(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
D06F58/02 F
(21)【出願番号】P 2020171982
(22)【出願日】2020-10-12
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊行
(72)【発明者】
【氏名】本村 隆行
(72)【発明者】
【氏名】温 召航
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-026407(JP,A)
【文献】特開2010-017270(JP,A)
【文献】特開2009-106566(JP,A)
【文献】特開2009-034188(JP,A)
【文献】特開2005-046415(JP,A)
【文献】国際公開第2019/244204(WO,A1)
【文献】特開2014-062656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類が収容される乾燥槽と、
前記乾燥槽内から空気が流入する流入口および前記乾燥槽内に空気を流出する流出口を有する乾燥風路と、
前記乾燥風路の途中に設けられる熱交換部と、
を備え、
前記熱交換部は、
前記乾燥槽内から前記流入口を介して前記乾燥風路内に流入した空気を除湿して外部に排出する除湿経路と、
外部から流入する空気を加熱して前記流出口を介して前記乾燥槽内に流出する加熱経路と、
を備え、
前記乾燥風路は、外部の空気を前記加熱経路、前記乾燥槽、前記除湿経路の順に流して外部に排出する開放型の乾燥風路を形成しており、
前記加熱経路における空気の流れと前記除湿経路における空気の流れとが平行となるように構成されて
おり、
前記乾燥風路の一部は、前記乾燥槽内の水を排出する排水経路により構成されており、
前記除湿経路内において空気が除湿されることにより発生する除湿水を除湿水排出部により前記排水経路に排出するように構成されている衣類乾燥機。
【請求項2】
前記乾燥風路内を流れる空気に含まれる異物を捕獲するフィルタを備え、
前記熱交換部は、前記フィルタとともに乾燥ユニットを構成している請求項
1に記載の衣類乾燥機。
【請求項3】
前記乾燥ユニットは、前記乾燥槽の上部または側部に設けられている請求項
2に記載の衣類乾燥機。
【請求項4】
前記流入口にダンパを備える請求項1から
3の何れか1項に記載の衣類乾燥機。
【請求項5】
前記熱交換部は、前記乾燥槽に設けられている溢水口よりも上に設けられている請求項1から
4の何れか1項に記載の衣類乾燥機。
【請求項6】
前記乾燥風路は、前記流入口と前記熱交換部との間に、前記乾燥槽に設けられている溢水口よりも上方を経由する部分を有する請求項1から
5の何れか1項に記載の衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類を乾燥する衣類乾燥機の一例である洗濯乾燥機は、衣類が収容される回転槽を内部に有する水槽と、この水槽に接続された乾燥風路と、を備えている。乾燥風路内には、水槽内から流入した空気を除湿する除湿部、および、除湿部によって除湿された空気を加熱する加熱部が設けられている。加熱部としては、例えばヒータなどにより構成されたものが知られている。除湿部としては、空冷式の除湿部と水冷式の除湿部が知られている。
【0003】
例えば特許文献1に開示されているように、空冷式の除湿部は、乾燥風路のうち水槽内から流入した空気が流れる部分、つまり、乾燥風路のうち湿気を含む空気が流れる部分の周囲に空気を供給することによって、乾燥風路内の空気と乾燥風路外の空気との間の熱交換により除湿を行う構成である。一方、例えば特許文献2に開示されているように、水冷式の除湿部は、乾燥風路のうち水槽内から流入した空気が流れる部分、つまり、乾燥風路のうち湿気を含む空気が流れる部分の内部に水を供給することによって、乾燥風路内を流れる湿気を含む空気を直接的に冷却して除湿する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3430956号公報
