(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】バイメタルアセンブリのゴルフヘッドの金属射出成形の一度焼結製造プロセス
(51)【国際特許分類】
C22C 1/04 20230101AFI20241009BHJP
A63B 53/04 20150101ALI20241009BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20241009BHJP
B22F 3/02 20060101ALI20241009BHJP
B22F 3/10 20060101ALI20241009BHJP
C22C 27/04 20060101ALI20241009BHJP
C22C 33/02 20060101ALI20241009BHJP
B22F 7/08 20060101ALI20241009BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20241009BHJP
【FI】
C22C1/04 D
A63B53/04
B22F1/00 P
B22F1/00 T
B22F3/02 S
B22F3/10 J
C22C27/04 101
C22C33/02 C
B22F7/08 E
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2023079055
(22)【出願日】2023-05-12
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】2023102212329
(32)【優先日】2023-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523176037
【氏名又は名称】美▲カ▼(広州)新材料股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】易 立群
(72)【発明者】
【氏名】肖 飛
(72)【発明者】
【氏名】▲ドン▼ 広興
(72)【発明者】
【氏名】田 暁華
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-334073(JP,A)
【文献】特開2002-275593(JP,A)
【文献】特開2003-245386(JP,A)
【文献】特開2003-250939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04,102/32
B22F 1/00,3/02,3/10
C22C 1/04,27/04,33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造原料が、タングステン合金、ステンレス鋼及び接着剤を含み、前記タングステン合金中のタングステンの質量含有量が30~99%であり、他の合金成分の含有量が0~20%であり、前記ステンレス鋼が鉄系原材料から選択され、304ステンレス鋼、316Lステンレス鋼、17-4PHステンレス鋼から選択される1種であ
り、
タングステン合金、ステンレス鋼の粉末のそれぞれと接着剤との投入材料配合を行うステップ1と、
タングステン合金投入材料を一次射出成形してインモールド射出成形内蔵品を得てから、ステンレス鋼投入材料用金型に入れ、インモールド射出成形を行ってステンレス鋼投入材料がタングステン合金投入材料を包む射出成形体を得るステップ2と、
成形体を3段階法で脱脂するステップ3と、
脱脂後の成形体を、1380~1420℃の温度で、圧力が40~45Kpaの窒素と水素との混合ガス雰囲気で焼結して、ゴルフヘッドの焼結生成物を得るステップ4と、を含む、
ことを特徴とする
ゴルフヘッドの製造方法。
【請求項2】
前記他の合金成分は、含有量が4~15重量部であるニッケルと、含有量が2~10重量部である銅/鉄と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の
ゴルフヘッドの製造方法。
【請求項3】
前記タングステン合金の粉末と前記ステンレス鋼の粉末の重量部の比は、1:40~1:20である、
ことを特徴とする請求項1に記載の
ゴルフヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記ステンレス鋼の粉末と接着剤を、
1:0.4~3:0.8の重量部の比で配合する、
ことを特徴とする請求項1に記載の
ゴルフヘッドの製造方法。
【請求項5】
ステップ2に記載の射出成形プロセスの可塑化温度を180℃~220℃とし、金型の加熱温度を90℃~120℃とし、射出圧力を110~130MPaとする、
ことを特徴とする請求項1に記載の
ゴルフヘッドの製造方法。
