(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】選択的触媒還元のための二元金属Cu/Mn触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 29/78 20060101AFI20241009BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20241009BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20241009BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20241009BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
B01J29/78 A ZAB
B01D53/94 222
F01N3/08 B
F01N3/10 A
F01N3/28 301P
(21)【出願番号】P 2021507045
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019048966
(87)【国際公開番号】W WO2020047356
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-15
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】フェディコ、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ビダル、ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】グリーン、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ルー、チン
(72)【発明者】
【氏名】マクナマラ、ニコラス
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-518420(JP,A)
【文献】特表2011-523008(JP,A)
【文献】米国特許第05524432(US,A)
【文献】米国特許第05219545(US,A)
【文献】米国特許第05270024(US,A)
【文献】特表2008-531260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
B01D 53/94
F01N 3/00 - 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスを処理するための触媒組成物であって、前記触媒組成物がモレキュラーシーブを含み、前記モレキュラーシーブは、交換による銅及び交換によるマンガンを含み、銅とマンガンとの重量比が、約0.3~約3であり、500ppmのNH
3、500ppmのNO、0ppmのNO
2、14%のO
2、4.6%のH
2O、5.0%のCO
2、及び残部のN
2を、90K/時の空間速度で含む標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約20%~約45%少ないN
2Oを生成する、触媒組成物。
【請求項2】
前記モレキュラーシーブが、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブである、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
前記モレキュラーシーブが、ゼオライトを含む、請求項1又は2に記載の触媒組成物。
【請求項4】
前記ゼオライトが、約5~約200のSARを有する、請求項3に記載の触媒組成物。
【請求項5】
前記ゼオライトが、約10~約50のSARを有する、請求項3又は4に記載の触媒組成物。
【請求項6】
前記ゼオライトが、約10~約30のSARを有する、請求項3又は5に記載の触媒組成物。
【請求項7】
前記モレキュラーシーブが、小細孔ゼオライトを含む、請求項3~6のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項8】
前記小細孔ゼオライトが、AEI、CHA、及びこれらの組み合わせから選択される結晶骨格型を有する、請求項7に記載の触媒組成物。
【請求項9】
銅とマンガンとの重量比が、約0.1~約50である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項10】
銅とマンガンとの重量比が、約0.2~約15である、請求項1~
9のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項11】
前記銅及びマンガンが、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約0.1~約10重量%の総量で存在する、請求項1~
10のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項12】
前記銅及びマンガンが、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約1~約7重量%の総量で存在する、請求項1~
11のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項13】
前記銅及びマンガンが、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約2~約5重量%の総量で存在する、請求項1~
12のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項14】
前記銅が、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約0.05~約7重量%の量で存在する、請求項1~
13のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項15】
前記銅が、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約0.5~約5重量%の量で存在する、請求項1~
14のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項16】
前記銅が、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約1~約4重量%の量で存在する、請求項1~
15のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項17】
前記マンガンが、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約0.05~約7重量%の量で存在する、請求項1~
16のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項18】
前記マンガンが、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約0.1~約5重量%の量で存在する、請求項1~
17のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項19】
前記マンガンが、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約0.5~約2.5重量%の量で存在する、請求項1~
18のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項20】
前記モレキュラーシーブが、1未満の、遷移金属とアルミニウムとの比を有する、請求項1~
19のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項21】
前記モレキュラーシーブが、0.75未満の、遷移金属とアルミニウムとの比を有する、請求項1~
20のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項22】
前記モレキュラーシーブが、0.5未満の、遷移金属とアルミニウムとの比を有する、請求項1~
21のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項23】
NH
3とNO
xとの反応を促進して、窒素及び水を生成させるのに効果的である、請求項1~
22のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項24】
標準的SCR条件下で、Mn交換モレキュラーシーブよりも約30%~約60%多く総NO
xを変換する、請求項1~
23のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項25】
標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブとMn交換モレキュラーシーブとの物理的混合物よりも約1%~約15%少ないN
2Oを生成する、請求項1~
24のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項26】
標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブとMn交換モレキュラーシーブとの物理的混合物よりも約1%~約25%多く総NO
xを変換する、請求項1~
25のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項27】
500ppmのNH
3、250ppmのNO、250ppmのNO
2、14%のO
2、4.6%のH
2O、5.0%のCO
2、及び残部のN
2を、90K/時の空間速度で含む迅速SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約25%~約60%少ないN
2Oを生成する、請求項1~
26のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項28】
迅速SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約1%~約20%多く総NO
xを変換する、請求項1~
27のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項29】
500ppmのNH
3、175ppmのNO、325ppmのNO
2、14%のO
2、4.6%のH
2O、5.0%のCO
2、及び残部のN
2を、90K/時の空間速度で含む低速SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約20%~約45%少ないN
2Oを生成する、請求項1~
28のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項30】
900℃でのエージング後、標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約35%~約65%少ないN
2Oを生成する、請求項1~
29のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項31】
請求項1~
30のいずれか一項に記載の触媒組成物でコーティングされた基材を備え、1つ以上の追加の触媒組成物を更に含み、前記交換による銅及び交換によるマンガンを含むモレキュラーシーブが、前記1つ以上の追加の触媒組成物の上流に存在する、触媒物品。
【請求項32】
前記1つ以上の追加の触媒組成物が、Cu又はFe交換モレキュラーシーブ触媒を含む、請求項
31に記載の触媒物品。
【請求項33】
前記交換による銅及び交換によるマンガンを含むモレキュラーシーブが上層に存在し、前記1つ以上の追加の触媒組成物は下層に存在する、請求項
31又は
32に記載の触媒物品。
【請求項34】
白金族金属を含む触媒組成物を更に含む、請求項
31~
33のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項35】
窒素酸化物を含有する排気ガスを処理する方法であって、触媒組成物の存在下で、前記排気ガスを窒素性還元剤と接触させること、を含み、前記触媒組成物はモレキュラーシーブを含み、前記モレキュラーシーブは交換による銅及び交換によるマンガンを含み、銅とマンガンとの重量比が、約0.3~約3であり、前記触媒組成物が、500ppmのNH
3、500ppmのNO、0ppmのNO
2、14%のO
2、4.6%のH
2O、5.0%のCO
2、及び残部のN
2を、90K/時の空間速度で含む標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約20%~約45%少ないN
2Oを生成する、方法。
【請求項36】
前記窒素性還元剤が、アンモニアを含む、請求項
35に記載の方法。
【請求項37】
前記接触が、約150℃~約750℃の温度で起こる、請求項
35又は
36に記載の方法。
【請求項38】
前記モレキュラーシーブが、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブである、請求項
35~
37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記モレキュラーシーブが、ゼオライトを含む、請求項
35~
38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記ゼオライトが、約5~約200のSARを有する、請求項
39に記載の方法。
【請求項41】
前記ゼオライトが、約10~約50のSARを有する、請求項
39に記載の方法。
【請求項42】
前記ゼオライトが、約10~約30のSARを有する、請求項
39に記載の方法。
【請求項43】
前記モレキュラーシーブが、小細孔ゼオライトを含む、請求項
35~
42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記小細孔ゼオライトが、AEI、CHA、及びこれらの組み合わせから選択される結晶骨格型を有する、請求項
43に記載の方法。
【請求項45】
銅とマンガンとの重量比が、約0.1~約50である、請求項
35~
44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
銅とマンガンとの重量比が、約0.2~約15である、請求項
35~
44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記銅及びマンガンが、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約0.1~約10重量%の総量で存在する、請求項
35~
46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記銅及びマンガンが、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約1~約7重量%の総量で存在する、請求項
35~
46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記銅及びマンガンが、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約2~約5重量%の総量で存在する、請求項
35~
46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記銅が、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約0.05~約7重量%の量で存在する、請求項
35~
49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記銅が、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約0.5~約5重量%の量で存在する、請求項
35~
49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記銅が、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約1~約4重量%の量で存在する、請求項
35~
49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記マンガンが、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約0.05~約7重量%の量で存在する、請求項
35~
52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記マンガンが、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約0.1~約5重量%の量で存在する、請求項
35~
52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記マンガンが、前記モレキュラーシーブの重量に基づいて、約0.5~約2.5重量%の量で存在する、請求項
35~
52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記モレキュラーシーブが、1未満の、遷移金属とアルミニウムとの比を有する、請求項
35~
55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記モレキュラーシーブが、0.75未満の、遷移金属とアルミニウムとの比を有する、請求項
35~
55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記モレキュラーシーブが、0.5未満の、遷移金属とアルミニウムとの比を有する、請求項
35~
55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記触媒組成物が、NH
3とNO
xとの反応を促進して、窒素及び水を生成させるのに効果的である、請求項
35~
58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記触媒組成物が、標準的SCR条件下でMn交換モレキュラーシーブよりも約30%~約60%多く総NO
xを変換する、請求項
35~
59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記触媒組成物が、標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブとMn交換モレキュラーシーブとの物理的混合物よりも約1%~約15%少ないN
2Oを生成する、請求項
35~
60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記触媒組成物が、標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブとMn交換モレキュラーシーブとの物理的混合物よりも約1%~約25%多く総NO
xを変換する、請求項
35~
61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記触媒組成物が、500ppmのNH
3、250ppmのNO、250ppmのNO
2、14%のO
2、4.6%のH
2O、5.0%のCO
2、及び残部のN
2を、90K/時の空間速度で含む迅速SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約25%~約60%少ないN
2Oを生成する、請求項
35~
62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記触媒組成物が、迅速SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約1%~約20%多くNO
xを変換する、請求項
35~
63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記触媒組成物が、500ppmのNH
3、175ppmのNO、325ppmのNO
2、14%のO
2、4.6%のH
2O、5.0%のCO
2、及び残部のN
2を、90K/時の空間速度で含む低速SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約20%~約45%少ないN
