(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】非燃焼型たばこの加熱装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
B29C45/14
(21)【出願番号】P 2020152916
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】P 2020069819
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220033
【氏名又は名称】東京コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶 真志
(72)【発明者】
【氏名】日置 貴之
(72)【発明者】
【氏名】福島 一樹
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-112049(JP,A)
【文献】特開平08-222355(JP,A)
【文献】特開2018-190663(JP,A)
【文献】特開2006-294604(JP,A)
【文献】特開平09-042758(JP,A)
【文献】特開平04-141979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00 - 45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミド樹脂を含む第1の樹脂から形成された絶縁性フィルムと、
前記絶縁性フィルムの裏面に沿って延びるように配置され、金属材料から形成されて通電により加熱して前記絶縁性フィルムの表面上に加熱空間を形成する電熱部と、
ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む第2の樹脂から形成され、自身の内周面側に前記電熱部を密着させた状態で前記電熱部を間に挟んで前記絶縁性フィルムが接着された管形状の支持部と、を備える非燃焼型たばこの加熱装置の製造方法であって、
前記絶縁性フィルムの裏面に前記電熱部を配置し、
前記電熱部を成型空間側に向けて前記絶縁性フィルムを管形状の金型内に配置し、
前記第2の樹脂を、前記成型空間に注入することにより、前記支持部を形成すると共に前記支持部の内周面に、前記電熱部を間に挟んで、前記絶縁性フィルムを圧着する
非燃焼型たばこの加熱装置の製造方法。
【請求項2】
前記電熱部にエポキシ系の接着剤を塗布し、前記接着剤が塗布された前記電熱部を間に挟んで前記支持部に前記絶縁性フィルムを圧着する請求項1に記載の
非燃焼型たばこの加熱装置の製造方法。
【請求項3】
前記電熱部は、所定の方向に延びる複数の延在部が前記所定の方向と交差する方向に並ぶように配置され、
前記第2の樹脂は、前記所定の方向に沿って前記成型空間に注入される請求項
1に記載の
非燃焼型たばこの加熱装置の製造方法。
【請求項4】
液状に形成された前記ポリイミド樹脂の前駆体を金属板の表面上に塗布し、前記ポリイミド樹脂の前駆体を硬化して前記金属板に前記絶縁性フィルムを接着した後、前記金属板を加工して前記絶縁性フィルムの裏面に沿って延びるように前記電熱部を形成する請求項1~
3のいずれか一項に記載の
非燃焼型たばこの加熱装置の製造方法。
【請求項5】
前記ポリイミド樹脂の前駆体は、ポリイミドワニスである請求項
4に記載の
非燃焼型たばこの加熱装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加熱装置の製造方法および加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、溶液を加熱して気化させる加熱装置が提案されている。一般的に、加熱装置は、通電により加熱される電熱部が絶縁性フィルム内に配置され、この絶縁性フィルムが支持部に対して接着されている。このとき、絶縁性フィルムを支持部に対して容易に接着することが求められる。
【0003】
そこで、絶縁性フィルムを容易に接着する技術として、例えば、特許文献1には、暖房便座の製造に際して、成形品の裏面に発熱体を手作業で取り付ける手間を解消する暖房便座の製造方法が提案されている。この方法は、発熱体を覆う樹脂層が成形品に対して接着されるため、樹脂層を容易に接着させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法は、発熱体を覆う樹脂層を成形品に対して直接的に接着するため、成形品に対して接着力の低い材料を樹脂層に用いることが困難であった。例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂は、ポリイミド樹脂に対して接着力が低いため、支持部をポリフェニレンサルファイド樹脂で形成した場合に、ポリイミド樹脂を含む絶縁性フィルムを支持部に接着させることが困難となる。
【0006】
