(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】ねじ締め機
(51)【国際特許分類】
B23P 19/06 20060101AFI20241009BHJP
B25B 23/10 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
B23P19/06 C
B25B23/10 E
(21)【出願番号】P 2021052561
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田邉 光希
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-231027(JP,A)
【文献】実開平05-012049(JP,U)
【文献】特開平10-076436(JP,A)
【文献】特開2009-190144(JP,A)
【文献】特開2019-150896(JP,A)
【文献】特開2006-130623(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00113421(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/06
B25B 23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
別途供給されるねじが通過可能な案内部材と、
前記案内部材を通過したねじを保持する保持穴を有するチャックユニットと、
前記チャックユニットに保持されたねじを吸着可能なスクリューガイドと、
前記スクリューガイドに吸着されたねじと係合可能なドライバビットとを具備し、
前記チャックユニットは、
前記保持穴が分割形成された一対のチャック爪と、
前記一対のチャック爪を互いに接近離反させる開閉駆動源と、
前記チャック爪を移動させる往復駆動源と有し、
前記チャック爪は、前記往復駆動源の駆動により、前記保持穴が前記案内部材に連続する位置および前記スクリューガイドに連続する位置を往復するよう構成されて
おり、
前記開閉駆動源は、前記保持穴が前記案内部材に連続している時、チャック爪を互いに接近させる一方、保持穴内のねじがスクリューガイドに吸着された後、前記チャック爪を互いに離反させ、スクリューガイドの前方からチャック爪を排除することを特徴とするねじ締め機。
【請求項2】
前記保持穴は、ねじの頭部径より十分大きく構成された大径部と、この大径部と連続するすり鉢状の傾斜部と、この傾斜部に連続し、前記ねじの軸部を受け入れ可能な小径部とを有することを特徴とする請求項1に記載のねじ締め機。
【請求項3】
前記ドライバビットとスクリューガイドを軸方向に往復駆動させる位置制御機構と、前記位置制御機構の駆動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記位置制御機構へ動作指令を送り、前記スクリューガイドが前記保持穴内に進入する所定の吸着位置まで移動させた後、吸引手段を作動させるよう吸引手段の駆動を制御可能に構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のねじ締め機。
【請求項4】
前記ドライバビットには、着脱自在に構成されたビットカラーが装着されており、このビットカラーは、ドライバビットが前記ねじに嵌合した際、端部が当該ねじの頭部に当接するよう寸法設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載のねじ締め機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークにねじを締結するねじ締め機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のねじ締め機として、特許文献1に示すように、ねじと嵌合可能なドライバビットと、このドライバビットを内包する筒状のスクリューガイドと、これらドライバビットおよびスクリューガイドの軸線上に配置され、外部のねじ供給装置から供給されたねじを一旦保持するチャックユニットとを備えたねじ締め機が知られている。このねじ締め機のチャックユニットは、前記スクリューガイドを軸方向の往復移動可能に案内する案内穴が形成されたチャック本体と、このチャック本体に揺動自在に装着され、前記ドライバビットの軸線上に保持穴を分割形成するチャック爪とを備えている。また、前記スクリューガイドには、エア吸引可能な吸引手段が接続されており、この吸引手段の作動によって前記スクリューガイドの下端側開口部にねじを吸着保持可能に構成されていた。これら構造により、前記ねじ締め機は、前記チャック爪に保持されたねじが下降するスクリューガイドに吸引されるとともに当該スクリューガイドの先端がチャック爪を押し開けさらに下降する。やがてスクリューガイドの先端がワークの表面に当接して、スクリューガイド内のねじが回転するドライバビットに係合してワークへ押し付けられて螺入される。
