(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】免震装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/04 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
F16F15/04 A
F16F15/04 E
(21)【出願番号】P 2020194913
(22)【出願日】2020-11-25
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】391039494
【氏名又は名称】株式会社エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100108497
【氏名又は名称】小塚 敏紀
(72)【発明者】
【氏名】早川 政光
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-067175(JP,A)
【文献】特開2017-187093(JP,A)
【文献】特開2020-085107(JP,A)
【文献】特開2003-294083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎に支持され対象物を支持する免震装置であって、
基礎に固定される下架台と、
対象物を支持する上架台と、
下架台を基礎として上架台を支持するN(N=3、・・・)個の第一免震機構と、
下架台を基礎として上架台を支持するM(M=3、・・・)個の第二免震機構と、
備え、
前記第一免震機構は上架台と下架台の上下方向の相対変位に応じて上架台の単数または複数の第一作用点に上方向ばね力を作用させる単数または複数の上下方向ばね要素を有し、
前記第二免震機構は上部で前記上架台の単数または複数の第二作用点に回動可能に連結し下部で前記下架台に回動可能に連結して前記上架台と前記下架台との上下方向の相対変位に対応して水平方向に相対変位する水平可動部を形成する複数のリンクを持つ連結部材と前記水平可動部の水平方向の相対変位に応じて前記水平可動部に水平方向ばね力を作用させる水平方向ばね要素とを有し、
上から見てN個の第一免震機構の第一特定位置を角とする凸多角形であるN角形を仮想でき、
ここで、前記第一免震機構の前記第一特定位置は該第一免震機構の単数の前記第一作用点の位置または複数の前記第一作用点の位置の中間位置のどちらか一方の位置であり、
上から見てM個の第二免震機構の第二特定位置を角とする凸多角形であるM角形を仮想でき、
ここで、前記第二免震機構の前記第二特定位置は該第二免震機構の単数の前記第二作用点の位置または複数の前記第二作用点の位置の中間位置のどちらか一方の位置であり、
上から見てN角形の図心がM角形の内側に位置し、
又は上から見てM角形の図心がN角形の内側に位置し、
N=Mであり、
上から見てN個の第一免震機構とM個の第二免震機構とが仮想の中心である仮想中心の回りに交互に配置され、
上から見てN角形の図心とM角形の図心が略一致し、
前記第一特定位置の前記N角形が前記第二特定位置の第M角形を内包する、
ことを特徴とする免震装置。
【請求項2】
上から見てM個の第二免震機構の前記水平可動部の水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線が一つの前記第二免震機構の仮想線が当該第二免震機構から前記仮想中心の周りに時計周りまたは反時計回りのうちの一方の周りに回ったときの次の前記第二免震機構の前記水平可動部が配置される位置で当該次の前記第二免震機構の仮想線に互いに交差して前記仮想中心を囲う様にM個の第二免震機構が配置される、
ことを特徴とする請求項
1に記載の免震装置。
【請求項3】
基礎に支持され対象物を支持する免震装置であって、
基礎に固定される下架台と、
対象物を支持する上架台と、
下架台を基礎として上架台を支持するN(N=3、・・・)個の第一免震機構と、
下架台を基礎として上架台を支持するM(M=3、・・・)個の第二免震機構と、
備え、
前記第一免震機構は上架台と下架台の上下方向の相対変位に応じて上架台の単数または複数の第一作用点に上方向ばね力を作用させる単数または複数の上下方向ばね要素を有し、
前記第二免震機構は上部で前記上架台の単数または複数の第二作用点に回動可能に連結し下部で前記下架台に回動可能に連結して前記上架台と前記下架台との上下方向の相対変位に対応して水平方向に相対変位する水平可動部を形成する複数のリンクを持つ連結部材と前記水平可動部の水平方向の相対変位に応じて前記水平可動部に水平方向ばね力を作用させる水平方向ばね要素とを有し、
上から見てN個の第一免震機構の第一特定位置を角とする凸多角形であるN角形を仮想でき、
ここで、前記第一免震機構の前記第一特定位置は該第一免震機構の単数の前記第一作用点の位置または複数の前記第一作用点の位置の中間位置のどちらか一方の位置であり、
上から見てM個の第二免震機構の第二特定位置を角とする凸多角形であるM角形を仮想でき、
ここで、前記第二免震機構の前記第二特定位置は該第二免震機構の単数の前記第二作用点の位置または複数の前記第二作用点の位置の中間位置のどちらか一方の位置であり、
上から見てN角形の図心がM角形の内側に位置し、
又は上から見てM角形の図心がN角形の内側に位置し、
N=Mであり、
上から見てN個の第一免震機構とM個の第二免震機構とが仮想の中心である仮想中心の回りに交互に配置され、
上から見てM個の第二免震機構の前記水平可動部の水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線が一つの前記第二免震機構の仮想線が当該第二免震機構から前記仮想中心の周りに時計周りまたは反時計回りのうちの一方の周りに回ったときの次の前記第二免震機構の前記水平可動部が配置される位置で当該次の前記第二免震機構の仮想線に互いに交差して前記仮想中心を囲う様にM個の第二免震機構が配置される、
ことを特徴とする免震装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎に支持され対象物を支持する免震装置に係る。特に、本発明は、上下方向ばね要素と水平方向ばね要素を組み合わせた構造に特徴のある免震装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地震が発生すると、家屋や構造物や自動販売機や家具や棚や製造設備が水平、垂直にゆすられる。
