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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】持運び用収容具
(51)【国際特許分類】
   A45C 3/00 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
A45C3/00 J
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021006605
(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公開番号】P2021129979
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-10-17
(31)【優先権主張番号】P 2020027370
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599064214
【氏名又は名称】株式会社セガフェイブ
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 奈緒子
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0231045(US,A1)
【文献】米国特許第08674211(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0239625(US,A1)
【文献】米国特許第09474981(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0160188(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0140331(US,A1)
【文献】米国特許第06870089(US,B1)
【文献】米国特許第09215914(US,B2)
【文献】登録実用新案第3130442(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第107866077(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人、キャラクター又は動物からなる対象を模した外観を有する持運び用収容具であって、
収容部を有する収容具本体と、
前記収容具本体が前記対象を模した外観となるように該収容具本体の外面側に設けられた一又は複数のパーツと、
前記収容具本体がさも生きているように少なくとも一部の前記パーツを動作可能とする可動機構と、
前記可動機構を介して前記パーツを駆動させる電動アクチュエータと、
前記電動アクチュエータに電力を供給するバッテリと、
前記バッテリと前記電動アクチュエータとを電気的に接続する接続配線とを備え、
前記収容具本体は、前記収容部の少なくとも一部を覆うカバー体を有し、
前記カバー体は、フレキシブルに変形可能なシート材を複数重ねて構成され、
前記接続配線の少なくとも一部は、重ねられた前記シート材の間に形成された配線スペースに配置され
前記収容具本体は、その内部に前記収容部が形成されるように前記カバー体によって袋状に形成された収容袋と、前記収容袋に形成された開口部を開閉可能にカバーし且つ前記カバー体によって構成されたカバー蓋とを有し、
前記カバー蓋の外面側には前記パーツが配置され、
前記カバー蓋のカバー体を構成するシート材の間に、前記配線スペースが形成され
ことを特徴とする持運び用収容具。
【請求項2】
前記バッテリは前記収容部に収容された
請求項1に記載の持運び用収容具。
【請求項3】
前記バッテリを位置決めして収容する位置決めポケットが、前記収容部の内壁面側に設けられた
請求項2に記載の持運び用収容具。
【請求項4】
前記電動アクチュエータを介して前記パーツの動作を制御する制御部を備え、
前記バッテリと、前記可動機構の少なくとも一部又は前記制御部の少なくとも一方とをユニット化して前記収容部に収容した
請求項2又は3の何れかに記載の持運び用収容具。
【請求項5】
前記カバー蓋は、その少なくとも一部が前記収容袋の正面側に位置するように設けられ、
前記カバー蓋の前記収容袋の正面側に位置する部分には前記パーツが配置された
