IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友重機械工業株式会社の特許一覧

特許7569225荷取支援装置、搬送装置、荷取支援方法及び荷取支援プログラム
<>
  • 特許-荷取支援装置、搬送装置、荷取支援方法及び荷取支援プログラム 図1
  • 特許-荷取支援装置、搬送装置、荷取支援方法及び荷取支援プログラム 図2
  • 特許-荷取支援装置、搬送装置、荷取支援方法及び荷取支援プログラム 図3
  • 特許-荷取支援装置、搬送装置、荷取支援方法及び荷取支援プログラム 図4
  • 特許-荷取支援装置、搬送装置、荷取支援方法及び荷取支援プログラム 図5
  • 特許-荷取支援装置、搬送装置、荷取支援方法及び荷取支援プログラム 図6
  • 特許-荷取支援装置、搬送装置、荷取支援方法及び荷取支援プログラム 図7
  • 特許-荷取支援装置、搬送装置、荷取支援方法及び荷取支援プログラム 図8
  • 特許-荷取支援装置、搬送装置、荷取支援方法及び荷取支援プログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】荷取支援装置、搬送装置、荷取支援方法及び荷取支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20241009BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20241009BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241009BHJP
【FI】
B66F9/24 L
G06T7/70 Z
G06T7/00 350C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021007701
(22)【出願日】2021-01-21
(65)【公開番号】P2022112068
(43)【公開日】2022-08-02
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 美徳
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-225453(JP,A)
【文献】特開2020-023397(JP,A)
【文献】特開2020-111400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-11/04
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔部を有する荷役台の二次元画像を取得する2D撮像手段と、
前記荷役台の三次元画像を取得する3D撮像手段と、
前記二次元画像及び前記三次元画像に基づいて、前記荷役台の前記孔部を検出する検出手段と、
前記荷役台のサイズ情報又は形状情報を取得する情報取得手段と、
を備え
前記検出手段は、
前記三次元画像から前記荷役台の深度情報を取得し、当該深度情報に基づいて前記荷役台の位置及び姿勢を算出し、
前記情報取得手段が取得した前記荷役台のサイズ情報又は形状情報に基づいて、算出した前記荷役台の位置及び姿勢を補正する、
荷取支援装置。
【請求項2】
前記二次元画像から、前記孔部を含む対象領域を抽出する対象領域抽出手段を備え、
前記検出手段は、
前記対象領域から、前記荷役台の保持に関する特徴部分を抽出し、
前記特徴部分の深度情報に基づいて、前記荷役台の位置及び姿勢を算出する、
請求項1に記載の荷取支援装置。
【請求項3】
前記特徴部分は、前記孔部を含む平面部分、又は、前記平面部分のうち前記孔部を画成する周囲部分である、
請求項2に記載の荷取支援装置。
【請求項4】
前記対象領域抽出手段は、ニューラルネットワークを用いて前記対象領域を抽出する、
請求項2又は請求項3に記載の荷取支援装置。
【請求項5】
前記荷役台を保持する保持部の位置及び姿勢の情報を取得する取得手段を備え、
前記検出手段は、
前記荷役台の位置及び姿勢と、前記保持部の位置及び姿勢とに基づいて、前記保持部が前記孔部に挿入可能か否かを算出する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の荷取支援装置。
【請求項6】
前記孔部への前記保持部の挿入可否を表示する表示手段を備える、
請求項5に記載の荷取支援装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の荷取支援装置と、
前記荷役台を保持する保持部と、を備える、
搬送装置。
【請求項8】
制御手段が、
孔部を有する荷役台の二次元画像を取得する2D撮像工程と、
前記荷役台の三次元画像を取得する3D撮像工程と、
前記二次元画像及び前記三次元画像に基づいて、前記荷役台の前記孔部を検出する検出工程と、
