(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】材料試料の感覚測定のための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 25/20 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
G01N25/20 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021123818
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2023-06-20
(31)【優先権主張番号】10 2020 004 838.2
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599082218
【氏名又は名称】メトラー-トレド ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100220065
【氏名又は名称】高梨 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】ウルス・イェリマン
(72)【発明者】
【氏名】ウルス・ビュスト
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・デンゲリ
(72)【発明者】
【氏名】モーサ・アブラハムズ
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-318954(JP,A)
【文献】特開2008-292290(JP,A)
【文献】国際公開第1999/027354(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱分析による、
センサによる材料試料
の測定の方法であって、前記材料試料が、あらかじめ決定され、前記測定を実施するための準備処置が、第1の場所において、自動的に誘導される操作員-機械対話によって実行され、次いで、前記測定が、あらかじめ決定された測定プログラムを実行する間に、測定装置によって自動的に前記第1の場所において行われ、
前記測定により1つの測定曲線を取得し、前記測定曲線を複数の測定曲線区間に分け、前記測定装置のサブユニットの影響の領域が割り当てられた
前記測定曲線区間を、前記測定曲線区間に関係付けられる基準値および/または
基準経路と
、少なくとも部分的に自動的な比較をすることにより、1つまたは複数の偏差が決定され、
前記偏差から
、少なくとも部分的に自動的に、前記サブユニットのうちの1つまたは複数の機能的状態の、前記決定された偏差についての前記サブユニットのそれぞれの目標状態からの偏差の形式で存在する、起こりうる原因となる干渉源の選択がなされる、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
ファイルが自動的に編集され、前記ファイルは、少なくとも、前記測定曲線、および/または、前記可能性のある干渉源を含み、前記第1の場所から遠隔の第2の場所に送信され、さらなる評価に対して利用可能にされる、方法。
【請求項3】
請求
項2に記載の方法であって、
前記ファイルは、前記測定装置、および/または、前記測定装置のサブユニットの、識別データおよび/または特性に関する情報を追加的に内包し、任意選択で、前記測定の間の前記測定装置の時間プロファイル、前記第1の場所の識別情報、前記第1の場所において実施される前記測定の前記測定曲線および/または測定ログを含む、方法。
【請求項4】
請求項
2または3に記載の方法であって、
前記自動的に誘導される操作員-機械対話、実行される前記測定、および/または、前記ファイルの前記編集の間
、工程に影響を及ぼす、および、前記第2の場所から発出する処置は行われない、方法。
【請求項5】
請求項
2から4のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の場所においての、前記自動的に誘導される対話、前記測定を前記実行すること、および/または、前記ファイルの前記編集を制御する電子プラットフォームへの、前記第2の場所から発出するアクセス選択肢は存在しない、方法。
【請求項6】
請求項
2から5のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の場所において、前記測定装置の検査が、前記第2の場所において前記ファイルを受け取った人物に対する、前記第1の場所への輸送の手段の提供の後に続いて、少なくとも部分的に手作業で行われる、方法。
【請求項7】
熱分析による、
センサによる材料試料
の測定のための測定装置上で実行されるときに、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法のために前記測定装置を制御する、制御ソフトウェア。
【請求項8】
センサによる材料試料
の測定のためのデバイス
