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特許7569044電磁波ノイズデータを提供するアクティブ補償装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】電磁波ノイズデータを提供するアクティブ補償装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/12 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
H02M1/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023551793
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 KR2022007883
(87)【国際公開番号】W WO2022255828
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0073037
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0129812
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521451086
【氏名又は名称】イーエム コアーテック
【氏名又は名称原語表記】EM CORETECH
【住所又は居所原語表記】106-504-1, 50, UNIST-gil, Eonyang-eup Ulju-gun Ulsan 44919 Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】515351884
【氏名又は名称】ユニスト(ウルサン ナショナル インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー)
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム ジングク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン サンヨン
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-149675(JP,A)
【文献】特開2011-185626(JP,A)
【文献】特表2022-529932(JP,A)
【文献】特開2003-059187(JP,A)
【文献】米国特許第06546057(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つ以上の大電流経路のそれぞれにコモンモードで発生するノイズをアクティブに補償するアクティブ補償装置において、
前記大電流経路上のコモンモードノイズ信号に対応する出力信号を生成するセンシング部と、
前記出力信号から増幅された増幅信号を出力する増幅部、及び前記出力信号からデジタル変換されたノイズデータを出力するデジタル回路部を含むIC部と、
前記増幅信号に基づいて、前記大電流経路から補償電流を引き出し、又は前記大電流経路上に補償電圧を発生する補償部と、を含み、
前記ノイズデータは、外部装置に提供される、アクティブ補償装置。
【請求項2】
前記IC部は、1つのICチップからなり、
前記1つのICチップは、
前記センシング部の出力信号の入力を受ける入力端子と、前記増幅信号を出力する第1出力端子と、前記ノイズデータを出力する第2出力端子とを含む、請求項1に記載のアクティブ補償装置。
【請求項3】
前記デジタル回路部は、
アナログデジタル変換部と、
前記出力信号の入力を受け、前記アナログデジタル変換部に使用可能な低電圧アナログ信号に減衰させる入力バッファと、を含む、請求項1に記載のアクティブ補償装置。
【請求項4】
前記IC部は、
前記アナログデジタル変換部の内部回路を制御するためのクロック信号を独自に生成するための電圧制御発振器をさらに含む、請求項3に記載のアクティブ補償装置。
【請求項5】
前記IC部は、
前記デジタル回路部で生成されたデジタル信号又は前記ノイズデータに基づいて、前記増幅部の動作を制御する、請求項1に記載のアクティブ補償装置。
【請求項6】
前記IC部は、
前記増幅部の入力信号をデジタル変換して第1ノイズデータを生成する第1デジタル回路部と、前記増幅部の出力信号をデジタル変換して第2ノイズデータを生成する第2デジタル回路部とを含む、請求項1に記載のアクティブ補償装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アクティブ補償装置に関し、2つの装置を接続する2つ以上の大電流経路上にコモンモードで発生するノイズ電流及び/又はノイズ電圧を補償するアクティブ補償装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、家電用、産業用電気製品や電気自動車などの電気機器は動作中にノイズを放出する。例えば、電子機器内で電力変換装置のスイッチング動作によりノイズが電力線を介して放出されることもある。このようなノイズを放置すると、人体に有害であるだけではなく、周辺部品及び他の電子機器に誤動作又は故障を引き起こす。このように、電子機器が他の機器に及ぼす電磁障害をEMI(Electromagnetic Interference)といい、とりわけ、ワイヤ及び基板配線を経由して伝達されるノイズを伝導放出(Conducted Emission,CE)ノイズという。
【0003】
電子機器が周辺部品及び他の機器に故障を引き起こすことなく動作させるために、全ての電気製品においてEMIノイズ放出量を厳格に規制している。よって、ほとんどの電気製品は、ノイズ放出量に対する規制を満たすために、EMIノイズ電流を低減するノイズ低減装置(例:EMIフィルタ)を必須に含む。例えば、エアコンなどの白物家電、電気自動車、航空、エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System,ESS)などにおいて、EMIフィルタが必須に含まれる。従来のEMIフィルタは、伝導放出(CE)ノイズのうちのコモンモード(Common Mode,CM)ノイズを低減するために、コモンモードチョーク(CM choke)を用いる。コモンモード(CM)チョークは、パッシブフィルタであって、コモンモードノイズ電流を抑制する役割を果たす。
【0004】
一方、高電力/高電流システムにおいて、コモンモードチョークの磁気飽和を防止し、ノイズ低減性能を維持するためには、コモンモードチョークのサイズを大きくするか個数を増やさなければならない。それにより、高電力製品のためのEMIフィルタの大きさと価格が大幅に増加するという問題が生じた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、上述のようなパッシブEMIフィルタの欠点を克服するために、増幅器を経て生成された電流/電圧でノイズを補償するアクティブEMIフィルタの開発に対する関心が増加している。
【0006】
ところで、既存のアクティブEMIフィルタの場合、電流/電圧の補償でEMIノイズを補償するだけであり、前記ノイズに関する情報を収集することが根本的に困難である。