前記荷役台のサイズ情報又は形状情報を取得する情報取得工程と、
を実行し、
前記検出工程では、
前記三次元画像から前記荷役台の深度情報を取得し、当該深度情報に基づいて前記荷役台の位置及び姿勢を算出し、
前記情報取得工程で取得した前記荷役台のサイズ情報又は形状情報に基づいて、算出した前記荷役台の位置及び姿勢を補正する、
荷取支援方法。
【請求項9】
コンピュータを、
孔部を有する荷役台の二次元画像を取得する2D撮像手段、
前記荷役台の三次元画像を取得する3D撮像手段、
前記二次元画像及び前記三次元画像に基づいて、前記荷役台の前記孔部を検出する検出手段、
前記荷役台のサイズ情報又は形状情報を取得する情報取得手段、
として機能させ
前記検出手段は、
前記三次元画像から前記荷役台の深度情報を取得し、当該深度情報に基づいて前記荷役台の位置及び姿勢を算出し、
前記情報取得手段が取得した前記荷役台のサイズ情報又は形状情報に基づいて、算出した前記荷役台の位置及び姿勢を補正する、
荷取支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷取支援装置、搬送装置、荷取支援方法及び荷取支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォークリフトでの荷役作業では、運転者(作業者)が目視によりパレットの孔部(フォークポケット)を確認し、この孔部へのフォークの挿入可否を判断していた。そのため、特にパレットが目視しづらい位置に置かれている場合などには、予測を頼りにフォークを挿入しなければならなかった。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に記載の技術では、フォークリフトに搭載した撮像装置(三次元センサ)でパレットの画像を取得し、この画像に基づいてパレットの種別とその孔部へのフォークの挿入可否を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6649796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、三次元センサではデータを上手く取得できない場合があり、その場合には処理に支障をきたす。
そこで、本発明は、演算処理のロバスト性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る荷取支援装置は、
孔部を有する荷役台の二次元画像を取得する2D撮像手段と、
前記荷役台の三次元画像を取得する3D撮像手段と、
前記二次元画像及び前記三次元画像に基づいて、前記荷役台の前記孔部を検出する検出手段と、
前記荷役台のサイズ情報又は形状情報を取得する情報取得手段と、
を備え
前記検出手段は、
前記三次元画像から前記荷役台の深度情報を取得し、当該深度情報に基づいて前記荷役台の位置及び姿勢を算出し、
前記情報取得手段が取得した前記荷役台のサイズ情報又は形状情報に基づいて、算出した前記荷役台の位置及び姿勢を補正する
【0007】
本発明に係る搬送装置は、
上記荷取支援装置と、
前記荷役台を保持する保持部と、を備える。
【0008】
本発明に係る荷取支援方法は、
制御手段が、
孔部を有する荷役台の二次元画像を取得する2D撮像工程と、
前記荷役台の三次元画像を取得する3D撮像工程と、
前記二次元画像及び前記三次元画像に基づいて、前記荷役台の前記孔部を検出する検出工程と、
前記荷役台のサイズ情報又は形状情報を取得する情報取得工程と、
を実行し、
前記検出工程では、
前記三次元画像から前記荷役台の深度情報を取得し、当該深度情報に基づいて前記荷役台の位置及び姿勢を算出し、
前記情報取得工程で取得した前記荷役台のサイズ情報又は形状情報に基づいて、算出した前記荷役台の位置及び姿勢を補正する
【0009】
本発明に係る荷取支援プログラムは、
コンピュータを、
孔部を有する荷役台の二次元画像を取得する2D撮像手段、
前記荷役台の三次元画像を取得する3D撮像手段、
前記二次元画像及び前記三次元画像に基づいて、前記荷役台の前記孔部を検出する検出手段、
前記荷役台のサイズ情報又は形状情報を取得する情報取得手段、
として機能させ
前記検出手段は、
前記三次元画像から前記荷役台の深度情報を取得し、当該深度情報に基づいて前記荷役台の位置及び姿勢を算出し、
前記情報取得手段が取得した前記荷役台のサイズ情報又は形状情報に基づいて、算出した前記荷役台の位置及び姿勢を補正する
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、演算処理のロバスト性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るフォークリフトの外観を示す斜視図である。
