(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
A61C 17/22 20060101AFI20241009BHJP
A61C 17/32 20060101ALI20241009BHJP
A46B 15/00 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
A61C17/22 A
A61C17/32 A
A46B15/00 M
(21)【出願番号】P 2020565222
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(86)【国際出願番号】 JP2020000642
(87)【国際公開番号】W WO2020145382
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2019002982
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032518
【氏名又は名称】伊藤超短波株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【氏名又は名称】福地 武雄
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 司
(72)【発明者】
【氏名】玉城 大輝
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-004883(JP,A)
【文献】特開2003-061985(JP,A)
【文献】特開2005-177253(JP,A)
【文献】特開2005-102837(JP,A)
【文献】特開2004-202065(JP,A)
【文献】特開昭52-022492(JP,A)
【文献】特表2008-539882(JP,A)
【文献】特表2017-515558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C17/16-17/40
A46B15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を発する振動子に供給する駆動信号を出力する信号生成部を有する把持部と、
前記振動子が配置された振動部と、
前記振動部に対向する位置に配置されて、前記振動子から発せられた前記超音波が供給されるブラシと、を少なくとも有する超音波歯ブラシであって、
前記振動部は空間部を有し、前記空間部に充填された接着剤中に前記振動子が挿入された前記振動子の位置を
、前記接着剤が固化するまで維持する維持手段が設けられており、
前記駆動信号の周波数は、3MHz乃至5MHzである超音波歯ブラシ。
【請求項2】
前記振動子の位置を
、前記接着剤が固化するまで維持する維持手段は、前記空間部に充填された前記接着剤中に前記振動子が挿入され
、前記空間部の両側面に設けられて前記振動子を所定の位置まで確実に移動させる挿入路である請求項1記載の超音波歯ブラシ。
【請求項3】
前記維持手段の幅であって、前記振動子が前記空間部に挿入される方向と直交する方向の幅の一部を前記振動子の幅より狭くすることにより、前記空間部の側面と前記維持手段の間に形成される空隙によって前記振動子を前記空間部に挿入する際に排出される空気の流路を形成している請求項1に記載の超音波歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気式歯ブラシ、特に超音波を発する電気式歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
ブラッシング時にブラシを振動させてプラークの除去や清掃等を含めたブラッシングの効果(以下、単にブラッシング効果という)を上げる電気式歯ブラシが実用化されている。さらに超音波を使用してブラッシング効率を上げて良好な歯磨きを実現する超音波歯ブラシが例えば特許文献1のように提案されている。超音波歯ブラシで使用される超音波の周波数は、例えば特許文献2や特許文献3のように、通常1MHzから2MHz程度、例えば1.6MHzなどの周波数を使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-61985号公報
【文献】特開2005-102837号公報
【文献】特開2004-202065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波歯ブラシは超音波を使用しない歯ブラシに比較すると、超音波特有の優れたブラッシング効果が得られることは確認されている。一方、最もブラッシング効果の高い周波数の検討は十分にされていないのが現状であり、より効率を上げて好適な歯ブラシを実現したくても、周波数をいくらに設定すればいいのか定かでなかった。
【0005】
さらに超音波の周波数が高くなると振動子の厚みが薄くなり、歯ブラシに実装する際に振動子に加えられる負荷による破損が容易に発生して不良率が高くなる。例えば所定の位置と異なる位置の振動子を正しい位置に移動させる際に振動子には余分な力が与えられて、当該余分な力によって振動子が割れたりクラックが入ったりするなど、振動子の破損が発生しやすくなる。この傾向は、例えば特許文献1のような方法によって振動子を配置する場合は、充填する例えば接着剤の中で振動子を移動させるためにより顕著となる。従って振動子の破損を避けるために、所定の位置とは異なる位置に振動子が配置されても振動子はそのまま固定される場合もある。振動子の位置が所定の位置ではないので歯ブラシに所定の超音波が伝達されるとは限らず、十分なブラッシング効果が得られない事態を引き起こしていた。
