IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アンリツ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-物品検査装置 図1
  • 特許-物品検査装置 図2
  • 特許-物品検査装置 図3
  • 特許-物品検査装置 図4
  • 特許-物品検査装置 図5
  • 特許-物品検査装置 図6
  • 特許-物品検査装置 図7
  • 特許-物品検査装置 図8
  • 特許-物品検査装置 図9
  • 特許-物品検査装置 図10
  • 特許-物品検査装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】物品検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
G01N21/85 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021066242
(22)【出願日】2021-04-09
(65)【公開番号】P2022161424
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2023-03-03
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】谷口 英治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴志
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-199743(JP,A)
【文献】特開平11-137641(JP,A)
【文献】特開2009-271011(JP,A)
【文献】国際公開第2017/169508(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/958
G01N 23/04-23/18
G01N 27/72-27/9093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査用の物品(W)を収容部(12B)に1つ収容して検査位置(P5)に搬送する搬送部(12)と、
前記検査位置に搬送された前記物品に光を照射する光照射部(31)と、前記物品を透過した光を検出する光検出部(32)とを有し、前記光検出部が検出した光の分光特性に基づいて前記物品の品質を検査する物品検査部(3)と、を備える物品検査装置(1)であって、
前記物品の搬送方向の前記検査位置の上流で、前記物品の有無を検知する物品有無検知部(4)と、
前記物品の搬送方向の前記検査位置の上流で、前記収容部に収容された1つの前記物品を該収容部から排除する物品排除部(5)と、を備え、
前記物品排除部は、所定の条件が成立したとき前記収容部に収容された1つの前記物品を該収容部から排除し、
前記物品検査部は、前記収容部に収容された1つの前記物品が前記物品排除部によって排除され、前記物品の無い前記収容部が前記検査位置に来たときに、前記光照射部が照射した光を基準となるリファレンス光として前記光検出部が直接検出し、該光検出部が直接検出した前記リファレンス光の測定結果に応じて前記光照射部の光源(31a)の校正を行なう物品検査装置。
【請求項2】
前記物品排除部は、予め定められた時刻になったとき前記所定の条件が成立したとする請求項に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記物品排除部は、前回の前記物品の排除から予め定められた時間が経過したとき前記所定の条件が成立したとする請求項に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記物品排除部は、前記光源の光量の変動量が所定の閾値を超えたとき前記所定の条件が成立したとする請求項に記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記物品排除部は、前記光源の温度の変動量が所定の閾値を超えたとき前記所定の条件が成立したとする請求項に記載の物品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、錠剤などの成形品に光源により光を照射し、成形品を透過した透過光を分析することで、成形品の成分その他の品質が適正であるかを検査することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-112199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、光源からの光によって物品の検査をする場合、光源からの光の変化が起きないことが理想である。短時間では光源からの光の変化は起きにくいが、例えば、ハロゲン光源などの場合、長時間検査を続けていると、光の変化が起きてしまい、検査結果の精度を悪化させる。