【請求項6】
前記タングステン合金の密度は、焼結前に8~9g/cm
3であり、焼結後に14~15g/cm
3である、
ことを特徴とする請求項1に記載の
ゴルフヘッドの製造方法。
【請求項7】
ステップ3に記載の3段階法脱脂は、まず、成形体を前洗浄し、脱脂炉に入れ、窒素ガスの雰囲気で、窒素ガス流量0.8L/minで、100℃~140℃の温度で13~22h脱脂してから、後洗浄して、一次成形した粗製品のゴルフヘッドを得ることである、
ことを特徴とする請求項1に記載の
ゴルフヘッドの製造方法。
【請求項8】
ステップ4に記載の焼結プロセスは、3つのステップに分けられ、それぞれ負圧脱脂、真空焼結及び分圧焼結である、
ことを特徴とする請求項1に記載の
ゴルフヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記接着剤は、90%のポリオキシメチレン、3%のエチレン共重合体、4%のエチレンプロピレンゴム、1%のグリセロールモノステアレート、1%の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール及び1%の高密度ポリエチレンHDPEからなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の
ゴルフヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料加工の分野に関し、具体的には、バイメタルアセンブリのゴルフヘッドの金属射出成形の一度焼結製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフヘッドは、一般的な金属本体(ステンレス鋼、低合金鋼)と高比重バランスウェイト(タングステン合金)の2つのアセンブリを含むことが多い。例えば、アイアン、サンドウェッジの底部に高比重バランスウェイトを取り付けると、スイング時の慣性モーメントを増加させ、飛距離を増加させることができ、パターの両側に高比重バランスウェイトを取り付けると、揺れを減少させ、ショット時の安定性を向上させることができる。現在、製造方法は、異なるプロセス(例えば、精密鋳造、鍛圧、CNC加工、粉末冶金など)によりそれぞれ2種の異なるアセンブリを製造し、その後に溶接、ナット固定、鋲締めなどの方法で組み立てることであり、
従来のゴルフヘッドの金属加工プロセスは、プロセスフローが長く、環境保護圧力が大きく、ステップが多く、製造コストが高く、製造サイクルが長いなどの欠点があり、具体的には、以下のとおりである:
(a)精密鋳造は、まず型枠を製造する必要があり、型枠の乾燥周期が約10日であり、製造周期全体が約15日であり、型枠は、大量の砂及び粉体などの固体廃棄物を生じ、環境保護圧力が大きく、作業環境が悪く、高温、粉塵による労働衛生問題があり、鋳造品の表面が粗く、後加工の研磨コストが高く、鋳造品の内部気孔により歩留まり率が低下し、
(b)鍛圧コストが高く、1つずつ鍛圧する必要があり、生産能力が低く、顧客の需要を満たすことができず、構造が複雑な部品を製造することができず、成形体を鍛圧した後に、取りしろが多く、CNC加工を組み合わせる必要があり、コストが高く、
(c)CNC加工では、生産能力が最も低く、1つのゴルフヘッドを加工するたびに、CNC装置を用いた加工に1~2時間かかり、大量の投資で装置を購入してこそ需要を満たすことができ、そして、労働力に対する需要も高い。
【0003】
金属成分が異なる2つの部品をゴルフヘッドに組み立てる場合、現在、いずれも一般的な比重の金属本体と高比重タングステン合金バランスウェイトを別々に製造してから、一体に組み立てる。組み立てるプロセスは、溶接、ねじ、鋲締めなどを含み、ステップが大きく、タングステン合金の靱性が低いため、脆性破断しやすく、製造及び使用の過程においてひびが発生しひいては破砕しやすい。
【0004】
粉末冶金技術に基づく金属射出成形(MIM)は、ゴルフヘッドを製造する成熟プロセスになっている。ゴルフヘッド本体アセンブリを製造することができ、タングステン合金バランスウェイトアセンブリを製造することもできるが、2種の金属材料は、MIMプロセスにおいて相違点が存在するため、別々に製造されてから、一体に組み立てられる必要がある。これらの相違点は、焼結温度が異なり、タングステン合金の焼結温度が1400℃以上であり、ステンレス鋼及び低合金鋼の焼結温度が1200~1380℃であるという相違点(a)と、焼結収縮率が異なり、タングステン合金の収縮率が1.20以上であり、ステンレス鋼及び低合金鋼の収縮率が1.165~1.216であるという相違点(b)と、焼結雰囲気が異なり、タングステン合金を水素ガス又は不活性ガスの保護で常圧焼結する必要があり、ステンレス鋼及び低合金鋼を不活性ガスの保護で真空焼結する必要があるという相違点(c)とを含むが、これらに限定されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記発明の問題を解決するために、本発明は、タングステン合金粉末を組み合わせて、ステンレス鋼金属金型内で射出成形と後続の一連の操作を行うことができる粉体を得る。