、熱分析器であって、請求項7に記載の制御ソフトウェアを伴い、ならびに/または、請求項1に記載の方法の前記操作員-機械対話を誘導するための制御器、および、請求項1に記載の方法の前記測定プログラムを実行する測定装置を伴い、前記制御器
は、請求項1に記載の方法による、前記測定曲線区間の前記比較、および/もしくは、前記選択を前記なすことに関与させられ、ならびに/または、請求項2に記載の前記ファイルを編集する、デバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のデバイスであって、
前記制御器は、請求項2から6のいずれか一項に記載の方法を実施するために前記デバイスを制御することができる、デバイス。
【請求項10】
あらかじめ決定された測定プログラムを実行するために設計される測定装置と、制御器とを用いた
、熱分析による、
センサによる材料試料
の測定のためのシステムであって、
前記制御器は、自動的に誘導される操作員-機械対話の実施の後に続いて、前記あらかじめ決定された測定プログラムによって前記測定を実施するように、前記測定装置を制御し、
前記測定により1つの測定曲線を取得し、前記測定曲線を複数の測定曲線区間に分け、前記測定装置のサブユニットの影響の領域が割り当てられた
前記測定曲線区間を、前記測定曲線区間に関係付けられる基準値および/または
基準経路と
、少なくとも部分的に自動的な比較をすることにより、1つまたは複数の偏差を決定し、
前記偏差から
、少なくとも部分的に自動的に、前記サブユニットのうちの1つまたは複数の機能的状態の、前記決定された偏差についての前記サブユニットのそれぞれの目標状態からの偏差の形式で存在する、起こりうる原因となる干渉源の選択を行うように設計される、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、
前記システムの前記制御
器は、請求項2から6のいずれか一項に記載の方法を実行するように設計される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に熱分析による、材料試料の感覚測定の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような方法は、よく知られており、例えば、動的示差熱量測定(DSC - 示差走査分析)、熱重量分析(TGA)、さらには同時熱分析として組み合わされるもの(TGA/DSC)を、ただしさらには、熱機械分析(TMA)または動的機械分析(DMA)を含む。
【0003】
この型の方法において、方法の使用者側において、操作員(または、オペレータ)は、普通は、使用者が入用である材料試料を測定装置内に置き、測定プログラムを適用し、または、あらかじめ決定された測定プログラムから1つを選択し、測定が、測定装置上で実行される。
【0004】
特に、その間に達成される非常に高い測定正確度のために、許容限度の外側にある測定偏差(ずれまたは誤差とも言う)が、小さい干渉でも、それらの干渉から結果的に生じ得る。一部の事例において、内部監視により機能不全とすでに認識されており、その上で、対応する警告メッセージが、あらかじめ決定された機能不全プロトコルによって発行される、測定装置においての機能不全が存在する。機能不全がこのようにして認識される場合、その機能不全は、おそらくは早くも改善されることが、現場の操作員により、または、この目的のために呼び寄せられる点検修理専門技術者により行われ得る。
【0005】
測定装置自体は機能不全を報告しないが、初期に検出されない不具合がそれでもなお存在し得る、他の事例において、機能不全の、根本的な原因を見出すことは、より時間がかかり、普通は研究機関職員である、測定装置の操作員により、容易に行われ得ない。むしろ、測定装置に十分に精通する点検修理専門技術者が、現場で障害の原因を決定することを引き受けることになる。点検修理専門技術者が、自分の経験に基づく調査を測定装置に受けさせるか、それとも、試験計画に従うかに関わらず、障害の源を繰り返し決定することは、相当に時間がかかることに結局はなる。点検修理専門技術者に、Team Viewerなどの遠隔制御システムを使用する現場での制御にログインさせることにより、この問題に対処することの可能性は、一般的には、使用者により許可されない。このことは、さらには、得策でないことになり、なぜならば、そのことは、測定を継続的に監視しなければならない、所定の距離から注視する点検修理専門技術者に対して、不都合な作業時間、および、長い遊休時間を結果的に生じさせることになり、それらの測定の一部は、夜通し、および/または、夜において数時間、例えば8時間にわたって続くからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえに、機能不全が生じた場合において、測定装置が、より少ない正味時間消費を伴って、完全な機能性に回復させられるような手立てで、述べられる型のシステムを開発することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、特に熱分析による、材料試