【文献】特開2002-239283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の空冷式の除湿部によれば、熱交換に伴い乾燥風路の周囲の空気の温度が徐々に上昇してしまう。その結果、乾燥風路の周囲に存在する空気そのものの温度が上昇してしまい、乾燥風路内の空気との熱交換の効率が徐々に低下するという課題がある。そこで、近年では、空冷式の除湿部に代えて、水冷式の除湿部を用いることが考えられている。
【0006】
しかしながら、水冷式の除湿部では、使用する水の量が多量となってしまうことが懸念される。特に、乾燥行程の所要時間は数時間にも及ぶ場合があるため、乾燥行程全体における除湿のための水の総使用量が著しく多量となる。そのため、このような水の使用量の懸念が無い空冷式の除湿部が再び見直されており、空冷式の除湿部について、熱交換の効率が低下するという課題を解決するための技術の開発が求められている。
【0007】
そこで、乾燥風路に空冷式の除湿部を備える構成において、熱交換の効率が低下することを抑制できるようにした衣類乾燥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る衣類乾燥機は、衣類が収容される乾燥槽と、前記乾燥槽内から空気が流入する流入口および前記乾燥槽内に空気を流出する流出口を有する乾燥風路と、前記乾燥風路の途中に設けられる熱交換部と、を備え、前記熱交換部は、前記乾燥槽内から前記流入口を介して前記乾燥風路内に流入した空気を除湿して外部に排出する除湿経路と、外部から流入する空気を加熱して前記流出口を介して前記乾燥槽内に流出する加熱経路と、を備え、前記乾燥風路は、外部の空気を前記加熱経路、前記乾燥槽、前記除湿経路の順に流して外部に排出する開放型の乾燥風路を形成しており、前記加熱経路における空気の流れと前記除湿経路における空気の流れとが平行となるように構成されており、前記乾燥風路の一部は、前記乾燥槽内の水を排出する排水経路により構成されており、前記除湿経路内において空気が除湿されることにより発生する除湿水を除湿水排出部により前記排水経路に排出するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る洗濯乾燥機の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図2】第1実施形態に係る洗濯乾燥機の構成例を概略的に示す縦断背面図
【
図3】第1実施形態に係る熱交換部の構成例を概略的に示す斜視図
【
図4】第2実施形態に係る洗濯乾燥機の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図5】第3実施形態に係る洗濯乾燥機の構成例を概略的に示す縦断背面図
【
図6】第4実施形態に係る洗濯乾燥機の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図7】第5実施形態に係る乾燥ユニットの構成例を概略的に示す縦断面図(その1)
【
図8】第5実施形態に係る乾燥ユニットの構成例を概略的に示す縦断面図(その2)
【
図9】第6実施形態に係る洗濯乾燥機の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図10】第7実施形態に係る洗濯乾燥機の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図11】第8実施形態に係る水槽および乾燥風路の構成例を概略的に示す縦断背面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、衣類乾燥機に係る複数の実施形態について図面を参照ながら説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
図1および
図2に例示する洗濯乾燥機1は、衣類に所定の処理、この場合、少なくとも、衣類を洗う洗い処理、衣類をすすぐすすぎ処理、衣類を脱水する脱水処理を施すことが可能な衣類処理装置の一例である。また、洗濯乾燥機1は、衣類を乾燥する乾燥処理を施すことが可能な衣類乾燥機の一例でもある。また、洗濯乾燥機1は、回転槽の回転中心軸が垂直方向に延びる、いわゆる縦軸型の洗濯機である。
【0012】