【0005】
このような光の変化による検査結果の精度の悪化を防ぐため、従来では、ユーザが意図したタイミングで、ユーザの操作により、光源から基準となる光であるリファレンス光を照射させ、光の変化が起きていないか測定し、光の変化が起きている場合は、光の変化を校正することが行なわれていた。
【0006】
しかしながら、このような校正作業を行なう場合、検査作業を停止して行なわなければならず、作業効率が低下していた。
【0007】
そこで、本発明は、検査作業中に光源の校正を行なうことにより、検査の精度を保ちつつ、検査作業の効率を向上させることができる物品検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
また、本発明の物品検査装置は、検査用の物品を収容部に1つ収容して検査位置に搬送する搬送部と、前記検査位置に搬送された前記物品に光を照射する光照射部と、前記物品を透過した光を検出する光検出部とを有し、前記光検出部が検出した光の分光特性に基づいて前記物品の品質を検査する物品検査部と、を備える物品検査装置であって、前記物品の搬送方向の前記検査位置の上流で、前記物品の有無を検知する物品有無検知部と、前記物品の搬送方向の前記検査位置の上流で、前記収容部に収容された1つの前記物品を収容部から排除する物品排除部と、を備え、前記物品排除部は、所定の条件が成立したとき前記収容部に収容された1つの前記物品を収容部から排除し、前記物品検査部は、前記収容部に収容された1つの前記物品が前記物品排除部によって排除され、前記物品の無い前記収容部が前記検査位置に来たときに、前記光照射部が照射した光を基準となるリファレンス光として前記光検出部が直接検出し、該光検出部が直接検出した前記リファレンス光の測定結果に応じて前記光照射部の光源の校正を行なうものである。
【0011】
この構成により、所定の条件が成立したとき、物品が排除されて光源の校正が行なわれる。このため、確実に校正を行なうことができ、検査作業中に光源の校正を行なうことにより、検査の精度を保ちつつ、検査作業の効率を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の物品検査装置において、前記物品排除部は、予め定められた時刻になったとき前記所定の条件が成立したとするものである。
【0013】
この構成により、予め定められた時刻になると、物品が排除されて光源の校正が行なわれる。このため、確実に校正を行なうことができ、検査作業中に光源の校正を行なうことにより、検査の精度を保ちつつ、検査作業の効率を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の物品検査装置において、前記物品排除部は、前回の前記物品の排除から予め定められた時間が経過したとき前記所定の条件が成立したとするものである。
【0015】
この構成により、予め定められた時間間隔で、物品が排除されて光源の校正が行なわれる。このため、確実に校正を行なうことができ、検査作業中に光源の校正を行なうことにより、検査の精度を保ちつつ、検査作業の効率を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の物品検査装置において、前記物品排除部は、前記光源の光量の変動量が所定の閾値を超えたとき前記所定の条件が成立したとするものである。
【0017】
この構成により、光源の光量の変動量が所定の閾値を超えると、物品が排除されて光源の校正が行なわれる。このため、確実に校正を行なうことができ、検査作業中に光源の校正を行なうことにより、検査の精度を保ちつつ、検査作業の効率を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の物品検査装置において、前記物品排除部は、前記光源の温度の変動量が所定の閾値を超えたとき前記所定の条件が成立したとするものである。
【0019】
この構成により、光源の温度の変動量が所定の閾値を超えると、物品が排除されて光源の校正が行なわれる。このため、確実に校正を行なうことができ、検査作業中に光源の校正を行なうことにより、検査の精度を保ちつつ、検査作業の効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、検査対象物の検査作業中に光源の校正を行なうことにより、検査の精度を保ちつつ、検査作業の効率を向上させることができる物品検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の概略平面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の供給容器を図1のII-II方向で切った断面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の外側搬送装置の溝部および収容部の一部分の拡大図である。
