(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 11/24 20060101AFI20241009BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
A47L11/24
A47L9/28 E
(21)【出願番号】P 2019232275
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-08-03
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹木 宏格
(72)【発明者】
【氏名】室崎 貴大
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-534718(JP,A)
【文献】特開2016-107094(JP,A)
【文献】実開昭49-074053(JP,U)
【文献】特開2019-126520(JP,A)
【文献】特開2012-020489(JP,A)
【文献】特開2017-169613(JP,A)
【文献】特開2002-263042(JP,A)
【文献】特開2019-010581(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106798525(CN,A)
【文献】特開2009-201962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 11/24
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留可能な貯槽と、
拭き掃除部材を着脱可能な拭き掃除部材取付部と、
前記貯槽から前記拭き掃除部材へ前記液体を供給する供給部と、を備え、
前記供給部は、前記拭き掃除部材取付部で前記拭き掃除部材へ前記液体を供給する複数の供給口を有し、
前記複数の供給口は、
前進方向に重なることなく前記拭き掃除部材取付部の幅方向に
略等間隔を空けて、
前記前進方向へ向かって
凸状の非直線上に3つ以上並んでいる電気掃除機。
【請求項2】
前記複数の供給口は、前記拭き掃除部材取付部の幅方向における中央部で前記拭き掃除部材へ前記液体を供給する第一供給口を含む請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記複数の供給口は、前記拭き掃除部材取付部の前縁部よりも後方、かつ前記拭き掃除部材取付部の左右それぞれの側部で前記拭き掃除部材へ前記液体を供給する複数の第二供給口を含む請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記複数の供給口は、前記拭き掃除部材の前縁部、かつ前記拭き掃除部材取付部の左右それぞれの側部で前記拭き掃除部材へ前記液体を供給する複数の第三供給口を含む請求項1から3のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記拭き掃除部材取付部は、前記液体を
前記複数の供給口の供給箇所から前記拭き掃除部材取付部の幅方向へ導く第一導水部を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記拭き掃除部材取付部は、前記液体を
前記複数の供給口の供給箇所から放射状に広げる第二導水部を有する請求項1から5のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記拭き掃除部材は、前記液体を
前記複数の供給口の供給箇所から前記拭き掃除部材の幅方向へ広げるよう配向されて織られた繊維を含む請求項1から5のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記拭き掃除部材は、ポリエステルよりも吸水性の高い繊維を含む請求項1から7のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項9】
識別情報を記録し、かつ前記拭き掃除部材に設けられる識別子と、
前記識別子から前記識別情報を読み取り前記拭き掃除部材の真贋を識別する識別部と、を備える請求項1から8のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項10】
前記液体は、電解水である請求項1から9のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項11】
前記供給口よりも前側に位置して被掃除面へ前記液体を撒布する撒布用供給口を備える請求項1から10のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項12】
電気掃除機に取り付けられて被掃除面の拭き掃除に用いられる拭き掃除部材であって、
前記電気掃除機から供給される液体の供給箇所から、前記液体を前記電気掃除機の幅方向へ広げるよう配向されて織られた繊維を含む拭き掃除部材。
【請求項13】
ポリエステルよりも吸水性の高い繊維を含む請求項12に記載の拭き掃除部材。
【請求項14】
識別情報を記録する識別子を備える請求項12または13に記載の拭き掃除部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
スプレーノズルから洗浄液を清掃表面に塗布するとともに、清掃表面と接触するように保持されたパッドを用いて清掃表面を拭き掃除または磨き掃除する清掃ロボットが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗浄液を用いた拭き掃除または磨き掃除では、掃除場所の被掃除面を拭く部材(以下、「拭き掃除部材」という。)を、洗浄液で濡らし、湿らせる。
【0005】
しかしながら、単に洗浄液を拭掃除部材に供給すると、過度に湿っている部分があったり、湿り気が不十分な部分があったりして、拭掃除部材に湿り気の偏りが生じてしまう。そうすると、拭き掃除の効果にムラを生じてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、液体で拭き掃除部材を効率的に濡らして被掃除面をムラ無く拭き掃除可能な電気掃除機を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る電気掃除機は、液体を貯留可能な貯槽と、拭き掃除部材を着脱可能な拭き掃除部材取付部と、前記貯槽から前記拭き掃除部材へ前記液体を供給する供給部と、を備え、前記供給部は、前記拭き掃除部材取付部で前記拭き掃除部材へ前記液体を供給する複数の供給口を有し、前記複数の供給口は、前進方向に重なることなく、前記拭き掃除部材取付部の幅方向に略等間隔を空けて、前記前進方向へ向かって凸状の非直線上に3つ以上並んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る電気掃除機の斜視図。
【
図2】本発明の実施形態に係る電気掃除機の右側面図。
【
図3】本発明の実施形態に係る電気掃除機の底面図。
【
図4】本発明の実施形態に係る電気掃除機の第一例の第一供給部と、拭き掃除部との概略的な底面図。
【
図5】本発明の実施形態に係る電気掃除機の第二例の第一供給部と、拭き掃除部との概略的な底面図。
【
図6】本発明の実施形態に係る電気掃除機の第二例の第一供給部と、拭き掃除部との概略的な底面図。
【
図7】本発明の実施形態に係る電気掃除機の第三例の第一供給部と、拭き掃除部との概略的な底面図。
【
図8】本発明の実施形態に係る電気掃除機の第三例の第一供給部と、拭き掃除部との概略的な底面図。
【
図9】本発明の実施形態に係る電気掃除機の第四例の第一供給部と、拭き掃除部との概略的な底面図。
【
図10】本発明の実施形態に係る電気掃除機の第四例の第一供給部と、拭き掃除部との概略的な底面図。
【
図11】本発明の実施形態に係る電気掃除機の第一例の掃除部材取付部と、拭き掃除部との部分的、かつ概略的な底面図。
【
図12】本発明の実施形態に係る電気掃除機の第一例の掃除部材取付部と、拭き掃除部との部分的、かつ概略的な断面図。
【
図13】本発明の実施形態に係る電気掃除機の第二例の掃除部材取付部と、拭き掃除部との部分的、かつ概略的な底面図。
【
図14】本発明の実施形態に係る電気掃除機のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る電気掃除機の実施形態について
図1から
図14を参照して説明する。なお、複数の図面中、同一または相当する構成には同一の符号が付されている。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1、いわゆる自律型電気掃除機、ロボットクリーナーである。電気掃除機1は、本体5に搭載される二次電池6の電力を消費して自律で移動する。電気掃除機1は、走行することで居室内の掃除場所としての被掃除領域Aの被掃除面f、いわゆる床面を移動する。電気掃除機1は、被掃除領域Aの被掃除面fを動き回って掃除を行う。電気掃除機1は、被掃除領域Aを網羅的に移動して掃除を行う。電気掃除機1は、被掃除面fの掃除を終えると、ステーション7へ自律で帰還(「帰巣」とも言う。)して次の掃除運転を待機する。
【0012】
なお、電気掃除機1は、ステーション7に連結して収納しておくことが可能な非自律型、例えばキャニスター型、アップライト型、スティック型、またはハンディ型であってもよい。
【0013】
ステーション7は、被掃除領域Aの被掃除面fに設置することができる。ステーション7は、電気掃除機1を円滑に接続または離脱可能である。ステーション7は、いわゆる充電台の機能を有している。ステーション7は、商用交流電源から電力を導く電源コード8と、電源コード8を介して供給される交流電圧を直流電圧に変換して二次電池6を充電する充電回路9と、を備えている。
【0014】
ステーション7に帰還した電気掃除機1は、例えば、次の掃除運転を待機している最中に二次電池6を充電する。そのため、電気掃除機1は、使用者による充電の手間を省き、かつ使用者の求めによる突発的な掃除運転に対応できる。
【0015】
図2は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の右側面図である。
【0016】
図3は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の底面図である。
【0017】
なお、
図2および
図3の実線矢印Fは、電気掃除機1の前進方向を示している。
【0018】
図1に加えて、
図2および
