(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】コンタクトレンズの遠赤外線放出方法
(51)【国際特許分類】
G02C 13/00 20060101AFI20241009BHJP
G02C 7/00 20060101ALI20241009BHJP
G02C 7/04 20060101ALI20241009BHJP
A61N 5/06 20060101ALN20241009BHJP
【FI】
G02C13/00
G02C7/00
G02C7/04
A61N5/06 A
(21)【出願番号】P 2023101907
(22)【出願日】2023-06-21
【審査請求日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】523238335
【氏名又は名称】康徳光學股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】袁 ▲けい▼洲
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-000736(JP,U)
【文献】中国実用新案第202154951(CN,U)
【文献】特開平03-094758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 13/00
G02C 7/04
G02C 7/00
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間を有する容器本体と、前記容器本体に被覆される遠赤外線材と、を含むコンタクトレンズ容器を用いて実施され、コンタクトレンズが遠赤外線を放出可能にするコンタクトレンズの遠赤外線放出方法であって、
前記容器本体は、個人用コンタクトレンズ収納ケース、もしくはコンタクトレンズ密封ケースであり
前記容器本体
の内表面に
前記遠赤外線材を被覆するステップと、
前記容器本体の
前記収容空間の中に、浸漬液およびコンタクトレンズを入れるステップと、
前記遠赤外線材が、4μmから14μmの間の波長で遠赤外線を前記収容空間の中に放出するステップと、
を含み、
前記コンタクトレンズは、前記遠赤外線を吸収した後、前記収容空間から取り出されると、波長4μmから14μmの
範囲内のある特定の波長の遠赤外線を放
出することを特徴とするコンタクトレンズの遠赤外線放出方法。
【請求項2】
前記遠赤外線材は遠赤外線パウダーおよび接着剤を含み、前記遠赤外線パウダーの比率は5wt%から30wt%の間であり、前記接着剤の比率は70wt%から95wt%の間とすることを特徴とする請求項1記載のコンタクトレンズの遠赤外線放出方法。
【請求項3】
前記遠赤外線パウダーは、セラミックパウダー、竹炭パウダー、電気石パウダー、ゲルマニウムパウダー、チタンパウダー、グラフェンパウダー、銅ナノパウダー、コーディアライトパウダー、ムライトパウダーのうちの一つ、もしくはその組合せとすることを特徴とする請求項
2記載のコンタクトレンズの遠赤外線放出方法。
【請求項4】
前記接着剤は、天然樹脂、合成樹脂、もしくは前記天然樹脂と前記合成樹脂の混合とすることを特徴とする請求項
2記載のコンタクトレンズの遠赤外線放出方法。
【請求項5】
前記コンタクトレンズは4時間から24時間の間、前記収容空間に放置されることを特徴とする請求項1記載のコンタクトレンズの遠赤外線放出方法。
【請求項6】
前記コンタクトレンズを前記収容空間に置いた時、前記容器本体を設定温度環境で保ち、設定温度は40℃から80℃の間とすることを特徴とする請求項1記載のコンタクトレンズの遠赤外線放出方法。
【請求項7】
前記浸漬液は、コンタクトレンズケア液、もしくはコンタクトレンズ専用薬液とすることを特徴とする請求項1記載のコンタクトレンズの遠赤外線放出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズの遠赤外線放出方法に関する。特に遠赤外線材をコンタクトレンズ容器の容器本体に被覆することによって、コンタクトレンズが遠赤外線材から放出された遠赤外線を吸収し、それを着装して眼球に近づけると、コンタクトレンズが波長4μmから14μmの遠赤外線を放出する発明に係る。
【背景技術】
【0002】