洗濯乾燥機1は、その外郭を構成する矩形箱状の外箱2の内部に、上部が開放した有底円筒状の水槽3を備えている。水槽3は、乾燥槽の一例であり、図示しない弾性支持機構によって外箱2内において弾性支持されている。また、外箱2の内部には、水槽3内に水を供給する図示しない周知の給水経路が備えられている。この給水経路には、給水弁や注水ケースなどが備えられている。
【0013】
また、水槽3の内部には、上部が開放した有底円筒状の回転槽4が縦軸回りに回転可能に備えられている。回転槽4の側面には、多数の貫通孔4aが設けられている。また、回転槽4内の底部には、当該回転槽4内に収容されている衣類を撹拌するパルセータ5が縦軸回りに回転可能に備えられている。また、水槽3の下部には、回転槽4やパルセータ5を回転させるモータ6が設けられている。
【0014】
回転槽4内の衣類を洗う洗い行程および回転槽4内の衣類をすすぐすすぎ行程において、モータ6が発生する駆動力は、図示しないクラッチ機構を介してパルセータ5に伝達される。これにより、洗い行程およびすすぎ行程においては、パルセータ5のみが回転する。また、回転槽4内の衣類を脱水する脱水行程および回転槽4内の衣類を乾燥する乾燥行程において、モータ6が発生する駆動力は、図示しないクラッチ機構を介して回転槽4およびパルセータ5に伝達される。これにより、脱水行程および乾燥行程においては、回転槽4およびパルセータ5が回転する。なお、乾燥行程における回転槽4およびパルセータ5の回転速度は、脱水行程における回転槽4およびパルセータ5の回転速度よりも低速となるように制御される。
【0015】
また、水槽3の底部には、当該水槽3内に溜められている水を機外に排出する排水経路7が接続されている。この排水経路7には、排水弁7aなどが備えられている。
【0016】
外箱2の上部には、図示しない衣類出入口が設けられており、回転槽4内には、この衣類出入口を介して衣類を出し入れ可能となっている。なお、外箱2は、図示しない衣類出入口を開閉する蓋体8を備えている。また、外箱2の上部には、図示しない衣類出入口よりも前側に位置して操作パネル9が設けられており、この操作パネル9の下部には、洗濯乾燥機1の動作全般を制御する制御装置10が設けられている。
【0017】
また、外箱2の内部には、水槽3に接続する乾燥風路100が設けられている。この場合、乾燥風路100は、外箱2内の後部側において水槽3の下端部から上端部にわたるようにして設けられている。次に、この乾燥風路100の構成例について詳細に説明する。
【0018】
乾燥風路100は、水槽3内から空気が流入する流入口101および水槽3内に空気を流出する流出口102を有する。この場合、流入口101は、水槽3の下端部に接続されている。一方、流出口102は、水槽3の上端部に接続されている。また、乾燥風路100の途中には熱交換部200が設けられている。この場合、熱交換部200は、水槽3の後部側に位置して設けられている。
【0019】
乾燥風路100は、流入口101と熱交換部200との間が流入口側ダクト104により構成されている。この流入口側ダクト104の内部には、乾燥フィルタ105が備えられている。乾燥フィルタ105は、乾燥風路100内を流れる空気に含まれる例えば糸くずなどの異物を捕獲する。また、乾燥風路100は、熱交換部200と流出口102との間が流出口側ダクト106により構成されている。流出口側ダクト106の内部には、送風ファン107およびヒータ108が備えられている。
【0020】
次に、熱交換部200の構成例について詳細に説明する。
図3に例示するように、熱交換部200は、除湿経路201および加熱経路202が交互に積み重ねられた構成となっている。除湿経路201内には、例えばアルミニウムなどで構成される金属製のフィン201fが波形状あるいはコルゲート形状を形成するようにして設けられている。また、加熱経路202内には、例えばアルミニウムなどで構成される金属製のフィン202fが波形状あるいはコルゲート形状を形成するようにして設けられている。
【0021】
この実施形態において、フィン201fは、その中間部分が熱交換部200の一側面200sに沿うように折り曲げられている。また、フィン202fは、その中間部分が熱交換部200の一側面200sに沿うように折り曲げられている。なお、フィン201fは、除湿経路201の入口201aから出口201bに向かって直線状に延びていてもよい。また、フィン202fは、加熱経路202の入口202aから出口202bに向かって直線状に延びていてもよい。