図3に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、本体5と、本体5を移動させる移動部11と、本体5の下方の被掃除面fを掃除する掃除部12と、本体5の周囲の被検知物を検知する検知部13と、電気掃除機1の運転を制御する制御部15と、電気掃除機1の各部へ電力を供給する二次電池6と、を備えている。
【0019】
また、電気掃除機1は、本体5に設けられて液体、例えば水を貯留する貯槽16と、貯槽16に蓄えられている水を電気分解して電解水を生成する電解水生成装置17と、貯槽16に蓄えられている液体を本体5外へ供給する第一供給部18と、貯槽16に蓄えられている液体を本体5内へ供給する第二供給部19と、を備えている。つまり、電気掃除機1は、
【0020】
本体5は、例えば合成樹脂製の本体ケース21と、本体ケース21の側面に設けられるバンパー22と、を備えている。本体ケース21は、本体5の外殻である。バンパー22は、本体ケース21の側面に設けられている。
【0021】
本体5は、扁平な円柱形状、換言すると円盤形状を有している。平面視で実質的に円形の本体5は、他の形状に比べて旋回時の旋回半径を小さく抑制できる。なお、平面視において、本体5は、正方形のような形状であっても良いし、差渡しの幅が常に一定の定幅図形、例えばルーローの三角形(Reuleaux Triangle)のような形状であっても良い。
【0022】
本体ケース21と貯槽16とは、協働して平面視における本体5の外形線を画定している。本実施形態では、本体ケース21および貯槽16は、平面視において、弦で切り取られた円弧形の外形線を有している。本体ケース21の円弧形の外形線と、貯槽16の円弧形の外形線とが、それぞれの弦で組み合わさって本体5の円形の外形線を描く。本体5が円形以外の形状であっても同様に、本体ケース21の外形線と貯槽16の外形線とが組み合わさって本体5の外形線を描く。なお、貯槽16は、本体5を超信地旋回(spin turn、neutral turn、counter-rotation turn)させた際に本体ケース21の外形線が描く軌跡の内側に納まっていることが好ましい。
【0023】
本体ケース21の高さと貯槽16の高さとは、実質的に同じである。なお、本体ケース21の高さと貯槽16の高さとは、異なっていても良い。例えば、貯槽16の高さが本体ケース21の高さよりも高く、貯槽16が上方へ突出していても良い。また、貯槽16の高さが本体ケース21の高さよりも低く、貯槽16が凹没していても良い。さらに、貯槽16の高さが本体ケース21の高さよりも低く、貯槽16が本体ケース21の上面に搭載されていても良い。このような場合には、本体ケース21の上面は、貯槽16を搭載する部位と、その他の部位との間に段差を有していても良い。そして、貯槽16を本体ケース21に搭載した状態で、貯槽16の上面と本体ケース21の上面との高さは、実質的に一致していることが好ましい。
【0024】
移動部11は、複数の駆動輪26と、それぞれの駆動輪26を個別に駆動させる複数の電動機27と、駆動輪26とともに被掃除面f上の本体5を支える従動輪28と、を備えている。
【0025】
それぞれの駆動輪26は、本体5を移動させる力を被掃除面fへ伝える。それぞれの駆動輪26は、本体5の幅方向(左右幅方向)に延びる軸を回転中心として回転する。複数の駆動輪26は、少なくとも一対の駆動輪26を含んでいる。一対の駆動輪26の車軸は、実質的に同一線上に配置されている。電気掃除機1は、一対の駆動輪26により直進および旋回することができる。駆動輪26は、懸架装置(いわゆるサスペンション)によって被掃除面fに押さえつけられている。電気掃除機1は、駆動輪26に代えて、無限軌道を備えていても良い。
【0026】
それぞれの電動機27は、それぞれの駆動輪26を独立して駆動させる。電気掃除機1は、左右の駆動輪26を同じ方向へ回転させることによって直進(前進、または後退)し、左右の駆動輪26を異なる方向へ回転させることによって旋回(右旋回、または左旋回)する。また、電気掃除機1は、左右の駆動輪26の出力を上下させて前進、または後退の速度を調整したり、左右の駆動輪26の出力を相違させて旋回半径の大小を調整したりすることができる。
【0027】
従動輪28は、本体5の下部の幅方向の略中央部、かつ前部に配置されている。従動輪28は、例えばキャスターである。従動輪28は、電気掃除機1の前進、後退、および旋回に追従して向きを変え、電気掃除機1の移動を安定させる。なお、駆動輪26および従動輪28に支えられる電気掃除機1の重心は、一対の駆動輪26と従動輪28とがなす三角形の内側に配置されていることが好ましい。これにより、電気掃除機1は安定して移動することができる。
【0028】
掃除部12は、本体5の真下、およびその周囲の被掃除面fの塵埃を掃除する。掃除部12は、負圧を生じさせて被掃除面fの塵埃を吸引する吸込掃除部31と、本体5の下方の被掃除面fを拭き掃除もしくは磨き掃除する拭き掃除部32と、を含んでいる。
【0029】
吸込掃除部31は、本体5の底面に設けられる吸込口34と、吸込口34に配置される回転ブラシ35と、回転ブラシ35を回転駆動させるブラシ用電動機36と、本体5に設けられる集塵部としての塵埃容器37と、本体5内に収容されて塵埃容器37に流体的に接続される電動送風機38と、を備えている。
【0030】
なお、吸込口34から塵埃容器37を経て電動送風機38の吸込側に達する風路は、電動送風機38の吸込側に流体的に接続される吸込風路39である。吸込風路39は、吸込口34から塵埃容器37へ至る上流側風路39uと、塵埃容器37から電動送風機38へ至る下流側風路39dと、を備えている。
【0031】
また、電動送風機38の排気側から本体5の排気口に至る風路は、電動送風機38の吐出側に流体的に接続される排気風路41である。電動送風機38からの排気風は、排気風路41を経て本体5の外へ排気される。
【0032】
吸込口34は、電動送風機38が発生させる負圧によって空気とともに塵埃を吸い込む。吸込口34は、拭き掃除部32よりも前進方向Fの前側に配置されている。吸込口34は、本体5の幅方向に延びている。換言すると、吸込口34の左右方向の開口幅は、吸込口34の前後方向の開口幅よりも大きい。本体5の底面が自律移動時に被掃除面fに対向し、対面しているため、吸込口34は、被掃除面f上の塵埃、または回転ブラシ35が被掃除面fから掻き上げた塵埃を容易に吸い込むことができる。
【0033】
回転ブラシ35の回転中心線は、電気掃除機1の幅方向に向けられている。回転ブラシ35は、電気掃除機1を被掃除面f上に移動可能な状態で置いたとき、被掃除面fに接触する。そのため、回転駆動する回転ブラシ35は、被掃除面f上の塵埃を掻き上げる。掻き上げられた塵埃は、吸込口34へ効率的に吸い込まれる。
【0034】
ブラシ用電動機36は、回転ブラシ35を正転、または逆転させる。回転ブラシ35の正転方向は、前進時に電気掃除機1の推進力を補助する回転方向である。回転ブラシ35の逆転方向は、後退時に電気掃除機1の推進力を補助する回転方向である。
【0035】
塵埃容器37は、吸込風路39の一部である。塵埃容器37は、電動送風機38が発生させる吸込負圧によって吸込口34から吸い込まれる塵埃を蓄積する。塵埃容器37は、塵埃を濾過捕集するフィルターや、遠心分離(サイクロン分離)や直進分離(直進する空気と塵埃との慣性力の差で塵埃と空気とを分離する分離方式)などの慣性分離によって塵埃を蓄積する分離装置である。塵埃容器37は、本体5へ着脱可能である。塵埃容器37は、開閉可能な蓋を有している。使用者は、本体5から塵埃容器37を取り外し、塵埃容器37の蓋を開いて塵埃容器37に蓄積された塵埃を容易に廃棄したり、塵埃容器37を清掃したり、洗浄したりすることができる。
【0036】
電動送風機38は、二次電池6の電力を消費して駆動する。電動送風機38は、塵埃容器37から空気を吸い込んで吸込負圧を生じさせる。塵埃容器37に発生した負圧は、吸込口34に作用する。本体5は、電動送風機38の排気を、本体5の外側へ流出させる排気口を有している。
【0037】
拭き掃除部32は、本体5の底部であって、吸込口34よりも後方に配置されている。
【0038】
電気掃除機1の前進方向(
図2中の実線矢印F)において、吸込口34と拭き掃除部材43とは前後に並び、かつ吸込口34は拭き掃除部材43より前側に配置されている。つまり、拭き掃除部材43は、吸込口34より後ろ側に配置されている。したがって、電気掃除機1が前進すると、吸込口34は拭き掃除部材43よりも先行して移動する。そのため、拭き掃除部32は、吸込掃除部31によって塵埃が除去された後の被掃除面を拭き掃除する。
【0039】
拭き掃除部32は、例えば、本体5の下方の被掃除面fを拭き掃除または磨き掃除する。拭き掃除部32は、拭き掃除部材43を着脱可能な拭き掃除部材取付部45と、拭き掃除部材43と、を備えている。
【0040】
拭き掃除部材取付部45は、面ファスナーを利用してシート状の拭き掃除部材43を貼り付けたり、シート状の拭き掃除部材43を巻き付けたり、拭き掃除部材43の一部を差込口に差し込んだりして固定する基台である。拭き掃除部材取付部45は、電気掃除機1を被掃除面fに置いた状態で拭き掃除部材43を被掃除面fに接触させる。拭き掃除部材取付部45自体も、電気掃除機1から着脱可能であっても良い。
【0041】
拭き掃除部材43は、例えば織布、または不織布等の繊維材料製の拭き掃除シートである。拭き掃除部材43は、例えばワイパーシートや、ダスタークロス、雑巾、モップ(柄の部分を除いた先端の繊維の塊)など、吸湿性を有する種々の掃除用具である。拭き掃除部材43の材料は、綿などの天然繊維、セルロースなどの再生繊維、ポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46などのポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維などの合成繊維である。拭き掃除部材43は、スポンジであっても良い。また、拭き掃除部材43は、高吸水性高分子(Superabsorbent polymer、SAP)製の部材を一体に有していても良い。高吸水性高分子は、いわゆる吸収性ポリマー、高吸水性樹脂、高分子吸収体である。高吸水性高分子製の部材を一体に有する拭き掃除部材43は、より多量の電解水を保水できる。
【0042】
拭き掃除部材43は、拭き掃除部材取付部45の底面に着脱することができる。電気掃除機1を被掃除面f上に移動可能な状態で置いたとき、拭き掃除部32は、被掃除面fに接触する。拭き掃除部32は、駆動輪26が被掃除面fで空転しない程度の圧力で、被掃除面fに押し当てられていることが好ましい。拭き掃除部32と本体5の底面との間には、発泡樹脂などの弾性部材が設けられている。この弾性部材は、拭き掃除部32を被掃除面fに均一の圧力で押し当てる。
