表示される視覚警報は、例えば「右後方から車両が接近」、「車両の左側に側溝あり」のように、具体的に危険な情報を報知する視覚警報であることが好ましい。また、スピーカ44により発生される音声発話の警報は、例えば「右後方から車両が接近しています」、「車両の左側に蓋のない側溝があります」のように、具体的に危険な情報を報知する聴覚警報であることが好ましい。なお、スピーカ44により発生される上記のような音声発話の警報は、一定の時間間隔にて繰り返し報知される。
【0036】
以上の説明から解るように、インジケータ32、ブザー34、ディスプレイ42及びスピーカ44は、視覚警報又は聴覚警報を報知する警報装置50として機能する。なお、
図1には示されていないが、イグニッションスイッチがオフになった時点から予め設定された動作時間(正の定数)に亘り、車両制御ECU10などのECU、カメラセンサ12などのセンサ及び警報装置50への通電が継続される。
【0037】
第一の実施形態においては、車両制御ECU10のROMは、
図2に示されたフローチャートに対応する降車支援制御のプログラムを記憶しており、CPUは、乗員が安全に降車し得るよう、該プログラムに従って降車支援制御を実行する。即ち、車両制御ECU10は、カメラセンサ12及びレーダセンサ14により取得された車両102の周囲の情報に基づいて乗員が降車することが危険であると判定し且つドアの開扉が検出されたときには、全ての警報を報知するようブザー34などの全ての報知装置を作動させる。なお、車両制御ECU10は、車両102の走行時には、車線逸脱防止制御、衝突被害軽減制御のような当技術分野において公知の種々の車両制御を行うようになっていてよい。
【0038】
<第一の実施形態における降車支援制御ルーチン>
次に、
図2に示されたフローチャートを参照して第一の実施形態における降車支援制御ルーチンについて説明する。
図2に示されたフローチャートによる降車支援制御は、
図1には示されていないイグニッションスイッチがオフになったときに車両制御ECU10のCPUにより開始される。また、降車支援制御は、車両102の右側の周辺状況及び右側フロントドア24FR、車両の左側の周辺状況及び左側フロントドア24FL、車両の右側の周辺状況及び右側リヤドア24RR、車両の左側の周辺状況及び左側リヤドア24RLの順に、所定の制御周期にて繰返し実行される。以下の説明においては、降車支援制御を単に「制御」と指称する。
【0039】
なお、後述のフラグFax、Fbx及びカウンタのカウント値Nxの「x」は、降車支援制御が車両102の右側の周辺状況及び右側フロントドア24FRについて実行されているときには「fr」であり、降車支援制御が車両の左側の周辺状況及び左側フロントドア24FLについて実行されているときには「fl」である。また、
「x」は、降車支援制御が車両の右側の周辺状況及び右側リヤドア24RRについて実行されているときには「rr」であり、降車支援制御が車両の左側の周辺状況及び左側リヤドア24RLについて実行されているときには「rl」である。降車支援制御の開始時には、フラグFax、Fbx及びカウンタのカウント値Nxが、それぞれ0にリセットされる。これらのことは、後述の第二の実施形態(
図3)においても同様である。
【0040】
まず、ステップS10においては、CPUは、フラグFaxが1であるか否かの判定、即ち後述のステップS120又はS130を実行することにより、既に報知装置50により警報が報知されているか否かの判定を行う。CPUは、肯定判定をしたときには、制御をステップS140へ進め、否定判定をしたときには、制御をステップS20へ進める。
【0041】
ステップS20においては、CPUは、乗員が降車すると危険な状況をカメラセンサ12及び/又はレーダセンサ14が検知しているか否かを判定する。この場合、危険な状況として、例えば車両102の右側については、車両の右後方又は右前方から車両102に近接して通過する可能性がある物体、例えば他車両又は野生動物が検知されているか否かが判定される。また、例えば車両102の左側については、車両の左後方又は左前方から車両102に近接して通過する可能がある物体、例えば自転車、バイクのような他車両又は野生動物が検知されているか否か、蓋のない側溝のような危険な対象が検知されているか否かが判定される。CPUは、否定判定をしたときには、制御を一旦終了し、肯定判定をしたときには、制御をステップS30へ進める。
【0042】
