(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】水噴射式織機における緯入れ装置
(51)【国際特許分類】
D03D 47/32 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
D03D47/32
(21)【出願番号】P 2021021558
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野原 直人
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-260292(JP,A)
【文献】特開昭58-065039(JP,A)
【文献】特開昭61-097448(JP,A)
【文献】実開平06-006470(JP,U)
【文献】実開平05-077277(JP,U)
【文献】実開平03-128679(JP,U)
【文献】米国特許第04730645(US,A)
【文献】独国特許出願公開第10135446(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 47/28-47/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
織機フレームに対し第1の支持部によって支持される緯入ノズルと、緯糸を把持するためのクランパ装置であって前記緯入ノズルよりも上流側で前記織機フレームに対し第2の支持部によって支持されるクランパ装置とを含む、水噴射式織機における緯入れ装置において、
前記第1の支持部と前記第2の支持部とは、単一の支持構造体に含まれて一体化されており、
前記支持構造体は、前記織機フレームに対する経糸方向及び/又は緯入れ方向における位置の調整が可能であるように設けられ
ている
ことを特徴とする水噴射式織機における緯入れ装置。
【請求項2】
前記第2の支持部は、前記クランパ装置が載置される支持プレートを含み、
前記支持プレートを前記織機フレームに対し支持すると共に前記調整を許容するように構成された支持スタンドを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の水噴射式織機における緯入れ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織機フレームに対し第1の支持部によって支持される緯入ノズルと、緯糸を把持するためのクランパ装置であって前記緯入ノズルよりも上流側で前記織機フレームに対し第2の支持部によって支持されるクランパ装置とを含む、水噴射式織機における緯入れ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な水噴射式織機において、緯入ノズルは、織機フレームに支持されるかたちで設けられている。また、その緯入ノズルに対する緯入れ方向における上流側には、緯糸を把持するためのクランパ装置が設けられている。但し、そのクランパ装置は、緯入ノズルに対応させるかたちで設けられている。また、そのクランパ装置も、織機フレームに支持されるかたちで設けられている。
【0003】
そのような水噴射式織機の緯入れ装置として、例えば特許文献1に開示された装置(以下、「従来装置」と言う。)がある。その従来装置において、緯入ノズルは、緯入ノズルを保持するノズルホルダ、そのノズルホルダが取り付けられるノズルブラケット、及びそのノズルブラケットが取り付けられると共に織機フレームに固定されるノズルスタンドから成る支持構成によって支持されている。また、クランパ装置は、その支持構成とは別に設けられた支持部材によって支持されている。すなわち、従来装置がそうであるように、一般的な水噴射式織機では、緯入ノズルを支持する支持構成とクランパ装置を支持する支持構成とは、互いに独立してそれぞれが織機フレームに取り付けられる第1の支持部及び第2の支持部として設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記のような水噴射式織機において、緯入れされる緯糸の種類や経糸開口量等の製織条件が変更される場合に、その製織条件の変更に合わせ、緯入ノズルの位置を経糸方向及び/又は緯入れ方向に変更する場合がある。そして、その場合には、その変更後の緯入ノズルの位置に合わせてクランパ装置の位置も変更する必要がある。
【0006】
詳しくは、例えば2以上の緯入ノズルが経糸方向に並列的に設けられているように構成された多色の緯入れ装置を備えた水噴射式織機の場合には、緯入ノズルの間隔とその各緯入ノズルに対応させて設けられるクランパ装置の間隔との関係で、緯入ノズルとクランパ装置との間においては、緯糸は、必然的に緯入ノズルに対し屈曲した状態となる。但し、そのような水噴射式織機においては、その緯糸の屈曲が緯入れに悪影響を及ぼさない程度であるように、緯入ノズルとクランパ装置との経糸方向及び緯入れ方向の位置関係が設定される。それに対し、緯入ノズルの位置を経糸方向及び/又は緯入れ方向に変更すると、その緯糸の屈曲状態が変化するため、場合によっては、その屈曲が適正な緯入れを阻害する要因となる虞がある。
【0007】
また、緯入れ装置における緯入ノズルが単一の場合(一色の緯入れ装置の場合)には、クランパ装置の位置を緯入ノズルの位置に合わせることにより、そのような屈曲による問題は生じ難い。しかし、多色の緯入れ装置、一色の緯入れ装置のいずれの場合においても、緯入ノズルの位置を変更して緯入れ方向における緯入ノズルとクランパ装置との位置関係が変化すると、その間の緯糸の伸縮状態が変化し、場合によっては、緯入れ後の切断に伴って緯糸が緯入ノズルから抜ける所謂ノズル抜けが発生する場合がある。これらのことから、水噴射式織機においては、緯入ノズルの位置を経糸方向及び/又は緯入れ方向に変更した場合、それに合わせてクランパ装置の位置も変更する必要がある。
【0008】
しかし、そのような水噴射式織機において、一般的な構成では、前述のように緯入ノズルとクランパ装置とは互いに独立した支持部(第1の支持部、第2の支持部)によってそれぞれ織機フレームに対し支持されている。そのため、前記のように緯入ノズルの位置を経糸方向及び/又は緯入れ方向に変更すると共にそれに合わせてクランパ装置の位置を変更する場合には、その作業は、各支持部の位置を個別に変更しなければならないものとなっている。しかも、緯入ノズルとクランパ装置との位置関係が変更前と後とで可及的に一致しているのが好ましいため、その作業は、非常に煩雑なものである。したがって、その作業は、作業者に負担をかけるものとなっている。
【0009】
