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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1345 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
G02F1/1345
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021103006
(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公開番号】P2023002024
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小出 元
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-506628(JP,A)
【文献】特開2016-110090(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111919164(CN,A)
【文献】特開2009-122636(JP,A)
【文献】特開2015-161753(JP,A)
【文献】特開2017-146450(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0092430(KR,A)
【文献】特開2004-226931(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0146578(US,A1)
【文献】特開2018-040972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1343-1/1345
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
TFT基板と対向基板とを有し、前記TFT基板と前記対向基板とが重なった部分に表示領域を有し、前記TFT基板の前記対向基板と重なっていない部分に端子領域が形成された液晶表示装置であって、
前記表示領域は異形であり、
前記端子領域の端部は、
前記対向基板から第1の方向に第1の距離において、第2の方向に直線状に延在する第1の端部と、
前記第1の端部の第1の側に、前記第1の端部に対し、前記第2の方向と0度と180度の間の第1の角度をなす第2の端部を有し、
前記第1の端部の、前記第1の側と反対側の第2の側に、前記第1の端部に対し、前記第2の方向と0度と180度の間の第2の角度をなす第3の端部を有し、
前記第1の端部と前記対向基板の端部との間の領域を第1の領域とし、
前記第2の端部と前記対向基板の端部との間の領域を第2の領域とし、
前記第3の端部と前記対向基板の端部との間の領域を第3の領域とし、
前記第1の領域の前記第1の端部に沿って前記第2の方向に複数の第1の端子が直線状に配列し、
前記第2の領域には、複数の第2の端子が存在し、
前記第3の領域には、複数の第3の端子が存在し、
前記複数の第1の端子は、前記液晶表示装置を駆動するための端子であり、
前記複数の第2の端子と前記複数の第3の端子は、前記液晶表示装置を検査するための複数の検査端子であり、
前記対向基板の外表面には、透明導電膜が形成され、
前記TFT基板の前記端子領域の前記第2の領域または前記第3の領域には、前記透明導電膜と接続するための電極が形成され、
前記電極は、平面で視て、前記複数の検査端子の間に配置しており、前記電極の下層を、前記複数の検査端子と接続する検査配線が通過していることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記対向基板の外形は、前記表示領域と相似形の異形であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記対向基板の外形は5角形以上の多角形であり、前記端子領域の前記第1の端部は、前記多角形の第1の辺と平行であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記対向基板の前記第1の辺と第1の側で隣接する第2の辺は、前記端子領域の前記第2の領域と接し、
前記第1の辺の第1の側と反対の第2の側で隣接する第3の辺は、前記端子領域の前記第3の領域と接することを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記多角形は8角形であることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
