(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】モノリシックLEDアレイおよびその前駆体
(51)【国際特許分類】
H01L 33/08 20100101AFI20241009BHJP
【FI】
H01L33/08
(21)【出願番号】P 2021500237
(86)(22)【出願日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 GB2019051894
(87)【国際公開番号】W WO2020008200
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-03-04
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-26
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520445406
【氏名又は名称】プレッシー・セミコンダクターズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PLESSEY SEMICONDUCTORS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピノス,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】メゾウアリ,サミル
【合議体】
【審判長】波多江 進
【審判官】吉野 三寛
【審判官】野村 伸雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-545307(JP,A)
【文献】特開2004-119964(JP,A)
【文献】特開平5-41536(JP,A)
【文献】特開平6-188450(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0222732(US,A1)
【文献】Ming-Lun Lee, et al.,”White emission from non-planar InGaN/GaN MQW LEDs grown on GaN template with truncated hexagonal pyramids”,Optics Express,2015年03月30日,Vol.23,No.7,p.A401-A412
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノリシックLEDアレイ前駆体であって、
第1の半導体層を共有する複数のLED構造を含み、前記第1の半導体層は、前記LEDアレイ前駆体の平面を規定し、各LED構造は、
(i) 前記LEDアレイ前駆体の前記平面と平行な上面部分を有する、前記第1の半導体層上の第2の半導体層を含み、前記第2の半導体層は、前記第2の半導体層が傾斜側面を有するように、前記上面部分に直角な正台形断面を有し、各LED構造はさらに、
(ii) 前記LEDアレイ前駆体の前記平面と平行な上面部分を有する、前記第2の半導体層上の第3の半導体層を含み、前記第3の半導体層および前記第2の半導体層は、前記第3の半導体層が前記第2の半導体層の前記傾斜側面と平行な傾斜側面を有するように、前記上面部分に直角な正台形断面を有する構造を形成し、各LED構造はさらに、
(iii) 前記LEDアレイ前駆体の前記平面と平行な上面部分を有する、前記第3の半導体層上の第4の半導体層を含み、前記第4の半導体層、前記第3の半導体層および前記第2の半導体層は、前記第4の半導体層が前記第3の半導体層の前記傾斜側面と平行な傾斜側面を有するように、前記上面部分に直角な正台形断面を有する構造を形成し、各LED構造はさらに、
(iv) 前記第4の半導体層上の第一電気接点を含み、前記接点は、前記LEDアレイ前駆体の前記平面と平行な前記第4の半導体層の前記上面部分上のみにあり、
前記第3の半導体層は複数の量子井戸副層を含み、前記量子井戸副層は、前記LEDアレイ前駆体の前記平面と平行な部分上の第1の厚さと、前記LEDアレイ前駆体の前記平面と平行でない部分上の、前記第1の厚さより小さい第2の厚さとを有する、モノリシックLEDアレイ前駆体。
【請求項2】
前記第2の半導体層の前記傾斜側面からの前記第3の半導体層の前記傾斜側面の間隔は、前記第2の半導体層の前記上面部分からの前記第3の半導体層の前記上面部分の間隔よりも小さく、および/または、
前記第3の半導体層の前記傾斜側面からの前記第4の半導体層の前記傾斜側面の間隔は、前記第3の半導体層の前記上面部分からの前記第4の半導体層の前記上面部分の間隔よりも小さい、請求項1に記載のモノリシックLEDアレイ前駆体。
【請求項3】
各層の前記傾斜側面は、複数の平面状小面を形成する、請求項1または請求項2に記載のモノリシックLEDアレイ前駆体。
【請求項4】
前記第2、第3、および第4の半導体層はLED構造間で共有される、請求項1~3のいずれか1項に記載のモノリシックLEDアレイ前駆体。
【請求項5】
前記第1の半導体層は、(0001)面を有するウルツ鉱結晶構造を有し、前記第4の半導体層の略平坦な前記上面部分は、前記第1の半導体層の前記(0001)面と平行である、請求項1~4のいずれか1項に記載のモノリシックLEDアレイ前駆体。
【請求項6】
前記第1の半導体層は、前記複数のLED構造に対応し、前記複数のLED構造と整列された複数のレンズ構造を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のモノリシックLEDアレイ前駆体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のモノリシックLEDアレイ前駆体を含み、前記量子井戸副層を横切って前記第一電気接点と電気通信している1つ以上の第二電気接点をさらに含む、モノリシックLEDアレイ。
【請求項8】
前記モノリシックLEDアレイは、LED構造の少なくとも第1および第2のサブアレイを含み、各サブアレイは異なる主波長の光を放出することができる、請求項7に記載のモノリシックLEDアレイ。
【請求項9】
請求項7または8のいずれか1項に記載のモノリシックLEDアレイを含む、ディスプレイデバイス。
【請求項10】
モノリシックLEDアレイ前駆体を形成する方法であって、前記方法は、
(i) 表面を有する基板を提供するステップと、
(ii) 前記基板の前記表面上に連続的な第1の半導体層を形成するステップと、
(iii) 複数の開口を含むマスキング層を前記第1の半導体層上に堆積させることにより、前記第1の半導体層を選択的にマスクするステップと、
(iv) 前記基板に直角な正台形断面と略平坦な上面部分とを各々有する複数の柱を形成するために、前記マスキング層の前記開口を通して、前記第1の半導体層のマスクされていない部分上に第2の半導体層を成長させ、前記第2の半導体層から前記マスキング層の一部を露出させるステップと、
(v) 前記第2の半導体層を覆う第3の半導体層を形成するステップとを含み、前記第3の半導体層は1つ以上の量子井戸副層を含むとともに略平坦な上面部分を有し、前記方法はさらに、
(vi) 前記第3の半導体層を覆う第4の半導体層を形成するステップを含み、それにより、前記第4の半導体層は略平坦な上面部分を有し、前記方法はさらに、
(vii) 前記第4の半導体層の前記略平坦な上面部分上