【0022】
また、熱交換部200は、除湿経路201および加熱経路202がシート状の仕切り材203によって仕切られた構成となっている。仕切り材203は、例えば不織布などといった伝熱性および透湿性を有する材料によって構成されている。そのため、熱交換部200によれば、除湿経路201内を流れる空気と加熱経路202内を流れる空気とを仕切り材203によって隔てられるようになっている。また、熱交換部200によれば、仕切り材203が伝熱性および透湿性を有していることから、除湿経路201内を流れる空気と加熱経路202内を流れる空気との間で、顕熱交換および潜熱交換を同時に且つ連続的に行うことが可能となっている。
【0023】
即ち、熱交換部200は、いわゆる静止型の全熱交換器として機能するように構成されている。なお、静止型とは、熱交換部200が例えば回転などの動作をすることなく設置位置、この場合、乾燥風路100の途中部において非動作状態で維持されることを意図する。つまり、本実施形態に係る熱交換部200は、例えば回転などの動作を行いながら熱交換する熱交換部、いわゆる動作型の熱交換部ではない。また、熱交換部200は、除湿経路201内を流れる空気を、当該除湿経路201に隣接する加熱経路202内を流れる空気との熱交換によって除湿する除湿部、いわゆる空冷式の除湿部として機能するように構成されている。
【0024】
そして、
図2に例示するように、以上のように構成される熱交換部200において、除湿経路201は、入口201aが流入口側ダクト104の出口に接続され、出口201bが熱交換部200の外部、この場合、外箱2内に開放した構成となっている。また、加熱経路202は、入口202aが熱交換部200の外部、この場合、外箱2内に開放し、出口202bが流出口側ダクト106の入口に接続された構成となっている。
【0025】
そのため、乾燥風路100において上述した送風ファン107が駆動すると、
図2および
図3に矢印Aで例示するように、熱交換部200の外部、この場合、外箱2内の空気は、入口202aから加熱経路202内に流入し当該加熱経路202を通過して出口202bから流出口側ダクト106内に流入する。そして、流出口側ダクト106内に流入した空気は、ヒータ108によって加熱されて温風として流出口102から水槽3内に供給される。
【0026】
そして、水槽3内の空気は、例えば流出口102から水槽3内に供給される後続の空気に押されるようにして流入口101から流入口側ダクト104内に流入する。そして、
図2および
図3に矢印Bで例示するように、流入口側ダクト104内に流入した空気は、入口201aから除湿経路201内に流入し当該除湿経路201を通過して出口201bから熱交換部200の外部、この場合、外箱2内に排出される。
【0027】
このように、乾燥風路100は、送風ファン107が発生する送風作用を利用して、熱交換部200の外部の空気を加熱経路202→水槽3→除湿経路201の順に流して熱交換部200の外部に排出する乾燥風路、いわゆる開放型の乾燥風路を形成している。即ち、乾燥風路100は、水槽3内の空気を入れ替えることなく循環させる乾燥風路、いわゆる閉鎖型の乾燥風路としてではなく、外部から取り込んだ空気を衣類の乾燥に供し、その乾燥に供した空気を外部に排出する乾燥風路、つまり、空気を入れ替えながら乾燥を行う開放型の乾燥風路として構成されている。
【0028】
また、乾燥風路100が備える熱交換部200によれば、除湿経路201内を通過する空気と加熱経路202内を流れる空気とが仕切り材203を介して熱交換される。即ち、除湿経路201は、水槽3内から流入口101を介して乾燥風路100内に流入した空気つまり温かく且つ湿った空気を、加熱経路202内の空気と熱交換させることで冷却して除湿する。そして、その冷却して除湿した空気を出口201bから熱交換部200の外部に排出する。また、加熱経路202は、熱交換部200の外部から流入する空気つまり低温で且つ乾いた空気を、除湿経路201内の空気と熱交換させることで加熱する。そして、その加熱した空気を流出口102から水槽3内に供給する。なお、加熱経路202において加熱された空気は、さらにヒータ108によって加熱された上で水槽3内に供給される。つまり、高温の温風として水槽3内に供給される。また、熱交換部200によれば、
