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特許7569040加工木質円盤材および加工木質円盤材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】加工木質円盤材および加工木質円盤材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27K 3/02 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
B27K3/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022086173
(22)【出願日】2022-05-26
(65)【公開番号】P2023173725
(43)【公開日】2023-12-07
【審査請求日】2023-10-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-18K05766/18K05766seika.pdf(公開日:令和3年6月9日)にて公開 https://kaken.nii.ac.jp/report/KAKENHI-PROJECT-18K05766/18K057662020jisseki/(公開日:令和3年12月27日)にて公開 https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K05766/、https://kaken.nii.ac.jp/report/KAKENHI-PROJECT-18K05766/18K05766seika/、https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-18K05766/18K05766seika.pdf(公開日:令和4年1月27日)にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】523115335
【氏名又は名称】植木林業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(73)【特許権者】
【識別番号】591065549
【氏名又は名称】福岡県
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】植木 正明
(72)【発明者】
【氏名】藤本 登留
(72)【発明者】
【氏名】羽野 泰史
(72)【発明者】
【氏名】岡村 博幸
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-072969(JP,A)
【文献】特開平03-253304(JP,A)
【文献】特開2008-265202(JP,A)
【文献】特開平08-057812(JP,A)
【文献】特表2021-529108(JP,A)
【文献】特開平01-080501(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0111286(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27K 1/00-9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
辺材部と心材部を有する加工木質円盤材の製造方法であって、
糖類を含む水溶液と木質円盤材とを接触させ、前記木質円盤材に前記糖類を含む水溶液を含浸させる含浸工程と、
前記糖類を含む水溶液が含浸された糖類含浸木質円盤材を、100℃以下で乾燥し、平衡含水率が5~15%、辺材部の表層における接線方向の平均収縮率が0.15%以下とする乾燥工程と、を有し、
前記糖類が、エリスリトールおよび/またはトレハロースであり、
前記糖類を含む水溶液中の糖類の濃度が、30質量%以上70質量%以下であり、
前記糖類含浸木質円盤材における前記糖類の含浸量が、70kg/m 3 以上250kg/m 3 以下である、加工木質円盤材の製造方法。
【請求項2】
前記乾燥工程後の糖類含浸木質円盤材の表面を塗装する塗装工程を有する、請求項1に記載の加工木質円盤材の製造方法。
【請求項3】
前記糖類を含む水溶液が、糖類と水とからなる水溶液である、請求項1または2に記載の加工木質円盤材の製造方法。
【請求項4】
前記加工木質円盤材の溶脱率が、5質量%以下である、請求項1または2に記載の加工木質円盤材の製造方法。
【請求項5】
前記木質円盤材の大きさが厚さ10cm以下、直径30cm以上である、請求項1または2に記載の加工木質円盤材の製造方法。
【請求項6】
辺材部と心材部を有する、糖類が含浸された加工木質円盤材であり、