【0007】
本発明は、上記問題を改善するためになされたものであり、EMIノイズに関する情報をデジタルノイズデータとして提供できるアクティブ補償装置を提供することを目的とする。
【0008】
しかし、上記課題は例示的なものであり、本発明の範囲はそれに限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態による少なくとも2つ以上の大電流経路のそれぞれにコモンモードで発生するノイズをアクティブに補償するアクティブ補償装置は、前記大電流経路上のコモンモードノイズ信号に対応する出力信号を生成するセンシング部と、前記出力信号から増幅された増幅信号を出力する増幅部と、及び前記出力信号からデジタル変換されたノイズデータを出力するデジタル回路部を含むIC部と、前記増幅信号に基づいて、前記大電流経路から補償電流を引き出すか、又は前記大電流経路上に補償電圧を発生する補償部とを含み、前記ノイズデータは、外部装置に提供されるようにしてもよい。
【0010】
一実施形態によれば、前記IC部は、1つのICチップからなり、前記1つのICチップは、前記センシング部の出力信号の入力を受ける入力端子と、前記増幅信号を出力する第1出力端子と、前記ノイズデータを出力する第2出力端子とを含むようにしてもよい。
【0011】
一実施形態によれば、前記デジタル回路部は、アナログデジタル変換部と、前記出力信号の入力を受け、前記アナログデジタル変換部に使用可能な低電圧アナログ信号に減衰させる入力バッファとを含むようにしてもよい。
【0012】
一実施形態によれば、前記IC部は、前記アナログデジタル変換部の内部回路を制御するためのクロック信号を独自に生成するための電圧制御発振器をさらに含むようにしてもよい。
【0013】
一実施形態によれば、前記IC部は、前記デジタル回路部で生成されたデジタル信号又は前記ノイズデータに基づいて、前記増幅部の動作を制御するようにしてもよい。
【0014】
一実施形態によれば、前記IC部は、前記増幅部の入力信号をデジタル変換して第1ノイズデータを生成する第1デジタル回路部と、前記増幅部の出力信号をデジタル変換して第2ノイズデータを生成する第2デジタル回路部とを含むようにしてもよい。
【0015】
上記以外の他の態様、特徴、利点は、添付の図面、特許請求の範囲、及び以下の発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0016】
上述のように構成される本発明の様々な実施形態によれば、アクティブEMIフィルタを用いて、EMIノイズを相殺すると共に、EMIノイズデータを収集することができる。
【0017】
本発明の様々な実施形態によれば、アクティブEMIフィルタからノイズデータを抽出及び収集し、様々な用途に活用することができる。例えば、本発明の実施形態によるアクティブEMIフィルタから出力されたノイズデータは、状態変化又は非常状況の監視のためにモニタすることができる。また、ノイズデータは、ビックデータ処理に活用することができる。
【0018】
もちろん、本発明の範囲がこのような効果に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態によるアクティブ補償装置100を含むシステムの構成を概略的に示す図である。
図2図1に示す実施形態のより具体的な一例を示すものであって、本発明の一実施形態によるアクティブ補償装置100Aを概略的に示す図である。
図3】本発明の様々な実施形態によるIC部500の具体的な一例を示す図である。
図4】一実施形態における入力バッファ510の一例として入力バッファ510-1を示す図である。
図5】一実施形態における入力バッファ510の他の一例として入力バッファ510-2を示す図である。
図6】一実施形態におけるアナログデジタル変換部520の一例を示す図である。
図7図2に示す実施形態のより具体的な一例を示すものであって、本発明の一実施形態によるアクティブ補償装置100A-1を概略的に示す図である。
図8図1に示す実施形態のより具体的な一例を示すものであって、本発明の一実施形態によるアクティブ補償装置100Bを概略的に示す図である。
図9】本発明の他の一実施形態によるアクティブ補償装置100Cを概略的に示す図である。
図10】本発明のさらに他の一実施形態によるアクティブ補償装置100Dを概略的に示す図である。
図11図1に示す実施形態のより具体的な一例を示すものであって、本発明の一実施形態によるアクティブ補償装置100Eを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態による少なくとも2つ以上の大電流経路のそれぞれにコモンモードで発生するノイズをアクティブに補償するアクティブ補償装置は、前記大電流経路上のコモンモードノイズ信号に対応する出力信号を生成するセンシング部と、前記出力信号から増幅された増幅信号を出力する増幅部と、前記出力信号からデジタル変換されたノイズデータを出力するデジタル回路部を含むIC部と、前記増幅信号に基づいて、前記大電流経路から補償電流を引き出すか、又は前記大電流経路上に補償電圧を発生する補償部と、を含み、前記ノイズデータは、外部装置に提供されるようにしてもよい。
【0021】
本発明は、様々な変形を加えることができ、様々な実施形態を有するので、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明に詳細に説明する。本発明の効果及び特徴、並びにそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述する実施形態を参照することによって明らかになるであろう。しかし、本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、様々な形態で実現することができる。
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明するが、図面を参照して説明するにあたり、同一又は対応する構成要素には同一の図面符号を付し、それについての重複する説明は省略する。
【0023】
以下の実施形態において、第1、第2などの用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的で用いられている。
【0024】
以下の実施形態において、単数の表現には、文脈上明らかに他の意味を表さない限り、複数の表現が含まれる。
【0025】
以下の実施形態において、「含む」や「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴又は構成要素が存在することを意味するものであり、1つ以上の他の特徴又は構成要素が付加される可能性を予め排除するものではない。
【0026】
図面においては、説明の便宜のために、構成要素の大きさが誇張又は縮小されることがある。例えば、図面に示す各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜のために任意に示しているので、本発明は必ずしも図示のものに限定されるものではない。
【0027】