図2および
図3に矢印Aで例示する加熱経路202内における空気の流れと、
図2および
図3に矢印Bで例示する除湿経路201内における空気の流れとが、熱交換部200の中央部において平行となり、また、相互に対向する流れとなる。そのため、除湿経路201内を流れる空気と加熱経路202内を流れる空気とが同方向に流れる構成や、除湿経路201内を流れる空気と加熱経路202内を流れる空気とが平行ではない構成に比べ、除湿経路201内を流れる空気と加熱経路202内を流れる空気との熱交換を促進することができ、熱交換効率の向上を図ることができる。
【0029】
以上に例示した洗濯乾燥機1によれば、乾燥風路100の途中に備えられている熱交換部200は、水槽3内から流入口101を介して乾燥風路100内に流入した空気を除湿して熱交換部200の外部に排出する除湿経路201と、熱交換部200の外部から流入する空気を加熱して流出口102を介して水槽3内に流出する加熱経路202と、を備える、いわゆる静止型の全熱交換器を構成している。そして、乾燥風路100は、熱交換部200の外部の空気を加熱経路202→水槽3→除湿経路201の順に流して熱交換部200の外部に排出する、いわゆる開放型の乾燥風路を形成している。
【0030】
この構成によれば、熱交換部200の外部に存在する乾いた空気を取り込んで加熱経路202内において加熱して水槽3内に供給することができる。よって、水槽3内に乾いた高温の空気を供給することができ、衣類の乾燥を効率良く行うことができる。また、洗濯乾燥機1によれば、加熱経路202内を流れる空気を、除湿経路201内の空気が除湿されることに伴い与えられる熱により温めることができ、ヒータ108に依らずとも、高温化された空気を水槽3内に供給することができる。即ち、水槽3内に供給される空気を温風化する効率を高めることができる。また、洗濯乾燥機1によれば、加熱経路202内において加熱した空気をさらにヒータ108によって加熱して水槽3内に供給することができる。よって、水槽3内に高温で且つ乾いた温風を供給することができ、衣類の乾燥を一層効率良く行うことができる。
【0031】
また、洗濯乾燥機1によれば、水槽3内において衣類の乾燥に供した温かく且つ湿気を含む空気を、除湿経路201において冷却して除湿した上で外部に排出することができる。よって、乾燥風路100や熱交換部200の外部に存在する空気の温度が上昇することを抑制することができ、熱交換部200における熱交換の効率が低下することを抑制することができる。また、乾燥風路100や熱交換部200の外部、つまり、外箱2の内部に湿った空気が排出されてしまうことを抑制することができる。
【0032】
以上の通り、洗濯乾燥機1によれば、いわゆる空冷式の熱交換部200を乾燥風路100に除湿部として備える構成において、熱交換の効率が低下することを効果的に抑制することができる。なお、洗濯乾燥機1によれば、乾燥風路100が水槽3の底部に連通していることから、水槽3内に多量の水が溜められる行程、例えば、洗い行程やすすぎ行程においては、水槽3内から乾燥風路100内に水が浸入し、その水が熱交換部200まで至ってしまうことが懸念される。しかしながら、水槽3内に水が溜められない乾燥行程、つまり、熱交換部200を機能させたい行程においては、水槽3内からの水が熱交換部200に至ることが無いため、熱交換部200を十分に機能させることができる。また、仮に乾燥行程以外の行程において熱交換部200に水が至ったとしても、その水によって熱交換部200を洗浄することができる。そのため、乾燥行程において熱交換部200を汚れの無い状態で機能させることができ、その熱交換性能を高めることができる。
【0033】
(第2実施形態)
図4に例示する洗濯乾燥機1は、乾燥風路100の一部、この場合、流入口101側の端部を排水経路7により構成したものである。この構成によれば、排水経路7が水槽3の底部に接続されていることから、水槽3内を上から下に抜けるような空気の流れを形成しやすくすることができる。よって、水槽3内における空気の流れを、温風が供給される上側から温風が排出される下側に向かって円滑なものとすることができ、衣類の乾燥を効率良く行うことができる。また、乾燥風路100の入口部分に排水経路7という他の構成要素を介在させることにより、水槽3内の水を乾燥風路100内に流入しにくくすることができる。よって、水槽3内の水を熱交換部200に至りにくくすることができる。