TFT基板と対向基板とを有し、前記TFT基板と前記対向基板とが重なった部分に表示領域を有し、前記TFT基板の前記対向基板と重なっていない部分に端子領域が形成された液晶表示装置であって、
前記表示領域は異形であり、
前記端子領域の端部は、前記対向基板から第1の方向に第1の距離において、第2の方向に直線状に延在する第1の端部と、
前記第1の端部の第1の側に、前記第1の端部に対し、前記第2の方向において曲線状に湾曲する第2の端部を有し、
前記第1の端部の、前記第1の側と反対側の第2の側に、前記第1の端部に対し、前記第2の方向において曲線状に湾曲する第3の端部を有し、
前記第1の端部と前記対向基板の端部との間の領域を第1の領域とし、
前記第2の端部と前記対向基板の端部との間の領域を第2の領域とし、
前記第3の端部と前記対向基板の端部との間の領域を第3の領域とし、
前記第1の領域の前記第1の端部に沿って前記第2の方向に複数の第1の端子が直線状に配列し、
前記第2の領域には、複数の第2の端子が存在し、
前記第3の領域には、複数の第3の端子が存在し、
前記複数の第1の端子は、前記液晶表示装置を駆動するための端子であり、
前記複数の第2の端子と前記複数の第3の端子は、前記液晶表示装置を検査するための複数の検査端子であり、
前記対向基板は円形であり、前記TFT基板はレーストラック形状であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
TFT基板と対向基板とを有し、前記TFT基板と前記対向基板とが重なった部分に表示領域を有し、前記TFT基板の前記対向基板と重なっていない部分に端子領域が形成された液晶表示装置であって、
前記表示領域は異形であり、
前記端子領域の端部は、前記対向基板から第1の方向に第1の距離において、第2の方向に直線状に延在する第1の端部と、
前記第1の端部の第1の側に、前記第1の端部に対し、前記第2の方向と0度と180度の間の第1の角度をなす第2の端部を有し、
前記第1の端部の、前記第1の側と反対側の第2の側に、前記第1の端部に対し、前記第2の方向と0度と180度の間の第2の角度をなす第3の端部を有し、
前記第1の端部と前記対向基板の端部との間の領域を第1の領域とし、
前記第2の端部と前記対向基板の端部との間の領域を第2の領域とし、
前記第3の端部と前記対向基板の端部との間の領域を第3の領域とし、
前記第1の領域の前記第1の端部に沿って前記第2の方向に複数の第1の端子が直線状に配列し、
前記第2の領域には、複数の第2の端子が存在し、
前記第3の領域には、複数の第3の端子が存在し、
前記複数の第1の端子は、前記液晶表示装置を駆動するための端子であり、
前記複数の第2の端子と前記複数の第3の端子は、前記液晶表示装置を検査するための複数の検査端子であり、
前記対向基板は、直線の辺部と、第1のラウンドコーナー及び第2のラウンドコーナーを有し、
前記TFT基板は直線の辺部と、第3のラウンドコーナー及び第4のラウンドコーナーを有し、
前記端子領域の前記第1の領域は、前記対向基板の前記直線の辺部と、前記TFT基板の前記直線の辺部との間に形成され、
前記端子領域の前記第2の領域は、前記第1のラウンドコーナーと前記第3のラウンドコーナーの間に形成され、
前記端子領域の前記第3の領域は、前記第2のラウンドコーナーと前記第4のラウンドコーナーの間に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に係り、特に異形の表示領域を有する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等を有する画素がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して対向基板が配置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0003】
液晶表示装置は小型、軽量にできることから種々の領域で用途が広がっている。液晶表示装置は、従来は、矩形の画面において使用されることが多かったが、近年、矩形以外(以後異形ということもある)の画面に対する用途も広がっている。例えば、車載用表示装置、VR(Virtual Reality)用表示装置、時計用表示装置等である。
【0004】