また、移動体の中に設けられた構造物や自動販売機や家具や棚や製造設備が、移動体の移動中に、水平、垂直にゆすられる。
また、日常の僅かな揺れを嫌う製造設備が、地盤から僅かな加速度でゆすられる。
これらの家屋や構造物や自動販売機や家具や棚や製造設備や美術品、その他を対象物と呼称する。
直下型地震等による垂直加速度が大きかったり、垂直にゆすられる時間がながかったり、許容する加速度が小さいとき、被支持体が損傷したり、対象物が支持するものが転倒したり、損傷したりする。また、製造設備が所要の性能を発揮できない。
【0003】
従来、これらの事態を防止するため、基礎に支持され対象物を支持する免震機構が、提案されている。
【0004】
発明者は、複数のタイプの免震機構を組み合わせた免震装置を検討した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み垂直方向の加速度を低減させる目的で案出されたもので、基礎に支持され対象物を支持する免震装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る基礎に支持され対象物を支持する免震装置を、基礎に固定される下架台と、対象物を支持する上架台と、下架台を基礎として上架台を支持するN(N=3、・・・)個の第一免震機構と、下架台を基礎として上架台を支持するM(M=3、・・・)個の第二免震機構と、備え、前記第一免震機構は上架台と下架台の上下方向の相対変位に応じて上架台の単数または複数の第一作用点に上方向ばね力を作用させる単数または複数の上下方向ばね要素を有し、前記第二免震機構は上部で前記上架台の単数または複数の第二作用点に回動可能に連結し下部で前記下架台に回動可能に連結して前記上架台と前記下架台との上下方向の相対変位に対応して水平方向に相対変位する水平可動部を形成する複数のリンクを持つ連結部材と前記水平可動部の水平方向の相対変位に応じて前記水平可動部に水平方向ばね力を作用させる水平方向ばね要素とを有し、上から見てN個の第一免震機構の第一特定位置を角とする凸多角形であるN角形を仮想でき、ここで、前記第一免震機構の前記第一特定位置は該第一免震機構の単数の前記第一作用点の位置または複数の前記第一作用点の位置の中間位置のどちらか一方の位置であり、上から見てM個の第二免震機構の第二特定位置を角とする凸多角形であるM角形を仮想でき、ここで、前記第二免震機構の前記第二特定位置は該第二免震機構の単数の前記第二作用点の位置または複数の前記第二作用点の位置の中間位置のどちらか一方の位置であり、上から見てN角形の図心がM角形の内側に位置する、又は上から見てM角形の図心がN角形の内側に位置する、ものとした。
【0007】
上記本発明の構成により、下架台は、基礎に固定される。上架台は、対象物を支持する。N(N=3、・・・)個の第一免震機構は、下架台を基礎として上架台を支持する。M(M=3、・・・)個の第二免震機構と、は、下架台を基礎として上架台を支持する。前記第一免震機構は上架台と下架台の上下方向の相対変位に応じて上架台の単数または複数の第一作用点に上方向ばね力を作用させる単数または複数の上下方向ばね要素を有する。前記第二免震機構は上部で前記上架台の単数または複数の第二作用点に回動可能に連結し下部で前記下架台に回動可能に連結して前記上架台と前記下架台との上下方向の相対変位に対応して水平方向に相対変位する水平可動部を形成する複数のリンクを持つ連結部材と前記水平可動部の水平方向の相対変位に応じて前記水平可動部に水平方向ばね力を作用させる水平方向ばね要素とを有する。上から見てN個の第一免震機構の第一特定位置を角とする凸多角形であるN角形を仮想できる。ここで、前記第一免震機構の前記第一特定位置は該第一免震機構の単数の前記第一作用点の位置または複数の前記第一作用点の位置の中間位置のどちらか一方の位置である。上から見てM個の第二免震機構の第二特定位置を角とする凸多角形であるM角形を仮想できる。ここで、前記第二免震機構の前記第二特定位置は該第二免震機構の単数の前記第二作用点の位置または複数の前記第二作用点の位置の中間位置のどちらか一方の位置である。上から見てN角形の図心がM角形の内側に位置する、又は上から見てM角形の図心がN角形の内側に位置する。
その結果、上から見てコンパクトになった免震装置を提供できる。
【0008】
以下に、本発明の実施形態に係る免震装置を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0009】
本発明の実施形態に係る免震装置は、N=Mであり、上から見てN個の第一免震機構とM個の第二免震機構とが仮想の中心である仮想中心の回りに交互に配置される。
上記の実施形態の構成により、N=Mである。上から見てN個の第一免震機構とM個の第二免震機構とが仮想の中心である仮想中心の回りに交互に配置される。
その結果、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
【0010】
本発明の実施形態に係る免震装置は、上から見てN角形の図心とM角形の図心が略一致する、
上記の実施形態の構成により、上から見てN角形の図心とM角形の図心が略一致する。
その結果、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
【0011】
本発明の実施形態に係る免震装置は、N=Mであり、上から見てN角形とM角形とが互いの角の位置を仮想中心の回りに所定の角度だけずらて重なる。
上記の実施形態の構成により、N=Mである。上から見てN角形とM角形とが互いの角の位置を仮想中心の回りに所定の角度だけずらして重なる。
その結果、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
【0012】
本発明の実施形態に係る免震装置は、上から見てM個の第二免震機構の前記水平可動部の水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線が放射状になる様にM個の第二免震機構が配置される。