平衡含水率が5~15%であり、
前記辺材部の表層における接線方向の平均収縮率が、0.15%以下であり、
前記糖類が、エリスリトールおよび/またはトレハロースであり、
前記糖類の含浸量が、70kg/m 3 以上250kg/m 3 以下である加工木質円盤材。
【請求項7】
表面の少なくとも一部に塗装膜を有する、請求項に記載の加工木質円盤材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工木質円盤材および加工木質円盤材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
丸太材を輪切りにした木質円盤材は、木材独自の温もりや柔らかい質感、切り口の年輪模様を活かし、インテリアや家具、建材等に利用することができる。一方で、木質円盤材は、乾燥による収縮に起因して割れなどが生じやすいため、収縮抑制などを目的として、薬剤で処理が行われている。
【0003】
例えば、本発明者らは、特許文献1に開示するように、含水率30%以上の円盤材に、ポリエチレングリコール水溶液を含浸させる薬剤含浸工程と、前記薬剤含浸工程の後に、ポリエチレングリコールを含浸させた円盤材を70~100℃で乾燥させる乾燥工程とを有し、前記乾燥工程において、含水率が5~10%、辺材部における接線方向の平均収縮率が0.10%以下となるように乾燥する加工円盤材の製造方法を開発している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-268292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法で製造された加工木質円盤材は、梅雨の高温多湿などの条件によっては、加工木質円盤材の表面に薬剤(ポリエチレングリコール)が浸み出して、加工木質円盤材の表面にベタツキや液だれなどを生じる場合があることがわかった。この薬剤の浸み出しにより、木質材料の表面にベタツキや液だれなどを生じる現象は、溶脱と呼ばれている。そこで、加工木質円盤材の収縮を抑制でき、かつ、薬剤を溶脱させないようにする技術が求められていた。
【0006】
かかる状況下、本発明の目的は、収縮が抑制され、薬剤の溶脱が抑制された加工木質円盤材およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0008】
[1] 辺材部と心材部を有する加工木質円盤材の製造方法であって、糖類を含む水溶液と木質円盤材とを接触させ、前記木質円盤材に前記糖類を含む水溶液を含浸させる含浸工程と、前記糖類を含む水溶液が含浸された糖類含浸木質円盤材を、100℃以下で乾燥し、平衡含水率が5~15%、辺材部の表層における接線方向の平均収縮率が0.15%以下とする乾燥工程と、を有する加工木質円盤材の製造方法。
[2] 前記乾燥工程後の糖類含浸木質円盤材の表面を塗装する塗装工程を有する、前記[1]に記載の加工木質円盤材の製造方法。
[3] 前記糖類を含む水溶液が、糖類と水とからなる水溶液である、前記[1]または[2]に記載の加工木質円盤材の製造方法。
[4] 前記糖類が、スクロースおよび/またはエリスリトールである、前記[1]から[3]のいずれかに記載の加工木質円盤材の製造方法。
[5] 前記糖類含浸木質円盤材における前記糖類の含浸量が、70kg/m3以上である、前記[1]から[4]のいずれかに記載の加工木質円盤材の製造方法。
[6] 前記加工木質円盤材の溶脱率が、5質量%以下である、前記[1]から[5]のいずれかに記載の加工木質円盤材の製造方法。
[7] 前記木質円盤材の大きさが厚さ10cm以下、直径30cm以上である、前記[1]から[6]のいずれかに記載の加工木質円盤材の製造方法。
【0009】
[8] 辺材部と心材部を有する、糖類が含浸された加工木質円盤材であり、平衡含水率が5~15%であり、前記辺材部の表層における接線方向の平均収縮率が、0.15%以下である加工木質円盤材。
[9] 表面の少なくとも一部に塗装膜を有する、前記[8]に記載の加工木質円盤材。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、収縮が抑制され、薬剤の溶脱が抑制された加工木質円盤材およびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の製造方法で使用される木質円盤材の模式図である。
図2】スクロースの含浸量と、辺材部の表層における平均収縮率をプロットした図である。
図3】スクロースの含浸量と、心材部の表層における平均収縮率をプロットした図である。
図4】比較例2の加工木質円盤材を40℃、90%RHの環境下で1週間静置後の様子を示す写真である。