2Oを生成する、請求項
35~
64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記触媒組成物が、900℃のエージング後、標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約35%~約65%少ないN
2Oを生成する、請求項
35~
65のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、遷移金属含有モレキュラーシーブ触媒の存在下で窒素酸化物を窒素性還元剤と接触させることにより、車両用リーンバーン内燃機関の排気ガスなどのガス中の窒素酸化物を窒素に変換する、触媒及び方法に関する。
【0002】
アンモニア又は尿素などの窒素化合物によるNOxの選択的触媒還元(SCR)は、工業における定置用途をはじめとする多くの用途で使用されてきた。より最近では、SCR技術に基づくNOx還元システムが、例えば、ディーゼル排気ガスを処理するための、多数の車両(移動体)用途のために、欧州、日本、及び米国において開発されている。
【0003】
いくつかの化学反応はNH3SCRシステムで起こり、そのほとんどは、NOx、具体的にはNO及びNO2を窒素に還元する望ましい反応を示す。支配的な反応は、反応(1)によって表される。
4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O (1)
【0004】
競合する、酸素との非選択的な反応は、二次排出物を生じることがあり、又は、アンモニアを浪費することがある。1つのこのような非選択的反応には、反応(2)に示すアンモニアの完全な酸化がある。
4NH3+5O2→4NO+6H2O (2)
【0005】
また、副反応により、反応(3)によって示されるようなN2Oなどの望ましくない生成物がもたらされることもある。
4NH3+5NO+3O2→4N2O+6H2O (3)
【0006】
アルミノケイ酸塩ゼオライトを含むモレキュラーシーブは、NOxのNH3よるSCRのための触媒として使用することができる。1つの用途は、尿素などのアンモニア前駆体から得ることができる還元剤によって、又はアンモニア自体を噴射することによって、車両用ディーゼルエンジンからのNOx排出を制御することである。触媒活性を促進するために、遷移金属をアルミノケイ酸塩ゼオライトに組み込むことができる。
【0007】
NOx変換率が改良されており、N2O生成が低減されている、NOxのSCRのための触媒組成物を調製することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明のいくつかの態様によれば、排気ガスを処理するための触媒組成物は、モレキュラーシーブを含み、当該モレキュラーシーブは、交換による銅及び交換によるマンガンを含む。いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブである。いくつかの実施形態では、モレキュラーシーブは、ゼオライトを含む。好適なゼオライトは、例えば、約5~約200、約10~約50、又は約10~約30の、シリカとアルミナとのモル比(SAR)を有することができる。いくつかの実施形態では、モレキュラーシーブは、小細孔ゼオライトを含む。好適な小細孔ゼオライトは、例えば、AEI、CHA、及びこれらの組み合わせから選択される結晶骨格型を有することができる。いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、中細孔ゼオライト又は大細孔ゼオライトを含む。好適な中細孔ゼオライト又は大細孔ゼオライトは、例えば、BEA、MFI、及びこれらの組み合わせから選択される、結晶骨格型を有することができる。
【0009】
いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、約0.1~約50、約0.2~約15、又は約0.3~約3の、銅とマンガンとの重量比を有する。いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、モレキュラーシーブの重量に基づいて約0.1~約10重量%、約1~約7重量%、又は約2~約5重量%の総量で存在する、銅及びマンガンを含む。いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、モレキュラーシーブの重量に基づいて約0.05~約7重量%、約0.5~約5重量%、又は約1~約4重量%の量で存在する、銅を含む。いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、モレキュラーシーブの重量に基づいて約0.05~約7重量%、約0.1~約5重量%、又は約0.5~約2.5重量%の量で存在する、マンガンを含む。いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、1未満、0.75未満、又は0.5未満の、遷移金属とアルミニウムとの比を有する。
【0010】
いくつかの態様では、触媒組成物は、NH3とNOxとの反応を促進して、窒素及び水を生成させるのに効果的である。特定の態様では、触媒組成物は、標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約20%~約45%少ないN2Oを生成する。いくつかの態様では、触媒組成物は、標準的SCR条件下で、Mn交換モレキュラーシーブよりも約30%~約60%多く総NOxを変換する。いくつかの態様では、触媒組成物は、標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブとMn交換モレキュラーシーブとの物理的混合物よりも約1%~約15%少ないN2Oを生成する。いくつかの態様では、触媒組成物は、標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブとMn交換モレキュラーシーブとの物理的混合物よりも約1%~約25%多く総NOxを変換する。いくつかの態様では、触媒組成物は、迅速SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約25%~約60%少ないN2Oを生成する。いくつかの態様では、触媒組成物は、迅速SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約1%~約20%多い総NOxを変換する。いくつかの態様では、触媒組成物は、低速SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約20%~約45%少ないN2Oを生成する。いくつかの態様では、触媒組成物は、900℃のエージング後、標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約35~約65%少ないN2Oを生成する。
【0011】
本発明のいくつかの態様によれば、触媒物品は、モレキュラーシーブを含む触媒組成物でコーティングされた基材を備え、当該モレキュラーシーブは、交換による銅及び交換によるマンガンを含む。いくつかの態様では、基材は、1つ以上のCu又はFe交換モレキュラーシーブ触媒などの、1つ以上の追加の触媒を更に含んでもよい。いくつかの態様では、交換による銅及び交換によるマンガンを含むモレキュラーシーブは、1つ以上の追加の触媒組成物の上流に存在する。いくつかの態様では、交換による銅及び交換によるマンガンを含むモレキュラーシーブは上層に存在し、1つ以上の追加の触媒組成物は下層に存在する。いくつかの態様では、触媒物品は、白金族金属を含む触媒組成物を更に含む。
【0012】
本発明のいくつかの態様によれば、窒素酸化物を含有する排気ガスを処理する方法は、触媒組成物の存在下で、排気ガスを窒素性還元剤と接触させること、を含み、当該触媒組成物はモレキュラーシーブを含み、当該モレキュラーシーブは交換による銅及び交換によるマンガンを含む。いくつかの態様では、窒素性還元剤は、アンモニアを含む。いくつかの態様では、接触は、約150℃~約750℃の温度で起こる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図2】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図3】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図4】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図5】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図6】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図7】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図8】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図9】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図10】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図11】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図12】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図13】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図14】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図15】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図16】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
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図17】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図18】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図19】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図20】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図21】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図22】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図23】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図24】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図25】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図26】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図27】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図28】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図29】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図30】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図31】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図32】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図33】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図34】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図35】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図36】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図37】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図38】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図39】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図40】本発明の態様の触媒及びシステムの、触媒構成を示す。これらについて、発明の詳細な説明で更に詳細に説明する。
【
図41】Cu-Mn.AEI及びCu.AEIを含むエージング前の触媒の、標準的SCR条件下でのNO
x変換率を示す。
【
図42】Cu-Mn.AEI及びCu.AEIを含むエージング前の触媒の、標準的SCR条件下でのN
2O選択性を示す。
【
図43】Cu-Mn.AEI及びCu.AEIを含むエージング後の触媒の、標準的SCR条件下でのNO
x変換率を示す。
【
図44】Cu-Mn.AEI及びCu.AEIを含むエージング後の触媒の、標準的SCR条件下でのN
2O選択性を示す。
【
図45】Cu-Mn.AEI及びCu.AEIを含む触媒の、迅速SCR条件下でのNO
x変換率を示す。
【
図46】Cu-Mn.AEI及びCu.AEIを含む触媒の、迅速SCR条件下でのN
2Oppmを示す。
【
図47】Cu-Mn.AEI及びCu.AEIを含む触媒の、低速SCR条件下でのNO
x変換率を示す。
【
図48】Cu-Mn.AEI及びCu.AEIを含む触媒の、低速SCR条件下でのN
2Oppmを示す。
【
図49】様々な二元金属触媒及び一元金属触媒の、標準的SCR条件下でのNO
x変換率を示す。
【
図50】様々な二元金属触媒及び一元金属触媒の、標準的SCR条件下でのN
2O選択性を示す。
【
図51】Mn担持量を変更した触媒の、標準的SCR条件下でのNO
x変換率を示す。
【
図52】Mn担持量を変更した触媒の、標準的SCR条件下でのN
2O選択性を示す。
【
図53】Mn担持量を変更した触媒の、低速SCR条件下でのNO
x変換率を示す。
【
図54】Mn担持量を変更した触媒の、低速SCR条件下でのN
2Oppmを示す。
【
図55】Cu担持量を変更した触媒の、標準的SCR条件下でのNO
x変換率を示す。
【
図56】Cu担持量を変更した触媒の、標準的SCR条件下でのN
2O選択性を示す。
【
図57】異なる小細孔ゼオライト触媒の、標準的SCR条件下でのNO
x変換率を示す。
【
図58】異なる小細孔ゼオライト触媒の、標準的SCR条件下でのN
2O選択性を示す。
【
図59】異なる小細孔ゼオライト触媒の、迅速SCR条件下でのNO
x変換率を示す。
【
図60】異なる小細孔ゼオライト触媒の、迅速SCR条件下でのN
2Oppmを示す。
【
図61】異なる小細孔ゼオライト触媒の、低速SCR条件下でのNO
x変換率を示す。
【
図62】異なる小細孔ゼオライト触媒の、低速SCR条件下でのN
2Oppmを示す。
【
図63】異なる中/大細孔ゼオライト触媒の、標準的SCR条件下でのNO
x変換率を示す。
【
図64】異なる中/大細孔ゼオライト触媒の、標準的SCR条件下でのN
2Oppmを示す。
【
図65】SAR値が異なる触媒の、標準的SCR条件下でのNO
x変換率を示す。
【
図66】SAR値が異なる触媒の、標準的SCR条件下でのN
2O選択性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の組成物、方法、及びシステムは、排気ガスを処理するための触媒に関する。本発明の態様の触媒組成物はモレキュラーシーブを含み、当該モレキュラーシーブは交換による銅及び交換によるマンガンを含む。本明細書で説明するように、本発明の態様の触媒組成物は、NH3とNOxとの反応を促進して、窒素及び水を生成すること、すなわち、N2O生成が少ない選択的触媒還元(SCR)を促進することが見出された。このような触媒組成物は、例えば、ディーゼルエンジンをはじめとする内燃機関からの排気ガスを処理するのに有用なものであり得る。
【0015】
触媒組成物
本発明の触媒組成物は、交換による銅及び交換によるマンガンを有するモレキュラーシーブを含む。いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、いずれの追加の遷移金属も含まない、又は本質的に含まない。例えば、いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、モレキュラーシーブの重量に基づいて約1重量%未満、約0.7重量%未満、約0.5重量%未満、約0.3重量%未満、約0.1重量%未満、約0.07重量%未満、約0.05重量%未満、又は約0.01重量%未満の量で追加の(すなわち、交換による銅及び交換によるマンガンに加えて更に)遷移金属を含有する。いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、2つの遷移金属を含むので、二元金属として記載することができる。
【0016】
モレキュラーシーブ
本発明の態様の触媒組成物は、モレキュラーシーブを含む。いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩骨格(例えば、ゼオライト)又はシリコアルミノリン酸塩骨格(例えば、SAPO)を有するモレキュラーシーブを含む、又はそれから本質的になる。いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩骨格(例えば、ゼオライト)を有するモレキュラーシーブを含む、又はそれから本質的になる。いくつかの態様では、好ましいゼオライトは、合成ゼオライトである。
【0017】
モレキュラーシーブがアルミノケイ酸塩骨格を有する(例えば、モレキュラーシーブがゼオライトである)場合、典型的には、モレキュラーシーブは、5~200(例えば10~200)、10~100(例えば10~30又は20~80)、10~50、10~30、12~40、15~30、5~20、5~15、8~15、8~13、10~15、10~20、10~40、10~60、10~80、10~100、10~150、30未満、20未満、15未満、又は13未満の、シリカとアルミナとのモル比(SAR)を有する。いくつかの態様では、好適なモレキュラーシーブは、200超、600超、又は1200超のSARを有する。いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、約1500~約2100のSARを有する。
【0018】
典型的には、モレキュラーシーブは、微孔性である。微孔性のモレキュラーシーブは、2nm未満の直径の細孔を有する(例えば、「微孔性」のIUPAC定義に従う[Pure&Appl.Chem.,66(8),(1994),1739-1758)を参照されたい])。
【0019】
モレキュラーシーブは、小細孔モレキュラーシーブ(例えば、8個の四面体原子による最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)、中細孔モレキュラーシーブ(例えば、10個の四面体原子による最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)又は大細孔モレキュラーシーブ(例えば、12個の四面体原子による最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)、又はこれらの2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0020】
いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、メソ多孔性であってもよい。メソ多孔性モレキュラーシーブは、2~50nmの直径を有する細孔を有する(例えば、「ミクロ多孔性」のIUPAC定義に従う)。
【0021】