特許文献1には、このような、矩形以外の表示領域に対応した駆動方式及びレイアウトが記載されている。一方、特に小型表示装置においては、端子領域の面積も小さくすることが必要である。引用文献2には、IPS方式の液晶表示装置において、対向基板の表面をアースに落とすための、端子構造について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-083759号公報
【文献】特開2017-146450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
VRや時計等の表示装置では、表示領域が概ね円形の小型ディスプレイが使用される。このような場合、表示パネルの外形も円形に近いほうが望ましい。このような小型の液晶表示装置では、端子領域も小さくなる。端子領域には、端子配線や、映像信号のための端子の他、ドライバIC、検査用配線、表示領域の外面に基準電位を与えるためのアース電極等が配置している。
【0007】
液晶表示パネルの外形が矩形であれば、端子領域にこのような種々の要素を配置しやすいが、外形を円に近い形状、あるいは、多角形等の異形にすると、端子領域のスペースを確保することが困難となる。検査用端子や検査用配線は、主に製造工程で使用するので、製品完成後、端子領域の一部を切り落とすことも可能であるが、切り落とすためのコストや、完成後の品質チェック等ができなくなるという問題がある。
【0008】
本発明は、以上のような課題を克服し、表示領域あるいは表示装置の外形が異形の液晶表示装置において、端子領域に信号用端子、電源用端子、等の他、検査端子や検査配線を残すことを可能とする構造を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を克服するものであり、主な具体的な手段の例は次のとおりである。
【0010】
(1)TFT基板と対向基板とを有し、前記TFT基板と対向基板とが重なった部分に表示領域を有し、前記TFT基板の前記対向基板と重なっていない部分に端子領域が形成された液晶表示装置であって、前記表示領域は異形であり、前記端子領域の端部は、前記対向基板から第1の方向に第1の距離において、第2の方向に直線状に延在する第1の端部と、前記第1の端部の第1の側に、前記第1の端部に対し、前記第2の方向と第1の角度をなす第2の端部を有し、前記第1の端部の、前記第1の端部と反対側の第2の側に、前記第1の端部に対し、前記第2の方向と第2の角度をなす第3の端部を有し、前記第1の端部と前記対向基板の端部との間の領域を第1の領域とし、前記第2の端部と前記対向基板の端部との間の領域を第2の領域とし、前記第3の端部と前記対向基板の端部との間の領域を第3の領域とし、前記第1の領域の前記第1の端部に沿って前記第2の方向に複数の第1の端子が直線状に配列し、前記第2の領域には、複数の第2の端子が存在し、前記第3の領域には、複数の第3の端子が存在し、前記複数の第1の端子は、前記液晶表示装置を駆動するための端子であり、前記複数の第2の端子と前記複数の第3の端子は、前記液晶表示装置を検査するための検査端子であることを特徴とする液晶表示装置。
【0011】
(2)前記対向基板の外形は、前記表示領域と相似形の異形であることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0012】
(3)前記TFT基板の外形は、前記表示領域と相似形の異形であることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】比較例としての、表示領域が異形である液晶表示装置の例である。
図2】比較例としての、表示領域が異形である液晶表示装置の他の例である。
図3】表示領域が異形である、実施例1による液晶表示装置の例である。
図4】実施例1における検査回路の例である。
図5】実施例1における検査回路の他の例である。
図6】走査線駆動回路の例である。
図7】走査線駆動回路の具体例である。
図8】アース電極部分の断面図の例である。
図9】アース電極部分の平面図の例である。
図10】実施例2の例を示す平面図である。
図11】実施例3を示す回路図である。
図12】実施例4の液晶表示装置の例を示す平面図である。
図13】実施例4の液晶表示装置の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に実施例を用いて本発明の内容を詳細に説明する。本明細書では、矩形以外の形状を異形と呼ぶこともある。また、実施例4に示すような、四辺と大きなコーナーRで形成された構成も異形と呼ぶことがある。