以上のような実情を鑑み、本発明は、緯入ノズルが第1の支持部に支持されると共にクランパ装置が第2の支持部に支持される水噴射式織機における緯入れ装置において、緯入ノズル及びクランパ装置の位置を経糸方向及び/又は緯入れ方向に変更する作業の容易化を図ることができる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、織機フレームに対し第1の支持部によって支持される緯入ノズルと、緯糸を把持するためのクランパ装置であって前記緯入ノズルよりも上流側で前記織機フレームに対し第2の支持部によって支持されるクランパ装置とを含む、水噴射式織機における緯入れ装置を前提とする。
【0011】
その上で、前記の目的を達成すべく、本発明は、その前提とする緯入れ装置において、前記第1の支持部と前記第2の支持部とが、単一の支持構造体に含まれて一体化されているものとする。その上で、前記支持構造体が、前記織機フレームに対する経糸方向及び/又は緯入れ方向における位置の調整が可能であるように設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、そのような本発明による緯入れ装置において、前記第2の支持部を、前記クランパ装置が載置される支持プレートを含むものとする。その上で、その緯入れ装置を、前記支持プレートを前記織機フレームに対し支持すると共に前記調整を許容するように構成された支持スタンドを備えるものとしても良い。
【発明の効果】
【0013】
緯入ノズル、クランパ装置を支持する支持構成について、本発明の緯入れ装置においては、その支持構成は、緯入ノズルを支持する第1の支持部とクランパ装置を支持する第2の支持部とが単一の支持構造体に含まれて一体化されるかたちで構成されたものとなっている。すなわち、その緯入れ装置は、緯入ノズルとクランパ装置とが共通の支持構造体によって支持されるように構成されている。その上で、その緯入れ装置は、その支持構造体の織機フレームに対する経糸方向及び/又は緯入れ方向における位置が調整(変更)可能であるようにその支持構造体が設けられるかたちで構成されたものとなっている。したがって、その緯入れ装置において、緯入ノズルの位置を経糸方向及び/又は緯入れ方向に変更する必要が生じた場合には、その緯入ノズルを支持している支持構造体の位置を変更することとなる。それにより、緯入ノズルの位置が変更され、それに伴い、緯入ノズルと共に支持構造体に支持されているクランパ装置の位置も同時に変更されることとなる。
【0014】
このように、本発明の緯入れ装置によれば、緯入ノズルの位置を変更すべく支持構造体の位置を変更することにより、クランパ装置の位置も同時に変更されることとなる。しかも、その位置の変更にあたり支持構造体上での緯入ノズル及びクランパ装置の支持状態を変更する必要が無いため、その位置の変更は、緯入ノズルとクランパ装置との位置関係を維持したままで行われることとなる。したがって、経糸方向及び/又は緯入れ方向に緯入ノズルの位置を変更するのに伴う作業を容易化することができる。
【0015】
また、前記のような本発明による緯入れ装置において、緯入ノズルよりも上流側に位置するクランパ装置は織機フレーム上に位置することから、そのクランパ装置を支持する支持構造体における第2の支持部は、前記のように支持構造体が経糸方向及び/又は緯入れ方向に位置調整(変更)可能に設けられることを踏まえると、周辺装置の配置や周辺装置との干渉等を考慮し、プレート状の部材(支持プレート)とするのが好ましい。但し、そのような支持プレートではクランパ装置の支持の安定性を欠く場合もあるため、その支持プレートを支持する支持スタンドを備えることで、前記のような周辺装置との関係性を満たしつつも、クランパ装置を安定して支持することができるようになる。
【0016】
その上で、その支持スタンドを支持構造体の織機フレームに対する経糸方向及び/又は緯入れ方向における位置の調整(変更)を許容するように構成されたものとすることにより、その支持構造体の位置の変更が、その支持スタンドの織機フレームに対する取り付け位置を変更することなく行えるようになる。それにより、支持構造体が前記のように構成されると共にそれに伴って支持スタンドが設けられる場合であっても、その支持構造体の位置を経糸方向及び/又は緯入れ方向に変更するのに伴う作業をより容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明が前提とする水噴射式織機における緯入れ装置の一例を示す概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、
図1~3に基づき、本発明による水噴射式織機における緯入れ装置の一実施例を説明する。
【0019】
図1は、水噴射式織機1における緯入れ装置3であって、給糸側の織機フレーム2に取り付けられた緯入れ装置3を示す。なお、本実施例の緯入れ装置3は、図示のように2つの緯入ノズル4、4を備えた2色対応の緯入れ装置である。また、その2つの緯入ノズル4、4は、経糸方向に並ぶように設けられている。
【0020】
また、その緯入れ装置3において、緯入ノズル4に対する緯入れ方向における上流側には、緯糸Wを把持するためのクランパ装置5が設けられている。そのクランパ装置5は、各緯入ノズル4に対応させるかたちで、経糸方向に並ぶように2つ設けられている。また、その各クランパ装置5は、緯糸Wを把持するための一対の円板状の把持部材5a、5bと、一対の把持部材5a、5bのうちの一方の把持部材5aを駆動する駆動部5cを含む。そして、各クランパ装置5は、緯糸Wを把持する状態とその把持が解放された状態とを切り換えるように、前記一方の把持部材5aが駆動部5cによって駆動される構成となっている。なお、本実施例では、各クランパ装置5は、その2つの把持部材5a、5bの板厚方向を経糸方向に一致させると共に、互いに向き合うようなかたちで(経糸方向に対称的な向きで)配置されている。
【0021】
また、本実施例では、緯入れ装置3は、前記した緯入ノズル4及びクランパ装置5に加え、緯糸Wが緯入れされた後の切断後に緯糸Wの先端部分を緯入ノズル4側へ引き戻す引戻し装置6、及び緯入れ終期において緯糸Wを制動する緯糸制動装置7を備えている。そして、その引戻し装置6及び緯糸制動装置7も、クランパ装置5と同様に、それぞれ各緯入ノズル4に対応させるかたちで経糸方向に並ぶように2つ設けられている。
【0022】
その各引戻し装置6は、緯糸Wを屈曲させるための可動レバ6aと、その可動レバ6aを揺動駆動するための駆動モータ6bとを含む。そして、各引戻し装置6は、緯糸Wを屈曲させた状態と緯糸Wに干渉しない状態とを切り換えるように、可動レバ6aが駆動モータ6bによって揺動駆動される構成となっている。なお、その揺動駆動は、前記した切断後に可動レバ6aが緯糸Wを屈曲させた状態となるように行われる。そして、その各引戻し装置6は、その可動レバ6aを緯入ノズル4とクランパ装置5との緯入れ方向における間に位置させるかたちで配置されている。
