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特許7569288在庫会計管理装置、在庫会計管理方法、及び在庫会計管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】在庫会計管理装置、在庫会計管理方法、及び在庫会計管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20241009BHJP
【FI】
G06Q40/12 420
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021124786
(22)【出願日】2021-07-29
(65)【公開番号】P2023019803
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 宏
(72)【発明者】
【氏名】松下 真之介
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-097742(JP,A)
【文献】特開平04-138560(JP,A)
【文献】特開2020-035049(JP,A)
【文献】特開2002-024586(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0055857(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える在庫会計管理装置であって、
前記制御部が、
在庫評価データの作成の指示を受け付ける受付手段と、
在庫評価データの作成の指示の受付後、在庫データにまとめられた商品識別子、それに対応する商品区分識別子及び在庫数を含む商品別且つ商品区分別の在庫情報の中から、在庫評価において第1の原価単価と第2の原価単価とを区別すべき品種に属する商品に関する在庫情報を抽出する対象抽出手段と、
抽出された在庫情報それぞれに対して、商品識別子別に予め登録された第1の原価単価及び第2の原価単価に基づき、商品区分識別子別に予め指定された第1の原価単価か第2の原価単価かの原価単価区分に従って、当該在庫情報毎に第1の原価単価又は第2の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、一方で、抽出されなかった在庫情報それぞれに対して、商品識別子別に予め登録された第1の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、すべての在庫評価情報をまとめて在庫評価データを作成する在庫評価手段と、
を備えることを特徴とする在庫会計管理装置。
【請求項2】
前記対象抽出手段が、
在庫評価データの作成の指示の受付後、在庫評価において第1の原価単価と第2の原価単価とを区別すべき品種として予め指定された品種識別子をまとめた対象品種マスタに基づき、商品マスタにまとめられた品種識別子及び商品識別子を含む商品別の商品情報の中から、予め指定された品種識別子と同一の品種識別子を有する商品情報を抽出し、さらに、在庫データにまとめられた商品識別子、それに対応する商品区分識別子及び在庫数を含む商品別且つ商品区分別の在庫情報の中から、抽出された商品情報における商品識別子と同一の商品識別子を有する在庫情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の在庫会計管理装置。
【請求項3】
前記在庫評価手段が、
抽出された在庫情報それぞれに対して、商品区分識別子及びそれに対応する第1の原価単価か第2の原価単価かの原価単価区分に関する情報を含む商品区分情報をまとめた商品区分マスタと、商品識別子、それに対応する第1の原価単価及び第2の原価単価を含む商品単価情報をまとめた商品単価マスタと、に基づき、当該在庫情報に含まれる商品区分識別子に対応する商品区分情報の原価単価区分に関する情報に従って、当該在庫情報に含まれる商品識別子に対応する商品単価情報における第1の原価単価又は第2の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、一方で、抽出されなかった在庫情報それぞれに対して、商品単価マスタに基づき、当該在庫情報に含まれる商品識別子に対応する商品単価情報における第1の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、すべての在庫評価情報をまとめて在庫評価データを作成する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の在庫会計管理装置。
【請求項4】
前記商品単価情報が、商品識別子、第1の原価単価及び第2の原価単価に加えて、適用開始日をさらに含み、
前記受付手段が、在庫評価データの作成の指示に加えて、会計年月の指定を受け付け、
前記在庫評価手段が、指定された会計年月に近い適用開始日を含む商品単価情報における第1の原価単価又は第2の原価単価を評価単価とする
ことを特徴とする請求項3に記載の在庫会計管理装置。
【請求項5】
制御部を備える在庫会計管理装置において実行される在庫会計管理方法であって、
前記制御部で実行される、
在庫評価データの作成の指示を受け付ける受付ステップと、
在庫評価データの作成の指示の受付後、在庫データにまとめられた商品識別子、それに対応する商品区分識別子及び在庫数を含む商品別且つ商品区分別の在庫情報の中から、在庫評価において第1の原価単価と第2の原価単価とを区別すべき品種に属する商品に関する在庫情報を抽出する対象抽出ステップと、
抽出された在庫情報それぞれに対して、商品識別子別に予め登録された第1の原価単価及び第2の原価単価に基づき、商品区分識別子別に予め指定された第1の原価単価か第2の原価単価かの原価単価区分に従って、当該在庫情報毎に第1の原価単価又は第2の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、一方で、抽出されなかった在庫情報それぞれに対して、商品識別子別に予め登録された第1の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、すべての在庫評価情報をまとめて在庫評価データを作成する在庫評価ステップと、