上記の実施形態の構成により、上から見てM個の第二免震機構の前記水平可動部の水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線が放射状になる様にM個の第二免震機構が配置される。
その結果、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
【0013】
本発明の実施形態に係る免震装置は、上から見てM個の第二免震機構の前記水平可動部の水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線が互いに交差して前記仮想中心を囲う様にM個の第二免震機構が配置される。
上記の実施形態の構成により、上から見てM個の第二免震機構の前記水平可動部の水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線が互いに交差して前記仮想中心を囲う様にM個の第二免震機構が配置される、。
その結果、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明に係る免震装置は、その構成により、以下の効果を有する。
N個の第一免震機構の上下ばね要素により上架台の第一作用点に上方向ばね力を作用させ、M個の第二免震機構の水平ばね要素により上架台の第二作用点に連結する連結部材の水平可動に水平方向ばね力を作用させ、N個の第一作用点の中間位置を直線で結んだN角形とM個の第二作用線の中間位置を直線で結んだM角形の一方の図心が他方の内側に位置する様にしたので、上から見てコンパクトになった免震装置を提供できる。
上から見てN個の第一免震機構とM個の第二免震機構とが仮想中心の回りに交互に配置される様にしたので、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
上から見てN角形の図心とM角形の図心が略一致する様にしたので、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
上から見てN角形とM角形とが仮想中心の回りに互いの角の位置を所定の角度だけずらして重なる様にしたので、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
上から見てM個の第二免震機構の前記水平可動部の水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線が放射状になる様にM個の第二免震機構が配置される様にしてので、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
上から見てM個の第二免震機構の前記水平可動部の水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線が互いに交差して前記仮想中心を囲う様にM個の第二免震機構が配置される様にしたので、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の斜視図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の部分斜視図である。
【
図3】本発明の第一の実施形態に係る基礎構造の部分平面図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態に係る第二免震機構の斜視図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態に係る第二免震機構の側面図である。
【
図6】本発明の第一の実施形態に係る第二免震機構の正面図である。
【
図7】本発明の第一の実施形態に係る第二免震機構の平面図である。
【
図8】本発明の第一の実施形態に係る第一免震機構の側面図である。
【
図9】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の性能特性図である。
【
図10】本発明の第二の実施形態に係る免震装置の斜視図である。
【
図11】本発明の第二の実施形態に係る免震装置の部分斜視図である。
【
図12】本発明の第二の実施形態に係る免震装置の部分正面図である。
【
図13】本発明の第二の実施形態に係る免震装置の部分平面図である。
【
図14】本発明の第三の実施形態に係る免震装置の部分斜視図である。
【
図15】本発明の第三の実施形態に係る免震装置の部分平面図である。
【
図16】本発明の実施形態にかかる免震装置の応用図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を、説明する。
本発明の実施形態にかかる免震装置は、基礎に支持され対象物を支持する装置である。
【0017】
本発明の実施形態にかかる免震装置は、下架台300dと上架台300uとN(N=3、・・・)個の第一免震機構100とM(M=3、・・・)個の第二免震機構200とで構成される。
【0018】
下架台300dは、基礎に固定される構造である。
下架台300dは、基礎構造を兼ねてもよい。
【0019】
上架台300uは、対象物を支持する構造である。
上架台300uは、対象物の下部構造を兼ねてもよい。
【0020】
N(N=3、・・・)個の第一免震機構100は、下架台300dを基礎として上架台300uを支持する機構である。
第一免震機構100は、単数または複数の上下方向ばね要素120で構成される。
第一免震機構100は、上下1対の構造である第一上部構造110uと第一下部構造110dと単数または複数の上下方向ばね要素120とで構成されてもよい。
例えば、第一免震機構100は、上下1対の構造である第一上部構造110uと第一下部構造110dと上下方向ばね要素120とで構成される。
例えば、第一免震機構100は、上下1対の構造である第一上部構造110uと第一下部構造110dと複数の上下方向ばね要素120とで構成される。
【0021】
第一上部構造110uは、上下方向ばね要素120の上端に固定されるフランジで構成されてもよい。
第一下部構造110dは、上下方向ばね要素120の下端に固定されるフランジで構成されてもよい。
【0022】
上下方向ばね要素120は、上架台300uと下架台300dの上下方向の相対変位に応じて上架台300uの単数または複数の第一作用点P1に上方向ばね力O1を作用させる機械要素である。