以下の実施形態において、構成要素、部、ブロック、モジュールなどが接続されているとは、構成要素、部、ブロック、モジュールが直接接続されている場合だけではなく、構成要素、部、ブロック、モジュールの中間に他の構成要素、部、ブロック、モジュールが介在して間接的に接続されている場合も含む。
【0028】
図1は本発明の一実施形態によるアクティブ補償装置100を含むシステムの構成を概略的に示す図である。アクティブ補償装置100は、第1装置300から2つ以上の大電流経路111、112上でコモンモード(Common Mode,CM)で発生するノイズ電流I(例:EMIノイズ電流)及び/又はノイズ電圧(例:EMIノイズ電圧)をアクティブに補償することができる。
【0029】
図1を参照すると、アクティブ補償装置100は、センシング部120、IC部500及び補償部140を含んでもよい。
【0030】
本明細書において、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を使用する様々な形態の装置であることができる。例えば、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を用いて駆動される負荷であってもよい。また、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を用いてエネルギーを貯蔵し、貯蔵されたエネルギーを用いて駆動される負荷(例えば、電気自動車)であってもよい。ただし、それに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、第2装置200は、第1装置300に電源を電流及び/又は電圧の形態で供給するための様々な形態の装置であることができる。例えば、第2装置200は、電源を生産して供給する装置であってもよく、他の装置により生産された電源を供給する装置(例えば、電気自動車充電装置)であってもよい。もちろん、第2装置200は、貯蔵されたエネルギーを供給する装置であってもよい。ただし、それに限定されるものではない。第1装置300側には、電力変換装置が位置してもよい。一例として、前記電力変換装置のスイッチング動作により、コモンモードのノイズ電流Iが大電流経路111、112上に発生し得る。他の例として、第1装置300側から漏れたノイズ電流がグランド(例:基準電位1)を経由して第2装置200を介して大電流経路111、112に流入することにより、ノイズ電流Iが発生し得る。
【0032】
大電流経路111、112上に同一方向に発生するノイズ電流Iをコモンモードノイズ電流といえる。また、コモンモードノイズ電圧Vは、大電流経路111、112間で発生する電圧ではなく、グランド(例:基準電位1)と大電流経路111、112との間で発生する電圧であってもよい。
【0033】
例えば、第1装置300側は、ノイズソースに対応するものであってもよく、第2装置200側は、ノイズレシーバに対応するものであってもよい。
【0034】
2つ以上の大電流経路111、112は、第2装置200により供給される電源、すなわち大電流I21、I22を第1装置300に伝達する経路であってもよいが、例えば電力線であってもよい。例えば、2つ以上の大電流経路111、112のそれぞれは、ライブライン(Live line)とニュートラルライン(Neutral line)であってもよい。大電流経路111、112の少なくとも一部は、補償装置100を通過することができる。大電流I21、I22は、第2周波数帯域の周波数を有する交流電流であってもよい。第2周波数帯域は、例えば50Hz~60Hz帯域であってもよい。
【0035】
また、2つ以上の大電流経路111、112は、第1装置300側からノイズ電流Iが第2装置200に伝達される経路であってもよい。あるいは、グランド(例:基準電位1)に対してノイズ電圧Vが発生する経路であってもよい。
【0036】
ノイズ電流I又はノイズ電圧Vは、2つ以上の大電流経路111、112のそれぞれに対してコモンモード(Common Mode)で入力されてもよい。ノイズ電流Iは、様々な原因により第1装置300において意図せず発生する電流であってもよい。例えば、ノイズ電流Iは、第1装置300と周辺環境間の寄生キャパシタンス(Capacitance)によるノイズ電流であってもよい。あるいは、ノイズ電流Iは、第1装置300の電力変換装置のスイッチング動作により発生するノイズ電流であってもよい。ノイズ電流I及びノイズ電圧Vは、第1周波数帯域の周波数を有してもよい。第1周波数帯域は、前述の第2周波数帯域より高い周波数帯域であってもよい。第1周波数帯域は、例えば150KHz~30MHz帯域であってもよい。
【0037】
同図において、ノイズ電流I及びノイズ電圧Vは、大電流経路111、112上で第1装置300とセンシング部120との間のノードに示されているが、本文書において、「ノイズ電流」及び「ノイズ電圧」という用語は、それに限定されるものではなく、大電流経路111、112全体にわたって第1周波数を有してコモンモードで発生する電圧及び電流を示すことができる。
【0038】
一方、2つ以上の大電流経路111、112は、図1に示すように、2つの経路を含んでもよく、3つの経路(例:3相3線の電力システム)又は4つの経路(例:3相4線の電力システム)を含んでもよい。大電流経路111、112の数は、第1装置300及び/又は第2装置200が使用する電源の種類及び/又は形態によって異なるようにすることができる。
【0039】
センシング部120は、2つ以上の大電流経路111、112上のノイズ電流Iを検知し、ノイズ電流Iに対応する出力信号をIC部500側へ生成することができる。すなわち、センシング部120とは、大電流経路111、112上のノイズ電流Iを検知する手段を意味できる。センシング部120には、ノイズ電流Iのセンシングのために大電流経路111、112の少なくとも一部が通過することができるが、センシング部120内でセンシングによる出力信号が生成される部分は、大電流経路111、112と絶縁されてもよい。例えば、センシング部120は、センシング変圧部で実現されてもよい。センシング変圧部は、大電流経路111、112と絶縁された状態で、大電流経路111、112上のノイズ電流Iを検知することができる。
【0040】
IC部500は、センシング部120に電気的に接続され、センシング部120が出力した出力信号の増幅信号に対応する補償信号S1を生成することができ、また、前記出力信号のデジタル信号に対応するノイズデータS2を生成することができる。本発明において、「増幅」とは、増幅対象の大きさ及び/又は位相を調整することを意味できる。IC部500は、様々な手段で実現されてもよく、また、能動素子を含んでもよい。
【0041】
本発明の様々な実施形態によれば、IC部500は、ノイズを相殺するための補償信号S1を補償部140に出力し、前記ノイズを示すデジタルデータS2を外部に出力することができる。
【0042】