図2】実施形態に係るフォークリフトの概略の制御構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係るパレットの位置・姿勢算出処理の流れを示すフローチャートである。
図4】実施形態に係るパレットの位置・姿勢算出処理を説明するための図である。
図5】実施形態に係るパレットの位置・姿勢算出処理を説明するための図である。
図6】実施形態に係るパレットの位置・姿勢算出処理の結果表示例を示す図である。
図7】実施形態の変形例に係るパレットの位置・姿勢算出処理の流れを示すフローチャートである。
図8】実施形態の変形例に係るパレットの位置・姿勢算出処理を説明するための図である。
図9】実施形態の変形例に係るパレットのサイズ情報の入力画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[フォークリフトの構成]
図1は、本実施形態に係るフォークリフト1の外観を示す斜視図である。
本実施形態に係るフォークリフト1は、本発明に係る搬送装置の一例であり、車体11、フォーク12、昇降体(リフト)13、マスト14、車輪15を備える。マスト14は車体11の前方に設けられ、図示しない駆動源によって駆動されて車体11の前後に傾斜する。昇降体13は、図示しない駆動源によって駆動され、マスト14に沿って昇降する。昇降体13には、荷物やパレット30などを保持する保持部としての一対のフォーク12が取り付けられている。
パレット30は、本発明に係る荷役台の一例であり、図4(a)に示すように、フォークリフト1の荷役対象となる荷物が載置される台状のものである。パレット30は、短矩形板状に形成され、一対のフォーク12が挿入される2つの孔部(フォークポケット)32を各側面31に有する。各孔部32は、パレット30の四辺に沿って延在し、その前後又は左右の両側に位置する柱状部33により画成される。
【0014】
図2は、フォークリフト1の概略の制御構成を示すブロック図である。
この図に示すように、フォークリフト1は、上記構成に加え、駆動部21、操作部22、表示部23、撮影部24、記憶部26、制御部27を備える。本発明に係る荷取支援装置は、少なくとも撮影部24と制御部27を含んで構成される。
【0015】
駆動部21は、フォークリフト1の各種駆動源である走行モータ、操舵モータ及び荷役モータ(いずれも図示省略)を含む。走行モータは、車輪15のうちの駆動輪を駆動する。操舵モータは、車輪15のうちの操舵輪を回転(操舵動作)させる。荷役モータは、昇降体13の昇降とマスト14の傾倒との各動作を行わせる駆動源である。
【0016】
操作部22は、運転者が各種操作を行う操作手段である。操作部22は、例えばハンドルやペダル、レバー、各種ボタン等を含み、これらの操作内容に応じた操作信号を制御部27に出力する。
表示部23は、例えば液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のディスプレイであり、制御部27から入力される表示信号に基づいて各種情報を表示する。なお、表示部23は、操作部22の一部を兼ねるタッチパネルであってもよい。
【0017】
撮影部24は、深度(距離)情報を含む画像を取得可能なものであり、本実施形態では、三次元の点群データを含む画像が得られるRGB-Dカメラ(デプスカメラ)である。つまり、撮影部24は、三次元情報とRGB画像(二次元画像)とが取得可能なものである。撮影部24は、例えば昇降体13又はマスト14に前方向きに取り付けられ、フォークリフト1の前方を撮影する。
なお、撮影部24は、撮影対象の二次元画像と、深度情報を含む三次元画像とを取得できるものであればよい。すなわち、撮影部24は、撮影対象の二次元画像を取得する手段と、三次元画像を取得する手段とを個別に備えるものであってもよい。また、撮影部24は、例えばRGB画像でなく赤外線画像を取得可能な赤外線カメラであってもよい。この場合には赤外線画像を利用できるので、照明不足の場合にも対応できる。
【0018】
記憶部26は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により構成されるメモリであり、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部27の作業領域としても機能する。本実施形態の記憶部26には、パレット30の形状情報として、パレット30のCADデータ(設計データ)が予め記憶されている。
制御部27は、フォークリフト1各部の動作を制御する。具体的に、制御部27は、操作部22の操作内容に基づいて駆動部21を動作させたり、記憶部26に予め記憶されているプログラムを展開し、展開されたプログラムと協働して各種処理を実行したりする。
【0019】
[フォークリフトの動作]
続いて、フォークリフト1がパレット30にフォーク12を挿入する際の荷取動作について説明する。
