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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H01L21/60 311S
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021040446
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139881
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】黒 勇旗
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-016544(JP,A)
【文献】特開平11-067795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/447-21/449
H01L21/60 -21/607
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板を保持可能なステージと、
半導体チップを保持し、前記ステージとの間で前記配線基板および前記半導体チップを押圧するツールとを備え、
前記ツールは、
前記半導体チップを保持する保持面を有する本体部と、
前記保持面の外縁に沿って設けられ、該保持面から前記ステージに向かって突出する第1突起部と、
前記保持面の外縁に沿って前記第1突起部よりも外側に設けられ、該保持面から前記ステージに向かって突出する第2突起部と、
前記第1突起部と前記第2突起部との間に設けられた溝部と、を備え
前記ツールは、前記第1または第2突起部の少なくとも一部分が前記配線基板に接触するまで前記半導体チップを前記配線基板へ押圧し、
前記第1または第2突起部が前記配線基板に接触したときに、前記本体部、前記第1または第2突起部および前記配線基板が前記半導体チップを囲む空間を形成し、該空間内に樹脂が充填され、
前記第1または第2突起部を前記配線基板に押圧するときに、前記溝部は、前記空間からあふれた前記樹脂を収容する、半導体製造装置。
【請求項2】
前記第1突起部は、前記保持面の外縁の一部において第1切欠き部を有する、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記第2突起部は、前記保持面の外縁の一部において第2切欠き部を有する、請求項1または請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記第1および第2突起部には、前記本体部よりも弾性率の低い材料が用いられている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記第2突起部は、前記保持面から前記ステージへ近づくに従って、前記保持面の中心から外縁へ向かって曲がっている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の半導体チップをフリップチップ接続するために、ボンディング装置が用いられている。ボンディング装置は、配線基板上に半導体チップを搭載して、装着(ボンディング)ツールで半導体チップを囲み、半導体チップを加熱しながら配線基板へ加圧する。これにより、半導体チップの電極バンプは、配線基板のパッド(リード電極)に接続される。また、このとき半導体チップと配線基板との間の空間には樹脂(NCFなどのアンダーフィル材)が満たされており、半導体チップは、配線基板上において樹脂で封止される。
【0003】
しかし、配線基板に対する装着ツールの高さは、樹脂の体積に依存するため、配線基板に対する半導体チップの高さがばらつくおそれがあった。半導体チップの高さ位置のばらつきは、半導体パッケージの厚みのばらつきにつながる。
【0004】
また、半導体チップを樹脂で封止する際に、樹脂内で発生した気泡は逃げ場を無くして樹脂内に留まることがある。この気泡は、その後のリフロー工程で水蒸気爆発を引き起こしたり、リークパスの原因となり、信頼性を損ねる原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-034571号公報
【文献】特開2001-102414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
配線基板に対する半導体チップの高さばらつきおよびアンダーフィル内部の気泡の発生を抑制し、信頼性の高い半導体装置を製造可能な半導体製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態により半導体製造装置は、配線基板を保持可能なステージを備える。ボンディングツールはステージとの間で配線基板および半導体チップを押圧する。ボンディングツールは、半導体チップを保持する保持面を有する本体部を備える。第1突起部は、保持面の外縁に沿って設けられ、該保持面からステージに向かって突出する。第2突起部は、保持面の外縁に沿って第1突起部よりも外側に設けられ、保持面からステージに向かって突出する。溝部は、第1突起部と第2突起部との間に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態によるボンディング装置の構成例を示す概略断面図。