本発明の様々な実施形態において、IC部500は、センシング部120から出力された出力信号(すなわち、ノイズに対応するアナログ信号)をデジタル信号に変換する回路を含んでもよい。様々な実施形態において、IC部500は、前記デジタル信号に基づいて生成されたノイズデータS2を外部に出力することができる。また、IC部500は、センシング部120から出力された出力信号(すなわち、ノイズに対応するアナログ信号)を増幅する増幅部を含んでもよい。IC部500は、前記増幅部により増幅されたアナログ信号を補償信号S1として補償部140に出力することができる。IC部500の詳細な構成の例は、図3図6において後述する。
【0043】
例えば、アクティブ補償装置100から出力されたノイズデータS2は、データストレージに伝達されて保存されるか、又は波形ディスプレイ装置に伝達されるようにしてもよい。例えば、ノイズデータS2は、状態変化や非常状況の監視のためにモニタされるようにしてもよい。ノイズデータS2は、ビックデータ処理又は人工知能技術に活用することもできる。
【0044】
一方、IC部500は、第1装置300及び/又は第2装置200とは区別される第3装置400からの電源供給により、センシング部120が出力した出力信号を増幅して増幅電流/電圧を補償信号S1として生成し、前記出力信号に基づいて、ノイズデータS2を生成することができる。ここで、第3装置400は、第1装置300及び第2装置200とは無関係な電源からの電源供給によりIC部500の入力電源を生成する装置であってもよい。選択的に、第3装置400は、第1装置300及び第2装置200のいずれか1つの装置からの電源供給によりIC部500の入力電源を生成する装置であってもよい。
【0045】
IC部500は、増幅電圧又は増幅電流を補償信号S1として補償部140側に出力することができる。補償信号S1は、補償部140に入力される。補償部140は、入力された補償信号(増幅電圧又は増幅電流)に基づいて、補償電圧又は補償電流を生成することができる。
【0046】
一実施形態によれば、補償部140は、IC部500から出力された増幅電圧に基づいて、大電流経路111、112上に直列に補償電圧を発生することができる。補償部140の出力側は、大電流経路111、112に直列に補償電圧を発生することができるが、IC部500とは絶縁されてもよい。例えば、補償部140は、前記絶縁のために、補償変圧器からなってもよい。例えば、前記補償変圧器の1次側には、IC部500から出力された補償信号がかかり、前記補償変圧器の2次側には、前記補償信号に基づいた補償電圧が生成されてもよい。前記補償電圧は、大電流経路111、112上に流れるノイズ電流Iを抑制する効果を奏することができる。その場合、補償部140は、電圧補償に該当することができる。電圧補償についての詳細な説明は、図2図7図10図11において後述する。
【0047】
他の一実施形態によれば、補償部140は、IC部500から出力された増幅電流に基づいて、補償電流を生成することができる。前記補償電流は、大電流経路111、112上に注入(inject)されるか、又は大電流経路111、112から引き出されることにより、大電流経路111、112上のノイズ電流Iを相殺又は低減することができる。その場合、補償部140は、電流補償に該当することができる。電流補償についての詳細な説明は、図8図9図10において後述する。一方、補償部140の出力側は、大電流経路111、112に前記補償電流を流すために大電流経路111、112に接続されてもよいが、IC部500とは絶縁されてもよい。例えば、補償部140は、前記絶縁のために、補償変圧器を含んでもよい。
【0048】
補償部140は、第1装置300側から入力されるノイズを電源側である前段で補償するフィードフォワード(feedforward)タイプであってもよい。しかし、本発明は、それに限定されるものではなく、アクティブ補償装置100は、ノイズを後段に戻って補償するフィードバック(feedback)タイプの補償部を含んでもよい(図9参照)。
【0049】
図2図1に示す実施形態のより具体的な一例を示すものであって、本発明の一実施形態によるアクティブ補償装置100Aを概略的に示す図である。アクティブ補償装置100Aは、センシング部120A、IC部500及び補償部140Aを含んでもよい。
【0050】
図2及び以下の図において、第1装置300、第2装置200、第3装置400及びIC部500の基準電位(基準電位2)602は省略されることもある。すなわち、アクティブ補償装置100Aの前段(例:補償部140A側)の大電流経路111、112は、第2装置200の電力線に接続され、後段(例:センシング部120A側)の大電流経路111、112は、第1装置300の電力線に接続されてもよい。また、図示していないが、IC部500は、第3装置400からの電源供給により内部の能動素子を駆動することができる。
【0051】
一実施形態によれば、前述のセンシング部120は、センシング変圧器120Aを含んでもよい。
【0052】
センシング変圧器120Aは、大電流経路111、112と絶縁された状態で大電流経路111、112上のノイズ電流I又はノイズ電流Iによりセンシング変圧器120Aの両端に誘導された電圧(例:Vchoke)を検知するための手段であってもよい。
【0053】
センシング変圧器120Aは、大電流経路111、112上に配置される1次側121と、IC部500の入力端に接続される2次側122とを含んでもよい。センシング変圧器120Aは、大電流経路111、112上に配置される1次側121(例:1次巻線)において、ノイズ電流Iにより誘導される磁束密度に基づいて、2次側122(例:2次巻線)に誘導電流又は誘導電圧Vsenを生成することができる。センシング変圧器120Aの1次側121は、例えば、1つのコアに第1大電流経路111及び第2大電流経路112がそれぞれ巻回されている巻線であってもよい。
【0054】
センシング変圧器120Aは、具体的には、第1大電流経路111(例:ライブライン)上のノイズ電流Iにより誘導される磁束密度と、第2大電流経路112(例:ニュートラルライン)上のノイズ電流Iにより誘導される磁束密度とが互いに重なる(又は補強される)ように構成されてもよい。ここで、大電流経路111、112上には、大電流I21、I22も流れるが、第1大電流経路111上の大電流I21により誘導される磁束密度と、第2大電流経路112上の大電流I22により誘導される磁束密度とは、互いに相殺されるように構成されてもよい。また、例えば、センシング変圧器120Aは、第1周波数帯域(例えば、150KHz~30MHzの範囲を有する帯域)のノイズ電流Iにより誘導される磁束密度の大きさが第2周波数帯域(例えば、50Hz~60Hzの範囲を有する帯域)の大電流I21、I22により誘導される磁束密度の大きさより大きくなるように構成されてもよい。
【0055】
このように、センシング変圧器120Aは、大電流I21、I22により誘導される磁束密度が互いに相殺されるように構成され、ノイズ電流Iのみが検知されるようにすることができる。すなわち、センシング変圧器120Aの2次側122に誘導される電圧Vsenは、ノイズ電流Iによる1次側121の誘導電圧(例:Vchoke)が所定の比率で変換された電圧であってもよい。
【0056】
センシング変圧器120Aの2次側に誘導される誘導電圧Vsenは、IC部500の入力信号として入力されるようにしてもよい。すなわち、IC部500の入力信号は、ノイズ電流I又はノイズ電圧Vに比例する信号であってもよい。
