(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】合わせガラス及び合わせガラスの取り付け方法
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20241009BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241009BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20241009BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20241009BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20241009BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
C03C27/12 Z
C03C27/12 L
B32B27/00 E
B32B27/30 102
B60J1/00 H
B60K35/23
G02B27/01
(21)【出願番号】P 2019518007
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2019013943
(87)【国際公開番号】W WO2019189734
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2018065768
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】野原 敦
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】河本 充雄
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/021407(WO,A1)
【文献】特開2007-223883(JP,A)
【文献】国際公開第2016/017825(WO,A1)
【文献】特開2017-214276(JP,A)
【文献】特開2013-006730(JP,A)
【文献】特開2015-024929(JP,A)
【文献】技術資料 3M(TM)スコッチティント(TM)ウィンドウフィルム NANO80S/NANO80S,スリーエムジャパン株式会社,2020年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C27/12
B32B17/10
B32B27/00-27/42
B60J 1/00- 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドアップディスプレイである合わせガラスであり、
前記合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイの表示領域を有し、
前記合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の合わせガラス部材とを備え、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の合わせガラス部材とがこの順で並んで配置されており、前記第1の樹脂層が遮熱性物質を含み、前記赤外線反射層が、800nm~2000nmの範囲内の少なくとも1つの波長において、赤外線透過率が40%以下である性質を有し、前記第1の合わせガラス部材と前記第1の樹脂層との積層体が楔状である合わせガラスであり、
前記合わせガラスの前記表示領域に前記第1の合わせガラス部材の外側から入射角度68.3°で光を照射して、前記表示領域から2500mmの位置にて反射像を観察したときに、前記第1の合わせガラス部材による第1の反射像と前記赤外線反射層による第2の反射像と前記第2の合わせガラス部材による第3の反射像との3つの反射像のうちの、最も離れた2つの反射像の距離が2.5mm以下である、合わせガラス。
【請求項2】
前記赤外線反射層と前記第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが、2.93mm以下であるか、又は、前記赤外線反射層と前記第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状である、請求項
1に記載の合わせガラス。
【請求項3】
前記赤外線反射層と前記第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが、2.93mm以下である、請求項
2に記載の合わせガラス。
【請求項4】
前記赤外線反射層と前記第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状である、請求項
2又は
3に記載の合わせガラス。
【請求項5】
前記赤外線反射層が、楔状である、請求項
2~4のいずれか1項に記載の合わせガラス。
【請求項6】
前記第1の樹脂層が、樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を含む、請求項1~
5のいずれか1項に記載の合わせガラス。
【請求項7】
前記第1の樹脂層が可塑剤を含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載の合わせガラス。
【請求項8】
前記第1の樹脂層が、2層以上の構造を有する、請求項1~
7のいずれか1項に記載の合わせガラス。
【請求項9】
前記赤外線反射層の波長800nm~1200nmでの赤外線反射率が20%以上である、請求項1~
8のいずれか1項に記載の合わせガラス。
【請求項10】
前記赤外線反射層の波長380nm~780nmでの可視光線透過率が70%以上である、請求項1~
9のいずれか1項に記載の合わせガラス。
【請求項11】
前記合わせガラスのISO 13837に準拠して測定されるTtsが60%以下である、請求項1~
10のいずれか1項に記載の合わせガラス。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか1項に記載の合わせガラスを、車両において、外部空間と前記外部空間から熱線が入射される内部空間との間の開口部に取り付ける方法であって、
前記第1の合わせガラス部材が、前記内部空間側に位置するように、かつ前記第2の合わせガラス部材が前記外部空間側に位置するように、前記合わせガラスを前記開口部に取り付ける、合わせガラスの取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合わせガラスに用いられる合わせガラス用中間膜に関する。本発明は、ヘッドアップディスプレイである合わせガラスに関する。また、本発明は、上記合わせガラスの取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、一般に、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。上記合わせガラスは、一対のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み込むことにより、製造されている。このような車両及び建築物の開口部に用いられる合わせガラスには、高い遮熱性が求められる。
【0003】
遮熱性を高めるために、赤外線反射層を備える中間膜が用いられることがある。赤外線反射層を備える中間膜は、下記の特許文献1に開示されている。
【0004】
また、自動車に用いられる合わせガラスとして、ヘッドアップディスプレイ(HUD)が知られている。HUDでは、自動車のフロントガラスに、自動車の走行データである速度などの計測情報等を表示させることができ、運転者はフロントガラスの前方に表示が映し出されているように認識することができる。
【0005】
上記HUDでは、計測情報等が、二重に見えるという問題がある。
【0006】
二重像を抑制するために、楔状の中間膜が用いられている。下記の特許文献2には、一対のガラス板の間に、所定の楔角を有する楔状の中間膜が挟み込まれた合わせガラスが開示されている。このような合わせガラスでは、中間膜の楔角の調整により、1つのガラス板で反射される計測情報の表示と、別のガラス板で反射される計測情報の表示とを、運転者の視野で1点に結ぶことができる。このため、計測情報の表示が二重に見え難く、運転者の視界を妨げにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-81775号公報
【文献】特表平4-502525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2では、1つのガラス板で反射される計測情報の表示と、別のガラス板で反射される計測情報の表示とを、運転者の視野で1点に結ぶことで、二重像を抑制している。
【0009】
しかし、特許文献1に記載のような赤外線反射層を備える中間膜を用いた合わせガラスでは、計測情報の表示は、1つのガラス板での反射と、別のガラス板での反射とにより生じるだけでなく、赤外線反射層での反射によっても生じる。
【0010】
赤外線反射層を備える中間膜を用いた合わせガラスでは、計測情報等が、三重に見えるという問題がある。
【0011】
従来、赤外線反射層を備える中間膜を用いた合わせガラスにおいて、三重像を抑制することが困難であるという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、遮熱性に優れており、かつ、ヘッドアップディスプレイにおける多重像を抑え、画像表示を良好にすることができる合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを提供することである。また、本発明は、上記の合わせガラスの取り付け方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の広い局面によれば、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の樹脂層と備え、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の樹脂層とがこの順で並んで配置されており、前記第1の樹脂層が楔状であり、前記第2の樹脂層が楔状である、合わせガラス用中間膜が提供される。
【0014】
本発明の広い局面によれば、ヘッドアップディスプレイである合わせガラスであり、前記合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイの表示領域を有し、前記合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の合わせガラス部材とを備え、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の合わせガラス部材とがこの順で並んで配置されており、前記第1の合わせガラス部材と前記第1の樹脂層との積層体が楔状である合わせガラスであるか、又は、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の樹脂層と、第2の合わせガラス部材とを備え、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の樹脂層と、前記第2の合わせガラス部材とがこの順で並んで配置されており、前記第1の合わせガラス部材と前記第1の樹脂層との積層体が楔状である合わせガラスであり、前記合わせガラスが、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の合わせガラス部材とを備える場合には、前記赤外線反射層と前記第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが、2.93mm以下であるか、又は、前記赤外線反射層と前記第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状であり、前記合わせガラスが、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の樹脂層と、前記第2の合わせガラス部材とを備える場合には、前記赤外線反射層と前記第2の樹脂層と前記第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが、2.93mm以下であるか、又は、前記赤外線反射層と前記第2の樹脂層と前記第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状である、合わせガラスが提供される。
【0015】
本発明の広い局面によれば、ヘッドアップディスプレイである合わせガラスであり、前記合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイの表示領域を有し、前記合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の合わせガラス部材とを備え、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の合わせガラス部材とがこの順で並んで配置されており、前記第1の合わせガラス部材と前記第1の樹脂層との積層体が楔状である合わせガラスであるか、又は、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の樹脂層と、第2の合わせガラス部材とを備え、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の樹脂層と、前記第2の合わせガラス部材とがこの順で並んで配置されており、前記第1の合わせガラス部材と前記第1の樹脂層との積層体が楔状である合わせガラスであり、前記合わせガラスの前記表示領域に前記第1の合わせガラス部材の外側から入射角度68.3°で光を照射して、前記表示領域から2500mmの位置にて反射像を観察したときに、前記第1の合わせガラス部材による第1の反射像と前記赤外線反射層による第2の反射像と前記第2の合わせガラス部材による第3の反射像との3つの反射像のうちの、最も離れた2つの反射像の距離が2.5mm以下である、合わせガラスが提供される。
【0016】
本発明に係る合わせガラスのある特定の局面では、前記合わせガラスが、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の合わせガラス部材とを備える場合には、前記赤外線反射層と前記第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが、2.93mm以下であるか、又は、前記赤外線反射層と前記第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状であり、前記合わせガラスが、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の樹脂層と、前記第2の合わせガラス部材とを備える場合には、前記赤外線反射層と前記第2の樹脂層と前記第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが、2.93mm以下であるか、又は、前記赤外線反射層と前記第2の樹脂層と前記第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状である。
【0017】
本発明に係る合わせガラスのある特定の局面では、前記合わせガラスが、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の合わせガラス部材とを備える場合には、前記赤外線反射層と前記第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが、2.93mm以下であり、前記合わせガラスが、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の樹脂層と、前記第2の合わせガラス部材とを備える場合には、前記赤外線反射層と前記第2の樹脂層と前記第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが、2.93mm以下である。
【0018】
本発明に係る合わせガラスのある特定の局面では、前記合わせガラスが、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の合わせガラス部材とを備える場合には、前記赤外線反射層と前記第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状であり、前記合わせガラスが、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の樹脂層と、前記第2の合わせガラス部材とを備える場合には、前記赤外線反射層と前記第2の樹脂層と前記第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状である。
【0019】
本発明に係る合わせガラスのある特定の局面では、前記合わせガラスが、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の合わせガラス部材とを備える場合には、前記赤外線反射層が、楔状であり、前記合わせガラスが、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の樹脂層と、前記第2の合わせガラス部材とを備える場合には、前記赤外線反射層が、楔状である。
【0020】
本発明に係る合わせガラスのある特定の局面では、前記合わせガラスが、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の樹脂層と、前記第2の合わせガラス部材とを備える場合には、前記第1の樹脂層が楔状であり、前記第2の樹脂層が楔状である。
【0021】
本発明に係る合わせガラスのある特定の局面では、前記合わせガラスが、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の合わせガラス部材とを備える場合には、前記第1の樹脂層が、樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を含み、前記合わせガラスが、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の樹脂層と、前記第2の合わせガラス部材とを備える場合には、前記第1の樹脂層が、樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を含み、前記第2の樹脂層が、樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を含む。
【0022】
本発明に係る合わせガラスのある特定の局面では、前記合わせガラスが、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の合わせガラス部材とを備える場合には、前記第1の樹脂層が可塑剤を含み、前記合わせガラスが、前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記赤外線反射層と、前記第2の樹脂層と、前記第2の合わせガラス部材とを備える場合には、前記第1の樹脂層が可塑剤を含み、前記第2の樹脂層が可塑剤を含む。