【0023】
また、各緯糸制動装置7は、引戻し装置6と同様に構成されたものとなっており、緯糸Wを屈曲させた状態と緯糸Wに干渉しない状態とを切り換えるように、可動レバ7aが駆動モータ7bによって揺動駆動されるように構成されている。なお、その揺動駆動は、緯入れ終期において可動レバ7aが緯糸Wを屈曲させた状態となるように行われる。そして、その各緯糸制動装置7は、クランパ装置5に対する緯入れ方向における上流側に配置されている。
【0024】
以上のような緯入れ装置3を備えた水噴射式織機1において、本発明では、その緯入れ装置3は、緯入ノズル4及びクランパ装置5を支持する支持構造体を備えている。なお、その支持構造体は、その緯入ノズル4及びクランパ装置5に加え、引戻し装置6及び緯糸制動装置7も支持している。また、その支持構造体は、緯入ノズル4を支持する第1の支持部と、クランパ装置5を支持する第2の支持部とを備えている。そして、その支持構造体は、本実施例では、織機フレーム2に対する経糸方向における位置の調整が可能であるように設けられている。さらに、本実施例では、その支持構造体における第2の支持部が支持プレートを含むと共に、緯入れ装置3がその支持プレートを支持する支持スタンドを備えているものとする。そのような本実施例の緯入れ装置3について、以下で詳細に説明する。
【0025】
支持構造体8について、緯入ノズル4を支持する第1の支持部10は、緯入ノズル4が取り付けられるノズルホルダ11、ノズルホルダ11を支持するノズルブラケット12、及びノズルブラケット12を支持すると共に織機フレーム2に対し取り付けられる支持ブラケット13によって構成されている。なお、ノズルホルダ11及びノズルブラケット12は、それぞれ緯入ノズル4毎に設けられている。また、本実施例では、支持ブラケット13(第1の支持部10)は、織機フレーム2に対し取付ブラケット9を介して取り付けられている。
【0026】
その第1の支持部10について、各ノズルブラケット12は、板状に形成された部材であって、その板厚方向に見て、長辺の寸法が短辺の寸法よりも十分に大きい矩形状を成す部材となっている。そして、その各ノズルブラケット12の長手方向における一端側の部分には、緯入ノズル4が取り付けられる板状のノズルホルダ11が取り付けられている。
【0027】
また、そのノズルブラケット12を支持する支持ブラケット13は、織機フレーム2(取付ブラケット9)に取り付けられる部分である板状の基部13aと、その基部13aに立設されるようなかたちで設けられた板状のノズル支持部13bであって緯入ノズル4(ノズルブラケット12)を支持する部分であるノズル支持部13bとが一体的に形成されたL字形を成す部材となっている。なお、その支持ブラケット13において、基部13a、ノズル支持部13bはいずれも、その板厚方向に見て、長辺の寸法が短辺の寸法よりも十分に長い矩形状を成すものとなっている。そして、支持ブラケット13は、その両部分13a、13bが前記長辺の方向を一致させるかたちで組み合わされて形成されており、その前記長辺の方向が幅方向となっている。
【0028】
なお、その支持ブラケット13において、ノズル支持部13bの板厚方向における外側の端面が、ノズルブラケット12を取り付ける取付面となっている。そして、各緯入ノズル4に対応させるかたちで2つ設けられているノズルブラケット12、12は、その他端側の部分において、支持ブラケット13の前記幅方向に並ぶかたちで支持ブラケット13(ノズル支持部13b)に対し取り付けられている。因みに、その支持ブラケット13の前記取付面には、ノズルブラケット12が取り付けられる2つの部分がその両部分以外の部分に対し窪む凹部が形成されている。
【0029】
また、そのように各ノズルブラケット12が取り付けられた支持ブラケット13が取り付けられる取付ブラケット9について、その取付ブラケット9は、上面及び下面が矩形状を成す略直方体状の取付部9aを主体として構成されている。したがって、その上面(下面)における長辺の方向が取付部9a(取付ブラケット9)における横(幅)方向となり、短辺の方向が奥行方向となる。そして、その取付部9aにおいては、その上面が支持ブラケット13(基部13a)を取り付ける部分となっており、支持ブラケット13がその上面に載置されるかたちで取り付けられる。
【0030】
また、取付ブラケット9は、織機フレーム2に対し取付ブラケット9(取付部9a)を固定するための部分である固定部9bを有している。その固定部9bは、板状を成しており、その板厚方向を取付部9aの前記奥行方向に一致させると共に、前記奥行方向における略中央部において下面から突出するようなかたちで、取付部9aと一体に形成されている。そして、その固定部9bには、取付ブラケット9を織機フレーム2に対し取り付けるためのネジ部材40が挿通される貫通孔(図示略)が、前記横方向に間隔をおいて並ぶようなかたちで2つ形成されている。
【0031】
そして、取付ブラケット9は、その固定部9bの一端面を織機フレーム2の内側の面に当接させると共にその取付部9aの下面を織機フレーム2の上面に当接させた状態で、織機フレーム2に取り付けられている。なお、その取り付けは、取付ブラケット9の固定部9bにおける2つの前記貫通孔に挿通されたネジ部材40が織機フレーム2に螺挿されるかたちで行われている。また、そのように取付ブラケット9が織機フレーム2に取り付けられた状態では、取付ブラケット9における前記横方向は、水噴射式織機1における経糸方向に一致した状態となっている。
【0032】
その上で、前記のように構成された第1の支持部10が、そのように織機フレーム2に取り付けられた取付ブラケット9における取付部9aに対し、その支持ブラケット13における基部13aにおいて取り付けられている。
【0033】
より詳しくは、取付ブラケット9における取付部9aには、第1の支持部10(支持ブラケット13)を取付ブラケット9に対し取り付けるためのネジ部材14が螺挿される雌ネジ孔9cが、その上面に開口するように形成されている。また、その雌ネジ孔9cは、取付ブラケット9の前記横方向に間隔をおいて並ぶようなかたちで2つ形成されている。因みに、その取付ブラケット9における取付部9aには、その上面から突出すると共に前記横方向に亘って延在するように形成された凸部9dが設けられている。そして、各雌ネジ孔9cは、その凸部9dの位置に形成されている。
【0034】