【0043】
また、拭き掃除部材43は、電解水を本体5外へ供給する第一供給部18の一態様でもある。拭き掃除部材43は、電解水生成装置17から供給される電解水で湿った状態で、被掃除面fを水拭きする。
【0044】
さらに、電解水を、拭き掃除部材43を介さずに被掃除面fへ供給する場合には、拭き掃除部材43は、被掃除面fに撒布された電解水を拭き取ることもできる。
【0045】
つまり、拭き掃除部材43は、電解水を含んで湿り、被掃除面fに電解水を塗布する、いわゆる水拭きの用途で用いることも可能であり、被掃除面fに撒布された電解水を拭き取る、いわゆる乾拭きの用途で用いることも可能である。換言すると、電気掃除機1は、移動にともなって次亜塩素酸を含む電解水を被掃除面fに撒布または塗布し、被掃除面fを除菌する。
【0046】
拭き掃除部材43による拭き掃除が乾拭き、および水拭きのいずれになるのかは、電解水生成装置17から被掃除面fへ撒布される電解水の量、および電解水生成装置17から拭き掃除部材43へ供給される電解水の量に依存する。例えば床面に撒布される電解水の供給量が微量であれば、電解水は拭き掃除部材43を湿らせる以前に蒸発してしまう。このような場合には、拭き掃除部材43による乾拭きが継続する。床面に撒布される電解水の供給量が多量であれば、電解水は蒸発しきらずに拭き掃除部材43を湿らせる。このような場合には、拭き掃除部材43による乾拭きは、いずれ乾拭きから水拭きへ移行する。
【0047】
検知部13は、本体5の移動にともなって本体5に近づく被検知物、または本体5に接触する被検知物を検知する。検知部13は、本体5に設けられて電気掃除機1の周囲の画像を撮影するカメラ部51と、本体5に設けられて本体5が電気掃除機1以外の物体、つまり被検知物に接近したことを検知する近接検知部52と、本体5に設けられて本体5が電気掃除機1以外の物体、つまり被検知物に接触したことを検知する接触検知部53と、を含んでいる。
【0048】
カメラ部51は、本体5の正面に設けられて、電気掃除機1の前方、つまり前進時の走行方向を撮影する。
【0049】
電気掃除機1は、カメラ部51に代えて、または加えて、ステレオカメラとは異なる原理によって撮影範囲における奥行きの情報を得る距離測定装置55を備えていても良い。
【0050】
近接検知部52は、例えば赤外線センサーや、超音波センサーである。赤外線センサーを利用する近接検知部52は、赤外線を発する発光素子と、光を受けとって電気信号に変換する受光素子と、を備えている。近接検知部52は、発光素子から赤外線を放ち、被検知物で反射される赤外線を受光素子で受光して電力に変換し、変換された電力が一定以上になると、被検知物が一定距離内に近づいたことを、本体5が被検知物に接触する以前に検知する。超音波センサーを利用する近接検知部52は、赤外線に代えて超音波を利用して被検知物を検知する。
【0051】
接触検知部53は、いわゆるバンパーセンサーである。接触検知部53は、移動する本体5が被検知物に接触した際に、本体5への衝撃を緩和するバンパー22に連動している。バンパー22は、被検知物に接触した際に、本体5の内側へ向かって押し込まれるように変位または移動する。接触検知部53は、このバンパー22の変位または移動を検知して本体5が被検知物に接触したことを検知する。接触検知部53は、例えばバンパー22の変位または移動によって入り、切りされるマイクロスイッチ、またはバンパー22の変位量または移動量を非接触で測定する赤外線センサーや、超音波センサーを含んでいる。
【0052】
二次電池6は、移動部11、掃除部12、検知部13、制御部15、および電解水生成装置17の電源部57を含む電気掃除機1の各部で消費される電力を蓄えている。二次電池6は、移動部11、掃除部12、検知部13、および制御部15を含む電気掃除機1の各部へ電力を供給する。二次電池6は、例えばリチウムイオン電池であり、充放電を制御する制御回路を有している。この制御回路は、二次電池6の充放電に関する情報を制御部15へ出力している。
【0053】
貯槽16は、水や、塩水のような水溶液を貯留する容器である。貯槽16に貯留される水は、水道水でよい。貯槽16は、給水の利便性を高めるために、本体5に着脱可能であることが好ましい。貯槽16は、開閉可能な蓋を備えている。貯槽16は、蓋を開いて水や塩水を容易に給水できる。
【0054】
電解水生成装置17は、例えば、水を電気分解してオゾンが溶解された電解水を生成したり、塩水を電気分解して次亜塩素酸(HClO、Hypochlorous Acid)が溶解された電解水を生成したりする。日本では水道法の定めにより、家庭で容易に入手可能な水道水には、塩素が含まれている。日本の水道法では、水道水の塩素の濃度は、10分の1ppm(質量百万分率、ミリグラム毎リットル)以上に定められている(水道法第22条に基づく水道法施行規則(厚生労働省令)第17条第3号)。電解水生成装置17は、日本の水道水のように塩素が含まれる水、または塩化物を解かした水溶液を電気分解することで次亜塩素酸を含む電解水を容易に生成できる。塩化物は、例えば一般家庭で入手が容易な塩で良い。つまり塩化物を解かした水溶液は、塩水で良い。電解水生成装置17は、正極および負極を含む複数の電極61と、二次電池6から供給される電力で複数の電極61に直流電力を供給する電源部57と、を備えている。
【0055】
電解水生成装置17の電極61には、水に溶け出しにくい材料、例えばチタンや白金が用いられる。電気分解を促進するために、電極61には、イリジウム、白金、ルテニウムなどの白金族の金属、またはその酸化物が担持されていても良い。電解水には、過酸化水素、活性酸素、OHラジカルなどの化学種が生成される。電極61は、貯槽16内に設けられている。電極61は、電源部57から供給される直流電流を水に印加する。
【0056】
電源部57は、二次電池6から供給される直流電力の電圧を適宜に調整して電極61へ印可する。
【0057】
電解水生成装置17は、正極と負極との間に仕切のない1室型であっても良いし、正極と負極との間に仕切を有する2室型、および3室型を含む多室型であっても良い。1室型の電解水生成装置17は、正極側に生成される酸性イオン水と負極側に生成されるアルカリ性イオン水とを中和して、適宜の濃度の次亜塩素酸を含む電解水を生成する。他方、多室型の電解水生成装置17は、正極を収容する部屋に酸性イオン水を生成し、負極を収容する部屋にアルカリ性イオン水を生成する。
【0058】
なお、多室型の電解水生成装置17は、酸性イオン水とアルカリ性イオン水との使用量が不均一になって、いずれか残留した方のイオン水を処分する負担が生じる場合がある。1室型の電解水生成装置17は、多室型のように残留した方のイオン水を処分する負担が生じず、多室型に比べて使用者の利便に適う場合がある。
【0059】
ところで、発明者らは、被掃除面fへ10分の1マイクロリットル毎平方センチメートル以上の供給量で、次亜塩素酸の濃度が5ppm以上の電解水を拡散、あるいは撒布することで、被掃除面fを除菌できることを見出した。そこで、電解水生成装置17は、塩素の濃度が10分の1ppm以上の水、つまり日本の水道法において水道水に適合する水を電気分解して次亜塩素酸の濃度が5ppm以上の電解水を生成する能力を有している。なお、水道水の塩素濃度が低いために、水道水を電気分解しても次亜塩素酸濃度5ppm以上の電解水を生成することが困難な場合には、水道水に塩化物、例えば塩を溶かせば良い。
【0060】
電気掃除機1は、電解水生成装置17を備えていなくても良い。つまり、電気掃除機1は、生成済みの電解水を貯槽16に溜めて、被掃除領域Aの除菌に利用するものであっても良い。
【0061】
第一供給部18は、被掃除面fへ10分の1マイクロリットル毎平方センチメートル以上の供給量で電解水を拡散可能なよう、あるいは撒布可能なように電解水を供給する。第一供給部18は、拭き掃除部材43および被掃除面fの少なくともいずれか一方へ電解水を供給する。第一供給部18は、貯槽16から電解水を導く配管62と、貯槽16から拭き掃除部材43へ電解水を供給する第一供給機構部65と、貯槽16から被掃除面fへ電解水を供給する第二供給機構部66と、を備えている。
【0062】
第一供給機構部65は、拭き掃除部材43へ直接に電解水を供給して拭き掃除部材43を湿らせる一方、第二供給機構部66は、被掃除面fに電解水を撒き、被掃除面fを介して拭き掃除部材43へ間接に電解水を供給して拭き掃除部材43を湿らせることができる。
【0063】
第一供給機構部65は、拭き掃除部材43の裏面へ電解水を供給する湿潤用供給口71と、配管62の途中に設けられて湿潤用供給口71への電解水の供給と供給の遮断とを行う第一開閉弁72と、を備えている。
【0064】
湿潤用供給口71は、複数あっても良い。例えば、湿潤用供給口71は、本体5の幅方向、つまり拭き掃除部材43の幅方向に列をなして並んでいる。このように並ぶ湿潤用供給口71は、拭き掃除部材43の広い範囲を電解水で湿らせることができる。また、湿潤用供給口71は、本体5の幅方向に延びる長辺を有する細長く扁平な開口であっても良い。
【0065】
第一開閉弁72は、いわゆる電磁弁である。第一供給機構部65は、第一開閉弁72を開くことで貯槽16内の電解水の水位と湿潤用供給口71との高低差、つまり水頭差で電解水を供給する。第一供給機構部65は、第一開閉弁72に代えて、貯槽16内の電解水を汲み上げるポンプを備えていても良い。また、第一供給機構部65は、単に貯槽16内の電解水を流出させる流路、例えば細管やオリフィスであっても良い。このような場合には、細管の内径、あるいはオリフィス径は、電解水の所要の供給量(単位時間あたりの供給量)を得るために、適宜、好適に設定される。
【0066】
第二供給機構部66は、被掃除面fへ電解水を撒布する撒布用供給口73と、配管62の途中に設けられて撒布用供給口73への電解水の供給と供給の遮断とを行う第二開閉弁74と、を備えている。
【0067】
撒布用供給口73は、例えば電解水を撒布可能なノズルである。吸込口34と拭き掃除部材43との間に挟まれる被掃除面fへ電解水を供給する。換言すると、第一供給部18は、電気掃除機1の進行方向において拭き掃除部材43および拭き掃除部材取付部45よりも前側に位置する撒布用供給口73から吸込口34と拭き掃除部材43との間に挟まれる被掃除面fへ電解水を供給する。
【0068】