【0023】
本発明に係る合わせガラスのある特定の局面では、前記第1の樹脂層が、2層以上の構造を有する。
【0024】
本発明に係る合わせガラスのある特定の局面では、前記赤外線反射層が、800nm~2000nmの範囲内の少なくとも1つの波長において、赤外線透過率が40%以下である性質を有する。
【0025】
本発明に係る合わせガラスのある特定の局面では、前記赤外線反射層の波長800nm~1200nmでの赤外線反射率が20%以上である。
【0026】
本発明に係る合わせガラスのある特定の局面では、前記赤外線反射層の波長380nm~780nmでの可視光線透過率が70%以上である。
【0027】
本発明に係る合わせガラスのある特定の局面では、前記合わせガラスのISO 13837に準拠して測定されるTtsが60%以下である。
【0028】
本発明の広い局面によれば、上述した合わせガラスを、車両において、外部空間と前記外部空間から熱線が入射される内部空間との間の開口部に取り付ける方法であって、前記第1の合わせガラス部材が、前記内部空間側に位置するように、かつ前記第2の合わせガラス部材が前記外部空間側に位置するように、前記合わせガラスを前記開口部に取り付ける、合わせガラスの取り付け方法が提供される。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の樹脂層と備える。本発明に係る合わせガラス用中間膜では、上記第1の樹脂層と、上記赤外線反射層と、上記第2の樹脂層とがこの順で並んで配置されており、上記第1の樹脂層が楔状であり、上記第2の樹脂層が楔状である。本発明に係る合わせガラス用中間膜では、上記の構成が備えられているので、遮熱性に優れており、かつ、ヘッドアップディスプレイにおける多重像を抑え、画像表示を良好にすることができる。
【0030】
本発明に係る合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイである合わせガラスである。本発明に係る合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイの表示領域を有する。本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の合わせガラス部材とを備える第1の合わせガラスであるか、又は、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の樹脂層と、第2の合わせガラス部材とを備える第2の合わせガラスである。上記第1の合わせガラスでは、上記第1の合わせガラス部材と、上記第1の樹脂層と、上記赤外線反射層と、上記第2の合わせガラス部材とがこの順で並んで配置されている。上記第2の合わせガラスでは、上記第1の合わせガラス部材と、上記第1の樹脂層と、上記赤外線反射層と、上記第2の樹脂層と、上記第2の合わせガラス部材とがこの順で並んで配置されている。上記第1の合わせガラス及び上記第2の合わせガラスのそれぞれにおいて、上記第1の合わせガラス部材と上記第1の樹脂層との積層体が楔状である。上記第1の合わせガラスでは、上記赤外線反射層と上記第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが、2.93mm以下であるか、又は、上記赤外線反射層と上記第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状である。上記第2の合わせガラスでは、上記赤外線反射層と上記第2の樹脂層と上記第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが、2.93mm以下であるか、又は、上記赤外線反射層と上記第2の樹脂層と上記第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状である。本発明に係る合わせガラスでは、上記の構成が備えられているので、遮熱性に優れており、かつ、ヘッドアップディスプレイにおける多重像を抑え、画像表示を良好にすることができる。
【0031】
本発明に係る合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイである合わせガラスである。本発明に係る合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイの表示領域を有する。本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の合わせガラス部材とを備える第1の合わせガラスであるか、又は、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の樹脂層と、第2の合わせガラス部材とを備える第2の合わせガラスである。上記第1の合わせガラスでは、上記第1の合わせガラス部材と、上記第1の樹脂層と、上記赤外線反射層と、上記第2の合わせガラス部材とがこの順で並んで配置されている。上記第2の合わせガラスでは、上記第1の合わせガラス部材と、上記第1の樹脂層と、上記赤外線反射層と、上記第2の樹脂層と、上記第2の合わせガラス部材とがこの順で並んで配置されている。上記第1の合わせガラス及び上記第2の合わせガラスのそれぞれにおいて、上記第1の合わせガラス部材と上記第1の樹脂層との積層体が楔状である。本発明に係る合わせガラスの上記表示領域に上記第1の合わせガラス部材の外側から入射角度68.3°で光を照射して、上記表示領域から2500mmの位置にて反射像を観察する。この観察において、上記第1の合わせガラス部材による第1の反射像と上記赤外線反射層による第2の反射像と上記第2の合わせガラス部材による第3の反射像との3つの反射像のうちの、最も離れた2つの反射像の距離が2.5mm以下である。本発明に係る合わせガラスでは、上記の構成が備えられているので、遮熱性に優れており、かつ、ヘッドアップディスプレイにおける多重像を抑え、画像表示を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図及び正面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第4の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5(a)及び(b)は、本発明の第5の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図及び正面図である。
【
図6】
図6(a)及び(b)は、本発明の第6の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図及び正面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第7の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第8の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9(a)及び(b)は、本発明の第9の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図及び正面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第10の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第11の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第12の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図である。
【
図13】
図13は、反射像を測定する装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0034】
ある特定の局面では、本発明に係る合わせガラスは、以下の第1の合わせガラス(1-1)であるか、又は、以下の第2の合わせガラス(2-1)である。本発明に係る合わせガラスは、以下の第1の合わせガラス(1-1)であることが好ましく、以下の第2の合わせガラス(2-1)であることも好ましい。
【0035】
第1の合わせガラス(1-1)は、以下の構成1)、2)、3)及び4)を備える。
【0036】
1)合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイであり、ヘッドアップディスプレイの表示領域を有する。
【0037】
2)合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の合わせガラス部材とを備え、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の合わせガラス部材とがこの順で並んで配置されている。
【0038】
3)第1の合わせガラス部材と第1の樹脂層との積層体が楔状である。
【0039】
4)赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが、2.93mm以下であるか、又は、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状である。
【0040】
第2の合わせガラス(2-1)は、以下の構成11)、12)、13)及び14)を備える。
【0041】
11)合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイであり、ヘッドアップディスプレイの表示領域を有する。
【0042】
12)合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の樹脂層と、第2の合わせガラス部材とを備え、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の樹脂層と、第2の合わせガラス部材とがこの順で並んで配置されている。
【0043】
13)第1の合わせガラス部材と第1の樹脂層との積層体が楔状である。
【0044】
14)赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが、2.93mm以下であるか、又は、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状である。
【0045】
本発明に係る合わせガラスでは、上記の構成が備えられているので、遮熱性に優れており、かつ、ヘッドアップディスプレイにおける多重像を抑え、画像表示を良好にすることができる。
【0046】
また、ある特定の局面では、本発明に係る合わせガラスは、以下の第1の合わせガラス(1-2)であるか、又は、以下の第2の合わせガラス(2-2)である。
【0047】
第1の合わせガラス(1-2)は、以下の構成1)、2)、3)及び5)を備える。
【0048】
1)合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイであり、ヘッドアップディスプレイの表示領域を有する。
【0049】
2)合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の合わせガラス部材とを備え、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の合わせガラス部材とがこの順で並んで配置されている。
【0050】
3)第1の合わせガラス部材と第1の樹脂層との積層体が楔状である。
【0051】
5)合わせガラスの表示領域に第1の合わせガラス部材の外側から入射角度68.3°で光を照射して、表示領域から2500mmの位置にて反射像を観察する。この観察において、第1の合わせガラス部材による第1の反射像と赤外線反射層による第2の反射像と第2の合わせガラス部材による第3の反射像との3つの反射像のうちの、最も離れた2つの反射像の距離が2.5mm以下である。第1の反射像と第2の反射像との距離、第2の反射像と第3の反射像との距離、及び第3の反射像と第1の反射像との3つの距離を測定したときに、3つの距離のうちの最大が、2.5mm以下である。
【0052】
第2の合わせガラス(2-2)は、以下の構成11)、12)、13)及び15)を備える。
【0053】
11)合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイであり、ヘッドアップディスプレイの表示領域を有する。
【0054】
12)合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の樹脂層と、第2の合わせガラス部材とを備え、第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の樹脂層と、第2の合わせガラス部材とがこの順で並んで配置されている。
【0055】
13)第1の合わせガラス部材と第1の樹脂層との積層体が楔状である。
【0056】
15)合わせガラスの表示領域に第1の合わせガラス部材の外側から入射角度68.3°で光を照射して、表示領域から2500mmの位置にて反射像を観察する。この観察において、第1の合わせガラス部材による第1の反射像と赤外線反射層による第2の反射像と第2の合わせガラス部材による第3の反射像との3つの反射像のうちの、最も離れた2つの反射像の距離が2.5mm以下である。
【0057】
本発明に係る合わせガラスでは、上記の構成が備えられているので、遮熱性に優れており、かつ、ヘッドアップディスプレイにおける多重像を抑え、画像表示を良好にすることができる。
【0058】
ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、上記構成1)、2)、3)及び5)を備える第1の合わせガラス(1-2)は、上記構成4)を備えることが好ましい。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、上記構成11)、12)、13)及び15)を備える第2の合わせガラス(2-2)は、上記構成14)を備えることが好ましい。
【0059】
上記構成3)及び上記構成13)において、第1の合わせガラス部材のみが楔状であってもよく、第1の樹脂層のみが楔状であってもよく、第1の合わせガラス部材と第1の樹脂層との双方が楔状であってもよい。第1の樹脂層が楔状であることが好ましい。
【0060】
上記構成3)及び上記構成13)において、第1の合わせガラス部材を楔状とすると、第1の樹脂層を楔状とする場合と比較して合わせガラスの重量が大きくなりやすい。そのため、合わせガラスの取り扱い性や車輌の燃費の向上の観点からは、上記構成3)及び上記構成13)において、第1の樹脂層を楔状とし、かつ第1の合わせガラス部材の楔角を0mrad以上0.1mrad未満(但し、0mradのとき、第1の合わせガラス部材は楔状ではない)とすることが好ましい。一方で、合わせガラスとして比較的大きな楔角度が求められる場合は、第1の樹脂層を楔状とし、かつ第1の合わせガラス部材の楔角を0.1mrad以上の楔状とすることが好ましい。
【0061】
上記構成4)において、4A)赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが、2.93mm以下であってもよく、4B)赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状であってもよい。4A)赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが、2.93mm以下であり、かつ4B)赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状であってもよい。
【0062】
上記構成4B)において、第2の合わせガラス部材を楔状とすると、赤外線反射層を楔状とする場合と比較して合わせガラスの重量が大きくなりやすい。そのため、合わせガラスの取り扱い性や車輌の燃費の向上の観点からは、上記構成4)において、赤外線反射層を楔状とし、かつ第2の合わせガラス部材の楔角度を0mrad以上0.1mrad未満(但し、0mradのとき、第2の合わせガラス部材は楔状ではない)とすることが好ましい。一方で、合わせガラスとして比較的大きな楔角度が求められる場合は、赤外線反射層を楔状とし、かつ第2の合わせガラス部材の楔角を0.1mrad以上の楔状とすることが好ましい。
【0063】
上記構成14)において、14A)赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが、2.93mm以下であってもよく、14B)赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状であってもよい。14A)赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが、2.93mm以下であり、かつ14B)赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状であってもよい。
【0064】
上記構成14B)において、第2の合わせガラス部材を楔状とすると、第2の樹脂層又は赤外線反射層を楔状とした場合と比較して合わせガラスの重量が大きくなりやすい。そのため、合わせガラスの取り扱い性や車輌の燃費の向上の観点からは、上記構成14)において、第2の樹脂層又は赤外線反射層を楔状とし、かつ第2の合わせガラス部材の楔角を0mrad以上0.1mrad未満(但し、0mradのとき、第2の合わせガラス部材は楔状ではない)とすることが好ましい。一方で、合わせガラスとして比較的大きな楔角度が求められる場合は、第2の樹脂層又は赤外線反射層を楔状とし、かつ第2の合わせガラス部材の楔角を0.1mrad以上の楔状とすることが好ましい。これらの場合において、第2の樹脂層を楔状としてもよく、赤外線反射層を楔状としてもよく、第2の樹脂層と赤外線反射層を楔状としてもよい。
【0065】
なお、本明細書において、合わせガラスにおける「厚み」とは、表示領域中の平均厚みを意味する。また、本明細書において、中間膜における「厚み」とは、合わせガラスの表示領域に位置する部分での平均厚みを意味し、中間膜の表示対応領域中の平均厚みを意味することが好ましい。
【0066】
上記構成4A)において、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みは比較的薄い。上記構成4A)において、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みは、好ましくは2.93mm以下、より好ましくは2.31mm以下、より一層好ましくは2.18mm以下、更に好ましくは2.0mm以下、更により一層好ましくは1.8mm以下、特に好ましくは1.6mm以下である。このような好ましい厚みを満足すると、ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にすることができる。上記構成4A)において、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みは1.1mm以上であってもよく、1.5mm以上であってもよい。
【0067】
