(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】ピリジン系含フッ素芳香族系化合物、その製造方法およびそれを有効成分とする有害生物防除剤
(51)【国際特許分類】
C07D 213/64 20060101AFI20241009BHJP
A01N 43/40 20060101ALI20241009BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20241009BHJP
C07B 53/00 20060101ALN20241009BHJP
【FI】
C07D213/64 CSP
A01N43/40 101E
A01P7/04
C07B53/00 F
(21)【出願番号】P 2020059948
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390000527
【氏名又は名称】住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松尾 憲忠
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02140010(GB,A)
【文献】特開平01-063568(JP,A)
【文献】特開平02-275861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 213/64
A01N 43/40
A01P 7/04
C07B 53/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(式I)
[式中、Rはハロゲン原子を表わし、nは1~3の整数を表わす。nが2または3を表わす場合、個々のRは同一または相異なる。※は不斉炭素を表わす。]
で示されるピリジン系含フッ素芳香族系化合物。
【請求項2】
(式II)
[式中、Rはハロゲン原子を表わし、nは1~3の整数を表わす。nが2または3を表わす場合、個々のRは同一または相異なる。※は不斉炭素を表わす。]
で示される含フッ素アルコール系化合物と、
(式III)
[式中、Xはフッ素原子または塩素原子を表わす。]
で示される2-ハロゲン置換ピリジン系化合物を反応させることを特徴とする(
式I)に記載のピリジン系含フッ素芳香族系化合物
[式中、Rはハロゲン原子を表わし、nは1~3の整数を表わす。nが2または3を表わす場合、個々のRは同一または相異なる。※は不斉炭素を表わす。]
の製造方法。
【請求項3】
(式I)
[式中、Rはハロゲン原子を表わし、nは1~3の整数を表わす。nが2または3を表わす場合、個々のRは同一または相異なる。※は不斉炭素を表わす。]
で示されるピリジン系含フッ素芳香族系化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤。
【請求項4】
(式I)
[式中、Rはハロゲン原子を表わし、nは1~3の整数を表わす。nが2または3を表わす場合、個々のRは同一または相異なる。※は不斉炭素を表わす。]
で示されるピリジン系含フッ素芳香族系化合物
の有効量を有害生物または有害生物の生息場所に施用することを特徴とする有害生物の防除方法
(ただし、人への施用を除く)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なピリジン系含フッ素芳香族系化合物、その製造方法およびそれを有効成分とする有害生物防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昆虫の幼若ホルモン様活性を有し、殺虫剤として使用されているものとしてピリプロキシフェンがあり、鞘翅目、鱗翅目、半翅目、直翅目、双翅目、総翅目、隠翅目、等翅目等の昆虫及びハダニ等のダニ類を防除するために実用に供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ピリプロキシフェンに抵抗性を示す有害生物が増加してきており、より優れた有害生物防除効力を有する化合物が求められている。
【0005】
本発明者は、上記の状況を鑑み、より優れた有害生物防除効力を有する化合物を見出すべく鋭意検討した結果、下記式(I)で示される化合物が、きわめて優れた幼若化ホルモン様活性を有することを見出し、本発明に到った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、
(式I)
[式中、Rはハロゲン原子を表わし、nは1~3の整数を表わす。nが2または3を表わす場合、個々のRは同一または相異なる。※は不斉炭素を表わす。]で示されるピリジン系含フッ素芳香族系化合物(以下、本発明化合物という)、その製造方法ならびに本発明化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤および本発明化合物の有効量を有害生物または有害生物の生息場所に施用することを特徴とする有害生物の防除方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明化合物は、従来の殺虫剤とは著しく異なり、昆虫に対して極めて優れた幼若ホルモン様活性を有する。すなわち、成虫への変態阻害、卵の孵化阻害、成虫の不妊化などの作用を示す。この結果、本発明化合物は既存殺虫剤に抵抗性を示す害虫類も含めて、様々の害虫、例えば、農林園芸害虫、貯穀害虫及び衛生害虫等に対して、主として、成長調節剤、不妊化剤、殺卵剤あるいは増殖抑制剤として作用し、高い防除効果を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
式(I)で示される化合物は、例えば以下の方法により製造することができる。
すなわち
式(II)
[式中、Rはハロゲン原子を表わし、nは1~3の整数を表わす。nが2または3を表わす場合、個々のRは同一または相異なる。※は不斉炭素を表わす。]
で示される含フッ素アルコール系化合物と、
式(III)
