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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】調湿システム、住宅及び住宅の調湿方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/14 20060101AFI20241009BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
F24F3/14
F24F5/00 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021024468
(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公開番号】P2022126413
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】梅本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】関谷 佳子
(72)【発明者】
【氏名】中川 浩
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-092364(JP,A)
【文献】特開2007-224642(JP,A)
【文献】特開2016-065702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/14
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱された床下空間と、前記床下空間の上に設けられた床上空間とを具えた住宅を調湿するための調湿システムであって、
外気を除湿又は加湿して得られる調湿空気を、前記床下空間に供給するための調湿装置と、
前記床下空間の空気を、前記床上空間に供給するための供給装置と、
前記床下空間の湿度を検知するための湿度検知装置と、
前記湿度検知装置で検知された前記床下空間の湿度に基づいて、前記調湿装置の運転を制御する制御装置とを含み、
前記制御装置は、前記調湿装置に前記外気を加湿させる加湿運転モードを行うものであり、
前記加湿運転モードにおいて、前記制御装置は、前記床下空間の湿度が予め定められた第2閾値以上である場合、前記調湿装置に加湿運転を停止させ、かつ、前記床下空間の湿度が前記第2閾値未満である場合、前記調湿装置に加湿運転を開始させる、
調湿システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記調湿装置に前記外気を除湿させる除湿運転モードを行うものであり、
前記除湿運転モードにおいて、前記制御装置は、前記床下空間の湿度が予め定められた第1閾値以上である場合、前記調湿装置に除湿運転を開始させ、かつ、前記床下空間の湿度が前記第1閾値未満である場合、前記調湿装置に除湿運転を停止させる、請求項1に記載の調湿システム。
【請求項3】
前記第1閾値は、60~80%RHである、請求項2に記載の調湿システム。
【請求項4】
前記第2閾値は、60~80%RHである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の調湿システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の調湿システムを備えた住宅
【請求項6】
断熱された床下空間と、前記床下空間の上に設けられた床上空間とを具えた住宅を調湿するための方法であって、
外気を除湿又は加湿して得られる調湿空気を、前記床下空間に供給する工程と、
前記床下空間の空気を、前記床上空間に供給する工程と、
前記床下空間の湿度を検知する工程と、
検知された前記床下空間の湿度に基づいて、前記調湿空気の供給を制御する制御工程とを含み、
前記調湿空気を供給する工程は、前記外気を加湿する加湿運転モードを実行し、
前記制御工程は、前記加湿運転モードにおいて、前記床下空間の湿度が予め定められた第2閾値以上である場合、前記外気の加湿を停止し、かつ、前記床下空間の湿度が前記第2閾値未満である場合、前記外気の加湿を開始する、
住宅の調湿方法
【請求項7】
前記調湿空気を供給する工程は、前記外気を除湿する除湿運転モードを実行し、
前記制御工程は、前記除湿運転モードにおいて、前記床下空間の湿度が予め定められた第1閾値以上である場合、前記外気の除湿を開始し、かつ、前記床下空間の湿度が前記第1閾値未満である場合、前記外気の除湿を停止する、請求項6に記載の住宅の調湿方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、 建物の調湿システムが記載されている。この調湿システムは、空気調和機と、調湿材が収容されたチャンバーと、空気調和機からの空気をチャンバーに供給するための第1ダクト手段と、チャンバー内で除湿された空気を、居室に供給するための第2ダクト手段とを含んで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-227397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、床上空間の調湿に加えて、床下空間を調湿することにより、その床下空間での結露を防ぎたいというニーズがある。