【0006】
または所定の位置であっても、余計な力が加えられた状態で振動子が固定されやすくなり、例えば振動子が湾曲された状態で固定される場合など振動子が所定の超音波を出力できない事態となりうる。さらには、所定の位置と異なる場所に装着されやすくなるため、或いは余計な力が加えられた状態で固定された場合は、振動子が割れやすくなるなど所定の耐久性が得られない等の別の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために本発明において以下のような手段を講じた。即ち本発明の歯ブラシは、超音波を発する振動子に供給する駆動信号を出力する信号生成部を有する把持部と、前記振動子が配置された振動部と、前記振動部に対向する位置に配置されて、前記振動子から発せられた前記超音波が供給されるブラシと、を少なくとも有する超音波歯ブラシであって、前記振動部は空間部を有し、前記空間部に充填された接着剤中に前記振動子が挿入された前記振動子の位置を、前記接着剤が固化するまで維持する維持手段が設けられており、前記駆動信号の周波数は、3MHz乃至5MHzであることを特徴としている。
【0008】
さらに本発明の超音波歯ブラシにおいて、前記振動子の位置を、前記接着剤が固化するまで維持する維持手段は、前記空間部に充填された前記接着剤中に前記振動子が挿入され、前記空間部の両側面に設けられて前記振動子を所定の位置まで確実に移動させる挿入路であることを特徴としている。
【0009】
さらに本発明の超音波歯ブラシは、前記維持手段の幅であって、前記振動子が前記空間部に挿入される方向と直交する方向の幅を前記振動子の幅より狭くすることにより、前記空間部の側面と前記維持手段の間に形成される空隙によって前記振動子を前記空間部に挿入する際に排出される空気の流路を形成していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、超音波歯ブラシに使用する超音波の周波数を特定することでより効果的なブラッシング、例えばプラークの除去などの清掃効果を高める超音波歯ブラシを提供できる。
【0011】
さらに使用する周波数が高くなったことによって使用する振動子の厚みが薄くなった場合であっても容易にかつ簡単な構造で、より確実に振動子の装着を行うことで、振動子の装着時の破損を回避して良品率の低下を防ぎ、所望の性能を長期間にわたって維持できる製品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本発明にかかる超音波歯ブラシの左側面図である。
【
図1B】本発明にかかる超音波歯ブラシの正面図である。
【
図1C】本発明にかかる超音波歯ブラシの右側面図である。
【
図1D】本発明にかかる超音波歯ブラシの背面図である。
【
図1E】本発明にかかる超音波歯ブラシの上面図である。
【
図1F】本発明にかかる超音波歯ブラシの底面図である。
【
図1G】本発明にかかる超音波歯ブラシのブラシ部を示す図である。
【
図1H】本発明にかかる超音波歯ブラシのブラシ部装着前の状態を示す図である。
【
図2】本発明にかかる超音波歯ブラシのコントローラのブロック図である。
【
図3】本発明にかかる超音波駆動信号の模式図である。
【
図4A】本発明にかかる超音波歯ブラシの振動部A19(振動子18配置前)を示す図である。
【
図4B】本発明にかかる超音波歯ブラシの振動部A19(振動子18配置後)を示す図である。
【
図5C】振動部A19の経路配置の変形例を示す図である。
【
図5D】振動部A19の経路配置の変形例を示す図である。
【
図6A】本発明にかかる超音波歯ブラシの振動部B61(振動子18配置前)を示す図である。
【
図6B】本発明にかかる超音波歯ブラシの振動部B61(振動子18配置後)を示す図である。
【
図7A】本発明にかかる超音波歯ブラシの振動部C71を示す図である。
【
図8A】従来の超音波歯ブラシの振動部D83を示す図である。
【
図8B】従来の超音波歯ブラシの振動部D83に振動子8を挿入する様子を示す図である。
【
図8C】従来の超音波歯ブラシの振動部D83に振動子8を挿入した様子を示す図である。
【
図8D】従来の超音波歯ブラシの振動部D83に振動子8を挿入した様子を示す図である。
【
図9A】本発明にかかる超音波歯ブラシの振動部E94を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
図1Aから
図1Hは本発明による超音波歯ブラシの本体1を示しており、本体1の六面図を示している。
図1Aは左側面図、
図1Bは正面図、
図1Cは右側面図、
図1Dは背面図、
図1Eは上面図、
図1Fは底面図である。
図1Gはブラシ14を先端に有するブラシ部13を示し、