を含むことを特徴とする在庫会計管理方法。
【請求項6】
制御部を備える在庫会計管理装置に実行させるための在庫会計管理プログラムであって、
前記制御部に実行させるための、
在庫評価データの作成の指示を受け付ける受付ステップと、
在庫評価データの作成の指示の受付後、在庫データにまとめられた商品識別子、それに対応する商品区分識別子及び在庫数を含む商品別且つ商品区分別の在庫情報の中から、在庫評価において第1の原価単価と第2の原価単価とを区別すべき品種に属する商品に関する在庫情報を抽出する対象抽出ステップと、
抽出された在庫情報それぞれに対して、商品識別子別に予め登録された第1の原価単価及び第2の原価単価に基づき、商品区分識別子別に予め指定された第1の原価単価か第2の原価単価かの原価単価区分に従って、当該在庫情報毎に第1の原価単価又は第2の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、一方で、抽出されなかった在庫情報それぞれに対して、商品識別子別に予め登録された第1の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、すべての在庫評価情報をまとめて在庫評価データを作成する在庫評価ステップと、
を含むことを特徴とする在庫会計管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫会計管理装置、在庫会計管理方法、及び在庫会計管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
システム上に在庫評価を登録する場合、1つの商品に対して1つの在庫評価単価を用いる運用となるのが一般的である。しかし、例えば酒造業界などにおいては、返品があった場合、出荷時に計上した酒税を戻すための特殊な経理処理が必要であり、商品ごとに、良品、不良品、戻入品、半製品などの複雑な区分を用いて在庫評価が行われている。
【0003】
このようなケースにおいては、自社製品の良品や半製品を、標準原価を用いて評価する一方で、自社製品の不良品、戻入品(古くなったもの)については、そのままでは販売することができず、中身を原料として再投入したり、中身を廃棄しなければならないため、内容物の原価(中身原価)での評価が必要である。しかし、これまでのシステムでは、このような評価を行う対象の品種指定ができないことから、対象とならない品種の原価振替が年次で発生していた。そのため、手動での中身原価の計算や年次での振替、確認といった非常に煩雑な経理処理が必要となっていた。
【0004】
このようなことから、2種の原価単価を用いる品種と用いない品種を区別しつつ、2種の原価単価を用いて原価評価できるシステムが求められている。これまでこのようなシステムは知られていない(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-236018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、2種の原価単価を用いる品種と用いない品種を区別しつつ、2種の原価単価を用いて原価評価できるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る在庫会計管理装置は、制御部を備える在庫会計管理装置であって、前記制御部が、在庫評価データの作成の指示を受け付ける受付手段と、在庫評価データの作成の指示の受付後、在庫データにまとめられた商品識別子、それに対応する商品区分識別子及び在庫数を含む商品別且つ商品区分別の在庫情報の中から、在庫評価において第1の原価単価と第2の原価単価とを区別すべき品種に属する商品に関する在庫情報を抽出する対象抽出手段と、抽出された在庫情報それぞれに対して、商品識別子別に予め登録された第1の原価単価及び第2の原価単価に基づき、商品区分識別子別に予め指定された第1の原価単価か第2の原価単価かの原価単価区分に従って、当該在庫情報毎に第1の原価単価又は第2の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、一方で、抽出されなかった在庫情報それぞれに対して、商品識別子別に予め登録された第1の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、すべての在庫評価情報をまとめて在庫評価データを作成する在庫評価手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る在庫会計管理装置は、前記対象抽出手段が、在庫評価データの作成の指示の受付後、在庫評価において第1の原価単価と第2の原価単価とを区別すべき品種として予め指定された品種識別子をまとめた対象品種マスタに基づき、商品マスタにまとめられた品種識別子及び商品識別子を含む商品別の商品情報の中から、予め指定された品種識別子と同一の品種識別子を有する商品情報を抽出し、さらに、在庫データにまとめられた商品識別子、それに対応する商品区分識別子及び在庫数を含む商品別且つ商品区分別の在庫情報の中から、抽出された商品情報における商品識別子と同一の商品識別子を有する在庫情報を抽出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る在庫会計管理装置は、前記在庫評価手段が、抽出された在庫情報それぞれに対して、商品区分識別子及びそれに対応する第1の原価単価か第2の原価単価かの原価単価区分に関する情報を含む商品区分情報をまとめた商品区分マスタと、商品識別子、それに対応する第1の原価単価及び第2の原価単価を含む商品単価情報をまとめた商品単価マスタと、に基づき、当該在庫情報に含まれる商品区分識別子に対応する商品区分情報の原価単価区分に関する情報に従って、当該在庫情報に含まれる商品識別子に対応する商品単価情報における第1の原価単価又は第2の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、一方で、抽出されなかった在庫情報それぞれに対して、商品単価マスタに基づき、当該在庫情報に含まれる商品識別子に対応する商品単価情報における第1の