ステップS30においては、CPUは、ステップS20において車両102の右側に危険な状況が検知されていると判定したときには、右側のインジケータ32Rを点灯する。これに対し、CPUは、ステップS20において車両102の左側に危険な状況が検知されていると判定したときには、左側のインジケータ32Lを点灯する。なお、車両102の右側及び左側に危険な状況が検知されているときには、右側及び左側のインジケータ32R及び32Lが点灯される。
【0043】
ステップS40においては、CPUは、対応するドアセンサ22により対応するドア24が開扉している状況が検出されているか否かを判定する。CPUは、否定判定をしたときには、制御をステップS50へ進め、肯定判定をしたときには、制御をステップS60へ進める。
【0044】
ステップS50においては、CPUは、カウンタのカウント値Nxを0にリセットし、その後制御を一旦終了する。
【0045】
ステップS60においては、CPUは、対応するドアセンサ22により対応するドア24が開扉している状況が検出されている状況において、ステップS20における判定が否定判定から肯定判定へ変化したか否かを判定する。CPUは、否定判定をしたときには、制御をステップS110へ進め、肯定判定をしたときには、即ち乗員が降車すると危険な状況が検知されていない状況から検知されている状況へ変化したときには、ステップS70において、カウンタのカウント値Nxを1インクリメントする。
【0046】
ステップS80においては、CPUは、カウンタのカウント値Nxが基準回数Nxc以上であるか否かを判定する。CPUは、肯定判定をしたときには、ステップS90において、フラグFbxを1に設定し、否定判定をしたときには、ステップS100において,フラグFbxを0にリセットする。なお、基準回数Nxcは、正の一定の整数であってよい。
【0047】
ステップS110においては、CPUは、カフラグFbxが1であるか否か、即ち警報から音声発話を除外すべきであるか否かを判定する。CPUは、肯定判定をしたときには、制御をステップS130へ進め、否定判定をしたときには、制御をステップS120へ進める。
【0048】
ステップS120においては、CPUは、音声発話の警報を含む全ての警報が報知されるよう、メータECU30及びマルチメディアECU40へ指令信号を出力する。この場合、インジケータ32は、点灯から点滅に変更される。また、CPUは、フラグFaxを1に設定する。
【0049】
なお、車両102の同一の側のフロントドア及びリヤドアの一方が既に開扉されている状況において、フロントドア及びリヤドアの他方が開扉されたときには、既に全ての警報又は音声発話の警報を除く他の全ての警報が報知されているので、他方のドアについては、フラグFaxを1に設定することのみが行なわれる。
【0050】
ステップS130においては、CPUは、音声発話の警報を除く他の全ての警報が報知されるよう、メータECU30及びマルチメディアECU40へ指令信号を出力する。この場合も、インジケータ32は、点灯から点滅に変更される。また、CPUは、フラグFaxを1に設定する。
【0051】
なお、車両102の左右の両側について、全ての警報が報知されているときには、ステップS80において肯定判定が行なわれた側についてのみ、音声発話の警報が除外される。ただし、このタイミングにおいて、車両102の左右の両側について、音声発話の警報が除外されてもよい。
【0052】
ステップS140においては、CPUは、ドアセンサ22により対応するドア24の閉扉が検出されたか否かを判定する。CPUは、否定判定をしたときには、制御をステップS160へ進め、肯定判定をしたときには、ステップS150において、フラグFbx及びカウンタのカウント値Nxをそれぞれ0にリセットする。
【0053】
ステップS160においては、CPUは、ドア24の閉扉以外の他の警報終了条件が成立しているか否かを判定する。CPUは、否定判定をしたときには、制御を一旦終了し、肯定判定をしたときには、制御をステップS170へ進める。この場合、下記の条件E1乃至E3の何れかが成立しているときに、他の警報終了条件が成立していると判定される。
E1.カメラセンサ12及びレーダセンサ14により乗員が降車すると危険な状況が検知されなくなった。
E2. 室内カメラ16により検出される乗員がいなくなった。即ち、全ての乗員が降車した。
E3.警報が開始された時点から予め設定された制御時間(正の定数)が経過した。
【0054】