料の感覚測定の方法であって、材料試料が、あらかじめ決定され、測定を実施するための準備処置が、第1の場所において、自動的に誘導される操作員-機械対話(操作者と機械との間の相互作用とも言う)によって実行され、次いで、測定が、あらかじめ決定された測定プログラムを実行する間に、測定装置によって自動的に第1の場所において行われ、測定曲線区間であって、測定装置のサブユニットの影響の領域の、それらの測定曲線区間への割り当てが存在する、測定曲線区間の、これらの測定曲線区間に関係付けられる基準値および/または経過との、特に少なくとも部分的に自動的な比較により、1つまたは複数の偏差が決定(または、計測)され、それらの偏差から、特に少なくとも部分的に自動的に、サブユニットのうちの1つまたは複数の機能的状態の、決定される偏差に対するそれらのサブユニットのそれぞれの目標状態からの偏差の形式で存在する、可能性のある、原因となる干渉源の選択がなされる、方法によって、システム技術の見地において達成される。
【0008】
この事例において、本発明は、干渉の原因のより迅速な特定のために、少なからぬ時間を要する、すなわち、特に1時間より多く持続し得る、あらかじめ決定された測定プログラムによる測定を実行する工程が、最初に自動的に実行されるということを知ることに基づく。測定プログラムは、好ましくは、2時間より多く、特に3時間より多くにわたって引き続きさえする。方法の好まれる構成において、その測定プログラムは、夜通し走り、少なくとも部分的には、第1の場所においての地方時(または、現地時間)18時と、翌日8時との間の時間の期間にわたって引き続く。
【0009】
使用者においての操作員に対して、作業時間の損失は存在せず、その操作員は、例えば、目標機能性からの偏差の報告があった後、例えば、その操作員自身の意志により、または、点検修理専門技術者の要求で、研究機関を離れる前に電子診断ツールを呼び出し、電子診断ツールにより誘導される必要な準備処置を実行し、測定プログラムを開始することができ、その測定プログラムは、次いで自動的に作動する。診断測定プログラムは、空所を測定することにより、または、規定される試料によって実行され得る。診断測定プログラムは、使用者側の操作員により選択され得るが、変更され得ない。
【0010】
使用者側の操作員に、診断測定プログラムが実行されているということを通知するために、実行中のプログラムに関する警告が、好ましくは出され、好ましくは、測定装置の制御器の画面上に出力される。
【0011】
測定装置のサブユニットは作用領域(または、影響の領域;spheres of influence)が異なり、特に、それらのサブユニットの機能的状勢において偏差を測定曲線のいくつかの割り当てられた区間において観察できる。他方では、機能的状勢においてのどのようなタイプの変化を、サブユニットが、割り当てられる測定曲線区間のうちの1つにおいてのどのようなタイプの変化に、少なくとも定性的に至らしめるかが、少なくとも大まかな推定において、または、より精密に決定され得る。従って、起こりうる干渉の原因についてなされる選択により、測定装置に関する事前の知見(または、情報)が早くも提供される。そのような情報は信頼性が高い。そのような情報は、実際に実行される体系的な/あらかじめ決定された測定に基づき、この情報に基づいて、点検修理専門技術者による点検修理作業が、的を絞って現場で行うことができ、または、単純な調整、および/もしくは、(交換可能な)センサの交換が、現場で操作員により実行できるからである。例えば、以前の検査室測定に関する、操作員による単なる報告を基礎として考慮に入れられなければならなかったことになる、起こりうる様々な干渉の原因が、選択の間に排除される。これらの原因には、とりわけ、操作員自身によりなされる誤り、正しくないデバイス設定/測定パラメータ、および/または、測定装置自体により生成される特定のエラーメッセージが含まれる。
【0012】
起こりうる干渉の原因の選択が自動的に支援される程度に関わらず、現場ではなく遠隔である点検修理専門技術者が、おそらくはすでに、あらかじめの評価によって、またはさらには、中間処理の形式で、関連性のあるデータを受信し、任意選択で、測定場所から遠隔でさらなる分析を実行することができ、それらの分析は、それでも現実の測定に基づくという可能性が生み出される。加えて、Team Viewerとは違い、現場および遠隔地においての共同的に人員配置した状態(coordinated presence)、それは、現場および遠隔地においての時間を必要とすることであるが、そのような人員配置はもはや必要でない。換言すれば、あらかじめ決定された測定プログラムによって実行される測定と、その測定に基づく測定結果の分析とは、時間的および/または空間的切り離すことが可能であり、特に、そのように切り離される。測定曲線区間への分割は、測定に対して利用される機器/モジュールに依存して構成され得る。
【0013】
本発明は、さらには、本発明による方法を実行することを制御する制御プログラム、ならびに、対応して整えられ設計される測定装置および制御器を提供する。