上下方向ばね要素120は、上架台300uと下架台300dの上下方向の相対変位に応じて上架台300uの単数または複数の第一作用点P1に第一上部構造110uを介して上方向ばね力を作用させる機械要素であってもよい。
例えば、上下方向ばね要素120は弾性ばねである。
例えば、上下方向ばね要素120は空気ばねである。
例えば、上下方向ばね要素120はつる巻きばねである。
例えば、上下方向ばね要素120は圧縮つる巻きばねである。
例えば、上下方向ばね要素120は引っ張りつる巻きばねである。
【0023】
第一免震機構100は、上方向ばね力O1により上架台300uの単数または複数の第一作用点P1に上方向の第一支持力F1を作用させる。
第一免震機構100は、上方向ばね力O1により第一上部構造110uを介して上架台300uの単数または複数の第一作用点P1に上方向の第一支持力F1を作用させてもよい。
第一免震機構100は、上架台300uと下架台300dの上下方向の相対変位に応じて、上方向ばね力O1により上架台300uの単数または複数の第一作用点P1に上方向の第一支持力F1を作用させてもよい。
例えば、第一免震機構100は、上方向ばね力O1により第一上部構造110uを介して上架台300uの第一作用点P1に上方向の第一支持力F1を作用させる。
例えば、第一免震機構100は、複数の上方向ばね力O1により第一上部構造110uを介して上架台300uの複数の第一作用点P1に上方向の第一支持力F1を作用させる。
【0024】
M(M=3、・・・)個の第二免震機構200は、下架台300dを基礎として上架台300uを支持する機構である。
第二免震機構200は、連結部材230と水平方向ばね要素210とで構成される。
第二免震機構200は、上下1対の構造である第二上部構造210uと第二下部構造210dと連結部材230と水平方向ばね要素220とで構成されてもよい。
【0025】
第二上部構造210uは、上から見て略長方形の輪郭と所定の厚みをもつ構造であってよい。
第二下部構造210dは、上から見て略長方形の輪郭と所定の厚みをもつ構造であってよい。
水平方向ばね要素220と連結部材230とが、第二上部構造210uと第二下部構造210dとの間に位置する。
【0026】
連結部材230は、上部で上架台300uの単数または複数の第二作用点P2に回動可能に連結し、下部で下架台に回動可能に連結して、上架台300uと下架台300dとの上下方向の相対変位に対応して水平方向に相対変位する水平可動部Rを形成する複数のリンクで構成される。
連結部材230は、上部で上架台300uの単数または複数の第二作用点P2に第二上部構造210uを介して回動可能に連結し、下部で下架台300dに第二下部構造210dを介して回動可能に連結して、上架台300uと下架台300dとの上下方向の相対変位に対応して第二上部構造210uと第二下部構造210dとが上下方向に相対変位しつつ水平方向に相対変位する水平可動部Rを形成する複数のリンクで構成されてもよい。
【0027】
水平方向ばね要素220は、水平可動部Rの水平方向の相対変位に応じて水平可動部Rに水平方向ばね力O2を作用させる機械要素である。
例えば、水平方向ばね要素220は、空気ばねである。
例えば、水平方向ばね要素220は、弾性部材である。
例えば、水平方向ばね要素220は、つる巻きばねである。
例えば、水平方向ばね要素220は、引っ張りつる巻きばねである。
例えば、水平方向ばね要素220は、圧縮つる巻きばねである。
【0028】
第二免震機構200は、水平方向ばね力O2により上架台300uの単数または複数の第二作用点P2に上方向の第二支持力F2を作用させる。
第二免震機構200は、水平方向ばね力O2により上架台300uの単数または複数の第二作用点P2に第二上部構造210uを介して上方向の第二支持力F2を作用させてもよい。
第二免震機構200は、上架台300uと下架台300dとの上下方向の相対変位に対応して、水平方向ばね力O2により上架台300uの単数または複数の第二作用点P2に第二上部構造210uを介して上方向の第二支持力F2を作用させてもよい。
第二免震機構200は、上架台300uと下架台300dとの上下方向の相対変位に対応して、第二上部構造210uと第二下部構造210dとが上下方向に相対変位しつつ、水平方向ばね力O2により上架台300uの単数または複数の第二作用点P2に第二上部構造210uを介して上方向の第二支持力F2を作用させてもよい。
【0029】
上から見てN個の第一免震機構100の第一特定位置Q1を角とする凸多角形であるN角形S1を仮想できる。
上から見てN個の第一免震機構100の第一特定位置Q1を角とする凸正多角形であるN角形S1を仮想できてもよい。
ここで、第一免震機構100の第一特定位置Q1は、その第一免震機構100の単数の第一作用点P1の位置または複数の第一作用点P1の位置の中間位置のどちらか一方の位置である。
例えば、第一免震機構100が単数の第一作用点P1を持つとき、第一免震機構100の第一特定位置Q1は、第一免震機構100の単数の第一作用点P1の位置である。
例えば、第一免震機構100が複数の第一作用点P1を持つとき、第一免震機構100の第一特定位置Q1は、第一免震機構100の複数の第一作用点P1の位置の中間位置である。
【0030】
上から見てM組の単数の第二作用点P2の位置または複数の第二作用点P2の位置の中間位置のどちらか一方の位置であるM個の第二特定位置Q2を角とする凸多角形であるM角形S2を仮想できる。
上から見てM組の単数の第二作用点P2の位置または複数の第二作用点P2の位置の中間位置のどちらか一方の位置であるM個の第二特定位置Q2を角とする凸正多角形であるM角形S2を仮想できる。
ここで、第二免震機構200の第二特定位置Q2は、その第二免震機構200の単数の第二作用点P2の位置または複数の第二作用点P2の位置の中間位置のどちらか一方の位置である。
例えば、第二免震機構200が単数の第二作用点P2を持つとき、第二免震機構200の第二特定位置Q2は、第二免震機構200の単数の第二作用点P2の位置である。
例えば、第二免震機構200が複数の第二作用点P2を持つとき、第二免震機構200の第二特定位置Q2は、第二免震機構200の複数の第二作用点P2の位置の中間位置である。
【0031】
ここで、凸多角形は、この多角形を横ぎる任意の直線はその多角形と境界においてちょうど2回交わる。その既決として凸多角形の内角は180度より小さい。
【0032】
