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  • 特許-電源回路 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】電源回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/00 20070101AFI20241009BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20241009BHJP
   G05F 1/56 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
H02M1/00 F
H02M1/08 A
G05F1/56 310L
G05F1/56 320F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021155264
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023046588
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テー チェンコン
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-138344(JP,A)
【文献】特開2015-153074(JP,A)
【文献】特開2020-194269(JP,A)
【文献】特開2001-282372(JP,A)
【文献】特開2007-034405(JP,A)
【文献】特開2010-165449(JP,A)
【文献】特開2013-122792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00
H02M 1/08
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートに供給される制御信号によってオン、オフが制御されて、所定の電圧に追従した出力電圧を出力する第1のトランジスタと、
電流経路の一端が電源電圧を供給する入力端子に接続され、他端が抵抗の一端に接続され、前記制御信号に応じて前記所定の電圧を出力する第2のトランジスタと、
基準電圧と、前記抵抗の他端を介して入力される前記所定の電圧との電圧差を増幅し、前記制御信号として出力するアンプ回路と、
電流経路の一端が前記アンプ回路の出力端子に接続され、他端が基準電位点に接続され、ゲート電圧に応じてオン、オフする第3のトランジスタと、
前記電源電圧の入力端子と前記第3のトランジスタのゲートとの間に接続されるコンデンサと、
を有する電源回路。
【請求項2】
ゲートに供給される制御信号によってオン、オフが制御されて、所定の電圧に追従した出力電圧を出力する第1のトランジスタと、
電流経路の一端が電源電圧を供給する入力端子に接続され、他端が抵抗の一端に接続され、前記制御信号に応じて前記所定の電圧を出力する第2のトランジスタと、
前記電源電圧が入力され、前記電源電圧よりも高い電圧を発生して出力するチャージポンプ回路と、
出力制御信号に応じて前記チャージポンプ回路の出力を前記制御信号として出力する第3のトランジスタと、
前記出力制御信号に応じて基準電位点の出力を前記制御信号として出力する第4のトランジスタと、
電流経路の一端が前記第3のトランジスタと前記第4のトランジスタとの間のノードに接続され、他端が基準電位点に接続され、ゲート電圧に応じてオン、オフする第5のトランジスタと、
前記電源電圧の入力端子と前記第5のトランジスタのゲートとの間に接続されるコンデンサと、
を有する電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電源回路は、大きな突入電圧が発生した際に出力電圧をクランプすることで、後段の回路部等へ過大な電圧が印加されるのを防ぐ過電圧クランプ機能を備えている。
【0003】
しかしならが、従来の過電圧クランプ機能を実現する過電圧クランプ回路は、受動型または帰還型のため、大きな突入電圧が発生した際に出力電圧をクランプまでの応答速度が遅いという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表平9-507369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、実施形態は、大きな突入電圧が発生した際に出力電圧を高速にクランプすることができる電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電源回路は、ゲートに供給される制御信号によってオン、オフが制御されて、所定の電圧に追従した出力電圧を出力する第1のトランジスタと、電流経路の一端が電源電圧を供給する入力端子に接続され、他端が抵抗の一端に接続され、前記制御信号に応じて前記所定の電圧を出力する第2のトランジスタと、基準電圧と、前記抵抗の他端を介して入力される前記所定の電圧との電圧差を増幅し、前記制御信号として出力するアンプ回路と、電流経路の一端が前記アンプ回路の出力端子に接続され、他端が基準電位点に接続され、ゲート電圧に応じてオン、オフする第3のトランジスタと、前記電源電圧の入力端子と前記第3のトランジスタのゲートとの間に接続されるコンデンサと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係わる電源回路の一例を示す回路図である。