この荷取動作では、パレット30の画像に基づいてパレット30の位置及び姿勢が算出され、その結果に基づいて、パレット30の孔部32へのフォーク12の挿入が好適にアシストされる。
図3は、パレット30の位置・姿勢算出処理の流れを示すフローチャートであり、図4及び図5は、この処理を説明するための図であり、図6は、この処理における結果表示例を示す図である。
この処理は、制御部27が、ユーザ操作に基づいて記憶部26から該当するプログラムを読み出して展開することで実行される。
なお、以下では、特に断りのない限り、パレット30の孔部32又は柱状部33とは、側面31のうちの開口部分又は表面部分を指すものとする。
【0020】
図3に示すように、まず制御部27は、撮影部24によりパレット30の画像を取得する(ステップS1)。
このステップでは、制御部27は、ユーザ操作に基づいて、撮影部24を動作させ、深度情報を含むパレット30の画像(三次元の点群データを含む画像)を取得する。つまり、このステップでは、深度情報を含む三次元画像と、これに対応するRGB画像(二次元画像)とを取得する。取得した画像は記憶部26に記憶される。これにより、図4(a)に示すようなパレット30の画像が得られる。
なお、所定の撮影タイミングで定期的にフォークリフト1前方の画像を取得し、その画像からパレット30を検出することとしてもよい。
【0021】
次に、制御部27は、取得した画像(深度情報を含まないRGB画像(二次元画像))から、パレット30の側面31を含む部分を対象領域として抽出する(ステップS2)。
この抽出手法は、特に限定はされないが、本実施形態ではニューラルネットワークが利用される。これは、撮影された画像から、パレット30の側面31が写っている領域を含む矩形の範囲の画像部分を特定して出力するように学習されたニューラルネットワークである。これにより、図4(b)に示すように、パレット30の1つの側面31を囲う矩形の画像部分Gが抽出される。画像に複数の側面31が含まれる場合、例えば最もフォークリフト1の正対位置に近い(すなわち最も面積の大きい)状態の側面31が抽出されることとしてもよいし、ユーザ(運転者)が選択できることとしてもよい。
なお、ここでは、対象領域として1つの側面31を含む画像部分Gを抽出することとしたが、この対象領域は、ステップS1で取得された画像の一部であって、パレット30の孔部32を含む範囲であればよく、例えばパレット30全体を含む矩形範囲であってもよい。
【0022】
次に、制御部27は、ステップS2で対象領域として抽出された画像部分Gから、局所点群を抽出する(ステップS3)。つまり、このステップでは、画像部分G内の側面31に含まれる点群データが深度情報として抽出される。
【0023】
次に、制御部27は、ステップS3で抽出した点群データから平面を抽出する(ステップS4)。このステップでは、側面31に含まれる点群データに平面をフィッティングすることで、図5(a)に示すように、パレット30の特徴部分として、側面31に対応した平面部分Gaが得られる。この平面部分Gaの向きにより、パレット30の姿勢が得られる。ここで、パレット30の「特徴部分」とは、フォーク12によるパレット30の保持に関係する部分をいう。
【0024】
次に、制御部27は、側面31の画像部分Gから、2つの孔部32を抽出(検出)する(ステップS5)。ここでは、画像部分Gのうち、点群データを含まない部分として、図5(b)に示すように、孔部32に対応する孔部領域Gbが抽出される。そして、制御部27は、得られた孔部領域Gbの位置を正として、必要に応じてパレット30全体の位置を算出して修正する。
それから、制御部27は、各孔部領域Gbの位置を算出する(ステップS6)。ここでは、各孔部領域Gbの中心位置等が取得される。
【0025】
次に、制御部27は、算出したパレット30(側面31、孔部32)の位置や姿勢の情報をCADデータと照合して補正する(ステップS7)。
このステップでは、制御部27は、記憶部26からパレット30のCADデータを読み出し、例えば三次元のバーチャル画像を生成する。そして、そのうち側面31の二次元シルエット画像が、算出結果のパレット30の情報と整合する(誤差が所定以内)か否かを判定し、整合しない場合には整合するように算出結果を補正する。また、算出結果とCADデータとの照合度合を求め、この照合度合が所定の閾値未満であって場合には、画像のパレット30が検出対象のパレットとは異なると判定し、それを表示部23に表示してもよい。
【0026】
次に、制御部27は、算出結果を出力する(ステップS8)。
本実施形態では、算出されたパレット30の位置・姿勢情報から、孔部32へのフォーク12の挿入可否が算出(判定)され、表示部23に表示される。