図1Hはブラシ部13を装着する前の本体1を示している。本体1は、把持部11と、操作部15と、把持部11の先端から突出している突出部12と、突出部12の先端に振動部A19とを有する。突出部12と振動部A19はそれぞれを独立した部品として構成してもよいし、一体に構成してもよい。例えば突出部12の先端に、超音波を発生させる振動子18を有する振動部を取り付けてもよい。または突出部を、ブラシ部13が装着されたときにブラシ14が配置される位置まで長くして、その突出部の先端であってブラシ14に対向するまたはブラシ14に対応する位置に振動子18を配置して突出部の先端に振動部を構成、すなわち突出部と振動部を一体に構成してもよい。
【0014】
把持部11の内部にはバッテリ16と、操作部15の操作に応じて本体1を制御するコントローラ17が設けられている。バッテリ16とコントローラ17、コントローラ17と振動子18はそれぞれハーネスA21、ハーネスB20で接続されている。
【0015】
操作部15にはスイッチ22と、スイッチ22の内部に赤色のLED23が配置されている。使用者が操作部15のスイッチ22を押すことによって超音波の出射または停止を含め、出射する超音波の制御を行うことができ、スイッチ22の操作に応じてLED23の点灯状態が変化して、例えばLED23が点灯することでスイッチ22が赤く点灯し、使用者に本体1の駆動状態や動作状態を伝える。
【0016】
図2はコントローラ17のブロック図である。コントローラ17は、振動子18に超音波振動をさせるために振動子18に供給される電気信号である駆動信号を出力する信号生成部204、タイマ207、ユーザーIF部201、所定の電力を各部に供給する電源部206、制御部202等の少なくとも一部またはすべてを含んで構成される。
【0017】
制御部202はCPUやメモリの他、各部と接続する為のインターフェース部を内蔵し本体1の制御を行う。電源部206はバッテリ16から供給される電力を所定の一定電圧値、例えば5Vに制御して制御部202を介して各部に供給する。ユーザーIF部201は操作部15と接続されており使用者が操作部15の操作を行うと、その情報を制御部202に通知する。
【0018】
バッテリ16は乾電池であってもよいし、リチウムイオン電池のように充電により繰り返し使用できる二次電池であってもよい。あるいはこれら電池の代わりに、100V等の例えば家庭用コンセントから所定の電圧、例えば5Vを出力できる電源アダプタを本体1の外部に配置して使用する構成であってもよい。
【0019】
タイマ207は所定の時間、例えば3分をブラッシングのための時間、すなわち振動子18を駆動して超音波を出力する時間として計測する。当該時間は3分に限らず3分未満でも3分以上でもよく、使用者が適宜設定できるような構成でもよい。
【0020】
図3は信号生成部204の出力を模式的に示す。図では横軸を時間、縦軸は信号の振幅を示す。信号生成部204は、例えば3.2MHzや4.8MHzの周波数の信号を駆動信号として出力する。当該駆動信号は本実施の形態においては例えば4.8MHzの正弦波を時間T1で出力し、続けて時間T2で停止する動作を繰り返す。T1として0.5秒、T2として0.5秒を設定すると、駆動信号としては0.5秒間4.8MHzが出力された後、0.5秒間停止され、以後これを繰り返すように出力される。
図3では正弦波を見やすいように模式的に記載しているが、実際は上記の通りT1で出力されるのは4.8MHzの高い周波数である。
【0021】
図3では、駆動信号は常時出力されているのではなく上記のようにデューティ50%で出力される、あるいは間欠的に出力される。常に出力される場合と、
図3のような間欠的な出力では超音波による顕著な効果の違いはないが、単位時間当たりの実質的な振動子18の駆動時間が半分になるので、見かけ上バッテリの持ちが長くなり、一回の充電でブラッシングできる時間を長くすることができる。ここで駆動信号は、デューティ50%で間欠的に4.8MHzが出力されるものであるが、デューティは50%に限定されるものではなく、例えば40%であっても60%であってもよく、所望のブラッシング効果が得られればよい。
【0022】
ユーザーがスイッチ22を押すと、その情報はユーザーIF部201を介して制御部202に送られ、制御部202は
図3のような電気信号を出力するように信号生成部204に指示を出す。または、制御部202は信号生成部204に対して電力を供給することによって信号生成部204に電気信号の生成を開始させるような構成でもよい。さらに制御部202はタイマ207に所定時間、例えば3分の時間計測を開始するような通知を行い、タイマ207は当該通知に従って所定時間の計測をスタートする。
【0023】
タイマ207は所定時間、例えば3分が経過したらその旨を示す通知を制御部202に行い、制御部202は当該通知に基づいて、信号出力を停止するように信号生成部204に指示を出す。または制御部202は信号生成部204に対する電力の供給を停止することで信号生成部204による信号の生成を停止させる。
【0024】
所定時間が経過する前に使用者がスイッチ22を再度押した場合は、その情報がユーザーIF部201から制御部202に通知され、制御部202は信号出力を停止するように信号生成部204に指示を出すか、信号生成部204に対する電力の供給を停止することで信号生成部204による信号の生成を停止させる。同時にタイマ207に対して時間計測の停止を指示し、タイマ207をリセットする。
【0025】