[式中、Xはフッ素原子または塩素原子を表わす。]
で示される2-ハロゲン置換ピリジン系化合物とを反応させることにより製造することができる。
【0009】
該反応は、塩基性条件下で行うことが好ましく、より具体的には酸結合剤(脱酸剤)の存在下で行うことが好ましい。好適な酸結合剤(脱酸剤)としては、例えば金属ナトリウム等のアルカリ金属、アルキルリチウム試薬、水素化ナトリウム等のアルカリ金属の水素化物、アルカリ金属アミド、水酸化アルカリなどがあげられる。
【0010】
また、該反応は無溶媒あるいは不活性溶媒中で行うことが好ましく、そのような不活性有機溶媒としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、トルエン等およびそれらの2種以上の混合溶媒があげられる。
【0011】
また必要に応じて反応系にアンモニウム塩(トリエチルベンジルアンモニウムクロライドおよびテトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド等)の相間移動触媒を添加してもよい。この場合は溶媒として水を用いることもできる。
【0012】
反応時間は、特に制限されるものではないが、通常、5分間~72時間の範囲である。
反応温度は、通常-20℃~100℃(但し、使用する溶媒の沸点が100℃未満の場合には、-20℃~溶媒の沸点)の範囲であり、好ましくは-5℃~100℃(但し、使用する溶媒の沸点が100℃未満の場合には、-5℃~溶媒の沸点)の範囲である。
【0013】
該反応において、式(II)で示される含フッ素芳香族化合物と式(III)で示されるピリジン系化合物とのモル比は通常1:0.5~10であり、好ましくは1:0.8~2.0である。
上記の製造法により得られた化合物は必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィ等の手段によって精製することができる。
【0014】
なお前記式(II)で示される原料化合物は、例えば、式(IV)で示される含フッ素フェノキシフェノールとプロピレンオキサイドとを水酸化アルカリ塩およびテトラブチルアンモニウム塩の存在下で反応させることにより製造することができる。
(IV)
[式中、Rはハロゲン原子を表わし、nは1~3の整数を表わす。nが2または3を表わす場合、個々のRは同一または相異なる。]
【0015】
また式(IV)で示されるハロゲン置換の含フッ素フェノキシフェノール系化合物は、新規であり下記に示した方法により製造することができる。以下に合成スキームを示す。
[式中、Rはハロゲン原子を表わし、nは1~3の整数を表わす。nが2または3を表わす場合、個々のRは同一または相異なる。]
【0016】
次に本発明化合物の製造例を示す。プロトンNMRスペクトルは日本電子500MHzを用いて測定した。
製造例1
1-[3-フルオロ-4-(3-フルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-(2-ピリジルオキシ)-プロパン〔化合物(1)〕は以下に記載のルートで合成した。
1)3-フルオロー4-(3-フルオロフェノキシ)アニソールの合成
反応容器にジメチルホルムアミド2mLを入れ、これに3-フルオロフェノール1.05g、4-ブロモー3-フルオロアニソール1.44g、炭酸カリウム1.16g、塩化第一銅73mgおよびヨウ化第一銅73mgを加え、窒素気流下150℃で8時間攪拌した。反応液を氷冷した5%塩酸水10mLに注加し、酢酸エチル30mLで2回抽出した。酢酸エチル層を合わせ、飽和重曹水、続いて食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、3-フルオロー4-(3-フルオロフェノキシ)アニソールを276mg得た。
<NMRデータ>
7.22(1H、tt)、7.05(1H、t)、6.76(1H、d)、6.68~6.74(3H、m)、6.60(1H、dt)、3.80(3H、s)、
2)3-フルオロー4-(3-フルオロフェノキシ)フェノールの合成
反応容器にジクロロメタン2mLを入れて、これに3-フルオロー4-(3-フルオロフェノキシ)アニソール276mgを攪拌溶解しながら-70℃に冷やし、これに3臭化ホウ素(1M溶液)2mLを加え、そのまま12時間攪拌した。反応液を氷冷した5%塩酸水5mLに注加し、酢酸エチル20mLで2回抽出した。酢酸エチル層を合わせ、食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去後、3-フルオロー4-(3-フルオロフェノキシ)フェノールを250mg得た。精製を行わずに次の反応に用いた。
<NMRデータ>
7.22(1H、tt)7.00(1H、t)、6.58~6.75(5H、m)、
3)1-[3-フルオロ-4-(3-フルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-プロパノールの合成
反応容器にトルエン2.5mLを入れ、これに3-フルオロー4-(3-フルオロフェノキシ)フェノール250mgを溶解した後、これに水酸化ナトリウム180mgを水0.5mLに溶かした溶液を加えた。さらにプロピレンオキシド0.50mLおよびテトラブチルアンモニウムブロマイド80mgを加えて12時間攪拌した。反応液に酢酸エチル20mLおよび飽和食塩水20mLを加えて分液した。水層をさらに酢酸エチル20mLで抽出した。酢酸エチル層を合わせて飽和食塩水30mLで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、1-[3-フルオロ-4-(3-フルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-プロパノール201mgを得た。
<NMRデータ>
7.22(1H、dt)7.06(1H、t)、6.67~6.78(4H、m)、6.60(1H、dt)、4.20(1H、m)、3.92(1H、dd)、3.79(1H、dd)、1.29(3H、d)、