上記構成14A)において、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みは比較的薄い。上記構成14A)において、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みは、好ましくは2.93mm以下、より好ましくは2.31mm以下、より一層好ましくは2.18mm以下、更に好ましくは2.0mm以下、更により一層好ましくは1.8mm以下、特に好ましくは1.6mm以下である。このような好ましい厚みを満足すると、ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にすることができる。上記構成14A)において、赤外線反射層と第2樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みは1.1mm以上であってもよく、1.5mm以上であってもよい。
【0068】
上記構成4B)において、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体が楔状であるため、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みは比較的厚くてもよい。但し、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みは比較的薄くてもよい。上記構成4B)において、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みは、好ましくは2.1mm以下、より好ましくは1.93mm以下、より一層好ましくは1.8mm以下、更に好ましくは1.5mm以下、更により一層好ましくは1.3mm以下である。このような好ましい厚みを満足すると、ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にすることができる。上記構成4B)において、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みは0.7mm以上であってもよく、1.0mm以上であってもよい。
【0069】
上記構成14B)において、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体が楔状であるため、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みは比較的厚くてもよい。但し、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みは比較的薄くてもよい。上記構成14B)において、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みは、好ましくは2.31mm以下、より好ましくは2.1mm以下、より一層好ましくは1.8mm以下、更に好ましくは1.5mm以下、更により一層好ましくは1.3mm以下である。このような好ましい厚みを満足すると、ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にすることができる。上記構成14B)において、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みは1.1mm以上であってもよく、1.5mm以上であってもよい。
【0070】
上記構成14A)において、第2の樹脂層の厚みは、比較的薄いことが好ましい。但し、赤外線反射層の厚み及び第2の合わせガラス部材の厚みによっては、第2の樹脂層の厚みは厚くてもよい。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、上記構成14A)において、第2の樹脂層の厚みは、好ましくは2.2mm以下、より好ましくは1.6mm以下、更に好ましくは0.8mm以下である。上記構成14A)において、第2の樹脂層の厚みは、0.3mm以上であってもよく、0.45mm以上であってもよい。
【0071】
上記構成4A)において、第2の合わせガラス部材の厚みは比較的薄いことが好ましい。但し、赤外線反射層の厚みによっては、第2の合わせガラス部材の厚みは厚くてもよい。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、上記構成4A)において、第2の合わせガラス部材の厚みは、好ましくは2.5mm以下、より好ましくは2.3mm以下、より一層好ましくは2.0mm以下、更に好ましくは1.8mm以下、特に好ましくは1.6mm以下である。上記構成4A)において、第2の合わせガラス部材の厚みは、0.7mm以上であってもよく、1.0mm以上であってもよい。
【0072】
上記構成14A)において、第2の合わせガラス部材の厚みは比較的薄いことが好ましい。但し、赤外線反射層の厚み及び第2の樹脂層の厚みによっては、第2の合わせガラス部材の厚みは厚くてもよい。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、上記構成14A)において、第2の合わせガラスの厚みは、好ましくは2.1mm以下、より好ましくは1.93mm以下、より一層好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1.4mm以下、特に好ましくは1.3mm以下である。上記構成14A)において、第2の合わせガラス部材の厚みは、0.7mm以上であってもよく、1.0mm以上であってもよい。
【0073】
上記構成4B)において、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状であるため、第2の合わせガラス部材の厚みは比較的厚くてもよい。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、上記構成4B)において、第2の合わせガラス部材の厚みは、好ましくは2.1mm以下、より好ましくは1.93mm以下、より一層好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1.4mm以下、特に好ましくは1.3mm以下である。上記構成4B)において、第2の合わせガラス部材の厚みは、0.7mm以上であってもよく、1.0mm以上であってもよい。
【0074】
上記構成14B)において、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体が、楔状であるため、第2の合わせガラス部材の厚みは比較的厚くてもよい。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、上記構成14B)において、第2の合わせガラス部材の厚みは、好ましくは2.1mm以下、より好ましくは1.93mm以下、より一層好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1.4mm以下、特に好ましくは1.3mm以下である。上記構成14B)において、第2の合わせガラス部材の厚みは、0.7mm以上であってもよく、1.0mm以上であってもよい。
【0075】
ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、合わせガラスの厚みは好ましくは2.2mm以上、より好ましくは2.8mm以上、好ましくは6.9mm以下、より好ましくは6.3mm以下である。
【0076】
上記構成4A)において、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが比較的薄いため、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体は楔状でなくてもよい。但し、上記構成4A)において、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体は楔状であってもよい。上記構成4A)において、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体の楔角は、好ましくは0mrad以上(0mradのとき楔状ではない)、より好ましくは0.15mrad以上、更に好ましくは0.20mrad以上、好ましくは2.0mrad以下、より好ましくは1.5mrad以下である。
【0077】
上記構成14A)において、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが比較的薄いため、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体は楔状でなくてもよい。但し、上記構成14A)において、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体は楔状であってもよい。上記構成14A)において、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体の楔角は、好ましくは0mrad以上(0mradのとき楔状ではない)、より好ましくは0.15mrad以上、更に好ましくは0.20mrad以上、好ましくは2.0mrad以下、より好ましくは1.5mrad以下である。
【0078】
上記構成4B)において、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体は楔状である。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、上記構成4B)において、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体の楔角は、好ましくは0.15mrad以上、より好ましくは0.20mrad以上である。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、上記構成4B)において、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体の楔角は、好ましくは2.0mrad以下、より好ましくは1.5mrad以下である。
【0079】
上記構成14B)において、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体は楔状である。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、上記構成14B)において、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体の楔角は、好ましくは0.15mrad以上、より好ましくは0.20mrad以上である。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、上記構成14B)において、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体の楔角は、好ましくは2.0mrad以下、より好ましくは1.5mrad以下である。
【0080】
上記構成4A)又は上記構成14A)において、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが比較的薄いため、赤外線反射層は楔状でなくてもよい。上記構成4B)において、第2の合わせガラス部材が楔状であれば、赤外線反射層は楔状でなくてもよい。上記構成14B)において、第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体が楔状であれば、赤外線反射層は楔状でなくてもよい。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、赤外線反射層の楔角は、好ましくは0mrad以上(0mradのとき楔状ではない)、より好ましくは0.15mrad以上、更に好ましくは0.20mrad以上、好ましくは2.0mrad以下、より好ましくは1.5mrad以下である。
【0081】
上記構成14A)において、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが比較的薄いため、第2の樹脂層は楔状でなくてもよい。上記構成14B)において、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体が楔状であれば、第2の樹脂層は楔状でなくてもよい。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、第2の樹脂層の楔角は、好ましくは0mrad以上(0mradのとき楔状ではない)、より好ましくは0.15mrad以上、更に好ましくは0.20mrad以上である。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、第2の樹脂層の楔角は、好ましくは2.0mrad以下、より好ましくは1.5mrad以下である。
【0082】
上記構成4A)において、赤外線反射層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが比較的薄いため、第2の合わせガラス部材は楔状でなくてもよい。上記構成14A)において、赤外線反射層と第2の樹脂層と第2の合わせガラス部材との積層体の厚みが比較的薄いため、第2の合わせガラス部材は楔状でなくてもよい。上記構成4B)において、赤外線反射層が楔状であれば、第2の合わせガラス部材は楔状でなくてもよい。上記構成14B)において、赤外線反射層と第2の樹脂層との積層体が楔状であれば、第2の合わせガラス部材は楔状でなくてもよい。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、第2の合わせガラス部材の楔角は、好ましくは0mrad以上(0mradのとき楔状ではない)である。合わせガラスの取り扱い性や車輌の燃費の向上の観点からは、第2の合わせガラス部材の楔角は、好ましくは2.0mrad以下、より好ましくは1.5mrad以下、更に好ましくは1.0mrad以下である。
【0083】
本発明に係る合わせガラスにおいて、第1の合わせガラス部材と第1の樹脂層との積層体の厚みは比較的薄いことが好ましい。第1の合わせガラス部材と第1の樹脂層との積層体の厚みは、好ましくは2.93mm以下、より好ましくは2.31mm以下、より一層好ましくは2.18mm以下、更に好ましくは2.0mm以下、更により一層好ましくは1.8mm以下、特に好ましくは1.6mm以下である。このような好ましい厚みを満足すると、ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にすることができる。第1の合わせガラス部材と第1の樹脂層との積層体の厚みは1.1mm以上であってもよく、1.5mm以上であってもよい。
【0084】
本発明に係る合わせガラスにおいて、第1の合わせガラス部材の厚みは比較的薄いことが好ましい。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、第1の合わせガラス部材の厚みは、好ましくは2.1mm以下、より好ましくは1.93mm以下、より一層好ましくは1.8mm以下、更に好ましくは1.5mm以下、更により一層好ましくは1.3mm以下である。第1の合わせガラス部材の厚みは0.7mm以上であってもよく、1.0mm以上であってもよい。
【0085】
本発明に係る合わせガラスにおいて、第1の樹脂層の厚みは比較的薄いことが好ましい。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、第1の樹脂層の厚みは、好ましくは2.2mm以下、より好ましくは1.6mm以下である。第1の樹脂層の厚みは0.3mm以上であってもよく、0.45mm以上であってもよい。
【0086】
ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、第1の合わせガラス部材と第1の樹脂層との積層体の楔角は、好ましくは0.15mrad以上、より好ましくは0.20mrad以上である。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、第1の合わせガラス部材と第1の樹脂層との積層体の楔角は、好ましくは2.0mrad以下、より好ましくは1.5mrad以下である。
【0087】
第1の樹脂層が楔状であれば、第1の合わせガラス部材は楔状でなくてもよい。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、第1の合わせガラス部材の楔角は、好ましくは0mrad以上(0mradのとき楔状ではない)である。合わせガラスの取り扱い性や車輌の燃費の向上の観点からは、第1の合わせガラス部材の楔角は、好ましくは2.0mrad以下、より好ましくは1.5mrad以下、更に好ましくは1.0mrad以下である。
【0088】
第1の合わせガラス部材が楔状であれば、第1の樹脂層は楔状でなくてもよい。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、第1の樹脂層の楔角は、好ましくは0mrad以上(0mradのとき楔状ではない)、より好ましくは0.15mrad以上、更に好ましくは0.20mrad以上である。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、第1の樹脂層の楔角は、好ましくは2.0mrad以下、より好ましくは1.5mrad以下である。
【0089】
第1の合わせガラス部材を楔状とすると、第1の樹脂層を楔状とする場合と比較して合わせガラスの重量が大きくなりやすい。そのため、合わせガラスの取り扱い性や車輌の燃費の向上の観点からは、第1の樹脂層を楔状とし、かつ第1の合わせガラス部材の楔角を0mrad以上0.1mrad未満(但し、0mradのとき、第1の合わせガラス部材は楔状ではない)とすることが好ましい。一方で、合わせガラスとして比較的大きな楔角度が求められる場合は、第1の樹脂層を楔状とし、かつ第1の合わせガラス部材の楔角を0.1mrad以上の楔状とすることが好ましい。
【0090】
ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、合わせガラスの楔角は、好ましくは0.15mrad以上、より好ましくは0.20mrad以上、好ましくは2.0mrad以下、より好ましくは1.5mrad以下である。
【0091】
上記合わせガラスは厚み方向の断面形状は、楔状である。上記合わせガラスの厚み方向の断面形状としては、台形、三角形及び五角形等が挙げられる。
【0092】
本発明に係る合わせガラス用中間膜(以下、「中間膜」と略記することがある)は、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の樹脂層と備える。本発明に係る中間膜では、上記第1の樹脂層と、上記赤外線反射層と、上記第2の樹脂層とがこの順で並んで配置されており、上記第1の樹脂層が楔状であり、上記第2の樹脂層が楔状である。
【0093】
本発明に係る中間膜では、上記の構成が備えられているので、遮熱性に優れており、かつ、ヘッドアップディスプレイにおける多重像を抑え、画像表示を良好にすることができる。
【0094】
本発明に係る中間膜は、ヘッドアップディスプレイである合わせガラスに用いられる中間膜であることが好ましく、ヘッドアップディスプレイの表示領域に対応した表示対応領域を有することが好ましい。本発明に係る中間膜は、ヘッドアップディスプレイである合わせガラスに用いることができる中間膜であることが好ましい。
【0095】
