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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 27/00 20060101AFI20241009BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20241009BHJP
   A41D 1/02 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
A41D27/00 Z
A41D13/00 102
A41D1/02 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020177107
(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公開番号】P2022068438
(43)【公開日】2022-05-10
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】506393422
【氏名又は名称】ハイドサイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】吉井 秀雄
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-054976(JP,A)
【文献】特開平1-192808(JP,A)
【文献】実開昭57-096912(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0338432(US,A1)
【文献】米国特許第05946730(US,A)
【文献】米国特許第4494248(US,A)
【文献】米国特許第4683595(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 27/00
A41D 13/00
A41D 1/02
A41D 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有し、前記開口の縁部を含む部位に分離部が形成された衣服本体と、
前記分離部を掛け渡すように前記衣服本体に着脱自在に取り付けられる布製のサイズ変更パーツとを備え、
複数種ある前記サイズ変更パーツを付け替えることにより、サイズ変更可能に構成される衣服であり、
前記衣服は上衣であり、
前記衣服本体の後身頃を左右に分離するように、首用の前記開口の縁部からウエスト用の前記開口の縁部に到る前記分離部が形成され、
前記衣服本体に設けられた襟が、前記分離部に合わせて左右に分離し、
前記サイズ変更パーツは、前記襟の分離した部分を掛け渡すようにした襟部を備え、
前記サイズ変更パーツは、その上下方向の途中から、前記襟部に向かうに従って徐々に幅狭になる形状を有することを特徴とする衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
衣服に関して、例えば特許文献1には、ゴム等の弾性材を利用して、ズボン等のウエスト部を伸縮させるウエスト伸縮構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2518804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ゴム等の弾性材を利用するウエスト伸縮構造は、複数のサイズ(例えば69cmサイズ、72cmサイズ、75cmサイズ・・・)を揃えておくことを前提として、ウエスト部の周長を調整できるようにしたものである。
【0005】
また、ウエストが大きい人は基本的にはヒップや太もも大きくなるが、ウエスト部の伸縮だけでは、ヒップや太ももの大小に対応することはできない。
【0006】
本発明は上述したような事情に鑑みてなされたものであり、サイズ変更を可能にする衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の衣服は、開口を有し、前記開口の縁部を含む部位に分離部が形成された衣服本体と、前記分離部を掛け渡すように前記衣服本体に着脱自在に取り付けられる布製のサイズ変更パーツとを備え、複数種ある前記サイズ変更パーツを付け替えることにより、サイズ変更可能に構成される衣服であり、前記衣服は上衣であり、前記衣服本体の後身頃を左右に分離するように、首用の前記開口の縁部からウエスト用の前記開口の縁部に到る前記分離部が形成され、前記衣服本体に設けられた襟が、前記分離部に合わせて左右に分離し、前記サイズ変更パーツは、前記襟の分離した部分を掛け渡すようにした襟部を備え、前記サイズ変更パーツは、その上下方向の途中から、前記襟部に向かうに従って徐々に幅狭になる形状を有することを特徴とする