請求項に記載の持運び用収容具。
【請求項6】
前記対象が動物であり、
前記カバー蓋における前記収容袋の正面側に配置される前記パーツは、前記動物の一対の目であり、
前記収容袋の側面側に配置されるパーツは、前記動物の尻尾である
請求項に記載の持運び用収容具。
【請求項7】
前記カバー蓋のカバー体を構成するシート材の間に形成された前記配線スペースには、前記バッテリが配置された
請求項に記載の持運び用収容具。
【請求項8】
前記カバー蓋のカバー体を構成するシート材の間に形成された前記配線スペースには、前記バッテリと、前記可動機構と、前記電動アクチュエータと、前記接続配線とがユニット化された状態で配置され、
前記可動機構によって動作する前記パーツが、前記カバー蓋の外面側に配置された
請求項に記載の持運び用収容具。
【請求項9】
前記対象が動物であり、
前記カバー蓋に配置される前記パーツは、前記動物の一対の目及び尻尾である
請求項に記載の持運び用収容具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人、キャラクター又は動物からなる対象を模した外観を有する持運び用収容具に関する。
【背景技術】
【0002】
ショルダーバッグ、リュックサック、トートバッグ、ブリーフケース、手提げバッグ又は手提げ袋等の持運び用収容具にエンターテインメント性を持たせるため、人、キャラクター又は動物からなる対象を模した外観を有する持運び用収容具が従来公知である。具体的には、持運び用収容具が、収容部を有する収容具本体と、その外観が前記対象を模した外観となるように前記収容具本体の外面側に設けられた一又は複数のパーツとを備えている。さらに、前記対象である人、キャラクター又は動物の表情が変更できるように、前記パーツを交換可能に構成した持運び用収容具も公知になっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
上記文献の持運び用収容具は、対象となる人、キャラクター又は動物の表情が変わるため、エンターテインメント性が若干向上するものの、近年では、さらに高いエンターテインメント性が求められるのが現状である。そこで、少なくとも一部のパーツを動作可能とし、該パーツを電動アクチュエータによって駆動させれば、対象となる人、キャラクター又は動物が生きているように振る舞うため、ユーザが求めるエンターテインメント性を満足させることも十分に可能である。
【0004】
しかし、このような機能を実現させるためには、収容部に物を収容する際に、電動アクチュエータへの配線が邪魔になる等、電動アクチュエータを設けることによって、収容具本体の本来の機能が損なわれることを防止する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3133151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、人、キャラクター又は動物からなる対象を模した外観を有する持運び用収容具において、該対象が生きているように電動アクチュエータによって動作可能とするにあたり、収容具本体の本来の機能が損なわれないようにした持運び用収容具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、人、キャラクター又は動物からなる対象を模した外観を有する持運び用収容具であって、収容部を有する収容具本体と、前記収容具本体が前記対象を模した外観となるように該収容具本体の外面側に設けられた一又は複数のパーツと、前記収容具本体がさも生きているように少なくとも一部の前記パーツを動作可能とする可動機構と、前記可動機構を介して前記パーツを駆動させる電動アクチュエータと、前記電動アクチュエータに電力を供給するバッテリと、前記バッテリと前記電動アクチュエータとを電気的に接続する接続配線とを備え、前記収容具本体は、前記収容部の少なくとも一部を覆うカバー体を有し、前記カバー体は、フレキシブルに変形可能なシート材を複数重ねて構成され、前記接続配線の少なくとも一部は、重ねられた前記シート材の間に形成された配線スペースに配置されたことを特徴とすることを特徴とする。
【0008】
前記バッテリは前記収容部に収容されたものとしてもよい。
【0009】
前記バッテリを位置決めして収容する位置決めポケットが、前記収容部の内壁面側に設けられたものとしてもよい。