図5】参考例1の試験片の接線方向の平均収縮率を示すグラフである。
図6】参考例2の試験片の溶脱率を示すグラフである。
図7】参考例3の試験片の溶脱率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
【0013】
[加工木質円盤材の製造方法]
本発明は、辺材部と心材部を有する加工木質円盤材の製造方法であって、糖類を含む水溶液と木質円盤材とを接触させ、木質円盤材に糖類を含む水溶液を含浸させる含浸工程と、糖類を含む水溶液が含浸された糖類含浸木質円盤材を、100℃以下で乾燥し、平衡含水率が5~15%、辺材部の表層における接線方向の平均収縮率が0.15%以下とする乾燥工程と、を有する加工木質円盤材の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と記載する場合がある。)に関する。
【0014】
本発明者らは、糖類を用いることで、収縮を抑制しつつ、薬剤の溶脱を著しく抑制できることを見出した。特に、高温多湿などの薬剤が溶脱しやすい条件であっても、薬剤が溶脱しにくい、加工木質円盤材を製造することができることを見出した。得られる加工木質円盤材は、切り口の年輪模様を活かした応用が可能である。
【0015】
[含浸工程]
薬剤含浸工程は、糖類を含む水溶液と木質円盤材とを接触させ、木質円盤材に糖類を含む水溶液を含浸させる工程である。
【0016】
(木質円盤材)
本発明において、「木質円盤材」とは、図1に示すように、丸太を輪切りにした材料を意味し、心材部と辺材部とを有する。「心材部」とは、木の中心付近の色合いが濃い部分を指し、「辺材部」とは、木の表面近くの色合いが薄い部分を指す。また、「表層」とは、木口面から厚さ方向に5mmまでの部分を意味する。
【0017】
一般的に、木質円盤材は、乾燥時の収縮によって、周辺部から中心部への大きなV字型の割れ(V字割れ)が発生しやすい。特に、大径で厚い木質円盤材は、大きなV字割れが発生しすく、このような割れがある木質円盤材は、インテリアや家具、建材等の用途の材料として適さないという問題があった。本発明の製造方法では、木質円盤材の収縮を抑制しつつ、薬剤の溶脱を抑えられるので、V字割れのない加工木質円盤材を製造しやすい。そのため、本発明の製造方法は、大きさが厚さ10cm以下、直径30cm以上の木質円盤材(すなわち、大径の木質円盤材)に対して好適に使用できる。より好適な対象は、厚さ8cm以下、直径50cm以上の木質円盤材である。用途に応じて、木質円盤材の厚さの下限は1cm以上や5cm以上であってもよい。また、木質円盤材の直径の上限は、150cm以下や100cm以下であってもよい。なお、本発明において、「直径」とは、図1に示すように、木質円盤材の木口面の直径を意味し、木口面が円形でない場合は、円相当径を直径とする。
【0018】
円盤材の樹木の種類は特に限定されず、スギやヒノキ等の針葉樹や広葉樹等を用いることができる。好ましい樹木の一つは、スギである。
【0019】
使用される木質円盤材は、生材状態であっても、半乾燥状態であってもよい。含浸工程の前に割れの発生が起こりにくい、含水率28%以上の木質円盤材を使用してもよいし、糖類を含む水溶液を含浸させやすい、含水率28%以下の木質円盤材を使用してもよい。
【0020】
なお、「含水率」は、JIS Z 2101:2009に準拠した全乾法により算出することができる。具体的には、使用する木質円盤材の含水率は、同じ丸太から切断された未処理円盤から直径方向のストリップを採取し、105℃オーブンで水分を蒸発させ、前後の重量差から算出することができる。
【0021】
(糖類を含む水溶液)
本発明の製造方法では、木質円盤材に含浸させる薬液として、糖類を含む水溶液を用いる。糖類を含む水溶液を用いることで、糖類の充填効果により木質円盤材の収縮を抑制し、かつ、溶脱を改善できる。糖類は食用としても用いられるため、加工木質円盤材の安全面の観点からも好ましい。
【0022】
糖類は、糖および/または糖アルコールである。糖類は1種類を単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。糖としては、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなどの単糖、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロースなどの二糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、スタキオースなどのオリゴ糖、デンプン、セルロース、アミロース、キチンなどの多糖などが挙げられる。また、糖アルコールとしては、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、エリスリトールなどが挙げられる。これらの中でも、糖類は、二糖および/または糖アルコールが好ましい。