4)1-[3-フルオロ-4-(3-フルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-(2-ピリジルオキシ)-プロパン[化合物(1)]の合成
反応容器にジメチルホルムアミド3mLを入れ、1-[3-フルオロ-4-(3-フルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-プロパノール201mgおよび2-フルオロピリジン0.15mLを入れて攪拌溶解し、これに水素化ナトリウム(60%)64mgを氷冷下に加えた後、室温で12時間攪拌した。反応液を氷水15mLに注加し、酢酸エチル20mLで2回抽出した。酢酸エチル層を合わせて飽和食塩水20mLで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して1-[3-フルオロ-4-(3-フルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-(2-ピリジルオキシ)-プロパン139mg〔化合物(1)〕を得た。
<NMRデータ>
8.15(1H、dd)、7.58(1H、m)、7.21(1H、dt)、7.03(1H、t)、
6.87(1H、dd)、6.83(1H、dd)、6.67~6.76(4H、m)、6.59(1H、dt)、5.58(1H、m)、4.18(1H、dd)、4.07(1H、dd)、1.48(3H、d)
【0017】
製造例2
1-[3-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-(2-ピリジルオキシ)-プロパン[化合物(2)]は以下のルートで合成した。
1)3-フルオロー4-(4-フルオロフェノキシ)アニソールの合成
反応容器にジメチルホルムアミド2mLを入れ、これに4-フルオロフェノール908mg、4-ブロモー3-フルオロアニソール1.25g、ナトリウムメチラート390mgおよび塩化第一銅135mgを加え、窒素気流下152℃で13時間攪拌した。反応液を氷冷した5%塩酸水10mLに注加し、酢酸エチル30mLで2回抽出した。酢酸エチル層を合わせ、飽和重曹水、続いて食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、3-フルオロー4-(4-フルオロフェノキシ)アニソールを280mg得た。
<NMRデータ>
6.94~7.02(3H、m)、6.86~6.89(2H、m)、6,74(1H,dd)、6.65(1Hdq)、3.79(3H、s)
2)3-フルオロー4-(4-フルオロフェノキシ)フェノールの合成
反応容器にジクロロメタン7mLを入れ、これに3-フルオロー4-(4-フルオロフェノキシ)アニソール280mgを加えて攪拌溶解しながら-70℃に冷やし、3臭化ホウ素(1M溶液)2mLを加え、そのまま12時間攪拌した。反応液を氷冷した5%塩酸水5mLに注加し、酢酸エチル20mLで2回抽出した。酢酸エチル層を合わせ、食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去後、3-フルオロー4-(4-フルオロフェノキシ)フェノールを250mg得た。精製を行わずに次の反応に用いた。
<NMRデータ>
6.85~6.99(5H、m)、6.69(1H、dd)、6.57(1H、dq)、
3)1-[3-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-プロパノールの合成
反応容器にトルエン2.5mLを入れて、これに3-フルオロー4-(4-フルオロフェノキシ)フェノール250mgを加えて攪拌溶解後、水酸化ナトリウム188mgを水0.5mLに溶かした溶液を加えた。さらにプロピレンオキシド0.50mLおよびテトラブチルアンモニウムブロマイド66mgを加えて12時間攪拌した。反応液に酢酸エチル20mLおよび飽和食塩水20mLを加えて分液した。水層をさらに酢酸エチル20mLで抽出した。酢酸エチル層を合わせて飽和食塩水30mLで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して1-[3-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-プロパノール249mgを得た。
<NMRデータ>
6.86~6.99(5H、m)、6.76(1H、dd)、6.66(1H、dq)、4.19(1H、m)、3.91(1H、dd)、3.77(1H、dd)、1.29(3H、d)
4) 1-[3-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-(2-ピリジルオキシ)-プロパン〔化合物(2)〕の合成
反応容器にジメチルホルムアミド3mLを入れ、これに1-[3-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-プロパノール230mg及び2-フルオロピリジン159mgを加えて溶解させたのち、さらに水素化ナトリウム(60%)66mgを氷冷下に加えて、室温で12時間攪拌した。反応液を氷水15mLに注加し、酢酸エチル20mLで2回抽出した。酢酸エチル層を合わせて飽和食塩水20mLで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して1-[3-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-(2-ピリジルオキシ)-プロパン221mg〔化合物(2)〕を得た。
<NMRデータ>
8.14(1H、d)、7.56(1H、dt)、6.95(3H、m)、6.86(3H, m) 、6.82(1H, dd)、6.74(1H、d)、6.69(1H, br.d))、5.58(1H、mm)、4.18 (1H、dd)、4.05(1H, dd)、1.47(3H, d)
【0018】
製造例3
