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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】セパレータ部材、ケーブル保護管
(51)【国際特許分類】
   H02G 9/06 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
H02G9/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019173984
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2021052505
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】澤田 浩幸
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-158114(JP,A)
【文献】特開2008-017666(JP,A)
【文献】特開2008-278734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護管本体の内部に管軸に沿って配置され、前記保護管本体の内部を第1管路と第2管路とに区画するセパレータ部材であって、
前記管軸に沿って見たときに、前記第1管路と前記第2管路とを仕切る仕切壁部と、前記仕切壁部の両端部に接続され、前記保護管本体の内周面に沿って前記第2管路側に伸びる一対の支持壁部と、
を備え、
一対の前記支持壁部には、
前記保護管本体に形成された保持係合部と係合して前記保護管本体と装着する被保持係合部と、前記被保持係合部よりも前記仕切壁部側に配置され前記保護管本体の径方向の内側に向かって突出する凸部が形成され、
前記仕切壁部の下側面と前記凸部の間に、凹部が形成されている
ことを特徴とするセパレータ部材。
【請求項2】
請求項1に記載のセパレータ部材であって、
前記凸部には、前記保護管本体の径方向の外側に向かって開口する凹部が形成されている
ことを特徴とするセパレータ部材。
【請求項3】
内周面に保持係合部が形成された保護管本体と、
前記保護管本体の内部に管軸に沿って配置され、前記保護管本体の内部を第1管路と第2管路とに区画するセパレータ部材と、
を備えたケーブル保護管であって、
前記セパレータ部材が、請求項1又は2に記載のセパレータ部材である
ことを特徴とするケーブル保護管。
【請求項4】
請求項3に記載のケーブル保護管であって、
前記保護管本体の管軸方向に隣接する前記セパレータ部材同士を接続するセパレータ継手を備え、
前記セパレータ継手は、前記仕切壁部の下側面と前記凸部の間に形成された前記凹部に保持されている
ことを特徴とするケーブル保護管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、保護管本体内を区画してケーブル保護管を構成するためのセパレータ部材、ケーブル保護管に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えば、電話線等の通信ケーブルは、電話局間を結ぶ複数の幹線用ケーブルと、幹線用ケーブルから分岐されて住宅や店舗等の建物に引き込まれる複数の引込用ケーブルとを備えることにより構成されている。
【0003】
近年、このような通信用ケーブルをはじめとするケーブルをケーブル保護管路に収納して路面下に埋設することにより道路の景観を保つ技術が一般的になりつつある。
このようなケーブル保護管路を構成する場合、幅がより狭い狭小道路の路面下にも埋設することが可能な1管セパレート方式のケーブル保護管が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
1管セパレート方式のケーブル保護管は、ケーブル保護管の内部空間をセパレータ部材により第1管路と第2管路(例えば、上側管路と下側管路)に区画する。
そして、例えば、上側管路に各需要家への引込ケーブルを複数本(最大20本程度)収容し、下側管路に複数の幹線用ケーブルを収納する構成とされている。
【0005】
ケーブル保護管は、特許文献1の図1に示されるように、例えば、筒状に形成された保護管本体(11)と、管軸に沿って保護管本体(11)に配置され内部空間を上下に仕切って上部管路(U)と下部管路(D)に区画し下側に突出する略V字形に形成された板状のセパレータ部材(15)とを備えている。