上記における使用者のスイッチ22の操作として、スイッチ22を押すとは単にスイッチ22を押圧することにとどまらず、短時間に2回スイッチ22を押す、所謂ダブルクリックや、数秒間スイッチ22を押しっぱなしとする、所謂長押しであってもよく、出力を開始するときはダブルクリックとし、信号の出力開始を停止する場合は長押しする等、操作の方法を超音波の出力開始時と停止時で分けてもよい。すなわちスイッチ22を操作する目的に応じて、スイッチ22の操作方法を変更することがよい。このような構成ではスイッチ22に誤って触れた場合の装置の誤動作を回避できて望ましい。特に本実施の形態のように操作部15が把持部11に配置されている場合は、意図せず操作部15に使用者が触れる場合が多いうえに、使用者が超音波を認識できないために、誤ってスイッチ22が押された場合に超音波が意図せず停止した場合であっても、それに使用者が気付くことが難しく、超音波が停止しているにも関わらずブラッシングを続けて、所定のブラッシング効果が得られない事態となりやすい。そこで、超音波を停止する場合のスイッチ22の動作として使用者が意図しないと得られにくい動作であるダブルクリックや長押しが望ましい。
【0026】
本実施の形態では信号生成部204は上記のように駆動信号として4.8MHzを出力する。使用する超音波の当該周波数は次のようにして決定した。尚、全被検者には試験に先立って正しいブラッシングの仕方をトレーニングして、被験者間におけるブラッシング効果を均一化することでブラッシングの個人差を最小限としてある。
【0027】
周波数として1.6MHzが使用できる超音波歯ブラシの他、3.2MHzが使用できる超音波歯ブラシと4.8MHzを使用できる超音波歯ブラシを準備し、Aグループには1.6MHzの超音波のみを発する超音波歯ブラシを使用してブラッシングをさせ、Bグループには3.2MHzの超音波のみを発する超音波歯ブラシを使用してブラッシングをさせ、Cグループには4.8MHzの超音波のみを発する超音波歯ブラシを使用してブラッシングをさせた。各グループはそれぞれ17名あるいは16名で構成されている。ただし、各グループの各被検者には使用する超音波歯ブラシの発する超音波の周波数を知らせておらず、さらに使用する周波数は超音波帯域であるので各周波数の音を、いずれの被験者も聞き取ることができず、自分がどの周波数の超音波を使用しているかも判断できない状態とした。3分間のブラッシングを1日2回、8週間連続して実施し、どのグループが最も大きな口腔清掃の効果が得られたかを試験した。
【0028】
ブラッシングの効果を判断する指標として、プラーク指数(The Plaque index 以下、PlIという)を使用した。小さいPlIはプラークが少ないことを示す。さらにブラッシングの効果を示す別の指標として、歯肉炎指数(The Gingival Index 以下、GIという)も使用した。小さいGIは歯肉炎の程度が低いことを示す。
【0029】
AグループのPlIは、試験前は0.2~1.0で試験後は0.0~0.75、Bグループでは試験前は0.3~1.0で試験後は0.0~0.5、Cグループでは試験前は0.3~1.2で試験後は0.0~0.75となり、1.6MHzより3.2MHz及び4.8MHzのほうがPlI値は低下した。
【0030】
AグループのGIは、試験前は0.3~1.3で試験後は0.35~1.5、Bグループでは試験前は0.6~1.4で試験後は0.15~1.2、Cグループでは試験前は0.45~1.7で試験後は0.2~1.1となり、1.6MHzより3.2MHzや4.8MHzのほうがGI値は低下する傾向を示した。
【0031】
すなわち、1.6MHzより3.2MHzや4.8MHzの方がより高いブラッシングの効果が得られることがわかる。ただし、3.2MHzと4.8MHzとの違いについては、それぞれ1.6MHzに対する違いの方が大きく、周波数に関して3.2MHz以上はブラッシングに使用する周波数として1.6MHzより望ましいことを示している。
【0032】
以上のように、使用する超音波の周波数を3MHz以上、例えば3.2MHzや4.8MHzとすることで、より高いブラッシング効果を与える超音波歯ブラシを実現することができる。尚、使用する超音波の周波数は高ければよいわけではなく、例えば5MHzを超える場合は使用する振動子の厚みは非常に薄くなり、振動子の量産が困難となるだけでなく超音波歯ブラシの製造段階においても、特に超音波歯ブラシへの振動子の装着時、本実施の形態においては振動部A19への装着時にひび割れや破損を引き起こしやすい。あるいは使用時において本体1を落下させるなど強い衝撃が与えられた場合に振動子に割れやクラックが発生しやすく所望の超音波が発振できず、故障を頻発させるなどの不具合をもたらす。よって使用する超音波の周波数として5MHzを超える周波数を発振する振動子は、振動子自体の量産や超音波歯ブラシの量産、及び歯ブラシの実使用に適さず、結局、3MHz乃至5MHz程度が好適であり、3.2MHzから4.8MHzが最も望ましい。
【0033】
さらに本発明では3.2MHzや4.8MHzの周波数を出力する振動子であっても簡単な構成で、良品率を低下させず耐久性を低下させない振動子の超音波歯ブラシへの実装方法と超音波歯ブラシの構成を提供する。
【0034】
図4Aおよび
図4Bは本体1の振動部A19の断面を模式的に示している。
図4Aは振動部A19に振動子18が配置される前の振動部A19の状態を示している。振動部A19には振動子18が配置される空間部A41が設けられている。