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、すべての在庫評価情報をまとめて在庫評価データを作成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る在庫会計管理装置は、前記商品単価情報が、商品識別子、第1の原価単価及び第2の原価単価に加えて、適用開始日をさらに含み、前記受付手段が、在庫評価データの作成の指示に加えて、会計年月の指定を受け付け、前記在庫評価手段が、指定された会計年月に近い適用開始日を含む商品単価情報における第1の原価単価又は第2の原価単価を評価単価とすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る在庫会計管理方法は、制御部を備える在庫会計管理装置において実行される在庫会計管理方法であって、前記制御部で実行される、在庫評価データの作成の指示を受け付ける受付ステップと、在庫評価データの作成の指示の受付後、在庫データにまとめられた商品識別子、それに対応する商品区分識別子及び在庫数を含む商品別且つ商品区分別の在庫情報の中から、在庫評価において第1の原価単価と第2の原価単価とを区別すべき品種に属する商品に関する在庫情報を抽出する対象抽出ステップと、抽出された在庫情報それぞれに対して、商品識別子別に予め登録された第1の原価単価及び第2の原価単価に基づき、商品区分識別子別に予め指定された第1の原価単価か第2の原価単価かの原価単価区分に従って、当該在庫情報毎に第1の原価単価又は第2の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、一方で、抽出されなかった在庫情報それぞれに対して、商品識別子別に予め登録された第1の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、すべての在庫評価情報をまとめて在庫評価データを作成する在庫評価ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る在庫会計管理プログラムは、制御部を備える在庫会計管理装置に実行させるための在庫会計管理プログラムであって、前記制御部に実行させるための、在庫評価データの作成の指示を受け付ける受付ステップと、在庫評価データの作成の指示の受付後、在庫データにまとめられた商品識別子、それに対応する商品区分識別子及び在庫数を含む商品別且つ商品区分別の在庫情報の中から、在庫評価において第1の原価単価と第2の原価単価とを区別すべき品種に属する商品に関する在庫情報を抽出する対象抽出ステップと、抽出された在庫情報それぞれに対して、商品識別子別に予め登録された第1の原価単価及び第2の原価単価に基づき、商品区分識別子別に予め指定された第1の原価単価か第2の原価単価かの原価単価区分に従って、当該在庫情報毎に第1の原価単価又は第2の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、一方で、抽出されなかった在庫情報それぞれに対して、商品識別子別に予め登録された第1の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、すべての在庫評価情報をまとめて在庫評価データを作成する在庫評価ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシステムによれば、2種の原価単価を用いる品種と用いない品種を区別しつつ、2種の原価単価を用いて原価評価できる。これにより、品種ごとの手動での中身原価の計算や年次での原価振替といった煩雑な経理処理を減らすことができ、原価管理の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、一実施形態におけるPC100の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、一実施形態における在庫評価部102cによる在庫評価データにおける在庫評価情報の作成のフローの一例を示す図である。
図3図3は、一実施形態における原価計算処理画面の一例を示す図である。
図4A図4Aは、一実施形態における品種マスタの一例を示す図である。
図4B図4Bは、一実施形態における商品マスタの一例を示す図である。
図4C図4Cは、一実施形態における商品単価マスタの一例を示す図である。
図4D図4Dは、一実施形態における商品区分マスタの一例を示す図である。
図4E図4Eは、一実施形態における対象品種マスタの一例を示す図である。
図4F図4Fは、一実施形態における資産分類マスタの一例を示す図である。
図5図5は、一実施形態における在庫データの一例を示す図である。
図6図6は、一実施形態における在庫評価データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0016】
[1.構成]
ここでは、本発明の在庫会計管理装置を含む本実施形態に係るPC(パーソナルコンピュータ)100の構成の一例について、図1を参照して説明する。なお、本実施形態の構成はあくまでも一例であり、本発明は、本実施形態の構成で実現することに限定されるものではない。また、構成に関する以下の説明において、重複する説明を省略する場合がある。
【0017】
図1は、PC100の構成の一例を示すブロック図である。PC100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108とを備え、各種データ(例えば、記憶部106に記憶される、後述する各データでもよい)を記憶したサーバ200(例えばWebサーバなど)とネットワーク300(例えばインターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)など)を介して通信可能に接続されている。
【0018】
PC100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0019】
なお、PC100は、例えば、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型のものであってもよく、また、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型のものであってもよい。