【実施例1】
【0015】
図1は、表示領域10が、円に近い、8角形である液晶表示装置である。このような液晶表示装置は例えば、腕時計やVR等に使用される。図1において、6角形状のTFT基板100と6角形状の対向基板200とが重なった領域に表示領域10が形成されている。表示領域10には、走査線11が、横方向(x方向)に延在し、縦方向(y方向)に配列している。また、映像信号線12が縦方向に延在し、横方向に配列している。映像信号線12と走査線11とで囲まれた領域に画素13が形成されている。
【0016】
TFT基板100が対向基板200と重なっていない領域が端子領域となっている。端子領域には、端子配線の他、ドライバIC40、図示しないフレキシブル配線基板が接続される接続端子25の他、検査端子35、検査配線、対向基板の表面の透明導電膜を基準電位に落とすためのアース電極及びこれを覆う導電膜170等が配置している。検査端子35と検査配線は、ドライバIC40が組み込まれるまで、画面を表示し、欠陥の有無を検査可能とするものであるから、配線数、端子数とも数が多い。また、ドライバIC40は接続端子25に接続されるフレキシブル配線基板に実装されるものであっても良い。ドライバIC40がフレキシブル配線基板に実装される場合であっても、検査端子35はドライバIC40がフレキシブル配線基板を通じて接続端子25に接続されるまでに検査可能とするものであることに変わりはない。
【0017】
このように、端子領域には種々の要素が配置しているので、場所を確保するために、矩形となっている。しかし、端子領域を矩形とすると、表示領域10は8角形であるのに対し、外形は、変形した6角形となり、表示領域10の形状から大きく離れた形状となる。このような外形の表示パネルは、製品に組み込みにくく、また時計のような製品においては狭額縁化が十分ではなくデザイン的にも好ましくないことがある。
【0018】
ところで、図1における検査端子35は、ドライバIC40を搭載する前に、表示パネルに不良が存在するか否かを検査するものであるから、ドライバIC40を組み込んだ後は必須ではない。そこで、図2に示すように、端子領域をあらかじめ大きな面積にしておき、検査端子35を接続端子25よりも、y方向下側に配置しておき、液晶表示パネルが完成した後、検査端子35部分を切り落とすという手段が考えられる。図2における点線500がその切断線である。
【0019】
しかし、この方式は、端子領域の切り落としの工程が追加になる。また、ドライバIC40を組み込んだ後に、何らかの原因によって表示領域10を再検査しようとしてもできない。
【0020】
図3は、これらの問題を克服した本発明の実施例1による液晶表示装置の平面図である。図3において、対向基板200及びTFT基板100は、表示領域10に対応して8角形となっている。したがって、特に端子領域の狭額縁化を実現しつつ、液晶表示パネルを製品に組み込みやすくなっている。
【0021】
図3において、端子領域は、矩形ではなく、両側において、y方向またはx方向と、ある角度をもって屈曲している。あるいは、端子領域は、対向基板200あるいはTFT基板100の3辺に沿って形成されているということも出来る。
【0022】
図3において、端子領域には、液晶表示パネルを駆動するための信号や電源を入力する複数の接続端子25と、ドライバIC40と複数の検査端子35と、対向基板200の外側に形成されたシールド電極をアースするための導電部材170が配置している。接続端子25は、TFT基板100の端部近くにx方向に第1の直線上に配列している。接続端子25のy方向上側にドライバIC40が接続端子25の配列方向と平行に配置している。
【0023】
図3において、検査端子35及び導電部材170は、前記第1の直線からは屈曲した端子領域に形成されている。検査端子35は多数存在しているが、少なくともその一部は、ドライバIC40のy方向の長辺よりも上側に形成されている。別な言い方をすると、ドライバIC40は、平面で視て、x方向に長辺を有し、y方向に短辺を有する構造であって、検査端子30の少なくとも一部は、ドライバIC40のy方向上側の長辺よりも、y方向上側に存在している。また、複数の検査端子35は、複数の接続端子25が配列した第1の直線よりもy方向上側に配置している。
【0024】
図3では、アース用導電部材170は、屈曲した端子領域において、平面で視て、対向基板200あるいはTFT基板100のx方向の端部付近に配置しているが、この位置に限る必要はない。後で説明するように、例えば、表示領域10に形成された絶縁膜と同じ絶縁膜を同じプロセスで端子領域に形成し、検査配線と立体交差させることによって、アース用導電部材170の配置位置の自由度を確保することが出来る。