【0003】
上述のようなねじ締め機において、前記チャックユニットは、前記スクリューガイドに合わせて設計されている。例えば、チャック爪は、スクリューガイドがねじを吸着保持した後の所定のタイミングでスクリューガイドによって押し開けられるようにその保持穴の形状等が設定されていた。また、当該スクリューガイドは、その被締結物側の開口部の内径がねじの頭部径とほぼ同径に構成されており、その内壁とねじの頭部との隙間から空気が極力入らないように寸法設定されている。これにより、スクリューガイド内部の負圧が保たれるため、ねじの脱落が防止される。このようにねじ毎に適したチャック爪、スクリューガイドを用いることにより、円滑にねじ締め動作を実施可能に構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のねじ締め機は、上述のようにチャックユニットがスクリューガイドの形状に合わせて設計されてため、ねじが変更され、それに合わせてスクリューガイドを交換する度にスクリューガイドに比べて交換に時間を要するチャックユニットも交換する必要があった。この結果、段替えに時間がかかり、作業効率が低下すると言った問題があった。また、従来のチャックユニットは、ねじ締め動作終了後にしか次のねじを供給することができないため、サイクルタイムが長くなると言った問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて創生されたものであり、チャックユニットの交換頻度を低減させ、作業効率を向上させることが可能なねじ締め機の提供を目的とする。この目的を達成するために本発明は、ねじに係合するドライバビットと、このドライバビットを軸方向の相対移動可能に内包するスクリューガイドと、このスクリューガイドの軸線上にねじを一旦保持するチャックユニットと、このチャックユニットに保持されたねじを前記スクリューガイドの内部へを吸引する吸引手段と、前記ドライバビットを回転駆動させる回転駆動源および前記ドライバビットとスクリューガイドを軸方向に往復駆動させる位置制御機構と、回転駆動源および位置制御機構の駆動を制御する制御部とを備えるねじ締め機において、別途供給されるねじが通過可能な供給経路が形成された案内部材を有し、前記チャックユニットは、前記案内部材を通過したねじを保持可能な保持穴が形成されたチャック爪と、前記保持穴が前記供給経路と連続する位置および前記スクリューガイドと連続する位置でチャック爪を往復移動させる往復駆動源とを有することを特徴とする。なお、前記保持穴は、ねじの頭部径より十分大きく構成された大径部と、この大径部と連続するすり鉢状の傾斜部と、この傾斜部に連続し、前記ねじの軸部を受け入れ可能な小径部とを有することが好ましい。また、前記制御部は、前記位置制御機構へ動作指令を送り、前記スクリューガイドが前記保持穴内に進入する所定の吸着位置まで移動させた後、吸引手段を作動させるよう吸引手段の駆動を制御可能に構成されていることが好ましい。さらに、前記チャックユニットは、前記チャック爪を往復駆動源の移動方向と直交する方向に開閉駆動させる開閉駆動源を有することが好ましい。また、前記ドライバビットには、着脱自在に構成されたビットカラーが装着されており、このビットカラーは、ドライバビットが前記ねじに嵌合した際、端部が当該ねじの頭部に当接するよう寸法設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ねじを吊下げ可能な保持穴が形成されたチャック爪が往復駆動源の駆動を受けて、スクリューガイドと連続する位置および案内部材と連続する位置を往復するため、保持穴で吊り下げ保持可能なねじであれば、チャックユニットを交換すること無く締め付け可能となる。