のみに第一電気接点を形成するステップを含み、
前記第1~第4の半導体層はIII族窒化物を含む、方法。
【請求項11】
前記第2、第3、および第4の半導体層は非連続的である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(iii)は、
(a) 連続的なマスキング層を堆積させるステップと、
(b) 複数の開口を提供するために、前記マスキング層の複数の部分を選択的に除去するステップとを含む、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記マスキング層の複数の部分を選択的に除去するステップは、前記マスキング層の前記複数の部分に対応する前記第1の半導体層の複数の部分を選択的に除去するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
モノリシックLEDアレイ前駆体を形成する方法であって、前記方法は、
(i) 表面を有する基板を提供するステップと、
(ii) 前記基板の前記表面上に連続的な第1の半導体層を形成するステップと、
(iii) アモルファス表面パターンを形成するために、前記第1の半導体層を選択的に処理するステップとを含み、
前記アモルファス表面パターンは、前記第1の半導体層の複数の未処理部分を規定し、前記方法はさらに、
(iv) 前記基板に直角な正台形断面と略平坦な上面部分とを各々有する複数の柱を形成するために、前記第1の半導体層の
前記未処理部分上に第2の半導体層を成長させるステップと、
(v) 前記第2の半導体層を覆う第3の半導体層を形成するステップとを含み、前記第3の半導体層は1つ以上の量子井戸副層を含むとともに略平坦な上面部分を有し、前記方法はさらに、
(vi) 前記第3の半導体層を覆う第4の半導体層を形成するステップを含み、それにより、前記第4の半導体層は略平坦な上面部分を有し、前記方法はさらに、
(vii) 前記第4の半導体層の前記略平坦な上面部分上
のみに第一電気接点を形成するステップを含み、
前記第1~第4の半導体層はIII族窒化物を含む、方法。
【請求項15】
前記複数の開口は、規則的間隔のアレイを形成する、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の半導体層は、(0001)面を有するウルツ鉱結晶構造を有し、前記第4の半導体層の前記略平坦な上面部分は、前記第1の半導体層の前記(0001)面と平行である、請求項10~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
モノリシックLEDアレイを形成するために、前記量子井戸副層を横切って前記第一電気接点と電気通信している1つ以上の第二電気接点を形成するステップをさらに含み、好ましくは、前記1つ以上の第二電気接点は前記第1の半導体層上に形成される、請求項10~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記モノリシックLEDアレイ前駆体は、LED構造の少なくとも第1および第2のサブアレイを含み、各サブアレイは異なる主波長の光を放出することができる、請求項10~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の半導体層の前記複数の柱の各々に対応し、前記第2の半導体層の前記複数の柱の各々と整列された複数のドームまたはレンズ構造を形成するために、前記基板を少なくとも部分的に除去し、前記第1の半導体層を少なくとも部分的に除去するステップをさらに含む、請求項10~18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モノリシックLEDアレイ、モノリシックLEDアレイを含むLEDデバイス、およびそれらの製造方法に関する。特に、本開示は、発光が向上したモノリシックLEDアレイを提供する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ発光ダイオード(light emitting diode:LED)アレイは、100×100μm2以下のサイズを有するLEDのアレイとして定義され得る。マイクロLEDアレイは、多くの商業用途および軍事用途のために開発中であり、自発光マイクロディスプレイおよびプロジェクターなどがあり、それらは、ウェアラブルディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、カムコーダー、ビューファインダー、マルチサイト励起源、およびピコプロジェクターなどのさまざまなデバイスに組み込まれ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
III族窒化物ベースのマイクロLEDは、GaNとそのInNおよびAlNとの合金とを活性発光領域において含有する無機半導体LEDである。III族窒化物ベースのマイクロLEDは、従来の大面積LED、特に発光層が有機化合物である有機発光ダイオード(organic light emitting diode:OLED)と比べて、著しくより高い電流密度で駆動され、より高い光パワー密度を放出することができるため、好評である。その結果、所与の方向における光源の単位面積当たりの発光量として定義されるとともに、カンデラ毎平方メートル(cd/m2)単位で測定され、一般にニト(nt)と呼ばれる輝度(明度)がより高いため、マイクロLEDは、たとえば高い明度の環境または投影におけるディスプレイなど、高い明度を必要とするかまたは高い明度から恩恵を受ける用途にとって好適になる。
【0004】
加えて、III族窒化物マイクロLEDにおいてルーメン/ワット(lm/W)で表わされる高い発光効率は、他の光源と比較してより低いパワー使用量を可能にし、マイクロLEDをポータブルデバイスにとって特に好適にする。また、III族窒化物の固有の材料特性に起因して、マイクロLEDは、高いまたは低い温度および湿度といった極端な条件で動作可能であり、それにより、ウェアラブル用途およびアウトドア用途における性能および信頼性の利点を提供する。
【0005】
無機マイクロLEDアレイの生成のために、2つの主要アプローチが現在存在する。第1のアプローチでは、個々のマイクロLEDデバイスが従来サイズのLEDのための手法と同様の手法で生成され、次に、これらは、基板上にピックアンドプレース手法によってアレイとして組み立てられる。基板は、個々のマイクロLEDアドレシングのための駆動回路を含むアクティブマトリクスバックプレーンであってもよい。この第1のアプローチは、異なる成長基板上で作製された、異なる発光波長などの異なる特性を有するLEDが、フルカラーディスプレイを実現する目的のために製品基板上に移送されることを可能にする。加えて、それは、不良デバイスがアレイの一部になる前にそれらを破棄することを可能にし、潜在的にアレイの最終歩留まりを高める。一方、さまざまな用途で必要とされる解像度(小さいピッチ)およびアレイサイズ(多数のマイクロLED)は、ピックアンドプレースの精度および移送時間の点でこのアプローチに厳しい課題を与え、プロセスの信頼性およびそのスループットにそれぞれ影響を与える。
【0006】