図4Bのように空間部A41に、振動子18が配置され、ブラシ部13が装着された時に、ブラシ14と振動子18が対向する。即ち、ブラシ14に対向する位置に振動子18が配置される。振動子18のブラシ14に対向する表面(以下、ブラシ面という)に設けられる接着層A42と、ブラシ面に対して振動子18の裏面側の表面(以下、ブラシ裏面という)に設けられる接着層B43によって振動子18が振動部A19の先端の空間部A41内部に固定されている。振動子18にはハーネスB20が接続されているが、図が煩雑になるので図示は省略しており、以降においても省略する場合がある。
【0035】
振動子18の厚みは、本実施の形態においては、例えば450μm程度である。振動子18の厚みは使用する周波数によって変動する。例えば周波数が3.2MHzの場合は650μm、1.6MHzの場合は1.3mm程度となる。振動子18の厚みは、周波数によって容易に異なるほか、使用する材質や製法によっても変動しうる。ただし、周波数が高くなれば厚みは薄くなる傾向はもっとも顕著で振動子の厚みについて支配的となりやすい。
【0036】
振動子18の厚みが薄くなると振動子18の強度が低下し、例えば振動子18を空間部A41に装着する場合に破損が発生しやすくなる。この理由を次に示す。振動子18を空間部A41に挿入する際は、振動子18のブラシ面とブラシ裏面に接着剤を塗布し、接着剤が固まる前に空間部A41に、例えば
図4Aにおいて図面左側から挿入して空間部A41の奥まで振動子18を押し込み、接着剤を固化させて振動子18を空間部A41に固定する。振動子18を空間部A41に挿入すると振動子18は空間部A41内部の空気を押し込むので、空間部A41内の空気の逃げ場がなく、当該空気によって振動子18が押し返されて振動子18を挿入する際に大きな抵抗を受ける。この抵抗に逆らって振動子18を挿入するために作業が難しくなり振動子18にさらに大きな力を加える、あるいはねじるなどの無理な負荷を与えることにより振動子18にクラックが入ったり割れたり折れたりすることとなり、不良率が高くなるだけでなく、所定の超音波が出力できず、製品不良となりうる。さらに無理な負荷をかけて固定された振動子18は、与えられる振動、例えば本体1を落下させたことによるひび割れ等の破損が発生しやすくなり、振動子18の寿命を短くするなどにより商品の寿命を低下させるなど耐久性を低下させることとなる。
【0037】
また、振動子18を空間部A41に挿入する際に空間部A41の空気は行き場を失って接着剤を押しのけ、例えばブラシ面に塗布された接着剤を押しのけて排出される場合があり、所望の接着層A42が形成されないこととなる。このまま接着剤が固化すると接着層A42に空隙や空気層あるいは気泡が形成されて、たとえ振動子18が所定の超音波を発振しても、当該空隙や空気層あるいは気泡によってブラシ部13には所定の超音波が伝わらず、ブラシ14から所定の超音波が出射されず、超音波の効果が得られない不具合を発生させる。
【0038】
そこで本実施の形態では振動子18を空間部A41に挿入する際に振動子18によって押し出される空気の流路を予め確保することによって振動子18の装着に際し、空間部A41内の空気は当該流路によって排出されて、振動子18は空気によって押し返されることもなくスムーズに空間部A41に挿入される。従って振動子18に無理な力を与えることがなく、振動子18の装着時における振動子18の破損が発生しない。空気の流路は振動子18の挿入を容易にして良品率を上げるだけでなく、当該流路によって振動子18に無理な負荷がかからない状態で空間部A41に固定されるので所定の超音波を良好に出力して商品寿命や信頼性や耐久性を低下させることがない。
【0039】
さらに振動子を挿入する際に排出される空気は、空気の流路から好適に排出されるので接着層A42や接着層B43になんら影響することがなく、所望の接着層A42や接着層B43位置を容易に形成でき、結果的に振動子18を正しく配置して固定できるために、所定の超音波をブラシ14に伝えて超音波の効果を十分に得ることができる超音波歯ブラシを提供できる。
【0040】
図5Aから
図5Dは振動部A19の断面を示している。
図5Aは
図4Aの破線Aにおける断面図を、
図5Bは
図4Bの破線Bにおける断面、振動部A19に振動子18が配置された状態の断面をそれぞれ模式的に示す。空間部A41には振動子18の両側面にそれぞれ空気の流路となる流路A51と流路B52が設けられている。これら流路には
図5Bのように振動子18も接着層も配置されないので、振動子18を空間部A41に挿入する際に、空間部A41に満たされている空気はこれら流路を通って排出されて、振動子18の挿入を阻害することはない。
【0041】
振動子18を空間部A41に挿入する際に、空間部A41に満たされている空気はこれら流路を通って排出されるので、ブラシ面やブラシ裏面に設けられた接着層A42や接着層B43を押しのけることがなく、接着層A42や接着層B43を良好に形成できる。
【0042】
流路A51や流路B52により、振動子18の装着に際して振動子18に無理な負荷が与えられることがなく容易に振動子18を空間部A41に挿入することができ、さらに所望の接着層を形成できるので良品率の低下を防止するだけでなく、所定の超音波が出力でき、製品不良とならない。さらに無理な負荷をかけず固定された振動子18は、与えられる振動による破損が発生しにくく、振動子18の寿命を短くすることがなく商品の寿命も耐久性や信頼性も低下させない。