【0057】
IC部500は、増幅部130及びデジタル回路部501を含んでもよい。IC部500に入力された信号は、増幅部130及びデジタル回路部501にそれぞれ入力されるようにしてもよい。
【0058】
増幅部130は、入力信号(例:Vsen)を増幅して補償信号S1に出力することができる。デジタル回路部501は、前記入力信号(例:Vsen)に基づいて、ノイズデータS2を出力することができる。IC部500及びデジタル回路部501の詳細な構成の例は、図3図6において後述する。
【0059】
本発明において、増幅部130による「増幅」とは、増幅対象の大きさ及び/又は位相を調整することを意味できる。増幅部130は、様々な手段で実現されてもよく、また、能動素子を含んでもよい。一実施形態において、増幅部130は、BJT(Bipolar Junction Transistor)を含んでもよい。例えば、増幅部130は、BJTに加えて、抵抗やキャパシタなど、複数の受動素子を含んでもよい。ただし、それに限定されるものではなく、本発明で説明する「増幅」のための手段は、本発明の増幅部130として制限なく使用することができる。
【0060】
一方、IC部500の基準電位(基準電位2)602と補償装置100の基準電位(基準電位1)601とは、互いに区別される電位であってもよい。
【0061】
一実施形態によれば、前述の補償部140は、補償変圧器140Aを含んでもよい。
【0062】
補償変圧器140Aは、受動素子IC部500を大電流経路111、112から絶縁することができる。補償変圧器140Aは、大電流経路111、112と絶縁された状態で、IC部500から出力された補償信号S1に基づいて、大電流経路111、112に補償電圧Vinj1を誘導し、電圧を補償するための手段であってもよい。
【0063】
補償変圧器140Aは、例えば、1つのコアに1次側141の電線及び2次側142の電線が通過するか又は少なくとも1回以上巻かれた構造であってもよい。前記1次側141の電線は、IC部500から出力された補償信号S1が流れる電線であり、前記2次側142の電線は、大電流経路111、112に該当することができる。
【0064】
補償変圧器140Aは、1次側141に発生した増幅電圧に基づいて、2次側142である大電流経路111、112上に補償電圧Vinj1を誘導することができる。
【0065】
一方、本発明の一実施形態によるアクティブ補償装置100Aは、減結合キャパシタ部170をさらに含んでもよい。
【0066】
減結合キャパシタ部170は、例えば、センシング部120と第1装置300との間に配置されてもよく、また、一端が基準電位1 601に接続され、他端が大電流経路111、112にそれぞれ接続される2つのYキャパシタで構成されてもよい。
【0067】
図3は本発明の様々な実施形態によるIC部500の具体的な一例を示す図である。図2及び図3を参照すると、本発明の実施形態によるIC部500は、増幅部130及びデジタル回路部501を含んでもよい。デジタル回路部501は、IC部500の入力信号であるアナログ信号をデジタルノイズデータS2に変換することができ、入力バッファ510及びアナログデジタル変換部520を含んでもよい。
【0068】
IC部500は、リニアレギュレータ550及び電圧制御発振器(voltage controlled oscillator,VCO)560をさらに含んでもよい。リニアレギュレータ550は、IC部500内部の能動素子を駆動するためのDC低電圧を生成することができる。電圧制御発振器560は、アナログデジタル変換部520の内部回路を制御するためのクロック信号を生成することができる。
【0069】
IC部500は、物理的に1つのICチップであってもよい。本実施形態によれば、前述のようなデジタルノイズデータS2と補償信号S1とが1つのICチップから生成されてもよい。すなわち、ノイズデータS2を生成する構成(例:すなわち、デジタル回路部501)と補償信号S1を生成する増幅部130とが1つのICチップ上に実現されてもよい。ただし、それは一実施形態であるだけであり、他の実施形態において、ノイズデータを生成する構成と補償信号を生成する構成とが1つ以上の異なるチップ又はパッケージ上に実現されてもよい。
【0070】
IC部500は、センシング部120の出力信号の入力を受ける入力端子VINと、補償信号S1を出力する第1出力端子VOUTと、デジタルノイズデータS2を出力する第2出力端子VOUT2とを含んでもよい。
【0071】
前述のように、センシング部120は、ノイズ信号(I又はV)をセンシングし、ノイズ信号に対応する出力信号を生成することができる。センシング部120から出力された出力信号は、IC部500の入力信号となる。
【0072】
センシング部120の出力信号は、IC部500の入力端子VINを介して入力され、その後IC部500内で増幅部130及びデジタル回路部501の入力バッファ510にそれぞれ入力されるようにしてもよい。
【0073】
増幅部130は、アナログ入力信号を増幅することができる。増幅されたアナログ信号は、補償信号S1として第1出力端子VOUTを介して出力されるようにしてもよい。第1出力端子VOUTを介して出力された補償信号S1は、前述の補償部140に入力されるようにしてもよい。一方、補償信号S1は十分に大きくなければならないので、増幅部130の出力電圧は約12Vに相当するように設計されてもよいが、本発明はそれに限定されるものではない。
【0074】
一方、IC部500の入力端子VINを介して入力された信号は、入力バッファ510及びアナログデジタル変換部520を含むデジタル回路部501にも入力されるようにしてもよい。
【0075】
一実施形態によれば、デジタル回路部501の入力バッファ510に入力されたノイズ信号は、10V以上の高電圧スイング(swing)であることがある。よって、例えば、入力バッファ510は、十分な耐圧と性能を有するハイスイングDMOS(high-swing DMOS)であってもよい。
【0076】
図4は一実施形態における入力バッファ510の一例として入力バッファ510-1を示す図であり、図5は一実施形態における入力バッファ510の他の一例として入力バッファ510-2を示す図である。以下において、入力バッファ510についての説明には、入力バッファ510、510-1、510-2についての説明が全て含まれることもある。
【0077】
入力ノイズ信号が10V以上の高電圧信号であることがあるので、入力バッファ510、510-1、510-2は、高電圧(high-voltage,HV)入力バッファであってもよい。例えば、入力バッファ510の目標耐圧は、12Vであってもよく、入力インピーダンスは、100kohm以上であってもよく、帯域幅(BW)は、約30Mhzに相当してもよい。しかし、それに限定されるものではない。
【0078】
入力バッファ510は、入力信号の歪みを最小限に抑え、入力信号をADC520に使用可能な低電圧アナログ信号に減衰させる減衰器(attenuator)の役割を果たすことができる。すなわち、入力バッファ510は、例えば入力ノイズ信号の振幅を減少させてADC520側に出力することができる。
【0079】