撒布用供給口73は、複数あっても良い。例えば、撒布用供給口73は、本体5の幅方向、つまり拭き掃除部材43の幅方向に列をなして並んでいる。このように並ぶ撒布用供給口73は、本体5の進行にともなって、より広い範囲に電解水を撒布する。また、撒布用供給口73は、本体5の幅方向に延びる長辺を有する細長く扁平なノズルであっても良い。
【0069】
第二開閉弁74は、いわゆる電磁弁である。第二供給機構部66は、第二開閉弁74を開くことで貯槽16内の電解水の水位と撒布用供給口73との高低差、つまり水頭差で電解水を供給する。第二供給機構部66は、第二開閉弁74に代えて、貯槽16内の電解水を汲み上げるポンプを備えていても良い。また、第二供給機構部66は、単に貯槽16内の電解水を流出させる流路、例えば細管やオリフィスであっても良い。このような場合には、細管の内径、あるいはオリフィス径は、電解水の所要の供給量(単位時間あたりの供給量)を得るために、適宜、好適に設定される。
【0070】
また、第一供給部18は、貯槽16から本体5の周囲の雰囲気へ電解水を供給する第三供給機構部67を備えている。第三供給機構部67は、電解水を霧状にして本体5の周囲の雰囲気へ供給する第一霧化装置75と、電解水を第一霧化装置75へ導く第一導水経路76と、を備えている。
【0071】
第一霧化装置75は、貯槽16の頂部に設けられている。第一霧化装置75は、貯槽16の頂部から、本体5の周囲の雰囲気へ霧化した電解水を拡散、あるいは撒布する。
【0072】
第一霧化装置75は、電解水を加熱して霧化させる加熱式、電解水を超音波で振動させて霧化させる超音波式、ベンチュリー効果を用いたスプレー、例えば霧吹きで電解水を霧化させる方式、コロナ放電を利用して電解水を霧化させる静電霧化、高速回転させたプロペラなどによって電解水を拡散させて水分子を破砕する水破砕式など、種々の霧化方式を利用する。いずれの方式においても、第一霧化装置75は、直径100マイクロメートル以下の微粒子を含むように電解水を霧化し、より好ましくは直径10マイクロメートル以下の微粒子を含むように電解水を霧化する。
【0073】
第一導水経路76は、貯槽16内の電解水を、例えば毛細管現象で吸い上げる縄や索である。
【0074】
第二供給部19は、貯槽16に蓄えられている電解水を吸込風路39へ供給する。第二供給部19は、吸込口34と塵埃容器37とを繋ぐ上流側風路39uへ供給しても良いし、貯槽16に蓄えられている電解水を塵埃容器37へ供給しても良いし、塵埃容器37と電動送風機38とを繋ぐ下流側風路39dへ供給しても良い。換言すると、第二供給部19は、貯槽16に蓄えられている電解水を吸込口34と塵埃容器37とを繋ぐ上流側風路39u、塵埃容器37の内部、および塵埃容器37と電動送風機38とを繋ぐ下流側風路39dの少なくとも1つへ供給する。
【0075】
第二供給部19は、電解水を気化させて電解水を吸込口34と塵埃容器37とを繋ぐ上流側風路39u、塵埃容器37の内部、および塵埃容器37と電動送風機38とを繋ぐ下流側風路39dの少なくとも1つへ供給する。そこで、第二供給部19は、電解水を霧状にして上流側風路39u、塵埃容器37、および塵埃容器37と電動送風機38とを繋ぐ下流側風路39dの少なくとも1つへ供給する第二霧化装置77と、貯槽16から第二霧化装置77へ電解水を導く第二導水経路78と、を備えている。
【0076】
第二霧化装置77は、上流側風路39u自体、または上流側風路39uに繋がる空間に露出していても良いし、塵埃容器37自体、または塵埃容器37に繋がる空間に露出していても良いし、下流側風路39d自体、または下流側風路39dに繋がる空間に露出していても良い。第二霧化装置77は、上流側風路39u、塵埃容器37、下流側風路39dの少なくとも1つへ霧化した電解水を拡散、あるいは撒布する。
【0077】
ここで、「上流側風路39uに繋がる空間」、「塵埃容器37に繋がる空間」および「下流側風路39dに繋がる空間」は、電動送風機38が生じさせる吸込負圧が作用して空気の流動が十分に生じる部分を含み、また、電動送風機38が生じさせる吸込負圧が作用する一方で、吸込負圧による空気の流動が十分に生じずに流れの淀む部分を含む。
【0078】
第二霧化装置77は、電解水を加熱して霧化させる加熱式、電解水を超音波で振動させて霧化させる超音波式、ベンチュリー効果を用いたスプレー、例えば霧吹きで電解水を霧化させる方式、コロナ放電を利用して電解水を霧化させる静電霧化、高速回転させたプロペラなどによって電解水を拡散させて水分子を破砕する水破砕式など、種々の霧化方式を利用する。いずれの方式においても、第二霧化装置77は、直径100マイクロメートル以下の微粒子を含むように電解水を霧化し、より好ましくは直径10マイクロメートル以下の微粒子を含むように電解水を霧化する。
【0079】
第二導水経路78は、例えば貯槽16と第二霧化装置77とを繋ぐ配管であっても良いし、貯槽16内の電解水を、例えば毛細管現象で吸い上げて第二霧化装置77へ導く縄や索であっても良い。
【0080】
なお、第二供給部19は、第二霧化装置77に代えて、または加えて、吸込口34と塵埃容器37とを繋ぐ上流側風路39u、塵埃容器37の内部、および塵埃容器37と電動送風機38とを繋ぐ下流側風路39dの少なくとも1つで電解水を気化させる保水体79を備えていても良い。
【0081】
保水体79は、第二霧化装置77と同じ、または異なる導水経路を介して貯槽16に繋がれている。保水体79は、導水経路を通じて供給される電解水を吸って、電解水で湿気を帯びる。保水体79の一部は、貯槽16と保水体79とを繋ぐ導水経路を通る電解水に接触している。保水体79の一部は、貯槽16内の電解水に、導水経路を介すことなく直接的に接触していても良い。保水体79の他部は、上流側風路39u自体、または上流側風路39uに繋がる空間に露出していても良いし、塵埃容器37自体、または塵埃容器37に繋がる空間に露出していても良いし、下流側風路39d自体、または下流側風路39dに繋がる空間に露出していても良い。
【0082】
保水体79は、その吸水性によって電解水を保持する。また、保水体79は、その吸水性によって貯槽16と保水体79とを繋ぐ導水経路の電解水を吸い取る。つまり、電気掃除機1は、吸水性を有する部材を電解水に接触させることで、吸込口34と塵埃容器37とを繋ぐ上流側風路39u、塵埃容器37の内部、および塵埃容器37と電動送風機38とを繋ぐ下流側風路39dの少なくとも1つへ電解水を供給する。保水体79は、電解水の供給場所(上流側風路39u、塵埃容器37、または下流側風路39d)が貯槽16よりも高い位置にあっても、毛細管現象によって液体を吸い上げて移動させることができる。保水体79の吸水性の程度や大きさを変えることによって、吸い上げる力と高さとを調節し、過供給を避けることが可能である。なお、保水体79は、貯槽16よりも下方に配置されていても良い。この場合には、電解水は水頭差によって保水体79へ容易に供給される。
【0083】
保水体79は、例えば織布、または不織布である。保水体79の材料は、綿などの天然繊維、セルロースなどの再生繊維、ポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46などのポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維などの合成繊維である。保水体79は、スポンジであっても良い。また、保水体79は、高吸水性高分子(Superabsorbent polymer、SAP)製の部材を一体に有していても良い。高吸水性高分子製の部材を一体に有する保水体79は、より対象の電解水を保水できる。
【0084】
電解水の気化は、吸込風路39内の気体の蒸気圧が飽和蒸気圧になるまで進行する。気化した電解水は、吸込風路39を通じて塵埃容器37に達し、塵埃容器37に蓄積される塵埃を除菌する。
【0085】
保水体79は、上流側風路39uおよび塵埃容器37の内部の空気の流れによって電解水を気化させて、塵埃容器37へ電解水を供給することができる。空気の流れによって気化した電解水は、塵埃容器37に蓄積される塵埃を除菌する。また、電解水の一部は、吸込負圧によって塵埃容器37を通過し、電動送風機38に達して電動送風機38の排気を除菌する。また、保水体79は、下流側風路39dの空気の流れによって電解水を気化させて、塵埃容器37を通過し、電動送風機38に達して電動送風機38の排気を除菌する。また、保水体79は、電動送風機38が停止している状態で、上流側風路39u、塵埃容器37の内部、下流側風路39dで電解水を気化させて、塵埃容器37へ電解水を供給することができる。気化した電解水は、吸込風路39内で拡散して塵埃容器37に蓄積される塵埃を除菌する。
【0086】
第二供給部19を下流側風路39dに設ける場合には、電動送風機38が駆動している状態で電解水を気化させることによって、電動送風機38の排気を除菌することができる。換言すると、第二供給部19を下流側風路39dに設ける場合には、電動送風機38が駆動している最中、電気掃除機1から吹き出る排気を除菌するために、気化した電解水の全量を使用し、かつ電動送風機38が停止している状態で、塵埃容器37に蓄積される塵埃を除菌することができる。
【0087】
他方、第二供給部19を上流側風路39uまたは塵埃容器37に設ける場合には、第二供給部19は、吸込風路39内の空気の流れによって電解水を気化させて、塵埃容器37へ電解水を供給することができる。吸込風路39内の空気の流れによって気化した電解水は、塵埃容器37に蓄積される塵埃を除菌する。また、塵埃容器37に達した電解水の一部は、吸込負圧によって塵埃容器37を通過し、電動送風機38に達して電動送風機38の排気を除菌する。
【0088】
電気掃除機1は、吸込風路39に設けられて、吸込負圧で吸込風路39に吸い込まれた電解水(水分)を吸収する吸湿部80を備えている。吸湿部80は、電解水が吸込風路39に吸い込まれた場合には、電動送風機38に達する前に、電解水を吸収して、電動送風機38へ電解水が達することを防ぐ。吸湿部80は、例えば織布、または不織布である。吸湿部80の材料は、綿などの天然繊維、セルロースなどの再生繊維、ポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46などのポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維などの合成繊維である。吸湿部80は、スポンジであっても良い。また、吸湿部80は、高吸水性高分子(Superabsorbent polymer、SAP、いわゆる吸収性ポリマー、高吸水性樹脂、高分子吸収体)製の部材を一体に有していても良い。高吸水性高分子製の部材を一体に有する吸湿部80は、より多量の電解水を保水できる。