【0006】
本発明の発明コアは、ステンレス鋼とタングステン合金の比率を調整し、収縮率が同じであるようにタングステン合金とステンレス鋼の収縮率を統一することにより、インモールド射出成形プロセスにより両者をはめ合わせて、インモールド射出成形及び一度焼結プロセスにより製造される、成形率が高く、品質に優れたゴルフヘッドを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の技術手段は、以下のとおりである。
【0008】
本発明に係るバイメタルアセンブリのゴルフヘッドは、製造原料が、タングステン合金、ステンレス鋼及び接着剤を含み、前記タングステン合金中のタングステンの質量含有量が30~99%であり、他の合金成分の質量含有量が0~20%であり、前記ステンレス鋼が鉄系原材料から選択され、304ステンレス鋼、316Lステンレス鋼、17-4PHステンレス鋼から選択される1種である、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の前記他の合金成分は、含有量が4~15重量部であるニッケルと、含有量が2~10重量部である銅/鉄と、を含む。
【0010】
さらに、前記タングステン合金粉末とステンレス鋼粉末の重量部の比は、1:40~1:20である。
【0011】
さらに、前記ステンレス鋼粉末と接着剤を、1~3:0.4~0.8の重量部の比で配合する。
【0012】
さらに、前記ゴルフヘッドの製造方法は、
タングステン合金、ステンレス鋼粉末のそれぞれと接着剤との投入材料配合を行うステップ1と、
タングステン合金投入材料を一次射出成形してインモールド射出成形内蔵品を得てから、ステンレス鋼投入材料金型に入れ、インモールド射出成形を行ってステンレス鋼投入材料がタングステン合金投入材料を包む射出成形体を得るステップ2と、
成形体を3段階法で脱脂するステップ3と、
脱脂後の成形体を、1380~1420℃の温度で、40~45Kpaの窒素と水素との混合ガス雰囲気で焼結して、バイメタルゴルフヘッドの焼結生成物を得るステップ4と、を含む。
【0013】
さらに、ステップ2に記載の射出成形プロセスの可塑化温度を180℃~220℃とし、金型の加熱温度を90℃~120℃とし、射出圧力を110~130MPaとする。
【0014】
さらに、前記タングステン合金の密度は、焼結前に8~9g/cm3であり、焼結後に14~15g/cm3である。
【0015】
さらに、ステップ3に記載の3段階法脱脂は、まず、成形体を前洗浄し、脱脂炉に入れ、窒素ガスの雰囲気で、窒素ガス流量0.8L/minで、100℃~140℃の温度で13~22h脱脂してから、後洗浄して、粗成形した粗製品のゴルフヘッドを得ることである。
【0016】
さらに、ステップ4に記載の焼結プロセスは、3つのステップに分けられ、それぞれ負圧脱脂、真空焼結及び分圧焼結である。
【0017】
さらに、前記接着剤は、90%のポリオキシメチレン、3%のエチレン共重合体、4%のエチレンプロピレンゴム、1%のグリセロールモノステアレート、1%の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール及び1%の高密度ポリエチレンHDPEからなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、バイメタルアセンブリのゴルフヘッドの製造プロセスを提供し、該製造プロセスは、バイメタル射出成形後に一度に脱脂焼結を行うプロセスを用いて完了し、1種の金属タングステン合金を射出成形し、成形後のタングステン合金射出成形体をステンレス鋼射出成形用金型に埋め込み、ステンレス鋼投入材料とタングステン合金射出成形体を射出成形してインモールド射出成形の一体射出成形体を得た後、脱脂し焼結してバイメタルアセンブリのゴルフヘッドを製造し、本発明は、バランスウェイトを組み立てる必要のあるゴルフヘッドに適用され、バイメタル射出成形後に一度に脱脂焼結を行うプロセスを用いて完了し、従来の金属射出成形(MIM)技術における、一回で1種の金属成分の部品のみを製造する制限を突破し、一回でステンレス鋼とタングステン合金の金属部品を成形することができ、製造ステップが少なく、工期時間が短く、コストが低いなどの利点を有し、製造されたゴルフヘッドは、外観が良く、かつ靭性が高く、ひびが入りにくい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】バイメタルアセンブリのゴルフヘッドの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施例1)