このため、段替え作業が短時間化かつ容易化され、作業効率を向上可能等の利点がある。また、ねじの締め付けと同時に次のねじを供給可能であるため、サイクルタイムが短縮するという利点もある。なお、前記保持穴が案内部材と連続する大径部と軸部を受け入れる小径部との間に傾斜部を有するため、供給されたねじが傾斜部に接触して円滑に吊下げ保持されるため、ねじが保持穴内で詰まることを防止できるという利点もある。また、スクリューガイドの端部が前記保持穴に進入した状態でねじを吸着保持することにより、チャック爪とスクリューガイドとの隙間から流入する空気が減少し、ねじを強力に吸着可能となるため、ねじの脱落を防止できる等の利点もある。さらに、前記チャック爪が開閉駆動源に支持されてており、スクリューガイドがねじを吸着保持した直後に開閉駆動源が駆動させて、チャック爪をスクリューガイドの移動経路上から排除できるため、ねじを吸着した直後にスクリューガイドが締め付け動作に移行でき、サイクルタイムを短縮可能等の利点もある。また、前記ドライバビットにビットカラーが装着されており、ドライバビットが前記ねじに嵌合した際、ビットカラーがねじの頭部に当接するため、ねじがビットの軸線に対して傾き難く斜め締め付け等のねじ締め不良を生じ難いという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本発明に係るねじ締め機の構造を示す要部拡大一部切欠断面図である。
【
図3】
図2の状態から次の状態へ移行する動作を示す要部拡大一部切欠断面図である。
【
図4】
図3の状態から次の状態へ移行する動作を示す要部拡大一部切欠断面図である。
【
図5】
図4の状態から次の状態へ移行する動作を示す要部拡大一部切欠断面図である。
【
図6】本発明に係るねじ締め機の構造を示す要部拡大底面図である。(A)は、
図2の状態を示す底面図であり、(B)は、
図3の状態を示す底面図であり、(C)は、
図4の状態を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1ないし
図6において、10は、ワークWに形成された下穴W1に対して頭部および軸部を備えたねじSを締め付けるねじ締め機である。このねじ締め機10は、
図1に示すように鉛直方向に延びるフレーム11を備えており、このフレーム11の上下端部には、水平方向に延びる上板111および下板112が一体に固定されている。この上板111および下板112の間には、フレーム11と平行に延びるガイドロッド12が設けられており、このガイドロッド12には、摺動自在に構成されたドライバ台13が昇降自在に装着されている。また、前記上板111には、昇降駆動源の一例である昇降用ACサーボモータ14(以下、昇降モータ14という)が載置されており、この昇降モータ14は、その出力軸にボールねじ15が一体に回転可能に連結されている。このボールねじ15は、前記上板111および下板112の間に設けられており、このボールねじ15には、その回転によって昇降する駆動ナット(図示せず)を介して前記ドライバ台13が連結されている。これら構造により、前記ドライバ台13は、前記昇降モータ14の回転駆動を受けて、ガイドロッド12に沿って昇降可能となる。
【0010】
前記ドライバ台13には、ドライバユニット20のハウジング21が連結されており、このハウジング21上には、回転駆動源の一例であるACサーボモータ22(以下、締付モータ22とする)がその出力軸(図示せず)を下方に向けて載置されている。この締付モータ22の出力軸には、前記ハウジング21を回転自在に貫通している連結軸23が連結されており、この連結軸23には、ドライバビット24が装着されている。このドライバビット24の下端には、ねじSの頭部と嵌合可能な嵌合部25が形成されている。また、ドライバビット24には、ビットカラー26が装着されている。このビットカラー26は、前記ドライバビット24の中間付近から嵌合部25側を被覆しており、前記嵌合部25の所定量が当該ビットカラー26の下端から突出するよう構成されている。なお、ドライバビット24およびビットカラー26は、ねじ止め等により着脱自在に固定されている。さらに、ビットカラー26の寸法つまりドライバビット24の嵌合部25がビットカラー26の下端から突出する寸法は、使用するねじSの頭部に形成された嵌合穴(図示せず)の深さに応じて決定されており、ドライバビット24の嵌合部25がねじSの嵌合穴に嵌合した際、ビットカラー26の端部がねじSの頭部に当接するように設定されている。このため、吸着保持したねじSは、ドライバビット24の嵌合部25およびビットカラー26に支持されて、姿勢を崩しにくくなる。