近頃は人々の健康意識が高まり、健康保健食品で健康に必要な栄養を補うことに加え、身体に有用な医薬品の市場も伸びている。医学研究によると、波長4μmから14μmの遠赤外線を身体の分子と共振させると血行が促進され、新陳代謝、免疫力を高めることが実証されている。そのことからこのクラスの波長の遠赤外線は、「成長の光」もしくは「成長光線」とも呼ばれている。
【0003】
眼部に対して遠赤外線を放出することで、眼球および眼の周囲に対し健康を促進するレンズが提供されている(例として特許文献1参照)。発明は、例えば、セラミックパウダーのような遠赤外線放射機能を有する材料を使用すると同時に、可塑剤、プラスチックエステル粒子等のプラスチック系高分子ポリマーを添加して撹拌し溶かす。混合工程を介し、射出機に挿入して金型充填、圧力保持、金型からの取出し、遠赤外線放射機能を有するレンズ完成品を制作する。そのうち、混合工程により、セラミックパウダーを更にレンズの中で均一に分散させることで、レンズが高透視状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、遠赤外線エネルギーを放出するセラミックパウダーとレンズ原料を混合した後、射出成形する場合、仮に混合工程ステップを介さなかったり、もしくはセラミックパウダー比率が正確に調合されなかったりすると、遠赤外線放射機能のレンズ透光率が下がり、ユーザーが装着しても視線がぼやけ、行動の安全性に影響を与える。更に製造工程ステップおよびレンズ構造が相対して複雑になる。その他、眼鏡レンズと眼球の間に一定距離が保たれ、遠赤外線の眼部に対する健康効力が相対して下がってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は眼部のケア効力を高め、製造工程と構造的複雑度を軽減するため、コンタクトレンズが遠赤外線を放出可能にするコンタクトレンズの遠赤外線放出方法を提供する。
コンタクトレンズの遠赤外線放出方法は、収容空間を有する容器本体と、容器本体に被覆される遠赤外線材と、を含むコンタクトレンズ容器を用いて実施され、容器本体は、個人用コンタクトレンズ収納ケース、もしくはコンタクトレンズ密封ケースである。
そのステップは以下を含む。
【0007】
容器本体の内表面に遠赤外線材を被覆するステップ。
容器本体の収容空間の中に、浸漬液およびコンタクトレンズを入れるステップ。
遠赤外線材が、4μmから14μmの間の波長で遠赤外線を収容空間の中に放出するステップ。
コンタクトレンズは、遠赤外線を吸収した後、収容空間から取り出されると、波長4μmから14μmの範囲内のある特定の波長の遠赤外線を放出する。
【0009】
更に、遠赤外線材は遠赤外線パウダーおよび接着剤を含む。遠赤外線パウダーの比率は5wt%から30wt%の間であり、接着剤の比率は70wt%から95wt%の間とする。
【0010】
そのうち、遠赤外線パウダーはセラミックパウダー、竹炭パウダー、電気石パウダー、ゲルマニウムパウダー、チタンパウダー、グラフェンパウダー、銅ナノパウダー、コーディアライトパウダー、ムライトパウダーのうちの一つ、もしくはその組合せとする。
【0011】
そのうち、接着剤は、天然樹脂、合成樹脂、もしくは天然樹脂と合成樹脂の混合とする。
【0012】
そのうち、コンタクトレンズは4時間から24時間の間、収容空間に放置される。
【0013】
更に、コンタクトレンズを収容空間に置いた時、容器本体を設定温度環境で保ち、設定温度は40℃から80℃の間とする。
【0016】
そのうち、浸漬液はコンタクトレンズケア液、もしくはコンタクトレンズ専用薬液とする。
【0019】
また、コンタクトレンズから遠赤外線を放出させる方法による製造結果物であり、遠赤外線を放出可能である遠赤外線放出のコンタクトレンズは以下の構成であり得る。
【0020】
更に、コンタクトレンズは、紫外線吸収剤が添加されており、それによりコンタクトレンズは紫外線放射に抵抗できる。
【0021】
更に、コンタクトレンズは、ブルーライト吸収剤が添加されており、それによりコンタクトレンズはブルーライト放射に抵抗できる。
【0022】
そのうち、コンタクトレンズの透光率は、90%よりも大きい。
【0023】
そのうち、コンタクトレンズは、カラーもしくは透明である。
【0024】
そのうち、コンタクトレンズは、一日使い捨て、一ヶ月使い捨て、三ヶ月使い捨て、または一年使い捨てとする。
【発明の効果】
【0025】
本発明のコンタクトレンズの遠赤外線放出方法は、以下の利点がある。
【0026】