【0034】
(第3実施形態)
図5に例示する洗濯乾燥機1は、除湿水排出部の一例である水受け部300を備えている。水受け部300は、上面が開放したトレイ状に形成されており、熱交換部200の下方のうち除湿経路201の入口201a側に位置して設けられている。また、水受け部300は、熱交換部200の下部に設けられている水受け空間部301内に収容されている。水受け空間部301は、流入口側ダクト104の出口部分から側方に延びるように設けられている。水受け空間部301内に設けられている水受け部300は、少なくとも除湿経路201の入口201a側の端部が流入口側ダクト104内に位置した配置態様となっている。
【0035】
熱交換部200の除湿経路201内においては、加熱経路202内の空気との熱交換に伴い除湿経路201内の空気が除湿され、これにより除湿水が発生する。そして、除湿経路201内において発生した除湿水は、除湿経路201の入口201a側から流出して、除湿経路201の入口201a側の端面に沿って流下、あるいは、除湿経路201の入口201a側の端面から滴下する。水受け部300は、このように除湿経路201内から流出する除湿水を受けるように構成されている。
【0036】
そして、水受け部300は、排水管300aを介して排水経路7のうち排水弁7aよりも下流側の部分に接続されている。そのため、水受け部300によって受けられた除湿水は、排水管300aを介して排水経路7に排出されるようになっている。即ち、水受け部300は、除湿経路201内において空気が除湿されることにより発生する除湿水を排水経路7に排出する除湿水排出部として機能する。
【0037】
なお、除湿経路201の入口201a側の端面から滴下する水は、水受け部300によって受けられることなく、乾燥風路100の流入口側ダクト104内に落下する場合がある。しかし、除湿水の一部が流入口側ダクト104内に落下したとしても、その水は、流入口101から水槽3内に流れ、排水経路7から機外に排出することができる。
【0038】
第3実施形態によれば、熱交換部200内における空気の熱交換に伴い発生する除湿水を、洗濯乾燥機1が備える排水系統、この場合、排水経路7を利用して機外に排出することができる。これにより、乾燥風路100内や熱交換部200内に除湿水が残留してしまうことを回避することができ、乾燥性能の低下を抑制することができる。
【0039】
なお、洗濯乾燥機1は、乾燥風路100の一部を排水経路7により構成した場合には、除湿経路201の入口201a側の端面から滴下する除湿水を、水受け部300によって受けるのではなく、乾燥風路100の一部を構成する排水経路7内に滴下させるようにしてもよい。この構成によれば、水受け部300を、除湿経路201の入口201a側の端面から滴下する除湿水を受けることができる程の大型なものとする必要が無く、つまり、除湿経路201の入口201a側の端面に沿って流下する除湿水を受けることができる程度の小型なものとすることができる。そのため、水受け部300のコンパクト化を図ることができる。
【0040】
また、水受け部300は、排水管300aを介して、洗濯乾燥機1の排水系統ではなく水槽3に接続された構成としてもよい。この構成によれば、水受け部300によって受けられた除湿水は、排水管300aを介して水槽3内に排出することができる。そして、水槽3内に排出された水は、排水経路7を介して機外に排出することができる。よって、この構成によっても、熱交換部200で発生した除湿水を、洗濯乾燥機1が備える排水系統を利用して機外に排出することができる。そのため、乾燥風路100内や熱交換部200内に除湿水が残留してしまうこと、ひいては、乾燥性能が低下してしまうことを回避することができる。
【0041】
(第4実施形態)
図6に例示する洗濯乾燥機1は、上述した排水経路7をメイン排水経路7として備えるとともに、さらに、サブ排水経路400を備えた構成となっている。そして、洗濯乾燥機1は、乾燥風路100の一部、この場合、流入口101側の端部を、サブ排水経路400により構成したものとなっている。サブ排水経路400の下流側の端部は、メイン排水経路7のうち排水弁7aよりも下流側の部分に接続されている。また、サブ排水経路400には、排水弁400aが備えられている。