モレキュラーシーブが小細孔モレキュラーシーブである場合、小細孔モレキュラーシーブは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、LTA、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SFW、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、又はこれらの2つ以上の混合物及び/若しくは組み合わせ及びに/若しくはインターグロースからなる群から選択される骨格型コード(FTC)によって表される骨格構造を有することができる。いくつかの態様では、小細孔モレキュラーシーブは、CHA、LEV、AEI、AFX、ERI、LTA、SFW、KFI、DDR及びITEからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。いくつかの態様では、小細孔モレキュラーシーブは、CHA、AEI、及びAFXからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。いくつかの態様では、小細孔モレキュラーシーブは、CHA及びAEIからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。小細孔モレキュラーシーブは、FTCのCHAによって表される骨格構造を有することができる。小細孔モレキュラーシーブは、FTCのAEIによって表される骨格構造を有することができる。
【0022】
モレキュラーシーブが中細孔モレキュラーシーブである場合、中細孔モレキュラーシーブは、AEL、AFO、AHT、BOF、BOZ、CGF、CGS、CHI、DAC、EUO、FER、HEU、IMF、ITH、ITR、JRY、JSR、JST、LAU、LOV、MEL、MFI、MFS、MRE、MTT、MVY、MWW、NAB、NAT、NES、OBW、PAR、PCR、PON、PUN、RRO、RSN、SFF、SFG、STF、STI、STT、STW、SVR、SZR、TER、TON、TUN、UOS、VSV、WEI及びWEN、又はこれらの2つ以上の混合物及び/若しくはインターグロースからなる群から選択される骨格型コード(FTC)によって表される骨格構造を有することができる。いくつかの態様では、中細孔モレキュラーシーブは、FER、MEL、MFI、及びSTTからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。いくつかの態様では、中細孔モレキュラーシーブは、FER及びMFIからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有し、特にMFIを有する。中細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTCのFER又はMFIによって表される骨格を有する場合、ゼオライトはフェリエライト、シリカライト、又はZSM-5であってもよい。
【0023】
モレキュラーシーブが大細孔モレキュラーシーブである場合、大細孔モレキュラーシーブは、AFI、AFR、AFS、AFY、ASV、ATO、ATS、BEA、BEC、BOG、BPH、BSV、CAN、CON、CZP、DFO、EMT、EON、EZT、FAU、GME、GON、IFR、ISV、ITG、IWR、IWS、IWV、IWW、JSR、LTF、LTL、MAZ、MEI、MOR、MOZ、MSE、MTW、NPO、OFF、OKO、OSI、RON、RWY、SAF、SAO、SBE、SBS、SBT、SEW、SFE、SFO、SFS、SFV、SOF、SOS、STO、SSF、SSY、USI、UWY及びVET、又はこれらの2つ以上の混合物及び/若しくはインターグロースからなる群から選択される骨格型コード(FTC)によって表される骨格構造を有することができる。いくつかの態様では、大細孔モレキュラーシーブは、AFI、BEA、MAZ、MOR、及びOFFからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。いくつかの態様では、大細孔モレキュラーシーブは、BEA、MOR、及びFAUからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。大細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTCのBEA、FAU又はMORによって表される骨格を有する場合、ゼオライトは、βゼオライト、フォージャサイト、ゼオライトY、ゼオライトX、又はモルデナイトであってもよい。
【0024】
いくつかの態様では、好適なモレキュラーシーブは、小細孔骨格と大細孔骨格との組み合わせを含む。いくつかの態様では、好適なモレキュラーシーブは、ZSM-34(ERI+OFF)を含む。
【0025】
遷移金属
いくつかの態様では、触媒組成物は、銅、マンガン、及び任意に、交換による第4周期の遷移金属及び/又は貴金属などの1つ以上の他の金属による、モレキュラーシーブを含む。概して、好適な他の金属は、コバルト、鉄、ニッケル、バナジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、及びレニウムからなる群から選択されてもよい。いくつかの態様では、2つ以上の交換による遷移金属は、銅及びマンガンを含む。いくつかの態様では、交換による遷移金属は、銅及びマンガンから本質的になる。いくつかの態様では、交換による遷移金属は、銅及びマンガンからなる。いくつかの態様では、他の金属は、鉄を含まない。いくつかの態様では、他の金属は、バナジウムを含まない。いくつかの態様では、他の金属は、ルテニウムを含まない。いくつかの態様では、他の金属は、ニッケルを含まない。
【0026】
遷移金属は、モレキュラーシーブの外部表面上の骨格外部位に存在してもよく、又はモレキュラーシーブのチャネル、空洞、若しくはケージ内に存在してもよい。
【0027】
いくつかの態様では、遷移金属交換モレキュラーシーブは、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.10~約10重量%の量で、又は遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.2~約5重量%の量で、遷移金属を含む。
【0028】
Cu/Mnの量
いくつかの態様では、本発明の遷移金属交換モレキュラーシーブは、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.10~約10重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.1~約7重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.2~約7重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.2~約5重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.5~約6重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約1~約7重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約1~約5重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約2~約5重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約1.5~約3重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約1.5~4重量%、又は遷移金属交換モレキュラーシーブの約2~約4重量%の合計量で、交換による銅及び交換によるマンガンを含む。
【0029】
いくつかの態様では、本発明の遷移金属交換モレキュラーシーブは、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.05~約7重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.5~約5重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.05~約5重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.1~約4重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.1~約3重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.2~約3重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.5~約2.5重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約1~約4重量%、又は遷移金属交換モレキュラーシーブの約1~約2重量%の量で、交換による銅を含む。
【0030】
いくつかの態様では、本発明の遷移金属交換モレキュラーシーブは、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.05~約7重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.05~約5重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.1~約5重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.1~約4重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.1~約3重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.2~約3重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.5~約2.5重量%、又は遷移金属交換モレキュラーシーブの約1~約2重量%の量で、交換によるマンガンを含む。
【0031】
Cu/Mnの比
いくつかの態様では、本発明の遷移金属交換モレキュラーシーブは、交換による銅と交換によるマンガンとを、約1:1の重量比で含む。いくつかの態様では、本発明の遷移金属交換モレキュラーシーブは、約0.1~約50、約0.2~約15、又は約0.33~約3の重量比で、交換による銅と交換によるマンガンとを含む。いくつかの態様では、上述の銅とマンガンとの比を利用することに加えて、金属イオンと交換部位との比の観点から、モレキュラーシーブの交換容量を、1未満、0.75未満、又は0.5未満にする必要がある。いくつかの態様では、遷移金属交換モレキュラーシーブは、1未満、0.75未満、又は0.5未満の、遷移金属とアルミニウムとの比を有する。
【0032】
本発明の触媒は、例えば、1ポット、予固定、及び噴霧乾燥をはじめとする、当該技術分野において公知の任意の好適な手段によって調製することができる。
【0033】
基材
本発明の触媒物品は、基材及び触媒組成物を含んでもよい。基材は、フロースルー基材であってもフィルタ基材であってもよい。基材は触媒組成物を含んでもよく(すなわち、触媒物品は押出によって得られる)、又は、触媒組成物が基材上に配置又は担持されてもよい(すなわち、触媒組成物は、ウォッシュコーティング法によって基材上に適用される)。触媒組成物は、所望に応じて、基材を完全に又は部分的にコーティングしてもよい。いくつかの態様では、触媒物品は、1つ以上の追加の触媒でコーティングされたCu/Mn二元金属モレキュラーシーブ押出物品を含む。いくつかの態様では、押出触媒は、1つ以上の追加のSCR触媒でコーティングされ、かかるSCR触媒は、例えば、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含んでもよい。
【0034】
いくつかの態様では、触媒物品は、触媒組成物を、約0.5~約4.0g/in3、約1.0~約3.0g/in3、又は約1.2~約2.5g/in3の総濃度で含んでもよい。
【0035】
触媒物品がフィルタ基材を有する場合、かかる触媒物品は、選択的触媒還元フィルタ触媒である。選択的触媒還元フィルタは、フィルタ基材及び触媒組成物を含む。本出願にわたり、SCR触媒の使用への言及は、該当する場合、選択的触媒還元フィルタ触媒の使用も含むと理解される。
【0036】
フロースルー基材又はフィルタ基材は、触媒/吸着剤成分を含有することが可能な基材である。基材は、好ましくはセラミック基材又は金属基材である。セラミック基材は、任意の好適な耐火性材料、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、マグネシア、ゼオライト、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸塩、メタロアルミノケイ酸塩(コーディエライト及びスポジュメン(spudomene)など)、又はこれらの任意の2つ以上の混合物若しくは混合酸化物を含んでもよい。コーディエライト、マグネシウムアルミノケイ酸塩、及び炭化ケイ素が、特に好ましい。
【0037】
金属基材は、任意の好適な金属、特にチタン及びステンレス鋼などの耐熱性金属及び金属合金、並びにその他の微量金属に加えて鉄、ニッケル、クロム、及び/又はアルミニウムを含有するフェライト合金で作製されていてもよい。
【0038】
フロースルー基材は、好ましくは、基材を通って軸方向に連続しており、かつ基材の入口又は出口から全体にわたって延びている、多くの小さな平行薄壁チャネルを有するハニカム構造を有するフロースルーモノリスである。基材のチャネル断面は、任意の形状であってもよいが、好ましくは正方形、正弦波形、三角形、矩形、六角形、台形、円形、又は楕円形である。フロースルー基材はまた、触媒を基材壁に浸透させる高多孔性のものであってもよい。
【0039】
フィルタ基材は、好ましくはウォールフローモノリスフィルタである。ウォールフローフィルタのチャネルは、交互に遮断される。このことにより、排気ガス流が入口からチャネルに入り、その後、チャネル壁を通って流れ、出口につながる異なるチャネルからフィルタを出ることができる。したがって、排気ガス流中の微小粒子は、フィルタ内に捕捉される。
【0040】
触媒組成物は、ウォッシュコート手順などの任意の公知の手段によって、フロースルー基材又はフィルタ基材に添加されてもよい。
【0041】
触媒物品が選択的触媒還元フィルタである場合、フィルタ基材は、好ましくはウォールフローフィルタ基材のモノリスであってもよい。ウォールフローフィルタ基材のモノリス(例えば、SCR-DPF)は、典型的には、60~400セル/平方インチ(cpsi)のセル密度を有する。ウォールフローフィルタ基材のモノリスは、100~350cpsi、より好ましくは200~300cpsiのセル密度を有することが好ましい。
【0042】
ウォールフローフィルタ基材のモノリスは、0.20~0.50mm、好ましくは0.25~0.35mm(例えば、約0.30mm)の壁厚(例えば、平均内部壁厚)を有することができる。
【0043】
概ね、コーティングされていないウォールフローフィルタ基材のモノリスは、50~80%、好ましくは55~75%、より好ましくは60~70%の多孔率を有する。
【0044】
コーティングされていないウォールフローフィルタ基材のモノリスは、典型的には、少なくとも5μmの平均細孔径を有する。平均細孔径は、10~40μm、例えば15~35μm、より好ましくは20~30μmであることが好ましい。
【0045】
ウォールフローフィルタ基材は、対称セル設計を有しても、非対称セル設計を有してもよい。
【0046】
選択的触媒還元フィルタの場合、概して、触媒組成物は、ウォールフローフィルタ基材のモノリスの壁内に配置されている。加えて、触媒組成物は、入口チャネルの壁上に、及び/又は出口チャネルの壁上に配置されてもよい。
【0047】
本発明の態様の触媒組成物は、好適なモノリス基材上にコーティングされてもよい。モノリス基材上にコーティングするため又は押出型基材モノリスを製造するための本発明の触媒組成物を含有するウォッシュコート組成物は、アルミナ、シリカ、(非ゼオライト)シリカ-アルミナ、天然の粘土、TiO2、ZrO2、及びSnO2からなる群から選択される結合剤を含んでもよい。概して、所望の充填濃度で触媒組成物を含む触媒物品は、ウォッシュコーティング、押出、又は当該技術分野において公知の他の方法によって調製することができる。
【0048】
方法及びシステム
本発明の方法は、窒素酸化物を含有する排気ガスを、本明細書に記載の触媒組成物の存在下で、窒素性還元剤又は炭化水素還元剤などの還元剤と接触させることによって処理することに関する。これに伴い、本発明の触媒組成物は、選択的触媒還元触媒として機能することができる。
【0049】
いくつかの態様では、窒素酸化物は、還元剤により、少なくとも100℃の温度で還元される。いくつかの態様では、本明細書に記載の触媒は、900℃超の温度で水熱安定性であることに加えて、窒素酸化物を還元剤によって広い温度範囲(例えば約150℃~750℃)で還元するのに効果的である。水熱安定性は、重負荷及び軽負荷ディーゼルエンジンからの排気ガス、特に、(任意に触媒による)ディーゼル微粒子フィルタを含む排気システムを含むエンジンからの排気ガスを処理するのに特に有用な場合があり、フィルタは、例えば、フィルタの上流の排気システムに炭化水素を噴射することにより活性に再生され、本発明に使用するためのゼオライト触媒はフィルタの下流に位置している。
【0050】
特定の態様では、本明細書に記載の触媒は、窒素酸化物を還元剤により175~550℃の温度範囲で還元するのに効果的である。別の態様では、温度範囲は、175~400℃である。いくつかの態様では、温度範囲は、275~500℃、又は250~550℃である。N2Oがガス流中に存在する場合、温度範囲はより広くてもよく、例えば、150~650℃、175~625℃、200~600℃、又は225~575℃であってもよい。
【0051】
いくつかの態様では、窒素酸化物の還元は、酸素の存在下で行われる。いくつかの態様では、窒素酸化物の還元は、酸素の非存在下で行われる。
【0052】
窒素性還元剤がアンモニア自体であってもよく、又は、窒素性還元剤の供給源は、ヒドラジン又は任意の好適なアンモニア前駆体、例えば、尿素((NH2)2CO)、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、若しくはギ酸アンモニウムであってもよい。還元剤は、リザーバ又はタンクなどの外部供給源から排気ガス流中に噴射することができ、窒素吸蔵触媒又はNOx吸着触媒、それに両方の組み合わせによってin situで供給することができる。還元剤は、SCR触媒の上流の排気ガス中に導入する必要がある。
【0053】
方法は、燃焼プロセス、例えば、内燃機関(移動体又は定置のいずれでも)、ガスタービン、及び石炭又は石油を燃料とした動力プラントに由来するガスに対して行うことができる。また、方法を使用して、精錬所のヒーター及びボイラーによる精錬、かまど、化学加工産業、コークス炉、一般廃棄物プラント、及び焼却炉、コーヒー焙煎工場などの産業プロセスからのガスを処理することができる。
【0054】
特定の態様では、方法は、車両のリーンバーン内燃機関、例えば、ディーゼルエンジン、リーンバーンガソリンエンジン、又は液体石油ガス若しくは天然ガスによって動力を得るエンジンからの、排気ガスを処理するために使用される。
【0055】
いくつかの態様では、本発明は、車両用リーンバーン内燃機関の排気システムであって、流動する排気ガスを運ぶための導管と、窒素性還元剤の供給源と、排気ガスの流路内に配置された交換による銅及び交換によるマンガンを含む触媒組成物と、触媒組成物の上流の流動する排気ガス中に窒素性還元剤を計量するための手段と、を含む、排気システムを提供する。
【0056】
システムは、使用時に計量手段を制御するための手段を含んでもよく、それにより、触媒組成物によって、所望の効率以上で、例えば100℃超、150℃超、又は175℃超の温度で、触媒によるNOx還元が可能であると判定したときのみ、流動する排気ガス中に窒素性還元剤が計量される。制御手段による判定は、排気ガス温度、触媒床温度、促進剤位置、システムにおける排気ガスの質量流量、マニホールド真空、点火タイミング、エンジン速度、排気ガスのラムダ値、エンジンに噴射される燃料量、排気ガス再循環(EGR)弁の位置、ひいてはEGR及びブースト圧力の大きさからなる群から選択されるエンジンの状態を示す、1つ以上の好適なセンサ入力によって支援することができる。
【0057】