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、床上空間を調湿しつつ、床下空間の結露を防ぐことが可能な調湿システム等を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、断熱された床下空間と、前記床下空間の上に設けられた床上空間とを具えた住宅を調湿するための調湿システムであって、外気を除湿又は加湿して得られる調湿空気を、前記床下空間に供給するための調湿装置と、前記床下空間の空気を、前記床上空間に供給するための供給装置と、前記床下空間の湿度を検知するための湿度検知装置と、前記湿度検知装置で検知された前記床下空間の湿度に基づいて、前記調湿装置の運転を制御する制御装置とを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る前記調湿システムにおいて、前記制御装置は、前記調湿装置に前記外気を除湿させる除湿運転モードを行うものであり、前記除湿運転モードにおいて、前記制御装置は、前記床下空間の湿度が予め定められた第1閾値以上である場合、前記調湿装置に除湿運転を開始させ、かつ、前記床下空間の湿度が前記第1閾値未満である場合、前記調湿装置に除湿運転を停止させてもよい。
【0008】
本発明に係る前記調湿システムにおいて、前記第1閾値は、60~80%RHであってもよい。
【0009】
本発明に係る前記調湿システムにおいて、前記制御装置は、前記調湿装置に前記外気を加湿させる加湿運転モードを行うものであり、前記加湿運転モードにおいて、前記制御装置は、前記床下空間の湿度が予め定められた第2閾値以上である場合、前記調湿装置に加湿運転を停止させ、かつ、前記床下空間の湿度が前記第2閾値未満である場合、前記調湿装置に加湿運転を開始させてもよい。
【0010】
本発明に係る前記調湿システムにおいて、前記第2閾値は、60~80%RHであってもよい。
【0011】
本発明は、住宅であって、上記のいずれかの調湿システムを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明は、断熱された床下空間と、前記床下空間の上に設けられた床上空間とを具えた住宅を調湿するための方法であって、外気を除湿又は加湿して得られる調湿空気を、前記床下空間に供給する工程と、前記床下空間の空気を、前記床上空間に供給する工程と、前記床下空間の湿度を検知する工程と、検知された前記床下空間の湿度に基づいて、前記調湿空気の供給を制御する制御工程とを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る前記住宅の調湿方法において、前記調湿空気を供給する工程は、前記外気を除湿する除湿運転モードを実行し、前記制御工程は、前記除湿運転モードにおいて、前記床下空間の湿度が予め定められた第1閾値以上である場合、前記外気の除湿を開始し、かつ、前記床下空間の湿度が前記第1閾値未満である場合、前記外気の除湿を停止してもよい。
【0014】
本発明に係る前記住宅の調湿方法において、前記調湿空気を供給する工程は、前記外気を加湿する加湿運転モードを実行し、前記制御工程は、前記加湿運転モードにおいて、前記床下空間の湿度が予め定められた第2閾値以上である場合、前記外気の加湿を停止し、かつ、前記床下空間の湿度が前記第2閾値未満である場合、前記外気の加湿を開始してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の調湿システムは、上記の構成を採用することにより、床上空間を調湿しつつ、床下空間の結露を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の住宅を概念的に示す断面図である。
図2】本実施形態の調湿装置を概念的に示す断面図である。
図3】本実施形態の制御装置を示す概念図である。
図4】本実施形態の住宅の調湿方法の処理手順を示すフローチャートである。
図5】本実施形態の調湿空気供給工程の処理手順を示すフローチャートである。
図6】本実施形態の制御工程の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、発明の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0018】
[住宅の全体構造]
図1には、本実施形態の住宅1を概念的に示す断面図が示されている。本実施形態の住宅1は、例えば、優れた断熱性能を具えた工業化住宅として構成されている。なお、住宅1は、工業化住宅に限定されるものではない。
【0019】
本実施形態の住宅1は、断熱された床下空間2と、床下空間2の上に設けられた床上空間3とを含んで構成されている。
【0020】
[床下空間]
床下空間2は、基礎5と床6と土間7とで区画されている。
【0021】
[基礎]
基礎5は、住宅1の外周に連続して配置されている。本実施形態の基礎5は、例えば、鉄筋コンクリート製の布基礎として構成されているが、ベタ基礎であってもよい。本実施形態の基礎5には、断熱材8が配されている。これにより、床下空間2が断熱されている。
【0022】
[断熱材]