【0020】
制御部102は、PC100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0021】
制御部102は、機能概念的に、受付部102a、対象抽出部102b、在庫評価部102c、仕訳部102d等を備えている。
【0022】
受付部102aは、在庫評価データの作成の指示を受け付ける。受付部102aは、また、在庫評価データの作成の指示に加えて、会計年月の指定を受け付ける。在庫評価データは、商品識別子、それに対応する商品区分識別子、在庫数、評価単価、及び在庫金額を含む商品別且つ商品区分別の在庫評価情報をまとめたものである。在庫評価情報は、一実施形態において、さらに会計年月を含む。
【0023】
対象抽出部102bは、在庫評価データの作成の指示の受付後、在庫データにまとめられた商品識別子、それに対応する商品区分識別子及び在庫数を含む商品別且つ商品区分別の在庫情報の中から、在庫評価において第1の原価単価と第2の原価単価とを区別すべき品種に属する商品に関する在庫情報を抽出する。
【0024】
対象抽出部102bは、また、在庫評価データの作成の指示の受付後、在庫評価において第1の原価単価と第2の原価単価とを区別すべき品種として予め指定された品種識別子をまとめた対象品種マスタに基づき、商品マスタにまとめられた品種識別子及び商品識別子を含む商品別の商品情報の中から、予め指定された品種識別子と同一の品種識別子を有する商品情報を抽出し、さらに、在庫データにまとめられた商品識別子、それに対応する商品区分識別子及び在庫数を含む商品別且つ商品区分別の在庫情報の中から、抽出された商品情報における商品識別子と同一の商品識別子を有する在庫情報を抽出する。
【0025】
在庫評価部102cは、抽出された在庫情報それぞれに対して、商品識別子別に予め登録された第1の原価単価及び第2の原価単価に基づき、商品区分識別子別に予め指定された第1の原価単価か第2の原価単価かの原価単価区分に従って、当該在庫情報毎に第1の原価単価又は第2の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、一方で、抽出されなかった在庫情報それぞれに対して、商品識別子別に予め登録された第1の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、すべての在庫評価情報をまとめて在庫評価データを作成する。
【0026】
在庫評価部102cは、また、抽出された在庫情報それぞれに対して、商品区分識別子及びそれに対応する第1の原価単価か第2の原価単価かの原価単価区分に関する情報を含む商品区分情報をまとめた商品区分マスタと、商品識別子、それに対応する第1の原価単価及び第2の原価単価を含む商品単価情報をまとめた商品単価マスタと、に基づき、当該在庫情報に含まれる商品区分識別子に対応する商品区分情報の原価単価区分に関する情報に従って、当該在庫情報に含まれる商品識別子に対応する商品単価情報における第1の原価単価又は第2の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、一方で、抽出されなかった在庫情報それぞれに対して、商品単価マスタに基づき、当該在庫情報に含まれる商品識別子に対応する商品単価情報における第1の原価単価を評価単価とし、さらに当該評価単価に対し当該在庫情報における在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし、当該評価単価及び当該在庫金額を付加して、在庫評価情報を作成し、すべての在庫評価情報をまとめて在庫評価データを作成する。なお、一実施形態において、在庫評価情報には、評価単価及び在庫金額に加えてさらに、受付部102aで受け付けた会計年月を付加されている。
【0027】
在庫評価部102cは、また、指定された会計年月に近い適用開始日を含む商品単価情報における第1の原価単価又は第2の原価単価を評価単価とする。ここで、商品単価情報は、商品識別子、第1の原価単価及び第2の原価単価に加えて、適用開始日をさらに含む。
【0028】
仕訳部102dは、在庫評価部102cにより作成された在庫評価データにおける在庫評価情報と商品マスタに基づいて、資産分類「製品」に対応する商品コードを有する在庫評価情報の在庫金額を合計し、資産分類「製品」に関する合計評価金額を算出し、算出された資産分類「製品」に関する合計評価金額に基づき仕訳を計上する。
【0029】
仕訳部102dは、一実施形態において、算出された資産分類「製品」に関する合計評価金額を借方金額及び貸方金額とし、借方勘定科目「製品」、貸方勘定科目「中間品」として仕訳を計上する。
【0030】
仕訳部102dは、在庫評価部102cにより作成された在庫評価データにおける在庫評価情報と商品マスタに基づいて、資産分類「商品」に対応する商品コードを有する在庫評価情報の在庫金額を合計し、資産分類「商品」に関する合計評価金額を算出し、算出された資産分類「商品」に関する合計評価金額に基づき仕訳を計上する。
【0031】
仕訳部102dは、一実施形態において、算出された資産分類「商品」に関する合計評価金額を借方金額及び貸方金額とし、借方勘定科目「期末商品棚卸高」、貸方勘定科目「仕入」として仕訳を計上する。
【0032】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、PC100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。
【0033】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。
【0034】
記憶部106は、概念的に、品種マスタ記憶部106a、商品マスタ記憶部106b、商品単価マスタ記憶部106c、商品区分マスタ記憶部106d、対象品種マスタ記憶部106e、資産分類マスタ記憶部106f、在庫データ記憶部106g、在庫評価データ記憶部106h等を備えている。
【0035】