上から見てN角形S1の図心がM角形S2の内側に位置する、又は上から見てM角形S2の図心がN角形S1の内側に位置する。
上から見てN角形S1の図心がM角形S2の内側に位置する、且つ上から見てM角形S2の図心がN角形S1の内側に位置してもよい。
【0033】
N=Mであり、上から見てN個の第一免震機構100とM個の第二免震機構200とが仮想の中心である仮想中心Cの回りに交互に配置されてもよい。
例えば、上から見て3個の第一免震機構100と3個の第二免震機構200とが仮想の中心である仮想中心Cの回りに交互に配置される。
例えば、上から見て4個の第一免震機構100と4個の第二免震機構200とが仮想の中心である仮想中心Cの回りに交互に配置される。
【0034】
上から見てN角形S1の図心とM角形S2の図心が略一致してもよい。
【0035】
N=Mであり、上から見てN角形S1とM角形S2とが互いの角の位置を仮想中心の回りに所定の角度だけずらして重なってもよい。
例えば、上から見て3個の角をもつN角形S1と3個の角をもつM角形S2とが互いの角の位置を仮想中心Cの回りに所定の角度だけずらして重なる。
例えば、上から見て4個の角をもつN角形S1と4個の角をもつM角形S2とが互いの角の位置を仮想中心Cの回りに所定の角度だけずらして重なる。
【0036】
N=M=Xであり、上から見てN角形S1とM角形S2とが互いの角の位置を仮想中心の回りに360度/(2X)だけずらして重なってもよい。
例えば、上から見て3個の角をもつN角形S1と3個の角をもつM角形S2とが互いの角の位置を360度/6=60度だけずらして重なる。
例えば、上から見て4個の角をもつN角形S1と4個の角をもつM角形S2とが互いの角の位置を360度/8=45度だけずらして重なる。
【0037】
上から見て、M個の第二免震機構200の水平可動部Rの水平方向の相対変位の方向に沿って延びるM個の仮想線Jが仮想中心Cから放射状になる様にM個の第二免震機構が配置される。
例えば、上から見て3個の第二免震機構200の水平可動部Rの水平方向の相対変位の方向に沿って延びる3個の仮想線Jが仮想中心Cから放射状になる様に3個の第二免震機構200が配置される。
【0038】
上から見てM個の第二免震機構200の水平可動部の水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線が互いに交差して仮想中心Cを囲う様にM個の第二免震機構が配置されてもよい。
例えば、上から見て4個の第二免震機構200の水平可動部の水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線Cが互いに交差して井桁状に仮想中心Cを囲う様にM個の第二免震機構200が配置されてもよい。
【0039】
次に、本発明の第一の実施形態にかかる免震装置を、図を基に、説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の斜視図である。
図2は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の部分斜視図である。
図3は、本発明の第一の実施形態に係る基礎構造の部分平面図である。
図4は、本発明の第一の実施形態に係る第二免震機構の斜視図である。
図5は、本発明の第一の実施形態に係る第二免震機構の側面図である。
図6は、本発明の第一の実施形態に係る第二免震機構の正面図である。
図7は、本発明の第一の実施形態に係る第二免震機構の平面図である。
図8は、本発明の第一の実施形態に係る第一免震機構の側面図である。
図9は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の性能特性図である。
【0040】
本発明の第一の実施形態にかかる免震装置は、下架台300dと上架台300uと3個の第一免震機構100と3個の第二免震機構200とで構成される。
【0041】
下架台300dは、基礎に固定される構造である。
上から見て、下架台300dは短辺と長辺とが交互につながった6角形の輪郭と所定の厚さをもつ構造体である。
【0042】
上架台300uは、対象物を支持する構造である。
上から見て、上架台300uは短辺と長辺とが交互につながった6角形の輪郭と所定の厚さをもつ構造体である。
【0043】
3個の第一免震機構100は、下架台を基礎として上架台を支持する機構である。
第一免震機構100は、上下1対の構造である第一上部構造110uと第一下部構造110dと単数の上下方向ばね要素120とで構成される。
【0044】
上下方向ばね要素120は、上架台300uと下架台300dの上下方向の相対変位に応じて上架台300uの単数の第一作用点P1に第一上部構造110uを介して上方向ばね力を作用させる機械要素である。
上下方向ばね要素120は、圧縮つる巻きばねである。
第一上部構造110uは、上下方向ばね要素120の上端に固定されるフランジで構成される。第一上部構造110uのフランジが上架台300uの下面に固定される。
第一下部構造110dは、上下方向ばね要素120の下端に固定されるフランジで構成される。第一下部構造110dのフランジが下架台300dの上面に固定される。
【0045】
第一免震機構100は、上方向ばね力O1により上架台300uの単数の第一作用点P1に上方向の第一支持力F1を作用させる。
第一免震機構100は、上架台300uと下架台300dの上下方向の相対変位に応じて、上方向ばね力O1により上架台300uの単数の第一作用点P1に上方向の第一支持力F1を作用させる。
【0046】
3個の第二免震機構200は、下架台300dを基礎として上架台300uを支持する機構である。
第二免震機構200は、上下1対の構造である第二上部構造210uと第二下部構造210dと連結部材230と水平方向ばね要素220とで構成される。
【0047】
連結部材230は、上部で上架台300uの4個の第二作用点P2に第二上部構造210uを介して回動可能に連結し、下部で下架台300dに第二下部構造210dを介して回動可能に連結して、上架台300uと下架台300dとの上下方向の相対変位に対応して第二上部構造210uと第二下部構造210dとが上下方向に相対変位しつつ水平方向に相対変位する水平可動部Rを形成する複数のリンクで構成される。
【0048】