本実施形態の断熱材8は、基礎5の床下空間2側の側面に沿って、上下に延びている。このような断熱材8は、基礎5を介して伝えられる外気の熱を遮断することができる。これにより、住宅1は、床下空間2の空気(以下、単に「床下空気」ということがある。)A3の温度変化を小さくすることができる。断熱材8には、例えば、ポリスチレンフォーム等が適宜採用されうる。
【0023】
[床]
図1に示されるように、床6は、基礎5、5の間をのびている。本実施形態の床6は、例えば、複数の板パネルが並べられたフローリングとして構成されている。
【0024】
[土間]
土間7は、床下空間2の底面を構成している。本実施形態の土間7は、基礎5、5間に敷設される土間コンクリートとして構成されているが、このような態様に限定されるものではない。土間7には、一年を通して温度変化が小さい地中熱が伝達されている。これにより、土間7は、地中熱と、床下空気A3とを熱交換することができる熱交換部として構成される。したがって、床下空間2には、夏季は外気A1より冷たく、かつ、冬季は外気A1よりも暖かい床下空気A3が蓄えられる。
【0025】
本実施形態の住宅1は、床下空間2が断熱されているため、上記のような床下空気A3を、床下空間2に効果的に蓄えることができる。
【0026】
[床上空間]
床上空間3は、床下空間2の上に、床6を介して設けられている。本実施形態の床上空間3は、床6、天井11、外壁12、及び、間仕切り壁13で区画されている。床上空間3には、居室14が含まれている。
【0027】
[調湿システム]
本実施形態の住宅1には、調湿システム16が設けられている。調湿システム16は、調湿装置17と、供給装置18と、湿度検知装置19と、制御装置20とを含んで構成されている。
【0028】
[調湿装置]
調湿装置17は、外気A1を除湿又は加湿して得られる調湿空気A2を、床下空間2に供給するためのものである。調湿装置17は、調湿空気A2を得ることができれば、特に限定されるものではない。本実施形態の調湿装置17は、デシカント型である場合が例示される。
【0029】
デシカント型の調湿装置17は、他の種類の調湿装置(図示省略)に比べて、小さく形成されうる。このため、調湿装置17は、住宅1内での占有スペースを小さくすることができる。図2は、本実施形態の調湿装置17を概念的に示す断面図である。
【0030】
本実施形態の調湿装置17は、チャンバー21と、デシカントロータ22と、第1加熱冷却コイル23と、第2加熱冷却コイル24と、第1送風機25と、第2送風機26とを含んで構成されている。
【0031】
チャンバー21は、ケーシング27と、その内部の空間を2つに区分する仕切部28とを含んで構成されている。このような仕切部28により、チャンバー21には、互いに独立した第1チャンバー31と第2チャンバー32とが設けられる。
【0032】
第1チャンバー31には、その内部に外気A1を案内するための第1入口31aと、その内部の空気を排出するための第1出口31bとが設けられている。第1入口31aは、屋外33に連通している。一方、第1出口31bは、床下空間2に連通している。
【0033】
第2チャンバー32には、その内部に外気A1を案内するための第2入口32aと、その内部の空気を排出するための第2出口32bとが設けられている。第2入口32a及び第2出口32bは、屋外33に連通している。
【0034】
デシカントロータ22は、従来のものと同様に、軸方向(厚さ方向)に通風可能な円筒構造体に、シリカゲルやゼオライトなどの吸湿剤が担持されることによって構成されている。本実施形態のデシカントロータ22は、その回転軸22sを中心として、第1チャンバー31と第2チャンバー32との間を回転可能に配置されている。デシカントロータ22の回転速度は、従来と同様に設定されうる。
【0035】
第1加熱冷却コイル23及び第2加熱冷却コイル24は、ヒートポンプユニット(図示省略)によって循環する冷媒により、空気を加熱又は冷却するためのものである。
【0036】
第1加熱冷却コイル23は、第1チャンバー31において、デシカントロータ22よりも第1入口31a側(上流側)に設けられている。これにより、第1加熱冷却コイル23は、第1チャンバー31に案内された外気A1を加熱又は冷却して、その外気A1をデシカントロータ22に供給することができる。
【0037】
第2加熱冷却コイル24は、第2チャンバー32において、デシカントロータ22よりも第2入口32a側(上流側)に設けられている。これにより、第2加熱冷却コイル24は、第2チャンバー32に案内された外気A1を加熱又は冷却して、その外気A1をデシカントロータ22に供給することができる。
【0038】
第1送風機25は、第1入口31aから第1チャンバー31内に空気(外気A1)を案内し、第1チャンバー31内の空気(調湿空気A2)を第1出口31bから排出するためのものである。本実施形態の第1送風機25は、ファンとして構成されている。本明細書において、「ファン」は、空気を圧送するための機械である。したがって、ファンは、空気を圧送可能なものであれば、特に限定されるものではない。
【0039】
第1送風機25は、デシカントロータ22に対して第1出口31b側(下流側)において、第1出口31bに向かって送風する向きに配置されている。これにより、第1送風機25は、第1チャンバー31内を負圧にして、第1入口31aから外気A1を案内することができる。
【0040】