【0011】
また、ドライバユニット20は、前記ハウジング21の下部に設置された前記連結軸23およびドライバビット24を内包する中空円筒状のスクリューガイド27を備えている。このスクリューガイド27は、前記フレーム11の下板112を昇降自在に貫通しており、待機状態時、その下端が下板112より下方に位置している。このスクリューガイド27は、前記ハウジング21との間に設けられるクッションばね(図示せず)により常時下方に向けて付勢されており、このクッションばねが撓むことにより、ハウジング21およびドライバビット24に対して軸方向に相対移動可能に構成されている。さらに、スクリューガイド27は、その下端部28のみを交換可能に構成されており、この下端部28は、その開口部の内径がねじSの頭部径とほぼ同径に構成されている。しかも、前記スクリューガイド27は、その上部にコンプレッサ等の吸気手段(図示せず)が連結されるエアホース継手29が取り付けられており、この吸気手段の駆動により、下端開口部にねじSを吸着保持可能に構成されている。
【0012】
前記フレーム11の下板112には、前記スクリューガイド27より若干後方に案内部材30が設けられている。この案内部材30は、下板112を上下方向に貫通しており、その下端が待機状態の前記スクリューガイド27の下端と同じ高さになるように設置されている。また、この案内部材30の内部には、供給経路31が貫通形成されており、この供給経路31は、その内径がねじSの頭部径より大きく、なおかつねじSが当該供給経路31に対して所定の角度以上傾斜できないよう寸法設定されている。また、この供給経路31の上端には、ねじ供給ホース継手32が接続されている。このねじ供給ホース継手32には、外部のねじ供給装置(図示せず)のねじ供給用ホース(図示せず)が連続しており、このねじ供給ホース用も前記供給経路31と同様にねじSが通過可能かつ通過途中に反転しないよう寸法設定されている。このため、前記ねじ供給装置から供給されたねじSは、反転することなく、ねじ供給ホースおよび案内部材30を通過して後記保持穴44まで到達可能となる。
【0013】
また、前記下板112には、
図2に示すようにチャックユニット40が取り付けられており、このチャックユニット40は、下板112の下面に固定された水平シリンダ41を備えている。この水平シリンダ41は、そのピストンロッド411を水平方向に往復駆動させる往復駆動源の一例であり、そのピストンロッド411には、一体に往復駆動可能なスライドテーブル412が連結されている。このスライドテーブル412には、この開閉チャックは、その駆動部が前記水平シリンダ41の駆動方向と直交する方向に接近、離反するよう構成された開閉駆動源の一例である開閉チャック42が連結されており、この開閉チャック42の駆動部には、一対のチャック爪43,43が装着されている。このチャック爪43は、その上面が前記案内部材30の下端とほぼ同程度の高さとなり、その隙間がねじSの長さに比べて十分短くなるように配置されており、その対向面に保持穴44が分割形成されている。なお、前記水平シリンダ41のストロークは、
図2に示すようにピストンロッド411が収縮している時、保持穴44が前記案内部材30の供給経路31に連続する一方、
図3に示すようにピストンロッド411が伸長している時、保持穴44が前記スクリューガイド27に連続するよう寸法設定されている。
【0014】
前記保持穴44は、
図5に示すように上側に開口する大径部441と、この大径部441に連続し、下方に向かう程徐々に径が小さくなるすり鉢状の傾斜部442と、この傾斜部442に連続し、下側に連続する小径部443とから構成されている。大径部441は、その内径が前記スクリューガイド27の下端の外径より若干大きい寸法に構成され、前記ねじSの頭部を収容可能な深さに構成されている。また、小径部443は、下側に開口しており、その内径は、ねじSの頭部径より小さく、軸部径より大きい寸法に構成されている。このため、保持穴44に供給されたねじSは、軸部が小径部443に受け入れられ、その頭部は、座面を前記傾斜部442に当接させた状態で、保持穴44に吊下げ保持される。さらに、前記チャック爪43には、前記小径部443に直交して、光通過穴444が貫通形成されており、この光通過穴444の両端には、これを塞ぐように一対の光センサ45が対向配置されている。この光センサ45は、対向して配置されている一方から他方に向けて投光するように構成されており、この投光された光が保持穴44内のねじSの軸部に遮断されることで、保持穴44内にねじSが吊下げ保持されていることを検出するように構成されている。なお、大径部441および傾斜部442の深さ寸法は、ねじSの軸方向寸法と同寸またはねじSの軸方向寸法より短く構成されている。