【0042】
そして、水受け部300は、排水管300aを介してサブ排水経路400のうち排水弁400aよりも下流側の部分に接続されている。そのため、水受け部300によって受けられた除湿水は、排水管300aを介してサブ排水経路400内に流入し、さらに、メイン排水経路7内を流れて機外に排出されるようになっている。
【0043】
第4実施形態によっても、熱交換部200内における空気の熱交換に伴い発生する除湿水を、洗濯乾燥機1が備える排水系統、この場合、メイン排水経路7およびサブ排水経路400を利用して機外に排出することができる。これにより、乾燥風路100内や熱交換部200内に除湿水が残留してしまうことを回避することができ、乾燥性能の低下を抑制することができる。
【0044】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る洗濯乾燥機1は、
図7に例示する乾燥ユニット500Aあるいは
図8に例示する乾燥ユニット500Bを備えている。
【0045】
図7に例示するように、熱交換部200は、乾燥フィルタ105、送風ファン107、ヒータ108とともに乾燥ユニット500Aを構成している。このように構成される乾燥ユニット500Aは、例えば熱交換部200を水槽3の上部に設ける場合に好適である。
【0046】
また、
図8に例示するように、熱交換部200は、乾燥フィルタ105、送風ファン107、ヒータ108とともに乾燥ユニット500Bを構成している。このように構成される乾燥ユニット500Bは、例えば熱交換部200を水槽3の側部に設ける場合に好適である。
【0047】
第5実施形態によれば、熱交換部200を乾燥フィルタ105などといった他の構成要素とともにユニット化することにより、これらの構成要素を外箱2内の限られたスペースにコンパクトに収容することができる。また、熱交換部200を含む複数の構成要素をユニット単位で取り付けることができ、洗濯乾燥機1の製造を、過大な労力を要することなく行うことができる。
【0048】
なお、乾燥ユニット500A,500Bは、少なくとも熱交換部200および乾燥フィルタ105をユニットした構成であればよく、例えば送風ファン107やヒータ108は、必ずしもユニット化されていなくてもよい。また、乾燥ユニット500A,500Bは、さらに他の構成要素、例えば水受け部300などもユニット化した構成であってもよい。また、乾燥フィルタ105は、乾燥ユニット500A,500Bに着脱可能に設けてもよいし、着脱不能に設けてもよい。
【0049】
(第6実施形態)
図9に例示する洗濯乾燥機1は、乾燥風路100の流入口101が接続されている排水経路7の入口部分にダンパ600を備えた構成となっている。この構成によれば、水槽3内に水を溜めた状態で行われる行程、例えば、洗い行程やすすぎ行程においては、ダンパ600により乾燥風路100の入口部分、この場合、排水経路7の入口部分を閉塞することによって、水槽3内の水が乾燥風路100内に浸入することを抑制することができる。また、乾燥行程においては、ダンパ600の開度を調整することによって、水槽3内から乾燥風路100内への空気の流入量、換言すれば、外部への空気の排出量を調整することができ、ひいては、衣類の乾燥効率の調整を行うことができる。
【0050】
なお、洗濯乾燥機1は、乾燥風路100の流入口101にダンパ600を備える構成としてもよい。また、洗濯乾燥機1は、流出口102にもダンパ600を備える構成としてもよい。この構成によれば、乾燥風路100内から水槽3内への空気の流出量も調整することができ、水槽3内への温風の供給量、ひいては、衣類の乾燥効率の調整を一層きめ細かく行うことができる。
【0051】
(第7実施形態)
図10に例示する洗濯乾燥機1は、水槽3に溢水口700が設けられている。溢水口700は、水槽3内の水位が溢水口700の高さを越えるような場合に、水槽3内の水を槽外に排出する。これにより、水槽3内の水位が溢水口700の高さを越えてしまうことを抑制する。溢水口700は、図示しない溢水管を介して排水経路7のうち排水弁7aよりも下流側の部分に接続されている。そのため、溢水口700から排出された水は、排水経路7を介して機外に排出されるようになっている。