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、サイズ変更を可能にする衣服を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係るジャンパーを示す図である。
図2】第1の実施形態に係るジャンパーのサイズ変更パーツを示す図である。
図3】第2の実施形態に係るパンツを示す図である。
図4】第2の実施形態に係るパンツのサイズ変更パーツを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1に、本発明を適用した衣服の例である上衣を示す。上衣とは、上半身に着る衣服、例えばジャンパー(ブルゾンとも呼ばれる)、シャツ、ジャケット等であり、ここではジャンパーを例とする。図1(a)はジャンパーの正面図、(b)はジャンパーの側面図、(c)はジャンパーの背面図である。なお、前後左右の方向は、衣服を着用した人から見た方向をいうものとする。
ジャンパーの衣服本体1は、着用者の胴を被う胴部2と、着用者の腕を被う左右の筒状の袖部3とを有する。なお、図1(b)では袖部3の図示を省略する。
【0011】
胴部2は、基本構成として、着用者の胴を被うように筒状に構成され、その上部及び下部に、着用者の首及びウエストを通す開口4、5が形成される。本実施形態では、胴部2は、前身頃6と、後身頃7と、脇下部分で前身頃6と後身頃7とを接続するサイドパーツ8とを備える。前身頃6は左右の前身頃パーツ6L、6Rにより構成され、前開き構造となっている。このように胴部2は、前身頃6とサイドパーツ8と後身頃7とにより筒状に構成され、着用者の首及びウエストを通す開口4、5が形成される。また、胴部2には、首用の開口4の縁部4aに沿って立ち襟9が設けられる。
【0012】
このようにした衣服本体1において、図1(c)に示すように、後身頃7を左右に分離するように分離部11が形成される。すなわち、後身頃7は、左右の後身頃パーツ7L、7Rにより構成され、首用の開口4の縁部4aからウエスト用の開口5の縁部5aに到る分離部11が形成される。このように、首用の開口4の縁部4a及びウエスト用の開口5の縁部5aを含む部位に分離部11が形成される。また、首用の開口4の縁部4aに沿って設けられた立ち襟9も、分離部11に合わせて左右に分離する。
【0013】
衣服本体1には、分離部11を掛け渡すように、布製のサイズ変更パーツ12が着脱自在に取り付けられる。
図2に示すように、サイズ変更パーツ12は、本体部13と、本体部13の下部に設けられた帯状の裾部14と、本体部13の上部に設けられた襟部15とを備える。本体部13の中央部には、上下に延びるリブ編み部13aが設けられる。サイズ変更パーツ12の長さLは、立ち襟9の高さ及び後身頃7の着丈と同程度、換言すれば立ち襟9の上縁からウエスト用の開口5の縁部5aまでの長さと同程度である。衣服本体1にサイズ変更パーツ12を取り付けると、サイズ変更パーツ12が分離部11を掛け渡すかたちになり、ジャンパーの後身頃を構成する。また、襟部15が、衣服本体1の立ち襟9の分離した部分を掛け渡すかたちになり、襟部15と立ち襟9とが相まって、ジャンパーの立ち襟の全体を構成する。
【0014】
図2に示すように、サイズ変更パーツ12は、裾部14から上部に向かって同程度の幅を有するが、途中からは、襟部15に向かうに従って徐々に幅狭になる形状を有する。ウエストや胸囲等に比べて首廻りの寸法は小さいことから、これに合わせて、サイズ変更パーツ12の上部で幅狭にしたものである。
【0015】
このようにしたサイズ変更パーツ12は、線ファスナ(スライドファスナ)16を介して衣服本体1に着脱自在に取り付けられる。詳細には、サイズ変更パーツ12の本体部13の両サイドに、線ファスナ16の一方のファスナテープ16aが取り付けられ、また、左右の後身頃パーツ7L、7Rの分離部11側の端部に、他方のファスナテープ(不図示)が取り付けられる。対になるファスナテープには、図示を省略するがそれぞれ連結エレメントが設けられ、連結エレメントを嵌合又は開離するスライダ16bが備えられる。線ファスナ16は、対になるファスナテープを分離させることのできるオープンエンドの線ファスナである。
【0016】