第2送風機26は、第2入口32aから第2チャンバー32内に空気(外気A1)を案内し、第2チャンバー32内の空気A5を第2出口32bから排出するためのものである。本実施形態の第2送風機26は、第1送風機25と同様に、ファンとして構成されている。第2送風機26は、デシカントロータ22に対して第2出口32b側(下流側)において、第2出口32bに向かって送風する向きに配置されている。これにより、第2送風機26は、第2チャンバー32内を負圧にして、第2入口32aから外気A1を案内することができる。
【0041】
[調湿装置の運転]
次に、調湿装置17の運転が説明される。本実施形態の調湿装置17では、冬季に比べて外気A1の湿度(絶対湿度)が高くなる夏季において、除湿運転が行われる(除湿運転モード)。一方、夏季に比べて外気A1の湿度(絶対湿度)が低くなる冬季では、加湿運転が行われる(加湿運転モード)。
【0042】
[除湿運転(除湿運転モード)]
除湿運転(除湿運転モード)では、先ず、第1送風機25及び第2送風機26の運転により、第1チャンバー31及び第2チャンバー32内に外気A1がそれぞれ案内される。
【0043】
第1チャンバー31内に案内された外気A1は、第1加熱冷却コイル23によって冷却される。これにより、外気A1の温度が低下し、その湿度(相対湿度)が高められる。このような外気A1がデシカントロータ22を通過することにより、外気A1に含まれる水蒸気がデシカントロータ22に効果的に吸着されうる。これにより、調湿装置17は、外気A1の湿度を低くした(外気A1を除湿した)調湿空気A2が得られる。調湿空気A2は、第1出口31bから床下空間2に供給される。
【0044】
第2チャンバー32内に案内された外気A1は、第2加熱冷却コイル24によって加熱される。これにより、外気A1の温度が上昇し、その湿度(相対湿度)が低くされる。このような外気A1がデシカントロータ22を通過することにより、デシカントロータ22に吸着されている水蒸気が、外気A1に効果的に放出されうる。これにより、調湿装置17は、デシカントロータ22を再生(即ち、再び除湿できるように調湿性能を回復)することができる。水蒸気が放出された空気A5は、第2出口32bから屋外33に排出される。
【0045】
デシカントロータ22は、第1チャンバー31と第2チャンバー32との間で回転しているため、第1チャンバー31での除湿と、第2チャンバー32での再生(調湿性能の回復)とを連続して行うことができる。したがって、調湿装置17は、外気A1の除湿を継続して行うことができる。
【0046】
[加湿運転(加湿運転モード)]
加湿運転(加湿運転モード)では、先ず、第1送風機25及び第2送風機26の運転により、第1チャンバー31及び第2チャンバー32内に外気A1がそれぞれ案内される。
【0047】
第1チャンバー31内に案内された外気A1は、第1加熱冷却コイル23によって加熱される。これにより、外気A1の温度が上昇し、その湿度(相対湿度)が低くされる。このような外気A1がデシカントロータ22を通過することにより、デシカントロータ22に吸着されている水蒸気が、外気A1に効果的に放出されうる。これにより、調湿装置17は、外気A1の湿度を高く(外気A1を加湿)した調湿空気A2が得られる。調湿空気A2は、第1出口31bから床下空間2に供給される。
【0048】
第2チャンバー32内に案内された外気A1は、第2加熱冷却コイル24によって冷却される。これにより、外気A1の温度が低下し、その湿度(相対湿度)が高められる。このような外気A1がデシカントロータ22を通過することにより、外気A1に含まれる水蒸気がデシカントロータ22に効果的に吸着されうる。これにより、調湿装置17は、デシカントロータ22を再生(即ち、再び加湿できるように調湿性能を回復)することができる。水蒸気が吸着された空気A5は、第2出口32bから屋外33に排出される。
【0049】
デシカントロータ22は、第1チャンバー31と第2チャンバー32との間で回転しているため、第1チャンバー31での加湿と、第2チャンバー32での再生(調湿性能の回復)とを連続して行うことができる。したがって、調湿装置17は、外気A1の加湿を継続して行うことができる。
【0050】
このように、本実施形態の調湿システム16は、調湿装置17によって、外気A1を除湿又は加湿して得られる調湿空気A2を、床下空間2に供給することができる。したがって、調湿システム16は、床下空間2を調湿することができる。
【0051】
[外気供給経路]
本実施形態の調湿装置17は、調湿性能を回復させるための外気A1を供給可能な外気供給経路35を有している。本実施形態の外気供給経路35は、外気A1が供給される第2入口32a及び第2チャンバー32によって構成されている。このような外気供給経路35は、例えば、調湿性能の回復に、図1に示した床上空間3の空気(以下、単に「床上空気」ということがある。)A4が用いられていた従来の調湿装置とは異なり、床上空間3の環境に左右されることなく、調湿性能の回復に必要な外気A1を、調湿装置17に供給できる。したがって、調湿装置17は、調湿性能を効率よく回復させることができる。さらに、調湿装置17(住宅1)は、床上空間3と調湿装置17との間を接続するダクト(図示省略)等を設ける必要もないため、初期導入コストを低減しうる。
【0052】
[バイパス経路]