一実施形態として、図4のように、入力バッファ510-1は、複数段の増幅器で構成されてもよく、他の実施形態として、図5のように、入力バッファ510-2は、1段の反転増幅器(inverting amplifier)で構成されてもよい。
【0080】
例えば、入力バッファ510-2の場合、入力信号がVinであれば、出力信号Vは下記数式1の通りである。
【数1】
【0081】
一方、入力バッファ510から出力された減衰信号は、デジタル回路部501のアナログデジタル変換部(ADC)520に入力されるようにしてもよい。アナログデジタル変換部520に入力される減衰信号は、EMIノイズ信号に対応するものであってもよい。ここで、対応するとは、EMIノイズ信号の大きさが所定の比率で変化することを意味できるが、それに限定されるものではない。
【0082】
アナログデジタル変換部520は、前記減衰信号の入力を受けてデジタル信号に変換することができ、前記デジタル信号に基づいて、デジタルノイズデータS2を出力することができる。
【0083】
図6は一実施形態におけるアナログデジタル変換部520の一例を示す図である。一実施形態によれば、アナログデジタル変換部520は、コンバータ回路521、デジタルブロック522(digital block)及び/又は出力バッファ(output buffer)523を含んでもよい。
【0084】
コンバータ回路521は、アナログデジタル変換部520のデータ処理コアといえる。一例として、コンバータ回路521は、図6に示すように、フラッシュADC(flash ADC)で構成されてもよい。フラッシュADCは、入力アナログ信号の大きさに応じて、温度計コード(thermometer code)形式のデジタル信号を出力することができる。
【0085】
しかし、コンバータ回路521は、フラッシュADCに限定されるものではなく、例えば、SAR(successive approximation register) ADC又はシグマ・デルタ(sigma-delta)ADCを含んでもよく、他のタイプのADCで構成されてもよい。
【0086】
一方、コンバータ回路521から出力されたデジタル信号は、デジタルブロック522に入力されるようにしてもよい。デジタルブロック522は、例えば、グレイエンコーダ(gray encoder)、グレイツーバイナリコンバータ(gray to binary converter)及び/又はデスキューラッチ(deskew latch)を含むことにより、欠陥(glitch)を最小限に抑えるバイナリコード(binary code)を生成することができる。
【0087】
デジタルブロック522は、例えば、デジタルノイズデータS2の欠陥を最小限に抑えるために、コンバータ回路521から出力されたデジタル信号を加工する構成であってもよい。
【0088】
デジタルブロック522から出力された信号は、出力バッファ523を介して、ノイズを示すバイナリコード形式のデジタルノイズデータS2として出力されるようにしてもよい。ノイズデータS2としては、5ビット信号が出力されるようにしてもよいが、それに限定されるものではない。実施形態によっては、8ビット~10ビット信号が出力されるようにしてもよく、その他も可能である。
【0089】
ノイズデータS2は、第2出力端子VOUT2を介してアクティブ補償装置100の外部に出力されるようにしてもよい。第2出力端子VOUT2は、例えば、データストレージ又は波形ディスプレイ装置などの外部装置に接続されてもよい。アクティブ補償装置100の外部に出力されたノイズデータS2は、状態変化や非常状況の監視のためにモニタされるようにすることができる。ノイズデータS2は、ビックデータ処理又は人工知能技術に活用することもできる。
【0090】
一方、一実施形態において、アナログデジタル変換部520の目標入力電圧レベルは、0.3V~1.3Vに相当するように設計されてもよく、スイッチング周波数(switching frequency)は、約800Mhzに対応するように設計されてもよい。しかし、本発明はそれに限定されるものではない。目標入力電圧レベルが0.3V~1.3Vに設計された場合、図6において、VREFNが0.3Vに相当し、VREFPが1.3Vに相当するようにしてもよい。また、一実施形態において、VDDAは、約1.8Vに相当するように設計されてもよいが、それに限定されるものではない。
【0091】
IC部500は、電圧制御発振器(voltage controlled oscillator,VCO)560をさらに含んでもよい。電圧制御発振器560は、入力電圧に応じて周波数が変化するクロック信号を生成することができる。そのような電圧制御発振器560は、外部クロック生成器によらず、アクティブ補償装置100が独自にクロック信号を生成するために、IC部500に内蔵されてもよい。
【0092】
一例において、電圧制御発振器560は、IC部500の端子Vctrlを介して、外部(例:第3装置400)から前記入力電圧の入力を受けることができる。電圧制御発振器560で生成されたクロック信号は、ADC520に伝達されて内部回路の制御に用いることができる。
【0093】
リニアレギュレータ550は、ADC520、VCO560など、IC部500の内部回路を駆動するためのDC低電圧を生成することができる。一例において、リニアレギュレータ550は、IC部500の端子VSS、VDDを介して、外部(例:第3装置400)から約12Vの入力電圧を受け、約1.8VのDC低電圧を出力することができる。ただし、それに限定されるものではない。前記DC低電圧は、ADC520、VCO560など、IC部500の内部回路を駆動するのに用いることができる。
【0094】
本発明の一実施形態によれば、デジタル回路部501で生成されたノイズデータは、増幅部130が最適に動作するように増幅部130の動作を制御するのに用いることができる。例えば、コンバータ回路521の出力信号であるデジタル信号に基づいて増幅部130の動作を制御することもでき、デジタルブロック522又は出力バッファ523の出力信号(例:ノイズデータS2)に基づいて増幅部130の動作を制御することもできる。その場合、増幅部130は、デジタル信号又はノイズデータS2に応じて異なる動作を行うことができる。
【0095】
例えば、IC部500は、デジタル信号又はノイズデータS2に基づいて増幅部130を制御するための制御回路をさらに含んでもよい。前記制御回路は、例えば、コンバータ回路521、デジタルブロック522又は出力バッファ523の出力端から増幅部130に接続されてもよい。
【0096】
図7図2に示す実施形態のより具体的な一例を示すものであって、本発明の一実施形態によるアクティブ補償装置100A-1を概略的に示す図である。図7において、便宜上、第3装置400及びIC部500の基準電位602は省略されている。
【0097】
図7を参照すると、アクティブ補償装置100A-1は、センシング部120A-1、IC部500及び補償変圧器140A-1を含んでもよい。センシング部120A-1、IC部500及び補償変圧器140A-1は、それぞれ、前述のセンシング部120、120A、IC部500及び補償部140、140Aの一例である。
【0098】