一方、第1の支持部10の支持ブラケット13における基部13aには、ネジ部材14が挿通される貫通孔13cが形成されている。なお、その貫通孔13cは、本実施例では、支持ブラケット13の前記幅方向に延在するように形成された長孔となっている。また、その長孔13cの直線部分の長手方向における寸法は、取付ブラケット9における2つの雌ネジ孔9cのピッチ(中心間距離)よりも大きいものとなっている。因みに、支持ブラケット13における基部13aには、取付ブラケット9(取付部9a)における凸部9dが嵌まり合う凹部13dであって、その板厚方向における外側の端面に開口すると共に支持ブラケット13の前記幅方向に亘って延在するように形成された凹部13dが設けられている。そして、長孔13cは、その凹部13dに開口するように形成されている。
【0035】
そして、第1の支持部10を取付ブラケット9に取り付けるのにあたっては、第1の支持部10は、その支持ブラケット13の基部13aにおける凹部13dを取付ブラケット9の取付部9aにおける凸部9dに嵌め合わせるかたちで、その取付部9aに載置された状態とされる。また、その載置は、その支持ブラケット13のノズル支持部13bにおける前記取付面を織機1の内側に向けるかたちで行われる。その上で、第1の支持部10は、その支持ブラケット13の基部13aにおける長孔13cに挿通された2つのネジ部材14、14が取付ブラケット9の取付部9aにおける雌ネジ孔9cに螺挿されることで、取付ブラケット9に対し取り付けられた状態とされる。また、その長孔13cが前記のような大きさのものとして形成されていることから、その取付ブラケット9に対する第1の支持部10の取り付け位置は、取付ブラケット9の前記横方向に、すなわち経糸方向に、調整(変更)可能となっている。
【0036】
また、そのような第1の支持部10を含む支持構造体8において、クランパ装置5を支持する第2の支持部20は、そのクランパ装置5が載置される支持プレート21と、その支持プレート21を第1の支持部10に対し取り付けるためのプレートブラケット22とで構成されている。なお、その第2の支持部20は、その支持プレート21においてクランパ装置5に加えて緯糸制動装置7を支持すると共に、そのプレートブラケット22において引戻し装置6を支持するようにも構成されている。
【0037】
その第2の支持部20の構成について、詳しくは、支持プレート21は、両端面が四角形状を成す板状の部材であって、その板厚方向に見て、4つの側辺のうちの1つの側辺において開放される切欠き21aであって四角形状に切り欠かれた切欠き21aを有するような形状に形成された部材となっている。したがって、その支持プレート21は、その板厚方向に見て、矩形状を成す部分であってクランパ装置5が載置される部分である載置部21bと、載置部21bの2つの長辺における一方の長辺から突出するように形成されると共にその長辺の方向において間隔を置いて並ぶ一対の部分であって支持プレート21の支持を補助するべく後述する支持スタンド30により支持される部分である補助支持部21c、21cとを有するようなかたちに形成されている。
【0038】
そして、その支持プレート21において、載置部21b上には、前記した2つのクランパ装置5、5が載置状態で取り付けられている。但し、その2つのクランパ装置5、5は、前記した一対の補助支持部21c、21cが並ぶ方向である載置部21bの前記長辺の方向に並ぶようなかたちで配置されている。
【0039】
また、前記のように支持プレート21に支持される緯糸制動装置7について、前記した2つの緯糸制動装置7、7は、その支持プレート21における一対の補助支持部21c、21cに支持されている。但し、その2つの緯糸制動装置7、7は、本実施例では、共通のベースプレート70であって、支持プレート21に取り付けられる部分であるプレート部70aを含むベースプレート70に取り付けられている。そして、両緯糸制動装置7、7は、そのベースプレート70におけるプレート部70aが板厚方向における両側の端面の一方である下側面において支持プレート21に取り付けられることで、支持プレート21に対し支持された状態とされる。
【0040】
なお、各緯糸制動装置7は、駆動モータ7bがベースプレート70におけるプレート部70aの前記下側面の側に位置すると共に、その駆動モータ7bの出力軸7cに取り付けられた可動レバ7aがプレート部70aの上側に突出するようなかたちで、ベースプレート70(プレート部70a)に対し取り付けられている。また、両緯糸制動装置7、7は、前記のようにベースプレート70におけるプレート部70aが支持プレート21に取り付けられた状態でその支持プレート21における載置部21bの前記長辺の方向に並んだ状態となるように、ベースプレート70に対し配置されている。その上で、ベースプレート70は、両緯糸制動装置7、7が一対の補助支持部21c、21cの間に位置するようなかたちで、支持プレート21に対し取り付けられている。
【0041】
また、その支持プレート21を第1の支持部10に対し取り付けるためのプレートブラケット22は、第1の支持部10(支持ブラケット13における基部13a)に取り付けられる部分である板状の被取付部22aと、その被取付部22aに立設されるようなかたちで設けられた板状のプレート支持部22bであって支持プレート21を支持する部分であるプレート支持部22bとが一体的に形成されたL字形を成す部材となっている。なお、そのプレートブラケット22において、被取付部22a、プレート支持部22bはいずれも、その板厚方向に見て、長辺の寸法が短辺の寸法よりも十分に長い矩形状を成すものとなっている。そして、プレートブラケット22は、その両部分22a、22bが前記長辺の方向を一致させるかたちで組み合わされて形成されており、その前記長辺の方向が幅方向となっている。
【0042】
そして、前記した支持プレート21は、その板厚方向に見て矩形状を成す部分である載置部21bの短辺の方向における補助支持部21c側とは反対側の部分において、プレートブラケット22におけるプレート支持部22bの上面に対し取り付けられている。なお、その取り付けは、支持プレート21の板厚方向に見て、プレートブラケット22がプレート支持部22b以外の部分において支持プレート21(載置部21b)と重複しないような支持プレート21の向きで行われている。
【0043】
その上で、そのように支持プレート21がプレートブラケット22に取り付けられるかたちで成る第2の支持部20は、そのプレートブラケット22における被取付部22aにおいて、織機フレーム2(取付ブラケット9)に取り付けられた第1の支持部10に対し取り付けられている。なお、その第1の支持部10に対する第2の支持部20の取り付けは、その被取付部22aが第1の支持部10の支持ブラケット13における基部13a上に載置されるかたちで行われている。また、その取り付けは、第2の支持部20(支持プレート21)に支持されるクランパ装置5及び緯糸制動装置7が、第1の支持部10に支持される緯入ノズル4に対する緯入れ方向における上流側において、緯入ノズル4側からその順で配置された状態となるようなかたち(第2の支持部20の向き)で行われている。