【0010】
前記電動アクチュエータを介して前記パーツの動作を制御する制御部を備え、前記バッテリと、前記可動機構の少なくとも一部又は前記制御部の少なくとも一方とをユニット化して前記収容部に収容したものとしてもよい。
【0011】
前記収容具本体は、その内部に前記収容部が形成されるように前記カバー体によって袋状に形成された収容袋と、前記収容袋に形成された開口部を開閉可能にカバーし且つ前記カバー体によって構成されたカバー蓋とを有し、前記カバー蓋の外面側には前記パーツが配置され、前記カバー蓋のカバー体を構成するシート材の間に、前記配線スペースが形成されたものとしてもよい。
【0012】
前記カバー蓋は、その少なくとも一部が前記収容袋の正面側に位置するように設けられ、前記カバー蓋の前記収容袋の正面側に位置する部分には前記パーツが配置されたものとしてもよい。
【0013】
前記対象が動物であり、前記カバー蓋における前記収容袋の正面側に配置される前記パーツは、前記動物の一対の目であり、前記収容袋の側面側に配置されるパーツは、前記動物の尻尾であるものとしてもよい。
【0014】
前記カバー蓋のカバー体を構成するシート材の間に形成された前記配線スペースには、前記バッテリが配置されたものとしてもよい。
【0015】
前記カバー蓋のカバー体を構成するシート材の間に形成された前記配線スペースには、前記バッテリと、前記可動機構と、前記電動アクチュエータと、前記接続配線とがユニット化された状態で配置され、前記可動機構によって動作する前記パーツが、前記カバー蓋の外面側に配置されたものとしてもよい。
【0016】
前記対象が動物であり、前記カバー蓋に配置される前記パーツは、前記動物の一対の目及び尻尾であるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
収容部を覆うカバー体が重ねられた複数のシート材によって構成され、重ねられたシート材の間に、電動アクチュエータへの配線スペースが確保されているため、人、キャラクター又は動物からなる対象を模した外観を有する持運び用収容具において、該対象が生きているように電動アクチュエータによって動作可能とするにあたり、収容具本体の本来の機能が損なわれないようにすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明を適用したバッグの正面図である。
図2】本発明を適用したバッグの側面図である。
図3】(A)乃至(C)は、夫々対象である猫の異なる表情を示している。
図4】収容具本体の要部平断面図である。
図5】カバー蓋を開いた状態の要部正面図である。
図6】(A),(B)は位置決めポケットの要部平断面図及び正面図である。
図7】配線スペースの構成を示す断面図である。
図8】制御部の構成を示すブロック図である。
図9】本発明の別実施形態に係る配線スペースの構成を示す断面図である。
図10】本発明の別実施形態に係るカバー蓋を開いた状態の要部正面図である。
図11】本発明の別実施形態に係る収容ポケットの構成を示す平断面図である。
図12】本発明の別実施形態に係る収容袋の要部平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図2は本発明を適用したバッグの正面図及び側面図である。持運び用収容具の一種であるバッグは、ショルダーバッグ及び手提げバッグの2通りの使用方法があり、人、キャラクター又は動物である対象に模した外観を有している。具体的な構成について説明すると、本例では、バッグが猫の外観を有している。言い換えると、前記対象が猫に設定されている。
【0020】
このバッグは、その内部に小物や大物を収容する空間である収容スペース(収容部)S(図4参照)が形成された収容具本体1と、前記収容具本体1が前記対象を模した外観を有するように該収容具本体1の外面側に設けられた一又は複数のパーツと、前記対象を模した外観を有する収容具本体1がさも生きているように少なくとも一部のパーツである動作パーツを動作可能とする可動機構2(図8参照)と、該可動機構2によって動作パーツを駆動させる電動モータ又は電動シリンダ等の電動アクチュエータ3(図8参照)と、該電動アクチュエータ3等に電力を供給するバッテリ4(図8参照)と、電動アクチュエータ3とバッテリ4と電気的に接続する出力側接続配線(接続配線)5(図8参照)と、電動アクチュエータ3による駆動の制御を行うマイコン等が構成された制御部6(図8参照)とを備えている。