品種マスタ記憶部106aは、品種情報をまとめた品種マスタを格納する。商品マスタ記憶部106bは、商品情報をまとめた商品マスタを格納する。商品単価マスタ記憶部106cは、商品単価情報をまとめた商品単価マスタを格納する。商品区分マスタ記憶部106dは、商品区分情報をまとめた商品区分マスタを格納する。対象品種マスタ記憶部106eは、品種コードをまとめた対象品種マスタを格納する。資産分類マスタ記憶部106fは、資産分類情報をまとめた資産分類マスタを格納する。在庫データ記憶部106gは、在庫情報をまとめた在庫データを格納する。在庫評価データ記憶部106hは、在庫評価情報をまとめた在庫評価データを格納する。
【0036】
入出力インターフェース部108には、入力装置400及び出力装置500が接続されている。出力装置400には、ディスプレイ、プロジェクタ等の表示装置、スピーカ等の音響装置、プリンタ等の印刷装置の他、データファイル形式でダウンロード可能とする装置も含まれる。データファイルファイル形式は、PDF、CSV、文書ファイル、表計算ソフトファイル、テキストファイル等、当分野で公知のファイル形式を採用することができる。入力装置500には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
【0037】
[2.具体例]
ここでは、具体例を用いて、本発明に係る在庫会計管理装置における受付部102a、対象抽出部102b、及び在庫評価部102cによる情報処理に関し、図2~6を参照して説明する。
【0038】
図2は、本具体例における在庫評価部102cによる在庫評価データにおける在庫評価情報の作成のフローの一例を示す図である。
【0039】
図2に示す通り、本具体例において、在庫情報が、対象抽出部102bにより抽出された在庫情報である場合(S01-YES)、商品区分マスタにおける商品区分情報の原価単価区分に関する情報に基づき、標準原価単価(第1の原価単価)及び中身原価単価(第2の原価単価)を区別する(S02)。
【0040】
なお、本具体例において、中身原価単価とは、自社製造の製品の容器部分(外箱や瓶など)の原価を除く内容物部分のみの原価単価を意味する。このように、2種の原価単価を区別することで、通常の評価に用いる標準原価単価と異なる原価単価を用いて評価をすることができる。
【0041】
在庫情報に対応する商品区分情報の原価単価区分に関する情報が、標準原価単価(第1の原価単価)である場合(S02-YES)、標準原価単価(第1の原価単価)を評価単価とし(S03-1)、評価単価に対し在庫情報の在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし(S04)、在庫情報に対して、評価単価と在庫金額と共に、受付部102aが受け付けた会計年月を在庫情報に紐づけし、在庫評価データにおける在庫評価情報を作成する(S05)。
【0042】
在庫情報に対応する商品区分情報の原価単価区分に関する情報が、中身原価単価(第2の原価単価)である場合(S02-NO)、中身原価単価(第2の原価単価)を評価単価とし(S03-2)、評価単価に対し在庫情報の在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし(S04)、在庫情報に対して、評価単価と在庫金額と共に、受付部102aが受け付けた会計年月を在庫情報に紐づけし、在庫評価データにおける在庫評価情報を作成する(S05)。
【0043】
在庫情報が、対象抽出部102bにより抽出されなかった在庫情報である場合(S01-NO)、原価単価を区別せず、そのまま標準原価単価(第1の原価単価)を評価単価とし(S03-1)、評価単価に対し在庫情報の在庫数を積算して算出される金額を在庫金額とし(S04)、在庫情報に対して、評価単価と在庫金額と共に、受付部102aが受け付けた会計年月を在庫情報に紐づけし、在庫評価データにおける在庫評価情報を作成する(S05)。
【0044】
図3は、本具体例における原価計算処理画面を示す図である。原価計算処理画面は、図3に示すように、会計年月の指定欄、在庫評価データの「作成」ボタン、「キャンセル」ボタン、及び処理進行状況欄(本明細書においては説明省略)を有する。在庫評価データの「作成」ボタンを押下すると、受付部102aが、在庫評価データの作成の指示、及び会計年月の指定を受け付ける。「キャンセル」ボタンを押下すると、在庫評価データの作成がキャンセルされる。
【0045】
図4Aは、本具体例における品種マスタを示す図である。在庫会計管理装置は、予め、品種情報a1~a6の設定を受け付け、受け付けた当該情報をまとめて図4Aに示すような品種マスタを作成し、これを品種マスタ記憶部106aに格納する。本具体例において、品種情報a1~a6には、図4Aに示すように、品種名及びそれに対応する品種コード(品種識別子)が含まれる。品種は、標準原価単価(第1の原価単価)と中身原価単価(第2の原価単価)とを区別して原価評価を行うか否かの基準となる商品の分類である。
【0046】
図4Bは、本具体例における商品マスタを示す図である。在庫会計管理装置は、予め、商品情報b1~b4の設定を受け付け、受け付けた当該情報をまとめて図4Bに示すような商品マスタを作成し、これを商品マスタ記憶部106bに格納する。本具体例において、商品情報b1~b4には、図4Bに示すように、商品名、それに対応する商品コード(商品識別子)、品種名、それに対応する品種コード(品種識別子)、資産分類名、及びそれに対応する資産分類コード(資産分類識別子)が含まれる。図4Bに示す品種マスタにおける商品情報b1~b4における品種名及び品種コード(品種識別子)は、図4Aに示す品種マスタにおける品種情報a1~a4における品種名及び品種コード(品種識別子)と紐づけされる。
【0047】
なお、本具体例の資産分類名において、「商品」とは、自社で製造をしていないものを意味し、「製品」とは、自社で製造をしているものを意味する。
【0048】
図4Cは、本具体例における商品単価マスタを示す図である。在庫会計管理装置は、予め、商品単価情報c1~c5の設定登録を受け付け、受け付けた当該情報をまとめて図4Cに示すような商品単価マスタを作成し、これを商品単価マスタ記憶部106cに格納する。本具体例において、商品単価情報c1~c5には、図4Cに示すように、商品コード(商品識別子)、それに対応する標準原価単価(第1の原価単価)及び中身原価単価(第2の原価単価)、並びにそれらの適用開始日が含まれる。図4Cに示す商品単価マスタにおける商品単価情報c1~c5における商品コード(商品識別子)は、図4Bに示す商品マスタにおける商品情報b1~b4における商品コード(商品識別子)と紐づけされる。
