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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】屋外設置型照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/08 20060101AFI20241009BHJP
   F21S 9/02 20060101ALI20241009BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20241009BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241009BHJP
【FI】
F21S8/08
F21S9/02 200
F21V19/00 400
F21Y115:10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021032326
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133573
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000123608
【氏名又は名称】かがつう株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 卓矢
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-076906(JP,A)
【文献】実開昭61-042707(JP,U)
【文献】特開2017-195203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/08
F21S 9/02
F21V 19/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常用発光部が蓄電池の電力によって点灯するものであって、
本体内の内部空間のうち、後部領域に前記蓄電池が収容され前記蓄電池の前側の領域の下部に前記非常用発光部が配置され、
前記蓄電池は、前記非常用発光部の後方に配置された支持板によって前記後部領域に支持され、
前記非常用発光部及び前記支持板を覆って前記内部空間を下方から密閉する透光性カバーを備え、
前記支持板は、前記蓄電池を前記後部領域内に支持した支持位置と、前記蓄電池を前記後部領域から取り出し可能な取り出し位置へスライド可能に設けられ
前記支持板は、前記支持位置において前記蓄電池を支える平板状の支え部と、前記支え部の後端から下方へ屈曲した指向部と、前記支え部から前記指向部に亘り左右両側部に前後方向に長く伸びるガイド溝を有し、下方から前記ガイド溝を通して支持板保持部に螺合する支持ネジにて支持され、
前記支持板との関係において、前記支持ネジが前記支え部に位置する状態にて前記支え部によって前記蓄電池が前記後部領域内の所定位置へ支持され、前記支持ネジが前記指向部に位置する状態にて前記蓄電池が前記後部領域から下方へ取り出し可能状態となり、前記支持ネジが前記指向部に位置する状態にて前記支え部が前記非常用発光部から離間するよう斜め下方状態となる、
ことを特徴とする屋外設置型照明器具。
【請求項2】
下面に開口部が形成された内部空間を有し、柱状の支持体に設置される取付部を後部に有し、後部から先端側に向けて長い形状に形成された本体と、前記内部空間の後部領域よりも前側の領域において前記開口部に沿って配置され基板の下側面に非常用発光部が配置された光源ユニットと、前記後部領域に収容され電源回路を通して充電されることにより前記非常用発光部を点灯する電力を供給する蓄電池と、前記蓄電池の下部を支持する支持板と、前記光源ユニット及び前記支持板を覆って前記開口部を下方から密閉する透光性カバーを備え、
前記支持板は、前記蓄電池を前記後部領域内に支持した支持位置と、前記蓄電池を前記後部領域から取り出す取り出し位置へスライド可能に設けられ