【0021】
前記パーツとしては,猫の左右一対の耳7,7、左右一対の眼球8a,8aと、左右の眼球8a,8a毎に設けられた目蓋8b,8bと、鼻9と、口11と、尻尾12とが設けられている。猫の目8は、眼球8aと目蓋8bによって構成されている。猫の顔は、耳7,7と目8,8と鼻9と口11とによって構成されている。
【0022】
前記動作パーツは耳7と眼球8aと目蓋8bと尻尾12になり、該動作パーツ以外のパーツである鼻9及び口11が静止パーツになる。
【0023】
対象である猫にさらに似せるため、収容具本体1の外面における正面、上面及び背面からなる対象面における目8及び鼻9以外の部分には無数の図示しない毛が設けられている。また、尻尾12の全体にも無数の図示しない毛を設け、収容具本体1の外観を前記対象である猫にさらに似せている。
【0024】
図3(A)乃至(C)は、夫々対象である猫の異なる表情を示している。眼球8aを左右上下に動作させ、目蓋8bによって目8の見開き具合を0%(閉じた状態)から100%(最大限見開いた状態)の範囲で変更することによって、対象である猫の表情を様々に変更して喜怒哀楽を表現する。例えば、図3(A)に示す例は猫が恋に落ちた表情を示し、(B)に示す例は猫の機嫌が良い表情を示し、(C)に示す例は猫の機嫌が悪い表情を示している。
【0025】
尻尾12は、対象である猫の尻尾の動きを模して動作させる。左右の耳7,7は、個別に、対象である猫の耳の動きを模して動作させる。
【0026】
なお、パーツのうちで動作パーツとするものは、前記対象に応じて適宜定めることが可能であり、その動作の内容も前記対象に応じて適宜定める。
【0027】
このような構成によれば、対象である猫を模した外観を有するバッグ(収容具本体1)が、目8を閉じる動作や、目8の視線を変更する動作や、尻尾12を振る動作や、耳7を動かす動作を行い、さも生きているような動きをするため、エンターテインメント性が高い。
【0028】
次に、図1図2図4図5及び図6に基づいて収容具本体の構成を詳述する。
【0029】
図4は収容具本体の要部平断面図であり、図5はカバー蓋を開いた状態の要部正面図である。収容具本体1は、フレキシブルに変形可能なカバーシート(カバー体)13によって収容スペースSの周囲を囲繞し且つその下方も覆う有底の四角柱状をなす袋体(袋状)に形成された収容袋14と、該カバーシート13によって構成され且つ前記収容袋14の上方に開口された開口部S1を直上から覆って開閉可能にカバーするカバー蓋16とを備えている。
【0030】
カバーシート13は、フレキシブルに変更可能であって且つ同一形状に形成された複数(図示する例では2つ)のシート材17,17同士を、周縁部が全体に亘り一致するように重ね、該周縁部同士を縫合、接合又は接着等によって固定することにより構成されている。各シート材17は皮、合皮、合成樹脂又は布等から構成されている。
【0031】
収容袋14は、一方向に長いカバーシート13であるメインシート13Aを側面視で上方が開放されたコの字をなし且つ該コの字の後ろ側の一端が、前側の他端に対して長くなる形状に折り曲げる。この状態のカバーシート13における前後に対向した部分の左右の縁側同士の間に、メインシート13Aとは別のカバーシート13であって且つ側面視で方形状に形成されたサイドシート13Bを夫々介在させる。
【0032】
この状態で、左右のサイドシート13B,13Bの前後の縁部及び下縁部を、メインシート13Aの左右のコの字状の縁部にそれぞれ縫合、接合又は接着等させて固定することによって、収容袋14及びカバー蓋16を一体的に形成している。メインシート13Aとサイドシート13Bとの固定は、互いの縁部同士を重ね、その重ねた部分を、平断面視で左右内側が開放されたU字状をなして上下方向に延びる固定シート18の内部に挿入し、まとめて縫合、接合又は接合等によって固定させる。固定シート18は、シート材17と同一の材料によって構成されている。
【0033】
上記構成によれば、収容袋14は、メインシート13Aの前後の対向した部分と、左右のサイドシート13Bとによって、平断面視で方形枠状をなし且つ有底で上方が開放された形状に成形される。カバー蓋16は、収容袋14の後端縁から一体的に延接された方形状の部分によって構成される。