1-[3-フルオロ-4-(3,5-ジフルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-(2-ピリジルオキシ)-プロパン[化合物(3)]は以下のルートで合成した。
1)3-フルオロー4-(3,5-ジフルオロフェノキシ)アニソールの合成
反応容器に3,5-ジフルオロフェノール803mg、4-ブロモー3-フルオロアニソール1.0g、炭酸ナトリウム320mg、炭酸カリウム414mgおよび塩化第一銅100mgを加えて、窒素気流下165℃で12時間攪拌した。反応液を氷冷した5%塩酸水10mLに注加し酢酸エチル30mLで2回抽出した。酢酸エチル層を合わせ、飽和重曹水、続いて食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、3-フルオロー4-(3,5-ジフルオロフェノキシ)アニソールを282mg得た。
<NMRデータ>
7.06(1H、t)、6.75(1H、dd)、6.69(1H、dq)、6,48(1H、tt)、6.40(2H、dd)、3.81(3H、s)、
2)3-フルオロー4-(3,5-ジフルオロフェノキシ)フェノールの合成
反応容器にジクロロメタン5mLを加え、これに3-フルオロー4-(3,5-ジフルオロフェノキシ)アニソール282mgを加えて攪拌溶解しながら-70℃に冷やし、3臭化ホウ素(1M溶液)1.7mLを加え、そのまま12時間攪拌した。反応液を氷冷した5%塩酸水5mLに注加し、酢酸エチル20mLで2回抽出した。酢酸エチル層を合わせ、食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去後、3-フルオロー4-(3,5-ジフルオロフェノキシ)フェノールを260mg得た。精製を行わずに次の反応に用いた。
<NMRデータ>
7.01(1H、t)6.71(1H、dd)、6.62(1H、dq)、6,47(1H、tt)、6.41(2H、dd)、
3)1-[3-フルオロ-4-(3,5-ジフルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-プロパノールの合成
反応容器にトルエン3mLを加え、3-フルオロー4-(3,5-ジフルオロフェノキシ)フェノール260mgを加えて溶解させ、これに水酸化ナトリウム160mgを水0.5mLに溶かした溶液を加えた。さらにプロピレンオキシド0.27mLおよびテトラブチルアンモニウムブロマイド50mgを加えて12時間攪拌した。反応液に酢酸エチル20mLおよび飽和食塩水20mLを加えて分液した。水層をさらに酢酸エチル20mLで抽出した。酢酸エチル層を合わせて飽和食塩水30mLで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して1-[3-フルオロ-4-(3,5-ジフルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-プロパノール145mgを得た。
<NMRデータ>
7.07(1H、t)、6.77(1H、dd)、6.71(1H、dq)、6,48(1H、tt)、6.40(2H、dd)、4.20(1H、m)、3.93(1H、dd)、3.79(1H、dd)、1.28(3H、d)、
4)1-[3-フルオロ-4-(3,5-ジフルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-(2-ピリジルオキシ)-プロパン[化合物(3)]の合成
反応容器にテトラヒドロフラン4mLを加えて、これに1-[3-フルオロ-4-(3,5-ジフルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-プロパノール145mgおよび2-フルオロピリジン95mgを加えて攪拌溶解後に水素化ナトリウム(60%)50mgを氷冷下に加えて、室温で12時間攪拌した。反応液を氷水15mLに注加し、酢酸エチル20mLで2回抽出した。酢酸エチル層を合わせて飽和食塩水20mLで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して1-[3-フルオロ-4-(3,5-ジフルオロフェノキシ)フェノキシ]-2-(2-ピリジルオキシ)-プロパン134mg[化合物(3)]を得た。
<NMRデータ>
8.15(1H、d)、7.56(1H、dt)、7.04(1H、t)、6.85、(1H、d)、6.83(1H、d) 、6.75(1H、d)、6.73(1H、d)、6.47(1H、 tt)、6.40(2H、m)、5.58(1H、m)、4.18 (1H、dd)、4.07(1H、dd)、1.47(3H、d)
【0019】
製造例4
1-[3-フルオロ-4-(3、5-ジクロロフェノキシ)フェノキシ]-2-(2-ピリジルオキシ)-プロパン[化合物(6)]は以下のルートで合成した。
1)3-フルオロー4-(3、5-ジクロロフェノキシ)アニソールの合成
反応容器にジメチルホルムアミド3mLを加えて、これに3、5-ジクロロフェノール1.14g、4-ブロモー3-フルオロアニソール1.11g、炭酸カリウム0.94gおよび塩化第一銅163mgを加えて攪拌溶解後、窒素気流下150℃で9時間攪拌した。反応液を氷冷した5%塩酸水10mLに注加し、酢酸エチル30mLで2回抽出した。酢酸エチル層を合わせ、飽和重曹水、続いて食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、3-フルオロー4-(3、5-ジクロロフェノキシ)アニソールを281mg得た。
<NMRデータ>
7.05(1H、t)、7.02(1H、t)、6.78(2H、d)、6,76(1H、dd)、6.69(1H、dq)、3.81(3H、s)、
2)3-フルオロー4-(3、5-ジクロロフェノキシ)フェノールの合成