容器本体は遠赤外線材で被覆され、遠赤外線材は遠赤外線を放出する。容器本体に放置されたコンタクトレンズは、容器本体から取り出されると、波長4μm~14μmの人体に有益な遠赤外線を放出し、且つコンタクトレンズの遠赤外線は平均放射率が0.86で、最大放射率は0.91に達する。
【0027】
コンタクトレンズを装着しない時、浸漬液が入った容器本体に放置する。更に容器本体は遠赤外線材がすでに被覆されており、浸漬液によって保湿抗菌だけでなく、コンタクトレンズは遠赤外線放出効果を有する。実施過程は簡単で時間を節約でき、操作者は日常に習慣的に使用できる。
【0028】
ユーザーが遠赤外線を放出するコンタクトレンズを装着する時、コンタクトレンズは眼球にしっかりと貼着し、眼部の保健效力を高め、眼周囲の酸素供給および血液循環を促進し、眼の疾患を有効に改善予防する。
【0029】
エネルギー材と容器本体は、加熱空間で一定時間放置されることで、容器本体の遠赤外線放出が強化され、コンタクトレンズの遠赤外線吸収効力を高める。
【0030】
コンタクトレンズに紫外線吸収剤およびブルーライト吸収剤を添加することで、装着時、眼球を紫外線およびブルーライトから保護する。そのうち、更に波長280nmから315nmの間の紫外線を95%以上跳ね返す。
【0031】
遠赤外線放出のコンタクトレンズの中には如何なる遠赤外線材も混入されないので、コンタクトレンズを装着しても視線に影響がなく、透光率は90%以上に達する。
【0032】
コンタクトレンズは、透明、カラー、一日使い捨て用、一ヶ月使い捨て用、三ヶ月使い捨て用、一年使い捨て用、如何なるタイプのコンタクトレンズに関わりなく、すべて、遠赤外線材が被覆された容器本体によって遠赤外線放出機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図3】本発明のエネルギー材と、容器本体の加熱空間内の指示図である。
【
図4】本発明の第一実施形態にかかるステップのフローチャートである。
【
図5】本発明の第二実施形態にかかるステップのフローチャートである。
【
図6】本発明の遠赤外線放出のコンタクトレンズの遠赤外線放射率と波長関係図である。
【
図7】公知の一般のコンタクトレンズの遠赤外線放射率と波長関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明にかかるコンタクトレンズの遠赤外線放出方法、コンタクトレンズ容器、および、遠赤外線放出のコンタクトレンズの主な効果を、以下の実施例で明らかにする。
【0035】
図1および
図2は、本発明にかかるコンタクトレンズの遠赤外線放出方法、コンタクトレンズ容器、および、遠赤外線放出のコンタクトレンズの実施例であり、それは容器本体1、遠赤外線材2、浸漬液3およびコンタクトレンズ4を含む。そのうち、容器本体1は収容空間11、内表面12および外表面13を有し、遠赤外線材2は接着剤21および遠赤外線パウダー22を含む。容器本体1の内表面12および/もしくは外表面13に遠赤外線材2を被覆し、収容空間11の中に浸漬液3を注入した後、コンタクトレンズ4を入れる。本実施例では、内表面12および外表面13両面に遠赤外線材2を被覆する。
【0036】
具体的に、容器本体1は、個人用コンタクトレンズ収納ケースもしくはコンタクトレンズ密封ケースとする。
接着剤21の比率は70wt%から95wt%の間で、遠赤外線パウダー22の比率は5wt%から30wt%の間である。接着剤21は、動物性もしくは植物性の半固体もしくは固体の有機コロイドの天然樹脂、もしくは人工合成製造の合成樹脂とする。また遠赤外線パウダー22は、遠赤外線放出エネルギーを有するパウダーもしくは材料を粉砕したパウダーで、例としてセラミックパウダー、竹炭パウダー、電気石パウダー、ゲルマニウムパウダー、チタンパウダー、グラフェンパウダー、銅ナノパウダー、コーディアライトパウダー、ムライトパウダーのうちの一つ、もしくはその組合せであるが、それに限らない。
浸漬液3は、コンタクトレンズ用の保湿および洗浄殺菌コンタクトレンズケア液もしくはコンタクトレンズ専用薬液である。
コンタクトレンズ4は、カラーもしくは透明の、一日使い捨て用、一ヶ月使い捨て用、三ヶ月使い捨て用、または一年使い捨て用で、且つ透光率は90%以上である。その他、更にコンタクトレンズ4の中には紫外線吸収剤およびブルーライト吸収剤が添加され、それにより紫外線放射およびブルーライト放射に抵抗する。そのうち、波長315nmから380nmの間の紫外線カット効果は50%に達し、波長280nmから315nmの間の紫外線カット効果は95%以上に達する。