【0034】
このカバー蓋16は、側面視でL字状に折り曲げ自在であり、収容袋14の上方に開放された開口部S1を開閉するものである。
【0035】
閉状態のカバー蓋16は、収容袋14の直上をカバーして塞ぐとともに、収容袋14の直上に位置しない残りの部分は収容袋14の正面側に重ねる。カバー蓋16における収容袋14に重ねた部分は、固定具19a,19bによって、互いが着脱可能に固定される該収容袋14の正面側に係脱可能に係止させる。この一対の固定具19a,19bは、円形板状等に形成され、カバー蓋16の収容スペースSと接する側の面である内面側と、収容袋14の正面側とに夫々設けられ、磁石によって互いが着脱可能に吸着固定される。
【0036】
一方、磁力に抗して、固定具19a,19b同士を離間させてカバー蓋16の固定を解除し、該カバー蓋16を後方に曲げて平面視で開口部S1から退避させることにより、該開口部S1(前記収容スペースS)が上方に開放させた開状態になる。
【0037】
このように構成される収容具本体1の収容袋14の左右の側面の一方に、前記尻尾12が可動自在に設けられている。また、前記閉状態のカバー蓋16において収容袋14の正面側に位置する部分の外面側には、前記対象である猫の顔を構成するパーツ7,8a,8b,9,11が設けられている。
【0038】
また、カバー蓋16の内面側には、該カバー蓋16を構成する複数のシート材17,17の間の空間にアクセスする開閉口20が形成されている。この開閉口20はファスナー21によって開閉される。
【0039】
また、収容袋14の左右の夫々の上縁部には、左右回動自在に三角カンからなる係止リング22が取り付けられている。帯状に形成され且つ肩に掛けるショルダーベルト23の両側の各端部には、長円形のリング状に形成された金具25を介して、ナスカン24が回転自在に取り付けられている。この両側のナスカン24を、左右の対応する係止リング22にそれぞれ係脱可能に係止させて該ショルダーベルト23を収容具本体1に装着させることによって、バッグがショルダーバッグとして機能する。
【0040】
一方、閉状態のカバー蓋16の上面には、正面視で、逆U字状に形成された持ち手26が設けられている。バッグは、前記持ち手26によって、手提げかばんとしても機能している。
【0041】
図6(A),(B)は位置決めポケットの要部平断面図及び正面図である。図4及び図6に示す通り、前記収容スペースSには、上方が開放された2つのポケット27,28が設けられている。一方のポケット27は小物等を入れる収容ポケットであり、他方のポケット28は収容袋14に設けられた尻尾12に近い側に設けられた位置決めポケットである。
【0042】
この2つのポケット27,28は、一枚のシート17を曲げるか、或いは複数のシート17を縫合等して組み合わせ、平面視でコの字状に形成されている。
【0043】
収容ポケット27は、収容スペースSの左右における尻尾12から離れた箇所であって且つ後方側に配置されている。言い換えると、収容ポケット27は、収容袋14の内壁面(収容スペースSを構成する内壁面)における尻尾12から離れた箇所に設けられている。
【0044】
この収容ポケット27は、平面視で後方が開放されたコの字状に形成され、該コの字形状の一端部がカバーシート13と共に固定シート19の内部に挿入されて縫合、接合又は接着等により固定され、他端部が該収容ポケット27の内側に曲げ形成され、収容袋14の後方側の内壁面に縫合、接合又は接着等で固定されている。
【0045】
位置決めポケット28は、収容スペースSの左右における尻尾12に近い箇所に配置されている。言い換えると、位置決めポケット28は、収容袋14の内壁面(収容スペースSを構成する内壁面)における尻尾12に最も近い箇所に設けられている。
【0046】
この位置決めポケット28は、一又は複数のシート材17によって構成されている。具体的には、一枚のシート材17を曲げ形成することや、複数のシート材17を縫合、接合又は接着等によって固定することによって、位置決めポケット28を上下方向に延びるチャネル形状に成形している。このような形状をなした状態の位置決めポケット28における上下方向に延びる一対の縁部を、収容袋14における尻尾12側の内壁面の前後に夫々位置させ、その夫々がカバーシート13と共に固定シート18の内部に挿入されて縫合、接合又は接着等により固定されている。チャネル状の位置決めポケット28と、収容袋14の内壁面との間には、四方が囲繞され且つ上方が開放された空間が形成されている。この空間の開放された上方の部分は、一枚のシート材17によって構成される開閉蓋29によって開閉可能に塞がれる。閉状態の開閉蓋29は面ファスナー31a,31b同士の着脱自在に係合によって、位置決めポケット28側に固定される。