前記支持板は、前記支持位置において前記蓄電池を支える平板状の支え部と、前記支え部の後端から下方へ屈曲した指向部と、前記支え部から前記指向部に亘り左右両側部に前後方向に長く伸びるガイド溝を有し、下方から前記ガイド溝を通して支持板保持部に螺合する支持ネジにて支持され、
前記支持板との関係において、前記支持ネジが前記支え部に位置する状態にて前記支え部によって前記蓄電池が前記後部領域内の所定位置へ支持され、前記支持ネジが前記指向部に位置する状態にて前記蓄電池が前記後部領域から下方へ取り出し可能状態となり、前記支持ネジが前記指向部に位置する状態にて前記支え部が前記非常用発光部から離間するよう斜め下方状態となる、
ことを特徴とする屋外設置型照明器具。
【請求項3】
下面に開口部が形成された内部空間を有し、柱状の支持体に設置される取付部を後部に有し、後部から先端側に向けて長い形状に形成された本体と、前記内部空間の後部領域よりも前側の領域において前記開口部に沿って配置され基板の下側面に非常用発光部が配置された光源ユニットと、前記後部領域に収容され電源回路を通して充電されることにより前記非常用発光部を点灯する電力を供給する蓄電池と、前記蓄電池の下部を支持する支持板と、前記光源ユニットが下側面に取り付けられ前記前側の領域の前記開口部に沿って配置された金属製の発光部取付板と、前記光源ユニット及び前記支持板を覆って前記開口部を下方から密閉する透光性カバーと、を備え、
前記発光部取付板は、前記蓄電池の取り出し支障のない位置にて前記蓄電池の左右両側へ延出する蓄電池位置決め部と支持板保持部とを有し、
前記支持板は、前記蓄電池を前記後部領域内に支持する支持位置に支持ネジにて前記支持板保持部に支持され、前記支持ネジが緩められた状態にて前記蓄電池を前記後部領域から取り出す取り出し位置へスライド可能に設けられたことを特徴とする屋外設置型照明器具。
【請求項4】
前記支持板の指向部は、左右の前記ガイド溝の形成部分を残して中間部が前記支え部に向けて切り欠かかれた後方に開いたコ字状切り欠きを備え、前記コ字状切り欠きにて前記蓄電池の取り出し口が拡大することを特徴とする請求項1又は2に記載の屋外設置型照明器具。
【請求項5】
前記蓄電池は、商用交流電力が供給されている通常状態では前記商用交流電力により充電状態にあり、
前記通常状態において、前記屋外設置型照明器具の周囲の照度を検出する照度センサの照度検出に基づき、昼間は消灯し夜間に点灯するように制御される常用発光部と、前記商用交流電力の停電を検出する停電検出回路を備え、
前記商用交流電力の停電により前記常用発光部は消灯モードとなり、前記停電による前記停電検出回路の動作に基づき前記蓄電池の電力により前記非常用発光部が点灯可能な点灯モードとなり、前記非常用発光部は照度センサの照度検出に基づき昼間は消灯し夜間に点灯するように制御されることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の屋外設置型照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)等の非常用発光部が蓄電池の電力によって点灯する屋外設置型照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池の電力により非常用LED(発光ダイオード)が点灯発光するものがある(特許文献1)。
これは、街路灯としての照明器具として、上面部および周囲の側面部を有し下面に開口部が形成され、後部の基端側に電柱やポールなどに設置される取付部を有し、この基端側から先端側にかけて長い形状に形成された筐体と、基板の前側の下側面に実装された発光素子を有し前記筐体の開口部側に沿って配置された光源ユニットと、前記筐体の開口部を覆うように前記筐体に取り付けた透光カバーを備え、前記基板の上方空間領域に電源回路と蓄電池が収納配置されている。電源回路へは、前記筐体の後壁に取り付けたブッシングを貫通する電線によって交流電源が供給されるものがある。
【0003】
特許文献1では、中空本体の前半の前室の下部に配置した放熱板の下側に常用照明LEDと非常用照明LEDが配置された基板が取り付けられており、放熱板の上側の前室には、制御回路やトランスが取り付けられている。