【0044】
そして、そのように第1の支持部10に対し取り付けられた第2の支持部20には、前記のようにそのプレートブラケット22において引戻し装置6が支持されている。具体的には、前記した2つの引戻し装置6、6は、その駆動モータ6bがプレートブラケット22におけるプレート支持部22bに取り付けられるかたちで、プレートブラケット22(第2の支持部20)に対し支持されている。
【0045】
なお、その各駆動モータ6bのプレート支持部22bに対する取り付けは、その各駆動モータ6bがプレート支持部22bの板厚方向における外側の端面に対し固定されるかたちで行われている。なお、その取り付け状態における両駆動モータ6b、6bの配置は、プレートブラケット22の前記幅方向に並ぶかたちとなっている。また、プレート支持部22bには駆動モータ6bの出力軸6cの貫通を許容する貫通孔が形成されており、各駆動モータ6bは、その出力軸6cがその貫通孔に挿通されると共に、その出力軸6cの先端部がプレート支持部22bから突出するようなかたちで、前記のようにプレート支持部22bに対し取り付けられている。
【0046】
その上で、各引戻し装置6において、可動レバ6aは、駆動モータ6bの出力軸6cの前記先端部に対し取り付けられている。なお、その取り付けは、その可動レバ6aが支持プレート21の上側に突出するようなかたちで行われている。それにより、各可動レバ6aは、前記のように緯入ノズル4とクランパ装置5との緯入れ方向における間に配置されるかたちで設けられている。
【0047】
そして、以上で説明した第1の支持部(緯入ノズル4を支持する支持部)10及び第2の支持部(クランパ装置5を支持する支持部)20を含むように構成された支持構造体8においては、第2の支持部20は、第1の支持部10に対し、前記のように支持プレート21を支持するプレートブラケット22において載置されるかたちで固定されている。すなわち、その支持構造体8において、第1の支持部10と第2の支持部20とは、一体化されたものとなっている。その上で、そのように第2の支持部20と一体化される第1の支持部10は、前述のように織機フレーム2(取付ブラケット9)に対する取り付け位置が経糸方向に調整(変更)可能であるように設けられている。
【0048】
また、本実施例の緯入れ装置3では、そのように構成された支持構造体8は、その第2の支持部20における支持プレート21において、織機フレーム2に対し取り付けられた支持スタンド30によって支持されている。但し、その支持スタンド30は、前述のように第2の支持部20と一体化された第1の支持部10の位置が経糸方向に変更されること、すなわち、支持構造体8が経糸方向に位置変更されることを許容するように構成されている。その支持スタンド30の構成について、詳しくは、以下の通り。
【0049】
支持スタンド30は、織機フレーム2に対し載置されるかたちで取り付けられる板状の支持ベース33、支持ベース33に対し立設されるかたちで取り付けられる棒状(図示の例では角柱状)の支柱32、及び支柱32に支持されると共に支持プレート21がその補助支持部21cにおいて載置される直方体状の支持アーム31によって構成されている。なお、支持アーム31及び支柱32は、支持プレート21における一対の補助支持部21c、21cのそれぞれに対応させるべく、それぞれが一対ずつ設けられている。
【0050】
その支持スタンド30について、両支柱32、32は、支持プレート21における両補助支持部21c、21cの間隔と同じ間隔を置いて並ぶようなかたちで、支持ベース33に対し取り付けられている。また、各支持アーム31は、その4つの側面が矩形状を成す部材となっている。そして、その各支持アーム31は、その4つの側面のうちの1つである下側面において、対応する支柱32における上端面(支持ベース33側とは反対側の端面)に対し取り付けられている。但し、その取り付けは、その支持アーム31の前記下側面における長辺の方向の一端側において行われている。
【0051】
また、その支柱32に対する支持アーム31の取り付けは、支持アーム31に挿通されたネジ部材34が支柱32に螺挿されるかたちで行われている。そして、支持アーム31は、その取り付け状態において、支柱32、すなわち、その支柱32に螺挿されたネジ部材34に対し回動可能であるように設けられた状態となっている。
【0052】
そして、そのように構成された支持スタンド30は、その支持ベース33において織機フレーム2の前記上面に対し取り付けられている。なお、その取り付けは、両支柱32、32が、緯入れ方向における同じ位置で、支持プレート21における両補助支持部21c、21cの下方に配置されるかたちで行われている。
【0053】
また、そのように織機フレーム2に取り付けられる支持スタンド30の高さ方向(支柱32の長手方向)における寸法は、織機フレーム2の前記上面と第2の支持部20における支持プレート21との間隔と略一致したものとなっている。それにより、支持プレート21は、その両補助支持部21c、21cにおいて、支持スタンド30における両支柱32、32に支持された両支持アーム31、31上に載置された状態となっている。言い換えれば、支持構造体8は、前述のように第1の支持部10において織機フレーム2に対し取り付けられた状態で、その第2の支持部20における支持プレート21において載置されるかたちで、支持スタンド30によっても支持されている。
【0054】
その上で、支持プレート21における両補助支持部21c、21cと支持スタンド30における両支持アーム31、31とは、ネジ部材23によって固定されている。より詳しくは、各支持アーム31には、その支持アーム31に支持プレート21(補助支持部21c)を固定するためのネジ部材23が螺挿される雌ネジ孔31aが、その支持アーム31における前記のように支持プレート21が載置される上側面に開口するかたちで形成されている。但し、その雌ネジ孔31aの形成位置は、支持アーム31における側面(上側面、下側面)の長辺の方向に関し、前記のように支柱32に支持される一端側とは反対の他端側とされている。
【0055】
また、支持プレート21における各補助支持部21cには、ネジ部材23が挿通される貫通孔21dが形成されている。なお、その各貫通孔21dは、載置部21bの前記短辺の方向、すなわち、その支持プレート21が前述のように支持スタンド30(支持アーム31)に載置された状態で緯入れ方向に延在するように形成された長孔となっている。そして、そのように両補助支持部21c、21cに形成された両貫通孔21d、21dに挿通された2つのネジ部材23、23が、支持スタンド30の両支持アーム31、31における雌ネジ孔31aに螺挿されることで、支持プレート21(両補助支持部21c、21c)が支持スタンド30(両支持アーム31、31)に固定されている。