【0006】
セパレータ部材(15)は、ケーブル保護管(10)の管軸に沿って見たときに、保護管本体(11)内を左右に横切って上部管路(U)と下部管路(D)を仕切る構成とされている。
そして、上部管路(U)には引込用ケーブル(12)が収納され、下部管路(D)には幹線用ケーブル(13)が収容される。
なお、保護管本体(11)の内周面(11a)の上部とセパレータ部材(15)の板状部(仕切壁部)(16)の上側面との間は、上部管路(U)に引込用ケーブルを収納するうえで、例えば、少なくとも直径φ100mmの円が内接可能な程度の収容空間が必要である。
【0007】
また、セパレータ部材(15)は、保護管本体(11)内において管軸廻りに回転するのを防ぐとともに保護管本体(11)の内周面(11a)にしっかりと装着するために、セパレータ部材(15)の板バネ部(支持壁部)(17)に形成された凹部(被保持係合部)(22)を保護管本体(11)の突起部(保持係合部)(23)に係合する構造とされている。
【0008】
また、突起部(保持係合部)(23)は、保護管本体(11)の生産上の安定性の確保やケーブル保護管(10)を設置する際に上下方向が限定されるのを避けるため管軸を挟んで互いに180°反対側に形成されている。
【0009】
また、セパレータ部材(15)は、特許文献1の図3に示されるように、板状部(仕切壁部)(16)の下側にセパレータ継手(連結部材)(24)を配置して、セパレータ継手(24)とセパレータ部材(15)とをボルト部材やリベット等の締結部材を用いて連結することで、隣接するセパレータ部材(15)同士を接続することが可能とされている。
【0010】
このように構成された1管セパレート方式のケーブル保護管(10)は、参画企業者数や通信の供給件数が少なく通信需要の少ない地区においては、呼び径175(内径φ175mm)の保護管本体を適用するのが一般的である。
【0011】
しかしながら、通保護管本体の通信需要の多い地区においては、保護管本体(11)の内径をφ175mmよりも大径とする必要があり、例えば、保護管本体(11)の内径をφ225mm程度とすることが望まれる。
【0012】
例えば、内径φ175mmの保護管本体(11)では、特許文献1の図3に示されるように、セパレータ継手(24)は、板状部(仕切壁部)(16)の下側面と板バネ部(支持壁部)(17)に形成された凹部(被保持係合部)(22)の上側面の間に形成された溝部に保持され、セパレータ継手(24)をセパレータ部材(15)とを連結することが可能であった。
【0013】
以下、図5を参照して、1管セパレート方式の内径φ225mmのケーブル保護管の一例を説明する。図5は、例えば、1管セパレート方式の内径φ225mmのケーブル保護管の一例を説明する概略構成図であり、符号500はケーブル保護管を示している。
【0014】
ケーブル保護管500は、図5に示すように、例えば、筒状に形成された保護管本体510と、保護管本体510の内部空間510Sを上下に仕切って上側管路(第1管路)511Sと、下側管路(第2管路)512Sに区画するセパレータ部材520と、を備えている。
【0015】
セパレータ部材520は、ケーブル保護管500の管軸Oに沿って見たときに、略V字形の板状に形成され、保護管本体510内を左右に横断して保護管本体510の内部空間を上下に仕切って、第1管路511Sに直径φ100mmの円が内接可能な程度の収容空間が確保されるように構成とされている。
【0016】
また、セパレータ部材520は、支持壁部522に形成された凹部(被保持係合部)523を保護管本体510の突起部(保持係合部)511と係合して保護管本体510に保持されるように構成されている。
一方、上述のように、突起部(保持係合部)511は、保護管本体510の生産上の安定性の確保やケーブル保護管500を設置する際に上下方向が限定されるのを避けるために管軸Oを挟んで互いに180°反対側に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特開2008-017666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、突起部(保持係合部)511が管軸Oを挟んで互いに180°反対側に形成された保護管本体510に、直径φ100mmの円が内接可能な程度の第1管路内511Sを確保するセパレータ部材520を配置すると、仕切壁部521の下面521Bと凹部(被保持係合部)523が形成された壁部の上外面523Aとの距離L0が非常に大きくなり、セパレータ継手530を保持することが困難となる。