【0049】
図4Dは、本具体例における商品区分マスタを示す図である。在庫会計管理装置は、予め、商品区分情報d1~d4の設定登録を受け付け、受け付けた当該情報をまとめて図4Dに示すような商品区分マスタを作成し、これを商品区分マスタ記憶部106dに格納する。本具体例において、商品区分情報d1~d4には、図4Dに示すように、商品区分名、それに対応する商品区分コード(商品区分識別子)(図面においては「商品区分」と略す。以下同様。)、及び標準原価単価(第1の原価単価)か中身原価単価(第2の原価単価)かの在庫評価のための原価単価区分に関する情報が含まれる。
【0050】
なお、本具体例の商品区分において、「良品」とは、未課税分で出荷待ち状態の製品・商品であって、出荷された際に課税されるものを意味する。また、「不良品」とは、返品されてきた製品ですでに課税されているものを意味する。また、「戻入品」とは。返品されてきた製品で酒税の返納を受けるものを意味する。また、「半製品」とは、仕掛途中の製品を意味する。本具体例においては、これらの中で不良品、戻入品のもの、すなわち返品分に関して、予め指定した対象品種に限り、中身原価単価(第2の原価単価)を用いて原価管理を行う。これにより、適切な原価管理を可能とし、年次での振替処理を不要とする。
【0051】
図4Eは、本具体例における対象品種マスタを示す図である。在庫会計管理装置は、予め、中身原価で原価参入する対象の品種の品種コード(品種識別子)e1の指定を受け付け、受け付けた品種コード(品種識別子)をまとめて図4Eに示すような対象品種マスタを作成し、これを対象品種マスタ記憶部106eに格納する。図4Eに示す対象品種マスタにおける品種コード(品種識別子)e1は、図4Bに示す商品マスタにおける商品情報b1における品種コード(品種識別子)b1と紐づけされる。
【0052】
図4Fは、本具体例における資産分類マスタを示す図である。在庫会計管理装置は、予め、資産分類情報f1及びf2の設定登録を受け付け、受け付けた当該情報をまとめて図4Fに示すような資産分類マスタを作成し、これを資産分類マスタ記憶部106fに格納する。本具体例において、資産分類情報f1及びf2には、図4Fに示すように、資産分類名、それに対応する資産分類コード(資産分類識別子)、及び原価管理グループ区分が含まれる。図4Fに示す資産分類マスタにおける資産分類情報f1及びf2における資産分類名、及び資産分類コード(資産分類識別子)は、図4Bに示す商品マスタにおける商品情報b1~b4における資産分類名、及び資産分類コード(資産分類識別子)と紐づけされる。
【0053】
図5は、本具体例における在庫データを示す図である。在庫会計管理装置は、予め、商品の在庫数を管理するために在庫情報x1~x10の登録を受け付け、受け付けた在庫情報をまとめて図5に示すような在庫データを作成し、これを在庫データ記憶部106gに格納する。本具体例において、在庫情報x1~x10には、図5に示すように、商品コード(商品識別子)、それに対応する商品区分コード(商品区分識別子)、及び在庫数が含まれる。図5に示す在庫データにおける在庫情報x1~x10における商品コード(商品識別子)は、図4Bに示す商品マスタにおける商品情報b1~b4における商品コード(商品識別子)、及び図4Cに示す商品単価マスタにおける商品単価情報c1~c5における商品コード(商品識別子)と紐づけされる。
【0054】
図6は、本具体例における在庫評価データを示す図である。在庫評価部102cは、在庫評価情報y1~y10をまとめた在庫評価データを作成後、これを在庫評価データ記憶部106hに格納する。本具体例において、在庫評価情報y1~y10には、図6に示すように、商品コード(商品識別子)、それに対応する商品区分コード(商品区分識別子)、在庫数、評価単価、在庫金額、及び会計年月が含まれる。
【0055】
以下、受付部102a、対象抽出部102b、在庫評価部102c、及び仕訳部102dによる情報処理について説明する。
【0056】
まず、受付部102aは、図3に示される原価計算処理画面を介して会計年月「2021年4月」の指定と共に在庫評価データの作成の指示を受け付ける。
【0057】
対象抽出部102bは、受付部102aによる在庫評価データの作成の指示受付後、図4Eに示す対象品種マスタにおける指定された品種コード「NH01」に基づき、図4Bに示す商品マスタの商品情報b1~b4の中から、当該品種コード「NH01」を有する区別評価対象となる商品情報b1を抽出する。
【0058】
次に、対象抽出部102bは、抽出された商品情報b1における商品コード「S0001」に基づき、図5に示す在庫データの在庫情報x1~x10の中から、当該商品コード「S0001」を有する区別評価対象となる在庫情報x1~x4を抽出する。
【0059】
次に、在庫評価部102cは、図5に示す在庫データにおける各在庫情報x1~x10に対し、会計年月、評価単価、及び在庫金額を付加して、在庫評価情報y1~y10として、図6に示す在庫評価データを作成する。
【0060】
第一に、対象抽出部102bで抽出された商品コード「S0001」を有する在庫情報x1~x4の在庫評価部102cによる在庫評価について詳細に説明する。
【0061】
商品コード「S0001」を有する在庫情報x1~x4の在庫評価のために使用する商品単価情報としては、受付部102aが受け付けた会計年月が「2021年4月」であるため、図4Cに示す商品単価マスタの商品単価情報c1~c5のうち、商品コード「S0001」を有し且つ適用開始日「2020/12/1」の商品単価情報c1ではなく、適用開始日が会計年月「2021年4月」により近い、商品コード「S0001」を有し且つ適用開始日「2021/4/1」の商品単価情報c2を使用する。
【0062】