第2のアプローチは、単一の成長基板上にマイクロLEDアレイを作製するためにモノリシック集積化を使用し、よって、より高い集積密度、より小さいLED、およびより小さいピッチ(すなわち、より高いアレイ解像度)を可能にする。この第2のアプローチは、フルカラーディスプレイを実現するためにカラー化手法に依拠する。マイクロLEDのために使用されるカラー化技術は、マイクロLEDアレイのピッチに依存する。照明用途のための従来の蛍光体材料は現在、大きいピッチおよび低い解像度のアレイにとってのみ好適であり、量子ドットベースの波長変換材料が、より高い解像度の用途のために必要とされる。使用されるアプローチにかかわらず、アレイ内の個々のマイクロLEDの活性領域の周囲は一般に、発光活性領域の一部を除去するエッチングプロセスによって形成され、それにより、各マイクロLEDにおける独立した電流注入、および、アレイにおける各マイクロLED内での放射再結合の量の調整を可能にする目的のために、個々のマイクロLEDを電気的に絶縁する。
【0007】
あまり一般的に採用されていない、ある製造プロセスは、US7,087,932に開示されるように、エッチングステップを使用することなく、電流を独立して注入され得る活性領域の電気的に絶縁された部分を実現するために、選択領域成長(selective area growth:SAG)を使用する。選択領域成長手法では、緩衝層上にマスクがパターン化される。マスクにおける材料は、成長条件で、追加の材料が、マスク上に直接成長しないものの、下にある緩衝層の表面の一部を露出させる開口の内部でのみ成長するようになっている。
【0008】
III窒化物LEDにおける輝度は動作電流の増加とともに増加するが、発光効率は電流密度(A/cm2)に依存しており、最初は電流密度が増加するにつれて増加し、最大に達し、その後、「効率降下」として知られている現象に起因して減少する。多くの要因がLEDデバイスの発光効率に寄与しており、内部量子効率(IQE:internal quantum efficiency)として知られている、光子を内部生成する能力を含む。外部量子効率(external quantum efficiency:EQE)は、活性領域において放出された光子の数を注入された電子の数で除算したものとして定義される。EQEは、LEDデバイスのIQEおよび光抽出効率(light extraction efficiency:LEE)の関数である。低い電流密度では、この効率は、非放射再結合と呼ばれる、光を生成することなく電子と正孔とを再結合する欠陥または他のプロセスの強い影響に起因して、低い。それらの欠陥が飽和されるようになるにつれて、放射再結合が優位に立ち、効率が増加する。「効率降下」または効率の漸減は、注入電流密度がLEDデバイスのための特性値を上回ると始まる。
【0009】
表面再結合は、マイクロLEDにおける非放射再結合の主な要因であると考えられる。マイクロLED活性領域の周囲での欠陥およびダングリングボンドは、原子格子を妨げ、通常禁止された半導体バンドギャップの内部に電子エネルギー準位を導入する。これは、伝導帯と価電子帯との間の電荷キャリア遷移のための足がかりとして作用することによって非放射再結合を強化し得る。
【0010】
表面再結合は、活性領域の周囲を規定するために一般に使用されるドライエッチング手法および大きい周囲対面積比に起因して、無機マイクロLEDにおいて特に重要である。活性発光区域の周囲で損傷を緩和しダングリングボンドを減少させることを目的とする、ウェットエッチング液を用いた表面処理、または高温処理、またはUS9,601,659に開示されたような好適な「パッシベーション層」を用いた周囲被覆を含むさまざまな手法が、当業者には知られている。
【0011】
しかしながら、非放射再結合、特に表面再結合に関連した問題を回避しつつ、高い集積密度、より小さいLED、およびより小さいピッチを有するマイクロLEDアレイおよびLEDアレイ前駆体、ならびにそれらの生成方法が、依然として必要とされる。
【0012】
本発明の目的は、先行技術のアレイに関連した問題のうちの少なくとも1つに取り組む改良されたLEDアレイ前駆体を提供すること、または、少なくとも、商業的に有用なその代替案を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の局面によれば、本開示は、モノリシックLEDアレイ前駆体を形成する方法であって、この方法は、
(i) 表面を有する基板を提供するステップと、
(ii) 基板の表面上に連続的な第1の半導体層を形成するステップと、
(iii) 複数の開口を含むマスキング層を第1の半導体層上に堆積させることにより、第1の半導体層を選択的にマスクするステップと、
(iv) 基板に直角な正台形断面と略平坦な上面部分とを各々有する複数の柱を形成するために、マスキング層の開口を通して、第1の半導体層のマスクされていない部分上に第2の半導体層を成長させるステップと、
(v) 第2の半導体層を覆う第3の半導体層を形成するステップとを含み、第3の半導体層は1つ以上の量子井戸副層を含むとともに略平坦な上面部分を有し、この方法はさらに、
(vi) 第3の半導体層を覆う第4の半導体層を形成するステップを含み、それにより、第4の半導体層は略平坦な上面部分を有し、この方法はさらに、
(vii) 第4の半導体層の略平坦な上面部分上に一次電気接点を形成するステップを含み、
第1~第4の半導体層はIII族窒化物を含む、方法を提供する。
【0014】
本発明をこれからさらに説明する。以下の文章では、この発明の異なる局面をより詳細に規定する。そのように規定される各局面は、相反することが明白に示されない限り、他の局面と組み合わされてもよい。特に、好ましいかまたは有利であると示されるどの特徴も、好ましいかまたは有利であると示される他のどの特徴とも組み合わされてもよい。
【0015】
本開示は、向上した発光特性および減少した非放射再結合を示す電子的に絶縁されたLED構造が生成され得るようなやり方でモノリシックLEDアレイ前駆体を形成するための方法を提供する。発明者らは、開示される特定構造の成長およびLED構造の特定区域上のみでの電気接点の提供により、向上した特性を有するLEDデバイスを提供するLEDアレイ前駆体が形成され得るということを見出した。
【0016】
本発明は、モノリシックLEDアレイ前駆体を形成する方法に関する。LEDは当該技術において周知であり、発光ダイオードを指す。
【0017】
モノリシックアレイとは、単一ピースとして形成された複数のLED構造の提供を指す。アレイとは、LEDがモノリシック構造全体にわたって意図的に間隔をあけられ、典型的には、LEDの六角形に最密充填されたアレイまたは正方形に充填されたアレイなどの規則的なアレイを形成するということを意味する。
【0018】
「前駆体」という用語により、説明されるLEDアレイは、光の放出を可能にするような、各LEDのための必要な対向電気接点を有しておらず、関連する回路も有していないということが注記される。したがって、説明されるアレイは、モノリシックLEDアレイの前駆体であり、モノリシックLEDアレイは、さらに別の必要なステップがいったん行なわれると形成されるものであり、基板を除去することによって実現され得るような任意の光抽出面および対向電極を含むであろう。
【0019】
この方法は、番号が付けられた複数のステップを伴う。可能であれば、これらのステップは同時にまたは並行して行なれてもよいということが理解されるだろう。
【0020】
第1のステップは、表面を有する基板の提供を伴う。好適な基板は、サファイア、SiC、およびシリコンを含む。他の好適な基板は、当該技術において周知である。