【0047】
この位置決めポケット28によって形成された前記空間には、前記バッテリ4を含むユニットケース32が位置決めして収容される。ユニットケース32の詳細については後述する。
【0048】
次に、図7及び図8に基づいて制御部6の構成を詳述する。
【0049】
図7は配線スペースの構成を示す断面図であり、図8は制御部の構成を示すブロック図である。前記可動機構2は、上述した可動パーツ7,8a,8b,12毎に設けられ、上述した所望の動作を実現させる。各可動機構2は電動アクチュエータ3によって駆動される。電動アクチュエータ3は、出力側接続配線5によって、制御部6の出力側に電気的に接続されるとともに、バッテリ4にも電気的に接続可能になる。
【0050】
ちなみに、該バッテリ4は、充電可能な二次電池を用いてもよいし、或いは乾電池等の一次電池を用いてもよく、このバッテリ4からの電力は制御部6にも供給される。
【0051】
さらに、制御部6の出力側には、出力側接続配線5を介して、スピーカ33が接続されている。該スピーカ33にも出力側接続配線5を介してバッテリ4からの電力が供給される。このスピーカ33によって前記対象である猫の甘えた鳴き声、怒った鳴き声、何かを要求する鳴き声等を出力する。
【0052】
一方、制御部6の入力側には、入力側接続配線(接続配線)34を介して、前記対象である猫の所定部位を撫でることや声をかけること等の所有者側からの所定の入力を検出する入力手段である入力センサ36が接続されている。例えば、画像が入力になるのであれば、カメラが前記入力センサ36になり、声が入力になるのでれば、マイクが前記入力センサ36になり、所定の部位の撫でる動作が入力になるのであれば、該部位に設けられたタッチセンサが前記入力センサ36になる。ちなみに、入力側接続配線34にも、バッテリ4からの電力が供給される。
【0053】
また、制御部6の入力側には、入力側接続配線34を介して、検出スイッチやポテンショメータやエンコーダ等によって可動機構2の可動状態を検出する可動状態検出手段である可動状態検出センサ37が接続されている。この可動状態検出センサ37の検出結果を利用すれば、眼球8a及び目蓋8bの動作位置や、耳7の姿勢や、尻尾12の姿勢又は形状等を、制御部6に認識させることが可能になる。なお、電動アクチュエータ3としてステッピングモータを用いれば、それ自体によってパーツ7,8a,8b,12の可動状態を制御部6に認識させることが可能になり、この場合には可動状態検出センサ37を省略可能になる。
【0054】
さらに、制御部6には、通信側接続配線38を介して、無線通信インターフェース39が入出力可能に接続されている。この無線通信インターフェース39によって、前記対象である猫の外観を模したバッグ同士の無線通信を可能としている。この無線通信によって、バッグ同士が近づいた際に、少なくとも一方のバッグの動作パーツ7,8a,8b,12の少なくとも一部を動作させるか、或いはスピーカ33から所定の音を出力させることにより、該バックに擬態化された猫を、さも反応したかのように振る舞わせることが可能になる。
【0055】
このような制御部6の構成によって、対象である猫を模したバッグを、所有者の声や動作に応じて、より生きているように動作させることが可能になり、所有者のバッグへの愛着も高まる。
【0056】
出力側接続配線5、入力側接続配線34及び通信側接続配線38は、バッグの外側に露出している場合には外観を損なう一方で、スペースS側に露出している場合には収容スペースSへの出し入れの際、バッグの使用時に邪魔になる。これを防止するため、出力側接続配線5、入力側接続配線34及び通信側接続配線38を、収容具本体1のカバーシート13を構成するように重ねられた複数のシート材17,17の間に配置する。すなわち、シート材17,17の間の空間Rが、出力側接続配線5及び入力側接続配線34の一部又は全部が配置される配線スペースとなる。
【0057】