図2】ボンディングツールの構成例を示す平面図。
図3】ボンディングツールが配線基板へ半導体チップを押圧している様子を示す断面図。
図4】ボンディングツールが配線基板へ半導体チップを押圧している様子を示す平面図。
図5】第2実施形態によるボンディング装置の構成例を示す概略断面図。
図6】第2実施形態によるボンディング装置の構成例を示す概略平面図。
図7】変形例によるボンディング装置の構成例を示す概略平面図。
図8図3の破線枠B内の構成例を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態によるボンディング装置1の構成例を示す概略断面図である。半導体製造装置としてのボンディング装置1は、ステージ10と、ボンディングツール20と、を備えている。ボンディング装置1は、ステージ10上に載置された配線基板SUB上に半導体チップCHPを搭載し、加圧および加熱することによって半導体チップCHPの電極ELDをバンプBMPで配線基板SUBのリード電極LELに電気的に接続する。尚、ボンディングツール20の押圧方向(ステージ10の搭載面に対して略垂直方向)がZ方向であるとする。Z方向に対して垂直面の一方向をX方向とし、X方向に直交する方向をY方向とする。
【0011】
ステージ10は、その表面上に配線基板SUBを保持可能に構成されている。ステージ10は、配線基板SUBを真空チャックまたは電磁チャックによって固定する。ステージ10には、例えば、ステンレス等の金属が用いられる。配線基板SUBは、複数の配線層と複数の絶縁層とを積層した多層配線基板である。配線層には、例えば、銅等の導電性金属が用いられる。絶縁層には、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁材料が用いられる。配線基板SUBの表面には、ソルダレジストRESおよびリード電極LELが設けられている。ソルダレジストRESは、半導体チップCHPが接続される配線基板SUBの領域の周囲に設けられており、ボンディングの際に突起部22の少なくとも一部分に接触する。
【0012】
ボンディングツール20は、半導体チップCHPを保持する保持面F20を有する本体部21と、保持面F20からステージ10に向かってZ方向へ突出する突起部22とを備える。ボンディングツール20は、保持面F20において保持した半導体チップCHPをステージ10上の配線基板SUBに向かってZ方向へ押圧する。ボンディングツール20は、ヒータ(図示せず)を有し、金属バンプBMPおよびアンダフィル材UDFを加熱することができる。尚、半導体チップCHPのボンディング工程において、ボンディングツール20がステージ10へ向かって移動してもよく、ステージ10がボンディングツール20へ向かって移動してもよい。
【0013】
ボンディングツール20の保持面F20には、貫通孔3cが設けられている。貫通孔3cは、保持面F20からボンディングツール20の内部を通過してその外部にある真空装置(図示せず)に繋がっている。また、貫通孔3cは、半導体チップCHPと保持面F20との間に介在するフィルム24も貫通しており、半導体チップCHPの表面を真空引きによって吸着することができる。即ち、フィルム24は、保持面F20を被覆しているが、ボンディングツール20の外部に連通する貫通孔3cに対応する位置に開口を有する。これにより、ボンディングツール20の保持面F20を鉛直下方向へ向けても、半導体チップCHPは保持面F20に吸着されたまま保持され得る。フィルム24には、例えば、樹脂等の絶縁材料が用いられる。フィルム24によって、アンダフィル材UDFがボンディングツール20に直接付着することを抑制できる。
【0014】
このように、ボンディングツール20は、半導体チップCHPを保持しながら、保持面F20をステージ10へ向けてステージ10上の配線基板SUBに半導体チップCHPを加熱および加圧することができる。ボンディングツール20は、半導体チップCHPを保持しながらステージ10に対して上下および左右に移動することができる。このとき、金属バンプBMPが加熱され溶融して電極ELDとリード電極LELとの間を接続する。金属バンプBMPには、例えば、スズ(Sn)を主成分としたはんだ材料が用いられる。また、半導体チップCHPに貼付されたアンダフィル材UDFが変形し、半導体チップと配線基板SUBとの間を充填する。アンダフィル材UDFは、電極ELD、リード電極LELおよび金属バンプBMPの周囲を封止し、これらの接続部分を保護する。アンダフィル材UDFには、例えば、液体樹脂(NCP(Non-Conductive Paste))あるいはフィルム状の樹脂(NCF(Non-Conductive Film))等の絶縁材料が用いられる。
【0015】