【0025】
図4は、図3に対応する、映像信号線12、ドライバIC40、端子配線20,接続端子25、検査配線30、検査端子35等の動作の例を説明する回路図である。図4において、y方向上側が表示領域である。映像信号線12はy方向に延在してx方向に配列している。表示領域から延在してきた映像信号線12はドライバIC40に入力する。なお、現実には、ドライバIC40における映像信号線12のピッチは、表示領域における映像信号線12のピッチよりも小さいので、途中は斜め配線となるが、図4は模式図なので、映像信号線12は直線のままになっている。
【0026】
ドライバIC40のy方向下側には、接続端子25が形成されている。この接続端子25から、映像信号、走査信号、クロック信号、電源等が供給される。映像信号は、接続端子25から供給されるが、映像信号は、ドライバIC40内の駆動回路において、シリアルーパラレル変換によって、画面1行分のデータが作られるので、接続端子25の数は、映像信号線12の数に比べてはるかに少ない。ドライバIC40において、接続端子25側の端子を入力端子といい、映像信号線12側の端子を出力端子というと、出力端子側の端子が入力端子側の端子よりもはるかに多い。
【0027】
図4において、映像信号線12から切り替えスイッチ50を介して検査配線30が分岐している。検査配線30は、左側に配置した検査端子35に接続する。この検査端子35は、図3における屈曲した端子領域に配置する。切り替えスイッチ50はTFTで形成することが出来る。この切り替えスイッチ50は、映像信号線12と同じ数存在している。
【0028】
検査は、ドライバIC40を接続する前に、液晶表示パネルに欠陥がないか否かを、表示領域10に画像を形成してチェックする。そうすると、検査端子35は、映像信号線12と同じ数必要になるが、このような多数の検査端子35を端子領域に配置することはできない。一方、検査は、検査画像を表示出来ればよい。そこで、いくつかの映像信号線12に同じ信号を供給することによって、検査端子35の数と検査配線30の数を節約している。図4において、検査配線30は、検査端子35側(x方向左側)のみでなく、右側(x方向右側)にも延在している。右側方向において、他の映像信号線12と接続するためである。同じ検査信号を入力する端子をn個とすると、検査端子35の数は、映像信号線12の数の1/nとなる。
【0029】
図4において、平面で視て、ドライバIC40の下には、各映像信号線12と接続するための多くの端子が存在している。したがって、ドライバIC40の出力端子の大きさは極めて小さく、ピッチも小さい。一方、検査端子35は、検査プローブと接触するために、端子の大きさとピッチはある程度の大きさを必要とする。したがって、検査端子35の必要とする面積は大きくなる。本発明では、図4に示すように、検査端子35は、ドライバIC40あるいは接続端子25と並んで配置するのでなく、図4におけるy方向上側、図3でいうと、端子領域の屈曲した領域に配置するので、スペースを確保することが出来る。
【0030】
図5図4に描いた検査配線30、検査端子35、映像信号線12、端子配線20、接続端子25等を、図3に示すような液晶表示パネルの実際のレイアウトに似せて配置した状態を示す平面図である。図5において、対向基板200の外形は、表示領域10と概略相似形な多角形となっている。TFT基板100の外形もほぼ同様な多角形となっている。TFT基板100と対向基板200とは、対向基板200の端部に所定の幅をもって形成されたシール材150によって接着している。TFT基板100の対向基板200と重なっていない部分が端子領域となっているが、端子領域は、両側において、x方向及びy方向と所定の角度をもった屈曲部を有している。
【0031】
映像信号線12は、表示領域10からy方向下側に延在している。表示領域10のx方向の幅は、ドライバIC40のx方向の幅よりも大きいので、映像信号線12は途中で屈曲し、斜め配線となっている部分を介してドライバIC40に接続する。映像信号線12の屈曲部分は、シール材150が形成されている部分に存在している。
【0032】