【0021】
第2のステップは、基板の表面上に連続的な第1の半導体層を形成することを伴う。第1の半導体層は緩衝層として作用してもよい。第1の半導体層および実際はさらに別の半導体層は、III族窒化物を含む。好ましくは、III族窒化物は、AlInGaN、AlGaN、InGaN、およびGaNのうちの1つ以上を含む。
【0022】
ここに使用されるように、種のその構成成分によるどの言及も、そのすべての利用可能な化学量論を含む。このため、たとえば、AlGaNは、AlxGa1-xNなどのそのすべての合金を含み、xは1または0と等しくない。好ましい化学量論は、特定層の機能に依存して変わるであろう。
【0023】
第3のステップは、複数の開口を含むマスキング層を第1の半導体層上に堆積させることにより、第1の半導体層を選択的にマスクすることを伴う。好ましくは、マスキング層はSiO2および/またはSiNxを含む。SiO2および/またはSiNxマスキング層は、プラズマ化学気相堆積などの標準的な堆積手法を用いて施設外で堆積されてもよい。これに代えて、施設内SiNxマスキング層が反応チャンバにおいて堆積されてもよく、MOCVD反応装置などの好適な反応チャンバが当該技術において周知である。
【0024】
オプションで、複数の開口は、規則的間隔のアレイを形成する。これは、正方形充填または六角形充填などの円の最密充填のための任意の構成に似ていてもよい。
【0025】
第3のステップを実現する好ましいやり方は、
(a) 連続的なマスキング層を堆積させるステップと、
(b) 複数の開口を提供するために、前記マスク層の複数の部分を選択的に除去するステップとによる。
【0026】
オプションで、前記マスキング層の複数の部分を選択的に除去するステップは、第1の半導体層の複数の対応する部分を選択的に除去するステップを含む。これは、オプションで非連続的な第2の層が次に第1の半導体層の井戸内に形成されることを意味する。
【0027】
第4のステップは、基板に直角な正台形断面と略平坦な上面部分とを各々有する複数の柱を形成するために、マスキング層の開口を通して、第1の半導体層のマスクされていない部分上にオプションで非連続的な第2の半導体層を成長させることを伴う。平坦な上部は、層が形成される基板表面の平面と平行な平面にある。
【0028】
「正台形断面」により、柱が底部よりも上部でより狭くなっていること、および、柱は、略平坦で平行な上面および下面を、線形の傾斜側面とともに有することが意図される。これは、円錐台形形状、またはより高い可能性で、3つ以上の側面、典型的には6つの側面を有する円錐台形形状をもたらし得る。「正台形断面」という記載は、第1の半導体層の上方で延在する第2の半導体層の部分を指す。第2の半導体層の一番底部は、第1の半導体層によって規定された開口内にあり、そのため、底部は典型的には、先細りする断面ではなく、一定の断面を有するであろう。柱の先細りする側面はここに、側面または小面と呼ばれる。第2の層が連続的である場合、台形断面は、第2の半導体層の連続的な平面部分の上方で延在する第2の半導体層の非連続的な部分である。
【0029】
好ましくは、柱の側面は、第1の半導体層と平行な平面に対して略一貫した角度(α)を有する。すなわち、柱の側面と第1の半導体と平行な平面との間の角度はあまり変動しない。好ましくは、角度αは50°~70°であり、より好ましくは、それは58°~64°であり、最も好ましくは約62°である。
【0030】
好ましくは、第2の半導体層における複数の柱の各々は、切頂六角錐である。
第5のステップは、オプションで非連続的な第2の半導体層を覆う、オプションで非連続的な第3の半導体層を形成することを伴い、第3の半導体層は1つ以上の量子井戸副層を含むとともに略平坦な上面部分を有する。
【0031】
「略平坦な上面部分」により、それは、特定の半導体層の上部が概して第1の半導体層と平行である(すなわち、基板の平面と平行な平面を提供する)ということを意味すると理解されるべきである。
【0032】
発明者らは、第2の半導体層上の第3の半導体層の材料の堆積が、最上面は厚いものの、かなりより薄い層が小面上に堆積される状態で生じることを見出した。これは、結晶構造に対するさまざまな方向での成長の速度に起因して自動的に生じる。
【0033】
マスク開口のまわりの傾斜平面上に堆積されている層は概して、c面配向面部分上に堆積されている層よりも薄い。特に、LED内のpn接合におけるn型ドープ層とp型ドープ層との間に堆積されたInGaN多重量子井戸(multiple quantum well:MQW)は、傾斜面に接して堆積された部分において、c面配向面に接して堆積された部分よりも薄い。
【0034】
傾斜したGaN平面からの放出が、半極性面における減少した分極場によって照明デバイスの効率を高める手段を提供し得るということは、当業者には知られている。加えて、平坦面部分と比較して傾斜平面での異なるMQW厚さの存在はまた、色調整の目的のために単一デバイスからの蛍光体のない多波長放出を実現し得る。
【0035】
これとは対照的に、本発明の1つの目的は、略平坦な表面領域に発光を閉じ込めて、傾斜平面へのキャリア注入および/または拡散と、結晶における原子の周期的配列が終了する活性領域の周囲での潜在的な非放射再結合とを防止することである。上部平坦領域におけるキャリア閉じ込めは、電気接点領域の形成を傾斜平面から離れた上部平坦面の一部に制限することによって実現されることになっている。
【0036】
MQWの厚さは、量子井戸副層の上面と下面との間の平均最短距離を意味すると理解されるべきである。特定部分(c面または傾斜小面など)における量子井戸副層の各々の厚さは好ましくは、実質的に同じである。MQWの厚さは好ましくは、それが堆積された特定の部分全体にわたって実質的に一定であり、したがって、上面および下面は実質的に平行である。
【0037】
好ましくは、c面に沿って配向されたMQWの部分の厚さは、1nmよりも大きく、1.5nmよりも大きく、2nmよりも大きく、2.5nmよりも大きい。好ましくは、c面に沿って配向されたMQWの部分の厚さは、15nmよりも小さく、12nmよりも小さく、8nmよりも小さく、5nmよりも小さい。好ましい一実施形態では、c面に沿って配向されたMQWの部分の厚さは、1nm~15nm、より好ましくは2nm~12nm、最も好ましくは2.5nm~8nmである。
【0038】
好ましくは、傾斜小面上のMQWの部分の厚さは、0.05nmよりも大きく、0.1nmよりも大きく、0.15nmよりも大きく、0.2nmよりも大きい。好ましくは、傾斜小面上のMQWの部分の厚さは、5nmよりも小さく、2nmよりも小さく、1nmよりも小さく、0.8nmよりも小さい。好ましい一実施形態では、傾斜小面上のMQWの部分の厚さは、0.1nm~1nm、より好ましくは0.15nm~0.6nm、最も好ましくは0.2nm~0.5nmである。
【0039】
加えて、c面に沿って配向されたMQWの部分と傾斜小面上のMQWの部分とのMQW厚さの差は、平坦なMQW部分から傾斜したMQW部分へのキャリアの拡散を効果的に防止する、2つのMQW部分間のバンドギャップ差に対応する。これは、III窒化物LEDにおける貫通転位のまわりで生じるメカニズムと同様のメカニズムであり、注入されたキャリアが貫通転位コアから離れて閉じ込められて非放射再結合の可能性を防止する。ちなみに、小面上に堆積されている領域におけるMQW組成も、厚い最上面でのキャリア閉じ込めが依然として生じるようなやり方で、厚い最上面におけるMQWの組成とは異なってもよい。その結果、均一で比較的狭い波長放出が予想される。