いくつかの態様では、計量は、直接的(好適なセンサを使用して)、又は間接的のいずれかで測定される排気ガス中の窒素酸化物の量に応じて制御される。間接的判定は、例えば、排気ガスの予測NOx含有量によりエンジンの状態を示す上述の入力のうちのいずれか1つ以上を相関させる制御手段に記憶された事前相関ルックアップテーブル又はマップを使用する。
【0058】
制御手段は、電子制御ユニット(ECU)などの予めプログラムされたプロセッサを備えることができる。
【0059】
窒素性還元剤の計量については、1:1のNH3/NO及び4:3のNH3/NO2で計算されてSCR触媒に入る排気ガス中に、理論上のアンモニアの60%~200%が存在するように調整することができる。
【0060】
いくつかの態様では、窒素性還元剤を排気ガス中に計量する箇所の上流に、排気ガス中の一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するための酸化触媒を位置させることができる。いくつかの態様では、酸化触媒は、例えば、酸化触媒入口において、200℃~450℃、又は250℃~450℃の排気ガス温度で、約4:1~約1:3のNOとNO2との体積比を有してSCR触媒組成物に入るガス流を生成するように、適合される。この考えは、S.Kasaoka et al.「Effect of Inlet NO/NO2 Molar Ratio and Contribution of Oxygen in the Catalytic Reduction of Nitrogen Oxides whith Ammonia」,Nippon Kagaku Kaishi,1978,No.6,pp.874-881及び国際公開第99/39809号に開示されている。
【0061】
酸化触媒は、フロースルーモノリス基材上にコーティングされた、白金、パラジウム、又はロジウムなどの、少なくとも1つの白金族金属(又はこれらのいくつかの組み合わせ)を含んでもよい。一態様では、少なくとも1つの白金族金属は、白金、パラジウム、又は白金及びパラジウムの両方の組み合わせである。白金族金属は、アルミナ、アルミノケイ酸塩ゼオライトなどのゼオライト、シリカ、非ゼオライトシリカアルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、又はセリア及びジルコニアの両方を含有する混合若しくは複合酸化物などの高表面積ウォッシュコート成分上に担持することができる。
【0062】
いくつかの態様では、好適なフィルタ基材は、酸化触媒とゼオライト触媒との間に位置する。フィルタ基材は、上述したもののいずれか、例えばウォールフローフィルタから選択されてもよい。フィルタが、例えば、上述の種類の酸化触媒を触媒とする場合、好ましくは、窒素性還元剤の計量箇所は、フィルタとゼオライト触媒との間に位置する。あるいは、フィルタが触媒化されていない場合、窒素性還元剤を計量する手段は、酸化触媒とフィルタとの間に位置させることができ、この配置は国際公開第99/39809号に開示されていると理解される。
【0063】
いくつかの態様では、本発明に使用するための触媒組成物は、酸化触媒の下流に位置するフィルタ上にコーティングされる。フィルタが、本発明に使用するための触媒組成物を含む場合、窒素性還元剤を計量する箇所は、好ましくは酸化触媒とフィルタとの間に位置する。
【0064】
いくつかの態様では、システム構成は、NOx吸着触媒、続いて選択的触媒還元フィルタを含むものであり、選択的触媒還元フィルタは、例えば、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含んでもよい。いくつかの態様では、システム構成は、第1のSCR、続いて第2のSCRを含む。いくつかの態様では、システム構成は、選択的触媒還元フィルタ、続いてSCRを含む。いくつかの態様では、触媒構成は、SCR、続いてアンモニア酸化触媒を含む。好適な場合、このような触媒は、同じ基材上の異なるコーティングとして含まれてもよい。いくつかの態様では、SCR触媒は、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含んでもよい。
【0065】
いくつかの態様では、本発明による排気システムを備える、車両用リーンバーンエンジンが提供される。
【0066】
いくつかの態様では、車両リーンバーン内燃機関は、ディーゼルエンジン、リーンバーンガソリンエンジン、又は液体石油ガス若しくは天然ガスによって動力を得るエンジンであってもよい。
【0067】
ゾーニング及び構成
いくつかの態様では、交換による銅及び交換によるマンガンを有するモレキュラーシーブ(Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブ)を含む触媒組成物は、1つ以上の追加の触媒組成物と組み合わせることができる。このような組み合わせは、1つ又は複数の基材上のゾーニングした構成及び/又は層状構成を伴ってもよい。
【0068】
いくつかの態様では、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブは、SCR触媒及び/又はアンモニア酸化触媒などの酸化触媒として配合された、追加の触媒組成物と組み合わせることができる。いくつかの態様では、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブは、1つ以上の追加のSCR触媒と組み合わせることができる。いくつかの態様では、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブ及び追加のSCR触媒は、同じ基材上に位置することができる。いくつかの態様では、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブ及び追加のSCR触媒は、異なる基材上に位置することができる。いくつかの態様では、触媒構成は、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブとともに、同じ基材上に1つ以上の追加のSCR触媒と、別個の基材上に1つ以上の追加のSCR触媒とを含んでもよい。
【0069】
いくつかの態様では、触媒構成は、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブと、下流に位置しているSCR触媒などの追加の触媒組成物とを含んでもよい。本明細書で使用するとき、上流及び下流という用語は、排気ガスの流れと関連させて、複数の触媒の互いに対する位置を示すものと理解される。同様に、入口端及び出口端は、触媒基材の端部を排気ガスの流れに対し示すものと理解される。いくつかの態様では、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブが第1のゾーン内に存在し、SCR触媒などの追加の触媒組成物が第2のゾーン内に位置し、第1のゾーンは第2のゾーンの上流にある。いくつかの態様では、第1のゾーン及び第2のゾーンは、同じ基材上に位置している。いくつかの態様では、第1のゾーン及び第2のゾーンは、別個の基材上に位置している。
【0070】
いくつかの態様では、触媒構成は、第1の上流ゾーンにはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、別個の基材上の第2のゾーンの下流にはSCR触媒などの追加の触媒が位置してもよい。例えば、
図1は、上流基材上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有しており、別個の下流基材上にはCuモレキュラーシーブを有している、触媒構成を示す。
【0071】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の上流部分上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、同じ基材の下流部分上にはSCR触媒などの追加の触媒が位置するものであってもよい。いくつかの態様では、基材の上流部分及び下流部分上に位置するこれらの触媒組成物は、部分的に重なり合っていてもよい。例えば、
図2は、基材の上流部分上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有しており、同じ基材の下流部分上にはCuモレキュラーシーブを有している、触媒構成を示す。
図2に示すように、上流及び下流触媒組成物は部分的に重なり合っており、Cuモレキュラーシーブは、基材の下流端から基材の長さの100%未満を覆って適用され、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブは、基材の上流端から基材の長さの100%未満を覆って適用された。
【0072】
いくつかの態様では、触媒構成は、上流に位置するSCR触媒などの追加の触媒と、下流に位置している別個の基材上のCu/Mn二元金属モレキュラーシーブとを含んでもよい。いくつかの態様では、触媒構成は、上流の追加の触媒と下流のCu/Mn二元金属モレキュラーシーブとの間に位置する更なる触媒を含んでもよい。例えば、
図3aは、上流基材上にはFeモレキュラーシーブを有しており、別個の下流基材上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有している、触媒構成を示す。
図3bは、上流基材上にはFeモレキュラーシーブを有しており、別個の下流基材上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有しており、これらの2つの間には追加の触媒が位置している、触媒構成を示す。
【0073】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の上流部分上にはSCR触媒などの追加の触媒を含み、同じ基材の下流部分上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブが位置しているものであってもよい。いくつかの態様では、基材の上流部分及び下流部分上に位置するこれらの触媒組成物は、部分的に重なり合っていてもよい。例えば、
図4は、基材の上流部分上にはFeモレキュラーシーブを有しており、同じ基材の下流部分上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有している、触媒構成を示す。
図4に示すように、上流及び下流触媒組成物は部分的に重なり合っており、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブは基材の下流端から適用され基材の長さの100%未満を覆い、Feモレキュラーシーブは基材の上流端から適用され基材の長さの100%未満を覆っていた。
【0074】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の上流部分上にはSCR触媒などの追加の触媒を有しており、同じ基材の下流部分上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブが位置している、第1の基材と、続いてSCR触媒などの更なる触媒を有している第2の基材と、を含む。いくつかの態様では、第1の基材の上流部分及び下流部分上に位置するこれらの触媒組成物は、部分的に重なり合っていてもよい。例えば、
図5aは、基材の上流部分上にはFeモレキュラーシーブを有しており、同じ基材の下流部分上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有している、第1の基材と、続いて第1の基材の下流に位置しており、Cuモレキュラーシーブを有する、別個の基材と、を有する触媒構成を示す。
図5に示すように、第1の基材上の上流及び下流触媒組成物は部分的に重なり合っており、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブは、基材の下流端から適用され基材の長さの100%未満を覆い、Feモレキュラーシーブは、基材の上流端から適用され基材の長さの100%未満を覆っていた。
図5bは、第1の基材と下流基材との間に位置する追加の触媒を含んでいる他は
図5aと同じである構成を示す。
【0075】
いくつかの態様では、触媒構成は、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有する第1の基材と、続いてSCR触媒などの1つ以上の追加の触媒を有する第2の基材とを含んでいる。いくつかの態様では、第2の基材は、第2の基材の上流部分上に位置する上流触媒と、第2の基材の下流部分上に位置する下流触媒と、を含んでいる。いくつかの態様では、第2の基材の上流部分及び下流部分上に位置するこれらの触媒組成物は、部分的に重なり合っていてもよい。
図6aは、Cu/Mn二元金属基材を有する第1の上流基材と、これに続いて基材の上流部分上にFeモレキュラーシーブを有しており、かつ下流部分上にCuモレキュラーシーブを有している、第2の基材と、を有する、触媒構成を示す。
図6に示すように、第2の基材上の上流及び下流触媒組成物は部分的に重なり合っており、Cuモレキュラーシーブは、基材の下流端から適用され基材の長さの100%未満を覆い、Feモレキュラーシーブは、基材の上流端から適用され基材の長さの100%未満を覆っていた。
図6bは、Cu/Mn二元金属基材を有する第1の上流基材と、基材の上流部分上にはFeモレキュラーシーブを有しており、かつ下流部分上にはCuモレキュラーシーブを有している、別個の下流基材と、を有しており、第1の基材と下流基材との間には追加の触媒が位置する、触媒構成を示す。
【0076】
いくつかの態様では、前述の触媒構成のいずれかは、当該構成における1つ以上の基材上に、基材の出口端から入口端に向かって基材の全長未満を覆う下層において適用された白金族金属(「PGM触媒」)を含む、触媒組成物を更に含んでもよい。白金族金属を含む触媒組成物は、例えば、Ptアルミナ、又はPtゼオライト+Cuゼオライトのブレンドを含んでもよい。
【0077】
例えば、いくつかの態様では、触媒構成は、第1の上流ゾーンにはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、下流の別個の基材上の第2のゾーンにはSCR触媒などの追加の触媒が位置してもよく、別個の基材は、基材の出口端から基材の入口端に向かう下層において適用された白金族金属を含んでいる。例えば、
図7は、上流基材上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有しており、別個の下流基材上にはCuモレキュラーシーブを有しており、当該別個の基材は、当該下流基材の出口端から入口端に向けて当該基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒を含んでいる、触媒構成を示す。
【0078】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の上流部分上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含んでおり、同じ基材の下流部分上にはSCR触媒などの追加の触媒が位置しており、かつ基材の出口端から基材の入口端に向かって基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒を含んでいるものであってもよい。いくつかの態様では、基材の上流部分及び下流部分上に位置するこれらの触媒組成物は、部分的に重なり合ってもよい。例えば、
図8は、基材の上流部分上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有しており、同じ基材の下流部分上にはCuモレキュラーシーブを有しており、かつ基材の出口端から基材の入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層においてPGM触媒を有している、触媒構成を示す。
図8に示すように、上流及び下流触媒組成物は部分的に重なり合っており、Cuモレキュラーシーブは基材の下流端から適用され基材の長さの100%未満を覆い、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブは基材の上流端から適用され基材の長さの100%未満を覆っていた。
【0079】
いくつかの態様では、触媒構成は、上流に位置するSCR触媒などの追加の触媒と、下流の別個の基材上に位置しているCu/Mn二元金属モレキュラーシーブと、を含み、いずれかの又は両方の基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層においてPGM触媒が適用されているものであってもよい。いくつかの態様では、触媒構成は、上流の追加の触媒と下流のCu/Mn二元金属モレキュラーシーブとの間に位置する更なる触媒を含んでもよい。例えば、
図9aは、上流基材上にはFeモレキュラーシーブを有しており、かつ別個の下流基材上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有しており、下流基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層においてPGM触媒が適用されている、触媒構成を示す。
図9bは、上流基材上にはFeモレキュラーシーブを有しており、かつ別個の下流基材上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有しており、これらの2つの間には追加の触媒が位置しており、上流基材の出口端から基材の入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層においてPGM触媒が適用されており、下流基材の出口端から基材の入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層においてPGM触媒が適用されている、触媒構成を示す。
【0080】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の上流部分上にはSCR触媒などの追加の触媒を含み、同じ基材の下流部分上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブが位置しており、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層においてPGM触媒が適用されるものであってもよい。いくつかの態様では、基材の上流部分及び下流部分上に位置するこれらの触媒組成物は、部分的に重なり合っていてもよい。例えば、
図10は、基材の上流部分上にはFeモレキュラーシーブを有しており、同じ基材の下流部分上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有しており、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層においてPGM触媒が適用されている、触媒構成を示す。
図10に示すように、上流及び下流触媒組成物は部分的に重なり合っており、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブは、基材の下流端から適用され基材の長さの100%未満を覆い、Feモレキュラーシーブは、基材の上流端から適用され基材の長さの100%未満を覆っていた。
【0081】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の上流部分上にはSCR触媒などの追加の触媒を有しており、同じ基材の下流部分上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブが位置している、第1の基材と、続いてSCR触媒などの更なる触媒を有している第2の機材とを含み、いずれかの又は両方の基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層にはPGM触媒が適用されているものである。いくつかの態様では、第1の基材の上流部分及び下流部分上に位置するこれらの触媒組成物は、部分的に重なり合っていてもよい。例えば、
図11aは、基材の上流部分上にはFeモレキュラーシーブを有しており、同じ基材の下流部分上にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有している第1の基材と、Cuモレキュラーシーブを有しており、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層においてPGM触媒を含む、別個の基材と、を有しており、当該別個の基材は第1の基材から下流に位置している、触媒構成を示す。