本開示は、ポリイミド樹脂を含む絶縁性フィルムがポリフェニレンサルファイド樹脂を含む支持部に確実に接着した加熱装置の製造方法および加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る加熱装置の製造方法は、ポリイミド樹脂を含む第1の樹脂から形成された絶縁性フィルムの裏面に沿って延びるように金属材料から形成される電熱部を配置し、ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む第2の樹脂から形成された支持部に対して電熱部が密着するように、電熱部を間に挟んで絶縁性フィルムを支持部に対して圧着するものである。
【0008】
本開示に係る加熱装置は、ポリイミド樹脂を含む第1の樹脂から形成された絶縁性フィルムと、絶縁性フィルムの裏面に沿って延びるように配置され、金属材料から形成されて通電により加熱して絶縁性フィルムの表面上に加熱空間を形成する電熱部と、ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む第2の樹脂から形成され、電熱部を密着させた状態で電熱部を間に挟んで絶縁性フィルムが接着された支持部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ポリイミド樹脂を含む絶縁性フィルムがポリフェニレンサルファイド樹脂を含む支持部に確実に接着することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る加熱装置を備えた非燃焼型たばこの構成を示す図である。
【
図4】絶縁性フィルムが金型内に配置された様子を示す図である。
【
図5】実施の形態2に係る加熱装置の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1に、本開示の実施の形態1に係る加熱装置を備えた非燃焼型たばこの構成を示す。非燃焼型たばこは、バッテリ1と、カートリッジ2と、加熱装置3とを有する。非燃焼型たばこは、液状のたばこ成分を加熱して生じた蒸気を吸うためのもので、例えば、電子たばこおよび加熱式たばこなどが挙げられる。
【0013】
バッテリ1は、筐体1aと、バッテリ本体1bとを有する。
筐体1aは、長尺な円柱状に形成され、その内部にバッテリ本体1bを収容する。筐体1aは、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂などの樹脂から形成することができる。
バッテリ本体1bは、加熱装置3に電力を供給するもので、加熱装置3に電気的に接続されている。バッテリ本体1bは、例えば、充電式のものから構成することができる。
【0014】
カートリッジ2は、バッテリ1との間で加熱装置3を挟むように配置され、筐体2aと、保持部2bとを有する。
筐体2aは、管形状を有し、一端部が加熱装置3に交換可能に取り付けられると共に他端部に吸引口2cが形成されている。この吸引口2cは、喫煙者がたばこ成分の蒸気を吸い込むためのものである。また、筐体2aは、内部に保持部2bを収容する。筐体2aは、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂などの樹脂から形成することができる。
【0015】
保持部2bは、例えば液状のたばこ成分を保持するもので、吸引口2cから連通する筐体2aの流通路を塞ぐように配置されている。保持部2bは、例えば、スポンジ状の材料から形成することができる。
【0016】
加熱装置3は、支持部4と、電熱部5と、センサ6と、制御部7とを有する。センサ6は制御部7に電気的に接続され、この制御部7がバッテリ本体1bに接続されている。
【0017】
支持部4は、電熱部5などの加熱装置3の各部を支持するもので、バッテリ1とカートリッジ2との間に配置されている。支持部4は、管形状を有し、一端部が筐体1aに取り付けられると共に他端部が筐体2aに取り付けられている。このとき、支持部4は、筐体1aとの間に隙間を形成するように筐体1aに取り付けられ、この隙間が吸引口2cから延びる筐体2aおよび支持部4の流通路に連通する通気口4aを形成する。
【0018】
電熱部5は、支持部4内に形成された流通路に沿って延びるように配置されている。電熱部5は、金属材料から形成されており、通電により加熱される。電熱部5は、例えば、銅などから構成することができる。
【0019】
センサ6は、支持部4に配置され、通気口4aから流通路への空気の流入を検出、すなわち喫煙者による吸引口2cからの蒸気の吸引を検出する。また、センサ6は、電熱部5による流通路の加熱温度を検出する。
制御部7は、筐体1aに配置され、センサ6で検出された流通路への空気の流入および流通路の加熱温度に基づいて、バッテリ本体1bから電熱部5への給電を制御する。
【0020】
次に、加熱装置3の構成について詳細に説明する。
【0021】