また、中空本体11の後半の後室下部には放熱板15に連続して遮蔽板24が配置され、遮蔽板の上側の後室には、蓄電池26の外周面を保持する保持金具27に蓄電池を内包して取付ネジにより中空本体の支持ボスに固定している。保持金具の取付片には長孔27a-1が形成されており、この長孔に取付ネジを固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017―195203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、蓄電池の交換の場合は、透光カバーを開放状態とし、遮蔽板の取り付けを外して開放状態とし、取付ネジを緩めた状態で蓄電池26を保持金具27で保持したままの状態で、保持金具27を後方へ移動して蓄電池26を取り出すことができる。
このため、透光カバーを開放状態とした状態では、蓄電池を取り出すことができず、遮蔽板の取り付けを外す必要がある。
また、取付ネジを緩め保持金具27を後方へ移動した状態でも、蓄電池26は保持金具27内に保持されたままであるため、蓄電池26落下は防止できるが、蓄電池26の取り出しは、保持金具27から分離しなければならない。
【0006】
このように、特許文献1では、遮蔽板で覆う必要があり、遮蔽板を放熱板に連結する部品やそれに係る構成が必要となること、蓄電池の取り外しには保持金具に蓄電池を載せた状態での作業となること等、部品点数や組み立て工数が多く、蓄電池の交換時に作業工数も多い。
【0007】
本発明は、部品点数が少なく作業工数も少なく、蓄電池の交換時に蓄電池の落下を防止しつつ蓄電池の交換が達成できる技術を提供するものである。
また、蓄電池の交換時に、発光部を破損から防止する構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明の屋外設置型照明器具は、
LED(発光ダイオード)等の非常用発光部が蓄電池の電力によって点灯するものであって、
本体内の内部空間のうち、後部領域に前記蓄電池が収容され前記蓄電池の前側の領域の下部に前記非常用発光部が配置され、
前記蓄電池は、前記非常用発光部の後方に配置された支持板によって前記後部領域に支持され、
前記非常用発光部及び前記支持板を覆って前記内部空間を下方から密閉する透光性カバーを備え、
前記支持板は、前記蓄電池を前記後部領域内に支持した支持位置と、前記蓄電池を前記後部領域から取り出し可能な取り出し位置へスライド可能に設けられたことを特徴とする。
【0009】
第2の本発明の屋外設置型照明器具は、
下面に開口部が形成された内部空間を有し、後部に電柱やポール等の支持体に設置される取付部を有し、後部から先端側に向けて長い形状に形成された本体と、前記内部空間の後部領域よりも前側の領域において前記開口部に沿って配置され基板の下側面に非常用発光部が配置された光源ユニットと、前記後部領域に収容され電源回路を通して充電されることにより前記非常用発光部を点灯する電力を供給する蓄電池と、前記蓄電池の下部を支持する支持板と、前記光源ユニット及び前記支持板を覆って前記開口部を下方から密閉する透光性カバーを備え、
前記支持板は、前記蓄電池を前記後部領域内に支持した支持位置と、前記蓄電池を前記後部領域から取り出す取り出し位置へスライド可能に設けられたことを特徴とする。
【0010】
第3の本発明の屋外設置型照明器具は、
下面に開口部が形成された内部空間を有し、後部に電柱やポール等の支持体に設置される取付部を有し、後部から先端側に向けて長い形状に形成された本体と、前記内部空間の後部領域よりも前側の領域において前記開口部に沿って配置され基板の下側面に非常用発光部が配置された光源ユニットと、前記後部領域に収容され電源回路を通して充電されることにより前記非常用発光部を点灯する電力を供給する蓄電池と、前記蓄電池の下部を支持する支持板と、前記光源ユニットが下側面に取り付けられ前記前側の領域の前記開口部に沿って配置された金属製の発光部取付板と、前記光源ユニット及び前記支持板を覆って前記開口部を下方から密閉する透光性カバーと、を備え、
前記発光部取付板は、前記蓄電池の取り出し支障のない位置にて前記蓄電池の左右両側へ延出する蓄電池位置決め部と支持板保持部とを有し、