図2】第2の実施形態に係わる電源回路の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係わる電源回路の一例を示す回路図である。
本実施形態の電源回路は、電圧源So1、NMOSトランジスタ(以下、単にトランジスタという)T1、T2、T3と、アンプ回路Amp1と、抵抗R1、R2、R3と、コンデンサC1とを有する。
【0009】
電圧源So1は、負極性端子が基準電位点に接続され、正極性端子に電源電圧Vinを発生する。電源圧So1からの電源電圧Vinが、電源回路の入力端子INを介してトランジスタT1、T2のドレイン、及び、コンデンサC1に供給される。
【0010】
メインスイッチを構成するトランジスタT1のソースは、電源回路の出力端子OUTに接続される。出力端子OUTには、図示しない負荷(回路部等)が接続される。トランジスタT1のゲートには、電源回路から負荷に出力Voutを供給するか供給を停止するかを制御するための制御信号Vgateが印加される。制御信号Vgateは、アンプ回路Amp1から出力される。
【0011】
トランジスタT1は、ソースフォロワ構成によって、後述する所定の電圧である電圧Vsに追従した出力Voutを出力する。トランジスタT1は、ハイレベル(以下、Hレベルという)の制御信号Vgateによってオンとなり、電源電圧Vinに基づく出力Voutが負荷に供給される。ローレベル(以下、Lレベルという)の制御信号Vgateによってオフとなり、電源電圧Vinに基づく出力Voutの負荷への供給が停止される。
【0012】
トランジスタT2は、トランジスタT1に並列に接続されている。トランジスタT2のドレインは、電源圧So1の正極性端子に接続される。トランジスタT2のソースは、抵抗R1の一端に接続される。抵抗R1の他端は、抵抗R2の一端に接続される。抵抗R2の他端は、基準電位点に接続される。トランジスタT2のゲートには、アンプ回路Amp1から出力される制御信号Vgateが印加され、制御信号Vgateによって制御された電圧Vsがソースから出力される。
【0013】
電圧Vsは、抵抗R1及びR2により分圧されてアンプ回路Amp1の反転入力端子に供給される。アンプ回路Amp1の非反転入力端子には、基準電圧VREFに供給される。アンプ回路Amp1の出力端子は、トランジスタT1のゲート、トランジスタT2のゲート及びトランジスタT3のドレインに接続されている。
【0014】
アンプ回路Amp1は、非反転入力端子に供給された基準電圧VREFと、反転入力端子に供給された電圧との電圧差を増幅し、制御信号Vgateとして出力する。
【0015】
トランジスタT2のソースからは、制御信号Vgateに応じた電圧Vsが出力される。トランジスタT1のソースからは、ソースフォロワ構成によって、出力Voutが電圧Vsに追従して、すなわち、出力Voutが電圧Vsにクランプされて出力される。
【0016】
コンデンサC1の一端は、入力端子INを介して電圧源So1の正極性入力端に接続される。コンデンサC1の他端は、抵抗R3の一端に接続される。抵抗R3の他端は、基準電位点に接続される。
【0017】
トランジスタT3のゲートは、コンデンサC1と抵抗R3との間のノードに接続されている。トランジスタT3のソースは、基準電位点に接続される。電源電圧Vinが急激に立ち上がると、コンデンサC1を介してトランジスタT3のゲートに供給され、トランジスタT3がオンする。これにより、制御信号Vgateをプルダウンし、出力Voutをクランプする。
【0018】
このように、本実施形態は、トランジスタT2が制御信号Vgateに応じて、電源圧So1からの電源電圧Vinに基づき発生する電圧Vsがアンプ回路Amp1に帰還する構成となっている。
【0019】
そのため、本実施形態の電源回路は、電源電圧Vinに大きな突入電圧が発生した際に、電源電圧Vinに応じて制御信号Vgateを直ちに制御することができるため、高速な応答が可能となる。
【0020】
また、本実施形態の電源回路は、出力Voutを帰還しないため、トランジスタT1に流れる電流の影響を受けることがないため、アンプ回路Amp1の位相余裕を確保し易い。
【0021】