反応容器にジクロロメタン4mLを加え、これに3-フルオロー4-(3、5-ジクロロフェノキシ)アニソール126mgを加えて攪拌溶解後に-70℃に冷やし、3臭化ホウ素(1M溶液)1mLを加え、さらに12時間攪拌した。反応液を氷冷した5%塩酸水5mLに注加し、酢酸エチル20mLで2回抽出した。酢酸エチル層を合わせ、食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去後、3-フルオロー4-(3、5-ジクロロフェノキシ)フェノールを110mg得た。精製を行わずに次の反応に用いた。
<NMRデータ>
7.02(1H、t)、7.00(1H、t)、6.78(2H、d)、6,72(1H、dd)、6.62(1H、dq)
3)1-[3-フルオロ-4-(3、5-ジクロロフェノキシ)フェノキシ]-2-プロパノールの合成
反応容器にトルエン2mLを加え、これに3-フルオロー4-(3、5-ジクロロフェノキシ)フェノール110mgを加えて溶解後に、水酸化ナトリウム95mgを水0.3mLに溶かした溶液を加えた。さらにプロピレンオキシド0.30mLおよびテトラブチルアンモニウムブロマイド40mgを加えて12時間攪拌した。反応液に酢酸エチル20mL、飽和食塩水20mLを加えて分液した。水層をさらに酢酸エチル20mLで抽出した。酢酸エチル層を合わせて飽和食塩水30mLで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して1-[3-フルオロ-4-(3、5-ジクロロフェノキシ)フェノキシ]-2-プロパノール58mgを得た。
<NMRデータ>
7.05(1H、t)、7.02(1H、t)、6,76~6.80(3H、m)、6.71(1H、dq)、4.20(1H、m)、、3.92(1H、dd)、3.80(1H、dd)、1.28(3H、d)、
4)1-[3-フルオロ-4-(3、5-ジクロロフェノキシ)フェノキシ]-2-(2-ピリジルオキシ)-プロパン〔化合物(6)〕の合成
反応容器にジメチルホルムアミド1.5mLを加え、これに1-[3-フルオロ-4-(3、5-ジクロロフェノキシ)フェノキシ]-2-プロパノール58mgおよび2-フルオロピリジン0.05mLを加えて攪拌溶解しながら氷冷し、これに水素化ナトリウム(60%)15mgを加えて、室温で12時間攪拌した。反応液を氷水15mLに注加し、酢酸エチル20mLで2回抽出した。酢酸エチル層を合わせて飽和食塩水20mLで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して1-[3-フルオロ-4-(3、5-ジクロロフェノキシ)フェノキシ]-2-(2-ピリジルオキシ)-プロパン〔化合物(6)〕47mgを得た。
<NMRデータ>
8.16(1H、dd)、7.61(1H、dt)、7.03(1H、t)、7.02(1H、t)6.9595(3H、m)6.90(1H、dd) 、6.83(1H、dd)、6.77(2H、d)、6.73(1H、ddd)、5.61(1H、m)、4.18 (1H、dd)、4.08(1H、dd)、1.49(3H、 d)
【0020】
次に本発明化合物のいくつかを表1に示す。
なお、本発明化合物には不斉炭素に基づく光学異性体が存在するが、これらも本願発明に含まれる。
表1 化合物例
【0021】
本発明化合物が効力を有する有害生物としては、例えば昆虫やダニ等の節足動物が挙げられ、具体的には例えば以下の害虫等が挙げられる。
【0022】
鱗翅目害虫
ニカメイガ、コブノメイガ、ノシメコクガ等のメイガ類、ハスモンヨトウ、アワヨトウ、ヨトウガ等のヨトウ類、モンシロチョウ等のシロチョウ類、コカクモンハマキ等のハマキガ類、シンクイガ類、ハモグリガ類、ドクガ類、ウワバ類、カブラヤガ、タマナヤガ等のアグロティス属害虫 (Agrotis spp.)、ヘリコベルパ属害虫 (Helicoverpa spp.)、ヘリオティス属害虫 (Heliothis spp.)、コナガ、イチモンジセセリ、イガ、コイガ等
【0023】
双翅目害虫
アカイエカ、コガタアカイエカ等のイエカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シナハマダラカ等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、タネバエ、タマネギバエ等のハナバエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ノミバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類等
【0024】
網翅目害虫
チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等
【0025】
膜翅目害虫
アリ類、スズメバチ類、アリガタバチ類、カブラハバチ等のハバチ類等
【0026】
隠翅目害虫
イヌノミ、ネコノミ、ヒトノミ等
【0027】
シラミ目害虫
ヒトジラミ、ケジラミ、アタマジラミ、コロモジラミ等
【0028】
等翅目害虫
ヤマトシロアリ、イエシロアリ等
【0029】
半翅目害虫
ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカ等のウンカ類、ツマグロヨコバイ、タイワンツマグロヨコバイ等のヨコバイ類、アブラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等
【0030】
鞘翅目害虫
ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ウエスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワーム等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ等のコガネムシ類、コクゾウムシ、イネミズゾウムシ、ワタミゾウムシ、アズキゾウムシ等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ、コクヌストモドキ等のゴミムシダマシ類、イネドロオイムシ、キスジノミハムシ、ウリハムシ等のハムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ等のエピラクナ属 (Epilachna spp.)、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ等