ステップS170においては、CPUは、全ての警報の報知を終了させると共に、フラグFaxを0にリセットする。なお、上記条件E2又はE3が成立したときには、車両制御ECU10などのECU、カメラセンサ12などのセンサ及び警報装置50への通電が終了されてよい。
【0055】
また、車両102の同一の側のフロントドア及びリヤドアの両方が開扉されている状況において、フロントドア及びリヤドアの一方が閉扉されたときには、警報の報知は維持され、一方のドアについて、フラグFbx及びカウンタのカウント値Nxのリセットが行なわれてよい。
【0056】
<第一の実施形態の作動の例>
次に、
図4乃至
図6を参照して、車両102の右後方から他車両が接近し、右横を通過する場合を例に、第一の実施形態の作動について説明する。
【0057】
図4は、自車両102の右後方から他車両60が接近しており、右側のフロントドア24FR及び右側のリヤドア24RRの何れも開扉していない状況を示している。この状況においては、ステップS10において否定判定が行なわれ、ステップS20において肯定判定が行なわれるので、ステップS30において右側のインジケータ32Rが点灯される。更に、ステップS40において否定判定が行なわれる。よって、乗員は、インジケータ32Rが点灯していることにより、右側のドアを開扉して降車することの危険性を認識することができる。
【0058】
図5は、自車両102の右後方から他車両60が接近している状況において、右側のフロントドア24FRが僅かに開扉している状況を示している。この状況においては、ステップS20、S40及びS60において肯定判定が行なわれるので、ステップS70においてカウンタのカウント値Nxが1にカウントアップされる。基準回数Nxcが2であるとすると、ステップS80において否定判定が行なわれ、ステップS100においてフラグFbxが0にリセットされる。よって、テップS110において否定判定が行なわれるので、ステップS120において音声発話の警報を含む全ての警報の報知が行われる。従って、運転者はフロントドア24FRをそれ以上開いて降車することを止め、他車両60が運転者及びフロントドア24FRに衝突する危険を回避することができる。
【0059】
なお、この状況において、右側のフロントドア24FRが閉扉されると、ステップS10及びS140において肯定判定が行なわれるので、S170において全ての警報の報知が終了され、フラグFax、Fbx及びカウンタのカウント値Nxがそれぞれ0にリセットされる。よって、乗員が降車を断念してドアを閉扉したような場合に、警報の報知が不必要に継続されること及び乗員が警報に煩わしさを感じることを防止することができる。
【0060】
図6は、右側のフロントドア24FRが僅かに開扉した状況が継続し、他車両60が自車両102の右側を通過して自車両102の右前方へ移動した状況を示している。この状況においては、他車両60が自車両102の右側を通過し、条件E1が成立した段階、即ちカメラセンサ12及びレーダセンサ14により乗員が降車すると危険な状況が検知されなくなった段階で、ステップS160における判定が肯定判定になる。従って、右側のフロントドア24FRが閉扉していても、全ての警報の報知が終了されるので、運転者は安心して降車することができる。
【0061】
図7は、右側のフロントドア24FRが僅かに開扉した状況が継続し、別の他車両62が自車両102の右後方から接近している状況を示している。この状況においては、
図5の場合と同様に、ステップS20、S40及びS60において肯定判定が行なわれるので、ステップS70においてカウンタのカウント値Nxが2にカウントアップされる。基準回数Nxcが2であるとすると、ステップS80において肯定判定が行なわれ、ステップS90においてフラグFbxが1に設定される。よって、テップS110において肯定判定が行なわれるので、ステップS130において音声発話の警報を除く他の警報の報知が行われる。従って、運転者はフロントドア24FRをそれ以上開いて降車することを止め、他車両60が運転者及びフロントドア24FRに衝突する危険を回避することができるだけでなく、乗員が警報に煩わしさを感じる虞を低減することができる。
【0062】
なお、図には示されていないが、自車両102の左側をバイクのような他車両が通過する場合にも、左右が逆である点を除き、降車支援装置100は
図4乃至
図7に示された場合と同様に作動する。
【0063】
また、