【0040】
発明者らは、バンドギャップ差が平坦なMQW部分から傾斜したMQW部分へのキャリアの拡散を効果的に防止することを認識した。キャリアのそのような閉じ込めは、kTの数倍の電位障壁を必要とする(kTはボルツマン定数に温度を乗算したものであり、298Kの室温ではおよそ25.7meVと等しい)。kTの数倍の電位障壁を実現するように、c面に沿って配向されたMQWの部分と傾斜小面上のMQWの部分との間で必要とされるMQW厚さの差は、MQWの組成によって異なり、また、当業者によって容易に計算され得る。好ましくは、電子および/または正孔であるキャリアの閉じ込めに対する障壁は、2kTよりも大きく、3kTよりも大きく、4kTよりも大きく、最も好ましくは5kTよりも大きい。好ましくは、温度は室温(298K)である。
【0041】
好ましい一実施形態では、c面に沿って配向されたMQWの部分の厚さは2nmよりも大きく、傾斜小面上のMQWの部分の厚さは2nmよりも小さい。より好ましい一実施形態では、c面に沿って配向されたMQWの部分の厚さは2.5nmよりも大きく、傾斜小面上のMQWの部分の厚さは1.5nmよりも小さい。
【0042】
第6のステップは、オプションで非連続的な第3の半導体層を覆う、オプションで非連続的な第4の半導体層を形成することを伴い、それにより、第4の半導体層は略平坦な上面部分を有する。ここでも、第3の半導体層上の第4の半導体層の材料の堆積は、最上面は厚いものの、はるかにより薄い層が小面上に堆積される状態で生じる。
【0043】
好ましくは、第4の半導体層はマグネシウムでドープされる。オプションで、Mgドーピング密度は、第3の半導体層の厚い最上面へのキャリア注入の閉じ込めをさらに支援するように、厚い最上面ではより高いものの、小面上に堆積されている層でははるかにより低い。
【0044】
好ましくは、第2、第3、および第4の半導体層は非連続的である。好ましくは、第1の局面のマスキング方法は非連続的な層を生成するが、特に狭いピッチを有するいくつかの実施形態では、第3、第4、および第5の半導体層は融合してもよい。これは、これらの層が複数のLED構造によって共有される連続的なまたは部分的に連続的な部分を形成する。
【0045】
第1の半導体層は、100nm~8um、好ましくは3um~5umの厚さを有していてもよい。
【0046】
第2の半導体層の柱は、500nm~4um、好ましくは1um~2umの厚さを有していてもよい。
【0047】
第3の半導体層の略平坦な上面部分は、30nm~150nm、好ましくは40nm~60nmの厚さを有していてもよい。
【0048】
第4の半導体層の略平坦な上面部分は、50nm~300nm、好ましくは100nm~150nmの厚さを有していてもよい。
【0049】
マスクにおける開口と整列されていない半導体層の部分は、0nmから上述のそれぞれの層の最小値までの厚さを有する。マスクされた区域は、次の半導体層の成長にとって比較的あまり有利ではないが、それは完全に防止されなくてもよい。
【0050】
第7のステップは、オプションで非連続的な第4の半導体層の略平坦な上面部分上に一次電気接点を形成することを伴う。任意の従来の電極材料を使用することができ、それは、熱蒸着または電子ビーム蒸着などの従来の手法によって施されてもよい。
【0051】
上述の層の各々は、1つ以上の副層から形成されてもよい。たとえば、第1の半導体層は、AlxGa1-xNの組成的に傾斜した層から形成されてもよい。
【0052】
オプションで、第1の半導体層は、第2の半導体層の近位に副層を含み、副層はシリコンドープGaNを含む。好ましくは、第1の半導体層は、シリコンドープ副層を除き、実質的にドープされていない。一実施形態では、第1の半導体層は、複数の非ドープ(Al)GaN副層と、シリコンドープ副層とを含む。シリコンドープAlxGa1-xN副層は、100nm~1um、好ましくは300nm~500nmの厚さを有していてもよい。好ましくは、Al組成は、x=0~0.2、より好ましくは0.05~0.1である。好ましくは、ドーピングレベルは、1×1018at/cm3~1×1021at/cm3、より好ましくは1×1020at/cm3~2×1020at/cm3である。
【0053】
好ましくは、第1の半導体層がシリコンドープ副層を含む場合、シリコンドープ副層は、複数の開口を形成する際に部分的に除去され、そのため、第2の半導体層は、第1の半導体層の非ドープ部分上に直接形成される。有利には、この構造は、材料品質を低下させることなく、有益な電流波及のための高シリコンドープ層の使用を可能にする。なぜなら、第2の半導体層が成長する場合、(Al)GaN:Si副層は除去されるためである。
【0054】
上述の堆積ステップはすべて、従来の半導体形成システムを使用して行なわれ得る。LED生成のための半導体層の形成は当該技術において周知であり、MOCVDなどがある。
【0055】
理解されるように、第2の半導体層の柱の各々は、最終的なモノリシックLEDアレイ前駆体における関連する層から形成される個々のLED構造のためのベースを提供する。
【0056】
この発明のさらに別の局面は、同様の方法を、第2の半導体層の形成への代替的なアプローチを用いて提供する。上述の第1の局面のすべての局面を、この実施形態と自由に組み合わせることができる。
【0057】
このさらに別の局面では、第1の半導体層は、次の層の成長にとってあまり有利ではないアモルファス材料のパターンを提供するように処理される。これは、第2の半導体層が未処理の結晶領域上に優先的に生じ、柱をもたらすことを意味する。この層は、処理領域および未処理領域で実現される相対的成長に依存して、連続的であっても非連続的であってもよい。台形断面は、第2の半導体層の連続的な平面部分の上方で延在する第2の半導体層の非連続的な部分である。
【0058】
具体的には、このさらに別の局面は、モノリシックLEDアレイ前駆体を形成する方法であって、この方法は、
(i) 表面を有する基板を提供するステップと、
(ii) 基板の表面上に連続的な第1の半導体層を形成するステップと、
(iii) アモルファス表面領域を形成するために、第1の半導体層を選択的に処理するステップとを含み、アモルファス表面領域は、第1の半導体層の複数の未処理部分を規定し、この方法はさらに、
(iv) 基板に直角な正台形断面と略平坦な上面部分とを各々有する複数の柱を形成するために、第1の半導体層の未処理部分上に第2の半導体層を成長させるステップと、
(v) 第2の半導体層を覆う第3の半導体層を形成するステップとを含み、第3の半導体層は1つ以上の量子井戸副層を含むとともに略平坦な上面部分を有し、この方法はさらに、
(vi) 第3の半導体層を覆う第4の半導体層を形成するステップを含み、それにより、第4の半導体層は略平坦な上面部分を有し、この方法はさらに、
(vii) 第4の半導体層の略平坦な上面部分上に一次電気接点を形成するステップを含み、
第1~第4の半導体層はIII族窒化物を含む、方法を提供する。
【0059】