本実施例に係るバイメタルアセンブリのゴルフヘッドは、製造原料が、タングステン合金、ステンレス鋼及び接着剤を含み、上記タングステン合金は、質量百分率で、80%タングステン、15%銅、5%ニッケルを含み、上記ステンレス鋼が17-4PHステンレス鋼から選択される。
【0021】
上記タングステン合金粉末とステンレス鋼粉末の重量部の比は、1:20である。
【0022】
前記ステンレス鋼粉末と接着剤を、3:0.8の重量部の比で配合する。
【0023】
実施例のゴルフヘッドの製造方法は、以下のステップ1~ステップ4を含む。
【0024】
ステップ1では、タングステン合金と接着剤粉末を混合して混練し、射出成形して一次射出成形体を形成する。
【0025】
ステップ2:投入材料形成では、ステンレス鋼金属粉末を180℃に予熱し、撹拌し、回転数を15r/minとし、 接着剤を添加し、180℃の温度で、2.5h混練し、その後に160℃まで冷却し、2h混練し続け、撹拌し、回転数を45r/minとし、混練が完了し、押し出して造粒して、粒子状の投入材料を得る。
【0026】
使用された接着剤は主に、90%のポリオキシメチレン、3%のエチレン共重合体、4%のエチレンプロピレンゴム、1%のグリセロールモノステアレート、1%の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール及び1%の高密度ポリエチレンHDPEからなる(CN2018108977446で認可され金属射出成形用接着剤のケース9の配合成分)。
【0027】
ステップ3では、タングステン合金と接着剤粉末を混合して混練し、射出成形して一次射出成形体を形成し、ステンレス鋼粉末304を投入材料形態に製造して一次射出成形を行い、射出成形済みのタングステン合金成形体と共に射出成形機に入れ、304ステンレス鋼合金を射出成形するとき、タングステン合金成形体を射出成形金型に入れ、304ステンレス鋼合金と共に再び射出成形を行い、2種の金属を1つの金型に統合して、ケース材料がステンレス鋼合金304で、内部にタングステンニッケル鉄合金バランスウェイトが埋め込まれたバイメタルゴルフヘッドの成形体を得て、
バイメタルインモールド射出成形の条件は、可塑化温度が210℃で、金型の加熱温度が120℃であり、射出圧力が130MPaであり、バイメタル射出成形されたゴルフヘッド成形体を得ると、一次成形体を得ることができる。
【0028】
ステップ4では、バイメタル射出成形されたゴルフヘッド成形体に脱脂焼結を行い、まず、成形体を前洗浄し、脱脂炉に入れ、窒素ガスの雰囲気で、120℃の温度で22h脱脂してから、後洗浄して、脱脂焼結パラメータは、脱脂炉内の温度が130℃で、窒素ガス流量0.8L/minで、脱脂時間が24時間である。焼結炉内の温度が1380℃であり、焼結時間が24時間であり、焼結雰囲気は、タングステン合金焼結に必要な水素ガス雰囲気を必要とせず、直接窒素ガスの雰囲気で焼結を行い、圧力が40Kpaであり、バイメタル射出成形されたゴルフヘッドの粗製品を得て、
研磨及びサンドブラストなどの後処理工程を経て、最後、バイメタル射出成形されたゴルフヘッドの最終製品を得る。
【0029】
(実施例2)
本実施例に係るバイメタルアセンブリのゴルフヘッドは、製造原料が、タングステン合金、ステンレス鋼及び接着剤を含み、上記タングステン合金は、質量百分率で、80%タングステン、15%鉄、5%ニッケルを含み、上記ステンレス鋼として304ステンレス鋼を選択する。
【0030】
上記タングステン合金投入材料とステンレス鋼投入材料の重量部の比は、1:30である。
【0031】
上記ステンレス鋼粉末と接着剤を、2:0.6の重量部の比で配合する。
【0032】
実施例2のゴルフヘッドの製造方法は、実施例1と一致する。
【0033】
(実施例3)
本実施例に係るバイメタルアセンブリのゴルフヘッドは、製造原料が、タングステン合金、ステンレス鋼及び接着剤を含み、上記タングステン合金は、質量百分率で、90%炭化タングステン、10%鉄を含み、上記ステンレス鋼として316Lステンレス鋼を選択し、
上記タングステン合金投入材料とステンレス鋼投入材料の重量部の比は、7:2である。
【0034】
上記ステンレス鋼粉末と接着剤を、1:0.4の重量部の比で配合する。
【0035】
実施例3のゴルフヘッドの製造方法は、実施例1と一致する。
【0036】
(比較例1)
比較例1と実施例2とを対比すると、比較例1では、選択されたタングステン合金は、質量百分率で、89%タングステン、3.5%銅、7.5%モリブデンを含むという点で相違する。
【0037】