本発明に係る中間膜は、第1の合わせガラス部材と第2の合わせガラス部材との間に配置されて用いられる。本発明に係る中間膜は、楔状の第1の合わせガラス部材とともに用いられてもよく、矩形の第1の合わせガラス部材とともに用いられてもよい。本発明に係る中間膜は、楔状の第2の合わせガラス部材とともに用いられてもよく、矩形の第2の合わせガラス部材とともに用いられてもよい。本発明に係る中間膜は、上記の構成が備えられているので、矩形の第1の合わせガラス部材とともに用いられても、上記の効果を発揮することができる。本発明に係る中間膜は、上記の構成が備えられているので、矩形の第2の合わせガラス部材とともに用いられても、上記の効果を発揮することができる。
【0096】
ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、第1の樹脂層の楔角は、好ましくは0mrad以上(0mradのとき楔状ではない)、より好ましくは0.15mrad以上、更に好ましくは0.20mrad以上である。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、第1の樹脂層の楔角は、好ましくは2.0mrad以下、より好ましくは1.5mrad以下である。
【0097】
ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、第2の樹脂層の楔角は、好ましくは0mrad以上(0mradのとき楔状ではない)、より好ましくは0.15mrad以上、更に好ましくは0.20mrad以上である。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、第2の樹脂層の楔角は、好ましくは2.0mrad以下、より好ましくは1.5mrad以下である。
【0098】
本発明に係る中間膜では、第1の樹脂層と第2の樹脂層との形状を制御することにより、本発明の上記の効果を発揮することができる。
【0099】
多重像をより一層抑制する観点からは、上記合わせガラスは、一端側から他端側にかけて楔角が変化している部分を有することが好ましい。多重像をより一層抑制し、さらに透過二重像を抑制し、生産コストを抑制する観点からは、上記合わせガラスは、一端側から他端側にかけて楔角が小さくなる部分を有することが好ましい。
【0100】
多重像をより一層抑制する観点からは、上記中間膜は、一端側から他端側にかけて楔角が変化している部分を有することが好ましい。多重像をより一層抑制し、さらに透過二重像を抑制し、生産コストを抑制する観点からは、上記中間膜は、一端側から他端側にかけて楔角が小さくなる部分を有することが好ましい。
【0101】
合わせガラスの楔角θは、合わせガラスにおける最大厚み部分と最小厚み部分との合わせガラスの第1の表面(一方の表面)部分を結んだ直線と、合わせガラスにおける最大厚み部分と最小厚み部分との合わせガラスの第2の表面(他方の表面)部分を結んだ直線との交点における内角である。なお、最大厚み部分が複数ある、最小厚み部分が複数ある、最大厚み部分が一定の領域にある、又は最小厚み部分が一定の領域にある場合には、楔角θを求めるための最大厚み部分及び最小厚み部分は、求められる楔角θが最も大きくなるように選択される。合わせガラスを構成する部材、合わせガラス中の積層体の楔角は、合わせガラスの楔角と同様に判断することができる。
【0102】
上記楔角θは、以下のように近似的に算出することができる。上記最大厚み部分と上記最小厚み部分とのそれぞれにて中間膜の厚みを測定する。(上記最大厚み部分おける厚みと、上記最小厚み部分における厚みとの差の絶対値(μm)÷上記最大厚み部分から上記最小厚み部分までの距離(mm))の結果に基づいて、楔角θを近似的に算出する。
【0103】
合わせガラス、中間膜、合わせガラスを構成する部材、合わせガラス中の積層体の楔角及び厚みの測定に用いる測定器としては、接触式厚み計測器「TOF-4R」(山文電気社製)等が挙げられる。
【0104】
上記厚みの測定は、上述の測定器を用い、膜搬送速度2.15mm/分~2.25mm/分で、一端から他端に向けて最短距離となるように行う。
【0105】
上記中間膜を合わせガラスとした後の上記中間膜、上記合わせガラスを構成する部材、上記合わせガラス中の積層体の楔角及び厚みの測定に用いる測定器としては、非接触多層膜厚測定器「OPTIGAUGE」(ルメトリクス社製)等が挙げられる。合わせガラスのままで中間膜、合わせガラスを構成する部材、合わせガラス中の積層体の厚みを測定することができる。
【0106】
上記構成5)及び上記構成15)において、第1,第2,第3の反射像の3つの反射像のうちの、最も離れた2つの反射像の距離は2.5mm以下である。ヘッドアップディスプレイにおける多重像を効果的に抑え、画像表示を効果的に良好にする観点からは、上記構成5)及び上記構成15)において、第1,第2,第3の反射像の3つの反射像のうちの、最も離れた2つの反射像の距離は好ましくは2.0mm以下、最も好ましくは0mm(3つの反射像が一致)である。
【0107】
図13は、反射像を測定する装置を説明するための図である。反射像は、
図13に示す装置50を用いて、測定される。
【0108】
図13において、装置50は、サンプルホルダ51、光源ユニット61、測定ユニット71を有する。Xは、点光源虚像を示す。
【0109】
サンプルホルダ51は、試料ホルダー52と測定サンプル53とを備える。光源ユニット61は、投影レンズ62と、スリット63と、LED64(SUGARCUBE LED♯66-032)と、ピンホール治具65と、拡散板ユニット66とを備える。ピンホール治具65は、カメラ調整時に使用する。拡散板ユニット66は、カメラ撮影時に使用する。スリット63の大きさは、幅0.01mm、長さ12.7mmである。測定ユニット71は、レンズ及びカメラ(Nikon D800E)を備える。
【0110】
反射像の測定時には、
図13に示す装置50を用いて、光源ユニット61から照射された光をサンプルに68.3°の角度で入射させる。反射された光を測定ユニット71にて測定できる位置に設置させて、点光源虚像をカメラにて撮影する。測定した虚像間の距離をそれぞれ300箇所測定し、300点の平均値を多重像間の距離とする。
【0111】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0112】
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図及び正面図である。
図1(a)は、
図1(b)中のI-I線に沿う断面図である。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図である。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図である。
図4は、本発明の第4の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図である。
【0113】
なお、
図1(a)、
図1(b)、
図2、
図3及び
図4及び後述する図における合わせガラスの大きさ及び寸法は、図示の便宜上、実際の大きさ及び形状から適宜変更している。
図1(a)、
図1(b)、
図2、
図3及び
図4及び後述の図では、図示の便宜上、合わせガラス及び合わせガラスを構成する各部材の厚み、並びに楔角(θ)は、実際の厚み及び楔角とは異なるように示されている。なお、
図1(a)、
図1(b)、
図2、
図3及び
図4及び後述する図において、異なる箇所は互いに置き換え可能である。
【0114】
図1(a)及び
図1(b)には、合わせガラス11が示されている。
図2には、合わせガラス11Aが示されている。
図3には、合わせガラス11Bが示されている。
図4には、合わせガラス11Cが示されている。
図1(a)、
図2、
図3及び
図4では、合わせガラス11,11A,11B,11Cの厚み方向の断面が示されている。
【0115】
合わせガラス11,11A,11B,11Cは、一端11aと、一端11aの反対側に他端11bとを有する。一端11aと他端11bとは対向し合う両側の端部である。合わせガラス11,11A,11B,11Cの他端11bの厚みは一端11aの厚みよりも大きい。従って、合わせガラス11,11A,11B,11Cは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。
【0116】
合わせガラス11,11A,11B,11Cは、ヘッドアップディスプレイである。合わせガラス11,11A,11B,11Cは、ヘッドアップディスプレイの表示領域R1を有する。
【0117】
合わせガラス11,11A,11B,11Cは、表示領域R1の隣に周囲領域R2を有する。
【0118】
合わせガラス11,11A,11B,11Cは、表示領域R1と離れて、シェード領域R3を有する。シェード領域R3は、合わせガラス11,11A,11B,11Cの縁部に位置している。
【0119】
図1(a)及び
図1(b)に示す合わせガラス11は、第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3と、第2の樹脂層4と、第2の合わせガラス部材5とを備える。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3と、第2の樹脂層4と、第2の合わせガラス部材5とは、この順で並んで配置されている。
【0120】
第1の樹脂層2と、赤外線反射層3と、第2の樹脂層4との積層体は、合わせガラス用中間膜である。該合わせガラス用中間膜が、第1の合わせガラス部材1と、第2の合わせガラス部材5との間に配置されている。該合わせガラス用中間膜は、ヘッドアップディスプレイの表示領域R1に対応した表示対応領域を有する。
【0121】
第1の樹脂層2と、第2の樹脂層4とは楔状である。第1の合わせガラス部材1と、赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5とは矩形である。楔状の各部材では、各部材の厚み方向の断面形状が楔状である。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2との積層体は、楔状である。赤外線反射層3と、第2の樹脂層4と、第2の合わせガラス部材5との積層体は、楔状である。
【0122】
図2に示す合わせガラス11Aは、第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3Aと、第2の樹脂層4Aと、第2の合わせガラス部材5とを備える。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3Aと、第2の樹脂層4Aと、第2の合わせガラス部材5とは、この順で並んで配置されている。
【0123】
第1の樹脂層2と、赤外線反射層3Aと、第2の樹脂層4Aとは楔状である。第1の合わせガラス部材1と、第2の合わせガラス部材5とは矩形である。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2との積層体は、楔状である。赤外線反射層3Aと、第2の樹脂層4Aと、第2の合わせガラス部材5との積層体は、楔状である。
【0124】
第1の樹脂層2と、赤外線反射層3Aと、第2の樹脂層4Aとの積層体は、合わせガラス用中間膜である。該合わせガラス用中間膜が、第1の合わせガラス部材1と、第2の合わせガラス部材5との間に配置されている。該合わせガラス用中間膜は、ヘッドアップディスプレイの表示領域R1に対応した表示対応領域を有する。
【0125】
図3に示す合わせガラス11Bは、第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3Bと、第2の樹脂層4Bと、第2の合わせガラス部材5Bとを備える。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3Bと、第2の樹脂層4Bと、第2の合わせガラス部材5Bとは、この順で並んで配置されている。
【0126】
第1の樹脂層2と、赤外線反射層3Bと、第2の樹脂層4Bと、第2の合わせガラス部材5Bとは楔状である。第1の合わせガラス部材1は矩形である。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2との積層体は、楔状である。赤外線反射層3Bと、第2の樹脂層4Bと、第2の合わせガラス部材5Bとの積層体は、楔状である。
【0127】
第1の樹脂層2と、赤外線反射層3Bと、第2の樹脂層4Bとの積層体は、合わせガラス用中間膜である。該合わせガラス用中間膜が、第1の合わせガラス部材1と、第2の合わせガラス部材5Bとの間に配置されている。該合わせガラス用中間膜は、ヘッドアップディスプレイの表示領域R1に対応した表示対応領域を有する。
【0128】
図4に示す合わせガラス11Cは、第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3と、第2の樹脂層4Cと、第2の合わせガラス部材5Cとを備える。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3と、第2の樹脂層4Cと、第2の合わせガラス部材5Cとは、この順で並んで配置されている。
【0129】
第1の樹脂層2と、第2の合わせガラス部材5Cとは楔状である。第1の合わせガラス部材1と、赤外線反射層3と、第2の樹脂層4Cとは矩形である。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2との積層体は、楔状である。赤外線反射層Cと、第2の樹脂層4Cと、第2の合わせガラス部材5Cとの積層体は、楔状である。
【0130】
図5(a)及び(b)は、本発明の第5の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図及び正面図である。
図5(a)は、
図5(b)中のI-I線に沿う断面図である。
【0131】
図5(a)及び
図5(b)には、合わせガラス11Dが示されている。
図5(a)では、合わせガラス11Dの厚み方向の断面が示されている。
【0132】
合わせガラス11Dは、一端11aと、一端11aの反対側に他端11bとを有する。合わせガラス11Dの他端11bの厚みは一端11aの厚みよりも大きい。従って、合わせガラス11Dは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。
【0133】
合わせガラス11Dは、ヘッドアップディスプレイである。合わせガラス11Dは、ヘッドアップディスプレイの表示領域R1を有する。
【0134】
合わせガラス11Dは、表示領域R1の隣に周囲領域R2を有する。
【0135】
合わせガラス11Dは、表示領域R1と離れて、シェード領域R3を有する。シェード領域R3は、合わせガラス11Dの縁部に位置している。
【0136】
合わせガラス11Dは、第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3と、第2の樹脂層4Dと、第2の合わせガラス部材5Dとを備える。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3と、第2の樹脂層4Dと、第2の合わせガラス部材5Dとは、この順で並んで配置されている。
【0137】
第1の樹脂層2は楔状である。第1の合わせガラス部材1と、赤外線反射層3と、第2の樹脂層4Dと、第2の合わせガラス部材5Dとは矩形である。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2との積層体は、楔状である。赤外線反射層3と、第2の樹脂層4Dと、第2の合わせガラス部材5Dとの積層体は、矩形である。赤外線反射層3と、第2の樹脂層4Dと、第2の合わせガラス部材5Dとの積層体は比較的薄い。
【0138】
なお、合わせガラス11Dにおける赤外線反射層3と、第2の樹脂層4Dと、第2の合わせガラス部材5Dとの積層体と同様の比較的薄い厚みで、赤外線反射層と、第2の樹脂層と、第2の合わせガラス部材との積層体が楔状であってもよい。
【0139】
図6(a)及び(b)は、本発明の第6の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図及び正面図である。
図6(a)は、
図6(b)中のI-I線に沿う断面図である。
図7は、本発明の第7の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図である。
図8は、本発明の第8の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図である。
【0140】
図6(a)及び
図6(b)には、合わせガラス11Eが示されている。
図7には、合わせガラス11Fが示されている。
図8には、合わせガラス11Gが示されている。
図6(a)、
図7及び
図8では、合わせガラス11E,11F,11Gの厚み方向の断面が示されている。
【0141】
合わせガラス11E,11F,11Gは、一端11aと、一端11aの反対側に他端11bとを有する。一端11aと他端11bとは対向し合う両側の端部である。合わせガラス11E,11F,11Gの他端11bの厚みは一端11aの厚みよりも大きい。従って、合わせガラス11E,11F,11Gは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。
【0142】
合わせガラス11E,11F,11Gは、ヘッドアップディスプレイである。合わせガラス11E,11F,11Gは、ヘッドアップディスプレイの表示領域R1を有する。
【0143】
合わせガラス11E,11F,11Gは、表示領域R1の隣に周囲領域R2を有する。
【0144】
合わせガラス11E,11F,11Gは、表示領域R1と離れて、シェード領域R3を有する。シェード領域R3は、合わせガラス11E,11F,11Gの縁部に位置している。
【0145】
図6(a)及び
図6(b)に示す合わせガラス11Eは、第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3Eと、第2の合わせガラス部材5とを備える。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3Eと、第2の合わせガラス部材5とは、この順で並んで配置されている。
【0146】
第1の樹脂層2と、赤外線反射層3Eとの積層体は、合わせガラス用中間膜である。該合わせガラス用中間膜が、第1の合わせガラス部材1と、第2の合わせガラス部材5との間に配置されている。
【0147】
第1の樹脂層2と、赤外線反射層3Eとは楔状である。第1の合わせガラス部材1と、第2の合わせガラス部材5とは矩形である。楔状の各部材では、各部材の厚み方向の断面形状が楔状である。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2との積層体は、楔状である。赤外線反射層3Eと、第2の合わせガラス部材5との積層体は、楔状である。
【0148】
図7に示す合わせガラス11F、第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5とを備える。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5とは、この順で並んで配置されている。
【0149】