【0015】
前記制御部50は、前記昇降モータ14、締付モータ22、水平シリンダ41、開閉チャック42、前記光センサ45、前記スクリューガイド27に連続する吸気手段およびねじ供給装置等が接続されており、これらから出力される各種信号を受信してその信号に基づいて各ユニットの動作を制御するように構成されている。
【0016】
次に、上記のように構成されたねじ締め機10の作用を説明する。
前記制御部50は、
図2および
図6の(A)に示すように前記水平シリンダ41が収縮するとともに開閉チャック42が閉じており、保持穴44が前記供給経路31の直下に連続する待機状態時、前記ねじ供給装置を駆動させ、ねじSをチャックユニット40に向けて供給する。この時、供給ホースおよび供給経路31の内径が、前述の寸法に構成されており、ねじSが途中で反転することが無いため、供給されたねじSは、頭部座面が保持穴44の傾斜部442に当接し、軸部が小径部443に挿入された状態で保持穴44に吊下げ保持される。また、大径部441と小径部443との間に傾斜部442が形成されているため、供給されたねじSが保持穴44に対して若干傾斜しても、その軸部先端が傾斜部442に接触して、その傾斜に沿って小径部443に押し込まれる。さらに、供給時、大径部441および傾斜部442の深さ寸法がねじSの軸方向寸法より短く構成されているため、ねじSは、頭部が案内部材30から抜け出るのとほぼ同時に軸部が小径部443に進入する。これら構造により、供給されたねじSは、大径部441あるいは傾斜部442内に詰まること等なく、正しい姿勢で吊下げ保持される。
【0017】
上述のようにねじSが保持穴44に吊下げ保持された時、ねじSの軸部により光通過穴444が遮られ、光センサ45が制御部50に保持穴44内にねじSが存在する旨の信号を出力する。これにより、制御部50は、前記水平シリンダ41を駆動させ、
図3および
図6の(B)に示すように前記保持穴44がスクリューガイド27の直下に連続する位置まで、チャック爪43を前進させる。保持穴44とスクリューガイド27とが連続すると、制御部50は、前記昇降モータ14を駆動させて、
図3に示すようにスクリューガイド27をその下端が保持穴44の大径部441内に進入する吸着位置まで下降させる。スクリューガイド27が保持穴44内に進入すると、制御部50は、前記吸引手段を駆動させて、スクリューガイド27の下端開口部からエア吸引を行い、スクリューガイド27の下端にねじSを吸着保持させる。このように、スクリューガイド27の下端が大径部441に進入した状態でねじSを吸着するため、スクリューガイド27とチャック爪43との隙間から空気が入ることを防ぎ、強力に吸引することが可能となる。また、スクリューガイド27が保持穴44に吊下げ保持されているねじSの頭部を覆った状態で吸着するため、ねじSの揺動を防止する。結果、ねじSは、傾斜することなく正しい姿勢でスクリューガイド27内に吸着保持される。
【0018】
上述の様にスクリューガイド27内にねじSが吸引されると、制御部50は、前記開閉チャック42を駆動して、
図6の(C)に示すようチャック爪43を開き、スクリューガイド27の直下が開放する。その後、前記昇降モータ14を駆動させて
図4に示すようにスクリューガイド27をワークWに向けて下降させる。このように、チャック爪43が開閉チャック42の駆動を受けて開閉可能であるため、スクリューガイド27がねじSを吸着保持した後、開閉チャック42を駆動させるという一工程でチャック爪43をスクリューガイド27の直下から排除することができる。このため、スクリューガイド27がねじSを吸着保持した後、昇降モータ14を駆動させてスクリューガイド27を上昇させて保持穴44から抜いた後、水平シリンダ41を駆動させるという二工程でスクリューガイド27の直下からチャック爪43を排除するものより、必要な工程数が少なく、サイクルタイムが短縮される。