(比較例2)
比較例2と実施例2とを対比すると、比較例2では、ステンレス鋼として410ステンレス鋼を選択するという点で相違する。
【0038】
(比較例3)
比較例3と実施例2とを対比すると、比較例3では、タングステン合金粉末とステンレス鋼粉末との質量部の比が1:21であるという点で相違する。
【0039】
(比較例4)
比較例4と実施例2とを対比すると、比較例4では、ステンレス鋼粉末と接着剤を1:1の質量部の比で配合するという点で相違する。
【0040】
(比較例5)
比較例5と実施例2とを対比すると、比較例5では、射出成形プロセスの可塑化温度が160℃であり、金型の加熱温度が70℃であり、射出圧力が90MPaであるという点で相違する。
【0041】
(比較例6)
比較例6と実施例2とを対比すると、比較例6では、焼結温度が1280℃であるという点で相違する。
【0042】
(比較例7)
比較例7と実施例2とを対比すると、比較例7では、焼結温度が1480℃であるという点で相違する。
【0043】
(試験結果)
実施例で製造されたバイメタル射出成形されたゴルフヘッドの最終製品は、歩留まり率が94.0~97.0%であり、比較例1で他のタングステン合金金属粉末を用いて、金属中空粉末を得て、プロセスが成立せず、比較例2~7で製造されたバイメタル射出成形されたゴルフヘッドの最終製品は、歩留まり率が70%~85.0%であり、比較例2~4から分かるように、本発明のステンレス鋼金属成分の配合比率、タングステン合金とステンレス鋼の比重、及び接着剤とステンレス鋼との配合比率を選択して、製造した2種の金属投入材料は、射出成形脱脂焼結の一体化プロセスにより適合し、比較例5から分かるように、本発明の射出成形条件を選択してこそ、成功して射出成形してバイメタル射出成形されたゴルフヘッド成形体を得ることができ、2種の金属の合致度が高く、中空率が低く、比較例6~7から分かるように、本発明の焼結温度は、最適な焼結条件である。
【0044】
実施例で選択されたタングステンニッケル鉄の配合比率により、タングステン合金の密度を低下させ、ステンレス鋼合金の成分と合致し、ステンレス鋼合金との接着性を向上させ、タングステン合金バランスウェイトとステンレス鋼金属ケースとの間に空洞が存在することを防止し、製造されたタングステン合金粉末の粒径の区間は、0.5~40μmであり、D50は、2.0~4.0μmであり、ステンレス鋼粉末の粒径分布の区間は、2.62~23.66μmであり、D50は、8.00μmであり、かさ密度区間は、3.10~3.20g/cm3であり、タップ密度区間は、4.80~4.90g/cm3である。タングステン合金粉末は、ステンレス鋼粉末に比べて、粒径がより細かく、成形体の後続の脱脂と焼結に必要な時間がより長く、22時間であり、製造された最終製品の緻密性がより高い。
【0045】
選択されたタングステン合金成分の配合比率、ステンレス鋼金属成分の配合比率、用いられた接着剤、及び接着剤とステンレス鋼及びタングステン合金との配合比率により、タングステン合金とステンレス鋼の収縮率を統一し、選択されたタングステン合金とステンレス鋼の比重は、ステップ3とステップ4のプロセス要求を満たすことができる。
【0046】
ステップ3で選択された射出成形プロセス条件は、ステンレス鋼金属の射出プロセスに適合した上で、2種の異なる金属の合致度を増加させる。
【0047】
ステップ4で用いられた3段階法脱脂は、低沸点の接着剤材料を徹底的に焼失させることができ、脱脂効率が高い。
【0048】
以上の結果によると、本発明のタングステン合金成分の配合比率、ステンレス鋼金属成分の配合比率、タングステン合金とステンレス鋼の比重、用いられた接着剤の配合成分、及び接着剤とステンレス鋼及びタングステン合金との配合比率により、2種の金属が同じ収縮率、脱脂焼結温度及び雰囲気要求を有し、インモールド射出成形プロセス及び一度焼結成形プロセスを用いて最終製品の歩留まり率が非常に高いゴルフヘッドを製造することができる。
【0049】
実施例で製造されたゴルフヘッドモデルを
図1及び
図2に示す。
【0050】
なお、以上の実施例は、本発明の技術手段を説明するものに過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。好ましい実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、本発明の技術手段の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の技術手段に修正又は同等置換を行うことができることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0051】
1 高比重タングステン合金
2 ステンレス鋼。