【0019】
その結果、セパレータ部材520同士の接続作業を行う際に、第2管路512S内に手を入れて、セパレータ継手(連結部材)530をセパレータ部材520の下面に押えながらリベット等により連結作業をする必要があり接続作業が大変である。
また、接続作業においてリベットにより連結する際に、セパレータ部材520とセパレータ継手530の間に間隙が形成されると、リベットにおけるかしめ不良をはじめとする蹄鉄不具合が発生して適切な連結ができない虞がある。
【0020】
また、ケーブル保護管の内径が大径化すると製造上の寸法誤差が大きくなり、セパレータ部材の幅が保護管本体内径に対して小さくなって、支持壁部に形成された凹部(被保持係合部)と保護管本体の突起部(保持係合部)との係合が浅くなって、安定した装着ができなくなる虞があるため、セパレータ部材を大きめに生産することが好適であるが、この場合、セパレータ部材を幅方向に押し縮めて保護管本体内に挿入する際の挿入抵抗(摩擦抵抗)が増大するという問題がある。
【0021】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、セパレータ継手による連結と保護管本体への挿入を容易かつ効率的に行うことが可能なセパレータ部材、ケーブル配管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、保護管本体の内部に管軸に沿って配置され、前記保護管本体の内部を第1管路と第2管路とに区画するセパレータ部材であって、前記管軸に沿って見たときに、前記第1管路と前記第2管路とを仕切る仕切壁部と、前記仕切壁部の両端部に接続され、前記保護管本体の内周面に沿って前記第2管路側に伸びる一対の支持壁部と、を備え、一対の前記支持壁部には、前記保護管本体に形成された保持係合部と係合して前記保護管本体と装着する被保持係合部と、前記被保持係合部よりも前記仕切壁部側に配置され前記保護管本体の径方向の内側に向かって突出する凸部が形成され、前記仕切壁部の下側面と前記凸部の間に、凹部が形成されていることを特徴とする。
【0023】
この発明に係るセパレータ部材によれば、管軸に沿って見たときに、第1管路と第2管路とを仕切る仕切壁部と、仕切壁部の両端部に接続され、保護管本体の内周面に沿って第2管路側に伸びる一対の支持壁部と、を備え、一対の支持壁部に被保持係合部が形成されているので、保護管本体に形成された保持係合部と被保持係合部とを係合して保護管本体に効率的に装着することが可能である。
また、被保持係合部よりも仕切壁部側に配置され、保護管本体の径方向の内側に向かって突出する凸部が形成されているので、隣接するセパレータ部材同士を管軸方向に互いに接続する際に、セパレータ継手を仕切壁部と凸部の間に安定して保持させることができる。
その結果、セパレータ継手によりセパレータ部材同士を容易かつ効率的に接続することができる。
また、保護管本体の径方向の内側に向かって突出する凸部が形成されているので、セパレータ部材を保護管本体の内側に向かって幅方向内側に曲げて保護管本体内に挿入する際に、支持壁部及び被保持係合部が管軸方向と異なる方向(例えば、管軸に対してねじれた方向)に変形するのが抑制されて、保護管本体内に容易かつ効率的に挿入することができる。
【0024】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のセパレータ部材であって、前記凸部には、前記保護管本体の径方向の外側に向かって開口する凹部が形成されていることを特徴とする。
【0025】
この発明に係るセパレータ部材によれば、凸部に保護管本体の径方向の外側に向かって開口する凹部が形成されているので、凸部において、セパレータ部材を保護管本体の内側に向かって幅方向に曲げる力を小さくすることができる。
その結果、セパレート部材を小さな力で幅方向に曲げて容易かつ効率的に保護管本体に挿入することができる。
【0026】