前記支持板は、前記蓄電池を前記後部領域内に支持する支持位置に支持ネジにて前記支持板保持部に支持され、前記支持ネジが緩められた状態にて前記蓄電池を前記後部領域から取り出す取り出し位置へスライド可能に設けられたことを特徴とする。
【0011】
上記第1乃至第3のいずれかにおいて、第4発明は、
前記支持板は、前記支持位置において前記蓄電池を支える平板状の支え部と、前記支え部の後端から下方へ屈曲した指向部と、前記支え部から前記指向部に亘り左右両側部に前後方向に長く伸びるガイド溝を有し、下方から前記ガイド溝を通して支持板保持部に螺合する支持ネジにて支持され、
前記支持板との関係において、前記支持ネジが前記支え部に位置する状態にて前記支え部によって前記蓄電池が前記後部領域内の所定位置へ支持され、前記支持ネジが前記指向部に位置する状態にて前記蓄電池が前記後部領域から下方へ取り出し可能状態となり、前記支持ネジが前記指向部に位置する状態にて前記支え部が前記非常用発光部から離間するよう斜め下方状態となることを特徴とする。
【0012】
第5発明は、第4発明において、
前記支持板の指向部は、左右の前記ガイド溝の形成部分を残して中間部が前記支え部に向けて切り欠かかれた後方に開いたコ字状切り欠きを備え、前記コ字状切り欠きにて前記蓄電池の取り出し口が拡大することを特徴とする。
【0013】
第6発明は、第1発明乃至第5発明のいずれかにおいて、
前記蓄電池は、商用交流電力が供給されている通常状態では前記商用交流電力により充電状態にあり、
前記通常状態において、前記屋外設置型照明器具の周囲の照度を検出する照度センサの照度検出に基づき、昼間は消灯し夜間に点灯するように制御される常用発光部と、前記商用交流電力の停電を検出する停電検出回路を備え、
前記商用交流電力の停電により前記常用発光部は消灯モードとなり、前記停電による前記停電検出回路の動作に基づき前記蓄電池の電力により前記非常用発光部が点灯可能な点灯モードとなり、前記非常用発光部は照度センサの照度検出に基づき昼間は消灯し夜間に点灯するように制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、支持板の支え部によって蓄電池を後部領域内の所定位置へ支持した状態を支持ネジの締め付けによって維持し、蓄電池の交換時には、透光性カバーを開放した状態で、支持ネジを緩め支持板を移動することにより蓄電池の下側が開き、蓄電池を後部領域から下方へ取り出し可能となる。この場合、支持板はネジによって落下防止状態に支持されているため、蓄電池の交換時に支持板を取り外して保管する必要もなく、安全に且つ容易に交換作業を行うことができる。
【0015】
支持板は、指向部が支え部から下方へ屈曲した形状であるため、支え部によって安定して蓄電池を支え、蓄電池の交換時には、指向部によって支え部が斜め下方状態となるため、非常用発光部に支持板が当接しない。このため、非常用発光部を支持板から大きく離間して前方へ配置することもなく、その分、屋外設置型照明器具が余計に長くなることもない。
【0016】
また、支持板は、支え部から指向部に亘り左右両側部に前後方向に長く伸びるガイド溝を有し、下方からガイド溝を通して支持板保持部に螺合する支持ネジにて支持されている。このため、蓄電池の交換作業は、ガイド溝によって支持板の前後方向の移動を安定して行え、安全に且つ容易に交換作業を行うことができる。
【0017】
また支持板の指向部は、中間部が支え部に向けて切りかかれた後方に開いたコ字状切り欠きを成すことにより、蓄電池の取り出し開口が拡大され、蓄電池の取り出しをし易くなる。
【0018】
また、発光部取付板は、蓄電池の取り出し支障のない位置にて蓄電池の左右両側まで延出する蓄電池位置決め部と支持板保持部とを有するため、支持板の取り付けと蓄電池の後部領域内における位置が定められる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る屋外設置型照明器具の分解斜視図である。
図2】本発明に係る屋外設置型照明器具の支持板の斜視図である。
図3】本発明に係る屋外設置型照明器具の透光性カバー及び支持板を取り外した状態の本体側の下面図である。
図4図3に対応する下面斜視図である。
図5】支持板によって蓄電池が正規の状態に支持された状態を示す本発明に係る屋外設置型照明器具の本体側の下面図である。