図4図4は、図3のIV-IV方向矢視断面図である。
図5図5は、図3のV-V方向断面を斜め上方から見た図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の物品検査位置に設けられた物品検査部の概略構成図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の物品検査部の光源の輝度の変動量を示す図である。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の物品検査部近傍の概念側面図である。
図9図9は、本発明の一実施形態の第1の他の態様に係る物品検査装置の物品検査部近傍の概念側面図である。
図10図10は、本発明の一実施形態の第2の他の態様に係る物品検査装置の物品検査部近傍の概念側面図である。
図11図11は、本発明の一実施形態の第3の他の態様に係る物品検査装置の物品検査部近傍の概念側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る物品検査装置について詳細に説明する。
【0025】
図1において、本発明の一実施形態に係る物品検査装置1は、検査対象の物品を整列して単品搬送させながら所定の物品検査位置で光を照射し、この光の照射に伴って物品を透過した光の分光特性に基づいて物品の品質を検査する。
【0026】
検査対象である物品は、光の照射領域が検査対象の物品に光を照射する照射口の径に比較的近い小径の物品であり、非包装で単品搬送が可能な外径φ:数mm~数十mmの物品、一口サイズの物品の他、既存の製造設備や検査機能を持たない製造設備で製造された所定形状の物品や成形品、特に搬送過程で形が変化しない物品を含む。
【0027】
該当する物品としては、例えば錠剤、カプセル剤、トローチ剤、ドロップ剤などの製剤、飴、チョコレートなどがある。以下、検査対象の物品として、平面視で円形とされ、その直径に比して高さ(厚さ)の小さい側面視が略円柱状の錠剤Wを例にとって説明する。本実施形態の錠剤Wは、物品を構成する。
【0028】
図1に示すように、物品検査装置1は、錠剤Wを円周状の搬送コースに沿って搬送する物品搬送装置2と、搬送コースの途中の物品検査位置P5で錠剤Wの検査を行なう物品検査部3とを備えている。
【0029】
図2に示すように、供給容器10は、上面が開放され、上面から下方に向かって断面積が漸次小さくなる円形形状に形成されている。供給容器10は、上面の開口部10aに全周にわたって所定幅で設けられた水平な環状のフランジであり、錠剤Wの搬送経路となる外側搬送部12と、一部分に貫通孔13bを有し、外側搬送部12よりも直径が小さい円形の底壁13と、外側搬送部12と底壁13をつなぐ筒状の側壁14とを備えている。
【0030】
本実施形態の内側搬送部11は、外側搬送部12の径方向内方に設けられている。換言すれば、外側搬送部12は、物品搬送装置2の上面視で内側搬送部11の周囲を取り囲むように内側搬送部11の径方向外方に設けられている。
【0031】
供給容器10は、図示しない本体フレームに回転自在に取付けられている。供給容器10の回転軸は、底壁13の中心を通り、底壁13に垂直な線に一致する。供給容器10の底壁13の下面には、底壁13に中心を一致させて環状の内歯ギア10bが固定されている。
【0032】
本体フレームには第1のモータ21が取付けられており、第1のモータ21の駆動軸21aに設けられたピニオン22が内歯ギア10bに噛み合っている。第1のモータ21が駆動されると、供給容器10(外側搬送部12)は、その回転中心軸の周りを回転方向A(図1参照)に向けて回転する。本実施形態においては、物品搬送装置2の平面視で供給容器10の回転方向Aは、反時計回転方向である。
【0033】
図1図2に示すように、内側搬送部11は、供給容器10の内部において傾斜して配置されている。内側搬送部11の直径は、供給容器10の底壁13の直径よりも大きいので、内側搬送部11を供給容器10内に傾斜して収容できる。すなわち、供給容器10は、上面が開放され、上面から底壁13に向かって断面積が小さくなる円形形状に形成されているので、内側搬送部11を供給容器10に傾斜して収容できる。
【0034】
図2に示すように、内側搬送部11の傾斜方向の上端部11bは、供給容器10の側壁14の上縁に対峙しており、内側搬送部11の周方向について上端部11bとは180°反対側に位置する傾斜方向の下端部11cは、供給容器10の側壁14の下縁に対峙している。