【0031】
総翅目害虫
ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ハナアザミウマ等
【0032】
直翅目害虫
ケラ、バッタ
【0033】
シラミ目害虫
ヒトジラミ、ケジラミ等
【0034】
等翅目害虫
イエシロアリ、ヤマトシロアリ、カンザイシロアリ等
【0035】
ダニ類
コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等のヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ、ムギコナダニ等のコナダニ類、チリニクダニ、イエニクダニ、サナアシニクダニ等のニクダニ類、クワガタツメダニ、フトツメダニ等のツメダニ類、ホコリダニ類、マルニクダニ類、イエササラダニ類、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ等のハダニ類、フタトゲチマダニ等のマダニ類
【0036】
本発明化合物を有害生物防除剤の有効成分として用いる場合は、何ら成分を加えずそのまま使用してもよいが、通常は固体担体、液体担体、ガス状担体、餌等と混合し、必要であれば界面活性剤、その他の製剤用補助剤を添加して油剤、乳剤、水和剤、水中懸濁剤等のフロアブル剤、粒剤、粉剤、エアゾール、自己燃焼型燻煙剤・化学反応型燻煙剤・多孔セラミック板燻煙剤等の加熱燻煙剤、ULV剤、毒餌剤等に製剤して使用する。
【0037】
これらの製剤には、製剤形態にもよるが、通常、本発明化合物を重量比で0.001~95%含有する。
【0038】
製剤化の際に用いられる担体としては、例えば固体担体{粘土類(カオリンクレー、珪藻土、合成含水酸化珪素、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、タルク類、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ、モンモリロナイト等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等)等}があげられ、液体担体としては水、アルコール類(メタノール、エタノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン、フェニルキシリルエタン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、灯油、軽油等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、エーテル類(ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等)、酸アミド類(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、ジメチルスルホキシド、植物油(大豆油、綿実油等)等}があげられ、ガス状担体すなわち噴霧剤としてはフロンガス、ブタンガス、LPG(液化石油ガス)、ジメチルエーテル、炭酸ガス等が挙げられる。
【0039】
界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類のポリオキシエチレン化物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類及び糖アルコール誘導体が挙げられる。
【0040】
その他の製剤用補助剤としては、固着剤、分散剤及び安定剤等、例えばカゼイン、ゼラチン、多糖類(デンプン、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸等)等があげられ、BHT(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール)及びBHA(2-t-ブチル-4-メトキシフェノールと3-t-ブチル-4-メトキシフェノールとの混合物)、植物油、鉱物油、界面活性剤、脂肪酸またはそのエステル等が挙げられる。
【0041】
自己燃焼型燻煙剤の基材としては、例えば、硝酸塩、亜硝酸塩、グアニジン塩、塩素酸カリウム、ニトロセルロース、エチルセルロース、木粉等の燃焼発熱剤、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、重クロム酸塩、クロム酸塩等の熱分解刺激剤、硝酸カリウム等の酸素供給剤、メラミン、小麦デンプン等の支燃剤、珪藻土等の増量剤、合成糊料等の結合剤が挙げられる。
【0042】
化学反応型燻煙剤の基材としては、例えば、アルカリ金属の硫化物、多硫化物、水硫化物、含水塩、酸化カルシウム等の発熱剤、炭素質物質、炭化鉄、活性白土等の触媒剤、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジン、ジニトロペンタメチレンテトラミン、ポリスチレン、ポリウレタン等の有機発泡剤、天然繊維片、合成繊維片等の充填剤が挙げられる。
【0043】
非加熱蒸散剤の基材としては、例えば、熱可塑性樹脂及び紙(濾紙、和紙等)が挙げられる。
【0044】
毒餌の基材としては、例えば、穀物粉、植物精油、糖、結晶セルロース等の餌成分、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアイアレチン酸等の酸化防止剤、デヒドロ酢酸等の保存料、トウガラシ末、安息香酸ベンゼトニウム等の誤食防止剤、チーズ香料、タマネギ香料、ピーナッツオイル等の害虫誘引性香料が挙げられる。
【0045】