図11に示すように、第1の基材上の上流及び下流触媒組成物は部分的に重なり合っており、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブは、基材の下流端から適用され基材の長さの100%未満を覆い、Feモレキュラーシーブは、基材の上流端から適用され基材の長さの100%未満を覆っていた。
図11bは、第1の基材と下流基材との間に位置する追加の触媒を含み、かつ上流基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒も含む他は
図11aと同じである、構成を示す。
【0082】
いくつかの態様では、触媒構成は、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有する第1の基材、続いてSCR触媒などの1つ以上の追加の触媒を有する第2の基材を含んでいる。いくつかの態様では、第2の基材は、第2の基材の上流部分上に位置する上流触媒と、第2の基材の下流部分上に位置する下流触媒と、を含み、いずれかの又は両方の基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層においてPGM触媒が適用されている。いくつかの態様では、第2の基材の上流部分及び下流部分上に位置するこれらの触媒組成物は、部分的に重なり合っていてもよい。
図12aは、Cu/Mn二元金属基材を有する第1の上流基材と、続いて第2の基材とを有しており、第2の基材の上流部分上にはFeモレキュラーシーブを有しており、かつ第2の基材の下流部分上にはCuモレキュラーシーブを有しており、第2の基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層においてPGM触媒が適用されている、触媒構成を示す。
図12に示すように、第2の基材の上流及び下流触媒組成物は部分的に重なり合っており、Cuモレキュラーシーブは、基材の下流端から適用され基材の長さの100%未満を覆い、Feモレキュラーシーブは、基材の上流端から適用され基材の長さの100%未満を覆っていた。
図12bは、Cu/Mn二元金属基材を有する第1の上流基材と、基材の上流部分上にはFeモレキュラーシーブを有しており、その基材の下流部分上にはCuモレキュラーシーブを有している、別個の下流基材と、を有しており、上流基材及び下流基材の各々の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層においてPGM触媒が適用されており、第1の基材と下流の基材との間に追加の触媒が位置している、触媒構成を示す。
【0083】
いくつかの態様では、触媒構成は、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブが上層にあり、SCR触媒などの追加の触媒が下層にある、層状構成を含む。いくつかの態様では、上層及び下層の両方が、基材の全長に延びている。例えば、
図13は、基材の全長に延びる上層にCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有し、基材の全長に延びる下層にCuモレキュラーシーブを有する触媒構成を示す。
【0084】
いくつかの態様では、触媒構成は、SCR触媒などの触媒を含む上層と、上流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、かつ下流部分にはSCR触媒などの別の触媒を含む下層と、を有する、層状構成を含む。例えば、
図14は、Feモレキュラーシーブを含む上層と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆う上流部分にCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含んでおり、かつ基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆うCuモレキュラーシーブも含んでいる、下層と、を有する、触媒構成を示す。
図14に示すように、下層の上流及び下流触媒組成物は、部分的に重なり合っていてもよい。
【0085】
いくつかの態様では、触媒構成は、SCR触媒などの触媒を有する下層と、上流部分にはSCR触媒などの触媒を有しており、かつ下流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有している上層と、を含むものであってもよい。例えば、
図15は、Cuモレキュラーシーブを含む下層と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆う上流部分にはFeモレキュラーシーブを含んでおり、かつ基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブも含んでいる、上層と、を有する、触媒構成を示す。
図15に示すように、上層の上流及び下流触媒組成物は、部分的に重なり合っていてもよい。
【0086】
いくつかの態様では、触媒構成は、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む上層と、上流部分にSCR触媒などの触媒を含んでおり、下流部分にSCR触媒などの別の触媒を含んでいる下層と、を含む、層状構成を含む。例えば、
図16は、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む上層と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆う上流部分にFeモレキュラーシーブを含んでおり、かつ基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆うCuモレキュラーシーブも含んでいる下層と、を有する、触媒構成を示す。
図16に示すように、下層の上流及び下流触媒組成物は、部分的に重なり合っていてもよい。
【0087】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒と、基材の全長を覆い、また、PGM触媒を覆うSCR触媒などの追加の触媒を有する次の層とを含み、上層にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む、層状構成を含む。例えば、
図17は、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒をと、基材の全長に延びPGM触媒を覆っているCuモレキュラーシーブと、基材の全長に延びCuモレキュラーシーブを覆う上層に含まれるCu/Mn二元金属モレキュラーシーブと、を有する、触媒構成を示している。
【0088】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層において適用されているPGM触媒と、上流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含んでおり、下流部分にはPGM触媒を覆っているSCR触媒などの別の触媒を含む層と、SCR触媒などの触媒を含んでいる上層と、を有する、層状構成を含む。例えば、
図18は、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒と、基材の入口端から出口端に向けて延び全長未満を覆う上流部分にCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、かつ基材の出口端から入口端に向かって延びてPGM触媒を覆いかつ基材の全長未満を覆う部分にCuモレキュラーシーブも含む、次の層と、Feモレキュラーシーブを含んでいる上層と、を有する、触媒構成を示す。
図18に示すように、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブ及びCuモレキュラーシーブ触媒は、部分的に重なり合っていてもよい。
【0089】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う、下層において適用されたPGM触媒と、SCR触媒などの触媒を有しており基材の全長に延びてPGM触媒を覆っている次の層と、上流部分にはSCR触媒などの触媒を有しており、下流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有している上層と、を含むものであってもよい。例えば、
図19は、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う、下層において適用されたPGM触媒と、基材の全長に延びてPGM触媒を覆っており、Cuモレキュラーシーブを含む、次の層と、基材の入口端から出口端に向かって延びて全長未満を覆っている上流部分にFeモレキュラーシーブを含み、かつ、基材の出口端から入口端に向かって延びて基材の全長未満を覆っている基材の下流部分にCu/Mn二元金属モレキュラーシーブも含む、上層と、を有する、触媒構成を示す。
図19に示すように、上層の上流及び下流触媒組成物は、部分的に重なり合っていてもよい。
【0090】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒と、上流部分にはSCR触媒などの触媒を含んでおり、かつ下流部分ではSCR触媒などの別の触媒を含んでPGM触媒を覆っている層と、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含んでいる上層と、を有する層状構成を含む。例えば、
図20は、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒と、基材の入口端から出口端に向かって延びて全長未満を覆う上流部分にはFeモレキュラーシーブを含んでおり、基材の出口端から入口端に向かって延びてPGM触媒を覆いかつ基材の全長未満を覆う部分にはCuモレキュラーシーブも含む、次の層と、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み基材の全長に延びている上層と、を有する、触媒構成を示す。
図20に示すように、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブ及びCuモレキュラーシーブ触媒は、部分的に重なり合っていてもよい。
【0091】
いくつかの態様では、触媒構成は、入口端から基材の出口端に向かって延び基材の全長未満を覆う上層にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有しており、かつ下層にはSCR触媒などの追加の触媒を有する、層状構成を含む。いくつかの態様では、上層及び下層の両方が、基材の全長に延びている。例えば、
図21は、基材の入口端から出口端に向かって延びて基材の全長未満を覆う上層にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有し、かつ基材の全長に延びる下層にはCuモレキュラーシーブを有する、触媒構成を示す。
【0092】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の入口端から出口端に向かって延びて全長未満を覆っており、SCR触媒などの触媒を含む、上層と、上流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含んでおり、かつ下流部分にはSCR触媒などの別の触媒を含んでいる、下層と、を有する、層状構成を含む。例えば、
図22は、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆っており、Feモレキュラーシーブを含む、上層と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆う上流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含んでおり、かつ基材の出口端から入口端に向かって延びており基材の全長未満を覆うCuモレキュラーシーブも含む、下層と、を有する、触媒構成を示す。
図22に示すように、下層の上流及び下流触媒組成物は、部分的に重なり合っていてもよい。
【0093】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の入口端から出口端に向かって延び、基材の全長未満を覆っているCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む、上層と、上流部分にはSCR触媒などの触媒を含んでおり、かつ下流部分にはSCR触媒などの別の触媒を含んでいる、下層と、を有する、層状構成を含む。例えば、
図23は、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆っており、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む、上層と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆う上流部分にFeモレキュラーシーブを含んでおり、かつ基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆っているCuモレキュラーシーブも含む、下層と、を有する、触媒構成を示している。
図23に示すように、下層の上流及び下流触媒組成物は、部分的に重なり合っていてもよい。
【0094】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒と、基材の全長を覆いかつPGM触媒を覆っているSCR触媒などの追加の触媒を有している次の層と、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆っている上層に含まれるCu/Mn二元金属モレキュラーシーブと、を有する、層状構成を含む。例えば、
図24は、基材の出口端から入口端に向かって延び、基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒と、基材の全長に延びておりPGM触媒を覆っているCuモレキュラーシーブと、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆っている上層に含まれるCu/Mn二元金属モレキュラーシーブと、を有する、触媒構成を示す。
【0095】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒と、上流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、かつ下流部分ではSCR触媒などの別の触媒を含んでPGM触媒を覆っている層と、入口端から基材の出口端に向かって延び、基材の全長未満を覆っているSCR触媒などの触媒を含む上層と、を有する、層状構成を含む。例えば、
図25は、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆っている上流部分にCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、基材の出口端から入口端に向かって延びてPGM触媒を覆いかつ基材の全長未満を覆う部分にCuモレキュラーシーブを含む、次の層と、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆っている、Feモレキュラーシーブを含む上層と、を有する、触媒構成を示している。
図25に示すように、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブ及びCuモレキュラーシーブ触媒は、部分的に重なり合っていてもよい。
【0096】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒と、上流部分にはSCR触媒などの触媒を含み、下流部分ではSCR触媒などの別の触媒を含んでPGM触媒を覆っている層と、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆っている、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む、上層と、を有する、層状構成を含む。例えば、
図26は、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆っている上流部分にFeモレキュラーシーブを含み、基材の出口端から入口端に向かって延びてPGM触媒を覆っておりかつ基材の全長未満を覆う部分にCuモレキュラーシーブも含む、次の層と、基材の入口端から出口端に向かって延びて基材の全長未満を覆っており、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む、上層と、を有する、触媒構成を示す。
図26に示すように、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブ及びCuモレキュラーシーブ触媒は、部分的に重なり合っていてもよい。
【0097】
いくつかの態様では、触媒構成は、上層にCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有し、下層にSCR触媒などの追加の触媒を有する、第1の上流基材と、SCR触媒などの追加の触媒を有する別個の下流基材と、を有する、層状構成及び複数の基材を含む。いくつかの態様では、触媒構成は、第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を含む。例えば、
図27aは、基材の全長に延びる上層にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有し、基材の全長に延びる下層にはCuモレキュラーシーブを有する、第1の上流基材と、Cuモレキュラーシーブを含む下流基材と、を有する、触媒構成を示す。
図27bは、
図27aの第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を更に含む、触媒構成を示している。
【0098】
いくつかの態様では、触媒構成は、SCR触媒などの触媒を含む上層と、上流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、かつ下流部分にはSCR触媒などの別の触媒を含む下層と、を有する、第1の上流基材、及びSCR触媒などの追加の触媒を有している別個の下流基材、を有する、層状構成及び複数の基材を含む。いくつかの態様では、触媒構成は、第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を含む。例えば、
図28aは、Feモレキュラーシーブを含む上層と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆う上流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、かつ基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う部分にはCuモレキュラーシーブも含む、下層と、を有する、第1の上流基材、及びCuモレキュラーシーブを含む下流基材、を有する、触媒構成を示す。
図28に示すように、下層の上流及び下流触媒組成物は、部分的に重なり合っていてもよい。
図28bは、
図28aの第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を更に含む、触媒構成を示している。
【0099】
いくつかの態様では、触媒構成は、SCR触媒などの触媒を有する下層と、上流部分にはSCR触媒などの触媒を有しかつ下流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有する上層と、を有する、第1の上流基材、及びSCR触媒などの追加の触媒を有する別個の下流基材、を含んでもよい。いくつかの態様では、触媒構成は、第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を含む。例えば、
図29aは、Cuモレキュラーシーブを含む下層と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆う上流部分にはFeモレキュラーシーブを含み、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブも含む、上層と、を有する、第1の上流基材、及びCuモレキュラーシーブを含む下流基材、を有する、触媒構成を示す。
図29bは、