【0019】
前記昇降モータ14によりスクリューガイド27が下降するのと、制御部50は、前記締付モータ22を正転駆動(ねじSがワークWに螺入する方向に回転)させて、スクリューガイド27に吸着保持されたねじSにドライバビット24の嵌合部25を嵌合させる。この時、前記ドライバビット24には、ビットカラー26が装着されているため、ねじSは、ドライバビット24の嵌合部25およびビットカラー26の下端に支持されることとなる。これにより、ねじSがスクリューガイド27に対して傾斜することが防止され、斜め締め付け等の締め付け不良が防止される。このドライバビット24がワークWに向かい下降することにより、ねじSは、所定のトルクでワークWに締結される。その後、締付モータ22が所定の締め付けトルクを出力すると、締結動作を終了して、前記締付モータ22を停止させるとともに昇降モータ14を駆動させて、スクリューガイド27を当初の高さまで復帰させる。
【0020】
上述のねじ締め動作時、スクリューガイド27が所定の位置まで降下すると、制御部50は、前記水平シリンダ41を駆動させて開いた状態のチャック爪43を後退させた後、開閉チャック42を駆動させてチャック爪43を閉じる。これにより、前記案内部材30の供給経路31にチャック爪43の保持穴44が再度連続する。その後、制御部50は、前記ねじ供給装置に駆動指令を出力して次のねじSを供給させる。このようにねじ締め動作中に次のねじSを供給できるため、ねじ締め動作終了後、別途ねじを供給するものと比して、サイクルタイムがさらに短縮される。
【0021】
また、前記チャックユニット40は、前述の様に保持穴44がねじSを吊下げ保持する構成であるため、ねじSと軸部径が同一のねじであれば、同様に吊下げ支持することが可能である。例えば、頭部外径がねじSの頭部外径より小さい径で構成されたねじ(図示せず、以下段替えねじという)を締め付ける場合、スクリューガイド27を段替えねじの頭部と合致するものに交換することで前記ねじSと同様に締め付けることが可能となる。このようにチャックユニット40を交換することなくスクリューガイド27の交換のみで対応可能であるため、比較的容易かつ短時間で段替作業を実施でき、作業効率が向上する。特に本ねじ締め機10のようにスクリューガイド27が下端部28を着脱自在に構成されている場合、下端部28のみを段替えねじに適したものにできるので、より作業効率が向上する。また、頭部の形状や嵌合穴の深さが相違する場合、前記ビットカラー26を段替えねじの嵌合穴の深さに適したものに交換することで段替えねじもねじSと同様にドライバビット24の嵌合部25およびビットカラー26で支持することが可能となる。結果、頭部形状が相違する段替えねじであっても、斜め締め付け等の締め付け不良を防止可能となる。さらに、スクリューガイド27が大径部441に進入してからねじSを吸着する構成であるため、ねじSの頭部形状に関係なく強力に吸着保持できる。これにより、スクリューガイド27がワークWに向かい下降する途中でねじSが脱落すること等が防止される。
【0022】
なお、本発明に係るねじ締め機10は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、チャックユニット40は、開閉チャック42を備えずに、水平シリンダ41の駆動によりチャック爪43が前後に往復駆動のみ行うものであってもよい。この場合、制御部50は、保持穴44内に進入したスクリューガイド27がねじSを吸着保持した後、前記昇降モータ14により、スクリューガイド27を上昇させ、保持穴44から脱却するよう構成されていることが好ましい。さらに、水平駆動源および開閉駆動源は、前述のようにチャック爪43を水平方向に往復自在かつ開閉自在に支持するものであれば、その他構成であっても何ら問題ない。同様に前記昇降モータ14およびボールねじ15は、ドライバビット24およびスクリューガイド27を軸方向に移動させる位置制御機構の一例であり、エアシリンダ等その他構成であっても何ら問題無い。
【符号の説明】
【0023】
10 … ねじ締め機
14 … 昇降駆動源
24 … ドライバビット
27 … スクリューガイド
30 … 案内部材
31 … 供給経路
35 … ホース継手
40 … チャックユニット
41 … 往復駆動源
42 … 開閉駆動源
43 … チャック爪
44 … 保持穴
S … ねじ