第1の樹脂層2は楔状である。第1の合わせガラス部材1と、赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5とは矩形である。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2との積層体は、楔状である。赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5との積層体は、矩形である。赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5との積層体は、比較的薄い。
【0150】
図8に示す合わせガラス11Gは、第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5Gとを備える。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5Gとは、この順で並んで配置されている。
【0151】
第1の樹脂層2と、第2の合わせガラス部材5Gとは楔状である。第1の合わせガラス部材1と、赤外線反射層3は矩形である。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2との積層体は、楔状である。赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5Gとの積層体は、楔状である。
【0152】
図9(a)及び(b)は、本発明の第9の実施形態に係る合わせガラスを模式的に示す断面図及び正面図である。
図9(a)は、
図9(b)中のI-I線に沿う断面図である。
【0153】
図9(a)及び
図9(b)には、合わせガラス11Hが示されている。
図9(a)では、合わせガラス11Hの厚み方向の断面が示されている。
【0154】
合わせガラス11Hは、一端11aと、一端11aの反対側に他端11bとを有する。合わせガラス11Hの他端11bの厚みは一端11aの厚みよりも大きい。従って、合わせガラス11Hは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。
【0155】
合わせガラス11Hは、ヘッドアップディスプレイである。合わせガラス11Hは、ヘッドアップディスプレイの表示領域R1を有する。
【0156】
合わせガラス11Hは、表示領域R1の隣に周囲領域R2を有する。
【0157】
合わせガラス11Hは、表示領域R1と離れて、シェード領域R3を有する。シェード領域R3は、合わせガラス11Hの縁部に位置している。
【0158】
合わせガラス11Hは、第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5Hとを備える。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2と、赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5Hとは、この順で並んで配置されている。
【0159】
第1の樹脂層2は楔状である。第1の合わせガラス部材1と、赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5Hとは矩形である。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2との積層体は、楔状である。赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5Hとの積層体は、矩形である。赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5Hとの積層体は比較的薄い。
【0160】
なお、合わせガラス11Hにおける赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5Hとの積層体と同様の比較的薄い厚みで、赤外線反射層と、第2の合わせガラス部材との積層体が楔状であってもよい。
【0161】
図10に示す合わせガラス11Iは、第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2Iと、赤外線反射層3と、第2の樹脂層4と、第2の合わせガラス部材5とを備える。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2Iと、赤外線反射層3と、第2の樹脂層4と、第2の合わせガラス部材5とは、この順で並んで配置されている。
【0162】
第1の樹脂層2Iと、赤外線反射層3と、第2の樹脂層4との積層体は、合わせガラス用中間膜である。該合わせガラス用中間膜が、第1の合わせガラス部材1と、第2の合わせガラス部材5との間に配置されている。該合わせガラス用中間膜は、ヘッドアップディスプレイの表示領域R1に対応した表示対応領域を有する。
【0163】
第1の樹脂層2Iは、2層以上の構造を有する。具体的には、第1の樹脂層2Iは、層21と層22と層23との3層の構造を有する。
【0164】
第1の樹脂層2Iと、第2の樹脂層4とは楔状である。第1の合わせガラス部材1と、赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5とは矩形である。楔状の各部材では、各部材の厚み方向の断面形状が楔状である。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2Iとの積層体は、楔状である。赤外線反射層3と、第2の樹脂層4と、第2の合わせガラス部材5との積層体は、楔状である。
【0165】
図11に示す合わせガラス11Jは、第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2Jと、赤外線反射層3と、第2の樹脂層4Jと、第2の合わせガラス部材5Jとを備える。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2Jと、赤外線反射層3と、第2の樹脂層4Jと、第2の合わせガラス部材5Jとは、この順で並んで配置されている。
【0166】
第1の樹脂層2Jは、2層以上の構造を有する。具体的には、第1の樹脂層2Jは、層21と層22と層23との3層の構造を有する。
【0167】
第1の樹脂層2Jは楔状である。第1の合わせガラス部材1と、赤外線反射層3と、第2の樹脂層4Jと、第2の合わせガラス部材5Jとは矩形である。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2Jとの積層体は、楔状である。赤外線反射層3と、第2の樹脂層4Jと、第2の合わせガラス部材5Jとの積層体は、矩形である。赤外線反射層3と、第2の樹脂層4Jと、第2の合わせガラス部材5Jとの積層体は比較的薄い。
【0168】
なお、合わせガラス11Jにおける赤外線反射層3と、第2の樹脂層4Jと、第2の合わせガラス部材5Jとの積層体と同様の比較的薄い厚みで、赤外線反射層と、第2の樹脂層と、第2の合わせガラス部材との積層体が楔状であってもよい。
【0169】
図12に示す合わせガラス11K、第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2Kと、赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5とを備える。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2Kと、赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5とは、この順で並んで配置されている。
【0170】
第1の樹脂層2Kは、2層以上の構造を有する。具体的には、第1の樹脂層2Kは、層21と層22と層23との3層の構造を有する。
【0171】
第1の樹脂層2Kは楔状である。第1の合わせガラス部材1と、赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5とは矩形である。第1の合わせガラス部材1と、第1の樹脂層2Kとの積層体は、楔状である。赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5との積層体は、矩形である。赤外線反射層3と、第2の合わせガラス部材5との積層体は、比較的薄い。
【0172】
遮熱性をより一層高める観点からは、上記合わせガラスのISO 13837に準拠して測定されるTtsは好ましくは70%以下、より好ましくは65%以下、更に好ましくは60%以下である。
【0173】
Ttsは、ISO 13837に準拠して、分光光度計(日立ハイテク社製「U-4100」)を用いて、波長300nm~2500nmの透過率/反射率を測定することにより算出することができる。
【0174】
本発明に係る合わせガラスは、一端と、上記一端の反対側に他端とを有する。上記一端と上記他端とは、合わせガラスにおいて対向し合う両側の端部である。本発明に係る合わせガラスでは、上記他端の厚みが、上記一端の厚みよりも大きいことが好ましい。
【0175】
本発明に係る中間膜は、一端と、上記一端の反対側に他端とを有する。上記一端と上記他端とは、中間膜において対向し合う両側の端部である。本発明に係る中間膜では、上記他端の厚みが、上記一端の厚みよりも大きいことが好ましい。
【0176】
多重像をより一層効果的に抑える観点からは、本発明に係る合わせガラスでは、上記一端から上記他端に向けて6cmの位置から、上記一端から他端に向けて63.8cmの位置までの領域内に、上記表示領域を有することが好ましい。上記表示領域は、上記一端から上記他端に向けて6cmの位置から、上記一端から他端に向けて63.8cmの位置までの領域内の一部に存在していてもよく、全体に存在していてもよい。
【0177】
多重像をより一層効果的に抑える観点からは、本発明に係る中間膜では、上記一端から上記他端に向けて6cmの位置から、上記一端から他端に向けて63.8cmの位置までの領域内に、上記表示対応領域を有することが好ましい。上記表示対応領域は、上記一端から上記他端に向けて6cmの位置から、上記一端から他端に向けて63.8cmの位置までの領域内の一部に存在していてもよく、全体に存在していてもよい。
【0178】
合わせガラスは、厚み方向の断面形状が楔状である部分を有することが好ましい。表示領域の厚み方向の断面形状が楔状であることが好ましい。中間膜は、厚み方向の断面形状が楔状である部分を有することが好ましい。表示領域の厚み方向の断面形状が楔状であることが好ましい。
【0179】
二重像を効果的に抑える観点からは、上記一端から上記他端に向けて6cmの位置から、上記一端から上記他端に向けて63.8cmの位置までの領域において、合わせガラスは、厚み方向の断面形状が楔状である部分を有することが好ましい。厚み方向の断面形状が楔状である部分は、上記一端から他端に向けて63.8cmの位置までの領域内の一部に存在していてもよく、全体に存在していてもよい。
【0180】
二重像を効果的に抑える観点からは、上記一端から上記他端に向けて6cmの位置から、上記一端から上記他端に向けて63.8cmの位置までの領域において、中間膜は、厚み方向の断面形状が楔状である部分を有することが好ましい。厚み方向の断面形状が楔状である部分は、上記一端から他端に向けて63.8cmの位置までの領域内の一部に存在していてもよく、全体に存在していてもよい。
【0181】
本発明に係る合わせガラスは、シェード領域を有していてもよい。上記シェード領域は、上記表示領域と離れていてもよい。上記シェード領域は、例えば、太陽光線又は屋外照明等により、運転中のドライバーが眩しさを感じるのを防ぐことなどを目的として設けられる。上記シェード領域は、遮熱性を付与するために設けられることもある。上記シェード領域は、合わせガラスの縁部に位置することが好ましい。上記シェード領域は帯状であることが好ましい。
【0182】
シェード領域においては、色及び可視光線透過率を変えたりするために、着色剤又は充填剤を用いてもよい。着色剤又は充填剤は、合わせガラスの厚み方向の一部の領域にのみ含まれていてもよく、合わせガラスの厚み方向の全体の領域に含まれていてもよい。
【0183】
表示をより一層良好にし、視野をより一層広げる観点からは、上記表示領域の可視光線透過率は好ましくは80%以上、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上である。上記表示領域の可視光線透過率は、上記シェード領域の可視光線透過率よりも高いことが好ましい。上記表示領域の可視光線透過率は、上記シェード領域の可視光線透過率よりも低くてもよい。上記表示領域の可視光線透過率は、上記シェード領域の可視光線透過率よりも、好ましくは50%以上高く、より好ましくは60%以上高い。
【0184】
なお、例えば、表示領域及びシェード領域において、可視光線透過率が変化している場合には、表示領域の中心位置及びシェード領域の中心位置にて、可視光線透過率が測定される。
【0185】
分光光度計(日立ハイテク社製「U-4100」)を用いて、JIS R3211:1998に準拠して、合わせガラスの波長380nm~780nmにおける上記可視光線透過率を測定することができる。なお、本発明に係る中間膜を用いて合わせガラスの上記可視光線透過率を測定する場合に、ガラス板として、厚み2mmのクリアガラスを用いることが好ましい。
【0186】
上記表示領域は、長さ方向と幅方向とを有することが好ましい。合わせガラスの汎用性に優れるので、上記表示領域の幅方向が、上記一端と上記他端とを結ぶ方向であることが好ましい。上記表示領域は、帯状であることが好ましい。
【0187】
上記第1の樹脂層及び上記第2の樹脂層はそれぞれ、MD方向とTD方向とを有することが好ましい。上記第1の樹脂層及び上記第2の樹脂層は、例えば、溶融押出成形により得られる。MD方向は、上記第1の樹脂層及び上記第2の樹脂層の製造時の樹脂層の流れ方向である。TD方向は、上記第1の樹脂層及び上記第2の樹脂層の製造時の上記第1の樹脂層及び上記第2の樹脂層の流れ方向と直交する方向であり、かつ上記第1の樹脂層及び上記第2の樹脂層の厚み方向と直交する方向である。上記一端と上記他端とが、TD方向の両側に位置していることが好ましい。
【0188】
合わせガラス及び中間膜における一端と他端との間の距離をXとする。合わせガラス及び中間膜は、一端から内側に向かって0X~0.2Xの距離の領域に最小厚みを有し、他端から内側に向かって0X~0.2Xの距離の領域に最大厚みを有することが好ましい。合わせガラス及び中間膜は、一端から内側に向かって0X~0.1Xの距離の領域に最小厚みを有し、他端から内側に向かって0X~0.1Xの距離の領域に最大厚みを有することがより好ましい。合わせガラス及び中間膜は一端に最小厚みを有し、合わせガラス及び中間膜は他端に最大厚みを有することが好ましい。
【0189】
合わせガラス及び中間膜は、厚み均一部位を有していてもよい。上記厚み均一部位とは、合わせガラス及び中間膜の上記一端と上記他端を結ぶ方向での10cmの距離範囲あたり、厚みが10μmを超えて変化していないことをいう。従って、上記厚み均一部位は、合わせガラス及び中間膜の上記一端と上記他端を結ぶ方向での10cmの距離範囲あたり、厚みが10μmを超えて変化していない部位をいう。具体的には、上記厚み均一部位は、合わせガラス及び中間膜の上記一端と上記他端を結ぶ方向で厚みが全く変化していないか、又は、合わせガラス及び中間膜の上記一端と上記他端を結ぶ方向での10cmの距離範囲あたり、厚みが10μm以下で変化している部位をいう。
【0190】
合わせガラス及び中間膜の一端と他端との距離Xは、好ましくは3m以下、より好ましくは2m以下、特に好ましくは1.5m以下であり、好ましくは0.5m以上、より好ましくは0.8m以上、特に好ましくは1m以上である。
【0191】
以下、本発明に係る合わせガラスを構成する各部材の他の詳細を説明する。
【0192】
(赤外線反射層)
上記赤外線反射層は赤外線を反射する。上記赤外線反射層は、赤外線を反射する性能を有していれば特に限定されない。
【0193】
上記赤外線反射層としては、金属箔付き樹脂フィルム、樹脂層上に金属層及び誘電層が形成された多層積層フィルム、グラファイトを含むフィルム、多層樹脂フィルム及び液晶フィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、赤外線を反射する性能を有する。
【0194】
上記赤外線反射層は、金属箔付き樹脂フィルム、グラファイトを含むフィルム、多層樹脂フィルム又は液晶フィルムであることが好ましい。これらのフィルムは、赤外線の反射性能にかなり優れている。従って、これらのフィルムの使用により、遮熱性がより一層高く、高い可視光線透過率をより一層長期間に渡り維持できる合わせガラスが得られる。
【0195】
上記赤外線反射層は、多層樹脂フィルム又は液晶フィルムであることがより好ましい。これらのフィルムは、金属箔付き樹脂フィルムに比べて電磁波を透過することができるため、車内での電子機器の使用時に妨害することなく使用が可能になる。
【0196】
上記金属箔付き樹脂フィルムは、樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの外表面に積層された金属箔とを備える。上記樹脂フィルムの材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂及びポリイミド樹脂等が挙げられる。上記金属箔の材料としては、アルミニウム、銅、銀、金、パラジウム、及びこれらを含む合金等が挙げられる。
【0197】
上記樹脂層上に金属層及び誘電層が形成された多層積層フィルムは、樹脂層(樹脂フィルム)に、金属層及び誘電層が交互に任意の層数で積層された多層積層フィルムである。なお、上記樹脂層上に金属層及び誘電層が形成された多層積層フィルムでは、金属層及び誘電層の全てが交互に積層されていることが好ましいが、金属層/誘電層/金属層/誘電層/金属層/金属層/誘電層/金属層のように、一部が交互に積層されていない構造部分があってもよい。
【0198】
上記多層積層フィルムにおける上記樹脂層(樹脂フィルム)の材料としては、上記金属箔付き樹脂フィルムにおける樹脂フィルムの材料と同様の材料が挙げられる。上記多層積層フィルムにおける上記樹脂層(樹脂フィルム)の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリ(4-メチルペンテン-1)、ポリフッ化ビニリデン、環状ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ナイロン6,11,12,66などのポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド及びポリエーテルイミド等が挙げられる。上記多層積層フィルムにおける上記金属層の材料としては、上記金属箔付き樹脂フィルムにおける上記金属箔の材料と同様の材料が挙げられる。上記金属層の両面もしくは片面に、金属もしくは金属の混合酸化物のコート層を付与することができる。上記コート層の材料としては、ZnO、Al2O3、Ga2O3、InO3、MgO、Ti、NiCr及びCu等が挙げられる。
【0199】
上記多層積層フィルムにおける上記誘電層の材料としては、例えば酸化インジウム等が挙げられる。
【0200】
上記多層樹脂フィルムは、複数の樹脂フィルムが積層された積層フィルムである。上記多層樹脂フィルムの材料としては、上記多層積層フィルムにおける上記樹脂層(樹脂フィルム)の材料と同様の材料が挙げられる。上記多層樹脂フィルムにおける樹脂フィルムの積層数は、2以上であり、3以上であってもよく、5以上であってもよい。上記多層樹脂フィルムにおける樹脂フィルムの積層数は、1000以下であってもよく、100以下であってもよく、50以下であってもよい。