【0056】
なお、支持スタンド30は、前記のように各支持アーム31が支柱32に対し回動可能であるように構成されている。すなわち、支持スタンド30は、前記のように支持プレート21を固定するためのネジ部材23が螺挿される雌ネジ孔31aの位置が、その支持アーム31の回動によって経糸方向に変更可能であるように構成されている。したがって、その支持スタンド30の構成は、その両支持アーム31、31に対し固定される支持構造体8の経糸方向における位置変更を許容するものとなっている。
【0057】
また、そのように構成された支持スタンド30においては、その支持アーム31の回動に伴い、雌ネジ孔31aの位置が、経糸方向だけでなく緯入れ方向にも変化する。但し、その雌ネジ孔31aに螺挿されるネジ部材23が挿通される支持プレート21における貫通孔21dは、前記のように緯入れ方向に延在する長孔として形成されている。したがって、前記のように支持スタンド30において雌ネジ孔31aの位置は支持アーム31の回動に伴って緯入れ方向にも変化するが、その変化は、支持プレート21における前記のような長孔21dによって許容されるようになっている。
【0058】
また、前述した緯糸制動装置7を支持するベースプレート70の支持プレート21に対する取り付けについて、図示の例では、支持プレート21を支持スタンド30に固定するためのネジ部材23を用いて行われている。具体的には、ベースプレート70における各プレート部70aには、ネジ部材23が挿通される貫通孔70bが形成されている。そして、各ネジ部材23は、その貫通孔70bに挿通された上で、前記のように補助支持部21cにおける貫通孔(長孔)21dに挿通されると共に支持アーム31における雌ネジ孔31aに螺挿される。それにより、ベースプレート70は、そのネジ部材23によって支持プレート21と共締めされた状態となり、その結果として前記のように支持プレート21に取り付けられた状態となっている。
【0059】
そして、以上で説明した緯入れ装置3において、緯入ノズル4、4の位置を経糸方向に変更するにあたっては、その緯入ノズル4、4を支持する第1の支持部10を含む支持構造体8の位置が経糸方向に変更される。なお、その支持構造体8の位置変更では、先ずは、取付ブラケット9に対し第1の支持部10を固定している各ネジ部材14及び支持スタンド30に対し第2の支持部20(支持プレート21)を固定している各ネジ部材23が緩められる。その上で、取付ブラケット9に対する第1の支持部10の位置を、緯入ノズル4、4の位置が所望の位置となるような位置へ移動させる。それにより、緯入ノズル4、4の経糸方向への位置変更が行われた状態となる。
【0060】
また、そのように第1の支持部10を移動させることにより、その第1の支持部10と一体化された第2の支持部20も、同時に移動することとなる。すなわち、支持構造体8が全体として移動されることになる。それにより、その第2の支持部20に支持されたクランパ装置5、5、並びに本実施例の場合の引戻し装置6、6及び緯糸制動装置7、7も、緯入ノズル4、4と同様に、経糸方向へ位置が変更されることとなる。
【0061】
このように、その緯入れ装置3によれば、緯入ノズル4、4の経糸方向における位置を変更すべく、第1の支持部10(延いては支持構造体8)の位置を経糸方向に変更することで、その緯入ノズル4、4の位置が変更されるのと同時に、クランパ装置5、5、引戻し装置6、6、及び緯糸制動装置7、7の位置も、緯入ノズル4、4との位置関係が維持されたまま、変更されることとなる。したがって、その緯入れ装置3によれば、その緯入ノズル4、4の位置を経糸方向に変更すると共に、その緯入ノズル4、4の位置変更に合わせてクランパ装置5、5、引戻し装置6、6、及び緯糸制動装置7、7の位置を変更する作業を、容易に行うことができる。
【0062】
そして、その緯入ノズル4、4の位置が経糸方向に変更された状態で、前記のように緩められた各ネジ部材14、23は、再び締め付けられる。それにより、前記のように緯入ノズル4、4の位置を変更すると共にそれに合わせてクランパ装置5、5等の位置を変更する作業が完了される。
【0063】
なお、本実施例の緯入れ装置3においては、支持構造体8は、その第2の支持部20における支持プレート21において、織機フレーム2に対し取り付けられた支持スタンド30によって支持されている。それにより、その支持プレート21に載置されたクランパ装置5、5及び緯糸制動装置7、7の支持は、安定して行われることとなっている。
【0064】
その上で、その支持プレート21を支持する支持スタンド30は、その両支持アーム31、31が回動可能であるように構成されている。それにより、その両支持アーム31、31に固定される支持プレート21を含む支持構造体8の経糸方向における位置変更について、その位置変更に伴う作業をより容易に行うことができる。
【0065】
詳しくは、両支持アームが回動不能であるように支持スタンドが構成されている場合には、支持構造体8の経糸方向における位置変更に合わせて、その支持スタンドの織機フレーム2に対する取り付け位置を変更しなければならない。それに対し、本実施例の支持スタンド30によれば、その各支持アーム31が支持構造体8の経糸方向における位置変更(移動)に伴って回動するため、その位置変更を、その支持スタンド30の織機フレーム2に対する取り付け位置を変更することなく行うことができる。したがって、その支持スタンド30によれば、その支持構造体8の位置変更に伴う作業をより容易に行うことができる。
【0066】
なお、本発明は、以上で説明した実施例に限定されるものではなく、以下(1)~(4)のように変形させた態様(変形例)でも実施することができる。
【0067】
(1)支持構造体の位置調整に関する構成について、前記実施例では、支持構造体8における第1の支持部10を取付ブラケット9(織機フレーム2)に対し取り付けるためのネジ部材14が挿通される挿通孔(貫通孔13c)は、支持構造体8が織機フレーム2に対し取り付けられた際に経糸方向に延在するように形成された長孔となっている。それにより、支持構造体8(第1の支持部10)は、織機フレーム2(取付ブラケット9)に対する経糸方向における位置の調整(変更)が可能であるように設けられたものとなっている。
【0068】