例えば、前記ユニットケース32は直方体状に成形され、その内部には、バッテリ4と、制御部6と、スピーカ33及び該スピーカ33用の出力側接続配線5と、マイク等の入力センサ36及び該入力側接続配線34と、通信側接続配線38及び無線通信インターフェース39と、尻尾12用の可動機構2の少なくとも一部と、尻尾12用の電動アクチュエータ3とがユニット化された状態で収容されている。
【0058】
一方、カバー蓋16側には、眼球8a及び目蓋8bの夫々のために設けられた可動機構2、電動アクチュエータ3及び可動状態検出センサ37が配置されている。また、場合によっては、入力センサ36も、カバー蓋16側における前記配線スペースRに配置される。
【0059】
これらの電動アクチュエータ3及び入力センサ36と、ユニットケース32の制御部6とを電気的に接続させる接続配線5,34の一部又は全部が、カバー蓋16のカバーシート13を構成するシート材17,17の間に配置されている。また、これらの接続配線5,34は、収容袋14の背面部を構成するカバーシート13に含まれたシート材17,17の間に配置してもよい。
【0060】
ちなみに、カバー蓋16に形成された配線スペースRには、前記開閉口20からアクセスすることが可能である。
【0061】
以上のように構成されるバッグによれば、接続配線5,34が収容スペースS側に露出することや、収容具本体1の外部に露出することを防止した状態で、電動アクチュエータ3、入力センサ36及び可動状態検出センサ37を、バッグの所望の箇所に自由度高く配置することが可能になる。この結果として、パーツの配置の自由度も高くなるため、人、動物又はキャラクター等の様々なものを対象として選択可能になる。
【0062】
また、接続配線5,34がシート材17,17の配線スペースRに隠れた状態になるため、断線等も効率的に防止される。
【0063】
なお、持運び用収容具として、ショルダーバッグや手提げバッグを例に説明したが、発明は、勿論、これらに限定されるものではなく、リュックサック、トートバッグ、ブリーフケース、手提げ袋等の種々のものに適用可能である。
【0064】
また、ユニットケース32にユニット化して収容させた部品の一部を、それ以外の箇所に配置してもよい。例えば、スピーカ33を、ユニットケース32以外の聞こえ易い箇所に配置することや、マイク36を、ユニットケース32以外の集音し易い箇所に配置することや、無線通信インターフェース39を、ユニットケース32以外の電波障害を発生し難い箇所に配置することが考えられる。この場合、これらを制御部6に接続する接続配線5,34,38を、カバーシート13を構成するシート材17,17の間に配置することになる。
【0065】
次に、図9に基づいて、本発明の別実施形態について上述の形態と異なる部分を説明する。
【0066】
図9は、本発明の別実施形態に係る配線スペースの構成を示す断面図である。上述した実施形態では、カバー蓋16のカバーシート13を2枚のシート材17,17によって構成したが、本実施形態では、3枚のシート材17,17,17を重ね合わせて前記カバーシート13を構成している。
【0067】
この場合には、前記カバーシート13の内部において、外側のシート材17と中間のシート材17との間に形成された空間が、前記配線スペースR1になり、内側のシート材17と中間のシート材17との間に形成された空間が、開閉口20からアクセス可能な空間は小物を入れスペースR2になる。このように、一のカバーシート13において、重ねるシート材17の枚数を増やすことになり、隔てられた空間の数を増やすことも可能である。
【0068】
次に、図10乃至図12に基づいて、本発明の別実施形態について上述の形態と異なる部分を説明する。
【0069】
図10は本発明の別実施形態に係るカバー蓋を開いた状態の要部正面図である。同図に示す形態では、カバー蓋16のカバーシート13を構成するシート材17,17の間に形成された配線スペースRには、可動機構2と、電動アクチュエータ3と、バッテリ4と、バッテリ4及び電動アクチュエータ3を互いに電気的に接続する出力側接続配線5とがユニット化された状態で収容されている。
【0070】
具体的には、可動機構2と、電動アクチュエータ3と、バッテリ4とを電気的に接続する出力側接続配線5とは、ユニットケース32に収容されることによって、ユニット化されている。
【0071】
