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  • 特許-貫入ロッド 図1
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  • 特許-貫入ロッド 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】貫入ロッド
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/02 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
E02D1/02
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020080567
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021173145
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-31
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】白波瀬 雅史
(72)【発明者】
【氏名】磯野 和則
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-027190(JP,A)
【文献】特開2000-265451(JP,A)
【文献】特開2014-055503(JP,A)
【文献】特開2012-026126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に係止部を有するとともに先端にスクリューポイントを備え、後端に順次連結しながら地中に貫入する貫入ロッドであって、
支柱に沿って昇降自在な昇降台と、前記昇降台に取付けられ、前記貫入ロッドの係止部と係合しこれを保持するチャックユニットとを備えた貫入試験機に用いられる貫入ロッドにおいて、
前記貫入ロッドの係止部は、当該貫入ロッドの長手方向において後端部および中間部の二箇所に設けられ、まず、中間部の係止部にチャックユニットを係合させて昇降台を下降させて貫入し、続いて、中間部の係止部とチャックユニットの係合を解き、昇降台を後端部の係止部の位置まで上昇させ、当該後端部の係止部にチャックユニットを係合させて昇降台を下降させることにより全長が地中に貫入するように構成されていること、
を特徴とする貫入ロッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スウェーデン式サウンディング試験およびこれに準ずる貫入試験を行うための貫入試験機において利用される貫入ロッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スウェーデン式サウンディング試験およびこれに準ずる貫入試験(例えば、スクリュードライバーサウンディング試験)等の地盤調査には、貫入試験機が使用されている。そして、この貫入試験機に使用される器具としては、特許文献1に示す貫入ロッドが知られている。
【0003】
上記貫入ロッドは、先端にスクリューポイントを接続し、このスクリューポイントを地中に突き刺して貫入するように構成されている。また、外周面には溝状の係止部を備えており、この係止部に貫入試験機のチャックユニットの係合手段を係合することで貫入試験機に保持される。チャックユニットは、貫入試験機の支柱に沿って昇降可能な昇降台に載置されているため、昇降台の下降に伴って貫入ロッドが地中に貫入する。
【0004】
昇降台が下降し地表に到達した際には、まず、貫入ロッドの後端に延長用の貫入ロッドを継ぎ足す。続いて、チャックユニットと貫入ロッドの係合を解いた後、昇降台を上昇させてチャックユニットの係合手段を延長用の貫入ロッドの係止部に係合させる。最後に、再度昇降台を下降させることにより、地中深くまで貫入ロッドが貫入するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-265451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昨今では、貫入試験機の小型化が進んでおり、全長が低くなったものが登場している。このような貫入試験機は昇降台の昇降ストロークが短くなるため、これに対応した長さの貫入ロットが必要になる。しかしながら、このような貫入ロッドでは、地中深くまで貫入させるには、従来の長さの貫入ロッドよりも継ぎ足す回数が多くなるため、作業者の負担が増す問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みて創成されたものであり、貫入試験機の小型化に対応し、作業者による貫入ロッドの連結作業の負担を軽減する貫入ロッドを提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、外周面に係止部を有するとともに先端にスクリューポイントを備え、地中に貫入する貫入ロッドであって、支柱に沿って昇降自在な昇降台と、前記昇降台に取付けられ、前記貫入ロッドの係止部と係合しこれを保持するチャックユニットとを備えた貫入試験機に用いられる貫入ロッドにおいて、前記貫入ロッドの係止部は、長手方向の同一直線上に複数形成され、複数の係止部のうち何れか一つが、昇降台の高さ位置に応じてチャックユニットと係合可能に構成されている貫入ロッドによって解決できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の貫入ロッドによれば、外周面に係止部が長手方向の同一直線上に複数形成されているので、貫入試験機の昇降ストロークに応じて装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の貫入ロッドを示す図である。