さらに、ボンディングツール20は、保持面F20の周囲に設けられており、保持面F20からステージ10に向かって突出する突起部22を備えている。突起部22は、第1突起部22aと、第2突起部22bと、溝22cとを含む。第1突起部22aは、X-Y面内において保持面F20の外縁に沿って設けられ、保持面F20からステージ10に向かってZ方向に突出している。第2突起部22bは、X-Y面内において保持面F20の外縁に沿って第1突起部22aの外側に設けられており、保持面F20からステージ10に向かってZ方向に突出している。溝22cは、第1突起部22aと第2突起部22bとの間に設けられ、突起部22を配線基板SUBに押圧するときに、保持面F20側から第1突起部22aの外側へあふれ出るアンダフィル材UDFを収容可能になっている。溝22cは、X-Y面内において保持面F20の外縁に沿って設けられ、第1および第2突起部22a、22bの突出に対応してZ方向に窪んでいる。溝22cの深さおよび幅は、第1突起部22aの外側へあふれ出るアンダフィル材UDFの量を十分に収容可能なように構成される。例えば、溝22cの深さは、保持面F20と同じ高さレベルでよい。溝22cの幅(第1突起部22aの先端と第2突起部22bの先端との距離)は、約100μm~300μmでよい。第1および第2突起部22a、22bには、ボンディングツール20の本体部21よりも弾性率の低い材料が用いられる。例えば、本体部21にはステンレス等の金属材料が用いられるのに対し、第1および第2突起部22a、22bには、ゴム等の樹脂材料が用いられてよい。これにより、第1および第2突起部22a、22bが配線基板SUBに接触しても、配線基板SUBが破損することを抑制することができる。
【0016】
ボンディングツール20は、半導体チップCHPのバンプBMPがリード電極LELに接触し、かつ、突起部22の少なくとも一部分が配線基板SUBに接触するまで半導体チップCHPを配線基板SUBへ押圧する。突起部22が配線基板SUBに接触したときに、本体部21、突起部22および配線基板SUBは、半導体チップCHPを収容する空間を形成する。半導体チップCHPには、アンダフィル材UDFが予め貼付または塗布されており、ボンディングツール20および配線基板SUBで形成される空間内に、アンダフィル材UDFが充填される。それとともに、アンダフィル材UDFは、空間から第1突起部22aの外側へあふれ出て、溝22cに収容される。
【0017】
ボンディングツール20には、貫通孔3a、3b、3cが設けられている。貫通孔3aは、保持面F20および突起部22の外側に設けられており、フィルム24を吸着する。貫通孔3bは、第1突起部22aと第2突起部22bとの間の溝部22cに連通するように設けられており、フィルム24を吸着する。貫通孔3cは、上述の通り、保持面F20に連通するように設けられており、フィルム24に設けられた孔を介して半導体チップCHPを吸着する。
【0018】
図2は、ボンディングツール20の構成例を示す平面図である。図2には、ボンディングツール20の保持面F20に保持された半導体チップCHPも図示されている。図1は、図2のB-B線に沿った断面を示している。
【0019】
図2に示すように、突起部22は、保持面F20の外縁、即ち、半導体チップCHPの外縁に沿って設けられている。第1突起部22aは、保持面F20の外縁に沿って設けられ、その一部に第1切欠き部としての切欠き部23aを有する。切欠き部23aは、保持面F20の外縁に沿って第1突起部22aに略等間隔で設けられている。切欠き部23aは、保持面F20を基準として、他の領域の第1突起部22aよりも低く形成されている。よって、突起部22aが配線基板SUBに接触したときに、切欠き部23aと配線基板SUBとの間には間隙Gaができる。この間隙Gaは、ボンディングツール20と配線基板SUBとによって形成される半導体チップCHPを収容する空間とその外部とをX-Y面内において連通する。
【0020】
第2突起部22bは、保持面F20の外縁に沿って設けられ、その一部に第2切欠き部としての切欠き部23bを有する。切欠き部23bは、保持面F20の外縁に沿って第2突起部22bに略等間隔で設けられている。切欠き部23bは、保持面F20を基準として、他の領域の第2突起部22bよりも低く形成されている。よって、突起部22bが配線基板SUBに接触したときに、切欠き部23bと配線基板SUBとの間には間隙Gbができる。この間隙Gbは、第1突起部22aと第2突起部22bとの間の溝22cとその外部とを連通する。
【0021】
図3は、ボンディングツール20が配線基板SUBへ半導体チップCHPを押圧している様子を示す断面図である。図4は、ボンディングツール20が配線基板SUBへ半導体チップCHPを押圧している様子を示す平面図である。図3は、図4のB-B線に沿った断面に対応する。図4において、半導体チップCHPの位置は、仮想線で示されている。
【0022】