アクティブ補償装置100A-1は、第1装置300に接続される2つの大電流経路111、112のそれぞれにコモンモードで入力されるノイズ電流Iをセンシングし、それを補償電圧Vinj1でアクティブに補償することができる。
【0099】
センシング部120A-1は、例えば、大電流経路111、112に対応する電力線が巻かれたCMチョークに2次側電線が巻き重ねられたセンシング変圧器であってもよい。前記2次側電線は、IC部500の入力端子VINに接続されてもよい。
【0100】
このように、CMチョークを用いてセンシング部120A-1を形成した場合、センシング部120A-1は、センシング及び変圧の機能のみを果たすのではなく、CMチョークとしてパッシブフィルタの役割を果たすことができる。すなわち、CMチョークに2次側電線が巻き重ねられて形成されたセンシング変圧器は、ノイズ電流Iのセンシング及び変圧と共に、ノイズ電流Iの抑制又は阻止の役割を同時に果たすことができる。
【0101】
一方、センシング部120A-1の出力信号Vsenは、IC部500に入力されるようにしてもよい。IC部500は、前述のように、前記出力信号Vsenをデジタル信号に変換してノイズデータS2を生成及び出力し、前記出力信号Vsenに基づいて、補償信号(又は増幅信号)S1を出力することができる。一実施形態によれば、IC部500は、前記デジタル信号又はノイズデータS2に基づいて、増幅部130の動作を制御することができる。
【0102】
ノイズデータS2は、アクティブ補償装置100A-1の外部のデータストレージに保存されて活用されるようにしてもよい。
【0103】
補償信号S1は、補償変圧器140A-1の入力電圧に対応するものであってもよい。補償変圧器140A-1は、1次側にかかる前記入力電圧に基づいて、2次側である大電流経路111、112上に直列に補償電圧Vinj1を誘導することができる。大電流経路111、112上に直列に生成される補償電圧Vinj1は、大電流経路111、112上に流れるノイズ電流Iを抑制する効果を奏することができる。
【0104】
そのようなアクティブ補償装置100A-1は、ノイズ電流Iをセンシングして補償電圧Vinj1で補償するCSVC(current sensing voltage compensating)タイプの一例である。
【0105】
図8図1に示す実施形態のより具体的な一例を示すものであって、本発明の一実施形態によるアクティブ補償装置100Bを概略的に示す図である。図8において、便宜上、第3装置400及びIC部500の基準電位602は省略されている。
【0106】
図8を参照すると、アクティブ補償装置100Bは、センシング変圧器120B、IC部500及び補償部140Bを含んでもよい。センシング変圧器120B、IC部500及び補償部140Bは、それぞれ、前述のセンシング部120、120A、IC部500及び補償部140の一例である。
【0107】
アクティブ補償装置100Bは、第1装置300に接続される2つの大電流経路のそれぞれにコモンモードで入力されるノイズ電流Iをセンシングし、それを補償電流Iinjでアクティブに補償することができる。
【0108】
センシング変圧器120Bは、例えば、1つのコアに1次側の電線及び2次側の電線が通過するか又は少なくとも1回巻かれた構造であってもよい。センシング変圧器120Bの1次側の電線は、大電流経路である電力線に対応するものであってもよく、センシング変圧器120Bの2次側の電線は、IC部500の入力端に接続されてもよい。一実施形態において、CMチョークではなく、コアに1次側の電線及び2次側の電線を通過させるか又は少なくとも1回巻くことにより、センシング変圧器120Bの体積を最小化することができる。
【0109】
センシング部120Bの出力信号は、ノイズ電流Iの大きさに比例することができる。
【0110】
センシング部120Bの出力信号は、IC部500に入力されるようにしてもよい。IC部500は、前述のように、前記出力信号をデジタル信号に変換してノイズデータS2を生成及び出力するデジタル回路部501と、前記出力信号に基づいて補償信号(又は増幅信号)S1を出力する増幅部130とを含んでもよい。一実施形態によれば、IC部500は、前記デジタル信号又はノイズデータS2に基づいて増幅部130の動作を制御する回路をさらに含んでもよい。
【0111】
ノイズデータS2は、アクティブ補償装置100Bの外部のデータストレージに保存されて活用されるようにしてもよい。
【0112】
補償信号S1は、補償部140Bに入力されるようにしてもよい。本実施形態において、補償部140Bは、補償変圧器及び補償キャパシタ部を含んでもよい。
【0113】
補償変圧器の1次側は、IC部500の第1出力端子VOUTに接続され、補償変圧器の2次側は、大電流経路に接続されてもよい。補償変圧器は、IC部500を大電流経路と絶縁しながら、1次側に流れる増幅電流(すなわち、補償信号S1)に基づいて、大電流経路に注入するための補償電流Iinjを2次側に生成することができる。
【0114】
補償変圧器の2次側は、補償キャパシタ部と基準電位とを接続する経路上に配置されてもよい。すなわち、2次側の一端は、補償キャパシタ部を介して大電流経路に接続され、2次側の他端は、アクティブ補償装置100Bの基準電位に接続されてもよい。
【0115】
補償変圧器により変換された電流(すなわち、2次側電流)Iinjは、補償キャパシタ部を介して補償電流Iinjとして大電流経路に注入されるか又は引き出されるようにしてもよい。このように、補償キャパシタ部は、補償変圧器の2次側で生成された電流が大電流のそれぞれに流れる経路を形成することができる。よって、アクティブ補償装置100Bは、EMIノイズを低減することができる。
【0116】
補償キャパシタ部は、一端が補償変圧器の2次側に接続され、他端が大電流経路に接続される2つのYキャパシタ(Y-capacitor,Y-cap)を含んでもよい。
【0117】
そのようなアクティブ補償装置100Bは、ノイズ電流Iをセンシングして電源側である前段で補償電流Iinjで補償するフィードフォワード(feedforward)CSCC(current sensing current compensating)タイプの一例である。
【0118】
図9は本発明の他の一実施形態によるアクティブ補償装置100Cを概略的に示す図である。便宜上、第3装置400及びIC部500の基準電位602は省略されている。
【0119】
アクティブ補償装置100Cは、第1装置300に接続される2つの大電流経路のそれぞれにコモンモードで入力されるノイズ電流Iをセンシングし、それを補償電流Iinj2でアクティブに補償することができる。
【0120】
図9を参照すると、アクティブ補償装置100Cは、センシング部120C、IC部500及び補償部140Cを含んでもよい。補償部140Cは、補償変圧器及び補償キャパシタ部を含んでもよい。
【0121】
センシング部120Cは、図7で説明したセンシング部120A-1に対応し、IC部500は、様々な実施形態で説明したIC部500に対応し、補償部140Cは、図8で説明した補償部140Bに対応するので、それらについての具体的な説明は省略する。
【0122】