具体的には、例えば図6(a)に示すように、現状のフォーク12とパレット30との相対的な位置・姿勢が表示部23に図示される。そして、フォーク12の挿入予測線(延長線)Lがパレット30を適正に貫通しているか否かにより挿入可否が示される。すなわち、孔部32へのフォーク12の「挿入可否」とは、フォークリフト1を前進させることで、フォーク12がパレット30の孔部32内に挿入されるか否かをいう。この「挿入可否」の判定は、フォーク12の向きと孔部32の向き(つまりパレット30の姿勢)とが所定範囲内にあるか否かの判定を含んでもよいし、単にフォーク12の先端が孔部32(の開口部)内に入るかだけの判定でもよい。フォーク12の挿入予測線Lは、フォーク12を駆動する荷役モータのエンコーダ(又は所定のセンサ)からフォーク12の高さ及びチルト角度(位置及び姿勢)を取得し、フォーク12の延在方向を計算すればよい。あるいは図6(b)に示すように、この結果表示を、パレット30の孔部32が視認可能な透視図で示してもよい。
なお、算出結果の出力はここに例示したものに限定されない。例えば、フォーク12がパレット30の孔部32に好適に挿入されない(フォーク12の挿入予測線Lが孔部32から外れている)算出結果であった場合に、フォーク12の挿入予測線Lを孔部32内に収めるためのフォークリフト1の向きやフォーク12の高さ及び角度の各調整量を算出し、これを表示部23に表示して調整を促してもよい。さらに、この調整の少なくとも一部が自動で行われるように駆動部21を制御してもよい。この場合の自動調整は、上述のステップS7において算出結果とCADデータとの照合度合が所定値以上であった場合にのみ行われることとしてもよい。また、フォーク12やパレット30の図示は、図6のような側面図でなく平面図や鳥観図でもよいし、これらを組み合わせたものでもよい。
その後、制御部27は、パレット30の位置・姿勢算出処理を終了させる。
【0027】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、パレット30の二次元画像と三次元画像に基づいて、孔部32が検出される。
したがって、三次元データのみに基づいていた従来に比べ、演算処理のロバスト性を高めることができる。
【0028】
また本実施形態によれば、画像(三次元画像)からパレット30の深度情報(三次元点群データ)が取得され、RGB画像(二次元画像)から孔部32を含む対象領域が抽出される。そして、この対象領域の深度情報に基づいて、パレット30の位置及び姿勢が算出される。
これにより、取得された画像のうち、孔部32を含む対象領域についての三次元点群データの演算処理だけで、パレット30の位置及び姿勢を算出できる。したがって、取得した画像全体について三次元点群データの演算処理を行う場合に比べ、演算コストを低減し、演算レートを向上できる。
【0029】
また本実施形態によれば、孔部32を含む対象領域から、パレット30の保持に関する特徴部分として平面部分Gaが抽出され、その深度情報に基づいてパレット30の位置及び姿勢が算出される。
これにより、さらに演算コストを低減することができる。
【0030】
また本実施形態によれば、フォーク12を孔部32に挿入可能か否かが表示部23に表示されるので、運転者(作業者)は表示部23を見るだけでフォーク12の挿入可否を即座に判断できる。
【0031】
また本実施形態によれば、画像から算出されたパレット30の位置及び姿勢が、パレット30のCADデータ(形状情報)に基づいて補正される。
これにより、パレット30の位置及び姿勢をより高精度に算出できる。
【0032】
[変形例]
続いて、上記実施形態の変形例について説明する。
本変形例は、パレット30の位置・姿勢算出時に、側面31のうち孔部32両側の柱状部33を抽出する点で上記実施形態と異なる。以下では、主にこの異なる点について説明し、上記実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、本変形例におけるパレット30の位置・姿勢算出処理の流れを示すフローチャートであり、図8は、この処理を説明するための図である。
【0033】
図7に示すように、まず制御部27は、上記実施形態のステップS1と同様にして、撮影部24によりパレット30の画像を取得する(ステップT1)。
そして、制御部27は、上記実施形態のステップS2と同様にして、取得した画像(深度情報を含まないRGB画像)から、パレット30の側面31を含む画像部分Gを対象領域として抽出する(ステップT2)。
【0034】
次に、制御部27は、ステップT2で対象領域として抽出された画像部分Gから、特徴部分(局所特徴)として、孔部32を画成する柱状部33に対応する部分を抽出する(ステップT3)。
この抽出手法は、特に限定はされないが、本実施形態ではニューラルネットワークが利用される。これは、画像から、柱状部33が写っている範囲の画像部分を特定して出力するように学習されたニューラルネットワークである。これにより、図8(a)に示すように、画像部分Gから、3つの柱状部33に対応する3つの柱状部領域Gcが抽出される。