図1の状態において、ボンディングツール20は、約100℃~200℃に半導体チップCHPを加熱しつつ、配線基板SUBへ向かって移動させる。ボンディングツール20は、バンプBMPとリード電極LELとが接触し、かつ、突起部22が配線基板SUBのソルダレジストRESに接触するまで、半導体チップCHPを配線基板SUBへ加熱および加圧する。
【0023】
次に、ボンディングツール20の温度を金属バンプBMPの溶融温度以上へ昇温させる。これにより、バンプBMPが溶融して電極ELDとリード電極LELとを接続するとともに、アンダフィル材UDFが変形して半導体チップCHP、電極ELD、リード電極LELおよびバンプBMPを封止する。アンダフィル材UDFは、ボンディングツール20の本体部21、突起部22および配線基板SUBによって囲まれる空間を充填する。さらに、余剰のアンダフィル材UDFは、第1突起部22aの切欠き部23aと配線基板SUBのソルダレジストRESとの間の間隙Gaから空間の外へあふれ出る。これにより、アンダフィル材UDFは、溝22cに溜まる。間隙Gaは、アンダフィル材UDFが空間内に充填される際に通気口(エアベント)としての機能、および、アンダフィル材UDFの導出孔としての機能を備える。このとき、第2突起部22bの切欠き部23bと配線基板SUBのソルダレジストRESとの間の間隙Gbは、通気口(エアベント)として機能し、アンダフィル材UDFが溝22cにスムーズにたまるように溝22cから空気を抜く。これにより、アンダフィル材UDFの内部に発生した気泡は、半導体チップCHP側の空間と溝22cとの圧力差によって切欠き部23aから溝22cへ移動し、更に切欠き部23bを通って半導体チップCHP側の空間から排除され、リフロー工程での水蒸気爆発およびリークパスの形成を抑制することができる。これは、半導体パッケージの信頼性の向上につながる。
【0024】
半導体チップCHPに貼付または塗布されるアンダフィル材UDFの体積は、図3に示す本体部21、突起部22および配線基板SUBとで囲まれる空間から該空間内にあるアンダフィル材UDF以外の構成(例えば、半導体チップCHP、電極ELD、バンプBMP、リード電極LEL等)の体積を除いた第1空間の体積よりも大きい。これにより、ボンディングツール20が半導体チップCHPを配線基板SUBに押圧したときに、アンダフィル材UDFが第1空間を充填することができる。尚且つ、アンダフィル材UDFの体積は、溝22cと配線基板SUBのソルダレジストRESとで囲まれる第2空間を第1空間に足し合せた体積よりも小さいことが好ましい。これにより、アンダフィル材UDFが半導体チップCHP、電極ELD、バンプBMP、リード電極LELを十分に封止しつつ、余分なアンダフィル材UDFが突起部22bより外側に漏れ出ることを抑制することができる。また、アンダフィル材UDFの節約にもつながる。
【0025】
電極ELDとリード電極LELとが金属バンプBMPを介して接続され、アンダフィル材UDFが取出し可能な硬化度に達した後、ボンディングツール20の加圧および加熱の動作を解除する。ボンディングツール20を上昇させて製品を取り出す。
【0026】
尚、突起部22aは、ボンディングツール20の一部として一体形成されていてもよく、別体としてボンディングツール20にボルトまたは接着剤等で固定してもよい。
【0027】
また、溝22cが設けられていることによって、アンダフィル材UDFの体積のばらつきが吸収される。よって、アンダフィル材UDFの体積が溝22cとソルダレジストRESとで形成される空間の容積だけばらついても、アンダフィル材UDFは、半導体チップCHP、電極ELD、バンプBMP、リード電極LELを安定して封止することができる。
【0028】
切欠き部23a、23bは、図4に示すように、Z方向から見たときに、保持面F20の外縁に沿ってX方向またはY方向に互い違いに(半ピッチずらして)設けられていてもよい。切欠き部23a、23bは、X方向またはY方向から見たときに、互いにずれて配置されている。この場合、切欠き部23a、23bは、X方向またはY方向から見たときに連通していない。一方、図7を参照して後述するように、切欠き部23a、23bは、保持面F20の外縁に沿って同じピッチで配置され、対応する位置に揃っていてもよい。
【0029】
また、突起部22がボンディングツール20に設けられていることによって、突起部22が配線基板SUBに接触したときに、ボンディングツール20が停止し、配線基板SUBに対する半導体チップCHPの高さが決定される。即ち、突起部22の高さによって、配線基板SUBに対する半導体チップCHPの高さが決定される。これにより、半導体チップCHPに貼付または塗布されるアンダフィル材UDFの体積にばらつきがあっても、配線基板SUBに対する半導体チップCHPの高さは略一定となる。その結果、パッケージの厚みが安定するとともに、電極ELDとリード電極LELとの接続面積が安定し信頼性が向上する。
【0030】
また、アンダフィル材UDFの内部に発生した気泡は、半導体チップCHP側の空間から切欠き部23bを介して排除され得る。これにより、リフロー工程での水蒸気爆発を抑制し、リークパスを抑制することができる。