オプションで、第1の半導体層は、第2の半導体層の近位に副層を含み、副層はシリコンドープGaNを含む。好ましくは、第1の半導体層は、シリコンドープ副層を除き、実質的にドープされていない。すなわち、好ましくは、第1の半導体層は、複数の非ドープ(Al)GaN副層と、シリコンドープ副層とを含む。
【0060】
好ましくは、第1の半導体層を選択的に処理するステップは、イオン注入によって第1の半導体層の表面部分をアモルファス化するステップを含む。好ましくは、選択的に処理するステップは、イオン注入の前にリソグラフパターニングおよびエッチングのステップを含む。注入にとって好適なイオンは、N+、H+、およびAr+から選択されてもよい。有利には、適切なマスキングパターンのリソグラフパターニングおよびエッチングは、第1の半導体層のエッチングされていない領域へのイオン損傷を防止する。
【0061】
オプションで、第2の局面の方法において、ステップ(iii)は、
(a) 連続的な第1の半導体層上に、マスキング層材料を含む連続的なマスキング層を堆積させるステップと、
(b)第1の半導体層の複数のマスクされた領域を提供するために、マスキング層材料を選択的に除去するステップと、
(c) マスクされた領域以外で前記層にアモルファス材料を形成するために、第1の半導体層をイオン注入で処理するステップと、
(d) 第1の半導体層の複数の未処理部分を提供するために、残っているマスキング層材料を除去し、およびオプションで、第1の半導体層の複数の対応する部分を除去するステップとを含む。
【0062】
好ましくは、第1の半導体層がシリコンドープ副層を含む場合、シリコンドープ副層は、複数の開口を形成する際に部分的に除去され、そのため、第2の半導体層は、第1の半導体層の非ドープ部分上に直接形成される。有利には、この構造は、材料品質を低下させることなく、有益な電流波及のための高シリコンドープ層の使用を可能にする。なぜなら、第2の半導体層が成長する場合、AlGaN:Si副層は除去されるためである。
【0063】
好ましくは、第2の局面の方法において、第2、第3、および第4の半導体層は非連続的である。
【0064】
以下の開示は、上述の局面の双方に等しく当てはまり得る好ましい特徴に関する。
好ましくは、第2の半導体層はn型にドープされる。好ましくは、第2の半導体層は、シリコンまたはゲルマニウム、好ましくはシリコンでn型にドープされる。
【0065】
好ましくは、第3の半導体層はドープされていない。
好ましくは、第4の半導体層はp型にドープされ、好ましくは、第4の半導体層はマグネシウムでドープされる。
【0066】
有利には、上述の層組成は、良好な光生成特性および発光特性を有するLED活性領域を提供する。
【0067】
好ましくは、モノリシックLED前駆体の画素ピッチは10nm以下であり、さらにより好ましくは8nm以下である。画素ピッチは、1nm~10nm、より好ましくは4nm~8nmであってもよい。
【0068】
好ましくは、各LED構造(画素)の幅は10nmよりも小さい。画素が切頂六角錐形状を有する場合、各画素の幅は、六角錐のベース全体にわたる最大長さである。それは、六角錐のベース全体にわたる、1つの隅から反対側の隅までの距離である。層が連続的である場合、六角形のベースは、第2の半導体層の連続的な平面部分の上方で延在する一番上の半導体層の非連続的な部分のベースである。好ましくは、幅は、9nmよりも小さく、8nmよりも小さく、7nmよりも小さく、6nmよりも小さく、5nmよりも小さい。好ましくは、各LED構造の幅は、2nm~8nm、さらにより好ましくは3nm~6nmである。
【0069】
好ましくは、第1の半導体層は、(0001)面を有するウルツ鉱結晶構造を有し、第4の半導体層の略平坦な上面部分は、第1の半導体層の(0001)面と平行である。同様に、第2および第3の半導体層の平坦な上面の各々は、第1の半導体層の(0001)面と平行であるべきである。
【0070】
好ましくは、この方法は、(使用時反転される)製造されたデバイスの底部からの光抽出を容易にするために、基板を除去するステップをさらに含む。これに代えて、アレイ前駆体からの光抽出のために第1の半導体層の一部を露出させるために、基板の少なくとも一部が、上述の個々のLED構造の各々に対応して除去される。好ましくは、基板は完全に除去され、オプションで、粗面層が、露出された第1の半導体層に付着される。成長基板としても知られている基板は、LEDアレイが成長する表面を提供するが、一般に、最終的なデバイスの一部を形成しない。好ましくは、基板は、Siなどの不透明基板の場合には吸収を最小限にするために、および、SiCまたはサファイアなどの透明基板の場合にはアレイにおけるLED構造間のクロストークを最小限にするために、実質的に完全に除去される。
【0071】
オプションで、基板は、複数の平行化チャネルを形成するために選択的に除去され、平行化チャネルの各々は、第4の半導体層の略平坦な上面部分上に形成された一次接点と整列される。
【0072】
オプションで、この方法は、第2の半導体層の複数の柱の各々に対応し、第2の半導体層の複数の柱の各々と整列された複数のドームまたはレンズ構造を形成するために、基板を少なくとも部分的に除去し、第1の半導体層を少なくとも部分的に除去するステップを提供することをさらに含む。好ましくは、この方法は、第2の半導体層の遠位に複数の凸状ドームを提供するために、基板を完全に除去し、第1の半導体層を部分的に除去するステップを含む。ドームの各々は、アレイの複数のLED構造のうちの1つと整列される。
【0073】
有利には、ドーム構造は、さらに別の材料の追加を必要とすることなく、LED構造の光抽出および平行化を向上させる。好ましくは、複数のドーム構造は、ドームの表面での反射を最小限にするために、誘電体コーティングまたはクリアエポキシ層でコーティングされてもよい。
【0074】
好ましくは、この方法は、一次電気接点が提供されていない、第3の半導体層の遠位にある第4の半導体層の少なくとも一部の上に、1つ以上の透明絶縁層、続いて反射層を提供するステップをさらに含んでいてもよい。好ましくは、絶縁層はSiO2および/またはSiNxを含む。有利には、そのようなコーティング層は、アレイ内の光損失を減少させることによってLED構造からの光抽出を向上させ得るとともに、抽出された光の平行化を向上させ得る。
【0075】
オプションで、この方法は、モノリシックLEDアレイを形成するために、量子井戸副層を横切って一次電気接点と電気通信している1つ以上の二次電気接点を形成するステップをさらに含む。二次電気接点を提供することにより、LEDアレイが機能するために必要なすべての特徴が提供される。すなわち、一次および二次接点間の電位差を適用することにより、LED構造は光を生成するであろう。
【0076】
好ましくは、1つ以上の二次電気接点は第1の半導体層上に形成される。
形成されるモノリシックLEDアレイ前駆体は好ましくは、少なくとも4つのLED構造を含み、各LED構造は、別個の第2の半導体層部分、その上に形成された対応する第3の半導体層部分、その上に形成された対応する第4の半導体層部分、および、その上に形成された対応する一次電気接点に対応する。LEDアレイ前駆体は好ましくは、マイクロLEDアレイである。
【0077】
好ましくは、モノリシックLEDアレイ前駆体は、LED構造の少なくとも第1および第2のサブアレイを含み、各サブアレイは異なる主波長の光を放出することができる。
【0078】