【0023】
中でも、スクロースまたはエリスリトールが好ましく、スクロースが特に好ましい。例えば、トレハロースは、収縮抑制効果や溶脱抑制効果は得られるものの、スクロースに比べて木質円盤材に含浸させにくく、十分な量を木質円盤材に含浸させるために複雑な含浸法が必要になったり、時間の経過とともに割れが発生したりしやすい。一方、スクロースは、含浸条件を厳密に管理しなくても木質円盤材に含浸させやすい。また、スクロースは、乾燥条件を厳密に管理しなくても平衡含水率を5~15%となるように乾燥させることで、大きな収縮抑制効果が得られ、経時的にも安定した寸法安定性を付与でき、V字割れが起こりにくく、薬剤の溶脱が抑制された加工木質円盤材を製造することができる。
【0024】
糖類を含む水溶液中の糖類の濃度(糖類の質量/糖類を含む水溶液の質量×100(%))は、木質円盤材の種類や大きさ、糖類の種類、使用用途等に応じて適宜決定することができる。一方で、糖類の濃度が高すぎると、水溶液の粘度が高くなり、木質円盤材に所望の量の糖類を含浸することが困難であったり、糖類を含浸させるために長時間を要したりする場合がある。また、糖類の濃度が低すぎても、木質円盤材に所望の量の糖類を含浸することが困難な場合がある。そのため、糖類を含む水溶液中の糖類の濃度は、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。また、その下限は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。例えば、糖類を含む水溶液中の糖類の濃度は、10~70質量%が好ましく、15~60質量%がより好ましい。
【0025】
また、糖類を含む水溶液に対する、糖類と水との合計質量の割合(糖類と水の合計質量/水溶液の質量×100(%))は、97質量%以上、98質量%以上、99質量%以上の順で数値が大きい程好ましく、糖類と水とからなることがより好ましい。なお、糖類と水とからなる水溶液は、糖類と水とから実質的になればよく、不可避的な不純物の混入までをも排除するものではない。
【0026】
例えば、糖類を含む水溶液としては、糖類の濃度が10質量%以上であり、糖類を含む水溶液に対する、糖類と水との合計質量の割合が97質量%以上である水溶液や、糖類の濃度が15~60質量%であり、糖類を含む水溶液に対する、糖類と水との合計質量の割合が98質量%以上である水溶液を用いることができる。
【0027】
糖類を含む水溶液の含浸方法は、従来公知の方法が使用でき、減圧下や加圧下で行っても、大気圧下で行ってもよい。例えば、浸漬法、温冷浴法、減圧注入法、減圧加圧注入法などを利用することができる。また、これらの含浸方法は組み合わせてもよい。
【0028】
糖類の含浸量は少なすぎると、木質円盤材の中心部までの糖類の含浸が不十分な場合があり、収縮抑制の効果が得られにくい。そのため、糖類の含浸量は70kg/m3以上であることが好ましく、100kg/m3以上や、150kg/m3以上などとしてもよい。一方、糖類の含浸量は一定以上となると、溶脱が生じやすくなるおそれがあるため、糖類の含浸量を、500kg/m3以下や、400kg/m3以下、300kg/m3以下、250kg/m3以下などに設定してもよい。
【0029】
なお、「糖類の含浸量」は、以下に示すように、糖類を含む水溶液の含浸前後の木質円盤材の重量差(kg)に、糖類を含む水溶液中の糖類の濃度を乗じて、木質円盤材の体積(m3)で割ることで求めることができる。
【0030】
糖類の含浸量(kg/m3)=[(糖類を含む水溶液を含浸させた後の木質円盤材の質量(kg))-(糖類を含む水溶液を含浸させる前の木質円盤材の質量(kg))]×糖類を含む水溶液中の糖類の濃度(%)÷木質円盤材の体積(m3)÷100
【0031】
浸漬時間は、木質円盤材の種類や大きさ、水溶液中の糖類の濃度等に応じて適宜決定することができる。木質円盤材のより中心部まで糖類を浸透させるためには、浸漬時間は1日以上が好ましく、2日以上が好ましく、5日以上がより好ましい。その上限は、特に限定されず、20日以下であることが好ましく、15日以下であることがより好ましい。
【0032】
[乾燥工程]
乾燥工程は、糖類を含む水溶液が含浸された糖類含浸木質円盤材を、100℃以下で乾燥し、平衡含水率が5~15%、辺材部の表層における接線方向の平均収縮率が0.15%以下とする工程である。
【0033】