また、サイズ変更パーツ12の裾部14の左右の端部と、左右の後身頃パーツ7L、7Rの裾部19の分離部11側の端部とには、対になる点ファスナ(スナップボタン)17が設けられる。
また、サイズ変更パーツ12の襟部15の左右の端部と、立ち襟9の左右に分離した側の端部とには、対になる点ファスナ(スナップボタン)18が設けられる。
このように線ファスナ16を挟んで長手方向(上下方向)の両側に点ファスナ17、18が配置される。これにより、着用時等に例えば衣服本体1の裾部19や立ち襟9に左右に広がるような力が作用したときにも、裾部19や立ち襟9がサイズ変更パーツ12の裾部14や襟部15から離れるのを防いで、線ファスナ16が開かないようにすることができる。
【0017】
以上のようにしたサイズ変更パーツ12は、最大幅Hを異ならせた複数種が用意される。図示は省略するが、例えば最大幅Hの狭いSサイズ用のサイズ変更パーツ、最大幅Hが中程度のMサイズ用のサイズ変更パーツ、最大幅Hの広いLサイズ用のサイズ変更パーツのように複数種が用意される。なお、図2では一種類のサイズ変更パーツ12だけを図示するが、最大幅Hの変更に合わせて、本体部13の最大幅部以外の幅や両サイドの湾曲形状、裾部14の幅、襟部15の幅も適宜変更される。
【0018】
このように複数種あるサイズ変更パーツ12を付け替えることにより、ジャンパーの首廻り、肩幅、胸囲、ウエストのサイズを変えることができ、一部の寸法を調整するのではなく、ジャンパーそのもののサイズ変更が可能である。これにより、衣服本体1は共通の寸法とし、着用者の体格に合わせてサイズ変更パーツ12を付け替えればよいので、各種サイズのジャンパーを揃えておく必要がなくなる。
【0019】
なお、本実施形態では上衣の例としてジャンパーを説明したが、その具体的な構造は限定されるものではない。例えば立ち襟タイプを説明したが、一例に過ぎず、他の襟タイプであってもよい。また、本発明は、ジャンパー以外の上衣、例えばシャツやジャケット等に適用することができる。
【0020】
(第2の実施形態)
図3に、本発明を適用した衣服の例である下衣を示す。下衣とは、下半身に着る衣服、例えばパンツ(ズボン、スラックス)、スカート、サロペット等であり、ここではパンツを例とする。図3(a)はパンツの正面図、(b)はパンツの側面図、(c)はパンツの背面図である。
パンツの衣服本体21は、着用者の腰及びヒップを被う股上部22と、着用者の脚を被う左右の筒状の脚部23とを有する。
【0021】
股上部22は、基本構成として、着用者のウエスト及びヒップを被うように筒状に構成され、その上部に、着用者のウエストを通す開口24が形成される。また、股上部22の下部に、2本に分かれるようにした脚部23が設けられる。
【0022】
このようにした衣服本体21において、図3(b)に示すように、その両サイドには、ウエスト用の開口24の縁部24aを含む部位に分離部25が形成される。分離部25は、ウエスト用の開口24の縁部24aから、太もも及び膝下(脛の上部)を被う部分に到るように形成される。分離部25は、ウエスト用の開口24側で幅広であり、下部に向かうに従って幅狭になる略V字形状を有する。なお、分離部25が略V字形状と述べたが、略U字形状としてもよい。また、分離部25は、ウエスト用の開口24側で幅広であり、下部に向かうに従って幅狭になると述べたが、一定の幅を有する形状にしてもよい。
【0023】
衣服本体21には、分離部25を掛け渡すように、布製のサイズ変更パーツ26が着脱自在に取り付けられる。
図4に示すように、サイズ変更パーツ26は、本体部27と、本体部27の下部に設けられた帯状部28と、本体部27の上部に設けられた帯状のウエスト部29とを備える。本体部27の中央部には、上下に延びるリブ編み部27aが設けられる。また、本体部27には、ポケット31が設けられる。ウエスト部29にはゴムが入っており、ウエストの周長変更が可能に構成される。サイズ変更パーツ26の長さLは、分離部25の長さと同程度或いは分離部25の長さよりもやや長く設定される。衣服本体21にサイズ変更パーツ26を取り付けると、サイズ変更パーツ26が分離部25を掛け渡すかたちになり、パンツの側面を構成する。
【0024】
図4に示すように、サイズ変更パーツ26は、ウエスト部29側で幅広で、帯状部28側で幅狭になる形状を有する。ウエストやヒップに比べて太ももや膝下の寸法は小さいことから、これに合わせて、サイズ変更パーツ26の下部で幅狭にしたものである。
【0025】