図2に示されるように、調湿装置17は、第1チャンバー31、第1入口31a及び第1出口31bにより、通風可能なデシカントロータ22を介して、屋外33と床下空間2との間を連通させることができる。これにより、調湿装置17は、除湿運転及び加湿運転を停止している間において、第1チャンバー31、第1入口31a及び第1出口31bを、床下空間2に外気A1を供給可能なバイパス経路36として構成することができる。したがって、調湿装置17は、外気A1の除湿や加湿が必要のない季節(夏季及び冬季以外の季節)において、床下空間2に供給することができる。このような床下空気A3が、図1に示した供給装置18によって床上空間3に供給されることによって、住宅1全体を換気することが可能となる。なお、床下空間2に外気A1が効率よく供給されるように、第1送風機25(図2に示す)が運転されるのが望ましい。
【0053】
[調湿装置の設置位置]
調湿装置17は、図1に示した住宅1の内外において、適宜設置されうる。なお、調湿装置17と屋外33との距離が大きくなると、調湿装置17に外気A1を案内するためのダクト(図示省略)や、調湿装置17から屋外33に外気A1を排出するためのダクト(図示省略)を設置して、それらのダクトを長くする必要が生じる。このような長いダクトは、調湿システム16の初期導入コストの増大や、圧力損失の増加に伴う送風機(図2に示した第1送風機25や第2送風機26)の動力の増大を招く傾向がある。このため、調湿装置17は、基礎5又は外壁12の近傍に取り付けられるのが望ましい。ここで、「近傍に取り付けられる」とは、基礎5又は外壁12からの距離が2.0m以下の領域内に、調湿装置17が取り付けられることを意味している。
【0054】
このように、本実施形態の調湿装置17は、基礎5又は外壁12の近傍に取り付けられるため、屋外33との距離を小さくすることができる。これにより、調湿装置17は、上記のようなダクト(図示省略)を短くすることができ、或いは、ダクトの設置を不要にすることができる。したがって、調湿装置17は、調湿システム16の初期導入コストの増大や、送風機(図2に示した第1送風機25や第2送風機26)の動力の増大を抑制できる。
【0055】
上記の作用を効果的に発揮させるために、調湿装置17は、好ましくは、基礎5又は外壁12からの距離が0.5m以下の領域内に配されるのが望ましく、さらに好ましくは、基礎5又は外壁12に面するように取り付けられるのが望ましい。本実施形態の調湿装置17は、外壁12に面するように取り付けられているため、上記のようなダクトが不要となる。
【0056】
[供給装置]
図1に示されるように、供給装置18は、床下空気A3を、床上空間3に供給するためのものである。本実施形態の供給装置18は、空気流路37と、送風機38とを含んで構成されている。
【0057】
空気流路37は、例えば、住宅1の配管スペースに配置されるダクトによって構成されている。なお、空気流路37は、例えば、間仕切り壁等で囲まれた空間(図示省略)によって構成されてもよい。空気流路37の一端は、床下空間2に連通している。空気流路37の他端は、床上空間3(居室14)に連通している。
【0058】
本実施形態の送風機38は、ファンとして構成されている。送風機38は、床下空間2から空気流路37(床上空間3)に向かって送風(空気を圧送)する向きに配置されている。このような送風機38の運転により、床下空気A3が、空気流路37を介して、床上空間3に供給されうる。本実施形態の住宅1では、例えば、外壁12に設けられた排気ファン39によって、床上空気A4が屋外33へ排出されている。これにより、住宅1では、床上空間3が効率よく換気されうる。
【0059】
[湿度検知装置]
湿度検知装置19は、床下空間2の湿度を検知するためのものである。湿度検知装置19は、湿度を検知することができれば、特に限定されるものではない。本実施形態の湿度検知装置は、公知の湿度センサー(温湿度センサー)として構成されている。
【0060】
湿度検知装置19は、床下空間2内に設置されている。本実施形態の湿度検知装置19は、床下空間2において、調湿装置17の第1出口31b(図2に示す)と、供給装置18の空気流路37の一端との間に配置されている。これにより、湿度検知装置19は、調湿空気A2の供給によって調湿された床下空間2の湿度を、適切に検知することができる。
【0061】
湿度検知装置19は、制御装置20に接続されている。これにより、湿度検知装置19は、検知した床下空間2の湿度を、制御装置20に伝達することができる。
【0062】
[制御装置]
制御装置20は、湿度検知装置19で検知された床下空間2の湿度に基づいて、調湿装置17の運転を制御するためのものである。図3は、本実施形態の制御装置20を示す概念図である。
【0063】
本実施形態の制御装置20は、CPU(中央演算装置)からなる演算部41と、制御手順が予め記憶されている記憶部42と、記憶部42から制御手順を読み込む作業用メモリ43とを含んでいる。
【0064】
本実施形態の演算部41(制御装置20)には、調湿装置17が接続されている。これにより、演算部41は、調湿装置17に信号を伝達することにより、調湿装置17の運転(除湿運転及び加湿運転)を制御することができる。本実施形態の制御装置20(演算部41)では、調湿装置17に外気A1を除湿させる除湿運転モードと、調湿装置17に外気A1を加湿させる加湿運転モードとが行われる。
【0065】