図8に示されているように、自車両102の左側に蓋のない側溝64のように降車を危険にする不動の対象が存在する場合には、条件E1が成立することにより警報の終了条件が成立することはない。よって、ステップS20において降車を危険にする不動の対象が検出された場合には、ステップS120及びS130において報知される警報に、車両の左側からの降車は他の安全な場所で行うことを勧める情報が含まれていてよい。なお、
図8に示されているよう場合には、条件E3が成立することにより警報の終了条件が成立するので、警報が過剰に長く継続することはない。
【0064】
[第二の実施形態]
本発明の第二の実施形態に係る降車支援装置100は、第一の実施形態に係る降車支援装置と同様に構成されており、車両制御ECU10のCPUは、
図3に示されたフローチャートに従って降車支援制御を実行する。
<第二の実施形態における降車支援制御ルーチン>
【0065】
次に、
図3に示されたフローチャートを参照して第二の実施形態における降車支援制御ルーチンについて説明する。なお、
図3において、
図2に示されたステップと同一のステップには
図2に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
【0066】
第二の実施形態においては、CPUは、ステップS10において、第一の実施形態と同様にフラグFaxが1であるか否かの判定を行い、肯定判定をしたときには、制御をステップS140へ進め、否定判定をしたときには、制御をステップS25へ進める。
【0067】
ステップS25においては、CPUは、第一の実施形態におけるステップS40と同様に、対応するドアセンサ22により対応するドア24の開扉が検出されているか否かを判定する。CPUは、否定判定をしたときには、制御をステップS50へ進め、肯定判定をしたときには、制御をステップS45へ進める。
【0068】
ステップS45においては、CPUは、第一の実施形態におけるステップS20と同様に、乗員が降車すると危険な状況をカメラセンサ12及び/又はレーダセンサ14が検知しているか否かを判定する。CPUは、否定判定をしたときには、制御を一旦終了し、肯定判定をしたときには、制御をステップS60へ進める。
【0069】
図3と
図2との比較から解るように、ステップS50乃至S170は、それぞれ第一の実施形態におけるステップS50乃至S170と同様に実行される。よって、これらのステップについての説明を省略する。
【0070】
第二の実施形態においては、第一の実施形態のステップS30は実行されない。よって、乗員が降車すると危険な状況がカメラセンサ12及び/又はレーダセンサ14により検知されてもインジケータ32は点灯されない点を除き、第二の実施形態の降車支援装置は第一の実施形態の降車支援装置と同様に作動する。なお、インジケータ32はステップS120及びS130において点灯又は点滅されてよい。
【0071】
以上の説明から解るように、第一及び第二の実施形態によれば、乗員が降車することが危険であると判定され(S20、S45)且つドアが開扉している状況が検出されたときには(S40、S25)、インジケータ32などの報知装置50により音声発話の聴覚警報を含む警報が報知される(S120)。しかし、警報の報知回数Nxが基準回数Nxc以上になると(S80)、報知される複数種類の警報から音声発話の警報が除外され警報の訴求度が低減されることにより、乗員に与える警報の煩わしさが低減されるように報知装置50による警報が変更される(S130)。
【0072】
よって、警報の報知回数Nxが基準回数Nxc以上になる前は、音声発話の聴覚警報を含む警報により警報の訴求度を確保して乗員に対し必要な注意喚起を行うことができる。また、警報の報知回数Nxが基準回数Nxc以上になった後には、音声発話の警報の除外によって警報の訴求度が低減されるので、乗員が警報に煩わしさを感じる虞を低減することができる。
【0073】
また、第一及び第二の実施形態によれば、警報の報知回数Nxが基準回数Nxc以上になると、報知される複数種類の警報から音声発話の警報が除外されるので、警報の数の低減、聴覚警報のうち警報の訴求度が高い音声発話の警報の除外、及び一つの聴覚警報の除外により、警報の訴求度を効果的に低減することができる。
【0074】
更に、第一及び第二の実施形態によれば、警報の報知回数Nxが基準回数Nxc以上になると、報知される複数種類の警報から音声発話の警報が除外されるが、非音声発話の聴覚警報であるブザー34による聴覚警報は除外されない。よって、全ての聴覚警報が除外される場合に比して、必要な注意喚起を効果的に行うことができる。