このようにしたサイズ変更パーツ26は、線ファスナ(スライドファスナ)32を介して衣服本体21に着脱自在に取り付けられる。詳細には、サイズ変更パーツ12の本体部27の両サイドに、線ファスナ32の一方のファスナテープ32aが取り付けられ、また、衣服本体21の分離部25側の端部に、他方のファスナテープ(不図示)が取り付けられる。対になるファスナテープには、図示を省略するがそれぞれ連結エレメントが設けられ、連結エレメントを嵌合又は開離するスライダ32bが備えられる。線ファスナ32は、対になるファスナテープを分離させることのできるオープンエンドの線ファスナである。
【0026】
また、サイズ変更パーツ26の帯状部28の前後の端部と、衣服本体21の分離部25よりも下部とには、対になる点ファスナ(スナップボタン)33が配置される。
また、サイズ変更パーツ26のウエスト部29の前後の端部と、衣服本体21のウエスト部34の分離部25側の端部とには、対になる点ファスナ(スナップボタン)35が配置される。
このように線ファスナ32を挟んで長手方向(上下方向)の両側に点ファスナ33、35が配置される。これにより、着用時等に例えば衣服本体21のウエスト部34や膝下部分に左右に広がるような力が作用したときにも、ウエスト部34や膝下部分がサイズ変更パーツ26のウエスト部29や帯状部28から離れるのを防いで、線ファスナ32が開かないようにすることができる。
【0027】
以上のようにしたサイズ変更パーツ26は、最大幅Hを異ならせた複数種が用意される。図示は省略するが、例えば最大幅Hの狭いSサイズ用のサイズ変更パーツ、最大幅Hが中程度のMサイズ用のサイズ変更パーツ、最大幅Hの広いLサイズ用のサイズ変更パーツのように複数種が用意される。なお、図4では一種類のサイズ変更パーツ26だけを図示するが、最大幅Hの変更に合わせて、本体部27の最大幅部以外の幅や両サイドの湾曲形状、ウエスト部29の幅も適宜変更される。
【0028】
このように複数種あるサイズ変更パーツ26を付け替えることにより、パンツのウエスト、ヒップ、太もものサイズを変えることができ、一部の寸法を調整するのではなく、パンツそのもののサイズ変更が可能である。これにより、衣服本体21は共通の寸法とし、着用者の体格に合わせてサイズ変更パーツ26を付け替えればよいので、各種サイズのパンツを揃えておく必要がなくなる。
【0029】
なお、本実施形態では下衣の例としてパンツを説明したが、その具体的な構造は限定されるものではない。例えばロングパンツを説明したが、一例に過ぎず、例えばハーフパンツ等であってもよい。また、本発明は、パンツ以外の上衣、例えばスカート、サロペット等にも適用することができる。
【0030】
以下、本発明の適用例を述べる。
本発明の適用先として、例えば企業が従業員に提供するユニフォームとしての衣服が挙げられる。
企業が従業員にユニフォームを提供する場合、各種サイズを揃えておく必要があり、ユニフォームの在庫によるロスが生じる。また、あるサイズの在庫が不足したときには、そのサイズのユニフォームを新たに購入する必要がある。また、ある従業員に対して用意したユニフォームのサイズが当初に想定されたサイズと合わず、サイズ変更によるロスが生じることもある。
ユニフォームを販売するアパレル産業側でも、同様に、ユニフォームの在庫によるロスやサイズ変更によるロスが生じる。
本発明を適用することにより、衣服本体は共通のサイズとし、着用者の体格に合わせてサイズ変更パーツを付け替えればよい。したがって、複数種のサイズ変更パーツだけ用意しておけばよく、各種サイズの衣服を揃えておく必要がなくなり、在庫によるロスやサイズ変更によるロスを減らすことができる。
なお、ここではユニフォームを例示したが、これに限定されるものではなく、本発明は店舗販売や通販等で一般的に販売される衣服に適用することもできる。
【0031】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
上記実施形態では、サイズ変更パーツの取り付け構造に線ファスナ及び点ファスナを用いたが、これに限定されるものではなく、例えば面ファスナやボタン等を用いてもよい。
また、上記実施形態では、上衣と下衣とを分けて説明したが、本発明は、例えばつなぎ等のように上衣と下衣とが一体になった衣服に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1、21:衣服本体、4:首用の開口、5:ウエスト用の開口、7:後身頃、9:立ち襟、11、25:分離部、12、26:サイズ変更パーツ、15:襟部、24:ウエスト用の開口
図1
図2
図3
図4