【0052】
そして、乾燥風路100内において、熱交換部200は、溢水口700よりも上に設けられている。この場合、熱交換部200は、その全体が溢水口700よりも上に設けられている。
【0053】
この構成によれば、仮に水槽3内の水位が最高水位つまり溢水口700の高さに到達した場合であっても、水槽3に連通する乾燥風路100内に浸入した水の水位も溢水口700の高さに抑えることができる。よって、乾燥風路100内において熱交換部200の高さに水が到達してしまうことを回避することができる。これにより、仮に水槽3内に過剰に水が供給された場合であっても、熱交換部200が水没してしまうことを回避することができ、熱交換部200の熱交換機能が損なわれてしまうことを抑制することができる。なお、熱交換部200は、その一部が溢水口700よりも上に設けられている構成であってもよい。
【0054】
(第8実施形態)
図11に例示する洗濯乾燥機1によれば、乾燥風路100は、流入口101と熱交換部200との間に曲り風路部800を有している。曲り風路部800は、流入口101と熱交換部200との間において上方に延び、溢水口700よりも上方を経由して熱交換部200の除湿経路201の入口201aに接続されている。即ち、乾燥風路100は、その途中に、溢水口700よりも上方を経由する部分、つまり、曲り風路部800を有している。
【0055】
この構成によれば、仮に水槽3内の水位が最高水位つまり溢水口700の高さに到達した場合であっても、水槽3内から乾燥風路100内に浸入した水が曲り風路部800の最高部を越えることを抑制することができる。そのため、熱交換部200に水が到達してしまうことを回避することができる。よって、熱交換部200が水没してしまうことを回避することができ、熱交換部200の熱交換機能が損なわれてしまうことを抑制することができる。なお、曲り風路部800は、滑らかな湾曲状であってもよいし、直角に屈曲した構成であってもよい。
【0056】
(その他の実施形態)
なお、本実施形態は、上述した複数の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や拡張を行うことができる。例えば、洗濯乾燥機1は、上述した複数の実施形態を適宜組み合わせた構成としてもよい。
【0057】
また、熱交換部200は、周知の向流型の全熱交換器で構成してもよいし、周知の直交流型の全熱交換器で構成してもよい。また、熱交換部200は、水槽3の下端よりも低い位置に設けてもよい。洗濯乾燥機1の外箱2内において水槽3の下方には比較的広いスペースを確保しやすい。そのため、水槽3の下端よりも低い位置に熱交換部200を配置する場合には、その熱交換部200の大型化を図りやすくすることができる。そして、熱交換部200を大型化することで熱交換面積の拡大、ひいては、熱交換効率の向上を図ることができる。
【0058】
また、洗濯乾燥機1は、乾燥風路100の内部、例えば、熱交換部200よりも下部を構成する流入口側ダクト104の内部に、熱交換部200から発生した除湿水を受けるタンクを備える構成としてもよい。また、このタンクは、流入口側ダクト104のうちの極力低い位置、例えば、最下部に設けるとよい。また、このタンクを、洗濯乾燥機1が備える排水系統に接続してもよい。これにより、このタンクを、除湿水排出部の一例として機能させることができる。
【0059】
また、本実施形態は、乾燥用の乾燥風路を備える衣類乾燥機であれば、いわゆる縦軸型の洗濯乾燥機に限らず、その他のタイプの乾燥機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥の他、例えば、衣類の消臭、脱臭、除菌、漂白など、衣類に対して何らかの処理を施すことが可能な衣類乾燥機にも適用することができる。
【0060】
以上、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
図面中、1は洗濯乾燥機(衣類乾燥機)、3は水槽(乾燥槽)、7は排水経路、100は乾燥風路、101は流入口、102は流出口、105は乾燥フィルタ(フィルタ)、200は熱交換部、201は除湿経路、202は加熱経路、300は水受け部(除湿水排出部)、500A,500Bは乾燥ユニット、600はダンパ、700は溢水口、を示す。