また、本実施形態は、トランジスタT1は、ソースフォロワ構成によって、出力Voutを電圧Vsにほぼ等しくすることができる。すなわち、アンプ回路Amp1及びトランジスタT2によって電圧Vsを固定することで、出力Voutも電圧Vsに固定することができ、電源電圧Vinに大きな突入電圧が発生した際に、出力Voutを電圧Vsにクランプすることができる。
【0022】
さらに、本実施形態では、入力端子INを介して電圧源So1に接続されたコンデンサC1と、電流経路の一端がアンプ回路Amp1の出力端子に接続され、他端が基準電位点に接続され、ゲートがコンデンサC1に接続されたトランジスタT3とを設けている。これにより、電源電圧Vinに大きな突入電圧が発生した際に、コンデンサC1を介してトランジスタT3がオンし、制御信号Vgateをプルダウンすることで、出力Voutを高速にクランプしている。
【0023】
よって、本実施形態の電源回路によれば、大きな突入電圧が発生した際に出力電圧を高速にクランプすることができる。
【0024】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図2は、第2の実施形態に係わる電源回路の一例を示す回路図である。なお、図2において図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0025】
本実施形態の電源回路は、第1の実施形態のアンプ回路Amp1がアンプ回路Amp2及びNMOSトランジスタT4に代わるとともに、チャージポンプ回路CP、PMOSトランジスタT5、NMOSトランジスタT6が追加されて構成されている。
【0026】
アンプ回路Amp2の非反転入力端子には、抵抗R1及びR2の間のノードが接続される。アンプ回路Amp2の反転入力端子には、基準電圧VREFが入力される。アンプ回路Amp2の出力端子は、トランジスタT4のゲートに接続される。
【0027】
トランジスタT4のドレインは、トランジスタT1及びT2のゲートに接続され ソースは、基準電位点に接続される。トランジスタT4は、アンプ回路Amp2の出力に応じてオン/オフが制御される。大きな突入電圧が発生した際にアンプ回路Amp2からHレベルの信号がトランジスタT4のゲートに入力され、トランジスタT4がオンし、制御信号Vgateをプルダウンする。
【0028】
本実施形態においては、制御信号Vgateは、チャージポンプ回路CP及びトランジスタT5,T6により発生する。トランジスタT1をオンにするためには、制御信号Vgateは、電源電圧Vinよりも高い電圧である必要がある。チャージポンプ回路CPには、電源電圧Vinが供給される。チャージポンプ回路CPは、電源電圧Vinを用いて、電源電圧Vinよりも高い電圧を発生して出力する。
【0029】
チャージポンプ回路CPの出力端子と基準電位点との間にはトランジスタT5,T6の電流経路が直列接続される。即ち、トランジスタT5は、ソースがチャージポンプ回路CPの出力に接続され、ドレインがトランジスタT1のゲートに接続され、ゲートには出力制御信号が与えられる。トランジスタT6は、ドレインがトランジスタT1のゲートに接続され、ソースが基準電位点に接続され、ゲートには出力制御信号が与えられる。
【0030】
出力制御信号がHレベルの場合には、トランジスタT5がオフ、トランジスタT6がオンであり、制御信号VgateはLレベルとなり、トランジスタT1はオフとなる。即ち、Hレベルの出力制御信号がトランジスタT5、T6のゲートに供給される場合には、出力Voutの負荷への供給は停止される。即ち、Hレベルの出力制御信号によりメインスイッチOFFの状態となる。
【0031】
出力制御信号がLレベルの場合には、トランジスタT5がオン、トランジスタT6がオフであって、制御信号Vgateはチャージポンプ回路CPの出力によりHレベルとなり、トランジスタT1はオンとなる。即ち、Lレベルの出力制御信号がトランジスタT5、T6のゲートに供給される場合には、出力Voutが負荷に供給される。即ち、Lレベルの出力制御信号によりメインスイッチONの状態となる。
【0032】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、トランジスタT2が制御信号Vgateに応じて、電源圧So1からの電源電圧Vinに基づき発生する電圧Vsがアンプ回路Amp1に帰還する構成となっている。
【0033】
そのため、本実施形態の電源回路は、第1の実施形態と同様に、電源電圧Vinに大きな突入電圧が発生した際に、電源電圧Vinに応じて制御信号Vgateを直ちに制御することができるため、高速な応答が可能となる。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として例示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
T1~T6…トランジスタ、Amp1,Amp2…アンプ回路、R1~R3…抵抗、C1…コンデンサ、So1…電圧源、CP…チャージポンプ回路、Vin…電源電圧、Vout…出力、Vgate…制御信号。
図1
図2