乾燥温度は、木質円盤材の大きさ等により適宜調整されるが、乾燥温度が高すぎると、褐色化しやすくなるため、その上限は、100℃以下であり、95℃以下や90℃以下としてもよい。また、その下限は、50℃以上や、60℃以上、70℃以上、80℃以上などとすることができる。また、乾燥温度は一定であっても、糖類含浸木質円盤材の乾燥の進行に合わせて変化させてもよい。
【0034】
乾燥時間は、木質円盤材の大きさや乾燥温度等により適宜調整され、平衡含水率を5~15%とすることができればよい。糖類含浸木質円盤材は、平衡含水率5~15%で恒量となるまで乾燥させればよく、乾燥時間は特に限定されないが、例えば、1日以上や2日以上とすることができ、10日以下や7日以下、5日以下とすることもできる。
【0035】
乾燥は、相対湿度を一定あるいは変調させて行うことができる。例えば、乾燥による糖類含浸木質円盤材の含水率の低下に応じて、相対湿度を変調させる場合、糖類含浸木質円盤材の含水率の低下に応じて、相対湿度を90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下などと変調させて行うことができる。
【0036】
乾燥後の加工木質円盤材の平衡含水率は5~15%である。これにより、加工木質円盤材は乾燥しにくく、割れが発生しにくくなる。なお、「平衡含水率」は、上述のように、JIS Z 2101:2009に準拠する方法で測定することができる。
【0037】
加工木質円盤材の辺材部の表層における接線方向の平均収縮率は0.15%以下である。これにより、割れを抑制することができる。時間の経過とともに割れが生じやすくなるおそれもあるため、加工木質円盤材の辺材部の表層における接線方向の平均収縮率は0.10%以下であることが特に好ましい。辺材部の表層における接線方向の平均収縮率を0.10%以下とすることで、V字割れなどの大きな割れの発生をより安定して抑制することができる。なお、「接線方向の平均収縮率」は、JIS Z 2101:2009に従って測定できる。詳しくは実施例にて後述する。
【0038】
収縮をより抑制することができるため、加工木質円盤材は、辺材部の表層から中心層(辺材部の厚み方向において中心の層)にわたって、接線方向の平均収縮率を0.15%以下とすることが好ましく、0.10%以下とすることがより好ましい。
【0039】
心材部の表層における接線方向の平均収縮率は、例えば、0.20%以下や0.18%以下とすることができる。加工木質円盤材の心材部の表層から中心層にわたって、接線方向の平均収縮率は、例えば、0.25%以下や0.22%以下とすることができる。
【0040】
また、含浸工程後の糖類含浸木質円盤材は、養生処理を行った後に乾燥工程に供してもよい。
【0041】
乾燥工程後の糖類含浸木質円盤材は、そのままインテリアや建材の材料として使用することができる。また、本発明の製造方法では、乾燥工程後の糖類含浸木質円盤材に対して、塗装等の仕上げ処理を行ってもよい。
【0042】
[塗装工程]
本発明の製造方法は、乾燥工程後の木質円盤材の表面を塗装する塗装工程を有するものとできる。塗装工程を行うことで、塗装膜が表面に形成された加工木質円盤材を得ることができる。このような塗装処理が施された加工木質円盤材は、溶脱がさらに抑制でき、塗装膜に腐朽防止等の機能をもたせることもできる。形成される塗装膜の厚みは、50~200μmが好ましく、100~150μmがより好ましい。塗装膜が薄すぎると、溶脱防止の向上効果が小さく、また、塗装膜が厚すぎると、木材の風合いが損なわれるため、塗装膜の膜厚を前記範囲とすることが好ましい。
【0043】
塗装材料は特に限定されず、公知の造膜型の塗料を用いることができる。例えば、塗装材料としては、ウレタン樹脂塗料、アミノアルキド樹脂塗料、不飽和ポリエステル樹脂塗料、UV塗料(UV硬化型のポリエステル樹脂やUV硬化型のアクリル樹脂)、ガラス塗料、フッ素塗料などの材料を利用することができる。また、塗装方法は、従来公知の方法を利用することができ、下塗り、中塗り、上塗りなど複数回塗装を行ってもよい。
【0044】
[加工木質円盤材]
また、本発明は、辺材部と心材部を有する、糖類が含浸された加工木質円盤材であり、平衡含水率が5~15%であり、前記辺材部の表層における接線方向の平均収縮率が0.15%以下である加工木質円盤材(以下、「本発明の加工木質円盤材」と記載する場合がある。)に関する。
【0045】
このような加工木質円盤材は、加工時や使用時にも割れが発生しにくく、寸法安定性に優れることに加えて、溶脱も抑制される。特に、溶脱が起こりやすい、高温多湿のような条件であっても、糖類の浸み出しによる加工木質円盤材の表面がべたつきや液だれを抑制できる。なお、本発明の加工木質円盤材は、木口面がV字割れ等の大きな割れを有さず、均質である加工木質円盤材とでき、上述した本発明の製造方法により好適に製造することができる。このような加工木質円盤材は、インテリア用や家具用、建材用などの材料として好適である。