【0035】
すなわち、内側搬送部11の傾斜方向の下端部11cは、供給容器10の側壁14の下縁に対峙している部分が最も低く、内側搬送部11の傾斜方向の上端部11bは、供給容器10の側壁14の上縁に対峙している部分が最も高い。内側搬送部11の下面の中央には駆動軸11a(図2参照)が内側搬送部11に対して垂直に固定されており、駆動軸11aは、傾斜した状態で供給容器10の底壁13の貫通孔13bを挿通して第2のモータ23(図2参照)に連結されている。
【0036】
第2のモータ23は、供給容器10を支持する本体フレームに取付けられており、第2のモータ23が駆動されると、供給容器10の内部において内側搬送部11は、駆動軸11aの周りを回転方向B(図1参照)に回転する。内側搬送部11の回転方向Bと外側搬送部12の回転方向Aは同一方向である。
【0037】
図1に示すように、物品搬送装置2は、物品供給部24を備えており、物品供給部24は、物品搬送装置2の上方に設置されている。物品供給部24は、例えば、既存の製造設備や検査機能を持たない製造設備で製造された成形品の錠剤Wが投入されると、投入された錠剤Wを蓄積するとともに、蓄積された錠剤Wを排出口24aから物品投入位置P1に排出し、物品投入位置P1で内側搬送部11に供給する。
【0038】
物品供給部24は、投入された錠剤Wを内側搬送部11に搬送するもので、例えば、直進フィーダやコンベアなどから構成されている。
【0039】
物品供給部24は、内側搬送部11と外側搬送部12が錠剤Wを搬送する能力に合わせて錠剤Wを供給する機能を有している。換言すれば、物品供給部24は、物品搬送装置2が錠剤Wを搬送する能力(例えば単位時間当たりの錠剤Wの搬送数など)に合わせて内側搬送部11に対する錠剤Wの供給量が設定される。
【0040】
物品搬送装置2において、物品供給部24から内側搬送部11に錠剤Wを投入しつつ、第1のモータ21と第2のモータ23を同方向に同速度または速度を違えて駆動し、内側搬送部11と供給容器10を、同速度で回転方向Aと回転方向Bにそれぞれ回転させると、物品供給部24の最も低い部分(傾斜方向の下端部11c側)に落下した錠剤Wは、内側搬送部11の回転に伴い、内側搬送部11の最も高い部分(傾斜方向の上端部11b側)まで移動し、外側搬送部12に載る。
【0041】
図1図3に示すように、外側搬送部12には溝部12Aと収容溝12Bが設けられている。図4図5に示すように、溝部12Aは、外側搬送部12の上面12aから下方に窪んでおり、外側搬送部12の径方向に延在している。本実施形態の収容溝12Bは、収容部を構成する。
【0042】
溝部12Aは、外側搬送部12の周方向に等間隔に複数並んで設けられており、外側搬送部12の周方向にこれら複数の溝部12Aが外側搬送部12の上面12aを挟んで隣接している。
【0043】
図3に示すように、溝部12Aは、外側搬送部12の径方向の内端部12nから外端部12mに向かうに従って周方向の幅が漸次狭くなるように形成されている。溝部12Aの内端部12nの周方向の幅は、錠剤Wを周方向に2つに並べたときの幅、すなわち、錠剤Wの直径の2倍の幅よりも小さく(あるいは2つの錠剤Wを周方向に縦向きと横向きにして並べたときの幅よりも小さく)形成されており、錠剤Wが同時に2つ侵入し難い形状に形成されている。
【0044】
内側搬送部11の回転によって外側搬送部12に乗り上げた錠剤Wは、溝部12Aの径方向の内端部12nから溝部12Aに入り込み、外側搬送部12の回転による遠心力と、後述する物品案内部27によって、溝部12Aから収容溝12Bに案内されて収容溝12Bに収容される。
【0045】
図3図4に示すように、収容溝12Bは、溝部12Aに対して外側搬送部12の径方向外方に位置している。収容溝12Bは、平面視で錠剤Wよりも少しだけ大きい円形に形成されており、溝部12Aの底面12bよりも下方に窪んでいる、または、溝部12Aと同一高さとしてもよい。
【0046】
具体的には、収容溝12Bは、溝部12Aの底面12bよりも下方に位置する環状の載置面12dを有する底壁12Cを備えている。底壁12Cには載置面12dの内方に位置し、検査用の光が通過する円形の開口部12cが形成されている。すなわち、載置面12dは、円形の開口部12cを取り囲むように開口部12cの径方向外方に設けられており、環状の載置面12dには開口部12cを上方から閉止するように錠剤Wが載置される。
【0047】
収容溝12Bは、底壁12Cから上方に延在し、錠剤Wの外周側面Waを取り囲む周壁12Dを備えており、収容溝12Bには錠剤Wが嵌まった状態で収容される。
【0048】