本実施形態の演算部41(制御装置20)には、供給装置18(送風機38)が接続されている。これにより、演算部41は、供給装置18に信号を伝達することにより、供給装置18の運転を制御することができる。本実施形態の制御装置20(演算部41)は、供給装置18の運転を開始することにより、図1に示されるように、調湿された床下空気A3を、空気流路37を介して、床上空間3に供給することができる。
【0066】
本実施形態の演算部41(制御装置20)には、湿度検知装置19が接続されている。これにより、演算部41は、湿度検知装置19に信号を伝達することで、湿度検知装置19に、図1に示した床下空間2の湿度を検知させることができる。さらに、演算部41は、湿度検知装置19で検知された床下空間2の湿度を伝達させることができる。
【0067】
記憶部42には、湿度検知装置19で検知された床下空間2の湿度に基づいて、調湿装置17の運転(調湿空気A2の供給)を制御するための制御手順が記憶されている。この制御手順は、作業用メモリ43に読み込まれて、演算部41によって実行される。
【0068】
[住宅の調湿方法]
次に、本実施形態の住宅1の調湿方法(以下、単に「調湿方法」ということがある。)が説明される。本実施形態の調湿方法では、調湿システム16が用いられる。図4は、本実施形態の住宅1の調湿方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0069】
本実施形態の調湿方法では、先ず、図1及び図4に示されるように、外気を除湿又は加湿して得られる調湿空気A2を、床下空間2に供給する工程(調湿空気供給工程)S1と、床下空気A3を、床上空間3に供給する工程S2とが実施される。調湿空気供給工程S1及び工程S2が実施される順序は、特に限定されるものではない。これらの調湿空気供給工程S1及び工程S2が、同時に実施されてもよい。
【0070】
[調湿空気供給工程]
図5は、本実施形態の調湿空気供給工程S1の処理手順を示すフローチャートである。本実施形態の調湿空気供給工程S1では、先ず、調湿運転モードが選択される(工程S11)。本実施形態の工程S11では、制御装置20によって、外気A1を除湿する除湿運転モード、及び、外気A1を加湿する加湿運転モードの何れか一方が選択される。
【0071】
上述したように、本実施形態の除湿運転モードは、冬季に比べて外気A1の湿度(絶対湿度)が高くなる夏季に実施される。一方、本実施形態の加湿運転モードは、夏季に比べて外気A1の湿度(絶対湿度)が低くなる冬季に実施される。
【0072】
本実施形態の工程S11では、例えば、外気温度検知手段(図示省略)によって検知された外気A1の温度や、記憶部42(図3に示す)に入力されているカレンダーから特定される現在の日付等に基づいて、現在の季節が夏季及び冬季のいずれか否かが判断される。そして、現在の季節が夏季と判断された場合には、除湿運転モードが選択される。一方、現在の季節が冬季と判断された場合には、加湿運転モードが選択される。
【0073】
工程S11において、除湿運転モードが選択された場合、調湿装置17に外気A1を除湿させる除湿運転モードが実行される(工程S12)。工程S12では、図3に示した演算部41(制御装置20)が、調湿装置17に信号を伝達して、調湿装置17に外気A1を除湿させる除湿運転モードを行わせる。
【0074】
工程S11において、加湿運転モードが選択された場合、調湿装置17に外気A1を加湿させる加湿運転モードが実行される(工程S13)。工程S13では、図3に示した演算部41(制御装置20)が、調湿装置17に信号を伝達して、調湿装置17に外気A1を加湿させる加湿運転モードを行わせる。
【0075】
なお、工程S11において、現在の季節が、外気A1の除湿や加湿が必要のない季節であると判断された場合には、本実施形態の調湿方法の処理が停止されてもよい。
【0076】
[床下空間の空気を供給]
本実施形態の工程S2では、図1に示されるように、床下空気A3が、床上空間3に供給される。本実施形態の工程S2では、図3に示されるように、演算部41(制御装置20)が、供給装置18(送風機38)に信号を伝達することによって、供給装置18の運転が開始される。これにより、工程S2では、図1に示されるように、床下空気A3を、空気流路37を介して、床上空間3に供給することができる。床下空気A3の供給量は、例えば、住宅1の必要換気量に応じて設定されてもよい。
【0077】
本実施形態の調湿方法(調湿システム16及び住宅1)では、外気A1を除湿又は加湿して得られる調湿空気A2を、床下空間2に供給することができるため、床下空間2を調湿することができる。調湿された床下空気A3は、床下空間2の断熱によって温度変化が抑制されるため、その湿度が安定する。このような床下空気A3が、供給装置によって床上空間に供給されることにより、床上空間3を調湿することができる。
【0078】
このように、本実施形態の調湿方法(調湿システム16及び住宅1)は、床下空間2及び床上空間3の双方を調湿することができる。これにより、本実施形態の調湿方法は、住宅1の全体として、湿度環境を安定化させることができるため、住宅1の快適性を向上しうる。また、本実施形態の調湿方法は、床下空間2を調湿することにより、床6の反りや、床下空間2での結露に起因するカビの発生等を効果的に抑制できる。したがって、本実施形態の調湿方法は、住宅1の耐久性を向上させることができる。
【0079】