カバー蓋16において開口部S1を塞いだ状態時に収容袋14の正面と近接又は接触する側である内側のシート材17には、配線スペースRに収容されたユニットケース32の一部を外部に露出させる露出孔16aが開口形成されている。この露出孔16aからユニットケース32にアクセスし、電源のON/OFFを行う他、該ユニットケース32の図示しない開閉カバーを開き、該ユニットケース32の内部に収容された上述の各種の部品に対して交換やメンテナンス等を行う。
【0072】
この他、対象となる猫等の姿を模すため、カバー蓋16の内側のシート材17における配線スペースRと接しない側の面である外面の全体には、図示しない無数の毛が設けられ、該シート材17の外面の先端寄り部分の左右の夫々の箇所には、上述の固定具19b,19bが設けられている。これに対応して収容具本体1の正面の対応する左右の位置にも固定具19a,19aが夫々設けられている。
【0073】
カバー蓋16において開口部S1を塞いだ状態時に収容袋14の正面と近接又は接触しない側である外側のシート材17には、図示しない無数の毛と、パーツの一種である目8等が設けられている。
【0074】
さらに詳しく説明すると、この外側のシート材17の配線スペースRに接しない側の面である外面における前記露出孔16a以外の部分の全体には無数の毛が設けられる。外側のシート材17の外面の左右一方寄り部分には、左右一対の耳7,7と、左右一対の目8,8と、鼻9と、口11とが設けられて猫の顔を構成している。これに対して、該外面の左右他方側の端部には、尻尾12が設けられている。
【0075】
耳7を動作させる可動機構2と、眼球8aを動作させる可動機構2と、目蓋8bを動作させる可動機構2と、尻尾12を動作させる可動機構2とは、全て、カバー蓋16のカバーシート13を構成するシート材17,17の間に形成された配線スペースRに配置されている。これらの複数の可動機構2の一部又は全部は上述したユニットケース32側に配置している。ユニットケース32側に配置された可動機構2の少なくとも一部は該ユニットケース32の内部に収容されている。
【0076】
ちなみに、本例では、耳7、眼球8a及び目蓋8bを動作させる可動機構2をユニットケース32側に配置している。また、カバー蓋16のカバーシート13を構成するシート材17,17の間に形成された配線スペースRには、入力センサ36及びそれに対応する入力側接続配線34と、可動状態検出センサ37及び入力側接続配線34と、無線通信インターフェース39及びそれに対応する通信側接続配線38とが配置されている。
【0077】
すなわち、本実施形態では、電装類や作動する部品を、カバー蓋16側に集中配置し、その他の部分の構成を簡略化している。
【0078】
図11は本発明の別実施形態に係る収容ポケットの構成を示す平断面図である。同図に示す通り、収容ポケット27は、フレキシブルに変形するシート材17によって構成され、その収容スペースは図4に示す例よりも小さめに設定された板状の空間から構成されている。
【0079】
なお、図示する例では、収容具本体1を構成するカバーシート13を複数毎重ねたシート材17,17によって構成しているが、電装類や作動する部品をカバー蓋16側に集中配置しているため、該カバーシート13を単一のシート材17によって構成することも可能である。
【0080】
図12は本発明の別実施形態に係る収容袋の要部平断面図である。本形態では、バッテリ4を収容具本体1の内部にも配置してもよいが、カバー蓋16側のバッテリ4で全てを賄い、収容具本体1側のバッテリ4を省略してもよい。この場合、図12に示す通り、位置決めポケット28も収容具本体1から省略可能になる。
【符号の説明】
【0081】
1 収容具本体
2 可動機構
3 電動アクチュエータ
4 バッテリ
5 出力側接続配線(接続配線)
6 制御部
7 耳(パーツ,停止パーツ)
8a 眼球(パーツ,動作パーツ)
8b 目蓋(パーツ,動作パーツ)
9 鼻(パーツ,停止パーツ)
11 口(パーツ,停止パーツ)
12 尻尾(パーツ,動作パーツ)
13 カバーシート(カバー体)
14 収容袋
16 カバー蓋
17 シート材
28 位置決めポケット
34 出力側接続配線(接続配線)
S 収容スペース(収容部)
S1 開口部
R 配線スペース
R1 配線スペース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12