具体的には、溝部12Aの底面12bと収容溝12Bの載置面12dの段差と、溝部12Aの上面12aと収容溝12Bの載置面12dの段差とによって収容溝12Bの周壁12Dが形成されている。
【0049】
開口部12cは、外側搬送部12の平面視において錠剤Wの外径よりも小径に形成されているので、収容溝12Bに錠剤Wが収容された状態では開口部12cが上方から目視不能となり、錠剤Wが開口部12cから落下することを防止できる。
【0050】
外側搬送部12の回転中心軸から全ての収容溝12Bの中心部までの距離は、同一の距離となっており、錠剤Wが収容溝12Bに収容された状態において、錠剤Wは、外側搬送部12の回転方向に一列に整列される。すなわち、収容溝12Bの中心部(開口部12cの中心部)を回転方向に結んだ線は円となる。これにより、外側搬送部12が回転すると、収容溝12Bに収容された錠剤Wは、外側搬送部12の回転方向に一列に整列される。
【0051】
また、錠剤Wが収容溝12Bに収容された状態においては錠剤Wの外周側面Waと周壁12Dの隙間が極小となる。これにより、錠剤Wと周壁12Dの隙間から光が漏出することや、錠剤Wと周壁12Dの隙間に光が入り込むことを防止できる。すなわち、周壁12Dは、錠剤Wの外周側面Waから後述する光検出部32に入射する光を遮る。本実施形態の周壁12Dは、遮光部を構成し、錠剤Wの外周側面Waは、物品の外周側面を構成する。
【0052】
なお、錠剤Wの外周側面Waと周壁12Dの隙間と、錠剤Wの外周側面Waと底壁12Cの隙間とは、周壁12Dによって錠剤Wの外周側面Waから光が漏れることや外周側面Waから光が入り込むことを防止でき、錠剤Wが収容溝12Bに確実に収容される隙間に設定されていることを条件とする。
【0053】
図4に示すように、収容溝12Bに錠剤Wが収容された状態において、錠剤Wの高さ方向の寸法a、すなわち、収容溝12Bの載置面12dから錠剤Wの上面までの寸法aは、収容溝12Bの載置面12dから溝部12Aの上面12aの高さ方向の寸法bよりも大きい。
【0054】
これにより、収容溝12Bに錠剤Wが収容された状態において、錠剤Wの上面は、溝部12Aの上面12aよりも上方に突出している。
【0055】
なお、収容溝12Bに錠剤Wが収容された状態において、錠剤Wの高さ方向の寸法aを収容溝12Bの載置面12dから溝部12Aの上面12aまでの高さ方向の寸法bよりも小さくしてもよい。この場合、収容溝12Bに錠剤Wが収容された状態において、錠剤Wの上面は、溝部12Aの上面12aよりも下方に位置する。
【0056】
図1に示すように、物品搬送装置2には、物品規制部25が設けられている。物品規制部25は、錠剤Wが溝部12Aに1つだけ供給されるように錠剤Wの供給数を規制し、錠剤Wを外側搬送部12の回転方向に1例に整列させる。
【0057】
物品規制部25は、外側搬送部12の回転方向に一定の長さで湾曲して延在し、かつ、上下方向に延在するガイド板から構成されており、供給容器10を支持する本体フレームに固定されている。
【0058】
物品規制部25は、物品投入位置P1に対して外側搬送部12の回転方向の下流側の規制位置P2に設けられている。換言すれば、物品投入位置P1は、物品搬送装置2の平面視で物品規制部25に対して上流側に設置されている。ここで、外側搬送部12の回転方向と錠剤Wの搬送方向は、同一方向である。
【0059】
内側搬送部11から溝部12Aの径方向の内端部12nを通して溝部12Aに1つの錠剤Wが供給されると、物品規制部25には錠剤Wの径方向の外端部が接触する。すなわち、物品規制部25と溝部12Aの内端部12nにおける外側搬送部12の径方向の寸法は、錠剤Wが溝部12Aから内側搬送部11に落ちないように、錠剤Wの直径と同じ寸法、錠剤Wの直径よりも少し大きい寸法、または錠剤Wの直径よりも少し小さい寸法に設定されている。これにより、物品規制部25によって溝部12Aに錠剤Wが1つだけ供給されるように錠剤Wの供給数が規制される。
【0060】
また、溝部12Aに1つだけ供給された錠剤Wは、物品規制部25によって外側搬送部12の径方向外方に移動することが規制され、外側搬送部12の回転方向に一列に整列した状態で物品検査位置P5に向かって搬送される。本実施形態の外側搬送部12は、搬送部を構成する。
【0061】
物品搬送装置2には物品調整部26が設けられている。物品調整部26は、物品規制部25に対して外側搬送部12の回転方向の下流側の物品調整位置P3に設けられており、溝部12Aに正規の姿勢で位置していない錠剤Wを溝部12Aで正規の姿勢に戻すとともに、溝部12Aからはみ出している錠剤Wを溝部12Aから除去する。ここで、錠剤Wの正規の姿勢とは、例えば、溝部12Aから収容溝12Bに円滑に移動して収容溝12Bに横向きで収容可能な姿勢である。
【0062】