在庫情報x1~x4は、対象抽出部102bにより抽出されているため(S01-YES)、図4Dに示す商品区分マスタにおける商品区分に従って、図4Dに示す商品区分マスタにおける商品区分情報d1~d4の原価単価区分に関する情報に基づき、評価単価として標準原価単価(第1の原価単価)及び中身原価単価(第2の原価単価)を区別して在庫評価情報を作成する(S02)。
【0063】
商品コード「S0001」を有する在庫情報x1~x4のうち、在庫情報x1については、在庫評価部102cは、在庫情報x1の商品区分が「0」であるため、図4Dに示す商品区分マスタにおける商品区分が「0」である商品区分情報d1に基づき、図4Cに示す商品単価マスタの商品単価情報c2より、当該商品区分情報d1の原価単価区分に関する情報である標準原価単価(第1の原価単価)の「1,500」を評価単価とし(S02-YES、S03-1)、さらにそれに対し在庫情報x1の在庫数「2,500」を積算して算出される「3,750,000」を在庫金額とし(S04)、評価単価と在庫金額と共に、受付部102aが受け付けた会計年月「2021年4月」を在庫情報x1に対して紐づけし、図6に示す在庫評価データにおける在庫評価情報y1を作成する(S05)。
【0064】
在庫情報x2についても、在庫情報x1と同様に、在庫評価部102cは、在庫情報x2の商品区分が「1」であるため、図4Dに示す商品区分マスタにおける商品区分が「1」である商品区分情報d2に基づき、図4Cに示す商品単価マスタの商品単価情報c2より、当該商品区分情報d2の原価単価区分に関する情報である中身原価単価(第2の原価単価)の「600」を評価単価とし(S02-NO、S03-2)、さらにそれに対し在庫情報x2の在庫数「200」を積算して算出される「120,000」を在庫金額とし(S04)、評価単価と在庫金額と共に、受付部102aが受け付けた会計年月「2021年4月」を在庫情報x2に対して紐づけし、図6に示す在庫評価データにおける在庫評価情報y2を作成する(S05)。
【0065】
在庫情報x3についても、在庫情報x1と同様に、在庫評価部102cは、在庫情報x3の商品区分が「2」であるため、図4Dに示す商品区分マスタにおける商品区分が「2」である商品区分情報d3に基づき、図4Cに示す商品単価マスタの商品単価情報c2より、当該商品区分情報d3の原価単価区分に関する情報である中身原価単価(第2の原価単価)の「600」を評価単価とし(S02-NO、S03-2)、さらにそれに対し在庫情報x3の在庫数「100」を積算して算出される「60,000」を在庫金額とし(S04)、評価単価と在庫金額と共に、受付部102aが受け付けた会計年月「2021年4月」を在庫情報x3に対して紐づけし、図6に示す在庫評価データにおける在庫評価情報y3を作成する(S05)。
【0066】
在庫情報x4についても、在庫情報x1と同様に、在庫評価部102cは、在庫情報x4の商品区分が「3」であるため、図4Dに示す商品区分マスタにおける商品区分が「3」である商品区分情報d4に基づき、図4Cに示す商品単価マスタの商品単価情報c2より、当該商品区分情報d4の原価単価区分に関する情報である標準原価単価(第1の原価単価)の「1,500」を評価単価とし(S02-YES、S03-1)、さらにそれに対し在庫情報x4の在庫数「1,000」を積算して算出される「1,500,000」を在庫金額とし(S04)、評価単価と在庫金額と共に、受付部102aが受け付けた会計年月「2021年4月」を在庫情報x4に対して紐づけし、図6に示す在庫評価データにおける在庫評価情報y4を作成する(S05)。
【0067】
第二に、対象抽出部102bで抽出されなかった商品コード「S0002」を有する在庫情報x5~x8の在庫評価部102cによる在庫評価について詳細に説明する。
【0068】
商品コード「S0002」を有する在庫情報x5~x8の在庫評価のために使用する商品単価情報としては、商品コード「S0002」を有する商品単価情報c3を使用する。
【0069】
商品コード「S0002」を有する在庫情報x5~x8については、対象抽出部102bにより抽出されていないため(S01-NO)、商品区分に関係なく、在庫評価部102cは、図4Cに示す商品単価マスタの商品単価情報c3における標準原価単価(第1の原価単価)「1,000」を評価単価とし(S03-1)、さらにそれに対し在庫情報x5~x8の在庫数「1,100」、「50」、「150」、「500」それぞれを積算して算出される「1,100,000」、「50,000」、「150,000」、「500,000」を在庫金額とし(S04)、評価単価と在庫金額と共に、受付部102aが受け付けた会計年月「2021年4月」を在庫情報x5~x8に対して紐づけし、図6に示す在庫評価データにおける在庫評価情報y5~y8を作成する(S05)。
【0070】
第三に、対象抽出部102bで抽出されなかった商品コード「S0003」を有する在庫情報x9の在庫評価部102cによる在庫評価について詳細に説明する。
【0071】
商品コード「S0003」を有する在庫情報x9の在庫評価のために使用する商品単価情報としては、商品コード「S0003」を有する商品単価情報c4を使用する。
【0072】
商品コード「S0003」を有する在庫情報x9についても、在庫情報x5~x8と同様、対象抽出部102bにより抽出されていないため(S01-NO)、商品区分に関係なく、在庫評価部102cは、図4Cに示す商品単価マスタの商品単価情報c4における標準原価単価(第1の原価単価)「800」を評価単価とし(S03-1)、さらにそれに対し在庫情報x9の在庫数「800」を積算して算出される「640,000」を在庫金額とし(S04)、評価単価と在庫金額と共に、受付部102aが受け付けた会計年月「2021年4月」を在庫情報x9に対して紐づけし、図6に示す在庫評価データにおける在庫評価情報y9を作成する(S05)。
【0073】
第四に、対象抽出部102bで抽出されなかった商品コード「S0004」を有する在庫情報x10の在庫評価部102cによる在庫評価について詳細に説明する。
【0074】
商品コード「S0004」を有する在庫情報x10の在庫評価のために使用する商品単価情報としては、商品コード「S0004」を有する商品単価情報c5を使用する。
【0075】