図29aの第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を更に含む、触媒構成を示している。
【0100】
いくつかの態様では、触媒構成は、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む上層と、上流部分にはSCR触媒などの触媒を含み、かつ下流部分にはSCR触媒などの別の触媒を含む、下層と、を有する、第1の上流基材、及びSCR触媒などの追加の触媒を有する別個の下流基材、を有する、複数の基材を有する層状構成を含む。いくつかの態様では、触媒構成は、第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を含む。例えば、
図30aは、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む上層と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆う上流部分にはFeを含み、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆っている部分にはCuモレキュラーシーブも含む、下層と、を有する、第1の上流基材、及びCuモレキュラーシーブを含む下流基材を有する、触媒構成を示す。
図30bは、
図30aの第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を更に含む、触媒構成を示している。
【0101】
いくつかの態様では、触媒構成は、上層にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有し、下層にはSCR触媒などの追加の触媒を有する第1の上流基材と、SCR触媒などの追加の触媒を有する、別個の下流基材と、を有しており、いずれか又は両方の基材の出口端から入口端に向かって延びかつ基材の全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒を更に有する、層状構成及び複数の基材を含む。いくつかの態様では、触媒構成は、第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を含む。例えば、
図31aは、基材の全長に延びる上層にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有しており、基材の全長に延びる下層にはCuモレキュラーシーブを有する、第1の上流基材、並びに基材の出口端から入口端に向かって延びかつ基材の全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒と、PGM触媒及び基材の全長を覆うCuモレキュラーシーブを含む上層とを含む、下流基材、を有する、触媒構成を示す。
図31bは、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒と、基材の全長に延びかつPGM触媒を覆っているCuモレキュラーシーブと、基材の全長に延びかつCuモレキュラーシーブを覆っている上層に含まれるCu/Mn二元金属モレキュラーシーブと、を有する、触媒構成を含む、第1の上流基材、並びに基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満に延びている下層において適用されたPGM触媒と、PGM触媒及び基材の全長を覆っておりCuモレキュラーシーブを含む上層と、を含む、下流基材、並びに第1の上流基材と下流基材との間に更に含まれる追加の触媒、を示す。
【0102】
いくつかの態様では、触媒構成は、SCR触媒などの触媒を含む上層と、上流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、下流部分にはSCR触媒などの別の触媒を含む下層と、を有する第1の上流基材、並びにSCR触媒などの追加の触媒を有する別個の下流基材、を有しており、いずれか又は両方の基材の出口端から入口端に向かって延びかつ基材の全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒を更に有する、層状構成及び複数の基材を含む。いくつかの態様では、触媒構成は、第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を含む。例えば、
図32aは、Feモレキュラーシーブを含む上層と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆う上流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、かつ基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う部分にはCuモレキュラーシーブも含む、下層と、を有する、第1の上流基材、並びに基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒と、PGM触媒及び基材の全長を覆っているCuモレキュラーシーブを含む上層と、を含む、下流基材、を有する、触媒構成を示す。
図32bは、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆っている下層において適用されたPGM触媒と、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆っている上流部分にCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、基材の出口端から入口端に向かって延びてPGM触媒を覆いかつ基材の全長未満を覆う部分にCuモレキュラーシーブを含む、次の層と、Feモレキュラーシーブを含む上層と、を含む、第1の上流基材、並びには、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒と、PGM触媒及び基材の全長を覆うCuモレキュラーシーブを含む、上層と、を含む下流基材、並びに第1の上流基材と下流基材との間に更に含まれる追加の触媒、を示す。
【0103】
いくつかの態様では、触媒構成は、SCR触媒などの触媒を有する下層と、上流部分にはSCR触媒などの触媒を有し、かつ下流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有する上層と、を有する、第1の上流基材、並びにSCR触媒などの追加の触媒を有する、別個の下流基材、並びに更に、いずれか又は両方の基材の出口端から入口端に向かって延びかつ基材の全長未満に延びている下層において適用されたPGM触媒、を含んでもよい。いくつかの態様では、触媒構成は、第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を含む。例えば、
図33aは、Cuモレキュラーシーブを含む下層と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆う上流部分にはFeモレキュラーシーブを含み、かつ基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む、上層と、を有する第1の上流基材、並びに基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満に延びている下層において適用されたPGM触媒と、PGM触媒及び基材の全長を覆っているCuモレキュラーシーブを含む上層と、を含む、下流基材、を有する、触媒構成を示す。
図33bは、基材の出口端から入口端に向かって延びており基材の全長未満を覆っている下層において適用されたPGM触媒と、基材の全長に延びてPGM触媒を覆っているCuモレキュラーシーブを含む、次の層と、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆う上流部分にはFeモレキュラーシーブを含み、かつ基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う基材の下流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブも含む、上層と、を含む、第1の上流基材、並びに基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒と、PGM触媒及び基材の全長を覆うCuモレキュラーシーブを含む上層と、を含む、下流基材、並びに第1の上流基材と下流基材との間に更に含まれる追加の触媒、を示す。
【0104】
いくつかの態様では、触媒構成は、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む上層と、上流部分にはSCR触媒などの触媒を含み、かつ下流部分にはSCR触媒などの別の触媒を含む、下層と、を有する、第1の上流基材、並びにSCR触媒などの追加の触媒を有している別個の下流基材を含み、並びにいずれか又は両方の基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒を更に有している、複数の基材を有する層状構成を含む。いくつかの態様では、触媒構成は、第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を含む。例えば、
図34aは、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む上層と、基材入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆う上流部分にはFeモレキュラーシーブを含み、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆っている部分にはCuモレキュラーシーブも含む、下層と、を有する、第1の上流基材、並びに基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満に延びている下層において適用されたPGM触媒と、PGM触媒及び基材の全長を覆っているCuモレキュラーシーブを含む上層と、を含む、下流基材、を有する、触媒構成を示す。
図34bは、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒と、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆う上流部分にはFeモレキュラーシーブを含み、基材の出口端から入口端に向かって延びてPGM触媒を覆い、かつ基材の全長未満を覆う部分にはCuモレキュラーシーブも含む次の層と、基材の全長に延びており、Cu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む、上層と、を有する、第1の上流基材、並びに基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒と、PGM触媒及び基材の全長を覆っているCuモレキュラーシーブを含む上層と、を含む、下流基材を有しており、第1の上流基材と下流側基材との間に追加の触媒を含んでいる、触媒構成を示す。
【0105】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆っている上層にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有しており、かつ下層にはSCR触媒などの追加の触媒を有している、第1の上流基材、並びにSCR触媒などの追加の触媒を有する別個の下流基材、を含む、層状構成及び複数の基材を含む。いくつかの態様では、触媒構成は、第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を含む。例えば、
図35aは、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆っている上層にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有しており、かつ基材の全長に延びている下層にはCuモレキュラーシーブを有している、第1の上流基材と、Cuモレキュラーシーブを含んでいる下流基材と、を有する触媒構成を示す。
図35bは、
図35aの第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を更に含む、触媒構成を示している。
【0106】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆う、SCR触媒などの触媒を含む上層と、上流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、かつ下流部分にはSCR触媒などの別の触媒を含む、下層と、を有する、第1の上流基材、並びにSCR触媒などの追加の触媒を有している別個の下流基材を含む、層状構成及び複数の基材を含む。いくつかの態様では、触媒構成は、第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を含む。例えば、
図36aは、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆う、Feモレキュラーシーブを含む上層と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆う上流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆っている部分にはCuモレキュラーシーブも含む、下層と、を有する、第1の上流基材、並びにCuモレキュラーシーブを含む下流基材、を有する、触媒構成を示す。
図36に示すように、下層の上流及び下流触媒組成物は、部分的に重なり合っていてもよい。
図36bは、
図36aの第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を更に含む、触媒構成を示している。
【0107】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆うCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む上層と、上流部分にはSCR触媒などの触媒を含み、かつ下流部分にはSCR触媒などの別の触媒を含む、下層と、を有する、第1の上流基材、並びにSCR触媒などの追加の触媒を有する別個の下流基材、を有する、複数の基材を有する層状構成を含む。いくつかの態様では、触媒構成は、第1の上流基材と下流側基材との間に追加の触媒を含む。例えば、
図37aは、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆うCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む上層と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆う上流部分にはFeモレキュラーシーブを含み、かつ基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆っている部分にはCuモレキュラーシーブも含む、下層と、を有する、第1の上流基材、並びにCuモレキュラーシーブを含む下流基材、を有する、触媒構成を示す。
図37bは、
図37aの第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を更に含む、触媒構成を示している。
【0108】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆う上層にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有しており、下層にはSCR触媒などの追加の触媒を有する、第1の上流基材と、SCR触媒などの追加の触媒を有している別個の下流基材と、を含み、いずれか又は両方の基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒を更に有している、層状構成及び複数の基材を含む。いくつかの態様では、触媒構成は、第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を含む。例えば、
図38aは、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆う上層にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有しており、かつ基材の全長に延びる下層にはCuモレキュラーシーブを有している、第1の上流基材、並びに基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒と、PGM触媒及び基材の全長を覆っておりCuモレキュラーシーブを含む上層と、を含む、下流基材、を有する、触媒構成を示す。
図38bは、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒と、基材の全長に延びPGM触媒を覆っているCuモレキュラーシーブと、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆っている上層に含まれるCu/Mn二元金属モレキュラーシーブと、を有する触媒構成を含む第1の上流基材、並びに基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒と、PGM触媒及び基材の全長を覆っているCuモレキュラーシーブを含む上層と、を含む下流基材、並びに第1の上流基材と下流側基材との間に更に含まれる追加の触媒、を示す。
【0109】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆うSCR触媒などの触媒を含む上層と、上流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、かつ下流部分にはSCR触媒などの別の触媒を含む、下層と、を有する、第1の上流基材、並びにSCR触媒などの追加の触媒を有している別個の下流基材、を有しており、いずれか又は両方の基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒を更に有している、層状構成及び複数の基材を含む。いくつかの態様では、触媒構成は、第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を含む。例えば、
図39aは、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆うFeモレキュラーシーブを含む上層と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆う上流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層にはCuモレキュラーシーブも含む、下層と、を有する、第1の上流基材、並びに基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒と、PGM触媒及び基材の全長を覆っているCuモレキュラーシーブを含む上層と、を含む、下流基材、を有する、触媒構成を示す。
図39bは、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層に適用されたPGM触媒と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆う上流部分にはCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含み、かつ基材の出口端から入口端に向かって延びてPGM触媒を覆いかつ基材の全長未満を覆っている部分にはCuモレキュラーシーブも含む、次の層と、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆ってFeモレキュラーシーブを含む、上層と、を含む、第1の上流基材、並びに基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒と、PGM触媒及び基材の全長を覆っておりCuモレキュラーシーブを含む、上層と、を含む、下流基材、並びに第1の上流基材と下流側基材との間に更に含まれる追加の触媒、を示す。
【0110】