物品調整部26は、ブラシやエアー、排除板などから構成されており、溝部12Aに供給された錠剤Wが外側搬送部12の上面12aに乗り上げた場合に、錠剤を溝部12Aにおいて正常な姿勢となるように調整し、または溝部12Aから排除する。
【0063】
また、1つの錠剤Wが姿勢不良(縦向き)になったときに、当該錠剤Wを溝部12Aから排除する。溝部12Aから排除された錠剤Wは内側搬送部11に戻される。
【0064】
具体的に、物品調整部26は、溝部12Aで正常な姿勢となる錠剤Wの上面よりも上方に錠剤Wが位置している場合には、錠剤Wの上面よりも上方にエアー供給することや、排除板を作用させることにより、姿勢不良となる錠剤Wを調整(姿勢矯正または排除)する。
【0065】
物品搬送装置2には物品案内部27が設けられている。物品案内部27は、物品調整部26に対して外側搬送部12の回転方向の下流側の物品案内位置P4に設けられており、溝部12Aに供給された錠剤Wを溝部12Aに沿って収容溝12Bに案内する。物品案内部27は、外側搬送部12の回転方向に一定の長さで湾曲して延在し、かつ、上下方向に延在するガイド板から構成されており、供給容器10を支持する本体フレームに固定されている。
【0066】
物品案内部27は、外側搬送部12の回転方向において溝部12Aの内端部12nから外端部12mに向かうように一定の長さで延在し、かつ上下方向に延在するガイド板から構成されている。物品案内部27は、上流端部27aが外側搬送部12の径方向で溝部12Aの内端部12nよりも内側搬送部11側に位置しており、下流端部27bが外側搬送部12の径方向で収容溝12Bよりも溝部12Aの内端部12n側に位置し、かつ、溝部12Aの外端部12m付近に位置している。
【0067】
物品案内部27は、規制位置P2において収容溝12Bの内端部12n側で外側搬送部12の回転方向に一列に整列された錠剤Wを、外側搬送部12の回転に伴って溝部12Aに沿って収容溝12B側に移動させ、収容溝12Bに収容する。
【0068】
収容溝12Bに収容された錠剤Wは、外側搬送部12の回転によって物品検査部3に搬送される。図1に示すように、物品検査部3は、外側搬送部12の回転方向で物品案内位置P4よりも下流側の物品検査位置P5に設けられている。
【0069】
物品搬送装置2には物品阻止部28が設けられている。物品阻止部28は、物品案内部27の外側搬送部12の回転方向の途中から外側搬送部12の回転方向で物品検査位置P5よりも下流側まで設けられている。
【0070】
物品阻止部28は、外側搬送部12の回転方向に湾曲して一定の長さで延在し、かつ、上下方向に延在するガイド板から構成されており、供給容器10を支持する本体フレームに固定されている。
【0071】
物品阻止部28は、物品案内部27によって収容溝12Bに収容された錠剤Wが外側搬送部12の回転による遠心力によって収容溝12Bから径方向外方に移動することを阻止する。
【0072】
図6に示すように、物品検査部3は、光照射部31と光検出部32から構成されている。物品検査部3は、物品検査位置P5において光照射部31から広帯域の光Lを、開口部12c側から収容溝12Bに収容された錠剤Wに照射し、錠剤Wを透過した光を光検出部32によって検出する。
【0073】
光照射部31は、光源31a、ライトガイド31b、集光レンズ31cを備えている。光源31aは、検査対象の錠剤Wに広帯域の光を照射するため、例えばハロゲンランプから構成されている。光源31a、ライトガイド31b、集光レンズ31cは、図示しない放熱フィンが形成された図示しないケースと共に一体的に組み立てられた光源ユニットを構成しており、光源ユニットは、供給容器10を支持する本体フレームに取付けられている。光源ユニットは、光源31aの光量を検出する図示しない光センサと、光源31aの温度を検出する図示しない温度センサと、を備えている。
【0074】
ライトガイド31bは、ガラス光ファイバを多数束ねて構成されており、光源31aからの光を集光する集光レンズ31cに導く。集光レンズ31cは、ライトガイド31bからの光を物品検査位置P5で錠剤Wに集光する。
【0075】
光照射部31は、光源31aからの広帯域の光を、ライトガイド31bを介して集光レンズ31cに出射し、集光レンズ31cにより物品検査位置P5で錠剤Wの上面全てをカバーするように集光レンズ31cの倍率(集光レンズ31c、光源31aと錠剤Wの位置)を調整し、物品検査位置P5において光源31aからの光を効率よく錠剤Wに照射する。
【0076】
光検出部32は、光ファイバ32aと分光器32bとを備えて一体的に組み立てられた光検出ユニットを構成しており、図示しない保持手段に一体的に保持されて供給容器10を支持する本体フレームに取付けられている。
【0077】