また、本実施形態の調湿システム16(住宅1)は、床下空間2を、調湿経路の一部(チャンバー)として利用することができるため、ダクト(例えば、空気流路37)の使用量を少なくすることができる。したがって、本実施形態の調湿システム16(住宅1)は、初期導入コストを低減しうる。
【0080】
ところで、外気A1を除湿する除湿運転モードでは、例えば、床上空間3の湿度の低下(例えば、空気調和機の除湿運転等に起因)により、調湿装置17の除湿運転が停止された場合、床下空間2の除湿が不足して、床下空間2が結露するおそれがある。
【0081】
一方、外気A1を加湿する加湿運転モードでは、例えば、床上空間3の快適性(乾燥防止)を優先して加湿運転が実施されると、床下空間2の湿度が必要以上に上昇して、床下空間2が結露するおそれがある。
【0082】
このような床下空間2の結露を防ぐために、本実施形態の調湿方法(調湿システム16及び住宅1)では、床下空間2の湿度に基づいて、調湿空気A2の供給が制御される。
【0083】
[床下空間の湿度の検知]
本実施形態の調湿方法では、図4に示されるように、床下空間2(図1に示す)の湿度が検知される(工程S3)。本実施形態の工程S3では、図3に示されるように、演算部41(制御装置20)が、湿度検知装置19に信号を伝達することにより、湿度検知装置19に、床下空間2の湿度を検知させ、かつ、検知された床下空間2の湿度を演算部41に伝達させることができる。
【0084】
[制御工程]
次に、本実施形態の調湿方法では、検知された床下空間2の湿度に基づいて、調湿空気A2の供給が制御される(制御工程S4)。図6は、本実施形態の制御工程S4の処理手順を示すフローチャートである。
【0085】
本実施形態の制御工程S4では、先ず、現在の調湿運転モードが、除湿運転モード及び加湿運転モードの何れかが判断される(工程S41)。工程S41では、例えば、図3に示した演算部41(制御装置20)が、調湿装置17からの信号に基づいて、調湿装置17の調湿運転モードが判断されてもよいし、工程S11と同様の手順に基づいて、調湿運転モードが判断されてもよい。
【0086】
図6に示されるように、工程S41において、現在の調湿運転モードが、除湿運転モードであると判断された場合(工程S41で「除湿運転モード」)、床下空間2の湿度が、予め定められた第1閾値以上であるか否かを判断する工程S42が実施される。一方、工程S41において、現在の調湿運転モードが、加湿運転モードであると判断された場合(工程S41で「加湿運転モード」)、床下空間2の湿度が予め定められた第2閾値以上であるか否かを判断する工程S43が実施される。
【0087】
[除湿運転モードでの制御]
本実施形態の工程S42では、除湿運転モードにおいて、床下空間2の湿度が、予め定められた第1閾値以上であるか否かが判断される。第1閾値には、除湿運転モードにおいて、床下空間2の除湿不足に起因して、床下空間2に結露が発生することを予測できれば、適宜設定される。本実施形態の第1閾値は、60~80%RH(本例では、70%RH)に設定される。
【0088】
工程S42において、床下空間2の湿度が、第1閾値以上であると判断された場合(工程S42で「Yes」)、床下空間2の除湿が不足しており、床下空間2に結露が発生するおそれがあると判断される。この場合、本実施形態の制御工程S4では、調湿装置17の除湿運転(外気A1の除湿)が開始される(工程S44)。
【0089】
本実施形態の工程S44では、図3に示した演算部41(制御装置20)が、調湿装置17に信号を伝達することにより、調湿装置17に除湿運転を開始させることができる。なお、工程S44において、調湿装置17による除湿運転が既に開始されている場合には、その除湿運転が継続して実施される。
【0090】
このように、本実施形態の調湿方法(調湿システム16及び住宅1)では、床下空間2の除湿が不足している場合に、調湿装置17に除湿運転を実施させることができる。したがって、本実施形態の調湿方法では、湿度が高くなっている床下空間2を除湿することができるため、床下空間2の結露を防ぐことができる。
【0091】
さらに、本実施形態の調湿方法(調湿システム16及び住宅1)では、調湿装置17の除湿運転により、湿度が高い床下空気A3が床上空間3に供給されるのを防ぐことができるため、床上空間3の快適性が維持されうる。
【0092】
一方、工程S42において、床下空間2の湿度が第1閾値未満である場合(工程S42で「No」)、床下空間2の湿度が既に低下しており、床下空間2に結露が発生する可能性が低いと判断される。この場合、本実施形態の制御工程S4では、調湿装置17の除湿運転(外気A1の除湿)が停止される(工程S45)。なお、調湿装置17による除湿運転が停止されたとしても、床上空間3には、湿度が低い床下空気A3が供給されるため、床上空間3の快適性が維持される。
【0093】
本実施形態の工程S45では、図3に示した演算部41(制御装置20)が、調湿装置17に信号を伝達することにより、調湿装置17に除湿運転を停止させることができる。なお、工程S45において、調湿装置17による除湿運転が既に停止されている場合には、その停止状態が維持される。
【0094】
このように、本実施形態の調湿方法(調湿システム16及び住宅1)では、床下空間2の湿度が低下している場合に、調湿装置17の除湿運転を停止させることができる。これにより、本実施形態の調湿方法では、床下空間2の結露を防ぎつつ、床上空間3の快適性を維持しながら、調湿装置17のランニングコストを低減することができる。