フロアブル剤(水中懸濁剤または水中乳濁剤)の製剤は一般に1~75%の化合物を0.5~15%の分散剤、0.1~10%の懸濁助剤(例えば保護コロイドやチクソトロピー性を有する化合物)または0~1.0%の適当な補助剤(例えば、消泡剤、防錆剤、安定化剤、展着剤、浸透助剤、凍結防止剤、防菌剤、防カビ剤等)を含む水中で微小に分散させることによって得られる。水の代わりに化合物がほとんど溶解しない油を用いて油中懸濁剤とすることも可能である。保護コロイドとしては、例えばゼラチン、カゼイン、ガム類、セルロースエーテル、ポリビニルアルコール等が用いられる。チクソトロピー性を有する化合物としては、たとえばベントナイト、アルミニウムマグネシウムシリケート、キサンタンガム、ポリアクリル酸等があげられる。
【0046】
このようにして得られる製剤は、そのままであるいは水等で希釈して用いる。
【0047】
本発明の有害生物防除剤は他の殺虫剤、殺線虫剤、土壌害虫防除剤、殺ダニ剤、殺菌剤、除草剤、植物調節剤、共力剤、肥料、土壌改良剤、動物用飼料等と混合して、または混合せずに同時に用いることができる。
【0048】
かかる殺虫剤または殺ダニ剤としては、以下の有効成分が挙げられる。
【0049】
フェニトロチオン、フェンチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、アセフェート、メチダチオン、ジスルホトン、DDVP、スルプロホス、シアノホス、ジオキサベンゾホス、ジメトエート、フェントエート、マラチオン、トリクロルホン、アジンホスメチル、モノクロトホス、エチオン等の有機リン系化合物
【0050】
BPMC、ベンフラカルブ、プロポキスル、カルボスルファン、カルバリル、メソミル、エチオフェンカルブ、アルジカルブ、オキサミル、フェノチオカルブ等のカーバメート系化合物
【0051】
エトフェンプロックス、フェンバレレート、エスフェンバレレート、フェンプロパトリン、シペルメトリン、ペルメトリン、シハロトリン、デルタメトリン、シクロプロトリン、フルバリネート、ビフェントリン、2-メチル-2-(4-ブロモジフルオロメトキシフェニル)プロピル(3-フェノキシベンジル)エ-テル、トラロメトリン、シラフルオフェン、d-フェノトリン、シフェノトリン、d-レスメトリン、アクリナトリン、シフルトリン、テフルトリン、トランスフルトリン、メトフルオロトリン、プロフルトリン、モンフルオロトリン、ジメフルトリン、テトラメトリン、アレスリン、d-フラメトリン、プラレトリン、エンペントリン、5-(2-プロピニル)フルフリル 2,2,3,3-テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート等のピレスロイド化合物
【0052】
ニトロイミダゾリジン誘導体、アセタミプリド等のN-シアノアミジン誘導体、エンドスルファン、γ-BHC、1,1-ビス(クロロフェニル)-2,2,2-トリクロロエタノール等の塩素化炭化水素化合物、クロルフルアズロン、テフルベンズロン、フルフェノクスロン等のベンゾイルフェニルウレア系化合物、フェニルピラゾール系化合物、メトキサジアゾン、ブロモプロピレート、テトラジホン、キノメチオネート、ピリダベン、フェンピロキシメート、ジアフェンチウロン、テブフェンピラド、ポリナクチンコンプレックス〔テトラナクチン、ジナクチン、トリナクチン〕、ピリミジフェン、ミルベメクチン、アバメクチン、イバーメクチン、及びアザジラクチン
【0053】
忌避剤としては、例えば、3,4-カランジオール、N,N-ジエチル-m-トルアミド、1-メチルプロピル 2-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペリジンカルボキシラート、p-メンタン-3,8-ジオール、ヒソップ油などの植物精油等が挙げられる。
【0054】
共力剤としては、例えば、ビス-(2,3,3,3-テトラクロロプロピル)エーテル(S-421)、N-(2-エチルヘキシル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド(MGK-264)、α-[2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ]-4,5-メチレンジオキシ-2-プロピルトルエン(ピペロニルブトキシド)が挙げられる。
【0055】
本発明化合物を農業用有害生物防除剤として用いる場合、その施用量は通常、10アールあたり0.001g~500gであり、好ましくは0.1~500gである。乳剤、水和剤、フロアブル剤等を水で希釈して用いる場合は、その施用濃度は通常0.00001~1000ppmである。粒剤、粉剤等は何ら希釈することなく製剤のままで使用する。また防疫用有害生物防除として用いる場合には、乳剤、水和剤、フロワブル剤等は通常水で0.00001~10000ppmとなるように希釈して施用する。油剤、エアゾール、燻煙剤、ULV剤、毒餌等についてはそのまま施用する。
【0056】
これらの施用量、施用濃度は、いずれも製剤の種類、施用時期、施用場所、施用方法、害虫の種類、被害状況によって異なり、上記の範囲にこだわることなく増加減少させることができる。
【実施例】
【0057】
以下、製剤例及び試験例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0058】
製剤例1 乳剤
本発明化合物(1)~(6)の何れか10部をキシレン 35部およびジメチルホルムアミド35部に溶解し、これにポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル14部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部を加えて、よく攪拌混合して10%乳剤を得る。
【0059】
製剤例2 水和剤
本発明化合物(1)~(6)の何れか10部をラウリル硫酸ナトリウム4部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、合成含水酸化ケイ素微粉末20部および珪素土54部を混合した中に加え、ジュースミキサーで攪拌混合して20%水和剤を得る。
【0060】
製剤例3 粒剤