【0201】
上記多層樹脂フィルムは、異なる光学的性質(屈折率)を有する2種類以上の熱可塑性樹脂層が交互に又はランダムに任意の層数で積層された多層樹脂フィルムであってもよい。このような多層樹脂フィルムは、所望の赤外線反射性能が得られるように構成される。
【0202】
上記液晶フィルムとしては、任意の波長の光を反射するコレステリック液晶層を任意の層数で積層したフィルムが挙げられる。このような液晶フィルムは、所望の赤外線反射性能が得られるように構成される。
【0203】
上記赤外線反射層と上記第2の合わせガラス部材との積層体は、金属箔付き第2の合わせガラス部材であってもよい。この場合に、金属箔が、赤外線反射層として機能する。
【0204】
赤外線を反射する性能に優れることから、上記赤外線反射層が、800nm~2000nmの範囲内の少なくとも1つの波長において、赤外線透過率が40%以下である性質を有することが好ましい。なお、後述する実施例で用いた赤外線反射層の赤外線透過率は、上記の好ましい条件を満足する。800nm~2000nmの範囲内の少なくとも1つの波長において、赤外線透過率はより好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下である。
【0205】
上記赤外線反射層の波長800nm~2000nmの範囲における各波長の透過率は、具体的には、以下のようにして測定される。単独の赤外線反射層を用意する。分光光度計(日立ハイテク社製「U-4100」)を用いて、JIS R3106:1998に準拠して、赤外線反射層の波長800nm~2000nmにおける各波長の分光透過率を得る。
【0206】
合わせガラスの遮熱性を効果的に高める観点からは、赤外線反射層の波長800nm~1200nmでの赤外線反射率は好ましくは20%以上、より好ましくは22%以上、更に好ましくは25%以上である。
【0207】
上記赤外線反射層の波長800nm~1200nmでの赤外線反射率は、具体的には以下のようにして測定される。分光光度計(日立ハイテク社製「U-4100」)を用いて、JIS R3106:1998に準拠して、赤外線反射層の波長800nm~1200nmにおける各波長の反射率を得る。各波長での反射率のうち、最も反射率が低い値が上記下限以上であることが好ましい。
【0208】
合わせガラスの透明性を効果的に高める観点からは、上記赤外線反射層の波長380nm~780nmでの可視光線透過率は好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上である。
【0209】
上記可視光線透過率は、分光光度計(日立ハイテク社製「U-4100」)を用いて、JIS R3211:1998に準拠して、波長380nm~780nmにて測定される。
【0210】
(第1,第2の合わせガラス部材)
上記第1,第2の合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。上記合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。上記第1,第2の合わせガラス部材がそれぞれガラス板又はPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムであり、かつ上記合わせガラスが、上記第1,第2の合わせガラス部材として、少なくとも1枚のガラス板を含むことが好ましい。上記第1,第2の合わせガラス部材の双方がガラス板であることが特に好ましい。
【0211】
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス及びグリーンガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代わる合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
【0212】
上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材はそれぞれ、クリアガラス又は熱線吸収板ガラスであることが好ましい。赤外線透過率が高く、合わせガラスの遮熱性がより一層高くなることから、上記第1の合わせガラス部材は、クリアガラスであることが好ましい。赤外線透過率が低く、合わせガラスの遮熱性がより一層高くなることから、上記第2の合わせガラス部材は、熱線吸収板ガラスであることが好ましい。熱線吸収板ガラスは、グリーンガラスであることが好ましい。上記第1の合わせガラス部材が、クリアガラスであり、かつ上記第2の合わせガラス部材が熱線吸収板ガラスであることが好ましい。上記熱線吸収板ガラスは、JIS R3208に準拠した熱線吸収板ガラスである。
【0213】
(第1の樹脂層及び第2の樹脂層)
本明細書において、「第1の樹脂層」とは、上記第1の合わせガラス部材と上記赤外線反射層との間に配置される樹脂層全体をいう。本明細書において、「第2の樹脂層」とは、上記第2の合わせガラス部材と上記赤外線反射層との間に配置される樹脂層全体をいう。
【0214】
第1の樹脂層は、1層のみの構造を有していてもよく、2層以上の構造を有していてもよく、3層の構造を有していてもよく、3層以上の構造を有していてもよい。第1の樹脂層は、単層であってもよく、2層以上の多層であってもよい。第2の樹脂層は、1層のみの構造を有していてもよく、2層以上の構造を有していてもよく、3層の構造を有していてもよく、3層以上の構造を有していてもよい。第2の樹脂層は、単層であってもよく、2層以上の多層であってもよい。第1の樹脂層又は第2の樹脂層が多層であると、合わせガラスの遮音性を高めることができる。
【0215】
樹脂:
第1の樹脂層は、樹脂(以下、樹脂(1)と記載することがある)を含む。第1の樹脂層は、樹脂(1)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(1)と記載することがある)を含むことが好ましい。第2の樹脂層は、樹脂(以下、樹脂(2)と記載することがある)を含む。第2の樹脂層は、樹脂(2)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。
【0216】
上記樹脂(1)と上記樹脂(2)とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記樹脂(1)及び上記樹脂(2)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(2)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0217】
上記樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、(メタ)アクリル重合体樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂及びポリスチレン樹脂等が挙げられる。これら以外の樹脂を用いてもよい。
【0218】
上記樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、合わせガラス部材及び赤外線反射層などの他の層に対する樹脂層の接着力がより一層高くなる。
【0219】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)をアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70~99.9モル%の範囲内である。
【0220】
上記ポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、より一層好ましくは1500以上、更に好ましくは1600以上、特に好ましくは2600以上、最も好ましくは2700以上、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3500以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、樹脂層の成形が容易になる。
【0221】
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
【0222】
上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれるアセタール基の炭素数は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるアルデヒドは特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は3~5であることが好ましく、3又は4であることがより好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、樹脂層のガラス転移温度が充分に低くなる。
【0223】
上記アルデヒドは特に限定されない。一般には、炭素数が1~10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1~10のアルデヒドとしては、例えば、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、n-ノニルアルデヒド、n-デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド又はn-バレルアルデヒドが好ましく、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、n-ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0224】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは15モル%以上、より好ましくは18モル%以上、更に好ましくは20モル%以上、特に好ましくは28モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下、更に好ましくは32モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、樹脂層の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、樹脂層の柔軟性が高くなり、樹脂層の取扱いが容易になる。
【0225】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0226】
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.3モル%以上、更に好ましくは0.5モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、特に好ましくは15モル%以下、最も好ましくは3モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、合わせガラスの耐湿性が高くなる。
【0227】
上記アセチル化度は、アセチル基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセチル基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0228】
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは63モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは75モル%以下、更に好ましくは70モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
【0229】
上記アセタール化度は、以下のようにして求める。先ず、主鎖の全エチレン基量から、水酸基が結合しているエチレン基量と、アセチル基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を求める。得られた値を、主鎖の全エチレン基量で除算してモル分率を求める。このモル分率を百分率で示した値がアセタール化度である。
【0230】
なお、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。但し、ASTM D1396-92による測定を用いてもよい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、上記アセタール化度(ブチラール化度)及び上記アセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
【0231】
可塑剤:
樹脂層の接着力をより一層高める観点からは、上記第1の樹脂層は、可塑剤(以下、可塑剤(1)と記載することがある)を含むことが好ましい。樹脂層の接着力をより一層高める観点からは、上記第2の樹脂層は、可塑剤(以下、可塑剤(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。樹脂層に含まれている樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である場合に、樹脂層は、可塑剤を含むことが特に好ましい。ポリビニルアセタール樹脂を含む層は、可塑剤を含むことが好ましい。
【0232】
上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤として、従来公知の可塑剤を用いることができる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0233】
上記可塑剤としては、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などの有機リン酸可塑剤等が挙げられる。有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
【0234】
上記一塩基性有機酸エステルとしては、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2-エチル酪酸、ヘプチル酸、n-オクチル酸、2-エチルヘキシル酸、n-ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
【0235】
上記多塩基性有機酸エステルとしては、多塩基性有機酸と、炭素数4~8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物等が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
【0236】
上記有機エステル可塑剤としては、トリエチレングリコールジ-2-エチルプロパノエート、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ-n-オクタノエート、トリエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,3-プロピレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,4-ブチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-2-エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
【0237】
上記有機リン酸可塑剤としては、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0238】
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
【0239】
【0240】
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数5~10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn-プロピレン基を表し、pは3~10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数6~10の有機基であることが好ましい。
【0241】
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)又はトリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート(3GH)を含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエートを含むことがより好ましい。
【0242】
上記可塑剤の含有量は特に限定されない。上記可塑剤を含む層(第1の樹脂層、又は第2の樹脂層)において、上記樹脂100重量部に対して、上記可塑剤の含有量は、好ましくは25重量部以上、より好ましくは30重量部以上、更に好ましくは35重量部以上である。上記可塑剤を含む層(第1の樹脂層、又は第2の樹脂層)において、上記樹脂100重量部に対して、上記可塑剤の含有量は、好ましくは75重量部以下、より好ましくは60重量部以下、更に好ましくは50重量部以下、特に好ましくは40重量部以下である。上記可塑剤の含有量が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記可塑剤の含有量が上記上限以下であると、合わせガラスの透明性がより一層高くなる。
【0243】
遮熱性物質:
上記第1の樹脂層は、遮熱性物質を含むことが好ましい。上記第2の樹脂層は、遮熱性物質を含むことが好ましい。上記遮熱性物質は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0244】
上記遮熱性物質は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むか、又は遮熱粒子を含むことが好ましい。この場合に、上記成分Xと上記遮熱粒子との双方を含んでいてもよい。
【0245】
上記第1の樹脂層は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むことが好ましい。上記第2の樹脂層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記成分Xは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0246】
上記成分Xは特に限定されない。成分Xとして、従来公知のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物を用いることができる。
【0247】
上記成分Xとしては、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン、ナフタロシアニンの誘導体、アントラシアニン及びアントラシアニンの誘導体等が挙げられる。上記フタロシアニン化合物及び上記フタロシアニンの誘導体はそれぞれ、フタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記ナフタロシアニン化合物及び上記ナフタロシアニンの誘導体はそれぞれ、ナフタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記アントラシアニン化合物及び上記アントラシアニンの誘導体はそれぞれ、アントラシアニン骨格を有することが好ましい。