水平方向ばね要素220は、水平可動部Rの水平方向の相対変位に応じて水平可動部Rに水平方向ばね力Hを作用させる機械要素である。
水平方向ばね要素220は、引っ張りつる巻きばねである。
第二上部構造210uと第二下部構造210dとの相対距離が小さくなると、水平方向ばね要素220が伸びる。
第二上部構造210uと第二下部構造210dとの相対距離が大きくなると、水平方向ばね要素220が縮む。
【0049】
複数のリンクは、左右1対の第一リンク231と左右1対の第二リンク232と左右1対の第三リンク233と左右1対の第四リンク234と左右1対の第五リンク235とで構成される。
図5に、複数のリンクの配置が示される。
【0050】
左右1対の第一リンク231は、上端を第二上部構造の第二作用点P2に対応する位置に回動自在に連結され、下端を左右1対の第二リンク232の上端と左右1対の第五リンク235の一端に回動自在に連結される。
左右1対の第二リンク232は、上端を左右1対の第一リンク231の下端と左右1対の第五リンク235の一端に回動自在に連結され、下端を第二下部構造210dに回動可能に連結される。
左右1対の第三リンク233は、上端を第二上部構造210uの第二作用点P2に対応する位置に回動自在に連結され、中央部を左右1対の第五リンク235の他端と左右1対の第四リンク234の上端に回動可能に連結され、下端を自由端とする。この自由端を水平可動部Rと呼称する。
左右1対の第四リンク234は、上端を左右1対の第五リンク235の他端と左右1対の第三リンク233の中央部に回動可能に連結される。
左右1対の第一リンク231と左右1対の第三リンク233とが同一方向に傾き、左右1対の第二リンク232と左右1対の第四リンク234とが同一方向に傾く。
水平方向ばね要素220は、一端を第二下部構造210dに連結され、他端を水平可動部Rに連結され、引っ張り力である水平方向ばね力O2を発生する。
【0051】
上架台300uと下架台300dとの上下方向の相対変位するのに対応して、第二上部構造210uと第二下部構造210dとが上下方向に相対変位する。
第二上部構造210uと第二下部構造210dとが上下方向に相対変位すると、水平可動部Rが水平方向に相対変位する。
水平可動部Rが水平方向に相対変位すると、相対変位に対応して、水平方向ばね要素220が伸縮し、水平方向ばね力O2の大きさが変化する。
【0052】
第二免震機構200は、水平方向ばね力O2により上架台の4個の第二作用点P2に第二上部構造210uを介して上方向の第二支持力F2を作用させる。
第二免震機構200は、上架台300uと下架台300dとの上下方向の相対変位に対応して、第二上部構造210uと第二下部構造210dとが上下方向に相対変位しつつ、水平方向ばね力O2により上架台の4個の第二作用点P2に第二上部構造210uを介して上方向の第二支持力F2を作用させる。
【0053】
上から見て3個の第一免震機構100の第一特定位置Q1を角とする3角形であるN角形を仮想できる。
ここで、第一免震機構100の第一特定位置Q1は、その第一免震機構100の単数の第一作用点P1の位置または複数の第一作用点P2の位置の中間位置のどちらか一方の位置である。
図2、3に、上から見て3個の第一免震機構100の単数の第一作用点P1の位置である3個の第一特定位置Q1を角とする正3角形であるN角形S1を示される。
【0054】
上から見て3個の第二免震機構200の第二特定位置Q2を角とする3角形であるM角形を仮想できる。
ここで、第二免震機構200の第二特定位置Q2は、その第二免震機構200の単数の第二作用点P2の位置または複数の第二作用点P2の位置の中間位置のどちらか一方の位置であり、
図2、3に、上から見て3個の第二免震機構200の4個の第二作用点P2の位置の中間位置である3個の第二特定位置Q2を角とする正3角形であるM角形S2を示される。
第二特定位置Q2は、4個の第二作用点P2の位置の中間に位置する。
【0055】
上から見て3個の第一特定位置Q1を角とするN角形S1の図心が3個の第二特定位置Q2を角とするM角形S2の内側に位置する、且つ上から見て3個の第二特定位置Q2を角とするM角形S2の図心が3個の第一特定位置Q1を角とするN角形S1の内側に位置する。
【0056】
上から見て3個の第一特定位置Q1を角とするN角形S1と3個の第二特定位置Q2を角とするM角形S2とが互いの角の位置を仮想中心の回りに360度/6=60度だけずらして重なる。
【0057】
上から見て3個の第二免震機構の水平可動部Rの水平方向の相対変位の方向に沿って延びる3個の仮想線Jが仮想中心Cから放射状になる様に3個の第二免震機構200が配置される。
【0058】
以下に、本発明の第一の実施形態にかかる免震装置の性能特性を、図を基に、説明する。
図9は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の性能特性図である。
図9は、横軸に上架台300uと下架台300dの相対距離の縮み量を表し、縦軸に上架台に上方向に作用する支持力を表す。
図9中、実線は第一免震機構の上方向ばね力により発生する上方向の支持力を示し、破線は、第二免震機構の水平方向ばね力により発生する上方向の支持力を示し、太線は、両者の支持力の合成支持力を示す。
その結果、免震装置の発生する合成支持力は、第一免震機構単体による支持力に比べ小さいばね定数をもつ。
その結果、免震装置は、第一免震機構100単体よりも小さな固有振動数をもつばね系を具現化できる。
【0059】
次に、本発明の第二の実施形態かかる免震装置を、図を基に、説明する。
図10は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置の斜視図である。
図11は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置の部分斜視図である。
図12は、本発明の第二の実施形態に係る第一免震機構の側面図である。
図13は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置の部分平面図である。
【0060】
本発明の第二の実施形態にかかる免震装置は、下架台300dと上架台300uと4個の第一免震機構100と4個の第二免震機構200とで構成される。
【0061】
下架台300dは、基礎に固定される構造である。