請求項3に記載の発明は、内周面に保持係合部が形成された保護管本体と、前記保護管本体の内部に管軸に沿って配置され、前記保護管本体の内部を第1管路と第2管路とに区画するセパレータ部材と、を備えたケーブル保護管であって、前記セパレータ部材が、請求項1又は2に記載のセパレータ部材であることを特徴とする。
【0027】
この発明に係るケーブル保護管によれば、セパレータ継手による連結と保護管本体への挿入を容易かつ効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
この発明に係るセパレータ部材、ケーブル保護管によれば、セパレータ継手による連結と保護管本体への挿入を容易かつ効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係るケーブル保護管の概略構成の一例を説明する部分断面図である。
図2】一実施形態に係るケーブル保護管の管端部におけるセパレート部材及びセパレータ継手の概略を説明する斜視図である。
図3】一実施形態に係るケーブル保護管を説明する管軸に沿って見た概略構成図である。
図4】一実施形態に係るセパレータ部材の構成を説明する管軸に沿って見た図であり、(A)は概略構成図を、(B)はセパレータ継手保持凸部の要部詳細を説明する図である。
図5】1管セパレート方式の内径φ225mmのケーブル保護管の一例を説明する概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<一実施形態>
以下、図1図4を参照し、本発明の一実施形態に係るケーブル保護管及びセパレータ部材について説明する。
図1は一実施形態に係るケーブル保護管の概略構成の一例を説明する部分断面図であり、図2はケーブル保護管の管端部におけるセパレート部材及びセパレータ継手の概略を説明する斜視図あり、図3はケーブル保護管を説明する管軸に沿って見た概略構成図であり、図4はセパレータ部材の構成を説明する管軸に沿って見た図であり、図4(A)は概略構成図を、図4(B)はセパレータ継手保持凸部の要部詳細を説明する図である。
図1図4において、符号100はケーブル保護管を、符号10Sは内部空間を、符号11Sは上側管路(第1管路)を、符号12Sは下側管路(第2管路)を示している。また、符号110は保護管本体を、符号120はセパレータ部材を、符号130はセパレータ継手を示している。
【0031】
ケーブル保護管路は、図1図3に示すように、一管セパレート方式のケーブル保護管100を備えており、ケーブル保護管100内にケーブル150、160を収容して、地中10Aにケーブル保護管100を設置する構成とされ、無電柱化による景観保護を目的としている。
【0032】
ケーブル保護管100は、例えば、保護管本体110と、セパレータ部材120と、を備えている。
また、ケーブル保護管100は、セパレータ部材120によって、内部空間10Sが、上側管路(第1管路)11Sと下側管路(第2管路)12Sに区分されている。
【0033】
そして、ケーブル保護管100は、図1に示すように、上側管路(第1管路)11Sには引込用ケーブルをなす通信用ケーブル(ケーブル)150が収容され、下側管路(第2管路)12Sにはさや管140に配置された幹線用ケーブルをなす通信用ケーブル(ケーブル)160が収容されている。
【0034】
保護管本体110は、この実施形態において、例えば、硬質塩化ビニルのような強度の高い合成樹脂材料を押し出し成形することにより形成されている。
また、保護管本体110は、図1図3に示すように、例えば、管軸Oに沿って見たときに、断面が円形とされた筒状に形成されていて、内周面111に、管軸Oに沿ってセパレータ保持突起(保持係合部)112(112L、112R)が形成されている。
【0035】
セパレータ保持突起(保持係合部)112は、例えば、管軸Oに沿って見たときに、図2図3において左側に位置されるセパレータ保持突起(保持係合部)112Lと、右側に位置されるセパレータ保持突起(保持係合部)112Rとを備えている。
【0036】
また、セパレータ保持突起112L、112Rは、それぞれ内周面111から、保護管本体110の径方向内側に向かって突出し、管軸Oに沿って形成されたリブ状の突形状部とされている。
【0037】
また、パレータ保持突起112Lと、セパレータ保持突起112Rとは、例えば、内周面111において管軸Oを挟んで互いに180°反対側に形成されている。
そして、この係合突起112には、セパレータ部材120が保持されるように構成されている。