【0046】
好適な加工木質円盤材の大きさは、厚さ10cm以下、直径30cm以上の木質円盤材(すなわち、大径の木質円盤材)であり、より好適には、厚さ8cm以下、直径50cm以上である。また、加工木質円盤材の厚さの下限は1cm以上や5cm以上であってもよい。加工木質円盤材の直径の上限は、150cm以下や100cm以下であってもよい。
【0047】
また、本発明の加工木質円盤材は、平衡含水率が5~15%である。本発明の加工木質円盤材は、上述の本発明の製造方法により好適に製造できる。製造後の経過日数により大気中の湿度に応じて加工木質円盤材の平衡含水率は変化するため、大気下における平衡含水率は5%以上や10%以上となりうる。製造後の経過日数にもよるが、通常、大気下における平衡含水率は15%以下(12~15%程度)である。
【0048】
また、本発明の加工木質円盤材における糖類の含浸量は70kg/m3以上であることが好ましく、100kg/m3以上や150kg/m3以上などとしてもよい。また、その上限は、特に限定されないが、例えば、500kg/m3以下や、400kg/m3以下、300kg/m3以下、250kg/m3以下などとできる。
【0049】
寸法安定性をより向上させるためには、本発明の加工木質円盤材は、辺材部の表層における接線方向の平均収縮率が0.10%以下であることが特に好ましい。
【0050】
また、辺材部の表層から中心層(辺材部の厚み方向において中心の層)にわたって、接線方向の平均収縮率は0.15%以下や、0.10%以下とできる。心材部の表層における接線方向の平均収縮率は、0.20%以下や0.18%以下とでき、心材部の表層から中心層にわたって、接線方向の平均収縮率は、0.25%以下や0.22%以下とできる。
【0051】
本発明の加工木質円盤材は、溶脱率が5質量%以下とすることができ、3質量%以下や、1質量%以下などとすることもできる。このような溶脱率であるので、高温多湿のような環境下で用いられる場合であっても、加工木質円盤材の表面がべたついたり、液だれが生じたりしにくい。なお、溶脱率は、実施例に記載の方法にて算出することができる。
【0052】
例えば、本発明の加工木質円盤材は、溶脱試験における溶脱量が0.1kg/m3以下や0.05kg/m3以下、0.01kg/m3以下などと非常に低いものとできる。
【0053】
本発明の加工木質円盤材は、その表面の少なくとも一部に塗装膜を有することが好ましい。すなわち、本発明の加工木質円盤材は、その表面の少なくとも一部に塗装が施されていることが好ましい。塗装膜を有することで、溶脱が更に改善された加工木質円盤材とすることができる。
【0054】
本発明の加工木質円盤材は、そのままテーブル等のインテリアや家具などに使用することができる。また、本発明の加工木質円盤材をさらに加工し、目的の製品(テーブルや椅子、家具等)とすることもできる。
【実施例
【0055】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
[実施例1]
1)供試体
スギ円盤材:φ約500mm×厚さ10mm、20mm、30mm、40mm、50mm
スギ円盤材は、末口直径(φ)が約500mmの九州産スギ丸太3本を、丸太(1)、丸太(2)、丸太(3)とし、丸太(1)からは10mm厚および40mm厚、丸太(2)からは20mm厚および30mm厚、丸太(3)からは50mm厚の円盤材を12枚ずつ計60枚切り出して用いた。切り出した円盤材は、実験室内で3日間養生して用いた。
【0057】
2)糖類を含む水溶液(薬液)
スクロースは、塩水港精糖株式会社製の食品添加物製品を用いた。スクロース水溶液は50wt%に純水で調整した。なお、作製した水溶液の密度は1.228g/cm3であった。
【0058】
3)含浸(注入)方法
切り出した各厚さの木質円盤材12枚のうち末口側から1、5、9枚目にスクロース含浸処理(浸漬法)を行った。
容器にスクロース水溶液を入れ、次いで、木質円盤材を容器に入れ、室温で、木質円盤材をスクロース水溶液に12日間浸漬した。
【0059】
4)乾燥
その後、容器から木質円盤材を取り出し、7日間養生した後、60℃、70%RH(平衡含水率10%)の恒温恒湿器内で恒量に達するまで静置して乾燥し、実施例1の加工木質円盤材(含浸処理木質円盤材)を得た。
【0060】
含浸(注入)前後の重量差およびスクロース水溶液の濃度から、各厚さの加工木質円盤材の糖類(スクロース)の含浸量を算出した。表1に結果を示す。
【0061】
【表1】
【0062】
[比較例1]