【0095】
[加湿運転モードでの制御]
図6に示されるように、本実施形態の工程S43では、加湿運転モードにおいて、床下空間2の湿度が予め定められた第2閾値以上であるか否かが判断される。第2閾値には、加湿運転モードにおいて、床下空間2の湿度が必要以上に上昇(床下空間2の過加湿に起因)して、床下空間2に結露が発生することを予測できれば、適宜設定される。本実施形態の第2閾値は、60~80%RH(本例では、70%RH)に設定される。
【0096】
工程S43において、床下空間2の湿度が、第2閾値以上であると判断された場合(工程S43で「Yes」)、床下空間2の湿度が必要以上に上昇しており、床下空間2に結露が発生するおそれがあると判断される。この場合、本実施形態の制御工程S4では、調湿装置17の加湿運転(外気A1の加湿)が停止される(工程S46)。なお、調湿装置17による加湿運転が停止されたとしても、床上空間3には、湿度が高い床下空気A3が供給されるため、床上空間3の快適性が維持されうる。
【0097】
本実施形態の工程S46では、図3に示した演算部41(制御装置20)が、調湿装置17に信号を伝達することにより、調湿装置17に加湿運転を停止させることができる。なお、工程S46において、調湿装置17による加湿運転が既に停止されている場合には、その停止状態が維持される。
【0098】
本実施形態の調湿方法(調湿システム16及び住宅1)では、床下空間2の湿度が必要以上に上昇している場合に、調湿装置17の加湿運転を停止することができる。したがって、本実施形態の調湿方法では、床下空間2が必要以上に加湿されるのを防ぐことができるため、床下空間2の結露を防ぐことができる。さらに、本実施形態の調湿方法は、調湿装置17の加湿運転の停止により、床上空間3の快適性を維持しながら、調湿装置17のランニングコストを低減しうる。
【0099】
一方、工程S43において、床下空間2の湿度が、第2閾値未満であると判断された場合(工程S43で「Yes」)、床下空間2の加湿が不足しており、床下空間2に結露が発生する可能性が低いと判断される。この場合、本実施形態の制御工程S4では、調湿装置17の加湿運転(外気A1の加湿)が開始される(工程S47)。
【0100】
本実施形態の工程S47では、図3に示した演算部41(制御装置20)が、調湿装置17に信号を伝達することにより、調湿装置17に加湿運転を開始させることができる。なお、工程S47において、調湿装置17による加湿運転が既に開始されている場合には、その加湿運転が継続して実施される。
【0101】
本実施形態の調湿方法(調湿システム16及び住宅1)では、床下空間2の加湿が不足している場合に、調湿装置17に加湿運転を実施させることができる。これにより、本実施形態の調湿方法では、湿度が低くなっている床下空間2を加湿することができるため、湿度が低い床下空気A3が床上空間3に供給されるのを防ぐことができる。したがって、本実施形態の調湿方法では、床上空間3の快適性が維持されうる。
【0102】
このように、本実施形態の調湿方法(調湿システム16及び住宅1)は、湿度検知装置19で検知された床下空間2の湿度に基づいて、調湿装置17の運転を制御できるため、床下空間2への必要以上の加湿や、床下空間2の除湿不足を抑制することができる。したがって、本実施形態の調湿方法は、床下空間2の結露を防ぎつつ、床上空間3の快適性が維持されうる。
【0103】
[停止命令の有無]
次に、本実施形態の調湿方法では、図4に示されるように、調湿システム16(図1に示す)への停止命令があるか否かが判断される(工程S5)。停止命令は、例えば、居住者によって制御装置20に入力される。停止命令の有無は、図3に示した制御装置20(演算部41)によって判断される。
【0104】
工程S5において、停止命令があると判断された場合(工程S5で「Yes」)、調湿システム16(調湿方法)が停止される(工程S6)。これにより、調湿方法の一連の処理が終了される。本実施形態の工程S6では、図3に示した制御装置20(演算部41)が、調湿装置17及び湿度検知装置19に信号を伝達することにより、調湿装置17による調湿、及び、湿度検知装置19による湿度の検知が停止される。なお、供給装置18(送風機38)の運転は、停止されてもよいし、床下空間2及び床上空間3の換気のために継続されてもよい。
【0105】
一方、工程S5において、停止命令がないと判断された場合(工程S5で「No」)、工程S3~工程S5が再度実施される。これにより、本実施形態の調湿方法(調湿システム16及び住宅1)は、停止命令があるまで、床下空間2の湿度に基づいて、調湿装置17の運転を制御できる。したがって、本実施形態の調湿方法(調湿システム16及び住宅1)は、床上空間3を調湿しつつ、床下空間2への必要以上の加湿や、床下空間2の除湿不足を抑制でき、床下空間2の結露を防ぐことが可能となる。
【0106】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0107】
1 住宅
2 床下空間
3 床上空間
16 調湿システム
17 調湿装置
18 供給装置
19 湿度検知装置
20 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6