図2に示すように、支持部4の内面には、流通路4bに露出するように絶縁性フィルム8が配置されている。絶縁性フィルム8は、フィルム形状を有し、耐熱性および絶縁性を有するポリイミド樹脂から形成されている。
【0022】
電熱部5は、絶縁性フィルム8の裏面に沿って延びるように配置されている。具体的には、電熱部5は、所定の方向に延びる複数の延在部5aが所定の方向と直交する方向に並ぶように配置されている。電熱部5は、流通路4bを全体的に囲むように配置されており、例えば、蛇行またはらせん状に延びるように配置されている。これにより、電熱部5が、通電により加熱すると、絶縁性フィルム8の表面上、すなわち流通路4bおよびその周辺に加熱空間が形成されることになる。
【0023】
支持部4は、ポリフェニレンサルファイド樹脂から形成されている。すなわち、支持部4は、電熱部5を構成する金属材料と比較して、絶縁性フィルム8を構成するポリイミド樹脂との接着力が低い材料から形成されることになる。このため、支持部4は、電熱部5を間に挟んで電熱部5を密着させた状態で絶縁性フィルム8が接着されている。
【0024】
次に、加熱装置3の製造方法について説明する。
【0025】
まず、
図3に示すように、ポリイミド樹脂から形成された絶縁性フィルム8の裏面8aに沿って延びるように電熱部5を配置する。このとき、絶縁性フィルム8の裏面8a上に金属膜用の接着剤を塗布することにより、絶縁性フィルム8に対して電熱部5を接着することができる。
【0026】
このように、ポリイミド樹脂から絶縁性フィルム8を形成することにより、絶縁性フィルム8を平坦なフィルム形状に形成することができ、電熱部5を絶縁性フィルム8上に容易に配置することができる。
【0027】
ここで、電熱部5は、バッテリ本体1bに接続される端子9aと端子9bの間を、絶縁性フィルム8の裏面8aに沿って延びるように配置される。具体的には、電熱部5は、所定の方向Xに延びる複数の延在部5aが所定の方向Xと直交する方向Yに等間隔で並ぶように蛇行して形成されている。
このように、電熱部5は、蛇行して形成されることにより、絶縁性フィルム8の全面に広がるように配置することができる。
【0028】
続いて、
図4に示すように、電熱部5を配置した絶縁性フィルム8が、金型10内に配置される。ここで、電熱部5および絶縁性フィルム8の裏面8a上に接着剤を塗布した状態で、絶縁性フィルム8が金型10内に配置される。
このとき、絶縁性フィルム8は、電熱部5を金型10の成型空間(キャビティ)Ca側に向けて金型10内に配置される。すなわち、絶縁性フィルム8は、表面8bが金型10に当接すると共に裏面8aが成型空間Ca側を向くように配置される。
【0029】
このようにして、絶縁性フィルム8が金型10内に配置されると、ポリフェニレンサルファイド樹脂Rが金型10の流入口Fから成型空間Caに注入される。これにより、
図2に示すように、ポリフェニレンサルファイド樹脂Rから構成された支持部4が成型されると同時に、支持部4の表面に電熱部5が密着するように電熱部5を間に挟んで絶縁性フィルム8がインサート成形で支持部4に圧着される。
【0030】
一般的に、ポリフェニレンサルファイド樹脂Rは、ポリイミド樹脂に対する接着力が低く、ポリフェニレンサルファイド樹脂Rから形成された支持部4に対して、ポリイミド樹脂から形成された絶縁性フィルム8を直接的に接着させることが困難であった。このため、絶縁性フィルム8は、例えば、両面テープなどの接着部材を介して支持部4に接着されていた。
【0031】
そこで、上記のように、支持部4に対して電熱部5が密着するように電熱部5を間に挟んで絶縁性フィルム8を支持部4に対して圧着させることにより、金属材料から形成された電熱部5を介して支持部4に絶縁性フィルム8を確実に接着することができる。
このように、両面テープなどの接着部材を介さずに、絶縁性フィルム8を支持部4に直接的に接着させるため、絶縁性フィルム8を平坦に形成することができる。また、絶縁性フィルム8をインサート成形で圧着するため、絶縁性フィルム8を支持部4に対して容易に接着させることができる。
【0032】
また、支持部4に対して電熱部5を間に挟んだ状態で絶縁性フィルム8を圧着することにより、電熱部5が支持部4内に入り込んだ状態で接着される。これにより、絶縁性フィルム8を支持部4に対して強固に接着させることができる。
【0033】
なお、電熱部5は、側方に突出する返し部を配置することもできる。ここで、返し部は、電熱部5から側方に突出していればよく、例えば電熱部5を粗面加工することで形成してもよい。これにより、返し部が支持部4に係合するため、絶縁性フィルム8を支持部4に対してより強固に接着させることができる。
【0034】
また、接着剤が塗布された電熱部5を間に挟んで支持部4に絶縁性フィルム8が圧着されるため、絶縁性フィルム8を支持部4に対して強固に接着させることができる。
【0035】