さらなる好まれる実施形態が、従属請求項において論述される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】区間8および9の曲線が描かれた線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
操作員により現場で実行される、所定の(診断)測定プログラムによって測定を実行する後、ファイル、例えば.zipファイルの形式で作製される、実施される測定プログラムに対する割り当て、もしくは識別情報(identification)と一緒の測定結果/測定曲線、ならびに/または、決定される偏差および/もしくは選択などの、それらの測定結果/測定曲線から導出される情報が、特に手動で、または自動的に編集され、例えば、操作員により遠隔の第2の場所に送信され得、その第2の場所において、測定される曲線が、例えば、点検修理専門技術者により評価され得、曲線の評価が継続され得る。特に、ファイルは、関与させられるモジュール(サブユニット)の、および、測定装置/機器の特性を内包する。
【0016】
特定の測定プログラムが、DSC、TGA、TGA/DSC、またはさらにはTMA、DMAなどの異なる測定装置に対してあらかじめ決定され得る。準備処置および測定プログラムが、かくして、測定装置に対して協調させられ、または調節され、好まれる実施形態において、電子診断ツールは、あらかじめ決定された測定プログラムのうちのいくつかを内包し、操作員により開始される自己診断を測定装置に割り当て得る。
【0017】
本発明における測定装置とは、実際の測定センサに加えて、影響を及ぼすサブユニットも意図されており、そのようなサブユニットは測定において使用され、利用可能ならば、冷却システム、炉、ガス供給部、およびそれらの組み合わせなどの測定の環境の決定の一因となる。
【0018】
評価の間、点検修理専門技術者は、例えば、測定される値が、許容範囲の中にあるかどうかを決定することができる。誤差が区間において検出される場合、点検修理専門技術者は、可能性の高い原因(干渉の原因)をより容易に突き止めることができる。限られた数の可能性のみが、可能性のある干渉の原因として有力に見える事例において、特に、これらの干渉を改善(または、解消)するための措置が、操作員の能力の範囲内である場合、フィードバック情報が、この情報内容とともに現場の操作員に返され得る。代替案として、または加えて、とりわけ、より困難な事例において、点検修理専門技術者が、準備された予備の部品/設定を使用して、現場で状況を改善することができる。
【0019】
診断測定プログラムを実施するためのソフトウェアは、操作員が、例えば、「点検修理」というタブをクリックし、その下の「診断」というタブを選択するという点において、Windowsに似た様式で、例えば、制御ソフトウェア(PCソフトウェア)またはデバイスソフトウェア(ファームウェア)において実現され得る。操作員は、次いで、誘導される操作員-機械対話によって、機械のインターフェイスを介して指示に従うことにより、「ウィザード」の様式で、必要な準備処置によって誘導される。例えば、その操作員は、冷却デバイスを稼働し、ガス供給部接続を確立し、センサが洗浄されているということを確認にし、あらかじめ決定された材料試料、例えば、あらかじめ決定された基準試料、例えば、40μlアルミニウム試料を用意しなければならない。この試料が、特定のあらかじめ決定された型の試料るつぼ内で測定されるということも規定されることがある。これに関して、センサ(特にDSCセンサ)の基準側、および、センサの試料側の両方が、同様に装備されるということが、特に定められることがある。
【0020】
準備措置が実施された後、好まれる実施形態において、操作員は、さらには、自動的に決定される測定結果、および、任意の関連する1次評価を記憶するための記憶場所を決定することができる。
【0021】
最終的に、操作員は、測定の開始指令を与えることができる。
好まれる構成において、診断測定プログラムの経時的な進捗が、特に警告標識の形で、画面上に表示され、そのことは、操作員が、進行中の診断測定プログラムを中断することを防止する。
【0022】
方法のさらなる好まれる構成において、可能性のある干渉源は、これらの干渉源を点検するために、電子的に制御される様式でスイッチを入れられる/切られる。
決定されるデータは、好ましくは、DSCの測定曲線、例えば、測定される温度曲線、および、測定される熱流曲線を含む。好まれる構成において、測定される曲線は、フィルタ処理されない様態で表示され、すなわち、普通はアプリケーション測定において存在するフィルタ処理が行われない。このようにして、フィルタ処理に起因して検出できないような故障の原因を、必要に応じて、わずかな変動から特定することが可能となる。
【0023】
好ましくは、時間-温度線図、さらには、(DSCの)時間-熱流線図、または例えば、温度-質量線図(TGA)に加えて、少なくとも1つの曲線が、測定方法に適する線図の形で生成され、特にファイルに追加される。DSCに使用される付属の構成において、そのような測定曲線は、例えば、11個の区域へと分割される。