いくつかの態様では、触媒構成は、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆うCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを有する上層と、上流部分にはSCR触媒などの触媒を含み、下流部分にはSCR触媒などの別の触媒を含む、下層と、を有する第1の上流基材、並びにSCR触媒などの追加の触媒を有している別個の下流基材、を有しており、いずれか又は両方の基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒を更に有している、複数の基材を有する層状構成を含む。いくつかの態様では、触媒構成は、第1の上流基材と下流基材との間に追加の触媒を含む。例えば、
図40aは、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆うCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む上層と、基材の入口端から出口端に向かって延び全長未満を覆う上流部分にはFeモレキュラーシーブを含み、かつ基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆うCuモレキュラーシーブも含む、下層と、を有する、第1の上流基材、並びに基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒と、PGM触媒及び基材の全長を覆っているCuモレキュラーシーブを含む上層と、を含む、下流基材、を有する、触媒構成を示す。
図40bは、基材の出口端から入口端に向かって延び基材の全長未満を覆う下層において適用されたPGM触媒と、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆う上流部分にはFeモレキュラーシーブを含み、基材の出口端から入口端に向かって延びPGM触媒を覆いかつ基材の全長未満を覆う部分にはCuモレキュラーシーブも含む、次の層と、基材の入口端から出口端に向かって延び基材の全長未満を覆っているCu/Mn二元金属モレキュラーシーブを含む、上層と、を有する、第1の上流基材、並びに基材の出口端から基材の入口端に向かって延び全長未満に延びる下層において適用されたPGM触媒と、PGM触媒及び基材の全長を覆ってCuモレキュラーシーブを含む上層と、を含む、下流基材、を有しており、第1の上流基材と下流側基材との間に追加の触媒を更に含んでいる、触媒構成を示す。
【0111】
効果
驚くべきことに、交換による銅及び交換によるマンガンを有するモレキュラーシーブを含む、本発明の態様の触媒組成物は、選択的触媒還元プロセスに明確な利点を有することが判明した。このような触媒組成物は、NH3とNOxとの反応を促進して、窒素及び水を生成させること、すなわち、N2O生成が少ない選択的触媒還元(SCR)を促進することが判明している。加えて、かかる触媒組成物は、活性化を促進すること、及びN2O選択性を低下させること、並びに900℃のエージングに対し、NOx変換率及びN2O選択性を依然として維持しながらも安定なものであることが判明している。エージングとしては、例えば、4.5%のH2Oで5時間が挙げられる。例えば、二元金属Cu/Mnモレキュラーシーブは、典型的なSCR条件下で、一元金属Cuモレキュラーシーブ、一元金属Mnモレキュラーシーブ、及び物理的に混合されたCuモレキュラーシーブ/Mnモレキュラーシーブと比較して同様又は改善された活性及び改善された選択性を示すことが判明している。このような比較は、同じ又は実質的に同じ総量の遷移金属を含有するモレキュラーシーブを参照するものであると理解される。このような結果により、礎的反応段階をバランスし、性能を最適化することを目的として、活性部位をバランシングする理論を裏付けることができる。
【0112】
以下の考察では、N2O選択性については、生成したN2Oのモル数を、変換したNOx(NOxはNO及びNO2と定義)のモル数で除算したものとして定義し、平均N2O選択性については、150℃~500℃の試験温度範囲にわたって平均化したN2O選択性として定義する。平均N2O生成については、150℃~500℃の試験温度範囲での平均N2O生成量として定義し、総NOx変換率については、150℃~500℃の試験温度範囲での平均NOx変換率(%)として定義する。
【0113】
標準的SCR
本発明の触媒組成物は、標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブなどの一元金属モレキュラーシーブと比較したときに、顕著に少ないN2Oを生成すること、及び同様の又はより高いNOx変換率を与えることが見出された。標準的SCR条件は、例えば、500ppmのNH3、500ppmのNO、0ppmのNO2、14%のO2、4.6%のH2O、5.0%のCO2、及び残部のN2を、90K/時の空間速度で含んでもよい。
【0114】
いくつかの態様では、本発明の触媒組成物は、標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約33%少ないN2Oを生成し、かつ同様の総NOx変換率を与える。いくつかの態様では、本発明の触媒組成物は、標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約20%~約45%、約25%~約40%、又は約30%~約35%少ないN2Oを生成する。
【0115】
いくつかの態様では、本発明の触媒組成物は、標準的SCR条件下で、Mn交換モレキュラーシーブと比較して約65%少ないN2Oを生成し、かつ約45%多く総NOxを変換する。いくつかの態様では、本発明の触媒組成物は、標準的SCR条件下で、Mn交換モレキュラーシーブよりも約50%~約80%、約55%~約75%、又は約60%~約70%少ないN2Oを生成する。いくつかの態様では、本発明の触媒組成物は、標準的SCR条件下で、Mn交換モレキュラーシーブよりも約30%~約60%、約35%~約55%、又は約40%~約50%多く総NOxを変換する。
【0116】
いくつかの態様では、本発明の触媒組成物は、標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブとMn交換モレキュラーシーブとの物理的混合物よりも約4%少ないN2Oを生成し、かつ約12%多く総NOxを変換する。いくつかの態様では、本発明の触媒組成物は、標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブとMn交換モレキュラーシーブとの物理的混合物よりも約1%~約15%、約1%~約10%、又は約2%~約7%少ないN2Oを生成する。いくつかの態様では、本発明の触媒組成物は、標準的SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブとMn交換モレキュラーシーブとの物理的混合物よりも約1%~約25%、約5%~約20%、又は約10%~約15%多く総NOxを変換する。
【0117】
迅速SCR
本発明の触媒組成物は、迅速SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブなどの一元金属モレキュラーシーブと比較したときに、顕著に少ないN2Oを生成し、かつ同様の又はより高いNOx変換率を与えることが見出された。迅速SCR条件は、例えば、500ppmのNH3、250ppmのNO、250ppmのNO2、14%のO2、4.6%のH2O、5.0%のCO2、及び残部のN2を、90K/時の空間速度で含んでもよい。より良好なN2O性能を与えるがNOx変換率がわずかに低くなる、「標準」条件でのCu+Mnとは異なり、NO2が存在する場合(実際の条件により近いものであり得る)でのCu+Mnは、より良好なNOx変換性能、及びより良好なN2O性能を与える。いくつかの態様では、本発明の触媒組成物は、迅速SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約42%少ないN2Oを生成し、かつ約5%多く総NOxを変換する。いくつかの態様では、本発明の触媒組成物は、迅速SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約25%~約60%、約30%~約50%、又は約35%~約45%少ないN2Oを生成する。いくつかの態様では、本発明の触媒組成物は、迅速SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約1%~約20%、約1%~約15%、又は約1%~約10%多く総NOxを変換する。
【0118】
低速SCR
本発明の触媒組成物は、低速SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブなどの一元金属モレキュラーシーブと比較したときに、顕著に少ないN2Oを生成し、かつ同様の又はより高いNOx変換率を与えることが見出された。低速SCR条件は、例えば、500ppmのNH3、175ppmのNO、325ppmのNO2、14%のO2、4.6%のH2O、5.0%のCO2、及び残部のN2を、90K/時の空間速度で含んでもよい。いくつかの態様では、本発明の触媒組成物は、低速SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約33%少ないN2Oを生成し、かつ同様の総NOx変換率を与える。いくつかの態様では、本発明の触媒組成物は、低速SCR条件下で、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約20%~約45%、約25%~約40%、又は約30%~約35%少ないN2Oを生成する。
【0119】
エージング
本発明の触媒組成物は、過酷な900℃のエージングに対して安定であり、かつ良好なNOx変換率及びN2O選択性を依然として維持することができることが見出された。標準的SCR条件下、900℃での水熱エージング後に、本発明の触媒組成物は、Cu交換モレキュラーシーブなどの一元金属モレキュラーシーブと比較したとき、顕著に少ないN2Oを生成し、かつ同様のNOx変換率を与えることが見出された。いくつかの態様では、本発明の触媒組成物は、標準的SCR条件下、900℃でのエージング後に、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約48%少ないN2Oを生成し、かつ同様の総NOx変換率を与える。いくつかの態様では、本発明の触媒組成物は、標準的SCR条件下、900℃のエージング後に、Cu交換モレキュラーシーブと比較して約35%~約65%、約40%~約60%、又は約45%~約55%少ないN2Oを生成する。
【実施例】
【0120】
実施例1.標準的SCR
脱塩水に溶解した必要量の酢酸マンガン(II)及び/又は酢酸銅(II)を使用して、モレキュラーシーブに金属を含浸させた。金属含浸サンプルを80℃で一晩乾燥させ、次いで、空気中、550℃で4時間焼成した。以下の配合を有する、触媒を調製した。
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるCu及び1.5重量%の交換によるMn(1.5Cu-1.5Mn.AEI)
AEIゼオライト、2重量%の交換によるCu及び2重量%の交換によるMn(2Cu-2Mn.AEI)
AEIゼオライト、3重量%の交換によるCu(3Cu.AEI)
【0121】
次いで、粉末触媒のペレット化サンプルのNOx変換率及びN2O生成について、以下の条件:500ppmのNH3、500ppmのNO、0ppmのNO2、14%のO2、4.6%のH2O、5.0%のCO2、及び残部のN2、90K/時の空間速度にて試験した。サンプルを、NH3を除き上述のガス混合物の下で、室温から150℃まで加熱した。150℃でNH3をガス混合物中に添加し、これらの条件下でサンプルを30分間保持した。次いで、温度を5℃/分で150℃から500℃まで上昇させた(昇温した)。
【0122】
結果を
図41及び
図42に示す。標準的SCR条件下では、Cu-Mn.AEIモレキュラーシーブ及び3重量%のCu交換モレキュラーシーブのいずれもが、それぞれ86%及び88%で同様の総NO
x変換率を達成することが見出された。しかし、Cu-Mn.AEI触媒は0.7%の平均N
2O選択性を示したのに対し、3重量%のCu交換モレキュラーシーブは1.1%の平均N
2O選択性を示した。したがって、本発明の触媒により、典型的なCu交換モレキュラーシーブと比較してN
2Oの顕著な減少がもたらされた。
【0123】
触媒についてまた、空気中、4.5%の水にて900℃で5時間エージングした。粉末触媒のサンプルをペレット化し、次いで空気のみの中、10℃/分の速度で250℃まで加熱した。次いで、サンプルを空気中、4.5%の水にて10℃/分の速度で、900℃まで加熱した。900℃の温度で5時間保持した後、温度が250℃未満になるまで、サンプルを蒸気/空気混合物中で冷却した。次いで、サンプルを、空気のみの流れにて250℃から室温まで冷却した。次いで、エージング後の粉末触媒のペレット化サンプルのNOx変換率及びN2O生成について、以下の条件:500ppmのNH3、500ppmのNO、0ppmのNO2、14%のO2、4.6%のH2O、5.0%のCO2、及び残部のN2、90K/時の空間速度にて試験した。
【0124】
結果を
図43及び
図44に示す。標準的SCR条件下では、1.5Cu-1.5Mn.AEI及び3Cu.AEIの両方が、それぞれ82%及び83%で同様の総NO
x変換率を達成することが見出された。しかし、Cu-Mn.AEIは0.8%の平均N
2O選択性を示したのに対し、3重量%のCu交換モレキュラーシーブは1.6%の平均N
2O選択性を示した。これらの結果は、本発明の触媒が水熱安定性であり、過酷な水熱エージング後に、一元金属モレキュラーシーブよりも顕著な効果を維持することを示している。
【0125】
実施例2.迅速SCR
脱塩水に溶解した必要量の酢酸マンガン(II)及び/又は酢酸銅(II)を使用して、モレキュラーシーブに金属を含浸させた。金属含浸サンプルを80℃で一晩乾燥させ、次いで、空気中、550℃で4時間焼成した。以下の配合を有する、触媒を調製した。
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるCu及び1.5重量%の交換によるMn、1.5Cu-1.5Mn.AEI
AEIゼオライト、3重量%の交換によるCu、3Cu.AEI
【0126】
次いで、粉末触媒のペレット化サンプルのNOx変換率及びN2O生成について、以下の条件:500ppmのNH3、250ppmのNO、250ppmのNO2、14%のO2、4.6%のH2O、5.0%のCO2、及び残部のN2、90K/時の空間速度にて試験した。サンプルを、NH3を除き上述のガス混合物の下で、室温から150℃まで加熱した。150℃でNH3をガス混合物中に添加し、これらの条件下でサンプルを30分間保持した。次いで、温度を5℃/分で150℃から500℃まで上昇させた(昇温した)。
【0127】
結果を
図45及び
図46に示す。迅速SCR条件下では、Cu-Mn.AEIは、8.4ppmの平均N
2O生成及び82%の総NO
x変換率を示したのに対し、3重量%のCu交換モレキュラーシーブは、14.5の平均N
2O生成及び77%の総NO
x変換率を示すことが見出された。したがって、二元金属触媒は、一元金属Cu交換モレキュラーシーブよりも顕著に少ない平均N
2O生成及びより高い総NO
x変換率を達成した。
【0128】
実施例3.低速SCR
脱塩水に溶解した必要量の酢酸マンガン(II)及び/又は酢酸銅(II)を使用して、モレキュラーシーブに金属を含浸させた。金属含浸サンプルを80℃で一晩乾燥させ、次いで、空気中、550℃で4時間焼成した。以下の配合を有する、触媒を調製した。
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるCu及び1.5重量%の交換によるMn、1.5Cu-1.5Mn.AEI
AEIゼオライト、3重量%の交換によるCu、3Cu.AEI
【0129】
次いで、粉末触媒のペレット化サンプルのNOx変換率及びN2O生成について、以下の条件:500ppmのNH3、175ppmのNO、325ppmのNO2、14%のO2、4.6%のH2O、5.0%のCO2、及び残部のN2、90K/時の空間速度にて試験した。サンプルを、NH3を除き上述のガス混合物の下で、室温から150℃まで加熱した。150℃でNH3をガス混合物中に添加し、これらの条件下でサンプルを30分間保持した。次いで、温度を5℃/分で150℃から500℃まで上昇させた(昇温した)。
【0130】
結果を
図47及び
図48に示す。低速SCR条件下では、Cu-Mn.AEIは、14.4ppmの平均N
2O生成及び76%の総NO
x変換率を示したのに対し、3重量%のCu交換モレキュラーシーブは、21.4の平均N
2O生成及び74%の総NO
x変換率を示すことが見出された。したがって、二元金属触媒は、一元金属Cu交換モレキュラーシーブと比較して、顕著に少ない平均N
2O生成及び同様の総NO
x変換率を達成した。
【0131】
実施例4.対照試験
脱塩水に溶解した必要量の酢酸マンガン(II)及び/又は酢酸銅(II)を使用して、モレキュラーシーブに金属を含浸させた。金属含浸サンプルを80℃で一晩乾燥させ、次いで、空気中、550℃で4時間焼成した。以下の配合を有する、触媒を調製した。
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるCu及び1.5重量%の交換によるMn、1.5Cu-1.5Mn.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるMn、1.5Mn.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるCu、1.5Cu.AEI
1.5重量%の交換によるCuを有するAEIゼオライトと1.5重量%の交換によるMnを有するAEIゼオライトとの物理的混合物、物理的混合物
【0132】
次いで、粉末触媒のペレット化サンプルのNOx変換率及びN2O生成について、以下の条件:500ppmのNH3、500ppmのNO、0ppmのNO2、14%のO2、4.6%のH2O、5.0%のCO2、及び残部のN2、90K/時の空間速度にて試験した。サンプルを、NH3を除き上述のガス混合物の下で、室温から150℃まで加熱した。150℃でNH3をガス混合物中に添加し、これらの条件下でサンプルを30分間保持した。次いで、温度を5℃/分で150℃から500℃まで上昇させた(昇温した)。
【0133】
結果を
図49及び
図50に示す。標準的SCR条件下では、Cu-Mn.AEIは0.7%の平均N
2O選択性及び86%の総NO
x変換率を達成することが見出された。1.5重量%のCu交換モレキュラーシーブは、0.6%の平均N
2O選択性を達成したが、79%の総NO
x変換率しか達成することができなかった。したがって、二元金属Cu-Mnモレキュラーシーブでは、一元金属Cu交換モレキュラーシーブよりも顕著に高いNO
x変換率を示した。Mn交換モレキュラーシーブでは、2.1%の平均N
2O選択性及び41%の総NO
x変換率を達成した。したがって、Cu/Mn交換触媒により、同等にMn担持した一元金属モレキュラーシーブよりも選択性及び活性の顕著な向上がもたらされた。更に、1.5重量%のCu交換モレキュラーシーブと1.5重量%のMn交換モレキュラーシーブとの物理的混合物は、0.8%の平均N
2O選択性及び74%の総NO
x変換率を示し、これによっても、本発明の触媒が、一元金属類縁体よりも顕著な選択性及び活性効果を示すことが実証された。結果は、二元金属Cu/Mn交換モレキュラーシーブを利用するときには、別個の混合型一元金属モレキュラーシーブと比較してNO
x変換率が明らかに向上することを示している。
【0134】
実施例5.Mn担持量
脱塩水に溶解した必要量の酢酸マンガン(II)及び/又は酢酸銅(II)を使用して、モレキュラーシーブに金属を含浸させた。金属含浸サンプルを80℃で一晩乾燥させ、次いで、空気中、550℃で4時間焼成した。以下の配合を有する、触媒を調製した。
AEIゼオライト、3重量%の交換によるCu、3Cu.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるCu、1.5Cu.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるCu及び0.1重量%の交換によるMn、1.5Cu-0.1Mn.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるCu及び0.25重量%の交換によるMn、1.5Cu-0.25Mn.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるCu及び0.5重量%の交換によるMn、1.5Cu-0.5Mn.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるCu及び1.5重量%の交換によるMn、1.5Cu-1.5Mn.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるCu及び2.5重量%の交換によるMn、1.5Cu-2.5Mn.AEI