光検出部32において、物品検査位置P5で錠剤Wを透過した光は、光ファイバ32aの受光部としての入射面の端面(入射開口部)から入光する。入射面の端面から入光する光が光ファイバ32a内を通過して分光器32bに到達すると、分光器32bが光の波長による回折角度の差を利用したグレーティングによる分光を行なう。
【0078】
物品検査部3は、光検出部32で得られた分光特性の信号を処理し、信号を処理した結果から錠剤Wの品質の良否判定を行なう。
【0079】
なお、物品検査位置P5において、収容溝12Bと光検出部32の間に、光が透過する開口部39aを有する遮光板39を設置してもよい(遮光板39を図6の仮想線で示す)。このようにすれば遮光板39によって錠剤Wの外周側面Wa(図4参照)から光検出部32に入射する光を周壁12Dと遮光板39によってより確実に遮ることができ、光検出部32で適切な光の分析をより確実に行うことができる。
【0080】
図1に示すように、物品検査位置P5よりも外側搬送部12の回転方向の下流側にはNG品回収部35、全品回収部36およびOK品回収部37が外側搬送部12の回転方向に所定の間隔をおいて設けられている。
【0081】
物品搬送装置2は、物品検査部3が錠剤Wを不良品(NG品)と判定すると、当該不良品と判定された錠剤Wが物品検査部3に対して外側搬送部12の回転方向の下流側のNG品選別位置P6まで搬送されてきたときに、例えば、外側搬送部12の径方向の内側から錠剤Wにエアーを吹き付けて収容溝12BからNG品回収部35に排出する。なお、NG品選別位置P6で外側搬送部12の径方向外方から錠剤Wを吸引して収容溝12BからNG品回収部35に排出してもよい。
【0082】
一方、物品検査部3が錠剤Wを正常品(OK品)と判定すると、当該正常品と判定された錠剤WがNG品選別位置P6からOK品選別位置P7まで搬送されてきたときに、例えば、外側搬送部12の径方向の内側から錠剤Wにエアーを吹き付けて収容溝12BからOK品回収部37に排出する。なお、OK品選別位置P7で外側搬送部12の径方向外方から錠剤Wを吸引して収容溝12BからOK品回収部37に排出してもよい。
【0083】
全品回収部36は、外側搬送部12の回転方向でNG品選別位置P6とOK品選別位置P7の間の全排出位置P8に設けられている。
【0084】
全品回収部36は、物品検査装置1の運転開始時や、非常停止後の復帰動作後や、NG排出を失敗した錠剤Wなど、正常な検査ができなかった、または、排出を失敗した錠剤Wなどを回収するものであり、例えば、外側搬送部12の径方向の内側から錠剤Wにエアーを吹き付けて収容溝12Bから全品回収部36に排出する。
【0085】
なお、全排出位置P8で外側搬送部12の径方向外方から錠剤Wを吸引して収容溝12Bから全品回収部36に排出してもよい。
【0086】
また、外側搬送部12の回転方向でNG品回収部35の下流側の確認位置P9に確認センサ38を設け、確認センサ38によってNG品選別位置P6で不良品が排出されたか否かを確認してもよい。このようにすれば、不良品の選別の信頼性を向上できる。
【0087】
本実施形態において、物品検査部3の光源31aは、長時間使用することで発生する光が変化する。例えば、図7に示すように、使用開始後3分経過では、元の光からの輝度の変動量はほとんど無いが、8時間経過時では、波長により輝度の変動が発生する。
【0088】
本実施形態の物品検査部3は、錠剤Wの検査の最中、物品検査位置P5に錠剤Wが無い状態となった際に、光源31aからの基準となる光(以下、「リファレンス光」ともいう)を測定し、測定結果に応じて、光源31aの校正または光源31aの分光特性の情報の更新を行なう。なお、光源31aの校正と光源31aの分光特性の情報の更新を組み合わせて行なってもよい。
【0089】
光源31aの校正とは、物理的、電気的に光源31aの調整を行なうことであり、光源31aのランプを光らせるための電圧調整、光源31a部分の冷却の強弱による輝度調整、光源31aを遠くにしたり近づけたり、ピント調整や、アイリスによる光量調整などがある。
【0090】
分光特性の情報の更新とは、前述のような光源31aの物理的、電気的調整を行なわず、光検出部32で検出したスペクトル情報を、リファレンス光の測定結果に応じて更新することである。なお、以下の記載では、「光源の校正」には光源の分光特性の情報の更新も含むこととする。
【0091】
このため、物品検査装置1は、図8に示すように、物品検査位置P5の前(錠剤Wの搬送方向の上流)にて、収容溝12Bに錠剤Wが有るか否かを検知する錠剤有無検知部4を備える。
【0092】
物品検査部3は、錠剤有無検知部4にて錠剤Wが無いことを検知した場合、錠剤Wが無い収容溝12Bが物品検査位置P5に来たとき、リファレンス光を測定する。なお、錠剤Wを測定する場合と、リファレンス光を測定する場合で、光検出部32の測定条件が異なる場合には、錠剤有無検知部4の検知結果に合わせて、測定条件を切り替えるようにする。