【0037】
(第一実施形態)
図2から
図4に示すのは本発明の第一実施形態である。そのうち、第一実施形態は先ず、エネルギー材5および容器本体1を、温度が35℃から90℃の間の加熱空間6の中で2時間から24時間の間置く。その後、次に遠赤外線パウダー22を、接着剤21で容器本体1の内表面12および外表面13に被覆する。エネルギー材5は、遠赤外線放射エネルギーを有する鉱石もしくはパワーストーンであり、それは例として麦飯石、スパー石、花崗岩、電気石、蛇紋石、ドロマイト、竹炭、チタンパワーストーンのうちの一つ、もしくはその組合せが挙げられるが、それに限らない。
【0038】
(第二実施形態)
図2、
図3および
図5に示すとおり、それは本発明の第二実施形態を示すものである。または第二実施形態を介して、遠赤外線パウダー22を接着剤21で容器本体1の内表面12および外表面13に被覆した後、次に遠赤外線材2が被覆された容器本体1とエネルギー材5を、温度が35℃から90℃の間の加熱空間6の中に、2時間から24時間の間、共に放置する。エネルギー材5は、前述の第一実施形態と同じく遠赤外線放射エネルギーを有する鉱石もしくはパワーストーンを採用する。例として麦飯石、スパー石、花崗岩、電気石、蛇紋石、ドロマイト、竹炭、チタンパワーストーンのうちの一つ、もしくはその組合せとするが、それに限らない。
【0039】
第一実施形態もしくは第二実施形態を選択実行した後、続いて容器本体1の収容空間11の中に、浸漬液3を注入し、その後、コンタクトレンズ4を入れる。この時、同時に容器本体1に被覆された遠赤外線材2から、4μmから14μmの間の遠赤外線が収容空間11の中に放出され、コンタクトレンズ4は遠赤外線材2が被覆された容器本体1の中で浸漬され、40℃から80℃の間の温度で保たれ、4時間から24時間の間放置される。コンタクトレンズ4は遠赤外線を吸収し、コンタクトレンズ4を収容空間11から取り出すと、コンタクトレンズ4自身が波長4μmから14μmの間の遠赤外線を放出する。
【0040】
図6および
図7は、本発明のコンタクトレンズ4および公知の一般のコンタクトレンズの遠赤外線放射率と波長関係図である。同時に、
図2に示すとおり、本発明は容器本体1に遠赤外線材2を被覆し、容器本体1の収容空間11の中に浸漬液3を注入することによって、装着できるコンタクトレンズ4およびコンタクトレンズ4に遠赤外線を吸収させるコンタクトレンズ容器となる。これらにより、コンタクトレンズ4を収容空間11から取り出すと、波長4μmから14μmの間の遠赤外線を放出し、且つ温度40℃において、コンタクトレンズ4の遠赤外線放射率は0.70から0.91の間で、全体の平均放射率は0.86に達する。
本発明のコンタクトレンズから遠赤外線を放出する方法を実行していない公知のコンタクトレンズは、波長6μmから14μmの間の遠赤外線しか放出できず、且つ同じ温度40℃で、公知コンタクトレンズの遠赤外線放射率はわずかに0.76から0.79の間だけで、全体の平均放射率は0.78である。本発明のコンタクトレンズの遠赤外線放出方法、コンタクトレンズ容器、および、赤外線放出のコンタクトレンズは、一般のコンタクトレンズを、遠赤外線を放出するコンタクトレンズ4に転換することが実験により実証されている。コンタクトレンズ4の遠赤外線最高放射率は更に0.91に達し、本発明は、コンタクトレンズを装着した後、眼球に近い眼のケア効力を高め、同時にステップが実施しやすく、誰でも操作できる効果を兼ね備えている。
【0041】
上述の実施例で説明したとおり、本発明の操作、使用および本発明の効果を十分に理解できたことと考えられる。しかしながら、以上実施例は本発明の良好な実施例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を制限するものではなく、即ち本発明の特許請求の範囲および本発明の明細書に基づく簡単で同効果の変化および修飾は、すべて本発明の特許請求の範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0042】
1 容器本体
11 収容空間
12 内表面
13 外表面
2 遠赤外線材
21 接着剤
22 遠赤外線パウダー
3 浸漬液
4 コンタクトレンズ
5 エネルギー材
6 加熱空間