【0248】
合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、上記成分Xは、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン又はナフタロシアニンの誘導体であることが好ましく、フタロシアニン又はフタロシアニンの誘導体であることがより好ましい。
【0249】
遮熱性を効果的に高め、かつ長期間にわたり可視光線透過率をより一層高いレベルで維持する観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有することが好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子を含有することが好ましく、銅原子を含有することも好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニン及びバナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子に酸素原子が結合した構造単位を有することが好ましい。
【0250】
上記成分Xを含む層(第1の樹脂層、又は第2の樹脂層)100重量%中、上記成分Xの含有量は、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.02重量%以上である。上記成分Xを含む層(第1の樹脂層、又は第2の樹脂層)100重量%中、上記成分Xの含有量は、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.04重量%以下である。上記成分Xの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。例えば、可視光線透過率を70%以上にすることが可能である。
【0251】
上記第1の樹脂層は、遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第2の樹脂層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記遮熱粒子は遮熱性物質である。遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。上記遮熱粒子は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0252】
合わせガラスの遮熱性をより一層高める観点からは、上記遮熱粒子は、金属酸化物粒子であることがより好ましい。上記遮熱粒子は、金属の酸化物により形成された粒子(金属酸化物粒子)であることが好ましい。
【0253】
可視光よりも長い波長780nm以上の赤外線は、紫外線と比較して、エネルギー量が小さい。しかしながら、赤外線は熱的作用が大きく、赤外線が物質に吸収されると熱として放出される。このため、赤外線は一般に熱線と呼ばれている。上記遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。なお、遮熱粒子とは、赤外線を吸収可能な粒子を意味する。
【0254】
上記遮熱粒子の具体例としては、アルミニウムドープ酸化錫粒子、インジウムドープ酸化錫粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子(GZO粒子)、インジウムドープ酸化亜鉛粒子(IZO粒子)、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子(AZO粒子)、ニオブドープ酸化チタン粒子、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子、ルビジウムドープ酸化タングステン粒子、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)、錫ドープ酸化亜鉛粒子、珪素ドープ酸化亜鉛粒子等の金属酸化物粒子や、六ホウ化ランタン(LaB6)粒子等が挙げられる。これら以外の遮熱粒子を用いてもよい。熱線の遮蔽機能が高いため、金属酸化物粒子が好ましく、ATO粒子、GZO粒子、IZO粒子、ITO粒子又は酸化タングステン粒子がより好ましく、ITO粒子又は酸化タングステン粒子が特に好ましい。特に、熱線の遮蔽機能が高く、かつ入手が容易であるので、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)が好ましく、酸化タングステン粒子も好ましい。
【0255】
合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、酸化タングステン粒子は、金属ドープ酸化タングステン粒子であることが好ましい。上記「酸化タングステン粒子」には、金属ドープ酸化タングステン粒子が含まれる。上記金属ドープ酸化タングステン粒子としては、具体的には、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子及びルビジウムドープ酸化タングステン粒子等が挙げられる。
【0256】
合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、セシウムドープ酸化タングステン粒子が特に好ましい。合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、該セシウムドープ酸化タングステン粒子は、式:Cs0.33WO3で表される酸化タングステン粒子であることが好ましい。
【0257】
上記遮熱粒子の平均粒子径は好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下である。平均粒子径が上記下限以上であると、熱線の遮蔽性が充分に高くなる。平均粒子径が上記上限以下であると、遮熱粒子の分散性が高くなる。
【0258】
上記「平均粒子径」は、体積平均粒子径を示す。平均粒子径は、粒度分布測定装置(日機装社製「UPA-EX150」)等を用いて測定できる。
【0259】
上記遮熱粒子を含む層(第1の樹脂層、又は第2の樹脂層)100重量%中、上記遮熱粒子の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、特に好ましくは1.5重量%以上である。上記遮熱粒子を含む層(第1の樹脂層、又は第2の樹脂層)100重量%中、上記遮熱粒子の含有量は、好ましくは6重量%以下、より好ましくは5.5重量%以下、更に好ましくは4重量%以下、特に好ましくは3.5重量%以下、最も好ましくは3重量%以下である。上記遮熱粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。
【0260】
金属塩:
上記第1の樹脂層は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はマグネシウム塩である金属塩(以下、金属塩Mと記載することがある)を含むことが好ましい。上記第2の樹脂層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記金属塩Mの使用により、樹脂層と赤外線反射層及び合わせガラス部材との接着性を制御することが容易になる。上記金属塩Mは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0261】
上記金属塩Mは、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr又はBaである金属を含むことが好ましい。樹脂層中に含まれている金属塩は、K又はMgを含むことが好ましい。
【0262】
また、上記金属塩Mは、炭素数2~16の有機酸のアルカリ金属塩、炭素数2~16の有機酸のアルカリ土類金属塩又は炭素数2~16の有機酸のマグネシウム塩であることがより好ましく、炭素数2~16のカルボン酸マグネシウム塩又は炭素数2~16のカルボン酸カリウム塩であることが更に好ましい。
【0263】
上記炭素数2~16のカルボン酸マグネシウム塩及び上記炭素数2~16のカルボン酸カリウム塩としては、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2-エチル酪酸マグネシウム、2-エチルブタン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸マグネシウム及び2-エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。
【0264】
上記金属塩Mを含む層(第1の樹脂層、又は第2の樹脂層)におけるMg及びKの含有量の合計は、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは20ppm以上、好ましくは300ppm以下、より好ましくは250ppm以下、更に好ましくは200ppm以下である。Mg及びKの含有量の合計が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂層と赤外線反射層及び合わせガラス部材との接着性をより一層良好に制御できる。
【0265】
紫外線遮蔽剤:
上記第1の樹脂層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第2の樹脂層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。紫外線遮蔽剤の使用により、合わせガラスが長期間使用されても、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記紫外線遮蔽剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0266】
上記紫外線遮蔽剤には、紫外線吸収剤が含まれる。上記紫外線遮蔽剤は、紫外線吸収剤であることが好ましい。
【0267】
上記紫外線遮蔽剤としては、例えば、金属原子を含む紫外線遮蔽剤、金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤、ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾトリアゾール化合物)、ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾフェノン化合物)、トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤(トリアジン化合物)、マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤(マロン酸エステル化合物)、シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤(シュウ酸アニリド化合物)及びベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾエート化合物)等が挙げられる。
【0268】
上記金属原子を含む紫外線遮蔽剤としては、例えば、白金粒子、白金粒子の表面をシリカで被覆した粒子、パラジウム粒子及びパラジウム粒子の表面をシリカで被覆した粒子等が挙げられる。紫外線遮蔽剤は、遮熱粒子ではないことが好ましい。
【0269】
上記紫外線遮蔽剤は、好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤、トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤又はベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤である。上記紫外線遮蔽剤は、より好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤又はベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤であり、更に好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤である。
【0270】
上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等が挙げられる。さらに、上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤に関して、表面が被覆されていてもよい。上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤の表面の被覆材料としては、絶縁性金属酸化物、加水分解性有機ケイ素化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。
【0271】
上記絶縁性金属酸化物としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。上記絶縁性金属酸化物は、例えば5.0eV以上のバンドギャップエネルギーを有する。
【0272】
上記ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「TinuvinP」)、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin320」)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin326」)、及び2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin328」)等が挙げられる。紫外線を遮蔽する性能に優れることから、上記紫外線遮蔽剤は、ハロゲン原子を含むベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤であることが好ましく、塩素原子を含むベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤であることがより好ましい。
【0273】
上記ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、オクタベンゾン(BASF社製「Chimassorb81」)等が挙げられる。
【0274】
上記トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、ADEKA社製「LA-F70」及び2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール(BASF社製「Tinuvin1577FF」)等が挙げられる。
【0275】
上記マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤としては、2-(p-メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル-2,2-(1,4-フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2-(p-メトキシベンジリデン)-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル4-ピペリジニル)マロネート等が挙げられる。
【0276】
上記マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤の市販品としては、Hostavin B-CAP、Hostavin PR-25、Hostavin PR-31(いずれもクラリアント社製)が挙げられる。
【0277】
上記シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤としては、N-(2-エチルフェニル)-N’-(2-エトキシ-5-t-ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N-(2-エチルフェニル)-N’-(2-エトキシ-フェニル)シュウ酸ジアミド、2-エチル-2’-エトキシ-オキサルアニリド(クラリアント社製「SanduvorVSU」)などの窒素原子上に置換されたアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。
【0278】
上記ベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(BASF社製「Tinuvin120」)等が挙げられる。
【0279】
上記紫外線遮蔽剤を含む層(第1の樹脂層、又は第2の樹脂層)100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以上、特に好ましくは0.5重量%以上である。上記紫外線遮蔽剤を含む層(第1の樹脂層、又は第2の樹脂層)100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下である。上記紫外線遮蔽剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、期間経過後の可視光線透過率の低下がより一層抑制される。特に、上記紫外線遮蔽剤を含む層100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量が0.2重量%以上であることにより、合わせガラスの期間経過後の可視光線透過率の低下を顕著に抑制できる。
【0280】
酸化防止剤:
上記第1の樹脂層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第2の樹脂層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0281】
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。上記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記硫黄系酸化防止剤は硫黄原子を含有する酸化防止剤である。上記リン系酸化防止剤はリン原子を含有する酸化防止剤である。
【0282】
上記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤であることが好ましい。
【0283】
上記フェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス-(4-メチル-6-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェノール)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’-t-ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
【0284】
上記リン系酸化防止剤としては、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、及び2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチル-1-フェニルオキシ)(2-エチルヘキシルオキシ)ホスホラス等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