図5で、シール材150が形成されている部分において、映像信号線12から、切り替えスイッチ50を介して、検査配線30が映像信号線12と交差するように配線している。検査配線30は、左側に延在して、端子領域の屈曲部に形成された検査端子35に接続している。検査配線30は、表示領域10に沿ってx方向右側にも延在して、他の複数の映像信号線12と接続する。検査端子35と検査配線30の数を減らすためである。
【0033】
図5において、切り替えスイッチ50はTFTで形成することが出来、必要なスペースはわずかである。また、切り替えスイッチ用TFTのゲート配線は1本で済む。図5に示すように、検査端子35は端子領域の屈曲した領域に配置されている。したがって、最終製品にも検査端子を残すことができる。また、液晶表示パネルの外形、すなわち、TFT基板100の外形も表示領域10と概略相似形とすることが出来るので、液晶表示パネルを最終製品への組み込みも容易である。
【0034】
表示領域10には、多数の走査線11が横方向に延在し、縦方向に配列している。しかし、走査線11に供給される走査信号はシフトレジスタで作成するので、映像信号線12のように多くの端子は必要としない。図6は、図3における端子の屈曲部付近に対応する表示領域10とシフトレジスタの関係を示す模式平面図である。
【0035】
図6におけるR、G、Bは、赤画素、緑画素、青画素を意味する。図6において、1行ごとに走査線が配置され、走査信号はシフトレジスタを構成する単位回路60から供給される。図6において、Vout1は単位回路60からの走査信号を表し、Vout2は次段の単位回路60をスタートさせる信号である。
【0036】
図7は、図6に示すシフトレジスタを示す回路図である。図7は、クロックが4相である場合の走査線駆動回路の例である。図7において、走査信号は上側から下側に順次発生する。図7において、最初の段の単位回路はVSRINであり、2段目以下はVSR1が繰り返される。図7において、RES信号はVSRINのGIN-1端子にスタートパルスとして供給される。2段目以降のGIN-1には、前段のVOUT2が供給される。図7において、VCK1、VCK2、VCK3、VCK4には位相の異なるクロックパルスが供給される。VDD、VSSは電源である。
【0037】
このように、走査線駆動回路では多くの端子は必要としないので、最終製品で使用される端子を、検査端子として供用することが可能である。ところで、最終製品における、検査端子以外の端子は、フレキシブル配線基板と接続する。したがって、端子ピッチが非常に小さくなり、検査プローブでの接触が困難な場合がある。そのような場合、単位回路60に接続する各配線から検査配線30を分岐させ、検査端子35を配置すればよい。
【0038】
このとき、液晶表示パネルが図3のような形状であれば、シフトレジスタを駆動させる検査用端子35を、図3に示す端子領域の屈曲部に配置することも出来る。
【実施例2】
【0039】
液晶表示装置は視野角が問題であるが、IPS(In Plane Switching)方式は視野角特性を改善することが出来る。IPS方式では、TFT基板100側に櫛歯状の画素電極と平面状のコモン電極を配置し、対向基板200側にはコモン電極は存在しない。そうすると対向基板200側からノイズが侵入し、画質を劣化させる。そこで、対向基板200の外側表面にITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電膜210(以後シールド電極210ともいう)を形成し、この透明導電膜210に基準電位を与えて液晶表示パネルの内部をシールドする。
【0040】
対向基板200の外側に基準電位を与えるために、TFT基板100の端子領域にアース電極80を形成し、このアース電極80と対向基板200の外側に形成したシールド電膜210を導電部材170で接続する。導電部材170には、例えば、銀ペーストや導電性テープが使用される。図3等においては、導電部材170のみが示されている。実際には、導電部材170の下にアース電極80が形成されている。
【0041】
図8は、図3のA-A断面図であり、アース電極80部分における断面図である。図8において、TFT基板100と対向基板200がシール材150によって接着し、TFT基板100と対向基板200の間に液晶300が挟持されている。
【0042】
TFT基板100にも対向基板200にも、実際には多くの層が形成されているが、図8では省略されている。TFT基板100側には、有機パッシベーション膜110のみ記載されている。TFT基板100において、有機パッシベーション膜110は平坦化膜として使用され、2乃至4ミクロンというように比較的厚く形成される。対向基板200の外側には、シールド用として透明導電膜210が形成されている。