なお、パレータ保持突起112L、セパレータ保持突起112Rの内周面111における周方向位置については、管軸Oを挟んで互いに180°反対側の周方向位置に限定されず任意に設定することが可能である。
【0038】
セパレータ部材120は、図2図4に示すように、管軸Oに沿って見たときに、上側管路(第1管路)11Sと下側管路(第2管路)12Sとを区画する仕切壁部121と、仕切壁部121の幅方向における両端部に接続され、仕切壁部121を保護管本体110の内側に装着させる一対の支持壁部122と、を備えている。
この実施形態において、セパレータ部材120は、例えば、塩化ビニルのような可撓性を有し強度が高い合成樹脂材料を押し出し成形することにより形成されている。
【0039】
仕切壁部121は、管軸Oに沿ってみたときに、幅方向(図における左右方向)の中央部に位置される平面部121Aと、平面部121Aの幅方向両側の縁部から平面部121Aの延長線に対して傾斜角度θ1で交差して斜め上方(上側管路(第1管路)11S側)に向って伸びる一対の傾斜部121とを備えている。
また、平面部121A、傾斜部121Bは、管軸Oに沿った長尺の矩形の平板に形成されている。
【0040】
また、傾斜部121(121L、121R)の平面部121Aと反対側の端部は、保護管本体110の内周面111と当接する構成されている。
その結果、仕切壁部121は、第1管路11S側に開放され幅方向の両端部が保護管本体110の内周面111と当接する略V字状とされている。
【0041】
また、仕切壁部121の上側面(第1管路側面)121Cは、上側管路(第1管路)11Sに引込用ケーブルを収納するために、例えば、保護管本体110の内周面111との間には直径φ100mmの円が内接可能な程度の収容空間が確保可能に設定されている。
【0042】
一対の支持壁部122は、管軸Oに沿って見たときに、例えば、仕切壁部121の幅方向における両端部に接続され、保護管本体110の内周面111に沿って下側管路(第2管路)12S側に伸びて形成されている。
【0043】
また、一対の支持壁部122は、外力が付加されない状態で、保護管本体110の内周面111の曲率よりわずかに小さな曲率の略円弧状に形成されている。
その結果、保護管本体110内に挿入した状態で、いわゆる板バネの作用を有し、保護管本体110の外方(内周面111側)に向かって弾性力が発生して支持壁部122の外面を保護管本体110の内周面111に密着させるように設定されている。
【0044】
また、一対の支持壁部122には、保護管本体110のセパレータ保持突起(保持係合部)112と係合して、保護管本体110の内側にセパレータ部材120を装着するための被保持凹部(被保持係合部)123と、セパレータ継手保持凸部(凸部)124が形成されている。
【0045】
被保持凹部(被保持係合部)123は、管軸Oに沿って見たときに、保護管本体110の内方に向かって突出しセパレータ保持突起(保持係合部)112の外面と相補的に対応するとともに、支持壁部122と同一肉厚のU字形の壁部により構成されている。
【0046】
その結果、被保持凹部(被保持係合部)123がセパレータ保持突起(保持係合部)112と係合することにより、セパレータ部材120を、保護管本体110の内周面111にしっかりと装着するとともに、セパレータ部材120が、保護管本体110内において管軸O廻りに回転するのを防ぐことができる。
【0047】
セパレータ継手保持凸部(凸部)124(124L、124R)は、支持壁部122(122L、122R)の被保持凹部(被保持係合部)123(123L、123R)よりも仕切壁部121側に配置されていて、保護管本体110の径方向の内側に向かって突出して形成されている。
【0048】
また、支持壁部122にセパレータ継手保持凸部(凸部)124が形成されることにより、仕切壁部121の下側面(第2管路側面)121Dとセパレータ継手保持凸部(凸部)124(124L、124R)の間に、セパレータ継手保持凹部125(125L、125R)が形成されている。
そして、セパレータ継手保持凹部125(125L、125R)に、セパレータ継手130を挿入、保持させることができる。
【0049】
セパレータ継手保持凹部125の深さL1は、5mm以上20mm以下に設定することが好適あり、5mm以上10mm以下に設定することがより好適である。