【0089】
吸湿部80は、吸込風路39の上流側風路39uに設けられていても良いし、下流側風路39dに設けられていても良い。吸湿部80は、塵埃容器37内に設けられていても良い。吸湿部80は、第二霧化装置77および保水体79よりも空気の流れの下流側に設けられていれば良い。つまり、吸湿部80は、吸込風路39において第二霧化装置77および保水体79よりも電動送風機38に近い。吸湿部80は、吸込風路39に吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離する塵埃容器37のフィルターを兼ねていても良い。
【0090】
次いで、第一供給部18について詳細に説明する。なお、各例で説明する第一例の第一供給部18A(以下、単に「第一供給部18A」と言う。)、第二例の第一供給部18B(以下、単に「第一供給部18B」と言う。)、第三例の第一供給部18C(以下、単に「第一供給部18C」と言う。)、および、第四例の第一供給部18D(以下、単に「第一供給部18D」と言う。)において、同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0091】
図4は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の第一例の第一供給部と、拭き掃除部との概略的な底面図である。
【0092】
図4に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の第一例の第一供給部18Aは、少なくとも1つの湿潤用供給口71Aを有している。湿潤用供給口71Aは、拭き掃除部材取付部45の前縁部45aで拭き掃除部材43へ電解水を供給する第一供給口82aを有している。なお、
図4中の実線矢印Fは、電気掃除機1の前進方向であって、拭き掃除部材取付部45、および拭き掃除部材43の前進方向である。
【0093】
第一供給口82aは、拭き掃除部材取付部45の幅方向における中央部で拭き掃除部材43へ電解水を供給する。拭き掃除部材取付部45の幅方向における中央部は、本体5の中央部に一致していることが好ましい。
【0094】
なお、電気掃除機1は、湿潤用供給口71Aに代えて、第二供給機構部66の撒布用供給口73から拭き掃除部材取付部45の前縁部45aよりも前側の被掃除面fへ電解水を供給して、拭き掃除部材取付部45の前縁部45aを湿らせても良い。
【0095】
第一供給部18Aから供給される単位時間あたりの電解水の量は、拭き掃除部材43を湿らせるに十分であり、かつ拭き掃除部材43が通過した後に被掃除面fに水滴や水たまりのように多量の電解水が残留しないよう調整されることが好ましい。
【0096】
前進中の電気掃除機1は、拭き掃除部材43を被掃除面fに接触させている。拭き掃除部材43において、被掃除面fに確実に接触している部分は、拭き掃除部材取付部45と被掃除面fとの間に挟まれた部分である。この拭き掃除部材取付部45と被掃除面fとの間に挟まれた、拭き掃除部材43の部分を、拭き掃除寄与部85と呼ぶ。拭き掃除寄与部85の最大範囲は、被掃除面fへの拭き掃除部材取付部45の投影形状であり、拭き掃除寄与部85は、拭き掃除部材取付部45の投影形状より小さくても良い。
【0097】
そのため、拭き掃除部材取付部45の前縁部45aで拭き掃除部材43へ供給される電解水は、拭き掃除寄与部85の前縁部を即座に湿らせる。この拭き掃除寄与部85の前縁部の湿り気は、電気掃除機1の前進にともなって、拭き掃除部材43の後方へ拡がってゆく。
【0098】
また、拭き掃除部材取付部45の幅方向における中央部で拭き掃除部材43へ供給される電解水は、拭き掃除寄与部85の前縁中央部を即座に湿らせる。この拭き掃除寄与部85の前縁中央部の湿り気は、電気掃除機1の前進にともなって、拭き掃除部材43の後方へ拡がってゆく。
【0099】
このとき、未だ濡れていない拭き掃除部材43の部分は、余分な電解水を被掃除面fから拭き取る。
【0100】
このように、第一例の第一供給部18Aは、拭き掃除寄与部85の前縁部、または前縁中央部を即座に湿らせることが可能であって、電解水で拭き掃除部材43を効率的に濡らして被掃除面fをムラ無く拭き掃除できる。
【0101】
図5および
図6は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の第二例の第一供給部と、拭き掃除部との概略的な底面図である。
【0102】
図5および
図6に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の第二例の第一供給部18Bは、複数の湿潤用供給口71Bを有している。複数の湿潤用供給口71Bは、第一例の湿潤用供給口71Aのような第一供給口82aに加えて、拭き掃除部材取付部45の前縁部45aよりも後方、かつ拭き掃除部材取付部45の左右それぞれの側部45bで拭き掃除部材43へ電解水を供給する複数の第二供給口82bを含んでいる。
【0103】
複数の湿潤用供給口71Bは、
図5に示されるように、電気掃除機1の後方へ向かって開くU文字形状や、
図6に示されるように、電気掃除機1の後方へ向かって開くV文字形状に配列されている。これら湿潤用供給口71Bの配列は、第一供給口82aと、第二供給口82bと、を含んでいる。第一供給口82aを頂点として、複数の第二供給口82bが電気掃除機1の後方へ向かって実質的に左右対称に配列されている。つまり、拭き掃除部材取付部45の前縁部45aから離れた箇所に配置されている第二供給口82bほど、拭き掃除部材取付部45の左右それぞれの側部45bに近い。
【0104】
換言すると、複数の湿潤用供給口71Bは、拭き掃除部材取付部45の前縁部45aよりも後方、かつ拭き掃除部材取付部45を幅方向へ二分する中心線Cから拭き掃除部材取付部45の左右それぞれの縁部へ向かって離れた箇所で拭き掃除部材43へ電解水を供給する。
【0105】
第一供給部18Bから供給される単位時間あたりの電解水の量は、拭き掃除部材43を湿らせるに十分であり、かつ拭き掃除部材43が通過した後に被掃除面fに水滴や水たまりのように多量の電解水が残留しないよう調整されることが好ましい。
【0106】
拭き掃除部材取付部45の前縁部45aの中央部で、第一供給口82aから拭き掃除部材43へ供給される電解水は、拭き掃除寄与部85の前縁中央部を即座に湿らせる。この拭き掃除寄与部85の前縁中央部の湿り気は、電気掃除機1の前進にともなって、拭き掃除部材43の後方へ拡がってゆく。
【0107】
また、拭き掃除部材取付部45の前縁部45aよりも後方、かつ拭き掃除部材取付部45の左右それぞれの側部45bで、第二供給口82bから供給される電解水は、拭き掃除寄与部85の側部の広範囲を即座に湿らせる。この拭き掃除寄与部85の側部の湿り気は、電気掃除機1の前進にともなって、拭き掃除部材43の後方へ拡がってゆく。
【0108】
このように、第二例の第一供給部18Bは、拭き掃除寄与部85の前縁中央部、および側部の広範囲を即座に湿らせることが可能であって、電解水で拭き掃除部材を効率的に濡らして被掃除面fをムラ無く拭き掃除できる。
【0109】
なお、第一供給口82aおよび複数の第二供給口82bの間隔は、それぞれの供給口82a、82bから拭き掃除部材43へ供給する電解水の湿潤範囲が切れ目なく、一連に繋がるように設定されていることが好ましい。電解水の湿潤範囲は、拭き掃除部材43の素材や編み方によって異なるので、拭き掃除部材43の特性に応じて適宜に設定される。
【0110】
図7および
図8は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の第三例の第一供給部と、拭き掃除部との概略的な底面図である。
【0111】
図7および
図8に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の第三例の第一供給部18Cは、複数の湿潤用供給口71Cを有している。複数の湿潤用供給口71Cは、第二例の湿潤用供給口71Bのような第二供給口82bに加えて、拭き掃除部材43の前縁部45a、かつ拭き掃除部材取付部45の左右それぞれの側部45bで拭き掃除部材43へ電解水を供給する複数の第三供給口82cを含んでいる。
【0112】
複数の湿潤用供給口71Cは、
図7に示されるように、電気掃除機1の前方へ向かって開くU文字形状や、
図8に示されるように、電気掃除機1の前方へ向かって開くV文字形状に配列されている。これら湿潤用供給口71Cの配列は、複数の第三供給口82cと、複数の第二供給口82bと、を含んでいる。左右一対の第三供給口82cを端点として、複数の第二供給口82bが電気掃除機1の後方へ向かって実質的に左右対称に配列されている。つまり、拭き掃除部材取付部45の前縁部45aから離れた箇所に配置されている第二供給口82bほど、拭き掃除部材取付部45を幅方向へ二分する中心線Cに近い。複数の第二供給口82bは、拭き掃除部材43の前縁部45aより後方であり、かつ拭き掃除部材取付部45の幅方向における中央部にも配置されていて良い。
【0113】
第一供給部18Cから供給する単位時間あたりの電解水の量は、拭き掃除部材43を湿らせるに十分であり、かつ拭き掃除部材43が通過した後に被掃除面fに水滴や水たまりのように多量の電解水が残留しないよう調整されることが好ましい。
【0114】
拭き掃除部材取付部45の前縁部45aの端部で、第三供給口82cから拭き掃除部材43へ供給される電解水は、拭き掃除寄与部85の前縁端部を即座に湿らせる。この拭き掃除寄与部85の前縁端部の湿り気は、電気掃除機1の前進にともなって、拭き掃除部材43の後方へ拡がってゆく。
【0115】
また、拭き掃除部材取付部45の前縁部45aよりも後方、かつ拭き掃除部材取付部45の左右それぞれの側部45bで、第二供給口82bから供給される電解水は、拭き掃除寄与部85の側部の広範囲を即座に湿らせる。この拭き掃除寄与部85の側部の湿り気は、電気掃除機1の前進にともなって、拭き掃除部材43の後方へ拡がってゆく。
【0116】
このように、第三例の第一供給部18Cは、拭き掃除寄与部85の前縁端部、および側部の広範囲を即座に湿らせることが可能であって、電解水で拭き掃除部材を効率的に濡らして被掃除面fをムラ無く拭き掃除できる。
【0117】
なお、第三供給口82cおよび複数の第二供給口82bの間隔は、それぞれの供給口82c、82bから拭き掃除部材43へ供給する電解水の湿潤範囲が切れ目なく、一連に繋がるように設定されていることが好ましい。電解水の湿潤範囲は、拭き掃除部材43の素材や編み方によって異なるので、拭き掃除部材43の特性に応じて適宜に設定される。
【0118】
図9および