【0035】
次に、制御部27は、各柱状部領域Gcから局所点群を抽出する(ステップT4)。つまり、このステップでは、図8(b)に示すように、各柱状部領域Gcに含まれる点群データが深度情報として抽出される。
【0036】
次に、制御部27は、ステップT4で抽出した点群データから、各柱状部領域Gcの重心を求める(ステップT5)。これにより、図8(c)に示すように、各柱状部領域Gcの重心ベクトルGdが得られる。
そして、制御部27は、各柱状部領域Gcの重心から、当該柱状部領域Gcの位置及び姿勢を算出する(ステップT6)。これにより、パレット30全体の位置及び姿勢も得られる。
【0037】
次に、制御部27は、ステップT6で算出した各柱状部33(柱状部領域Gc)の情報に基づいて、2つの孔部32(孔部領域Gb)を抽出する(ステップT7)。ただし、実質的には、上述のステップT6の段階で2つの孔部32の位置及び姿勢は既に求められている。なお、孔部32の高さは柱状部33と同じと仮定してもよいし、孔部32の上下の肉厚部分を抽出して加味してもよい。そして、制御部27は、得られた孔部32の位置を正として、必要に応じてパレット30全体の位置を修正する。
【0038】
次に、制御部27は、上記実施形態のステップS7と同様にして、算出したパレット30(側面31、孔部32、柱状部33)の位置や姿勢の情報をCADデータと照合して補正する(ステップT8)。
そして、制御部27は、上記実施形態のステップS8と同様にして、算出結果を出力する(ステップT9)。
その後、制御部27は、パレット30の位置・姿勢算出処理を終了させる。
【0039】
以上のように、本変形例によれば、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また本変形例によれば、パレット30の特徴部分として、孔部32を画成する柱状部33に対応する柱状部領域Gcが抽出され、この柱状部領域Gcの三次元点群データに基づいてパレット30の位置及び姿勢が算出される。
これにより、特徴部分として側面31に対応する平面部分Gaを抽出した上記実施形態に比べ、さらに演算コストを低減し、演算レートを向上できる。
【0040】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態(変形例含む)に限られない。
例えば、上記実施形態では、パレット30のCADデータに基づいて位置及び姿勢の算出結果を補正することとしたが、これに代えて(又はこれに加えて)、パレット30の孔部32のサイズ情報に基づいて同様の補正を行うこととしてもよい。孔部32のサイズ情報は、パレット30のCADデータから取得してもよいし、CADデータが無い場合などには、例えば図9に示すように、孔部(穴)のサイズ情報の入力画面を表示部23に表示して当該サイズ情報を作業者に入力させてもよい。この補正では、例えば、柱状部33の点群が最も孔部32の内側に入り込まない位置となるように、孔部32を側面31上で調整すればよい。
また、この補正に用いる情報は、画像からの算出結果と照合可能なパレット30のサイズ情報であれば、孔部32のサイズ情報でなくともよく、例えば柱状部33のサイズ情報であってもよい。
【0041】
また上記実施形態では、本発明に係る荷取支援装置がフォークリフト1に搭載される場合について説明したが、この構成に限定されず、例えば荷取支援装置のうち少なくとも一部の演算を行う部分がフォークリフト1に搭載されていなくともよい。具体的には、例えば演算装置(検出手段)を外部設備(例えば荷役作業場の管理室)に設けるとともに、この外部設備とフォークリフト1に通信手段を設け、撮影した画像をフォークリフト1から外部設備の演算装置に送信して、この演算装置で算出した結果をフォークリフト1に送信することとしてもよい。
【0042】
また、本発明に係る搬送装置は、荷役台を保持して搬送するものであればフォークリフトに限定されず、例えば荷を無人で搬送する無人搬送車(例えばAGV:Automated Guided Vehicle)などであってもよい。
また、本発明に係る荷役台は、荷が載置されるとともに搬送装置により保持されるものであれば、パレットに限定されず、すのこなどを含む。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 フォークリフト(搬送装置)
12 フォーク(保持部)
23 表示部(表示手段)
24 撮影部
26 記憶部
27 制御部(検出手段)
30 パレット(荷役台)
31 側面
32 孔部
33 柱状部
G 画像部分
Ga 平面部分
Gb 孔部領域
Gc 柱状部領域
Gd 重心ベクトル
L フォークの挿入予測線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9