【0043】
上記の流路は振動子18の発振にもっとも影響を与えにくい、振動子18の両側面が好適であり、上記の
図5Aおよび
図5Bのように振動子18の両側に、あるいは空間部A41の側面の片側に、即ち振動子18の両側面の少なくとも一方に配置されてもよい。ただし、ブラシ14に所望の振動が供給できるのであれば、
図5Cのように振動子18のブラシ裏面側に流路C53を配置してもよいし、
図5Dのように空間部A41の一番奥や振動部A19の先端に貫通孔として流路D54を設けてもよい。このように空気の流路を、超音波をブラシ14に照射する振動子18の面である照射面以外に、換言すると振動子のブラシに対向する面以外に、或いは振動子とブラシに挟まれた領域以外の位置に、少なくとも一つの流路を配置してもよい。
【0044】
あるいは、振動子とブラシに挟まれた領域以外の位置に複数の流路を設けてもよく、流路A51と流路C53を配置してもよいし、流路B52と流路C53を配置してもよいし、流路A51と流路B52と流路C53を配置してもよい。このように複数の流路を配置する構成では、振動子18を空間部A41に挿入する際に、接着剤が意図せず流路に入り込んで流路がふさがれた場合でも、例えば流路A51が塞がれた場合でも、他の流路によって、例えば流路B52や流路C53によって空気が排出できるので、空間部A41内の空気によって振動子18の装着が阻害されることがない。すなわち複数の流路を設ける構成がさらに望ましい。
【0045】
また、流路は
図5Aから
図5Cのように断面が長方形や正方形のような四角形となるように、あるいは断面が角部を有するように構成している。振動子18を空間部A41に挿入する場合に、接着剤が意図せず流路に入り込んだ場合であっても、流路の断面に例えば角部があることにより流路を完全に塞ぐことは少なくなり、流路が確保されやすく望ましい。従って流路の断面には角があればよく、例えば三角形や5角形以上の多角形を有する断面であってもよい。
【0046】
一方、流路断面を例えば四角形とすると、製造コストが高くなる場合があり、この場合は断面が半円形や円形の一部となる例えば弓形のように構成してもよいが、接着剤が意図せず流路に入り込んだ場合は流路が塞がれやすくなるので、この点を考慮して複数の流路を設ける方がよい。
【0047】
図6Aから
図6Eは振動部としての他の例である振動部B61を示している。振動部B61には空間部B62が設けられ、空間部B62は図のように空間部B62の底面に設けた段差により、振動子を所望の位置を維持する台座部A63が形成されている。台座部A63に振動子18が配置される。振動子18の表面には例えば
図4Bと同様に接着層A42と接着層B43が配置されてもよいが、振動部B61では、
図6Bに示す通り、接着層B43は振動子18にスポンジ層であるスポンジ64を固定し、当該スポンジ64を介して振動子18は台座部A63に配置される。
【0048】
振動子18は
図6Cのようにスポンジ64に固定された状態で空間部B62に挿入されて
図6Bのように台座部A63に配置される。振動子18はスポンジ64によって、空間部B62のブラシ14に近い面である上面66に押し付けられた状態で固定される。すなわち、スポンジ64は振動子18を空間部B62の内壁である上面66に対して、ブラシ部13を装着したときのブラシ14方向に振動子18を押圧する押圧手段として機能する。スポンジ64の代わりに、スポンジ以外のゴムや弾性を有する樹脂、或いは板バネ等の弾性部材を使用することもできる。
【0049】
押圧手段であるスポンジ64は本実施例のように振動子の表面に良好な接着層A42を形成するために非常に有効である。上記のごとく振動子18は表面に塗布された接着剤が固化する前に空間部A41に挿入される。この際に振動子18の表面の接着剤は空間部A41の上面66等と接触して不均一に削り取られ振動子18表面の接着層A42に凹凸が形成され、振動子18の表面に空気層ができかねず、上記のように振動子18の表面に形成される空気層や空隙または気泡等による不具合が発生する。ところが、本実施の形態のように押圧手段によって振動子18が上面66に押し付けられるので、振動子18の挿入段階で一時的に不均一となった接着剤を均一で凹凸のない層とすることが可能で良好な接着層A42とすることができる。
【0050】
押圧手段は均一な接着層A42の形成に非常に有効であるので、例えば
図4Aのような振動部A19に対しても使用可能で、
図6Cのように振動子18にスポンジ64が固定された構成とし、振動部A19に装着する構成でもよい。この場合の振動部A19の断面は
図6Eのようになる。
【0051】
図6Dは
図6Bの破線Cにおける断面の模式図であり、流路の他の例を示している。図の通り、振動子18の幅よりもスポンジ64、接着層A42、接着層B43、台座部A63等の幅を狭く構成することによって上記の流路とは異なる形態で流路を形成している。すなわち振動子より、接着層や押圧手段の幅であって振動子の空間部への挿入方向と異なる方向、例えば当該挿入方向と直交する方向の幅を小さくすることにより、空間部の側面との間に形成される空隙によって空気の流路を形成している。尚、図のように各接着層とスポンジの幅を小さくして流路を複数確保してもよいが、振動子18のブラシ面側またはブラシ裏面側に設けられた層や台座等の一部だけの幅を小さくして他の層の幅は小さくしないことによって流路を形成してもよい。例えば接着層A42だけ、あるいはブラシ裏面側に配置された接着層B43だけ、またはスポンジ64、或いは台座部A63だけの幅を小さくすることで、あるいはこれらの一部だけを使用して流路を形成してもよい。例えば接着層B43とスポンジ64の幅のみを小さくすることで流路を形成するようにしてもよいし、接着層A42と接着層B43の幅を狭くする構成や、接着層A42とスポンジ64の幅を小さくするなど、様々な構成が可能である。尚、