商品コード「S0004」を有する在庫情報x10についても、在庫情報x5~x8と同様、対象抽出部102bにより抽出されていないため(S01-NO)、商品区分に関係なく、在庫評価部102cは、図4Cに示す商品単価マスタの商品単価情報c5における標準原価単価(第1の原価単価)「500」を評価単価とし(S03-1)、さらにそれに対し在庫情報x10の在庫数「300」を積算して算出される「150,000」を在庫金額とし(S04)、評価単価と在庫金額と共に、受付部102aが受け付けた会計年月「2021年4月」を在庫情報x10に対して紐づけし、図6に示す在庫評価データにおける在庫評価情報y10を作成する(S05)。
【0076】
次に、仕訳部102dは、在庫評価部102cにより作成された在庫評価情報y1~y10を含む図6に示す在庫評価データに基づいて、仕訳データを作成する。これにより会計管理システムに連携することができる。以下、仕訳部102dによる仕訳データの作成について詳細に説明する。
【0077】
図6に示す在庫評価データにおける在庫評価情報y1~y10のうち在庫評価情報y1~y4及びy9は、商品コードが「S0001」及び「S0003」であり、商品コード「S0001」及び「S0003」の商品は、図4Bに示す商品マスタによれば、対応する資産分類コードが「1」であり、資産分類名が「製品」である。
【0078】
図6に示す在庫評価データにおける在庫評価情報y1~y10のうち在庫評価情報y5~y8及びy10は、商品コードが「S0002」及び「S0004」であり、商品コード「S0002」及び「S0004」の商品は、図4Bに示す商品マスタによれば、対応する資産分類コードが「0」であり、資産分類名が「商品」である。
【0079】
仕訳部102dは、資産分類名「製品」に対応する商品コードを有する在庫評価情報y1~y4及びy9の在庫金額を合計し、資産分類名「製品」に関する合計評価金額「6,070,000」を算出する。
【0080】
仕訳部102dは、資産分類名「商品」に対応する商品コードを有する在庫評価情報y5~y8及びy10の在庫金額を合計し、資産分類名「商品」に関する合計評価金額「1,950,000」を算出する。
【0081】
仕訳部102dは、算出した資産分類名「製品」に関する合計評価金額と、資産分類名「商品」に関する合計評価金額とから、以下の仕訳(J1)及び(J2)を計上し、仕訳データを作成する。
(借方)製品 6,070,000/(貸方)中間品 6,070,000 ・・・(J1)
(借方)期末商品棚卸高 1,950,000/(貸方)仕入 1,950,000 ・・・(J2)
【0082】
以上で説明した通り、本発明のシステムによれば、2種の原価単価を用いる品種と用いない品種を区別しつつ、2種の原価単価を用いて原価評価できる。これにより、品種ごとの手動での中身原価の計算や年次での原価振替といった煩雑な経理処理を減らすことができ、原価管理の精度を向上させることができる。
【0083】
[3.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0084】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0085】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0086】
[4.他の実施形態]
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0087】
例えば、上述した実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0088】
このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0089】
また、PC100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0090】
例えば、PC100を構成する各装置が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて各装置に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0091】
また、このコンピュータプログラムは、PC100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0092】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム第一商品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0093】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0094】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0095】
また、PC100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、PC100は、当該PC100に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0096】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、品種によって2種の原価単価を用いる必要のある商品を扱う酒造業界や化学業界などの経理処理に有用である。
【符号の説明】
【0098】
100 PC
102 制御部
102a 受付部
102b 対象抽出部
102c 在庫評価部
102d 仕訳部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 品種マスタ記憶部
106b 商品マスタ記憶部
106c 商品単価マスタ記憶部
106d 商品区分マスタ記憶部
106e 対象品種マスタ記憶部
106f 資産分類マスタ記憶部
106g 在庫データ記憶部
106h 在庫評価データ記憶部
108 入出力インターフェース部
200 サーバ
300 ネットワーク
400 入力装置
500 出力装置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6