【0043】
図8の特徴は、TFT基板100における有機パッシベーション膜110がシール材15の外にまで延在し、この有機パッシベーション膜110の上にアース電極80が形成されていることである。アース電極80は化学的に安定な、ITO等の金属酸化物導電膜が使用される。対向基板200の外側に形成された透明導電膜210とアース電極80とは、導電部材170によって電気的に接続されている。
【0044】
図8において、アース電極80は有機パッシベーション膜110に形成されたスルーホール81を介してTFT基板100に形成されたアース配線85と接続する。なお、図8では、アース電極80が形成されている有機パッシベーション膜110は表示領域10内における有機パッシベーション110と連続しているが、シール材150の内側と外側とで、有機パッシベーション膜110を分離してもよい。
【0045】
図8では、アース電極80は有機パッシベーション膜110の上に形成されているので、アース電極80の下に必要な配線を配置することが可能である。図9は、アース電極80が形成されている有機パッシベーション膜110の下側に検査配線30を通過させた場合の例である。図9において、複数の検査配線30が、アース配線85の延在方向とは交差する方向に、有機パッシベーション110の下、すなわち、アース電極80の下を延在している。
【0046】
図3では、アース電極80及び導電部材170は端子領域の隅に配置しているが、図9のような構成を用いれば、アース電極80及び導電部材170は必要に応じて、任意の場所に配置することが出来る。図10はその例である。図10は、アース電極80あるいは導電部材170の位置を除いて図3と同じである。図10において、アース電極80は端子領域の屈曲している部分端部よりもx方向において内側に配置している。そして、アース電極80及び導電部材170は平面で視て、検査端子35と検査端子35の間に配置することになる。
【0047】
アース電極80をこのような位置に配置すると、検査配線30の引き回しが問題になるが、図9のような構成にすれば、アース電極80が検査配線30の妨げになることはない。このように、図9のような構成とすることによって、アース電極80を、端子領域のレイアウトの必要に応じて任意の場所に配置することが出来る。さらに、アース電極80を端子領域の屈曲部に配置することによって、接続端子25あるいはドライバIC40が配置するTFT基板100の直線部の辺の長さを小さくできるので、TFT基板100の外形を、より、表示領域10の形状と相似形になるようにすることが可能である。
【実施例3】
【0048】
図11は、実施例3を示す平面図である。図11が実施例1の図5と異なる点は、端子領域において、ドライバIC40が存在していないことである。この場合、ドライバIC40はフレキシブル配線基板に配置される。このような場合も、フレキシブル配線基板を接続する前に、液晶表示パネルに欠陥が存在するか否かをチェックする必要がある。
【0049】
図11のような構成は、端子領域のy方向の幅wtを小さくしたい場合に採用される。ドライバIC40が端子領域に存在しない分、端子領域のy方向の幅wtは小さくなるが、接続端子25の数は、図5の場合に比較して大幅に増加する。原理的には、映像信号線12の数だけ接続端子25が必要になる。したがって、x方向に配列した接続端子全体の幅は大きくなる。また、接続端子25は非常に小さいので、検査用プローブでは対応できない。
【0050】
図11では、端子領域を屈曲させ、屈曲した部分に検査端子35を配置するので、接続端子25が増えても、対応可能である。図11において、映像信号線12から切り替えスイッチ50を介して検査配線30が分岐し、検査端子35と接続することは、図4及び図5で説明したのと同じである。端子領域において、映像信号線12は直接接続端子25と接続している。その他の構成も図4及び図5で説明したのと同じである。
【0051】
走査線11及び走査線駆動回路60、アース電極80等も実施例1及び実施例2で説明したのと同じである。実施例3では端子領域の幅が狭いので、実施例2のようなアース電極80を使用すれば、検査配線をアース電極80の下を通すことが出来るので、大きな効果を上げることが出来る。
【実施例4】
【0052】