【0093】
このようにすることで、物品検査位置P5に錠剤Wが無い状態のときにリファレンス光を測定することができ、検査作業中に光源31aの校正を行なうことにより、検査の精度を保ちつつ、検査作業の効率を向上させることができる。
【0094】
本実施形態の第1の他の態様としては、光源31aの校正が所定時間の間行なわれていない場合、錠剤Wを意識的に排除して錠剤Wが無い状態にし、リファレンス光を測定し、光源31aの校正を行なう。
【0095】
なお、予め定められた時刻や、時間間隔で錠剤Wを排除して錠剤Wが無い状態にし、リファレンス光を測定し、光源31aの校正を行なうようにしてもよい。
【0096】
また、光源31aの光量や温度、光源31a以外からの光である環境光などを検出し、その変動量が閾値を超えた場合に、錠剤Wを排除して錠剤Wが無い状態にし、リファレンス光を測定し、光源31aの校正を行なうようにしてもよい。なお、光源31aの光量は、錠剤Wの測定時の光量でもよいし、光源31aの光量を直接検知するようにしてもよい。
【0097】
ここで、変動量とは、それぞれの観測値において、時間当たりの変動量や、絶対値からの変動量や、前回校正時の測定値からの変動量などがある。
【0098】
このため、物品検査装置1は、図9に示すように、物品検査位置P5の前(錠剤Wの搬送方向の上流)にて、錠剤Wの有無を検知する錠剤有無検知部4と、物品検査位置P5の前の錠剤有無検知部4の後にて、外側搬送部12の錠剤Wを上方から吸引して排除する錠剤排除部5とを備える。なお、錠剤排除部5は、錠剤Wをエアーなどにより弾き飛ばし、内側搬送部11(図1参照)にリターンさせるようにしてもよい。
【0099】
物品検査部3は、前述した時間監視や光量監視等の所定の条件が成立したとき、錠剤有無検知部4にて錠剤Wが有ることを検知すると、錠剤排除部5により錠剤Wを収容溝12Bから排除させ、錠剤Wが無い収容溝12Bが物品検査位置P5に来たとき、リファレンス光を測定する。
【0100】
このように、所定の条件が成立したとき、錠剤Wを排除して光源31aの校正を行なうため、確実に校正を行なうことができ、検査作業中に光源31aの校正を行なうことにより、検査の精度を保ちつつ、検査作業の効率を向上させることができる。
【0101】
本実施形態の第2の他の態様としては、第1の他の態様と同様に、所定の条件が成立したとき、錠剤Wを排除して光源31aの校正を行なうが、図10に示すように、錠剤有無検知部4の前(錠剤Wの搬送方向の上流)に錠剤排除部5を配置する。
【0102】
このように、所定の条件が成立したとき、錠剤Wを排除して光源31aの校正を行なうため、確実に校正を行なうことができ、検査作業中に光源31aの校正を行なうことにより、検査の精度を保ちつつ、検査作業の効率を向上させることができる。
【0103】
本実施形態の第3の他の態様としては、外側搬送部12の一部の収容溝12Bにおいて、錠剤Wが乗らないような構成にし、その収容溝12Bにおいてリファレンス光を測定し、光源31aの校正を行なう。
【0104】
このため、物品検査装置1は、図11に示すように、外側搬送部12の一部の収容溝12Bに、錠剤Wが乗らないような錠剤遮断部29を備える。
【0105】
錠剤遮断部29は、収容溝12Bに、錠剤Wが乗らないような形状をしており、その一方、光照射部31の光源31aからのリファレンス光は光検出部32に通るような構造となっている。
【0106】
錠剤遮断部29が設けられている位置の検知は、錠剤遮断部29を検出する錠剤遮断部検知部を設けたり、物品検査部3が予め錠剤遮断部29の位置を記憶したりする。
【0107】
このように、外側搬送部12の一部の収容溝12Bにおいて光源31aの校正を行なうため、確実に校正を行なうことができ、検査作業中に光源31aの校正を行なうことにより、検査の精度を保ちつつ、検査作業の効率を向上させることができる。
【0108】
なお、外側搬送部12の一部の収容溝12Bにおいて毎回光源31aの校正を行なうようにしてもよいし、所定間隔で行なうようにしてもよい。
【0109】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0110】
1 物品検査装置
2 物品搬送装置
3 物品検査部
4 錠剤有無検知部(物品有無検知部)
5 錠剤排除部(物品排除部)
12 外側搬送部(搬送部)
12B 収容溝(収容部)
29 錠剤遮断部(物品遮断部)
31 光照射部
31a 光源
32 光検出部
P5 物品検査位置(検査位置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11