しかし、支持構造体を経糸方向に位置変更可能とするための構成は、前記実施例のような支持構造体における前記挿通孔を長孔に形成するものには限られない。例えば、その構成は、前記挿通孔を丸孔とした上で、その前記挿通孔が、支持構造体を織機フレーム2に対し取り付けた際に経糸方向に並ぶようなかたちで支持構造体に対し複数形成されているものとしても良い。あるいは、その構成は、前記挿通孔を丸孔とした上で、その前記挿通孔に挿通されるネジ部材が螺挿される雌ネジ孔が、経糸方向に並ぶようなかたちで取付ブラケット(織機フレーム2)に対し複数形成されているものとしても良い。
【0069】
また、その位置調整について、以上では、緯入れ装置は、支持構造体が織機フレーム2に対し経糸方向にのみ位置を変更可能であるように構成されている。しかし、本発明において、緯入れ装置は、そのように支持構造体が経糸方向にのみ位置変更可能であるように構成されるものには限られない。
【0070】
例えば、緯入れ装置は、支持構造体が経糸方向だけでなく緯入れ方向にも位置変更可能であるように構成されていても良い。なお、そのように支持構造体を緯入れ方向にも位置変更可能とする構成としては、例えば、前記実施例の緯入れ装置では、前記挿通孔(長孔)に挿通される2つのネジ部材が螺挿される雌ネジ孔の組(2つの雌ネジ孔)が緯入れ方向における1つの位置にのみ形成されているが、その2つの雌ネジ孔の組を緯入れ方向に位置を異ならせた2以上の位置に形成する構成とすれば良い。
【0071】
また、緯入れ装置は、支持構造体が緯入れ方向にのみ位置変更可能であるように構成されていても良い。その場合には、例えば、支持構造体(第1の支持部)における前記挿通孔については単なる丸孔とした上で、前記のように雌ネジ孔の組を緯入れ方向における2以上の位置に形成するようにすれば良い。
【0072】
因みに、前記実施例では、取付ブラケット9に対し雌ネジ孔9cが形成された凸部9dが設けられると共に支持構造体8(第1の支持部10)に対し凹部13dが設けられており、その凸部9dに対し凹部13dを嵌め合わせることで、緯入れ方向における支持構造体8の位置が位置決めされるように緯入れ装置が構成されている。そこで、そのように凸部と凹部との組み合わせによって緯入れ方向における支持構造体の位置決めが行えるようにすると共に支持構造体が緯入れ方向に位置変更できるようにする場合には、その凸部を緯入れ方向における2以上の位置に形成すれば良い。
【0073】
但し、本発明の緯入れ装置においては、前記のように支持構造体を緯入れ方向に位置決めするための凸部及び凹部は、必ずしも設けられていなくても良い。すなわち、取付ブラケット(取付部)における上面が平面状に形成されると共に、その取付ブラケットに対する支持構造体の取り付け部分が平面状に形成されているように、緯入れ装置が構成されていても良い。
【0074】
(2)支持構造体自体の構成について、前記実施例では、支持構造体8は、第2の支持部20が第1の支持部10に載置されるかたちで第1の支持部10に対し取り付けられると共に、その第1の支持部10において織機フレーム2に対し取り付けられるように構成されている。しかし、本発明では、支持構造体は、そのように構成されたものには限られない。
【0075】
例えば、支持構造体は、第1の支持部が第2の支持部に載置されるかたちで第2の支持部に対し取り付けられると共に、その第2の支持部において織機フレームに対し取り付けられるように構成されていても良い。
【0076】
具体的には、第2の支持部のプレートブラケットを前記実施例のようにL字形を成す部材とした上で、そのプレートブラケットにおける前記の被取付部に相当する部分を、取付ブラケット(織機フレーム2)に対し取り付けられる部分(取付部分)と、第1の支持部の支持ブラケットにおける基部が載置される部分(載置部分)とを含むような大きさのものとする。その上で、その第2の支持部の被取付部における前記載置部分に載置された状態で第1の支持部が被取付部(第2の支持部)に取り付けられると共に、その被取付部における前記取付部分に第2の支持部を取付ブラケット(織機フレーム2)に対し固定するためのネジ部材が挿通される挿通孔が形成されるように、支持構造体を構成すれば良い。
【0077】
また、支持構造体は、第1の支持部及び第2の支持部のうちの一方の支持部が他方の支持部に載置されるかたちでその他方の支持部に対し取り付けられるように構成されたものにも限られない。
【0078】
具体的には、例えば、第1の支持部における支持ブラケットを、前記実施例のように織機フレーム2に取り付けられる部分である基部とノズルブラケット12を支持する部分であるノズル支持部とを含むように構成されたものとする。さらに、その支持ブラケットを、その基部及びノズル支持部に加え、緯入れ方向においてノズル支持部から離間した位置でノズル支持部と対向するように、基部に対し立設された板状の部分であって、第2の支持部を第1の支持部に対し固定するための部分である固定部分が設けられたものとする。一方で、第2の支持部におけるプレートブラケットは、平板状の部材(前記実施例におけるプレート支持部22bのみで形成された部材)であるように構成されたものとする。
【0079】
その上で、その第2の支持部におけるプレートブラケットを、その端面において当接した状態で、第1の支持部の支持ブラケットにおける前記固定部分の両端面のうちのノズル支持部側とは反対側の端面に対し取り付ける、といったかたちで支持構造体を構成するようにしても良い。
【0080】
また、支持構造体は、以上で説明したように第1の支持部と第2の支持部とで成っており、前記実施例では、その各支持部10、20は、複数の部材を組み合わせて構成されたものとなっている。しかし、本発明においては、支持構造体を構成する各支持部は、そのように複数の部材を組み合わせて構成されたものに限られない。例えば、第2の支持部を前記実施例のように構成する場合において、その第2の支持部を、前記実施例の支持プレートに相当する部分とプレートブラケットに相当する部分とが一体成形されて構成されたものとしても良い。
【0081】
このように、各支持部は、複数の部材を組み合わされて構成されていても良く、また、単一の部材として構成されていても良い。その上で、例えば第2の支持部について言うと、本発明においては、第2の支持部は、クランパ装置を織機フレーム2に対し支持された状態とするものであれば良い。但し、その第2の支持部は、前記実施例の構成がそうであるように、第1の支持部を介して織機フレーム2(取付ブラケット9)に対し取り付けられるものであっても良い。したがって、支持構造体が前記実施例と同じ構成であっても、その構成における支持プレート21のみを第2の支持部とみなすことも可能である。そして、その場合には、第1の支持部は、ノズルホルダ11、ノズルブラケット12、及び支持ブラケット13に加え、プレートブラケット22をも含むものとなる。