図6】本発明に係る屋外設置型照明器具の図5の状態を示す縦断側面図である。
図7図5の状態から支持板が若干前方へ移動した中間状態を示す本発明に係る屋外設置型照明器具の本体側の下面図である。
図8図7の状態を示す要部の縦断側面図である。
図9】蓄電池の取り出し可能位置へ支持板を移動した状態を示す本発明に係る屋外設置型照明器具の本体側の下面図である。
図10図9の状態を示す要部の縦断側面図である。
図11図9に対応する下面斜視図である。
図12図9に対応する下面後方から見た斜視図である。
図13】本発明に係る屋外設置型照明器具の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る屋外設置型照明器具は、LED(発光ダイオード)等の非常用発光部が蓄電池の電力によって点灯するものであって、本体内の内部空間のうち、後部領域に前記蓄電池が収容され前記蓄電池の前側の領域の下部に前記非常用発光部が配置され、前記蓄電池は、前記非常用発光部の後方に配置された支持板によって前記後部領域に支持され、前記非常用発光部及び前記支持板を覆って前記内部空間を下方から密閉する透光性カバーを備え、前記支持板は、前記蓄電池を前記後部領域内に支持した支持位置と、前記蓄電池を前記後部領域から取り出し可能な取り出し位置へスライド可能に設けられたものである。
その具体的形態について、図面を参照して以下に説明する。
【0021】
本発明に係る屋外設置型照明器具1は、図13等に示すように、全体形状が前後方向に長い形態をなし、発光部6は、下方の道路等の被照明部を所定の明るさで照明する常用発光部6Aと、蓄電池の電力によって点灯する非常用発光部6Bとを備える部分である。
常用発光部6Aと非常用発光部6Bは、それぞれ複数の発光ダイオードであるLED素子7を含み、このLED素子7が放射する光を所定の配光にて出射し被照明部を照明する。
【0022】
屋外設置型照明器具1は、道路の側部に設置したポールや電柱等の支持体に取り付けられた状態で、道路に略直交状態となる取り付け状態であり、発光部6の出射光、すなわちLED素子7の出射光が道路の長手方向に配光されるよう、主として左右方向に長く広がる配光特性を有する。
【0023】
具体的には、屋外設置型照明器具1は、不透光性の金属製の照明器具本体2(以下、本体2という)と、本体2に取り付けられ屋外設置型照明器具1の下方領域を照明する発光部6と、蓄電池20と、電気回路部40と、発光部6を下方から覆い後述の開口2Aを覆うように本体2に密着状態に取り付けられる透光性カバー23を有する。
本体2は、上壁2Tと上壁2Tから下降する周囲壁2Sを有し、周囲壁2Sで囲まれた下側に開口する開口2Aを形成した内部空間4を有するアルミニウムのダイキャスト製等の熱良導材で前後方向に長い形態に構成されている。
本体2は、本体2の後部にポールや電柱等の所定の支持体へ取り付ける取付部10を備える。
【0024】
透光性カバー23は、上面開口の容器形態をなすように下方へ突出状の底板部の周縁部に上方へ突出する環状周壁が形成された皿状、舟形状、盆状等であり、本体2の開口2Aの周縁部にパッキンを介して水密状態に取り付けられ、前部2か所と後部2か所で本体2のボスにネジ止め23Nされる。
【0025】
実施例の屋外設置型照明器具1は、発光部6として、常用発光部6A及び非常用発光部6Bの両方を備えている。常用発光部6A及び非常用発光部6Bとも、それぞれLED素子(発光ダイオード)7が放射する光を所定の配光にて出射する部分であり、矩形状の平板状のLED取り付け回路基板5の下側面に複数のLED素子7が下方へ僅かに突出状態で配置され、各LED素子7は、LED素子7の発光を所定配光にて下方へ照射するためのレンズ機能を持つ配光ユニット8で覆われた構成である。配光ユニット8は各LED素子7に対応するレンズ部8Rを有する。
LED取り付け回路基板5の下側面にLED素子7が取り付けられた構成、または、LED取り付け回路基板5の下側面にLED素子7が取り付けられLED素子7が配光ユニット8で覆われた構成の何れをも光源ユニットと称する。
【0026】