【0031】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態によるボンディング装置1の構成例を示す概略断面図である。図6は、第2実施形態によるボンディング装置1の構成例を示す概略平面図である。図5は、図6のB-B線に沿った断面に対応する。尚、図5および図6は、ボンディングツール20がすでに半導体チップCHPを配線基板SUBへ押圧しているときの様子を示している。また、図6において、半導体チップCHPの位置は、仮想線で示されている。
【0032】
第2実施形態では、第2突起部22bが保持面F20からステージ10へ近づくに従って、保持面F20の中心から外縁へ向かって外方へ(放射方向へ)広がるように曲がっている。即ち、図5に示すように、第2突起部22bは、末広がりの形状を有する板状部材となっている。また、第1突起部22aには、第1実施形態のそれと同様に、本体部21よりも弾性率の低い樹脂等の材料が用いられる。第1突起部22aは、本体部21とは別体に設けられ、ボンディングツール20に、例えば、ボルトまたは接着剤等で固定され得る。
【0033】
第2突起部22bには、第1突起部22aよりも弾性率の高い材料が用いられている。第2突起部22bは、ボンディングツール20とは別体として構成されている。例えば、第2突起部22bは、ボンディングツール20と同じ材料(例えば、ステンレス等の金属材料)で構成された板状部材でよい。第2突起部22bは、ボンディングツール20がアンダフィル材UDFを押圧する圧力の、例えば、10%以下の圧力でアンダフィル材UDFを横方向から押圧する。これにより、ボンディングツール20の加圧力がアンダフィル材UDFへ加えることが可能となり、気泡の排出がさらに促進され得る。
【0034】
ボンディングツール20は、第2突起部22bが配線基板SUBに接触すると停止する。第2突起部22bは、わずかに撓み上記圧力でアンダフィル材UDFを横方向から押圧する。ボンディングツール20および第2突起部22bの圧力がアンダフィル材UDFに印加されることによって、気泡が排出される。これにより、リフロー工程での水蒸気爆発が抑制され得る。
【0035】
第2突起部22bが配線基板SUBに接触したときに、本体部21、第2突起部22bおよび配線基板SUBは、半導体チップCHPを収容する空間を形成する。このとき、第1突起部22aは、配線基板SUBには接触しない高さに設定されている。配線基板SUBに対する半導体チップCHPの高さは、第2突起部22bの先端部の位置によって決定される。第1突起部22aは、半導体パッケージとフィレットとの境界を決定する機能を有する。尚、第2突起部22bの表面は、フィルム24で被覆されているため、第2突起部22bがソルダレジストRESに接触しても、ソルダレジストRESの損傷を抑制することができる。
【0036】
第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。従って、第2実施形態は、さらに第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0037】
(変形例)
図7は、変形例によるボンディング装置1の構成例を示す概略平面図である。第1および第2実施形態では、切欠き部23a、23bは、図2図4および図6に示すように、保持面F20の外縁に沿って互い違いに(半ピッチずらして)設けられている。しかし、図7に示すように、切欠き部23a、23bは、Z方向から見たときに、保持面F20の外縁の各辺においてX方向またはY方向にほぼ同一ピッチで配置され、揃っていてもよい。この場合、X方向またはY方向から見たときに、切欠き部23a、23bは、互いに揃っており、外部から半導体チップCHPを収容する空間へ連通している。このような構成であっても、本実施形態の効果は失われない。
【0038】
図8は、図3の破線枠B内の構成例を示す概略平面図である。図8は、図3等よりも実際に近い寸法比で各構成を示している。第1突起部22aおよび第2突起部22bは、このようにX方向(半導体チップCHPを収容する空間とその外部との連通方向)に延伸するように幅広に形成されている。
【0039】
間隙Gaの高さ(Z方向の幅)は、間隙Gbの高さよりも高い。尚、間隙Gaの高さは、図8では破線で示されている。これにより、間隙Gaは、通気口(エアベント)としての機能、および、アンダフィル材UDFの導出孔としての機能を兼ねることができる。尚且つ、間隙Gbは、アンダフィル材UDFが外部へ漏れ出ることを抑制しつつ、通気口(エアベント)として機能することができる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0041】
1 ボンディング装置、10 ステージ、20 ボンディングツール、F20 保持面、22 突起部、22a 第1突起部、22b 第2突起部、22c 溝、3a、3b、3c 貫通孔、CHP 半導体チップ、SUB配線基板、UDF アンダフィル材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8