実際に、接着剤が塗布された電熱部5を間に挟んで、ポリイミド樹脂から構成された絶縁性フィルム8をポリフェニレンサルファイド樹脂Rから構成された支持部4に対してインサート成形で圧着した。その結果、絶縁性フィルム8が、電熱部5に接着剤を塗布しない場合と比較して、支持部4に対して強固に接着することがわかった。特に、エポキシ系の接着剤を塗布することにより、絶縁性フィルム8が、支持部4に対してより強固に接着された。
【0036】
ここで、金型10の流入口Fから成型空間Caに注入されるポリフェニレンサルファイド樹脂Rは、
図3に示すように、所定の方向Xに沿うように成型空間Caに注入されることが好ましい。これにより、ポリフェニレンサルファイド樹脂Rは、複数の延在部5aに沿って注入されるため、電熱部5がポリフェニレンサルファイド樹脂Rの注入圧力で破損するのを抑制することができる。
【0037】
このようにして、絶縁性フィルム8を支持部4に接着することにより、加熱装置3を製造することができる。
そして、
図1に示すように、製造された加熱装置3の支持部4の一端部にバッテリ1の筐体1aが取り付けられ、支持部4の他端部にカートリッジ2の筐体2aが取り付けられて非燃焼型たばこが製造される。
【0038】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
【0039】
まず、
図1に示すように、喫煙者がカートリッジ2の吸引口2cから吸引すると、通気口4aから流入した空気が流通路4bを流通し、その空気の流通がセンサ6で検出される。センサ6は、検出した検出情報を制御部7に出力する。
【0040】
制御部7は、センサ6から空気の流通を検出した検出情報が入力されると、電熱部5に給電するようにバッテリ本体1bを制御する。このバッテリ本体1bから電熱部5への給電により、電熱部5が加熱し、流通路4bおよびその周辺に加熱空間が形成される。これにより、カートリッジ2の保持部2bに保持された液状のたばこ成分を気化させることができる。
【0041】
このとき、
図2に示すように、電熱部5は、支持部4内に形成された流通路4bに沿って延びるように配置されているため、保持部2bを効率的に加熱することができる。また、電熱部5は、流通路4bを全体的に囲むように配置されるため、保持部2bをより効率的に加熱することができる。
【0042】
また、絶縁性フィルム8は、ポリイミド樹脂から構成されるため電熱部5を確実に保護することができる。また、支持部4は、ポリフェニレンサルファイド樹脂から構成されるため、絶縁性フィルム8および電熱部5を強固に支持することができる。
【0043】
また、絶縁性フィルム8は、金属材料から形成された電熱部5を支持部4に密着させた状態で支持部4に確実に接着されるため、水分などの流体の侵入を防ぎ、電熱部5を確実に保護することができる。
また、絶縁性フィルム8は、支持部4に対して平坦に配置されるため、電熱部5の熱を均一に伝導させることができ、カートリッジ2の保持部2bを効率的に加熱することができる。
【0044】
なお、センサ6は、電熱部5による流通路4bの加熱温度を検出することが好ましい。これにより、制御部7が、流通路4bの加熱温度に基づいてバッテリ本体1bから電熱部5への給電を制御し、流通路4bを所定の温度に加熱することができる。
【0045】
このようにして、カートリッジ2の保持部2bが加熱されることにより、保持部2bに保持された液状のたばこ成分が気化し、そのたばこ成分が筐体2aの吸引口2cを介して喫煙者に吸引される。
このとき、電熱部5が、保持部2bを効率的に加熱するため、たばこ成分を所定量だけ気化させることができ、喫煙者がたばこ成分を過不足なく吸引することができる。
【0046】
本実施の形態によれば、ポリイミド樹脂を含む樹脂から形成された絶縁性フィルム8が、ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む樹脂から形成された支持部4に対して、金属材料から形成された電熱部5が密着するように電熱部5を間に挟んで支持部4に圧着される。このため、ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む支持部4に対して、ポリイミド樹脂を含む絶縁性フィルム8を確実に接着させることができる。
【0047】
(実施の形態2)
以下、本開示の実施の形態2について説明する。ここでは、上記の実施の形態1との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0048】
上記の実施の形態1では、電熱部5は、接着剤により絶縁性フィルム8の裏面8a上に接着されたが、絶縁性フィルム8の裏面8aに沿って延びるように配置されていればよく、これに限られるものではない。
【0049】
例えば、
図5(a)に示すように、液状に形成されたポリイミド樹脂の前駆体、例えばポリイミドワニス21を金属板22の表面上に塗布することができる。
【0050】
金属板22に塗布されたポリイミドワニス21は、