LED取り付け回路基板5と配光ユニット8は、共にネジによりアルミニウム等の発光部取付板9の下側面に取り付けられる構成である。後述のように、この発光部取付板9は、発光部6が本体2の開口部2Aに沿って配置されるように、下側面にLED取り付け回路基板5が取り付けられ、本体2の取り付けボスへネジによって固定される。
これによって、LED素子7の発光時の熱が発光部取付板9を介して本体2へ伝達され、本体2から放散される。このため、発光部取付板9は発光部6の放熱板9と称される。
【0027】
LED素子7の発光光が屋外設置型照明器具1の左右方向へ長い配光をなすように、配光ユニット8は、アクリルやポリカーボネートの透明樹脂製であり、レンズ部8Rは左右方向に長い半俵状・反円弧状等の形状をなす。これによって、LED素子7の発光光は、楕円形状・長円形状等の左右方向に長い配光特性をなす。
このため、屋外設置型照明器具1が、左右方向に延びる道路に対して略直行状態の配置となるように、取付部10にて所定の支持部Pへ取り付けられた正規の状態で、配光ユニット8によって、LED素子7の出射光が、屋外設置型照明器具1の前後方向への配光が抑制されて道路の長手方向に向かう配光となるよう、主として左右方向に長い配光となる配光特性である。
【0028】
図示の実施例では、常用発光部6Aの複数のLED素子7は、LED取り付け回路基板5の左右両側部分で前後方向に直線状に配列されており、非常用発光部6Bの複数のLED素子7は、左右の常用発光部6AのLED素子7列の内側において、LED取り付け回路基板5の中央部分で前後方向に直線状に配列されている。
この配列に拘わらず、LED取り付け回路基板5の前部分に非常用発光部6Bを配置し、その後方部分に常用発光部6Aを配置する構成でもよい。
【0029】
発光部取付板9の上面である裏側には、電気回路部40が取り付けられる。電気回路部40は、電源回路41と発光制御回路42を含む。
電源回路41は、本体2の後壁を貫通する電線を通して導入される商用交流電力を常用発光部6AのLED素子7の発光に必要な直流電力に変換するAC/DC変換回路と、蓄電池20の充電回路と、商用交流電力の停電を検出する停電検出回路を含む。
発光制御回路42は、電源回路41の出力の直流電力によって常用発光部6AのLED素子7の点灯・消灯を制御する。発光制御回路42は、屋外設置型照明器具1の周囲の照度を検出する照度センサの照度検出に基づく検出電力を出力する照度センサ回路と、照度センサ回路の出力に基づき常用発光部6AのLED素子7の点灯・消灯を制御する点灯制御回路等を含む。この点灯制御回路によって、常用発光部6AのLED素子7は、昼間は消灯し夜間に点灯するように制御できる。
【0030】
蓄電池20は、充電回路を介して商用交流電力により常時充電状態であり、満充電状態または満充電に近い充電状態(これらを所定の充電状態という)において、モニタLED(モニタ発光ダイオード)50が点灯し、所定の充電状態にあることを表示する。この点灯は透光性カバー23を通して屋外設置型照明器具1の外方から目視できる。
【0031】
蓄電池20は、商用交流電力が供給されている通常状態では、商用交流電力により充電状態にあり、非常用発光部6BのLED素子7の点灯用電力を供給可能である。
商用交流電力が停電のとき、即ち非常時には、常用発光部6AのLED素子7の供給電力が断たれ常用発光部6Aは消灯モードとなるが、停電検出回路の動作に基づき、昼夜に関わらず蓄電池20の電力により非常用発光部6BのLED素子7が強制的に点灯される点灯モードとなる。
このように非常時には、非常用発光部6BのLED素子7を常時連続点灯状態とすることもできるが、前記照度センサの検出に基づく照度センサ回路の出力に基づき、点灯制御回路によって昼間は消灯し夜間に点灯するように制御することができる。これによって、昼夜に関わらず非常用発光部6BのLED素子7が連続点灯する場合に比して、消費電力を抑えることで非常点灯時間が長くなる。
商用交流電力が復帰して通常状態に戻ると、停電検出回路がそれを検出し、非常用発光部6BのLED素子7が消灯モードとなり、上記のように、点灯制御回路によって、常用発光部6AのLED素子7は、昼間は消灯し夜間に点灯する点灯モードとなる。
【0032】