図10は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の第四例の第一供給部と、拭き掃除部との概略的な底面図である。
【0119】
図9および
図10に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の第四例の第一供給部18Dは、複数の湿潤用供給口71Dを有している。複数の湿潤用供給口71Dは、第一例の湿潤用供給口71Aのような第一供給口82a、第二例の湿潤用供給口71Bのような第三供給口82c、および第三例の湿潤用供給口71Cのような第三供給口82cと、を含んでいる。
【0120】
複数の湿潤用供給口71Dは、
図9に示されるように、電気掃除機1の前方へ向かって開き、かつ連続した2つのU文字形状や、
図10に示されるように、電気掃除機1の前方へ向かって開き、かつ連続した2つのV文字形状に配列されている。これら湿潤用供給口71Dの配列は、第一例の第一供給部18Aのように、拭き掃除部材取付部45の前縁部45aで拭き掃除部材43へ電解水を供給する第一供給口82aと、第二供給口82bと、を含んでいる。第一供給口82aを頂点として、複数の第二供給口82bが電気掃除機1の後方へ向かって実質的に左右対称に配列されている。
【0121】
第一供給部18Dから供給される単位時間あたりの電解水の量は、拭き掃除部材43を湿らせるに十分であり、かつ拭き掃除部材43が通過した後に被掃除面fに水滴や水たまりのように多量の電解水が残留しないよう調整されることが好ましい。
【0122】
拭き掃除部材取付部45の前縁部45aの中央部で、第一供給口82aから拭き掃除部材43へ供給される電解水は、拭き掃除寄与部85の前縁中央部を即座に湿らせる。この拭き掃除寄与部85の前縁中央部の湿り気は、電気掃除機1の前進にともなって、拭き掃除部材43の後方へ拡がってゆく。
【0123】
また、拭き掃除部材取付部45の前縁部45aよりも後方、かつ拭き掃除部材取付部45の左右それぞれの側部45bで、第二供給口82bから供給される電解水は、拭き掃除寄与部85の側部の広範囲を即座に湿らせる。この拭き掃除寄与部85の側部の湿り気は、電気掃除機1の前進にともなって、拭き掃除部材43の後方へ拡がってゆく。
【0124】
さらに、拭き掃除部材取付部45の前縁部45aの端部で、第三供給口82cから拭き掃除部材43へ供給される電解水は、拭き掃除寄与部85の前縁端部を即座に湿らせる。この拭き掃除寄与部85の前縁端部の湿り気は、電気掃除機1の前進にともなって、拭き掃除部材43の後方へ拡がってゆく。
【0125】
このように、第四例の第一供給部18Dは、拭き掃除寄与部85の前縁中央部、前縁端部、および側部の広範囲を即座に湿らせることが可能であって、電解水で拭き掃除部材を効率的に濡らして被掃除面fをムラ無く拭き掃除できる。
【0126】
なお、第一供給口82aおよび複数の第二供給口82bの間隔は、それぞれの供給口82a、82bから拭き掃除部材43へ供給する電解水の湿潤範囲が切れ目なく、一連に繋がるように設定されていることが好ましい。電解水の湿潤範囲は、拭き掃除部材43の素材や編み方によって異なるので、拭き掃除部材43の特性に応じて適宜に設定される。
【0127】
また、複数の湿潤用供給口71Dは、前後の配置を反転し、電気掃除機1の後方へ向かって開き、かつ連続した2つのU文字形状や、電気掃除機1の後方へ向かって開き、かつ連続した2つのV文字形状に配列されていても良い。
【0128】
次いで、拭き掃除部材取付部45について詳細に説明する。なお、各例で説明する第一例の拭き掃除部材取付部45A(以下、単に「拭き掃除部材取付部45A」と言う。)、および第二例の拭き掃除部材取付部45B(以下、単に「拭き掃除部材取付部45B」と言う。)において、同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0129】
図11は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の第一例の掃除部材取付部と、拭き掃除部との部分的、かつ概略的な底面図である。
【0130】
図12は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の第一例の掃除部材取付部と、拭き掃除部との部分的、かつ概略的な断面図である。
【0131】
図11および
図12に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の第一例の拭き掃除部材取付部45Aは、電解水を少なくとも1つの湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dの供給箇所から拭き掃除部材取付部45の幅方向へ導く第一導水部86を備えている。
【0132】
第一導水部86は、第一供給部18の各例(つまり、第一供給部18A、18B、18C、18D)のいずれの湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dに組み合わせることができる。
【0133】
第一導水部86は、例えば、拭き掃除部材取付部45の、拭き掃除部材43を装着する面に設けられる溝である。この溝は、湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dの供給箇所を基点として拭き掃除部材取付部45の幅方向へ延びている。第一導水部86は、湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dから流出する電解水の全部、または一部を、電解水の表面張力、あるいは毛細管現象によって拭き掃除部材取付部45の幅方向へ導く。
【0134】
拭き掃除部材取付部45Aは、湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dから流出する電解水をドレンパンのように受け止め、その後に第一導水部86によって拭き掃除部材取付部45の幅方向へ電解水を導いて、拭き掃除部材43へ供給する。そのため、拭き掃除部材取付部45Aは、湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dの供給箇所から供給された電解水を、拭き掃除部材取付部45Aの幅方向へ広げて、拭き掃除部材43の、より広い範囲へ電解水を供給できる。そして、湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dの供給箇所から拭き掃除部材取付部45Aの幅方向へ拡がって拭き掃除部材43へ供給される電解水は、拭き掃除寄与部85の広い範囲を即座に湿らせる。この拭き掃除寄与部85の広範囲の湿り気は、電気掃除機1の前進にともなって、拭き掃除部材43の後方へ拡がってゆく。
【0135】
なお、第一導水部86は、拭き掃除部材取付部45Aに設けられた孔を通じて、直接的に拭き掃除部材43へ直接的に供給される電解水の一部を、拭き掃除部材43に吸収される前に、拭き掃除部材取付部45の幅方向へ導くものであっても良い。
【0136】
また、電気掃除機1は、拭き掃除部材取付部45Aの第一導水部86に代えて、または加えて、電解水を少なくとも1つの湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dの供給箇所から拭き掃除部材43の幅方向へ広げるよう配向されて織られた繊維を含む拭き掃除部材43を備えていても良い。この場合には、拭き掃除部材43は、単一の繊維材料で織られた織布、または吸水性の異なる複数の繊維材料で織られた織布である。複数の繊維材料で拭き掃除部材43を織る場合には、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate、PET)と、ポリエステルよりも吸水性の高い繊維、例えば綿、麻、レーヨンなどの植物繊維と、を含むことが好ましい。植物繊維は、セルロースを主体とし、ヒドロキシル基(hydroxy group)を多数保有しているため、ポリエステルよりも吸水性が高い。
【0137】
図13は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の第二例の掃除部材取付部と、拭き掃除部との部分的、かつ概略的な底面図である。
【0138】
図13に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の第二例の拭き掃除部材取付部45Bは、電解水を少なくとも1つの湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dの供給箇所から放射状に広げる第二導水部87を備えている。
【0139】
第二導水部87は、第一供給部18の各例(つまり、第一供給部18A、18B、18C、18D)のいずれの湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dに組み合わせることができる。
【0140】
第二導水部87は、例えば、拭き掃除部材取付部45の、拭き掃除部材43を装着する面に設けられる複数の溝である。この複数の溝は、湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dの供給箇所を基点として放射状に延びている。この複数の溝は、湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dの供給箇所を基点として、もっぱら電気掃除機1の左右側方、および電気掃除機1の後方へ向かって延びている。それぞれの溝の断面形状は、
図12に示される第一例の拭き掃除部材取付部45Aに準じているので、図示を省略した。第二導水部87は、湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dから流出する電解水の全部、または一部を、電解水の表面張力、あるいは毛細管現象によって放射状に導く。
【0141】
拭き掃除部材取付部45Bは、湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dから流出する電解水をドレンパンのように受け止め、その後に第二導水部87によって電解水を放射状に導いて、拭き掃除部材43へ供給する。そのため、拭き掃除部材取付部45Bは、湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dの供給箇所から供給された電解水を、様々な方向へ広げて、拭き掃除部材43の、より広い範囲へ電解水を供給できる。そして、湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dの供給箇所から放射状に拡がって拭き掃除部材43へ供給される電解水は、拭き掃除寄与部85の広い範囲を即座に湿らせる。この拭き掃除寄与部85の広範囲の湿り気は、電気掃除機1の前進にともなって、拭き掃除部材43の後方へ拡がってゆく。