さらに別の局面では、本開示は、モノリシックLEDアレイ前駆体を提供する。これは好ましくは、上述の局面で説明された方法のうちの1つによって得られ得る。したがって、上述の方法で形成される構造に関して説明されたすべての局面は、ここに説明される前駆体に同様に当てはまる。
【0079】
さらに別の局面では、本開示は、モノリシックLEDアレイ前駆体であって、
第1の半導体層を共有する複数のLED構造を含み、第1の半導体層は、LEDアレイ前駆体の平面を規定し、各LED構造は、
(i) LEDアレイ前駆体の平面と平行な上面部分を有する、第1の半導体層上の第2の半導体層を含み、第2の半導体層は、第2の半導体層が傾斜側面を有するように、上面部分に直角な正台形断面を有し、各LED構造はさらに、
(ii) LEDアレイ前駆体の平面と平行な上面部分を有する、第2の半導体層上の第3の半導体層を含み、第3の半導体層は、第3の半導体層が第2の半導体層の傾斜側面と平行な傾斜側面を有するように、上面部分に直角な正台形断面を有し、各LED構造はさらに、
(iii) LEDアレイ前駆体の平面と平行な上面部分を有する、第3の半導体層上の第4の半導体層を含み、第4の半導体層は、第4の半導体層が第3の半導体層の傾斜側面と平行な傾斜側面を有するように、上面部分に直角な正台形断面を有し、各LED構造はさらに、
(iv) 第4の半導体層上の一次電気接点を含み、接点は、LEDアレイ前駆体の平面と平行な第4の半導体層の上面部分上のみにあり、
第3の半導体層は複数の量子井戸副層を含み、量子井戸副層は、LEDアレイ前駆体の平面と平行な部分上のより大きい厚さと、LEDアレイ前駆体の平面と平行でない部分上の減少した厚さとを有する、モノリシックLEDアレイ前駆体を提供する。
【0080】
好ましくは、LEDアレイ前駆体は、第1および第2の半導体層間の界面にマスク部分を含む。LED前駆体のマスク部分は、上述の第1の局面に関して説明されたものと同じであってもよい。それに代えて、LEDアレイ前駆体は、イオン注入によって生成された第1の半導体層のアモルファス化部分を有していてもよい。
【0081】
好ましくは、第2の半導体層の傾斜側面からの第3の半導体層の傾斜側面の間隔は、第2の半導体層の上面部分からの第3の半導体層の上面部分の間隔よりも小さい。
【0082】
好ましくは、第3の半導体層の傾斜側面からの第4の半導体層の傾斜側面の間隔は、第3の半導体層の上面部分からの第4の半導体層の上面部分の間隔よりも小さい。
【0083】
オプションで、第2、第3、および第4の半導体層は、アレイにおけるLED構造間で共有される。これは、その後の上に重なる成長を妨げるアモルファスベースパターンを有する上述の第2の局面を使用して前駆体を製造する場合に起こり得る。
【0084】
好ましくは、複数のLED構造は、規則的間隔のアレイを形成する。好ましくは、LED構造の第2~第4の層は、切頂六角錐である。
【0085】
有利には、上述の層組成は、良好な光生成特性および光抽出特性を有するLED活性領域を提供する。
【0086】
好ましくは、第1の半導体層は、(0001)面を有するウルツ鉱結晶構造を有し、第4の半導体層の略平坦な上面部分は、第1の半導体層の(0001)面と平行である。
【0087】
好ましくは、LEDアレイ前駆体のLED構造は、第1の半導体層上の、第2の半導体層から遠位にある表面上に、共有される光抽出層を含む。一実施形態では、共有される光抽出層は、複数の平行化チャネルを含み、平行化チャネルの各々は、一次接点と整列される。これに代えて、第1の半導体層は、第2の半導体層から遠位にある表面上に、複数のLED構造に対応し、複数のLED構造と整列された複数のドームまたはレンズ構造を形成する。
【0088】
さらに別の局面では、本開示は、ここに説明されるモノリシックLEDアレイ前駆体を含むとともに、量子井戸副層を横切って一次電気接点と電気通信している1つ以上の二次電気接点をさらに含む、モノリシックLEDアレイを提供する。このアレイは上述の前駆体に基づいており、好ましくは、ここに説明される方法から得られるようなものである。したがって、それらの局面で説明されるすべての特徴は、このさらに別の局面にも同様に当てはまる。
【0089】
好ましくは、モノリシックLEDアレイは、少なくとも4つのLED構造を含む。LEDアレイは好ましくは、マイクロLEDアレイである。好ましくは、モノリシックLEDアレイは、LED構造の少なくとも第1および第2のサブアレイを含み、各サブアレイは異なる主波長の光を放出することができる。好ましくは、各サブアレイにおける光生成層は、狭い波長帯域幅の、好ましくは370nm~680nm、より好ましくは420nm~520nmの範囲の光を放出する。
【0090】
さらに別の局面では、本開示は、ここに開示されるモノリシックLEDアレイを含むディスプレイデバイスを提供する。好ましくは、本開示の方法は、ここに開示されるLEDアレイ前駆体およびLEDアレイを生成するのに好適である。
【0091】
この発明をこれから、以下の非限定的な図面に関して説明する。この開示のさらに別の利点は、詳細な説明を図面とともに参照することによって明らかである。図面は、詳細をより明白に示すように正確な縮尺ではなく、いくつかの図全体を通し、同じ参照番号は同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【
図1a】第1の局面に従ったLEDアレイ前駆体の平面図である。
【
図1b】第1の局面に従ったLEDアレイ前駆体の断面図である。
【
図2】第2の局面に従ったLEDアレイ前駆体の一部の断面図である。
【
図3】第1の半導体層がシリコンドープ表面層を含むLEDアレイ前駆体の一実施形態を通る断面図である。
【
図4a】第1の局面に従ったLEDアレイ前駆体のさらなる詳細およびLED構造を示す図である。
【
図4b】第1の局面に従ったLEDアレイ前駆体のさらなる詳細およびLED構造を示す図である。
【
図4c】第1の局面に従ったLEDアレイ前駆体のさらなる詳細およびLED構造を示す図である。
【
図4d】第1の局面に従ったLEDアレイ前駆体のさらなる詳細およびLED構造を示す図である。
【
図4e】第1の局面に従ったLEDアレイ前駆体のさらなる詳細およびLED構造を示す図である。
【
図5a】本開示のLEDについての、シミュレートされた光抽出効率値と半値全幅ビーム角度とを示す図である。
【
図5b】本開示のLEDについての、シミュレートされた光抽出効率値と半値全幅ビーム角度とを示す図である。
【
図5c】本開示のLEDについての、シミュレートされた光抽出効率値と半値全幅ビーム角度とを示す図である。
【
図6a】本開示のマイクロLEDについての走査電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)画像を示す図である。
【
図6b】本開示のマイクロLEDについての原子間力顕微鏡(atomic force microscope:AFM)測定を示す図である。
【
図6c】本開示のマイクロLEDについてのAFM測定を示す図である。
【
図6d】凸状ドームを有さない、本発明に従ったマイクロLED内の光路を示す図である。
【
図6e】凸状ドームを有する、本発明に従ったマイクロLED内の光路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
図1aは、本開示の第1の局面に従ったLEDアレイ前駆体の一部の平面図を示す。
図1bは、線S1に沿った垂直断面を示す。
【0094】