非常用発光部6BのLED素子7は、常用発光部6AのLED素子7の発光色と同色とすることにより、常用発光部6AのLED素子7が発光停止したときの補助光源とすることができる。
このように非常用発光部6Bを補助光源とするために、図示のように、非常用発光部6BのLED素子7の数は、常用発光部6AのLED素子7の数よりもかなり少なくすることにより、消費電力を抑えることで非常点灯時間が長くなる。
実施例では、非常用発光部6BのLED素子7の数は一列配置の6個であり、常用発光部6AのLED素子7の数は左右各15個の配列とし合計30個としている。
【0033】
また、非常信号受信回路を屋外設置型照明器具1に備え、災害等の非常時には、自治体等が発する非常信号に基づき、上記のように、昼夜に拘わらずまたは照度センサの検出に基づく制御により、蓄電池20の電力により、非常用発光部6BのLED素子7が強制点灯するようにしてもよい。この場合、非常用発光部6BのLED素子7は、常用発光部6Aと異なる発光色にて発光することにより、非常通知状態とすることができる。
【0034】
本発明では、非常用発光部6BのLED素子7を点灯する電力を供給する蓄電池20の支持及び取り出しに係るものであるため、照明器具を屋外設置型照明器具1と称しているが、上記のように、商用交流電力が供給されている通常時には、夜間になると常用発光部6AのLED素子7が点灯し、道路等の被照射面を照射する道路灯や街路灯の役目をし、商用交流電力の停電時等の非常時には、非常用発光部6BのLED素子7が蓄電池20の電力により夜間に強制点灯モードとなるため、非常灯の役目をする。
このように、本発明の屋外設置型照明器具1は、常用発光部6Aと非常用発光部6Bを備えており、非常時には非常用発光部6Bが点灯するものであるため、非常灯、照明灯、道路灯、街路灯または防犯灯と称しても、本発明の技術的範囲に変わりはない。
また、本発明の屋外設置型照明器具1は、非常用発光部6Bのみを備えた形態あってもよく、本発明の技術的範囲に変わりはない。
【0035】
本体2内の内部空間4のうちの後部領域4Bには、非常用発光部6BのLED素子7を点灯する電力を供給する蓄電池20が取り出し可能に収容される。内部空間4のうちの後部領域4Bよりも前側の領域4Aにおいて、発光部6を下側面として発光部取付板9が開口部2Aに沿って本体2の取り付けボスに下方からネジNJにて取り付けられる。これによって、発光部取付板9の上方の内部空間4の領域4Aの下部に電気回路部40が配置される。
【0036】
発光部取付板9は、発光部6を取り付ける平板状の発光部部分9Aと、発光部部分9Aよりも上方位置となるように発光部部分9Aの後端部から上方へ屈曲し、更に蓄電池20の左右両側まで後方へ延出する蓄電池位置決め部9Bと支持板保持部9Cとを有する。
蓄電池20の左右両側に位置する蓄電池位置決め部9Bは、図3等に示すように、蓄電池20の後側で連結し、発光部取付板9の後部に蓄電池20の周囲を取り囲む蓄電池位置決め部9Bとすることができる。
支持板保持部9Cは、蓄電池20の左右両側に位置する蓄電池位置決め部9Bの外端から下方へ垂下し、その下端が横方向へ屈曲されてネジ螺合部9C1を形成する。
発光部取付板9は、発光部部分9Aの前側部と蓄電池位置決め部9Bの後部分が、ネジNJにて本体2の取り付けボスに取り付けられる。
【0037】
蓄電池20の下部は支持板30で支持される。支持板30は、後部領域4B内に蓄電池20を支える平板状の支え部30Aと、支え部30Aの後端から下方へ屈曲した指向部30Bを備え、支え部30Aから指向部30Bに亘り左右両側部に前後方向に長く伸びるガイド溝31を有する。
支持板30は、下方からガイド溝31を通して支持板保持部9Cのネジ螺合部9C1に螺合する支持ネジ35にて支持される。
支持ネジ35は、ネジ螺合部9C1に螺合するネジ部と、このネジ部よりも大径の頭部又は頭部付近に形成した大径の支え部を有する。
【0038】
支持板30は、支持ネジ35の締め付けによって、支持板保持部9Cのネジ螺合部9C1に固定状態に取り付けられる。この状態が、支持板30の支え部30Aによって蓄電池20を後部領域4B内に支持する支持位置である。この支持位置において蓄電池20を収容する後部領域4Bの下側が覆われる状態となる。