【0075】
特に、第一の実施形態によれば、乗員が降車すると危険な状況が検知されているか否かが先に判定され(S20)、危険な状況が検知されているときには、インジケータ32が点灯される。よって、乗員がドア24を開扉する前に、降車すると危険な状況があることの注意喚起を乗員に対し行うことができる。
【0076】
以上においては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0077】
例えば、上述の第一及び第二の実施形態においては、警報は音声発話の聴覚警報を含み、警報の報知回数Nxが基準回数Nxc以上になると、音声発話の警報が除外されることにより警報の訴求度が低減される。しかし、警報の訴求度の低減は、音声発話の時間間隔の拡大により行われてもよく、全ての聴覚警報が除外されることにより警報の訴求度が低減されてもよい。また、聴覚警報は音声発話の聴覚警報を含んでいなくてもよく、その場合には、警報の報知回数Nxが基準回数Nxc以上になると、聴覚警報が除外されることにより警報の訴求度が低減されてよい。
【0078】
また、上述の第一及び第二の実施形態においては、音声発話の警報が除外されることにより警報の数が低減されることによっても警報の訴求度が低減される。しかし、1種類又は複数種類の警報の態様が変更されることにより警報の訴求度が低減されてもよい。例えば、聴覚警報については、音量の低減、周波数の低下などにより警報の訴求度が低減されてもよく、特にブザー34による警報の場合には、上記の態様に加えて、ブザー音の断続の時間間隔の増大により警報の訴求度が低減されてもよい。また、視覚警報については、文字警報の大きさの低下、文字警報の表示の時間間隔の増大、警報の明度や輝度の低下などにより警報の訴求度が低減されてもよい。
【0079】
また、上述の第一及び第二の実施形態においては、警報の終了条件E2が成立しているか否かの判定は、室内カメラ16の撮影により取得された画像情報に基づいて行われる。しかし、条件E2が成立しているか否かの判定は、各シートにシートセンサが設置されている車両の場合には、シートセンサの検出結果に基づいて行われてもよい。
【0080】
また、上述の第一及び第二の実施形態においては、警報は視覚警報及び聴覚警報を含んでいるが、視覚警報及び聴覚警報の一方が省略されてもよい。逆に、警報は視覚警報及び聴覚警報に加えて、シートの振動のような体感警報を含んでいてもよい。
【0081】
また、上述の第一及び第二の実施形態においては、ステップS160において、条件E3が成立していると判定されると、ステップS170において全ての警報の報知が終了される。しかし、ステップS160において、警報が開始された時点から第一の制御時間(正の定数)が経過したと判定されると、制御がステップS130へ進められて音声発話が除外され、警報が開始された時点から第二の制御時間(第一の制御時間よりも大きい正の定数)が経過したと判定されると、制御がステップS170へ進められるよう修正されてもよい。この修正例によれば、複数の物体が間隔を開けずに順次自車両に接近し通過するような場合にも、乗員が警報に煩わしさを感じる虞を低減することができる。
【0082】
更に、上述の第一及び第二の実施形態においては、
図2及び
図3に示されたフローチャートによる降車支援制御は、イグニッションスイッチがオフになったときに車両制御ECU10のCPUにより開始される。しかし、
図2及び
図3に示されたフローチャートによる降車支援制御は、イグニッションスイッチがオンであり、車両が停止しているときにも実行されてもよい。
【0083】
特に、上述の第一の実施形態においては、ステップS20において、乗員が降車すると危険な状況が検知されていると判定されると、ステップS30において、インジケータ32が点灯される。しかし、ステップS30は省略されてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10…車両制御ECU、12…カメラセンサ、14…レーダセンサ、20…ボデーECU、22…ドアセンサ、24…ドア、30…メータECU、32…インジケータ、34…ブザー、40…マルチメディアECU、42…ディスプレイ、44…スピーカ、50…警報装置、60…他車両、62…側溝、100…降車支援装置、102…車両