図1のLEDアレイ前駆体1は、成長基板(100)と、第1の半導体層(110)と、マスキング層(120)と、複数の柱を含む非連続的な第2の半導体層(130)と、複数の量子井戸副層(141)を含む非連続的な第3の半導体層(140)と、非連続的な第4の半導体層(150)と、非連続的な第4の半導体層(150)の略平坦な上面部分上の一次電気接点(160)とを含む。
【0095】
断面では、第2の半導体層(130)の正台形断面が見える。図示された実施形態では、第3の半導体層(140)および第4の半導体層(150)の傾斜部分は、略平坦な上面部分と平行な部分よりも薄い。同様に、量子井戸副層(141)の傾斜部分は、第2の半導体層(130)の略平坦な上面部分と平行な部分よりも薄い。
【0096】
図1bの平面図では、柱の六角形状は、各柱の中央で絶縁された一次電気接点(160)を有する第4の半導体層(150)の上面として見られ得る。柱の間の区域は、マスク層(120)の上面である。
【0097】
図2のLEDアレイ前駆体は、成長基板(100)と、第1の半導体層(110)と、第1の半導体層のアモルファス表面領域(121)と、複数の柱を含む第2の半導体層(130)と、複数の量子井戸副層(図示せず)を含む第3の半導体層(140)と、第4の半導体層(150)と、非連続的な第4の半導体層(150)の略平坦な上面部分上の一次電気接点(160)とを含む。
【0098】
図2の実施形態では、第2、第3、および第4の半導体層(130、140、150)は連続的である。
【0099】
図3は、第1の半導体層(110)が第2の半導体層(130)の近位にある表面にシリコンドープ副層(190)を含む、この発明のLEDアレイ前駆体の単一のLED構造の断面を示す。加えて、マス
キング層(120)を形成する際、第1の半導体層は、第2の半導体層(130)がシリコンドープ副層(190)を通って第1の半導体層(110)に入り込むように、マス
キング層の開口の下方で部分的に除去されている。
【0100】
図4aは、成長基板が完全に除去され、第1の半導体層(110)がLED構造と整列されたドームの形になるように形作られている、第1の局面のLEDアレイ前駆体の単一のLED構造を示す。
図4bのLED構造では、ドームの表面は、凸状のドームの表面での反射を最小限にするために、誘電体コーティングまたはクリアエポキシ層(115)でコーティングされている。
図4cでは、ドームは
図4bと同様にコーティングされ、柱の表面がSiO
2および/またはSiN
xの透明層と反射層(170)とでコーティングされている。具体的には、第4の半導体層(150)の傾斜部分の露出面がコーティングされている。有利には、これらの特徴(ドーム、ドームコーティング、および柱の側面のコーティング)は、光抽出および平行化を向上させる。
【0101】
発明者らは、角錐ベースと整列されたドーム形状領域を追加することが、
図4a~4cに示すように角錐からの光抽出を強化するということを見出した。有利には、これは、角錐側壁での全内部反射によって得られるような平行化効果を補足する。好ましくは、ドーム形状領域は、角錐のベースのサイズと一致する曲率半径を有する。すなわち、ドーム形状領域のベースと角錐のベースとは好ましくは、ほぼ同じサイズである。
【0102】
図4dおよび
図4eは、本発明に従ったマイクロLED内の例示的な光路を示す。
図4dを
図4eと比較すると、角錐ベースと整列された凸状ドームの追加は、光抽出面(光がLEDを出る表面)でマイクロLEDの内部に戻るように反射される光の量を減少させ、それにより、光抽出効率をさらに高めるということが明らかである。
【0103】
図5a~5cは、本開示の3つのモデルLEDについての、シミュレートされた光抽出効率値と半値全幅(full width at half maximum:FWHM)ビーム角(度)とを示す。具体的には、
図5aは、柱の側面がコーティングされていないLEDに対応し、一方、
図5bでは、側面はSiO
2でコーティングされ、
図5cでは、側面はAg/Si
3N
4でコーティングされている。
【0104】
本来なら平面状で限界のない光生成領域から遠位にある表面上に角錐がエッチングされている、従来のLEDからの光抽出の向上を目的とした公知の構造と比較すると、開示された発明における光生成領域は、角錐形状構造内に完全に含まれており、それにより、(LED層と平行な)横方向への光伝搬を実質的に防止する。
【0105】
光抽出を向上させる目的でドライエッチングによって得られた傾斜面内に光生成領域が完全に含まれている、さらに別のクラスの既知の同様の構造(たとえばUS7518149を参照)と比較すると、選択領域成長プロセスを用いて得られるような傾斜小面は、ドライエッチングによって得られた表面と比べてより滑らかであるため、光抽出に鑑みて優れており、それにより、傾斜側壁での全内部反射を促進し、また、生成された光のより高い割合を、直角に近い角度で面する光抽出面に向けて平行化する。
【0106】
図6aは、本開示に従ったマイクロLEDのSEM画像を示し、
図6bは、本開示に従ったマイクロLEDのAFM測定を示す。
図6cは、側壁に対応するマイクロLEDのトポグラフィーをより詳細に示す、
図6bのAFM測定の断面である。これらの画像は、本発明において開示される方法が滑らかなマイクロLED側壁を生成することを実証する。
【0107】
概して角錐のベースでの角度(
図4aのα)が62°に近い、より一貫して再現可能な側壁傾斜が、異方性ドライエッチングと比較して、異なる結晶面上で異なる成長速度によって得られる。これは、
図6cのAFM断面によって示される。
【0108】
光生成領域を包囲する傾斜側壁の存在によって得られるような光抽出の向上は全内部反射の効果によるものとされる一方、ドーム形状領域の追加によって得られる光抽出の強化は光抽出面での全内部反射の減少から生じ、なぜなら、光のより大きい部分が傾斜小面によってすでに部分的に平行化され、したがって、内部ドーム表面に直角に近い角度で面するためであるということが、当業者によって理解される。よって、ドーム形状面からの光抽出は全内部反射に依拠しないという事実を考慮すると、ドライエッチングによってドームを得ることは、ここに開示される動作原理への障害を構成しない。
【0109】
図7は、本開示のLEDアレイを通る断面を示す。
図7のLEDアレイは、
図1のLEDアレイ前駆体を含む。アレイ前駆体は反転され、バックプレーン基板(200)とバックプレーン接点パッド(202)とを含むバックプレーンに結合されている。LEDアレイ前駆体の成長基板は除去されており、粗い層(112)が第1の半導体層(110)の露出面上に積層されている。加えて、二次電気接点(180)が第1の半導体層に施されている。一次および二次電気接点は、LED構造を介して互いに電気的に接触している。
【0110】
上述のさまざまな実施形態が単一のLEDバックライトにおいて組み合わされ得るということは、当業者によって理解されるであろう。たとえば、
図4に示すようなドーム、ドームコーティング115、および柱のコーティングされた側面(170)は、
図3のシリコンドープ副層(190)と組み合わされてもよい。
【0111】
この発明の好ましい実施形態がここに詳細に説明されたが、この発明の、または添付された請求項の範囲から逸脱することなく、当該実施形態に変更を加えてもよいということが、当業者によって理解されるであろう。