また、支持ネジ35が緩められた状態にて、ネジ螺合部9C1に螺合した支持ネジ35がガイド溝31に嵌まった状態を維持しつつ、支持板30を前方へスライドさせることができる。このスライドによって、支え部30Aによって蓄電池20を支持した状態が解除され、蓄電池20を後部領域4Bから取り出すことができる。この状態の支持板30の位置が取り出し位置である。
この場合、支持ネジ35が緩められた状態でも、支持板30は支持ネジ35の頭部又は頭部付近に形成した大径の支え部によって落下が防止される状態に支持される。
【0039】
図5及び図6は、支持ネジ35がガイド溝31の前端に位置し、支持板保持部9Cのネジ螺合部9C1に支持ネジ35を締め付けた状態である。これによって支持板30は、支持ネジ35の頭部又は頭部付近に形成した大径の支え部によって締め付けられ、支え部30Aが蓄電池20を後部領域4B内に支持しており、支持板30のこの位置が支持位置である。
図7及び図8は、支持ネジ35が緩められ支持ネジ35の頭部又は頭部付近に形成した大径の支え部によって支持板30が支持された状態であって、支持板30を若干前方へ移動した状態を示し、蓄電池20は支え部30Aの後部によって後部領域4B内に支持され、落下しない中間状態を示す。
図9及び図10は、支持ネジ35の頭部又は頭部付近に形成した大径の支え部によって支持板30が支持された状態であって、支え部30Aによる蓄電池20の支えがなくなる位置まで支持板30を更に前方へスライドする。これが蓄電池20の取り出し位置であり、この状態で蓄電池20を左右から掴んで後部領域4Bから下方へ取り出すことができる。
【0040】
この取り出し位置では、支持ネジ35が指向部30Bに位置しガイド溝31の後端に位置しており、支持ネジ35が緩められた状態であるが、支持板30の支え部30Aの前端は発光部6から十分離れた下方位置になるため、支え部30Aが発光部6の配光ユニット8を損傷することがない。
また、支持ネジ35が指向部30Bに位置する状態において、支持板30が蓄電池20の取り出し時に動いて取り出しの支障にならないように、支持ネジ35を支持板保持部9Cのネジ螺合部9C1に締め付けることにより、支持板30がその位置に固定されて支持板30の指向部30Bが支持板保持部9に固定され、支持板30の支え部30Aの前端は、図10のように更に発光部6の上方位置となるため、支え部30Aが発光部6の配光ユニット8を損傷することはない。
このように、指向部30Bと支持ネジ35の関係にて、指向部30Bによって支え部30Aが発光部6から離れる下方向へ指向される。
【0041】
支持板30の指向部30Bは、左右のガイド溝31の形成部分を残して中間部が支え部30Aに向けて切り欠かかれた後方に開いたコ字状切り欠き30Kを備える。このコ字状切り欠き30Kによって、蓄電池20の取り出し口が拡大し、蓄電池20の取り出しがし易くなる。
【0042】
本発明は、上記実施形態では、常用発光部6Aと非常用発光部6Bを備えたものであるが、非常用発光部6Bのみを備えた照明器具であってもよく、実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内で変更可能な技術的範囲を包含するものである。
【符号の説明】
【0043】
1・・・・・屋外設置型照明器具
2・・・・・本体(照明器具本体)
2A・・・・開口
4・・・・・内部空間
4A・・・・前側の領域
4B・・・・後部領域
5・・・・・LED取り付け回路基板
6・・・・・発光部
6A・・・・常用発光部
6B・・・・非常用発光部
7・・・・・LED素子
8・・・・・配光ユニット
8R・・・・レンズ部
9・・・・・発光部取付板(放熱板)
9A・・・・発光部部分
9B・・・・蓄電池位置決め部
9C・・・・支持板保持部
9C1・・・ネジ螺合部
10・・・・取付部
20・・・・蓄電池
23・・・・透光性カバー
30・・・・支持板
30A・・・支え部
30B・・・指向部
30K・・・コ字状切り欠き
31・・・・ガイド溝
35・・・・支持ネジ
40・・・・電気回路部
41・・・・電源回路
42・・・・発光制御回路
図1
図2
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