セパレータ継手保持凹部125の深さL1は、図4に示すように、支持壁部122の内側の面からセパレータ継手保持凸部(凸部)124(124L、124R)の頂点までの寸法で表される。
【0050】
セパレータ継手保持凹部125の幅寸法L2は、1mm以上10mm以下に設定することが好適あり、2mm以上4mm以下に設定することがより好適である。
セパレータ継手保持凹部125の幅寸法L2は、図4に示すように、仕切壁部121の下側面121Dとセパレータ継手保持凸部(凸部)124(124L、124R)との間隙幅寸法で表される。
【0051】
また、セパレータ継手保持凸部(凸部)124(124L、124R)は、保護管本体110の径方向の外側に向かって開口する凹部126Uが形成されている。
凹部126Uは、例えば、セパレータ継手保持凸部(凸部)124が、被保持凹部(被保持係合部)123から仕切壁部121に向かって支持壁部122と同一肉厚の略U字形の壁部を形成するように設定されている。
【0052】
言い換えると、図4(B)に示すように、セパレータ継手保持凸部(凸部)124は、凹部126Uを間に挟んで対向する一対の第1壁部124A、124Aと、一対の第1壁部124A、124Aを連結する第2壁部124Bと、を備えている。一対の第1壁部124A、124Aは、保護管本体110の径方向に延びている。第2壁部124Bは、一対の第1壁部124A、124Aの径方向の内側の端部同士を連結している。
【0053】
その結果、セパレータ継手保持凸部(凸部)124において、セパレータ部材120を保護管本体110の内側に向かって幅方向に曲げる際の力を小さくすることができる。すなわち、このときにはセパレータ継手保持凸部(凸部)124が第2壁部125Bを起点として曲がり、一対の第1壁部124A、124Aが離間して凹部126Uが拡がる。
その結果、小さい力でセパレータ部材120を曲げることができる。
【0054】
なお、セパレータ継手保持凸部(凸部)124の肉厚については任意に設定することが可能であり、例えば、凹部126Uを形成せずに中実としてもよいし、セパレータ継手保持凸部(凸部)124の肉厚を支持壁部122と異なる肉厚に設定してもよい。
【0055】
また、セパレータ部材120は、例えば、ボルト部材やリベット等の締結部材(不図示)によってセパレータ継手130と連結され、管軸O方向に隣接するセパレータ部材120同士が接続される。
【0056】
セパレータ継手130を用いてセパレータ部材120を接続する際は、図2図3に示すように、仕切壁部121の第2管路12S側にセパレータ継手130を配置する。そして、締結部材(不図示)によって仕切壁部121とセパレータ継手130を連結するようになっている。
【0057】
セパレータ継手130は、例えば、平面視して略矩形状とされ、管軸Oに沿って見たときに、仕切壁部121の下側(第2管路側)の面に相補的に沿う略V字形とされた板部材とされている。
また、仕切壁部121の平面部121A及び傾斜部121Bには、それぞれセパレータ継手130の挿通孔(不図示)と対応する挿通孔(不図示)が形成されている。
【0058】
一実施形態に係るケーブル保護管100、セパレータ部材120によれば、支持壁部122に被保持凹部(被保持係合部)123が形成されているので、被保持凹部(被保持係合部)123を保護管本体110のセパレータ保持突起(保持係合部)112と係合させて、セパレータ部材120を保護管本体110に効率的に装着することが可能である。
【0059】
また、一実施形態に係るケーブル保護管100、セパレータ部材120によれば、セパレータ部材120の支持壁部122に、保護管本体110の径方向の内側に向かって突出するセパレータ継手保持凸部(凸部)124が形成されているので、セパレータ継手130を仕切壁部121とセパレータ継手保持凸部(凸部)124の間に安定して保持させることができる。
その結果、セパレータ継手130によりセパレータ部材120同士を容易かつ効率的に接続することができる。
【0060】
また、支持壁部122にセパレータ継手保持凸部(凸部)124が形成されて断面略U字形に形成されているので柔軟性が向上し、セパレータ部材120を保護管本体110の内側に向かって幅方向内側に曲げて保護管本体110内に挿入する際に、支持壁部122及び被保持凹部(被保持係合部)123が管軸と異なる方向(例えば、管軸に対してねじれた方向)に変形するのが抑制されて、保護管本体110内に容易かつ効率的に挿入することができる。