図6Eでは、接着層A42やスポンジ64の幅は振動子18と同等としているがこれに限定されず、
図6Dのように振動子18の幅より接着層A42や接着層B43あるいはスポンジ64の少なくとも一つの幅を小さくすることで空気の流路が形成されるような構成でもよい。
【0052】
上記において接着層A42や接着層B43は、硬化性流動剤の層であってもよく、振動子18を確実に空間部A41やスポンジ64等に固定できればよい。従って接着剤のほかに熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、或いは他の硬化性樹脂等が使用可能で、例えばエポキシ樹脂やゴムあるいはこれらをベースとした接着剤等も使用できる。尚、
図6Aから
図6Eにおいて、接着層B43は振動子18とスポンジ64を固定するので、接着層B43の代わりに両面テープ等が使用されてもよく、使用する両面テープの幅を振動子18の幅より狭くすることで上記のように流路を形成してもよい。
【0053】
図6Aから
図6Eの構成では流路は振動子18の固定に使用される層の幅を調整することによって形成されるが、これに限定されず、
図5Aから
図5Dのように振動子18の側面に流路を配置するような構成でもよく、
図6Aから
図6Eのように、振動子18を固定するために使用する層や部材の幅を小さくして流路を構成すると同時に、振動子18の両側である空間部B62の側面に、或いは振動子18のブラシ裏面に対向する空間部B62の面に、例えば流路A51や流路B52または流路C53の少なくとも一つを設けてもよい。
【0054】
図7Aから
図7Fは振動部の構成の他の例を示している。
図7Aから
図7Fには振動子18が配置される振動部C71の断面を模式的に示している。
図7Aは振動部C71に振動子18を配置する前の状態を示している。振動部C71の内部には空間部C72が設けられ、図面に向かって左側が把持部11となり、右側の端部、すなわち把持部11に対する遠位端にはブラシ部13が装着された時にブラシ14が配置される。空間部C72の遠位端には振動子18を挿入できる開口部A73が設けられている。
【0055】
図8Aは先端に開口部B81を有する歯ブラシの従来の振動部D83の構成を示している。
図8Aのような構成において振動子18を装着するためには、
図8Bのように開口部B81から硬化性樹脂、例えば接着剤82を充填する。尚、事前にハーネスB20は開口部B81から内部に挿入された状態で接着剤82は充填される。続けて振動子18を開口部B81から挿入し、或いは事前に挿入済であるハーネスB20を引っ張ることで振動子18が開口部B81から引き込まれ、その状態で接着剤82が硬化すると振動子18が固定される。このような構成は簡単な構成で振動子を配置できるが、次のような問題がある。
【0056】
図8Aのような構成では、まず振動子18を正しく挿入しづらい。例えば所定の位置よりブラシ14に近く挿入されたり、逆に遠い位置に挿入されたり、深く挿入しすぎたり、逆に挿入が浅すぎたり、挿入方向に対して直交方向(紙面に対して手前方向や奥側の方向)にずれたり、或いはブラシ14に対して傾くなどの事態が容易に発生しうる。
図8Cと
図8Dはこれらの状態の一例を示しており、
図8Cは振動子18を深く挿入しすぎた場合を示し、
図8Dは振動子18が傾いた状態を示している。たとえ挿入自体が正しく行われたとしても接着剤82が硬化するまでに挿入した振動子18が移動して結局振動子18が
図8Cまたは
図8D等で例示したように所定の位置に維持・配置することが困難となる。この場合は超音波が正しくブラシ14に供給されない不具合をもたらす。
【0057】
これに対して、
図7Aから
図7Fでは次のような構成により先端部に設けられた開口部から振動子18を挿入する構成に関する不具合を解消している。
図7Aの図中の矢印Aの方向から見た図を
図7Bに示し、
図7Bの破線Dにおける断面図を
図7Cに示している。図のように開口部A73には振動子18が挿入される挿入路A74と挿入路B75が振動子の位置を維持する維持手段として設けられている。振動子18の挿入方向に沿って振動子18を所定の位置、例えばブラシ部13を装着した場合にブラシ14に対向するように振動子18が配置される位置まで空間部C72の側面に挿入路A74及び挿入路B75が設けられている。挿入路A74の側面から挿入路B75の側面までの幅は振動子18の幅と同じかわずかに大きく振動子18がこの幅に差し込まれて所定の位置でそのまま維持される。振動子18の挿入方法は
図8Aから
図8Dとほぼ同様である。まず、ハーネスB20を開口部A73から空間部C72に挿入し、振動子18が空間部C72の外にある状態で、
図7Dのように空間部C72に接着剤82を充填する。
図7Aから