【0135】
次いで、粉末触媒のペレット化サンプルのNOx変換率及びN2O生成について、以下の条件:500ppmのNH3、500ppmのNO、0ppmのNO2、14%のO2、4.6%のH2O、5.0%のCO2、及び残部のN2、90K/時の空間速度にて試験した。サンプルを、NH3を除き上述のガス混合物の下で、室温から150℃まで加熱した。150℃でNH3をガス混合物中に添加し、これらの条件下でサンプルを30分間保持した。次いで、温度を5℃/分で150℃から500℃まで上昇させた(昇温した)。
【0136】
結果を
図51及び
図52に示す。0.1重量%のMn(Cu:Mn=15)の添加により、一元金属1.5重量%Cuモレキュラーシーブと比較して活性化温度の顕著な向上がもたらされた。1.5重量%のMn(Cu:Mn=1)までの更なる添加により、N
2O選択性をあまり増大させることなく、活性化温度の更なる改善がもたらされた。結果は、一定のCu担持量で、Mnを1.5重量%のCu触媒に添加することにより、N
2O選択性をあまり変化させることなく、Cu-SCR触媒のNO
x変換率が劇的に改善することを示している。
【0137】
次いで、粉末触媒のペレット化サンプルのNOx変換率及びN2O生成について、以下の条件:500ppmのNH3、175ppmのNO、325ppmのNO2、14%のO2、4.6%のH2O、5.0%のCO2、及び残部のN2、90K/時の空間速度にて試験した。サンプルを、NH3を除き上述のガス混合物の下で、室温から150℃まで加熱した。150℃でNH3をガス混合物中に添加し、これらの条件下でサンプルを30分間保持した。次いで、温度を5℃/分で150℃から500℃まで上昇させた(昇温した)。
【0138】
結果を
図53及び
図54に示す。1.5重量%の一定したCu担持量で、0.1重量%のMnの添加(Cu:Mn=15)により、一元金属1.5重量%Cuモレキュラーシーブと比較して活性化温度をあまり変化させることなく、N
2O生成の減少がもたらされた。0.5重量%のMn(Cu:Mn=3)、1.0重量%のMn(Cu:Mn=1.5)、及び1.5重量%のMn(Cu:Mn=1)の更なる添加により、活性化温度の改善及びN
2O生成値の低下がもたらされた。しかし、Cu-Mn.AEIの全ての態様は、一元Cu.AEI類縁体よりも少ないN
2Oを生成した。したがって、Cu-Mnの活性及び選択性は、Cu対Mn比及び総金属含有量を変更することによって、特定の用途に合わせて調整することができる。
【0139】
実施例6.Cu担持量
脱塩水に溶解した必要量の酢酸マンガン(II)及び/又は酢酸銅(II)を使用して、モレキュラーシーブに金属を含浸させた。金属含浸サンプルを80℃で一晩乾燥させ、次いで、空気中、550℃で4時間焼成した。以下の配合を有する、触媒を調製した。
AEIゼオライト、3重量%の交換によるCu、3Cu.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるMn、1.5Mn.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるMn及び0.5重量%の交換によるCu、0.5Cu-1.5Mn.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるMn及び1.0重量%の交換によるCu、1Cu-1.5Mn.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるMn及び1.5重量%の交換によるCu、1.5Cu-1.5Mn.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるMn及び2.0重量%の交換によるCu、1.5Cu-2Mn.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるMn及び2.5重量%の交換によるCu、1.5Cu-2.5Mn.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるMn及び3重量%の交換によるCu、3Cu-1.5Mn.AEI
【0140】
次いで、粉末触媒のペレット化サンプルのNOx変換率及びN2O生成について、以下の条件:500ppmのNH3、500ppmのNO、0ppmのNO2、14%のO2、4.6%のH2O、5.0%のCO2、及び残部のN2、90K/時の空間速度にて試験した。サンプルを、NH3を除き上述のガス混合物の下で、室温から150℃まで加熱した。150℃でNH3をガス混合物中に添加し、これらの条件下でサンプルを30分間保持した。次いで、温度を5℃/分で150℃から500℃まで上昇させた(昇温した)。
【0141】
結果を
図55及び
図56に示す。1.5重量%の一定したMn担持量で、0.5重量%のCu(Cu:Mn=0.33)だけの添加により、一元金属1.5重量%のMn触媒と比較してNO
x変換率の劇的改善及びN
2O選択性の顕著な低下がもたらされた。Cu含有量を、1重量%(Cu:Mn=0.67)、1.5重量%(Cu:Mn=1、及び3.0重量%(Cu:Mn=2)まで順次増加させるにつれ、N
2O選択性が高くなる代わりにNO
x変換率が順次増加する。更に、1Cu-1.5Mn.AEI及び1.5Cu-1.5Mn.AEIの触媒は、一元金属Cu又はMnモレキュラーシーブと比較してN
2O選択性の顕著な減少を示した。しかし、Cu:Mnの場合に示されたようにCu:Mnの比が過度に増加すると、N
2Oの恩恵のほとんどが失われる。結果は、1.5重量%で一定のMn担持量で、Cu含有量を増加させると、NO
x変換率が改善されることを示している。しかし、Cu含有量がMn含有量よりも高くなると、N
2Oに対する選択性が増大する。
【0142】
実施例7.小細孔ゼオライト
脱塩水に溶解した必要量の酢酸マンガン(II)及び/又は酢酸銅(II)を使用して、モレキュラーシーブに金属を含浸させた。金属含浸サンプルを80℃で一晩乾燥させ、次いで、空気中、550℃で4時間焼成した。以下の配合を有する、触媒を調製した。
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるMn及び1.5重量%の交換によるCu、1.5Cu-1.5Mn.AEI
CHAゼオライト、1.5重量%の交換によるMn及び1.5重量%の交換によるCu、1.5Cu-1.5Mn.CHA
【0143】
標準的SCR:次いで、粉末触媒のペレット化サンプルのNO
x変換率及びN
2O生成について、以下の条件:500ppmのNH
3、500ppmのNO、0ppmのNO
2、14%のO
2、4.6%のH
2O、5.0%のCO
2、及び残部のN
2、90K/時の空間速度にて試験した。サンプルを、NH
3を除き上述のガス混合物の下で、室温から150℃まで加熱した。150℃でNH
3をガス混合物中に添加し、これらの条件下でサンプルを30分間保持した。次いで、温度を5℃/分で150℃から500℃まで上昇させた(昇温した)。結果を
図57及び
図58に示す。結果は、Cu-Mn.CHAがCu-Mn.AEIと同様に機能することを示しており、これは、この戦略が小細孔ゼオライトの場合に有効であることを示している。
【0144】
迅速SCR:次いで、粉末触媒のペレット化サンプルのNO
x変換率及びN
2O生成について、以下の条件:500ppmのNH
3、250ppmのNO、250ppmのNO
2、14%のO
2、4.6%のH
2O、5.0%のCO
2、及び残部のN
2、90K/時の空間速度にて試験した。サンプルを、NH
3を除き上述のガス混合物の下で、室温から150℃まで加熱した。150℃でNH
3をガス混合物中に添加し、これらの条件下でサンプルを30分間保持した。次いで、温度を5℃/分で150℃から500℃まで上昇させた(昇温した)。結果を
図59及び
図60に示す。結果は、Cu-Mn.CHA及びCu-Mn.AEIの両方が、82%で同様の総NO
x変換率を達成することを示している。しかし、Cu-Mn.AEIは平均未満の8.4ppmでN
2Oを生成し、これは11.8ppmの平均N
2Oを生成するCu-Mn.CHAよりも少ない。
【0145】
低速SCR:次いで、粉末触媒のペレット化サンプルのNO
x変換率及びN
2O生成について、以下の条件:500ppmのNH
3、175ppmのNO、325ppmのNO
2、14%のO
2、4.6%のH
2O、5.0%のCO
2、及び残部のN
2、90K/時の空間速度にて試験した。サンプルを、NH
3を除き上述のガス混合物の下で、室温から150℃まで加熱した。150℃でNH
3をガス混合物中に添加し、これらの条件下でサンプルを30分間保持した。次いで、温度を5℃/分で150℃から500℃まで上昇させた(昇温した)。結果を
図61及び
図62に示す。結果は、Cu-Mn.CHA及びCu-Mn.AEIの両方が、76%で同様の総NO
x変換率を達成することを示している。しかし、Cu-Mn.AEIは平均未満の14.4ppmでN
2Oを生成し、これは17.1ppmの平均N
2Oを生成するCu-Mn.CHAよりも少ない。
【0146】
実施例8.中細孔ゼオライト/大細孔ゼオライト
脱塩水に溶解した必要量の酢酸マンガン(II)及び/又は酢酸銅(II)を使用して、モレキュラーシーブに金属を含浸させた。金属含浸サンプルを80℃で一晩乾燥させ、次いで、空気中、550℃で4時間焼成した。以下の配合を有する、触媒を調製した。
BEAゼオライト、3重量%の交換によるCu、3Cu.BEA
BEAゼオライト、1.5重量%の交換によるMn及び1.5重量%の交換によるCu、1.5Cu-1.5Mn.BEA
MFIゼオライト、3重量%の交換によるCu、3Cu.MFI
MFIゼオライト、1.5重量%の交換によるMn及び1.5重量%の交換によるCu、1.5Cu-1.5Mn.MFI
【0147】
次いで、触媒のNO
x変換率及びN
2O選択性について、以下の条件:500ppmのNH
3、500ppmのNO、0ppmのNO
2、SV=90K/時にて試験した。結果を
図63及び
図64に示す。標準的SCR条件下では、Cu-Mn.BEA及びCu.BEAの両方が、それぞれ82%及び85%で同様の総NO
x変換率を達成することが見出された。しかし、Cu-Mn.BEAは、0.8%の平均N
2O選択性を示したのに対して、Cu.BEAは、5.9%の平均N
2O選択性を示した。したがって、Cu-Mn.BEAにより、典型的なCu交換BEAと比較してN
2Oの顕著な減少がもたらされた。標準的SCR条件下では、Cu-Mn.MFIは72%の総NO
x変換率及び1.5%の平均N
2O選択性を達成することが見出された。しかし、一元金属Cu.MFIは、79%でより高いNO
x変換を達成することができたものの、2.9%でより高い平均N
2O選択性を示した。したがって、Cu-Mn.BEAにより、典型的なCu交換BEAと比較してN
2Oの顕著な減少がもたらされた。結果は、Cu-Mn.BEA及びCu-Mn.MFIでは、それぞれCu.BEA及びCu.MFIと比較してN
2O選択性が顕著に減少することを示している。したがって、二重Cu及びMn交換モレキュラーシーブを利用する戦略は、中細孔ゼオライト及び大細孔ゼオライトのいずれの場合にも有効である。
【0148】
実施例9.SAR範囲
脱塩水に溶解した必要量の酢酸マンガン(II)及び/又は酢酸銅(II)を使用して、モレキュラーシーブに金属を含浸させた。金属含浸サンプルを80℃で一晩乾燥させ、次いで、空気中、550℃で4時間焼成した。以下の配合を有する、触媒を調製した。
CHAゼオライト、SAR=22、1.5重量%の交換によるMn及び1.5重量%の交換によるCu、SAR22
CHAゼオライト、SAR=13、1.5重量%の交換によるMn及び1.5重量%の交換によるCu、SAR13
【0149】
標準的SCR:次いで、粉末触媒のペレット化サンプルのNO
x変換率及びN
2O生成について、以下の条件:500ppmのNH
3、500ppmのNO、0ppmのNO
2、14%のO
2、4.6%のH
2O、5.0%のCO
2、及び残部のN
2、90K/時の空間速度にて試験した。サンプルを、NH
3を除き上述のガス混合物の下で、室温から150℃まで加熱した。150℃でNH
3をガス混合物中に添加し、これらの条件下でサンプルを30分間保持した。次いで、温度を5℃/分で150℃から500℃まで上昇させた(昇温した)。結果を
図65及び
図66に示す。結果は、SAR13でのCu-Mn.CHAは92%の総NO
x変換率及び0.5%の平均N
2O選択性を達成したのに対し、SAR22でのCu-Mn.CHAは89%の総NO
x変換率及び0.7%の平均N
2O選択性を達成したことを示している。これらの結果は、Cu-Mn二元金属モレキュラーシーブによる戦略の利用が、広範囲のSARに対して有効であることを示している。加えて、SARがより低い材料は、N
2O選択性の減少を示している。
【0150】
実施例10.コーティングしたモノリス
脱塩水に溶解した必要量の酢酸マンガン(II)及び/又は酢酸銅(II)を使用して、モレキュラーシーブに金属を含浸させた。金属含浸サンプルを80℃で一晩乾燥させ、次いで、空気中、550℃で4時間焼成した。以下の配合を有する、触媒を調製した。
AEIゼオライト、3重量%の交換によるCu、3Cu.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるCu、1.5Cu.AEI
AEIゼオライト、1.5重量%の交換によるMn及び1.5重量%の交換によるCu、1.5Cu-1.5Mn.AEI
【0151】
酢酸銅及び酢酸マンガン溶液を用いる公知の従来技術によるイオン交換技術によって、Cu.ゼオライト触媒及びMn-Cu.ゼオライト触媒を調製した。交換によるCu.ゼオライト又はMn-Cu.ゼオライト溶液をアルミナ結合剤及びヒドロキシエチルセルロースレオロジー変性剤と組み合わせることによって、ウォッシュコートを調製した。ウォッシュコートをセラミック基材に適用し、次いで負圧を用いて、ウォッシュコートを基材に引き伸ばした。物品を乾燥させ、約500℃で約1時間焼成した。
【0152】
標準的SCR:次いで、コーティングモノリスのNOx変換率及びN2O生成について、以下の条件:550ppmのNH3、500ppmのNO、0ppmのNO2、10%のO2、6.0%のH2O、6.0%のCO2、及び残部のN2、60K/時の空間速度にて試験した。サンプルを、NH3を除き上述のガス混合物の下で、室温から150℃まで加熱した。150℃でNH3をガス混合物中に添加し、これらの条件下で、出口ガス中のNOx及びNH3濃度の両方が定常状態の値に達するまで、サンプルを保持した。次いで、NOx及びNH3流を止め、次いで温度を450℃まで昇温し、10分間保持した後、200℃まで冷却した。200℃でNOx及びNH3流を出し、出口ガス中のNOx及びNH3濃度の両方が定常状態の値に達するまで、条件を保持した。次いで、250℃、350℃、450℃、及び550℃の更なる温度について、プロセス全体を繰り返した。
【0153】
【0154】
結果を表1に示す。標準的SCR条件下では、Cu-Mn.AEI及び3重量%のCu交換モレキュラーシーブの両方が、それぞれ82%及び85%で同様の総NOx変換率を達成することが見出された。しかし、Cu-Mn.AEIは1.1ppmの平均N2O生成量を示したのに対し、3重量%のCu交換モレキュラーシーブは、3.1ppmの平均N2O生成量を示した。したがって、本発明の触媒により、典型的なCu交換モレキュラーシーブと比較してN2Oの顕著な減少がもたらされた。加えて、1.5重量%のCu交換AEIは、1.2ppmの同様の平均N2O生成量を達成したものの、78%の総NOx変換率しか達成することができなかった。したがって、本発明のCu-Mn触媒をコートし、十分に配合したモノリスは、標準的SCR条件下で一元金属触媒のみを含有するモノリスよりも顕著な利点を示した。
【0155】
コーティングモノリスについてまた、空気中、10%の水にて750℃で80時間エージングした。サンプルを、空気のみの中、10℃/分の速度で250℃まで加熱した。次いでモノリスを、空気中、10%のH2Oにて10℃/分の速度で、750℃まで加熱した。750℃の温度で80時間保持した後、温度が250℃未満になるまでの間、サンプルを蒸気/空気混合物中で冷却した。次いで、サンプルを、空気のみの流れにて250℃から室温まで冷却した。次いで、エージング後のモノリスのNOx変換率及びN2O選択性について、以下の条件:550ppmのNH3、500ppmのNO、0ppmのNO2、10%のO2、6.0%のH2O、6.0%のCO2、及び残部のN2、60K/時の空間速度にて試験した。
【0156】
結果を表1に示す。標準的SCR条件下での水熱エージング後、Cu-Mn.AEIは、69%の総NOx変換率を達成することができ、かつ2.6ppmと少ないN2O平均生成量を維持することが見出された。3重量%のCu交換モレキュラーシーブは、75%の総NOx変換率を示したが、平均値で7.8ppmの大量のN2Oを生成した。加えて、1.5重量%のCu交換AEIはまた、3.4ppmのより高い平均N2O生成量を達成し、50%の総NOx変換率しか達成することができなかった。したがって、本発明の触媒により、典型的なCu交換モレキュラーシーブと比較してN2Oの顕著な減少がもたらされた。
【0157】
迅速SCR:次いで、コーティングモノリスのNOx変換率及びN2O生成について、以下の条件:550ppmのNH3、250ppmのNO、250ppmのNO2、10%のO2、6.0%のH2O、6.0%のCO2、及び残部のN2、60K/時の空間速度にて試験した。サンプルを、NH3を除き上述のガス混合物の下で、室温から150℃まで加熱した。150℃でNH3をガス混合物中に添加し、これらの条件下で、出口ガス中のNOx及びNH3濃度の両方が定常状態の値に達するまで、サンプルを保持した。次いで、NOx及びNH3流を止め、次いで温度を450℃まで昇温し、10分間保持した後、200℃まで冷却した。200℃でNOx及びNH3流を出し、出口ガス中のNOx及びNH3濃度の両方が定常状態の値に達するまで、条件を保持した。次いで、250℃、350℃、450℃、及び550℃の更なる温度について、プロセス全体を繰り返した。
【0158】
結果を表1に示す。迅速SCR条件下では、Cu-Mn.AEIは、88%の非常に高い総NOx変換率、及び4.0ppmの平均N2O生成を達成することができることが見出された。しかし、3重量%のCu交換モレキュラーシーブ及び1.5重量%のCu交換モレキュラーシーブは、それぞれ83%及び86%の総NOx変換率、並びにそれぞれ8.9ppm及び4.5ppmの平均N2O生成しか達成することができなかった。したがって、本発明のCu-Mn触媒をコートし十分に配合したモノリスは、迅速SCR条件下で一元金属触媒のみを含有するモノリスよりも顕著な利点を示した。
【0159】
低速SCR:次いで、コーティングモノリスのNOx変換率及びN2O生成について、以下の条件:550ppmのNH3、174ppmのNO、325ppmのNO2、10%のO2、6.0%のH2O、6.0%のCO2、及び残部のN2、60K/時の空間速度にて試験した。サンプルを、NH3を除き上述のガス混合物の下で、室温から150℃まで加熱した。150℃でNH3をガス混合物中に添加し、これらの条件下で、出口ガス中のNOx及びNH3濃度の両方が定常状態の値に達するまで、サンプルを保持した。次いで、NOx及びNH3流を止め、次いで温度を450℃まで昇温し、10分間保持した後、200℃まで冷却した。200℃でNOx及びNH3流を出し、出口ガス中のNOx及びNH3濃度の両方が定常状態の値に達するまで、条件を保持した。次いで、250℃、350℃、450℃、及び550℃の更なる温度について、プロセス全体を繰り返した。
【0160】
結果を表1に示す。低速条件下では、Cu-Mn.AEIは、81%の非常に高い総NOx変換率、及び7.4ppmの平均N2O生成を達成できることが見出された。しかし、3重量%のCu交換モレキュラーシーブ及び1.5重量%のCu交換モレキュラーシーブは、それぞれ75%及び72%の総NOx変換率、並びにそれぞれ12.2ppm及び7.5ppmの平均N2O生成量しか達成することができなかった。したがって、本発明のCu-Mn触媒をコートし十分に配合したモノリスは、低速SCR条件下で一元金属触媒のみを含有するモノリスよりも顕著な利点を示した。