【0061】
また、一実施形態に係るケーブル保護管100、セパレータ部材120によれば、セパレータ継手保持凸部(凸部)124に保護管本体110の径方向の外側に向かって開口する凹部126Uが形成されているので、セパレータ継手保持凸部(凸部)124において、セパレータ部材120を保護管本体110の内側に向かって幅方向に曲げる際の力を小さくすることができる。
また、セパレータ部材120を保護管本体110内に挿入する際の挿入抵抗(摩擦抵抗)を小さくすることができる。
また、ケーブル保護管100を施工する際に、接続する保護管本体110の管端部同士の管軸O周りのねじれを容易に調整することができる。
その結果、セパレート部材120を小さな力で幅方向に曲げて容易かつ効率的に保護管本体110に挿入することができる。
【0062】
一実施形態に係るケーブル保護管100によれば、突起部(保持係合部)112が管軸Oを挟んで互いに180°反対側に形成されているので、保護管本体111の生産上の安定性が確保されるとともにケーブル保護管100を設置する際に上下方向に制限されるのを抑制することができる。
【0063】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態においては、セパレータ継手保持凸部(凸部)124に保護管本体110の径方向の外側に向かって開口する凹部126Uが形成されて被保持凹部(被保持係合部)123から仕切壁部121に向かって支持壁部122と同一肉厚の略U字形の壁部が形成されている場合について説明したが、セパレータ継手保持凸部(凸部)124に凹部126Uを形成するかどうか、凹部126Uに形態については任意に設定することが可能である。例えば、凹部126Uを形成せずに中実のセパレータ継手保持凸部(凸部)124を適用してもよいし、セパレータ継手保持凸部(凸部)124の肉厚を支持壁部122とは異なる肉厚に設定してもよい。
【0065】
また、上記実施形態においては、セパレータ部材120が、内径φ225mmの保護管本体110に適用される場合について説明したが、保護管本体の内径はφ225mmに限定されるものではなく、内径がφ225mmよりも大径であってもよいしφ225mmよりも小径であってもよい。
【0066】
また、上記実施形態においては、パレータ保持突起112Lとセパレータ保持突起112Rの内周面111における周方向位置が管軸Oを挟んで互いに180°反対側の形成されている場合について説明したが、パレータ保持突起112L、セパレータ保持突起112Rの内周面111における周方向位置については任意に設定することが可能である。
【0067】
また、上記実施形態においては、本発明を電話線等の通信ケーブル(ケーブル)150、160を地中10Aで保護するケーブル保護管100に適用する場合について説明したが、通信ケーブル150、160に代えて、例えば電力ケーブルを地中で案内するためのケーブル保護管に適用してもよい。
【0068】
また、上記実施形態においては、保護管本体110の保持係合部と、セパレータ部材120の被保持係合部が、セパレータ保持突起112と、被保持凹部123により構成される場合について説明したが、保持係合部、被保持係合部の形態は限定されるものではなく、例えば、セパレータ保持突起112、係合凹部123に代えて、凹形状部からなる保持係合部と、凸形状部からなる被保持係合部によって構成してもよい。
【0069】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した実施形態を適宜組み合わせて適用してもよい。
【符号の説明】
【0070】
100 ケーブル保護管
10S 内部空間
11S 上側管路(第1管路)
12S 下側管路(第2管路)
110 保護管本体
111 内周面
112、112L、112R セパレータ保持突起(保持係合部)
120 セパレータ部材
121 仕切壁部
121A 平面部
121B 傾斜部
122、122A、122B 支持壁部
123、123A、123B 被保持凹部(被保持係合部)
124、124L、124R セパレータ継手保持凸部(凸部)
125、125L、125R セパレータ継手保持凹部
126U 凹部
130 セパレータ継手
140 さや管
150、160 通信ケーブル(ケーブル)
図1
図2
図3
図4
図5