【0285】
上記酸化防止剤の市販品としては、例えばBASF社製「IRGANOX 245」、BASF社製「IRGAFOS 168」、BASF社製「IRGAFOS 38」、住友化学工業社製「スミライザーBHT」、堺化学工業社製「H-BHT」、並びにBASF社製「IRGANOX 1010」等が挙げられる。
【0286】
合わせガラスの高い可視光線透過率を長期間に渡り維持するために、上記酸化防止剤を含む層(第1の樹脂層、又は第2の樹脂層)100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は0.1重量%以上であることが好ましい。また、上記酸化防止剤を含む層100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は2重量%以下であることが好ましい。
【0287】
他の成分:
上記第1の樹脂層及び上記第2の樹脂層はそれぞれ、必要に応じて、カップリング剤、分散剤、界面活性剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、金属塩以外の接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0288】
(合わせガラスの取り付け方法)
本発明に係る合わせガラスの取り付け方法は、上述した合わせガラスを、建築物又は車両において外部空間と該外部空間から熱線が入射される内部空間との間の開口部に取り付ける方法である。
【0289】
具体的には、第1の合わせガラス部材が、内部空間側に位置するように、かつ第2の合わせガラス部材が、外部空間側に位置するように、合わせガラスを開口部に取り付ける。すなわち、内部空間/第1の合わせガラス部材/第1の樹脂層/赤外線反射層/(第2の樹脂層/)第2の合わせガラス部材/外部空間の順に配置されるように、合わせガラスを取り付ける。上記の配置形態には、内部空間と第1の合わせガラス部材との間に他の部材が配置されている場合が含まれ、外部空間と第2の合わせガラス部材との間に他の部材が配置されている場合が含まれる。
【0290】
(ヘッドアップディスプレイシステム)
本発明に係る合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイである合わせガラスであり、ヘッドアップディスプレイシステムに用いることができる。本発明に係る中間膜は、ヘッドアップディスプレイである合わせガラスに用いられる合わせガラス用中間膜であり、ヘッドアップディスプレイシステムに用いることができる。上記合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイシステムに用いることができる合わせガラスであることが好ましい。
【0291】
上記ヘッドアップディプレイシステムは、上記合わせガラスと、画像表示用の光を上記合わせガラスに照射するための光源装置とを備える。上記光源装置は、例えば、建築物又は車両において、ダッシュボードに取り付けることができる。上記光源装置から、上記合わせガラスの上記表示領域に光を照射することで、画像表示を行うことができる。
【0292】
上記合わせガラスは、車のフロントガラスに好適に用いられる。上記合わせガラスは、車のフロントガラスに用いることができる合わせガラスであることが好ましい。
【0293】
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0294】
用いたポリビニルアセタール樹脂では、アセタール化に、炭素数4のn-ブチルアルデヒドが用いられている。ポリビニルアセタール樹脂に関しては、アセタール化度(ブチラール化度)、アセチル化度及び水酸基の含有率はJIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定した。なお、ASTM D1396-92により測定した場合も、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法と同様の数値を示した。
【0295】
(第1の合わせガラス部材/第1の樹脂層/赤外線反射層/第2の合わせガラス部材の積層構造を有する合わせガラスの実験例)
(実施例1~9,17及び比較例1,3)
第1の合わせガラス部材:
下記の表1,2,4に示す厚み及び楔角を有するクリアガラスを用意した。なお、楔角が0mradである場合は、形状が楔状ではなく、矩形であることを意味する。
【0296】
第1の樹脂層:
以下の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第1の樹脂層を形成するための組成物を得た。
【0297】
ポリビニルアセタール樹脂(平均重合度1700、水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1モル%、アセタール化度68.5モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)40重量部
得られる第1の樹脂層中で0.28重量%となる量のITO粒子(三菱マテリアル社製)
得られる第1の樹脂層中で0.2重量%となる量のTinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
得られる第1の樹脂層中で0.2重量%となる量のBHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
【0298】
得られた第1の樹脂層を形成するための組成物を押出機により押出して、下記の表1,2,4に示す厚み及び楔角を有する第1の樹脂層を得た。
【0299】
なお、実施例17で得られた第1の樹脂層は厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端側から他端側にかけて楔角が小さくなる部分を有し、一端から0.3Xの位置に凸部を有する形状であった。
【0300】
赤外線反射層(金属箔)付き第2の合わせガラス部材:
下記の表1,2,4に示す厚み及び楔角を有するクリアガラス上に、下記の表1,2,4に示す厚み及び楔角を有する赤外線反射層(XIR-75(金属箔付き樹脂フィルム、Southwall Technologies社製「XIR-75」))を形成して、赤外線反射層付き第2の合わせガラス部材を得た。なお、赤外線反射層における金属箔は、In2O3/Ag/In2O3/Ag/In2O3の5層の構造を有する。
【0301】
合わせガラスの作製:
第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の合わせガラス部材とをこの順で積層して、合わせガラスを得た。
【0302】
(参考例18)
第1の合わせガラス部材:
下記の表4に示す厚み及び楔角を有するクリアガラスを用意した。なお、楔角が0mradである場合は、形状が楔状ではなく、矩形であることを意味する。
【0303】
第1の樹脂層:
以下の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第1の樹脂層(多層)を形成するための組成物Aを得た。
【0304】
ポリビニルアセタール樹脂(水酸基の含有率22モル%、アセチル化度13モル%、アセタール化度65モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)65重量部
得られる組成物A層中で0.2重量%となる量のTinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
得られる組成物A層中で0.2重量%となる量のBHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
【0305】
以下の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第1の樹脂層(多層)を形成するための組成物Bを得た。
【0306】
ポリビニルアセタール樹脂(水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1モル%、アセタール化度68.5モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)36重量部
得られる組成物B層中で0.2重量%となる量のTinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
得られる組成物B層中で0.2重量%となる量のBHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
【0307】
組成物Aと組成物Bとを、共押出機を用いて共押出した。組成物Bにより形成された層(組成物B層)/組成物Aにより形成された層(組成物A層)/組成物Bにより形成された層(組成物B層)の積層構造を有する第1の樹脂層を得た。得られた第1の樹脂層の厚み及び楔角を表4に示す。
【0308】
赤外線反射層(金属箔)付き第2の合わせガラス部材:
下記の表4に示す厚み及び楔角を有するクリアガラス上に、下記の表4に示す厚み及び楔角を有する赤外線反射層(XIR-75(金属箔付き樹脂フィルム、Southwall Technologies社製「XIR-75」))を形成して、赤外線反射層付き第2の合わせガラス部材を得た。なお、赤外線反射層における金属箔は、In2O3/Ag/In2O3/Ag/In2O3の5層の構造を有する。
【0309】
合わせガラスの作製:
第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の合わせガラス部材とをこの順で積層して、合わせガラスを得た。
【0310】
(比較例2)
赤外線反射層を用いなかったこと、並びに第2の合わせガラス部材の厚みを下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0311】
(第1の合わせガラス部材/第1の樹脂層/赤外線反射層/第2の樹脂層/第2の合わせガラス部材の積層構造を有する合わせガラスの実験例)
(参考例10~16及び比較例4,5)
第1の合わせガラス部材:
下記の表3,4に示す厚み及び楔角を有するクリアガラスを用意した。なお、楔角が0mradである場合は、形状が楔状ではなく、矩形であることを意味する。
【0312】
第1の樹脂層及び第2の樹脂層:
以下の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第1の樹脂層及び第2の樹脂層を形成するための組成物を得た。
【0313】
ポリビニルアセタール樹脂(平均重合度1700、水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1モル%、アセタール化度68.5モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)40重量部
得られる第1,第2の樹脂層中で0.28重量%となる量のITO粒子(三菱マテリアル社製)
得られる第1,第2の樹脂層中で0.2重量%となる量のTinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
得られる第1,第2の樹脂層中で0.2重量%となる量のBHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
【0314】
得られた第1の樹脂層及び第2の樹脂層を形成するための組成物を押出機により押出して、下記の表3,4に示す厚み及び楔角を有す第1の樹脂層及び第2の樹脂層を得た。
【0315】
赤外線反射層:
下記の表3,4に示す種類及び厚みを有する赤外線反射層を用意した。
XIR-75(金属箔付き樹脂フィルム、Southwall Technologies社製「XIR-75」)なお、XIR-75における金属箔は、In2O3/Ag/In2O3/Ag/In2O3の5層の構造を有する。
Nano90S(多層樹脂フィルム、住友スリーエム社製「マルチレイヤー Nano 90S」)
【0316】
第2の合わせガラス部材:
下記の表3,4に示す厚み及び楔角を有するクリアガラスを用意した。なお、楔角が0mradである場合は、形状が楔状ではなく、矩形であることを意味する。
【0317】
合わせガラスの作製:
第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の樹脂層と、第2の合わせガラス部材とをこの順で積層して、合わせガラスを得た。
【0318】
(参考例19,20)
第1の合わせガラス部材:
下記の表4に示す厚み及び楔角を有するクリアガラスを用意した。なお、楔角が0mradである場合は、形状が楔状ではなく、矩形であることを意味する。
【0319】
第1の樹脂層:
以下の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第1の樹脂層(多層)を形成するための組成物Aを得た。
【0320】
ポリビニルアセタール樹脂(水酸基の含有率22モル%、アセチル化度13モル%、アセタール化度65モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)65重量部
得られる組成物A層中で0.2重量%となる量のTinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
得られる組成物A層中で0.2重量%となる量のBHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
【0321】
以下の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第1の樹脂層(多層)を形成するための組成物Bを得た。
【0322】
ポリビニルアセタール樹脂(水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1モル%、アセタール化度68.5モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)36重量部
得られる組成物B層中で0.2重量%となる量のTinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
得られる組成物B層中で0.2重量%となる量のBHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
【0323】
組成物Aと組成物Bとを、共押出機を用いて共押出した。組成物Bにより形成された層(組成物B層)/組成物Aにより形成された層(組成物A層)/組成物Bにより形成された層(組成物B層)の積層構造を有する第1の樹脂層を得た。得られた第1の樹脂層の厚み及び楔角を表4に示す。
【0324】
第2の樹脂層:
以下の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第2の樹脂層を形成するための組成物を得た。
【0325】
ポリビニルアセタール樹脂(平均重合度1700、水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1モル%、アセタール化度68.5モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)40重量部
得られる第2の樹脂層中で0.28重量%となる量のITO粒子(三菱マテリアル社製)
得られる第2の樹脂層中で0.2重量%となる量のTinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
得られる第2の樹脂層中で0.2重量%となる量のBHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
【0326】
得られた第2の樹脂層を形成するための組成物を押出機により押出して、下記の表4に示す厚み及び楔角を有す第2の樹脂層を得た。
【0327】
赤外線反射層:
下記の表4に示す種類及び厚みを有する赤外線反射層を用意した。
Nano90S(多層樹脂フィルム、住友スリーエム社製「マルチレイヤー Nano 90S」)
【0328】
第2の合わせガラス部材:
下記の表4に示す厚み及び楔角を有するクリアガラスを用意した。なお、楔角が0mradである場合は、形状が楔状ではなく、矩形であることを意味する。
【0329】
合わせガラスの作製:
第1の合わせガラス部材と、第1の樹脂層と、赤外線反射層と、第2の樹脂層と、第2の合わせガラス部材とをこの順で積層して、合わせガラスを得た。
【0330】
(評価)
(1)赤外線反射層の波長800nm~1200nmでの赤外線反射率
上記赤外線反射層の波長800nm~1200nmでの赤外線反射率を以下のようにして測定した。分光光度計(日立ハイテク社製「U-4100」)を用いて、JIS R3106:1998に準拠して、赤外線反射層の波長800nm~1200nmにおける各波長の反射率を測定し、反射率が最も低い値を表に示した。
【0331】
(2)赤外線反射層の波長380nm~780nmでの可視光線透過率
上記赤外線反射層の波長380nm~780nmでの可視光線透過率を、分光光度計(日立ハイテク社製「U-4100」)を用いて、JIS R3211:1998に準拠して、波長380nm~780nmにて測定した。
【0332】
(3)合わせガラスのISO 13837に準拠して測定されるTts
分光光度計(日立ハイテク社製「U-4100」)を用いて、波長300nm~2500nmの透過率/反射率を測定して、Ttsを算出した。
【0333】
(4)多重像
図13に示す装置50を用いて、反射像を測定した。合わせガラスの表示領域に第1の合わせガラス部材の外側から入射角度68.3°で光を照射して、表示領域から2500mmの位置にて反射像を観察した。第1の合わせガラス部材による第1の反射像(T1)と、赤外線反射層による第2の反射像(T2)との距離を測定した。赤外線反射層による第2の反射像(T2)と、第2の合わせガラス部材による第3の反射像(T3)との距離を測定した。第1の合わせガラス部材による第1の反射像(T1)と、第2の合わせガラス部材による第3の反射像(T3)との距離を測定した。
【0334】
(5)画像表示
合わせガラスの表示領域に第1の合わせガラス部材の外側から入射角度68.3°で光を照射して、表示領域から2500mmの位置にて文字の表示画像を観察した。画像表示を下記の基準で判定した。
【0335】
[画像表示の判定基準]
○○:文字の表示画像が滲まずにはっきりと見え、文字を認識可能。
○:文字の表示画像がわずかに滲んで見えるが、文字を認識可能。
×:文字の表示画像が多重にみえ、文字を認識しにくい。
【0336】
詳細及び結果を下記の表1~4に示す。なお、参考例18~20で得られた合わせガラスについて、音響透過損失により遮音性を評価した結果、遮音性に優れていることを確認した。
【0337】
【0338】
【0339】
【0340】
【符号の説明】
【0341】
1…第1の合わせガラス部材
2,2I,2J,2K…第1の樹脂層
3,3A,3B,3E…赤外線反射層
4,4A,4B,4C,4D,4J…第2の樹脂層
5,5B,5C,5D,5G,5H,5J…第2の合わせガラス部材
11,11A,11B,11C,11D,11E,11F,11G,11H,11I,11J,11K…合わせガラス
11a…一端
11b…他端
21,22,23…層
R1…表示領域
R2…周囲領域
R3…シェード領域