【0142】
なお、第二導水部87は、拭き掃除部材取付部45Bに設けられた孔を通じて、直接的に拭き掃除部材43へ直接的に供給される電解水の一部を、拭き掃除部材43に吸収される前に放射状に導くものであっても良い。
【0143】
また、電気掃除機1は、拭き掃除部材取付部45Bの第二導水部87に代えて、または加えて、電解水を少なくとも1つの湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dの供給箇所から放射状に広げるよう配向されて織られた繊維を含む拭き掃除部材43を備えていても良い。
【0144】
図14は、本発明の実施形態に係る電気掃除機のブロック図である。
【0145】
図2から
図3に加えて
図14に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、移動部11の電動機27、吸込掃除部31のブラシ用電動機36および電動送風機38、検知部13、制御部15、二次電池6、電解水生成装置17、および第一供給部18に加えて通信部101を備えている。
【0146】
また、電気掃除機1は、識別情報を記録し、かつ拭き掃除部材43に設けられる識別子102と、識別子102から識別情報を読み取り、拭き掃除部材43の真贋を判定する識別部103と、を備えている。
【0147】
通信部101は、ステーション7に赤外線信号を送信する送信部101aと、ステーション7やリモートコントローラーが送信する赤外線信号を受信する受信部101bと、を備えている。送信部101aは、例えば赤外線発光素子を含んでいる。受信部101bは、例えばフォトトランジスタを含んでいる。
【0148】
検知部13のカメラ部51は、例えばデジタルカメラである。つまり、カメラ部51は、撮影した画像を電気信号に変換する撮像素子51a(イメージセンサー)と、撮像素子51aに像を結び、生じさせる光学系51bと、を備えている。撮像素子51aは、例えば、CCDイメージセンサー(Charge-Coupled Device image sensor)や、CMOSイメージセンサー(Complementary metal-oxide-semiconductor image sensor)である。そのため、電気掃除機1は、カメラ部51で撮影した画像のデジタルデータを即座に取り扱うことができる。つまり、カメラ部51で撮影される画像は、例えば画像処理回路を利用することで所定のデータ形式に圧縮したり、二値画像に変換したり、グレースケールに変換したりすることができる。カメラ部51は、例えば可視光領域の画像を撮影する。可視光領域の画像は、例えば赤外領域の画像に比べて画質が良好であり、複雑な画像処理を施すことなく使用者に視認可能な情報を容易に提供できる。
【0149】
カメラ部51は、いわゆるステレオカメラである。カメラ部51は、撮影する画像が、電気掃除機1を幅方向へ二分する中心線を延長した前方の位置を含む撮影範囲で重なり合っている。カメラ部51は、撮影範囲における奥行き(電気掃除機1からみた離間距離)の情報を得ることができる。奥行きの情報を含む画像を「距離画像」と呼ぶ。
【0150】
カメラ部51には、LED(Light Emitting Diode)や電球などの照明装置が併設されていても良い。照明装置は、カメラ部51の撮影範囲の一部または全部を照らす。照明装置は、家具などの障害物の陰のような暗い場所や、夜間などの暗い環境下であっても、カメラ部51による適切な画像の取得を可能にする。
【0151】
撮像素子51aの受光面には、多数の画素が並べられている。受光面の各画素は、受けた光を電気信号に変換する。各画素が受けた光の情報を各画素の位置に応じて統合させることで、カメラ部51が撮影した景色を表す画像が得られる。一般的な撮像素子51aは、カラー画像を撮影する。カラー画像は、例えば赤、緑、および青の三つの色を混ぜて表現される。
【0152】
距離測定装置55は、奥行きの情報を得ようとする範囲に光を照射する発光部55aと、発光部55aから照射された光の反射光を受光する受光部55bと、を備えている。電気掃除機1は、発光部55aの発光開始から受光部55bで反射光を受光するまでの時間差に基づいて電気掃除機1から被検知物までの距離情報を取得できる。発光部55aは、例えば赤外線や、可視光を照射する。
【0153】
制御部15は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)、中央処理装置で実行(処理)される各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する補助記憶装置(例えば、Read Only Memory、ROM)、プログラムの作業領域が動的に確保される主記憶装置(例えば、Random access memory、RAM)を備えている。補助記憶装置は、例えば不揮発性メモリのように書き換え可能なものであることが好ましい。
【0154】
制御部15は、移動部11の電動機27、吸込掃除部31のブラシ用電動機36および電動送風機38、検知部13、二次電池6、および通信部101に電気的に接続されている。制御部15は、通信部101を介してステーション7、およびリモートコントローラーから受信する指令に応じて移動部11の電動機27、吸込掃除部31のブラシ用電動機36および電動送風機38、検知部13、二次電池6を制御し、電気掃除機1の自律運転、自律移動を行う。
【0155】
制御部15は、電気掃除機1の自律移動を制御する自律移動制御部111と、検知部13の動作を制御する検知制御部112と、を含んでいる。自律移動制御部111、および検知制御部112は、演算プログラムである。
【0156】
自律移動制御部111は、被掃除領域Aの環境地図情報(Environment Map)を記憶する地図情報記憶部113と、移動部11の電動機27の動作を制御する移動制御部115と、吸込掃除部31のブラシ用電動機36、および電動送風機38の動作を制御する吸込掃除制御部116と、を備えている。
【0157】
地図情報記憶部113は、補助記憶装置に確保される記憶領域に構築されたデータの集合であって、適宜のデータ構造を有している。地図情報記憶部113は、補助記憶装置から主記憶装置に読み込まれて利用され、適宜の更新を経て、補助記憶装置へ上書きされる。
【0158】
環境地図情報は、電気掃除機1の自律移動に用いられる情報であり、少なくとも掃除対象となる場所において、電気掃除機1が移動可能な領域の形状を含む情報である。環境地図情報は、例えば整然と配列された一辺10センチメートルの矩形の集合として構築されている。環境地図情報は、電気掃除機1の使用に際して、事前に準備されるものであっても良いし、Simultaneous Localization and Mapping(SLAM)によって自己位置推定と同時に作成されるものであっても良い。環境地図情報は、掃除運転にともなう移動の過程で作成、および更新されても良い。SLAMで環境地図情報を作成する場合には、電気掃除機1は、検知部13の他に、エンコーダーなどの種々のセンサーを備えていることが好ましい。移動制御部115は、これら検知部13および種々のセンサーから取得する情報に基づいて環境地図情報を作成する。
【0159】
移動制御部115は、環境地図情報に基づいて移動部11を制御して電気掃除機1を自律で移動させる。移動制御部115は、電動機27に流れる電流の大きさ、および向きを制御して、電動機27を正転、または逆転させる。移動制御部115は、電動機27を正転、または逆転させることで、駆動輪26の駆動を制御している。
【0160】
吸込掃除制御部116は、ブラシ用電動機36、および電動送風機38を個別に制御する。
【0161】
検知制御部112は、カメラ部51の動作を制御する。検知制御部112は、所定の時間間隔毎にカメラ部51に画像を撮影させる。検知制御部112は、カメラ部51で撮影された画像を検知結果記憶部117に記憶する。カメラ部51で撮影された画像は、検知結果記憶部117は、主記憶装置に確保されている。検知結果記憶部117は、カメラ部51で撮影された画像を記憶する。検知結果記憶部117は、複数の画像を記憶可能な容量を有している。
【0162】
検知結果記憶部117は、カメラ部51で撮影された画像を表す画像情報を無加工で記憶しても良いし、画像の解析処理に必要な情報を残す限りにおいてデータサイズを減らすように加工した画像情報を記憶しても良い。検知結果記憶部117に記憶される画像情報は、例えば、カメラ部51で撮影された画像をグレースケールに変換した画像(以下、カメラ部51で撮影された元の画像と同じく「画像」と呼ぶ。)であっても良い。グレースケール画像の場合には、画像の画素値は輝度値と一致する。グレースケールに変換した画像を保存する場合には、制御部15は、元画像を記憶する場合に比べて、検知結果記憶部117に割り当てるメモリ領域の容量、つまりリソースを少量で済ませることが可能である。また、グレースケールに変換した画像を以後の解析処理に使用する場合には、制御部15は、元画像を処理する場合に比べて中央処理装置の負荷を軽減できる。画像のグレースケール化を含む画像処理は、カメラ部51で実行されても良い。カメラ部51で画像処理を実行することによって、中央処理装置の負荷が軽減される。
【0163】
また、検知制御部112は、照明装置の点灯と消灯とを制御する。照明装置は、画像を明るくして解析処理の容易化と精度向上とを容易にする。
【0164】
さらに、検知制御部112は、近接検知部52の検知結果、つまり被検知物が本体5に接近したこと、およびその時の被検知物と本体5との離間距離を検知結果記憶部117に記憶する。
【0165】
また、検知制御部112は、接触検知部53の検知結果、つまり被検知物が本体5に接触したことを検知結果記憶部117に記憶する。
【0166】
電解水生成装置17は、移動部11が本体5を移動させている間に、電極61の正極と負極との間に電圧を印加して、貯槽16に蓄えられている水を二次電池6の電力で電気分解して電解水を生成する。ここで、電解水生成装置17は、移動部11が本体5を移動させている間中、電解水を生成するようにしても良いし、予め設定された移動部11が本体5を移動させている間における所定の期間で電解水を生成するようにしても良い。所定の期間は特に限られるものではなく、適宜設定可能である。所定の期間は、例えば、以下に詳細を説明するように、生成している電解水に含まれる次亜塩素酸の濃度や、貯槽16に蓄えられている水の量や、二次電池6の残量などに応じて決められるものであっても良い。