図5(b)に示すように、熱処理することによりイミド化して硬化されて、ポリイミド樹脂からなる絶縁性フィルム8が金属板22上に生成される。このとき、液状のポリイミドワニス21が金属板22の表面に密着した状態で硬化されるため、接着剤などを介さずに、金属板22の表面上に絶縁性フィルム8を直接的に接着させることができる。
【0051】
ここで、液状のポリイミドワニス21は、金属板22の表面上に凹凸部を形成した後に、金属板22の表面上に塗布することが好ましい。これにより、ポリイミドワニス21が金属板22の凹凸部の間に入り込んで、絶縁性フィルム8を金属板22の表面上に強固に接着させることができる。
【0052】
このようにして、金属板22に絶縁性フィルム8が接着されると、
図5(c)に示すように、金属板22が加工されて、絶縁性フィルム8の裏面8aに沿って延びるように電熱部5が形成される。例えば、電熱部5は、金属板22をエッチング加工することにより形成することができる。これにより、絶縁性フィルム8の裏面8aに直接的に接着させた状態で電熱部5を配置することができる。
【0053】
続いて、実施の形態1と同様に、電熱部5が配置された絶縁性フィルム8を金型10内に配置して、ポリフェニレンサルファイド樹脂Rが金型10内に注入される。これにより、ポリフェニレンサルファイド樹脂Rから構成された支持部4が、電熱部5を間に挟んで絶縁性フィルム8に圧着されることになる。
【0054】
このとき、絶縁性フィルム8と電熱部5は、接着剤などを介さずに直接的に接着されているため、金型10内に注入されるポリフェニレンサルファイド樹脂Rの熱などで接着力が低下することを抑制することができ、電熱部5の姿勢を維持しつつ絶縁性フィルム8を支持部4に強固に接着させることができる。
【0055】
また、絶縁性フィルム8と電熱部5が、直接的に接着されているため、製造された加熱装置を非燃焼型たばこに配置した場合に、非燃焼型たばこ内の熱などで接着力が低下することを抑制することができる。
【0056】
本実施の形態によれば、液状に形成されたポリイミドワニス21を金属板22の表面上に塗布した後に、ポリイミドワニス21を硬化して金属板22に絶縁性フィルム8を接着させる。これにより、絶縁性フィルム8と電熱部5が、直接的に接着されるため、熱などで接着力が低下することを抑制することができる。
【0057】
なお、上記の実施の形態1および2では、電熱部5は、複数の延在部5aが所定の方向Xと直交する方向Yに並ぶように配置されたが、所定の方向Xと交差する方向に並ぶように配置されていればよく、これに限られるものではない。
また、上記の実施の形態1および2では、電熱部5は、流通路4bを全体的に囲むように配置されたが、絶縁性フィルム8の裏面8aに沿って伸びるように配置されていればよく、これに限られるものではない。例えば、電熱部5は、流通路4bの半部を覆うように配置することができる。
【0058】
また、上記の実施の形態1および2では、加熱装置3は、非燃焼型たばこに配置されたが、絶縁性フィルム8の表面8b上に加熱空間を形成できればよく、これに限られるものではない。例えば、加熱装置3は、車両の排気管に配置して排気管を流通する流体を加熱することができる。このとき、センサ6および制御部7は、加熱装置3が配置された装置の特性に応じた検出対象および制御方法を適用することができる。
【0059】
また、上記の実施の形態1および2では、絶縁性フィルム8は、ポリイミド樹脂から形成されたが、ポリイミド樹脂を含む樹脂から形成されていればよく、ポリイミド樹脂のみから形成されるものに限られるものではない。
また、上記の実施の形態1および2では、支持部4は、ポリフェニレンサルファイド樹脂から形成されたが、ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む樹脂から形成されていればよく、ポリフェニレンサルファイド樹脂のみから形成されるものに限られるものではない。
【0060】
その他、上記の実施の形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、上記の実施の形態で説明した各部の形状や個数などについての開示はあくまで例示であり、適宜変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本開示に係る加熱装置の製造方法は、支持部と絶縁性フィルムの間に電熱部が配置された加熱装置の製造方法に利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1 バッテリ
1a 筐体
1b バッテリ本体
2 カートリッジ
2a 筐体
2b 保持部
2c 吸引口
3 加熱装置
4 支持部
4a 通気口
4b 流通路
5 電熱部
5a 延在部
6 センサ
7 制御部
8 絶縁性フィルム
8a 裏面
8b 表面
9a,9b 端子
10 金型
21 ポリイミドワニス
22 金属板
X 方向
Y 方向
Ca 成型空間
F 流入口
R ポリフェニレンサルファイド樹脂