図12は、表示領域10が円形の場合である。TFT基板100と対向基板200が重なった部分に表示領域10が形成されている。対向基板200の外形は表示領域10よりも若干大きな円である。TFT基板100と対向基板200とは、リング状に形成されたシール材150によって接着し、内部に液晶が配置されている。TFT基板100は、対向基板200と同じ大きさでは、端子領域を形成できないので、y方向に端子領域の幅の分、長円となっている。言い換えると、TFT基板100は、y方向がx方向よりも若干長い、レーストラック状となっている。
【0053】
端子領域において、接続端子25がx方向に直線状に配列している。配列した接続端子25の全体の幅はx1である。TFT基板100は、端子列と平行に、長さx1にわたって直線状となっている。長さx1が大きいと、TFT基板100の外形の、円からの乖離が大きくなるので、x1は円からの乖離が目立たない程度に抑えなければならない。図12において、接続端子列25と表示領域10との間にドライバIC40が配置している。
【0054】
図12において、検査端子35は、ドライバIC40に対してy方向上側、x方向外側に配置している。映像信号線12、検査配線30、検査端子35、ドライバIC40、端子配線20、接続端子25等の関係は、実施例1の図4で説明したのと同じである。走査線駆動回路側も実施例1の図6図7で説明したのと同じである。アース電極80、導電部材170の配置も実施例2で説明したのと同じである。また、ドライバIC40がフレキシブル配線基板に搭載されている場合も実施例3で説明したのと同じでる。
【0055】
図12では、表示領域10及び対向基板200は円であるが、円に限らず、例えば楕円、あるいは、表示領域10の一部が放物線、双曲線、楕円等の曲線を有する場合も同様である。さらに、表示領域10及び対向基板200、TFT基板100等は、直線と円の組み合わせである、レーストラック形状であってもよい。このような場合も、図12で説明したのと同様である。すなわち、TFT基板100に形成される端子領域は、接続端子25がx方向に直線状に配列しており、端子領域の端部は、端子列と平行に、長さx1にわたって直線状となっている。そして、端子領域の端部の直線部の両側は、曲線状に湾曲している。
【0056】
図13は、表示領域10が全体としては矩形に似ているが、コーナー部が大きな曲率半径をもっている場合の例である。本明細書ではこのような形状も異形と呼ぶ。対向基板200の外形も表示領域10にほぼ沿うように、コーナー部が曲率半径を持った異形である。図13において、対向基板200とTFT基板100がシール材150を介して接着している。対向基板200とTFT基板100が重なった部分に表示領域10が形成され、TFT基板100が対向基板200と重なっていない部分は端子領域となっている。
【0057】
端子領域のy方向下側端部は、直線部分とその左側の第1の曲線部分と、直線部の右側の第2の曲線部分で構成されている。直線部分と対向基板との間の領域を端子領域の第1の領域とすると、第1の領域の端部に、複数の接続端子25がx方向にx1の範囲で配列している。平面で視て、複数の接続端子25と対向基板200の間にドライバIC40が配置している。なお、ドライバIC40は実施例3で説明したように、端子領域に存在しない場合もある。
【0058】
図13において、端子領域の第1の曲線部分と対向基板200との間の領域を第2の領域とし、第2の曲線部分と対向基板200との間の領域を第3の領域とする。第2の領域と第3の領域には、検査端子35が配置している。また、第2の領域には、対向基板200の外側表面にアース電位を供給するためのアース電極80が形成されている。
【0059】
図13において、検査端子35は、接続端子25よりも、y方向上側に配置している。また、検査端子35は、ドライバIC40よりも、y方向上側に配置している。図13に示すように、多数の検査端子35は、端子領域の第2の領域と第3の領域に配置させることが出来るので、製品が完成した後も、必要に応じて、検査端子35を使用して製品の検査を行うことが出来る。
【符号の説明】
【0060】
10…表示領域、 11…走査線、 12…映像信号線、 13…画素、 20…端子配線、 25…接続端子、 30…検査配線、 35…検査端子、 40…ドライバIC、 50…切り替えスイッチ、 60…シフトレジスタ、 80…アース電極、 81…スルーホール、 85…アース配線、 90…ブリッジ電極、 100…TFT基板、 110…有機パッシベーション膜、 150…シール材、 170…導電部材、 200…対向基板、 210…シールド用ITO
図1
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図13