そのようなアクティブ補償装置100Cは、センシングしたノイズ電流Iを後段に戻って補償電流Iinj2で補償するフィードバック(feedback)CSCC(current sensing current compensating)タイプの一例である。
【0123】
図10は本発明のさらに他の一実施形態によるアクティブ補償装置100Dを概略的に示す図である。便宜上、第3装置400及びIC部500の基準電位602は省略されている。
【0124】
アクティブ補償装置100Dは、第1装置300に接続される2つの大電流経路のそれぞれにコモンモードで入力されるノイズ電流Iをセンシングし、それを補償電圧Vinj1及び補償電流Iinj2で併合的に補償することができる。
【0125】
図10を参照すると、アクティブ補償装置100Dは、センシング部120D、IC部500’、第1補償部140D-1及び第2補償部140D-2を含んでもよい。第2補償部140D-2は、補償変圧器及び補償キャパシタ部を含んでもよい。
【0126】
センシング部120Dは、図7で説明したセンシング部120A-1に対応し、第1補償部140D-1は、図7で説明した補償変圧器140A-1に対応し、第2補償部140D-2は、図8で説明した補償部140Bに対応するので、それらについての具体的な説明は省略する。
【0127】
センシング部120Dの出力信号(例:Vsen)は、IC部500’に入力されるようにしてもよい。IC部500’は、前述のように、前記出力信号(例:Vsen)をデジタル信号に変換及び加工してノイズデータS2を生成し、前記出力信号(例:Vsen)に基づいて、第1補償信号S1-1及び第2補償信号S1-2を出力することができる。
【0128】
一例として、IC部500’は、入力信号(例:Vsen)を増幅して第1補償信号S1-1を出力する第1増幅部130-1と、入力信号(例:Vsen)を増幅して第2補償信号S1-2を出力する第2増幅部130-2とを含んでもよい。
【0129】
一実施形態によれば、IC部500’は、前記デジタル信号又はノイズデータS2に基づいて、第1増幅部130-1及び/又は第2増幅部130-2の動作を制御することができる。
【0130】
第1増幅部130-1、第2増幅部130-2及びデジタル回路部301を含むIC部500’は、物理的に1つのICチップであってもよい。例えば、IC部500’は、第1補償信号S1-1を第1補償部140D-1側に出力する第1-1出力端子と、第2補償信号S1-2を第2補償部140D-2側に出力する第1-2出力端子とを備えてもよい。ただし、本発明はそれに限定されるものではない。
【0131】
IC部500’から出力された第1補償信号S1-1は、第1補償部140D-1の入力電圧に対応するものであってもよい。第1補償部140D-1は、1次側にかかる前記入力電圧に基づいて2次側である大電流経路上に直列に補償電圧Vinj1を誘導する補償変圧器であってもよい。大電流経路上に直列に生成される補償電圧Vinj1は、大電流経路上に流れるノイズ電流Iを抑制する効果を奏することができる。
【0132】
一方、第2補償部140D-2に含まれる補償変圧器は、IC部500’から出力された第2補償信号S1-2に基づいて、大電流経路に注入するための補償電流Iinj2を2次側に生成することができる。前記補償変圧器により変換された電流(すなわち、2次側電流)Iinj2は、補償キャパシタ部を介して補償電流として大電流経路に注入されるか又は引き出されるようにしてもよい。
【0133】
一実施形態において、第1補償部140D-1は、センシング部120Dの前方に配置され、第2補償部140D-2は、センシング部120Dの後方に配置されてもよい。例えば、第1補償部140D-1は、電圧補償を行い、それと同時に、第2補償部140D-2は、電流補償を行うことができる。本実施形態によれば、コモンモード電圧及び電流を同時に補償することができ、ノイズを効果的に低減することができる。
【0134】
図11図1に示す実施形態のより具体的な一例を示すものであって、本発明の一実施形態によるアクティブ補償装置100Eを概略的に示す図である。
【0135】
アクティブ補償装置100Eは、図8に示すアクティブ補償装置100A-1と比較すると、IC部500’’が異なるだけであり、他の構成はアクティブ補償装置100A-1に対応するので、説明を省略する。
【0136】
一実施形態によるアクティブ補償装置100Eにおいて、IC部500’’は、増幅部130、第1デジタル回路部501-1及び第2デジタル回路部501-2を含んでもよい。
【0137】
第1デジタル回路部501-1は、前述のデジタル回路部501と同様に、増幅部130の入力信号と同じ入力信号(すなわち、IC部500’’の入力信号)に基づいて、第1デジタルノイズデータS2-1を出力することができる。第2デジタル回路部501-2は、増幅部130の出力信号に基づいて、第2デジタルノイズデータS2-2を出力することができる。
【0138】
本実施形態によれば、IC部500’’内で増幅部130の出力端は第2デジタル回路部501-2の入力端に接続されてもよい。
【0139】
本実施形態によれば、第1デジタル回路部501-1及び第2デジタル回路部501-2は、それぞれ、増幅部130の入/出力端でのアナログ信号をデジタルデータに変換することができる。すなわち、IC部500’’は、増幅前後のアナログ信号を全て検知し、それぞれ対応するデジタルデータS2-1、S2-2に出力することができる。本実施形態によれば、センシング部120の出力ノイズデータ(例:第1ノイズデータS2-1)だけではなく、増幅部130の出力ノイズデータ(例:第2ノイズデータS2-2)をもモニタすることができる。例えば、第1ノイズデータS2-1及び第2ノイズデータS2-2は、アナログ増幅部130が正常に動作するか否かを判別するために用いることができる。
【0140】
上述のように構成される本発明の様々な実施形態によれば、アクティブ補償装置100、100A、100A-1、100B、100C、100D、100Eを用いて、ノイズ信号を補償すると共にノイズデータを収集することができる。
【0141】
本発明の様々な実施形態によれば、アクティブ補償装置からノイズデータを抽出及び収集し、様々な用途に活用することができる。例えば、本発明の実施形態によるアクティブ補償装置から出力されたノイズデータは、状態変化又は非常状況の監視のためにモニタすることができる。また、ノイズデータは、ビックデータ処理に活用することができる。
【0142】
本発明は、図面に示す一実施形態を参照して説明したが、それは例示的なものにすぎず、当該分野における通常の知識を有する者であれば、それから様々な変形及び実施形態の変形が可能であることを理解するであろう。よって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的思想により定められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明の一実施形態は、家電用、産業用電気製品や電気自動車、航空、エネルギー貯蔵システムなどの電子機器に用いることができる。しかし、本発明の一実施形態による産業上の利用可能性が上述のものに限定されるものではない。
図1
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図11