本発明化合物(1)~(6)の何れか5部に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、ベントナイト富士(ベントナイト、ホウジュン社製)30部及び勝光山Aクレー(カオリンクレー、勝光山鉱業所社製)60部を加えて、よく粉砕混合し、水を加えてよく練り合わせた後、押出し造粒機で造粒し、乾燥して、5%粒剤を得る。
【0061】
製剤例4 粉剤
本発明化合物(1)~(6)の何れか0.3部、合成含水酸化ケイ素微粉末3部、凝集剤として商品名 ドリレス(三共社製)1部、クレー7.7部を乳鉢でよく混合した後にジュースミキサーで攪拌混合する。得られた混合物にカットクレー90部を加えて、袋混合し、粉剤を得る。
【0062】
製剤例5 粉剤
本発明化合物(1)~(6)の何れか0.3部、有機リン系化合物としてフェニトロチオン2部、合成含水酸化ケイ素微粉末3部、凝集剤として商品名 ドリレスB(三共社製)1部、クレー7.7部を乳鉢でよく混合した後に、ジュースミキサーで攪拌混合する。得られた混合物にカットクレー90部を加えて、袋混合し、粉剤を得る。
【0063】
製剤例6 粉剤
本発明化合物(1)~(6)の何れか0.3部、カーバメート系化合物としてとしてBPMC(O-sec―ブチルフェニルーN-メチルカーバメート)2部、合成含水酸化ケイ素微粉末3部、凝集剤として商品名 ドリレスB(三共社製)1部、クレー3.7部を乳鉢でよく混合した後に、ジュースミキサーで攪拌混合する。得られた混合物にカットクレー90部を加えて、袋混合し、粉剤を得る。
【0064】
製剤例7 粉剤
本発明化合物(1)~(6)の何れか1部を適当量のアセトンに溶解し、合成含水酸化ケイ素微粉末5部、PAP0.3部、クレー93.7部を加え、ジュースミキサーで攪拌混合し、アセトンを蒸発除去して1%粉剤を得る。
【0065】
製剤例8 フロアブル剤
本発明化合物(1)~(6)の何れか10部をポリビニルアルコール6部を含む水溶液40部中に加えてミキサーで攪拌し、分散剤を得る。この中にキサンタンガム0.05部、およびアルミニウムマグネシウムシリケート0.1部を含む水溶液40部を加えてさらにプロピレングリコール10部を加えて穏やかに攪拌混合して10%の濃度の水中懸濁剤を得る。
【0066】
製剤例9 油剤
本発明化合物(1)~(6)の何れか0.1部をキシレン5部およびトリクロロエタン5部に溶解し、これを脱臭灯油89.9部に混合して0.1%油剤を得る。
【0067】
製剤例10 油性エアゾール
本発明化合物(1)~(6)の何れか0.1部、d-アレスリン0.2部、d-フェノスリン0.1部、トリクロロエタン10部および脱臭灯油 59.6部を混合溶解し、エアゾール容器に充填し、バルブ部分を取付けた後、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 30部を加圧充填して、油性エアゾールを得る。
【0068】
製剤例11 水性エアゾール
本発明化合物(1)~(6)の何れか0.2部、d-アレスリン0.2部、d-フェノスリン0.2部、キシレン 5部、脱臭灯油 3.4部及び乳化剤{アトモス300(乳化剤、アトラスケミカル社登録商標名)} 1部を混合溶解したものと、純水 50部とをエアゾール容器に充填し、バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 40部を加圧充填して、水性エアゾールを得る。
【0069】
製剤例13 加熱燻煙剤
本発明化合物(1)~(6)の何れか100mgを適量のアセトンに溶解し、4.0cm×4.0cm、厚さ1.2cmの多孔セラミック板に含浸させて、加熱燻煙剤を得る。
【0070】
次に、本発明化合物が有害生物防除剤の有効成分として有効であることを試験例として示す。
【0071】
試験例1(培地混入試験法)
イエバエ Musca domestica 香川2007系統※2 幼虫(孵化後3~4日齢)
※2:住化テクノサービス株式会社累代飼育系統
[試験用培地の調整]
本発明化合物(1)~(3)、(6)及びピリプロキシフェンの濃度が5000ppmとなるようにアセトンに溶解後、表2に示す処理濃度の100倍の濃度となるようにさらにアセトンで希釈した。かかる希釈液0.1mlと純水64gとを混合し、フスマ・ビール粕配合飼料32g、MF粉末飼料4gを攪拌混合したものをイエバエ用人工試験用培地とした。
[羽化阻害活性試験]
イエバエ用人工試験用培地を200Bポリカップ(直径8 cm、高さ4 cm)に約100 g入れ、孵化後3~4日齢のイエバエ幼虫(Musca domestica 香川2007系統)50頭を放虫した。試験中は室温約25 ℃一定で管理し、試験開始から14日後に羽化成虫数を調査した。かかる試験を3反復実施し、以下の式により羽化阻害率(%)を算出した。
羽化率(%) = 100 × 羽化成虫数 / 供試虫数
羽化阻害率(%) = 100 × (1 - 処理区の羽化率 / Blankの羽化率)
【0072】
各薬量における羽化阻害率をもとに本発明化合物および対照のピリプロキシフェンのLC50値(ppm)をプロビット法により算出したので、表2に結果を示す。
【0073】
表2 香川2007系統イエバエ幼虫に対する羽化阻害活性
【0074】
試験例2(培地混入試験法)
イエバエ Musca domestica 感受性系統※2 幼虫(孵化後3~4日齢)
※2:住化テクノサービス株式会社累代飼育系統
試験用培地の調整および羽化阻害活性試験は[0071]と同様に実施した。
【0075】
各薬量における羽化阻害率をもとに本発明化合物および対照のピリプロキシフェンのLC50値(ppm)をプロビット法により算出したので、表3に結果を示す。
【0076】
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明化合物は半翅目害虫、鱗翅目害虫、双翅目害虫、鞘翅目害虫、網翅目害虫、総翅目害虫、直翅目害虫、膜翅目害虫、隠翅目害虫、シラミ目害虫、等翅目害虫等に対して、優れた防除効力を有し、有害生物防除剤として種々の用途に供し得る。