切り出した各厚さの木質円盤材12枚のうち末口側から4、8、12枚目に純水含浸処理を行い、これを対照例とした。
スクロース水溶液に代えて純水を用いた以外は、実施例1と同様にして浸漬および乾燥を行い、比較例1の加工木質円盤材を得た。
【0063】
[収縮率の測定]
実施例1の加工木質円盤材(乾燥が終了した含浸処理木質円盤材)のうち、各厚さのもの1枚ずつを分割し、JIS Z 2101:2009に準拠した方法により平均収縮率を測定した。
【0064】
なお、20mm厚~50mm厚のものは、心材部4か所、辺材部2か所から接線方向50mm、放射方向40mmとなるように切り出し、さらに木口面(表層)から中心層まで厚さ5mmずつ分割し、これを試験片として評価に用いた。10mm厚のものは厚さ方向の分割が困難であったため、厚さ方向には分割せずに、心材4か所、辺材2か所から接線方向50mm、放射方向40mmとなるように切り出し、これを試験片として評価に用いた。
【0065】
比較例1の加工木質円盤材についても、同様に、各厚さのもの1枚ずつを分割し、JIS Z 2101:2009に準拠した方法により平均収縮率を測定した。
【0066】
実施例1の加工木質円盤材(厚さ10mm~50mm)において、辺材部の表層における接線方向の平均収縮率は0.04~0.10%であり、辺材部の表層から中心層までの接線方向の平均収縮率は0.04~0.10%であり、心材部の表層における接線方向の平均収縮率は、0.11~0.16%以下であり、心材部の表層から中心層までの接線方向の平均収縮率は0.11~0.21%であった。
【0067】
比較例1の加工木質円盤材(厚さ10mm~50mm)において、辺材部の表層における接線方向の平均収縮率は0.21~0.27%であり、辺材部の表層から中心層までの接線方向の平均収縮率は0.21~0.27%であり、心材部の表層における接線方向の平均収縮率は、0.21~0.27%であり、辺材部の表層から中心層までの接線方向の平均収縮率は0.21~0.27%であった。
【0068】
図2に、スクロースの含浸量と、辺材部の表層における平均収縮率をプロットした結果を示す。なお、各スクロースの含浸量における平均収縮率は、各スクロースの含浸量に対応する各厚さの加工木質円盤材の辺材部から上記のように切り出した2個の試験片を用いて測定した平均収縮率の平均値とした。比較例1は、各厚さの加工木質円盤材の辺材部から切り出した全ての試験片の平均収縮率の平均値をスクロースの含浸量0としてプロットし、最大値と最小値の範囲をエラーバーで表示した。
【0069】
図3に、スクロースの含浸量と、心材部の表層における平均収縮率をプロットした結果を示す。なお、各スクロースの含浸量における平均収縮率は、各スクロースの含浸量に対応する各厚さの加工木質円盤材の心材部から上記のように切り出した4個の試験片を用いて測定した平均収縮率の平均値とした。比較例1は、各厚さの加工木質円盤材の心材部から切り出した全ての試験片の平均収縮率の平均値をスクロースの含浸量0としてプロットし、最大値と最小値の範囲をエラーバーで表示した。
【0070】
[溶脱試験(I)]
実施例1の加工木質円盤材(10mm~50mm厚)を、40℃、90%RHに設定して1週間静置した。さらに、40℃、40%RHに設定を変更して1週間静置させたのち、目視評価したところ、薬剤の溶脱や加工木質円盤材の表面のベタツキは確認されなかった。
【0071】
[溶脱試験(II)]
実施例1の加工木質円盤材のうち50mm厚のものを80℃で恒量に達するまで乾燥した。乾燥後、恒温恒湿器内に入れ、水平面に対して60°傾けて受け皿の上に静置した。40℃、90%RHで24時間調湿後、60℃送風乾燥24時間を1サイクルとして、この操作を5サイクル行い、受け皿と材表面を観察することで溶脱性を評価した。その後、80℃で恒量に達するまで乾燥し、試験前後での加工木質円盤材の重量変化を確認した。
【0072】
溶脱試験の結果、実施例1の加工木質円盤材は、表面に結晶化した溶剤の付着は観察されなかった。また、受け皿への薬液の溶脱についても確認されなかった。さらに、実施例1の加工木質円盤材は、溶脱試験前後の重量変化(溶脱量)が0.01kg(溶脱試験前:5.605kg、溶脱試験後:5.595kg)と極めて少なかった。溶脱率(試験前後での加工木質円盤材の重量変化(kg)/糖類の含浸量(kg/m3)×100(%))は、0.01%であった。
【0073】
[加工木質円盤材の割れ評価]
実施例1と比較例1の各厚さのもの1枚ずつ、計10枚を恒温恒湿器内に入れた。温度、相対湿度を40℃、90%RHに設定して1週間静置後、40℃、40%RHに設定を変更して1週間静置させ、割れの状況を観察した。
【0074】