【0167】
また、電解水生成装置17は、移動部11が本体を移動させていない間に、電極61の正極と負極との間に電圧を印加して、貯槽16に蓄えられている水を二次電池6の電力で電気分解して電解水を生成しても良い。例えば、被掃除領域Aにおいて本体5が停止している場合や、本体5がステーション7に接続されている場合において、電極61の正極と負極との間に電圧を印加して、電解水を生成しても良い。
【0168】
また、本体5の移動を開始させた後に、所望の濃度の次亜塩素酸を含む電解水を早期に得られるように、電解水生成装置17は、少なくとも移動部11が本体5を移動させ始めてから所定の時間が経過するまで、電極61の正極と負極との間に印加する電圧値を、他の場合よりも大きくする。このときの電圧値を、大電圧値と呼ぶ。例えば、貯槽16の満水量の電気分解前の水から次亜塩素酸を5ppm含んだ電解水が得られる時間が経過するまで、電解水生成装置17は、電極61に大電圧値、例えば10ボルトの電圧を印加する。貯槽16の内部には、貯槽16に蓄えられている水の量、つまり水位(電解水の液位)を検知する水位計118が設けられていても良い。電解水生成装置17は、水位計118で測定される貯槽16の水量に基づいて電解水が得られる時間が経過するまで、電極61に大電圧値の電圧を印加しても良い。
【0169】
水位計118は、接触式、または非接触式のいずれであっても良い。接触式の水位計118は、例えば、貯槽16内に設けられるフロート(浮き)の垂直方向における位置に基づいて水位を計測するフロート式、一対の電極間の静電容量を検出して水位を計測する静電容量式、など既知の方式を採用できる。非接触式の水位計118は、例えば、電波、超音波、または光波を用いて水位を計測する既知の方式を採用できる。
【0170】
さらに、電解水生成装置17は、貯槽16に蓄えられている水の残量に基づいて、電極61の正極と負極との間に印加する電圧値を変更しても良い。
【0171】
識別子102は、例えばRFID(Radio frequency identification)、バーコード、拭き掃除部材43の色、拭き掃除部材43の形状、拭き掃除部材43の素材のいずれかである。つまり、識別情報は、例えばRFID(Radio frequency identification)に記録された情報、バーコードで表現される情報、拭き掃除部材43を特徴付ける色、拭き掃除部材43を特徴付ける形状、拭き掃除部材43の素材の特徴のいずれかである。
【0172】
識別部103は、例えばRFIDやバーコードの読取装置121と、読取装置121が読み取った識別子102の情報が、予め設定される正規品を表す情報か否かを判定する判定部122と、を備えている。読取装置121は、拭き掃除部材43を特徴付ける色、拭き掃除部材43を特徴付ける形状を撮影するカメラであっても良いし、素材ごとの反射率の違いを検知する光電センサーであっても良い。判定部122は、制御部15で実行される演算プログラムである。
【0173】
識別部103は、繊維の配向に特徴を有する織布製の拭き掃除部材43や、拭き掃除部材取付部45、45A、45Bの着脱に対応可能な形状を有する拭き掃除部材43を識別して、拭き掃除部材43が正規品であるか否か、つまり拭き掃除部材43の真贋を判定する。識別部103で拭き掃除部材43が正規品であることが判定された場合には、制御部15は、第一供給機構部65から拭き掃除部材43へ電解水を供給する。また、識別部103で拭き掃除部材43が非正規品であることが判定された場合には、制御部15は、拭き掃除部材43へ電解水を供給しない。
【0174】
以上のように、本実施形態に係る電気掃除機1は、拭き掃除部材取付部45の前縁部45aで拭き掃除部材43へ電解水を供給する少なくとも1つの第一供給口82aを有している。そのため、電気掃除機1は、前進にともなって電解水で被掃除面fを水拭きしながら、被掃除面fを介して拭き掃除部材43の広範囲を電解水で湿らせ、電解水で拭き掃除部材43を効率的に濡らして被掃除面fをムラ無く拭き掃除できる。
【0175】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、拭き掃除部材取付部45の幅方向における中央部で拭き掃除部材43へ電解水を供給する第一供給口82aを有している。そのため、電気掃除機1は、前進にともなって電解水で被掃除面fを水拭きしながら、被掃除面fを介して拭き掃除部材43の前縁中央部を起点に拭き掃除部材43の広範囲を電解水で湿らせ、電解水で拭き掃除部材43を効率的に濡らして被掃除面fをムラ無く拭き掃除できる。
【0176】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、拭き掃除部材取付部45の前縁部45aよりも後方、かつ拭き掃除部材取付部45の左右それぞれの側部45bで拭き掃除部材43へ電解水を供給する複数の第二供給口82bを有している。そのため、電気掃除機1は、前進にともなって電解水で被掃除面fを水拭きしながら、拭き掃除部材43の広範囲を電解水で容易に湿らせ、電解水で拭き掃除部材43を効率的に濡らして被掃除面fをムラ無く拭き掃除できる。
【0177】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、拭き掃除部材取付部45の左右それぞれの側部45bで拭き掃除部材43へ電解水を供給する複数の第三供給口82cを有している。そのため、電気掃除機1は、前進にともなって電解水で被掃除面fを水拭きしながら、被掃除面fを介して拭き掃除部材43の広範囲を左右から電解水で湿らせ、電解水で拭き掃除部材43を効率的に濡らして被掃除面fをムラ無く拭き掃除できる。
【0178】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、電解水を少なくとも1つの湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dの供給箇所から拭き掃除部材取付部45の幅方向へ導く第一導水部86を備えている。そのため、電気掃除機1は、拭き掃除部材43へ供給される電解水の供給範囲を、拭き掃除部材43の幅方向へ容易に拡大して拭き掃除部材43の広範囲を電解水で湿らせ、電解水で拭き掃除部材43を効率的に濡らして被掃除面fをムラ無く拭き掃除できる。
【0179】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、電解水を少なくとも1つの湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dの供給箇所から放射状に広げる第二導水部87を備えている。そのため、電気掃除機1は、拭き掃除部材43へ供給される電解水の供給範囲を、拭き掃除部材43の広範囲を電解水で湿らせ、電解水で拭き掃除部材43を効率的に濡らして被掃除面fをムラ無く拭き掃除できる。
【0180】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、電解水を少なくとも1つの湿潤用供給口71、71A、71B、71C、71Dの供給箇所から拭き掃除部材43の幅方向へ広げるよう配向されて織られた繊維を含む拭き掃除部材43を備えている。そのため、電気掃除機1は、拭き掃除部材43へ供給される電解水の供給範囲を、拭き掃除部材43の幅方向へ容易に拡大して拭き掃除部材43の広範囲を電解水で湿らせ、電解水で拭き掃除部材43を効率的に濡らして被掃除面fをムラ無く拭き掃除できる。
【0181】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、ポリエステルよりも吸水性の高い繊維を含む拭き掃除部材43を備えている。そのため、電気掃除機1は、電解水をより多く吸水して被掃除面fを確実に拭き掃除できる。
【0182】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、拭き掃除部材43に設けられる識別子102と、識別子102から識別情報を読み取り、拭き掃除部材43の真贋を判定する識別部103と、を備えている。そのため、電気掃除機1は、適切な性質を有する正規の拭き掃除部材43で被掃除面fを確実に拭き掃除できる。
【0183】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、電解水で水拭きを行う。そのため、電気掃除機1は、被掃除面fを容易に除菌できる。
【0184】
したがって、本実施形態に係る電気掃除機1は、液体、例えば電解水で拭き掃除部材43を効率的に濡らして被掃除面をムラ無く拭き掃除することができる。
【0185】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0186】
1…電気掃除機、5…本体、6…二次電池、7…ステーション、8…電源コード、9…充電回路、11…移動部、12…掃除部、13…検知部、15…制御部、16…貯槽、17…電解水生成装置、18、18A、18B、18C、18D…第一供給部、19…第二供給部、21…本体ケース、22…バンパー、26…駆動輪、27…電動機、28…従動輪、31…吸込掃除部、32…拭き掃除部、34…吸込口、35…回転ブラシ、36…ブラシ用電動機、37…塵埃容器、38…電動送風機、39…吸込風路、39u…上流側風路、39d…下流側風路、41…排気風路、43…拭き掃除部材、45、45A、45B…拭き掃除部材取付部、45a…前縁部、45b…側部、51…カメラ部、51a…撮像素子、51b…光学系、52…近接検知部、53…接触検知部、55…距離測定装置、55a…発光部、55b…受光部、57…電源部、61…電極、62…配管、65…第一供給機構部、66…第二供給機構部、71、71A、71B、71C、71D…湿潤用供給口、72…第一開閉弁、73…撒布用供給口、74…第二開閉弁、67…第三供給機構部、75…第一霧化装置、76…第一導水経路、77…第二霧化装置、78…第二導水経路、79…保水体、80…吸湿部、82a…第一供給口、82b…第二供給口、82c…第三供給口、85…掃除寄与部、86…第一導水部、87…第二導水部、101…通信部、101a…送信部、101b…受信部、102…識別子、103…識別部、111…自律移動制御部、112…検知制御部、113…地図情報記憶部、115…移動制御部、116…吸込掃除制御部、117…検知結果記憶部、118…水位計、121…読取装置、122…判定部。