【0082】
また、前記実施例では、支持構造体8(第1の支持部10)は、織機フレーム2に対し取付ブラケット9を介して取り付けられている。それに対し、その取付ブラケットの織機フレームに対する取り付け位置を経糸方向に変更できるようにすれば、その取付ブラケットを支持構造体の一部としてみなすことができる。なお、その場合には、その支持構造体を、その取付ブラケットに取り付けられる部分(被取付部分)が取付ブラケットに対し位置変更不能であるように構成しても良いし、その被取付部分が取付ブラケットに対し緯入れ方向に位置変更可能であるように構成しても良い。そして、前記のように取付ブラケットを支持構造体の一部としてみなすことができるようにした場合には、その支持構造体は、織機フレームに対し直接的に取り付けられるものとなる。
【0083】
また、前記実施例では、支持構造体8の第2の支持部20における支持プレート21は、切欠き21aを有するような形状に形成されている。しかし、支持プレートは、そのような形状を成すものには限られない。
【0084】
詳しくは、前記実施例では、支持プレート21に支持される緯糸制動装置7は、その支持プレート21に取り付けられた状態で、その駆動モータ7bを支持プレート21の下側に位置させると共に可動レバ7aを支持プレート21の上側に突出させる状態となるような構成のものとなっている。そして、そのような緯糸制動装置7の配置が、支持プレート21に形成された切欠き21aによって許容されるものとなっている。しかし、織機に用いられる緯糸制動装置は前記実施例のような構成のものに限らないため、その緯糸制動装置の構成によっては、緯入れ装置は、緯糸制動装置が全体的に支持プレートの上側に配置されるような構成となる場合もある。そして、そのような場合には、支持プレートは、前記のような切欠きを含んでいる必要は無く、例えば、その板厚方向に見て単なる四角形状を成すように形成されていても良い。
【0085】
また、前記実施例では、支持構造体8における第2の支持部20は、クランパ装置5及び緯糸制動装置7が載置される支持プレート21を含むものとなっている。しかし、第2の支持部は、クランパ装置等の載置される装置を織機フレームに対し支持された状態とすることができるように構成されたものであれば、以上で説明したようにクランパ装置等が載置される部分が前記実施例の支持プレートのようにプレート状に形成されるものに限らず、例えば、ブロック状に形成された部材から成るものであっても良い。
【0086】
(3)前記実施例では、支持構造体8の第2の支持部20における支持プレート21を支持する支持スタンド30が設けられている。その上で、支持構造体の織機フレームに対する位置変更を許容する構成として、前記実施例では、支持スタンド30は、織機フレーム2に対し取り付け位置を変更不能に固定された支持ベース33上に支柱32が立設され、その支柱32に対し支持構造体8を固定する支持アーム31が取り付けられると共に、支持アーム31が支柱32に対し回動可能であるように設けられた構成となっている。しかし、前記実施例のように支持スタンドを備える場合であっても、支持構造体の織機フレームに対する位置変更を許容する構成は、支持スタンドを前記実施例のように構成するものには限られない。
【0087】
例えば、支持アームが支柱に対し回動不能に取り付けられるように支持スタンドを構成した上で、取付ブラケットに対する第1の支持部の取り付け位置を経糸方向に変更可能とするための構成と同様の構成で、支持スタンド(支持アーム)に対する支持構造体(支持プレート)の取り付け位置を経糸方向(又は緯入れ方向)に変更できるようにしても良い。あるいは、織機フレームに対する支持スタンド(支持ベース)の取り付け位置を経糸方向に変更することができるようにしても良い。さらに、織機フレームに対する支持スタンド(支持ベース)の取り付け位置を経糸方向に変更できるように構成した上で、支持スタンド(支持アーム)に対する支持構造体の取り付け位置を緯入れ方向に変更できるような構成としても良い。
【0088】
但し、本発明の緯入れ装置は、前記のような支持スタンドを備えるものには限られない。そして、支持構造体に載置される装置や支持構造体自体の構成によって支持構造体のみで装置の支持が安定して行える場合には、支持スタンドを省略することも可能である。
【0089】
(4)本発明が前提とする緯入れ装置について、前記実施例では、緯入れ装置3は、支持構造体8に支持されるものとして、緯入ノズル4及びクランパ装置5に加え、引戻し装置6及び緯糸制動装置7を備えている。しかし、本発明が前提とする緯入れ装置は、前記実施例のように引戻し装置及び緯糸制動装置の両方が備えられているものには限らず、その両方のうちの一方のみを備えているものであっても良いし、その両方を備えていないものであっても良い。
【0090】
また、前記実施例では、クランパ装置5は、その2つの把持部材5a、5bの板厚方向を経糸方向に一致させる、すなわち、両把持部材5a、5bを経糸方向に対向させるかたちで配置されるものとなっている。しかし、本発明が前提とする緯入れ装置において、クランパ装置は、その2つの把持部材を上下方向に対向させるかたちで配置されるものであっても良い。
【0091】
また、前記実施例における緯入れ装置3は、2つの緯入ノズル4、4を備えた2色対応のものとなっている。しかし、本発明が前提とする緯入れ装置は、3以上の緯入ノズルを備えるものであっても良いし、単一の緯入ノズルのみを備えるものであっても良い。
【0092】
また、本発明は、以上で説明した実施例及び変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 水噴射式織機
2 織機フレーム
3 緯入れ装置
4 緯入ノズル
5 クランパ装置
5a、5b 把持部材
5c 駆動部
6 引戻し装置
6a 可動レバ
6b 駆動モータ
6c 出力軸
7 緯糸制動装置
7a 可動レバ
7b 駆動モータ
7c 出力軸
8 支持構造体
9 取付ブラケット
9a 取付部
9b 固定部
9c 雌ネジ孔
9d 凸部
10 第1の支持部
11 ノズルホルダ
12 ノズルブラケット
13 支持ブラケット
13a 基部
13b ノズル支持部
13c 貫通孔(長孔)
13d 凹部
14 ネジ部材
20 第2の支持部
21 支持プレート
21a 切欠き
21b 載置部
21c 補助支持部
21d 貫通孔(長孔)
22 プレートブラケット
22a 被取付部
22b プレート支持部
23 ネジ部材
30 支持スタンド
31 支持アーム
31a 雌ネジ孔
32 支柱
33 支持ベース
34 ネジ部材
40 ネジ部材
70 ベースプレート
70a プレート部
70b 貫通孔
W 緯糸