上から見て、下架台300dは正四角形の輪郭と所定の厚さをもつ構造体である。
【0062】
上架台300uは、対象物を支持する構造である。
上から見て、上架台300uは正四角形の輪郭と所定の厚さをもつ構造体である。
【0063】
4個の第一免震機構100は、下架台を基礎として上架台を支持する機構である。
第一免震機構100は、上下1対の構造である第一上部構造110uと第一下部構造110dと2個の上下方向ばね要素120とで構成される。
【0064】
第一免震機構100の構成は、2個の上下方向ばね要素120を備える他は、第一の実施形態にかかる免震装置のものと同じなので、説明を省略する。
【0065】
第一免震機構100は、2個の上方向ばね力O1により上架台300uの2個の第一作用点P1に上方向の第一支持力F1を作用させる。
【0066】
4個の第二免震機構200は、下架台300dを基礎として上架台300uを支持する機構である。
第二免震機構200は、上下1対の構造である第二上部構造210uと第二下部構造210dと連結部材230と水平方向ばね要素210とで構成される。
【0067】
第二免震機構200の構成は、第一に実施形態にかかる免震装置のものと同じなので、説明を省略する。
【0068】
第二免震機構200は、水平方向ばね力O2により上架台の4個の第二作用点P2に第二上部構造210uを介して上方向の第二支持力F2を作用させる。
第二免震機構200は、上架台300uと下架台300dとの上下方向の相対変位に対応して、第二上部構造210uと第二下部構造210dとが上下方向に相対変位しつつ、水平方向ばね力O2により上架台300uの4個の第二作用点P2に第二上部構造210uを介して上方向の第二支持力F2を作用させる。
【0069】
上から見て4個の第一免震機構100の第一特定位置Q1を角とする4角形であるN角形を仮想できる。
ここで、第一免震機構100の第一特定位置Q1は、その第一免震機構200の単数の第一作用点P1の位置または複数の第一作用点P2の位置の中間位置のどちらか一方の位置である。
図13に、上から見て4個の第一免震機構100の2個の第一作用点P1の位置の中間位置である4個の第一特定位置Q1を角とする4角形であるN角形S1を示される。
第一特定位置Q1が、2個の第一作用点P1の位置の中間に位置する。
【0070】
上から見て4個の第二免震機構200の第二特定位置Q2を角とする4角形であるM角形を仮想できる。
ここで、第二免震機構200の第二特定位置Q2は、その第二免震機構200の単数の第二作用点P1の位置または複数の第二作用点P2の位置の中間位置のどちらか一方の位置である。
図13に、上から見て4個の第二免震機構200の4個の第二作用点P2の位置の中間位置である4個の第二特定位置Q2を角とする4角形であるM角形S2を示される。
第二特定位置Q2は、4個の第二作用点P2の位置の中間に位置する。
【0071】
上から見て4個の第一特定位置Q1を角とするN角形S1の図心が4個の第二特定位置Q2を角とするM角形S2の内側に位置する、且つ上から見て4個の第二特定位置Q2を角とするM角形S2の図心が4個の第一特定位置Q1を角とするN角形S1の内側に位置する。
【0072】
上から見て4個の第一特定位置Q1を角とするN角形S1と4個の第二特定位置Q2を角とするM角形S2とが互いの角の位置を仮想中心Cの回りに所定の角度だけずらして重なる。
【0073】
上から見て4個の第二免震機構200の水平可動部Rの水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線Jが互いに交差して井桁状に仮想中心Cを囲う様に4個の第二免震機構200が配置される。
【0074】
本発明の第二の実施形態にかかる免震装置の性能特性は、本発明の本発明の第一の実施形態にかかる免震装置の性能特性と同じなので、説明を省略する。
【0075】
次に、本発明の第三の実施形態にかかる免震装置を、図を基に、説明する。
図14は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置の部分斜視図である。
図15は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置の部分平面図である。
【0076】
本発明の第一の実施形態にかかる免震装置は、下架台300dと上架台300uと4個の第一免震機構100と4個の第二免震機構200とで構成される。
【0077】
下架台300dと上架台300uの構成は、第二の実施形態にかかる免震装置のものと同じなので、説明を省略する。
【0078】
4個の第一免震機構100は、下架台300dを基礎として上架台300uを支持する機構である。
第一免震機構100は、上下1対の構造である第一上部構造110uと第一下部構造110dと上下方向ばね要素120とで構成される。
【0079】
第一免震機構100の構成は、第一の実施形態にかかる免震装置のものと同じなので、説明を省略する。
【0080】
第一免震機構100は、上方向ばね力O1により上架台300uの1個の第一作用点P1に上方向の第一支持力F1を作用させる。
【0081】
4個の第二免震機構200は、下架台300dを基礎として上架台300uを支持する機構である。
第二免震機構200は、上下1対の構造である第二上部構造210uと第二下部構造210dと連結部材230と水平方向ばね要素210とで構成される。
【0082】
第二免震機構200の構成は、第一の実施形態にかかる免震装置のものと同じなので、説明を省略する。
【0083】
第二免震機構200は、水平方向ばね力O2により上架台の4個の第二作用点P2に第二上部構造210uを介して上方向の第二支持力F2を作用させる。
【0084】
上から見て4個の第一免震機構100の第一特定位置Q1を角とする正4角形であるN角形を仮想できる。
ここで、第一免震機構100の第一特定位置Q1は、その第一免震機構100の単数の第一作用点P1の位置または複数の第一作用点P1の位置の中間位置のどちらか一方の位置であり、
図15に、上から見て4個の第一免震機構100の第一作用点P1の位置である4個の第一特定位置Q1を角とする4角形であるN角形S1を仮想されることが示される。
第一特定位置Q1は、第一作用点P1の位置に一致する。
【0085】
上から見て4個の第二免震機構200の第二特定位置Q2を角とする正4角形であるM角形を仮想できる。