図1において、区域1においての初期の偏りを視認することができる。冷却器の性能に関する情報を提供する、最も低い到達可能な温度が、区域2から4において視認可能であり、それにより、等温の浮動(ドリフト)、雑音、および歪みが、さらには区間4に含まれる。区間5において、浮動および人為現象(または、アーチファクト)が識別され得、一方で区間6および7において、最も高い温度が達され得(加熱器および冷却器の影響の領域)、それで、等温のドリフト、雑音、および歪みが、さらには区域6において影響を有し得る。区間8および9は、雑音に関して、および、大気(または雰囲気)制御(ガス供給部)に関連のあるものであり、一方で区間10は、温度制御に割り当てられ得、しかるに、等温のドリフト、雑音、および歪みが、区間11において所定の役割を果たす。
【0024】
例えば、-70°等の温度が、例えば-85°の予期される温度においての区間4において決定される場合、可能性のある干渉源の選択は、おそらくは高すぎる実験室温度、冷却器の不十分な空気流、冷却ユニットの汚損された、もしくは詰まらされたフィルタ、設置に起因する冷却器フランジの正しくない熱接触、損傷させられた絶縁物、正しくなく設置された冷却温度センサ、または、冷却ユニットへの損傷を含み得る。
【0025】
好まれる構成において、測定曲線(例えば、温度)の時間的に細分割される区間は、別の測定曲線の時間的に規定される区間を割り当てられ、偏移(ドリフト)およびアーチファクトについて、それらの区間において調査される。
【0026】
推進力が時間である低速の変化は、「ドリフト」であると考えられる。例えば、時間効果であるドリフトは、温度、圧力、経年変化、姿勢(測定装置の水平化)、または類するものにより引き起こされ得る。主として機械的または電子的影響から結果的に生じる、高速の個々の変化は、アーチファクトとみなされる。揺動する変化は、低速であれ高速であれ、関与させられる数量が、その共振振動数に近くなっているということを指し示す。
【0027】
区間5について添付の
図2の例示から、例えば、ドリフトおよび熱流によるアーチファクトに起因して、次のものが、可能性のある干渉の原因として選択に含まれる:不適切に閉じられた炉蓋(機械的誤差)、不適切に閉じられた炉蓋(汚染)、緩みのあるセンサ、中心を外れた、もしくはねじ曲げられたセンサ、汚損されたセンサ、たわまされたるつぼ、または、汚れを落とされていないセンサ。
【0028】
区間6においての予期される温度からの偏差において、選択される、可能性のある干渉の原因は、例えば、損なわれた冷却能力、炉において不適正に設置された加熱器、障害のある炉電力増幅器、不適正に設置されたPT100、または、電圧供給部に対する正しくない制御電圧であることになる。
【0029】
例えば
図3において例示されるような(気体を伴う、および伴わない)区間8および9、その図においての、上側曲線においての気体を伴わない区間8、および、下側曲線においての気体を伴う区間9においての熱流においての雑音から、推論され得る、可能性のある干渉の原因は、不適切に閉じられた炉蓋、緩みのあるセンサ、変形させられたるつぼ、汚れを落とされていない炉、または、一般的に気体供給部に関する問題である。
【0030】
上述から、電子診断ツールにより編集されるファイルは、測定装置を完全に説明するデータ記録を内包することができるということがわかる。
そのような電子診断ツールは、様々なDSC、TGA、およびTGA/DSC、TMA、およびDMA機器に対して使用され得るということがわかる。
【0031】
ファイルが、遠隔の第2の場所に送信される場合、所定の測定プログラムによって実際に実施される測定においての性能偏差に関する事前の情報が、さらには、この場所において利用可能であり、そのことは、評価する点検修理専門技術者が、測定装置の操作員に、(確からしい)原因に関して通知することを可能とする。いずれの事例においても、点検修理専門技術者は、現場での検査およびトラブルシューティングが行われる前に受信される情報により、前もって通知される。
【0032】
さらなる好まれる構成において、修復ツールおよび/または資料が、送信されるファイルを前提として編集される。このことは、何らかの追加的な現場でのアポイントメントの蓋然性を低減する。
【0033】
上述から明らかなように、あらかじめ決定された測定プログラムによる測定の診断および決定をなすために、点検修理専門技術者が現場にいる必要はない。
さらなる好まれる構成において、選択機能には、学習モードが設けられており、他の可能性のある追加的な原因をさらに考慮に入れる拡張(機能)が存在する。
【0034】
これに関して、好ましくは、以前に選択された可能性のある干渉の原因と、人による測定装置の以前の点検との比較に関する情報を内包するフィードバック情報に応じて、選択機能が拡大されるようにする。
【0035】
本発明は、例として解説される特徴に限定されない。
【符号の説明】
【0036】
1 区域
2 区域
3 区域
4 区域、区間
5 区間
6 区間、区域
7 区間
8 区間
9 区間
10 区間
11 区間