図7Fでは充填した接着剤82が流出しないように突起部76を設けており接着剤82の流出を最小限に抑えることができる。突起部76の上部にはハーネスB20を通す空隙77が設けられており、ハーネスB20はこの空隙を通って把持部11内部にあるコントローラ17に接続される。開口部A73から振動子18を挿入路A74と挿入路B75に沿って押し込む、或いはハーネスB20を引っ張ることによって振動子18が引き込まれるので振動子18は挿入路A74と挿入路B75にそって所定の位置まで確実に移動することができる。
【0058】
振動子18の挿入によって接着剤82の一部は、空隙77を通って流出できるので、接着剤は開口部A73からあふれ出ることを回避または軽減し、振動部C71の外周に接着剤82が付着することも回避または軽減できる。振動子18の挿入後、接着剤82の固化によって振動子18は所定の位置に固定される。尚、振動子18の移動によって開口部A73には接着剤82がない部分が
図7Eのようにできるので、
図7Fのようにこの部分に接着剤82を補充することで開口部A73を塞いでもよい。このような構成では、振動子18が所定の位置に正しく、確実に、且つ容易に挿入され、さらに接着剤82が固化するまでに確実に振動子18の所定の位置が維持され、振動子18を装着する際の不具合が発生せず、良品率を向上させることができる。
【0059】
図9Aおよび
図9Bは維持手段として他の例を示している。
図9Aは振動部E94の空間部D93の底面であって振動子18が配置される場所に維持手段として台座部B91を形成している。
図9Bは維持手段を振動部や空間部に設けるのではなく振動子18に設ける構成であって振動子18に台座部C92を設けている。台座部C92は振動子18に接着層B43によって固定されていが、両面テープで固定されていてよい。台座部C92は例えばゴム、スポンジなどの弾性材料であってもよく、或いは樹脂等の非弾性材料であってもよい。台座部B91は空間部D93に段差を設け、当該段差によって構成されており、台座部C92は直方体の部材が使用されているが、維持手段である台座部の形状はこれに限定されず、複数の突起状であっても、或いは板状であってもよく、このほかドーム状や鎌簿状であってもよく振動子を適切に維持できればよい。これらは
図7と同様にまず接着剤82を充填し、続けて振動子18を挿入して接着剤82を固化させて振動子18を固定する。尚、
図9Aおよび
図9Bにおいても
図7Aから
図7Fのように突起部76や空隙77を設けることは望ましい。
【0060】
上記のような構成では、高い周波数の振動子を使用する場合であっても振動子18を破損することなく所定の位置に容易に設置できる超音波歯ブラシを提供でき、超音波の周波数が高くなっても不良率を上げることがない。さらに外部から付与された振動に強く信頼性の高い超音波歯ブラシを提供できる。
また、本発明の歯ブラシは、振動子に供給する駆動信号を出力する信号生成部を有する把持部と、把持部の端部に設けられた突出部と、前記突出部の先端に、前記振動子が配置された振動部と、前記振動部に対向する位置に配置されるブラシと、を少なくとも有する超音波歯ブラシであって、前記駆動信号の周波数は、3MHz乃至5MHzであることを特徴としている。
さらに本発明の超音波歯ブラシは、前記振動部内の空間部に前記振動子を配置する際に前記振動子が配置される位置の空気を排出する流路を有することを特徴としている。
さらに本発明の超音波歯ブラシは前記流路が前記振動子の両側面の少なくとも一方に設けられていることを特徴としている。
また、本発明の歯ブラシは、振動子に供給する駆動信号を出力する信号生成部を有する把持部と、把持部の端部に設けられた突出部と、前記突出部の先端に、前記振動子が配置された振動部と、前記振動部に対向する位置に配置されて、前記振動子から発せられた前記超音波が供給されるブラシと、を少なくとも有する超音波歯ブラシであって、前記振動部は空間部を有し、前記空間部に充填された接着剤中に前記振動子が挿入された前記振動子の位置を維持する維持手段が設けられており、前記駆動信号の周波数は、3MHz乃至5MHzであることを特徴としている。
さらに本発明の超音波歯ブラシは、前記振動子の位置を維持する維持手段は、前記空間部に充填された前記接着剤中に前記振動子が挿入される挿入路であることを特徴としている。
【0061】
なお、本国際出願は、2019年1月10日に出願した日本国特許出願第2019-002982号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2019-002982号の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0062】
1 本体
11 把持部
12 突出部
13 ブラシ部
14 ブラシ
15 操作部
16 バッテリ
17 コントローラ
18 振動子
19 振動部A
20 ハーネスB
21 ハーネスA
22 スイッチ
23 LED
41 空間部A
42 接着層A
43 接着層B
51 流路A
52 流路B
53 流路C
54 流路D
61 振動部B
62 空間部B
63 台座部A
64 スポンジ
66 上面
71 振動部C
72 空間部C
73 開口部A
74 挿入路A
75 挿入路B
76 突起部
77 空隙
81 開口部B
82 接着剤
83 振動部D
91 台座部B
92 台座部C
93 空間部D
94 振動部E
201 ユーザーIF部
202 制御部
204 信号生成部
206 電源部
207 タイマ