図2】本発明の貫入ロッドの拡大横断面図である。
図3】延長ロッドを示す図である。
図4】本発明の貫入ロッドが使用される貫入試験機を示す図である。
図5】本発明の貫入ロッドを貫入試験機に保持した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図4において10は貫入試験機であり、支柱11を有し、モータ12の駆動により昇降台13が支柱11に沿って昇降自在に配置されている。この昇降台13には駆動源であるモ-タ14と、このモ-タ14の駆動を受けて回転するチャックユニット15が装備されている。このチャックユニット15には前記貫入ロッド1が挿通され保持される。
【0012】
貫入ロッド1は、図1に示すように、軸状の本体軸部2と、この本体軸部2の一端に設けられる略円錐形状の貫入体3と、本体軸部2他端に一体成形される雄ねじ部4とからなり、本体軸部2他端側の雄ねじ部4が成形されていない外周には、外周を3等分して同一長さの係止部5aが成形されている。
【0013】
さらに、本体軸部2の外周には長手方向中央部にも係止部5bが成形されている。これら上下に配置された係止部5a,5bは、長手方向の同一直線上に配置されており、円周方向において同一位相に配置されている。
【0014】
係止部5a,5bは、図2に示すように、横断面形状が円弧状を成す長溝であり、前述のチャックユニット15に内蔵された係合手段の一例である鋼球が係合するに適当な深さ・形状に形成されている。
【0015】
なお、貫入試験に際してはこの貫入ロッド1だけでは長さが不足するため、図3に示す、延長ロッド6も用意されている。この延長ロッド6は一端に貫入ロッド1の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部7が成形され、また他端には貫入ロッド1同様雄ねじ部4および係止部5a,5bが一体成形されている。つまり、この延長ロッド6は貫入ロッド1の貫入体3に代え、雌ねじ部7を成形したものである。
【0016】
図5(a)に示すように、上記貫入試験機10を用いて貫入試験を行う際には、まず昇降台12を支柱11に沿って所定位置まで上昇させる。この高さ位置は、地表から貫入ロッド1の半分の位置であり、係止部5bの位置である。つまり、昇降台12の昇降ストロークは、貫入ロッド1の全長の半分ということである。この位置で、チャックユニット15の鋼球16を係止部5bに嵌合させることにより、貫入ロッド1はチャックユニット15に保持される。
【0017】
貫入ロッド1の保持が終了して後、昇降台12を下降させるとともに、モ-タ13を駆動してチャックユニット15に回転を与え、貫入体3を回転させながら地中に貫入すると、土中で貫入体3が受ける回転負荷トルクはトルク検出部20によって検出され、また所定貫入量ごとの貫入体3の回転量も逐次記録される。これらの試験デ-タは貫入試験終了後、土質判定のための判断材料として用いられる。
【0018】
続いて、図5(b)示すように、貫入試験は一般的に15m程度の深度まで行われるため、チャックユニット15と、貫入ロッド1の係止部5bとの係合を解き、昇降台12を貫入ロッド1の係止部5aが位置する高さまで上昇させる。そして、上述の手順で貫入ロッド1をチャックユニット15に保持し、再度昇降台12を下降させることにより、貫入試験を続行する。
【0019】
さらに、試験中には何回か延長ロッド6の継ぎ足しが行われる。ここでは貫入ロッド1に延長ロッド6を継ぎ足す作業について説明するが、延長ロッド6同士の継ぎ足し作業も同様である。
【0020】
貫入ロッド1に延長ロッド6を継ぎ足すには、まずモ-タ13の駆動を停止し、地中に貫入している貫入ロッド1の雄ねじ部4に延長ロッド6の雌ねじ部7を螺合させる。次に、チャックユニット15の摺動スリ-ブ29を下方に摺動しつつ鋼球27が係止部5aから外れるまでチャックユニット15を回転させると、前述のように摺動スリ-ブ29は鋼球27に阻まれて上方に復帰できなくなる。この状態から昇降台12を上昇させてチャックユニット15を延長ロッド6の係止部5bが形成されている位置に移動させ、再度チャックユニット15を回転させると、鋼球27は延長ロッド6の係止部5に嵌合して延長ロッド6を保持することができる。その後は、貫入試験機が再起動され、前述同様にして貫入試験が続行される。
【0021】
上記貫入ロッド1は、その全長が貫入試験機10の昇降台12のストロークに相当する中間部分に係止部5bを有しているので、昇降台12が昇降する毎に貫入ロッド1を継ぎ足さなくても、上方の係止部5aにチャックユニット15を係合させることで次の深度への貫入試験を続行できる。
【0022】
なお、係止部を設ける位置は、上述の形態に限定されるものではなく、例えば、長手方向の同一直線上に等間隔をおいて4カ所に配置してもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 貫入ロッド
5a,5b 係止部
10 貫入試験機
15 チャックユニット

図1
図2
図3
図4
図5