ここで、第二免震機構200の第二特定位置Q2は、その第二免震機構200の単数の第二作用点P2の位置または複数の第二作用点P2の位置の中間位置のどちらか一方の位置である。
上から見て4個の第二免震機構200の4個の第二作用点P2の位置の中間位置である4個の第二特定位置Q2を角とする凸4角形であるM角形S2を仮想できる。
図15に、上から見て4組の4個の第二作用点P2の位置の中間位置である4個の第二特定位置Q2を角とする凸4角形であるM角形S2を仮想されることが示される。
第二特定位置Q2は、4個の第二作用点P2の位置の中間に位置する。
【0086】
上から見て4個の第一特定位置Q1を角とするN角形S1の図心が4個の第二特定位置Q2を角とするM角形S2の内側に位置し、且つ上から見て4個の第二特定位置Q2を角とするM角形S2の図心が4個の第一特定位置Q1を角とするN角形S1の内側に位置する。
【0087】
上から見て4個の第一特定位置Q1を角とするN角形S1と4個の第二特定位置Q2を角とするM角形S2とが互いの角の位置を仮想中心Cの回りに所定の角度だけずらして重なる。
【0088】
上から見て4個の第二免震機構の水平可動部Rの水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線Jが互いに交差して井桁状に仮想中心Cを囲う様に4個の第二免震機構が配置される。
【0089】
以下に、本発明の実施形態にかかる免震装置の応用例を、図を基に、説明する。
図16は、本発明の実施形態にかかる免震装置の応用図である。
本発明の実施形態にかかる免震装置を美術品等の展示装置に応用した例である。
本発明の実施形態にかかる免震装置を、水平方向の振動を免震する免震装置の上に、重ねる。
美術品等を、本発明の実施形態にかかる免震装置の上に乗せる。
本発明の実施形態にかかる免震装置は、免震したい地震特性に対応して調整される。
この様にすると、地震が発生したときに、地震加速度を免震でき、美術品等の破損を防止できる。
【0090】
以上説明したように、本発明に係る基礎構造は、その構成により、以下の効果を有する。
N個の第一免震機構の上下ばね要素により上架台の第一作用点に上方向ばね力を作用させ、M個の第二免震機構の水平ばね要素により上架台の第二作用点に連結する連結部材の水平可動に水平方向ばね力を作用させ、N個の第一作用点の中間位置を直線で結んだN角形S1とM個の第二作用線の中間位置を直線で結んだM角形S2の一方の図心が他方の内側に位置する様にしたので、上から見てコンパクトになった免震装置を提供できる。
上から見てN個の第一免震機構とM個の第二免震機構とが仮想中心の回りに交互に配置される様にしたので、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
上から見てN角形S1の図心とM角形S2の図心が略一致する様にしたので、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
上から見てN角形S1とM角形S2とが互いの角の位置を所定の角度だけずらして重なる様にしたので、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
上から見てM個の第二免震機構の水平可動部の水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線が放射状になる様にM個の第二免震機構が配置される様にしてので、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
上から見て奇数個の第二免震機構の水平可動部の水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線が放射状になる様に奇数個の第二免震機構が配置される様にしてので、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
上から見て3個の第二免震機構の水平可動部の水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線が放射状になる様に3個の第二免震機構が配置される様にしてので、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
上から見てM個の第二免震機構の水平可動部の水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線が互いに交差して仮想中心を囲う様にM個の第二免震機構が配置される様にしたので、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
上から見て偶数個の第二免震機構の水平可動部の水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線が互いに交差して仮想中心を囲う様に偶数個の第二免震機構が配置される様にしたので、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
上から見て4個の第二免震機構の水平可動部の水平方向の相対変位の方向に沿って延びる仮想線が互いに交差して井桁状に仮想中心を囲う様に4個の第二免震機構が配置される様にしたので、上から見てよりコンパクトになった免震装置を提供できる。
【0091】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
【符号の説明】
【0092】
O1 上方向ばね力
O2 水平方向ばね力
P1 第一作用点
P2 第二作用点
F1 第一支持力
F2 第二支持力
Q1 第一特定位置
Q2 第二特定位置
R 水平可動部
S1 N角形
S2 M角形
C 仮想の中心
J 仮想線
300d 下架台
300u 上架台
100 第一免震機構
110d 第一下部構造
110u 第一上部構造
120 上下方向ばね要素
200 第二免震機構
210d 第二下部構造
210u 第二上部構造
220 水平方向ばね要素
230 連結部材
231 第一リンク
232 第二リンク
233 第三リンク
234 第四リンク
235 第五リンク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】