割れ評価の結果、実施例1の加工木質円盤材(厚さ10mm~50mm)は5枚全てで外周割れが発生しなかった。一方、比較例1の純水処理では、20mm厚の木質円盤材を除いて、割れ評価試験開始前から割れが発生しており、割れが拡大する結果となった。また、割れ評価試験前に割れが発生していなかった純水処理20mm厚の加工木質円盤材に幅15mmの外周割れが発生した。
【0075】
[比較例2]
スギ円盤材(φ約500mm×厚さ50mm)に含浸させる薬液として、ポリエチレングリコール水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の加工木質円盤材を得た。
なお、ポリエチレングリコール水溶液は、ポリエチレングリコール 平均分子量1000(以下、「PEG1000」と記載する。)を純水で50wt%に調整して用いた。
【0076】
図4は、比較例2の加工木質円盤材を40℃、90%RHの環境下で1週間静置後の様子を示す写真である。比較例2の加工木質円盤材を40℃、90%RHの環境下で1週間静置したところ、図4に示すように、ポリエチレングリコールの溶脱が確認され、表面にもベタツキが確認された。
【0077】
[参考例1]:その他糖アルコール類の寸法安定効果
1)試験片
スギ辺材:40mm(T:接線方向)×20mm(L:繊維方向)×15mm(R:放射方向)
【0078】
2)糖類を含む水溶液(薬液)
糖類を含む水溶液として、50wt%スクロース水溶液または30wt%エリスリトール水溶液を用いた。
【0079】
3)含浸(注入)方法
減圧注入を利用して、試験片にスクロース水溶液を含浸させた。まず、試験片をスクロース水溶液中に入れて、40℃、20mmHgで1時間浸漬し、次いで、40℃、常圧で1時間を浸漬した。この40℃、20mmHgでの1時間の浸漬と、40℃、常圧での1時間の浸漬とを、試験片の質量変化がなくなるまで繰り返した。
エリスリトール水溶液についても同様に行い、試験片にエリスリトール水溶液を含浸させた。
【0080】
4)乾燥
60℃、70%RHで、平衡含水率が10%になるように乾燥した。
【0081】
[収縮率の測定]
JIS Z 2101:2009に準拠した方法で、各試験片の平均収縮率を測定した。
結果を、図5に示す。図5に示すように、糖であるスクロースだけでなく、糖アルコールであるエリスリトールでも、接線方向の平均収縮率0.10%以下となり、寸法安定性の向上の効果を確認できた。
【0082】
[参考例2]:溶脱防止効果
1)試験片
スギ心材:100mm(T)×20mm(L)×100mm(R)
【0083】
2)薬液
50wt%スクロース水溶液
45wt%ラクチトール水溶液
40wt%トレハロース水溶液
30wt%エリスリトール水溶液
50wt%PEG1000水溶液
【0084】
3)含浸(注入)方法
減圧加圧注入を利用して、試験片にスクロース水溶液を含浸させた。まず、試験片をスクロース水溶液中に入れて、室温、-99.5kPaで1時間浸漬し、次いで、室温、0.7MPaで1時間を浸漬した。
その他の薬液についても同様に行い、それぞれの薬液を含浸させた試験片を準備した。
【0085】
4)乾燥
室温2日間の養生後、80℃の条件で平衡含水率が10%になるように1週間乾燥させた。
【0086】
[溶脱試験]
試験片を60°の角度で立てかけ、40℃、90%RH、24時間と、60℃、24時間を1サイクルとして、5サイクルの条件で試験片を処理した後、105℃で恒量となるまで乾燥させた。溶脱試験前の試験片の質量と溶脱試験後の試験片の質量との質量差を求め、薬品溶脱率を算出した。結果を、図6に示す。
【0087】
図6に示すように、PEG1000水溶液で処理したものに比べて、糖類を含む水溶液で処理したものは、いずれも溶脱率が10分の1以下となり、薬剤の溶脱が改善された。
【0088】
[参考例3]:塗装による溶脱防止効果
薬液として、50wt%PEG1000水溶液または50wt%スクロース水溶液を用い、参考例2の3)と同様にして、薬液を含浸させた。
薬剤注入後、60℃で乾燥し、気乾状態に調整した。
気乾状態に調整した試験片に対し、ウレタン塗装の下塗り60~70g/m2、中塗り60~70g/m2、上塗り60~70g/m2を行った。
【0089】
参考例3と同様にして、ウレタン塗装を施した木質円盤材の溶脱試験を行い、溶脱率を算出した。結果を、図7に示す。図7に示すように、ウレタン塗装を施すことによって、さらに溶脱を防ぐことができた。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の加工木質円盤材は、インテリアや家具、建材等の製品へ応用できるため産業上有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7