(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】エナンチオ選択的プロセス
(51)【国際特許分類】
C07C 239/20 20060101AFI20241009BHJP
C07F 17/00 20060101ALI20241009BHJP
C07D 231/12 20060101ALI20241009BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241009BHJP
【FI】
C07C239/20
C07F17/00 CSP
C07D231/12 C
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2021524045
(86)(22)【出願日】2019-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2019079995
(87)【国際公開番号】W WO2020094528
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-10-27
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520222106
【氏名又は名称】シンジェンタ クロップ プロテクション アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】スメイカル トーマス
(72)【発明者】
【氏名】クレイマー ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】マス-ロゼッロ ジョセップ
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-508794(JP,A)
【文献】特表2016-525084(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0129574(US,A1)
【文献】特開2018-083792(JP,A)
【文献】特開2015-074632(JP,A)
【文献】国際公開第2013/153407(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/153408(WO,A1)
【文献】特開昭58-010575(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01862446(EP,A2)
【文献】Marek P. Krzeminski et al.,Asymmetric reduction of ketoxime derivatives and N-alkylketimines with borane-oxazaborolidine adducts,TETRAHEDRON ASYMMETRY,2003年06月06日,14,pp.1463-1466,DOI: 10.1016/S0957-4166(03)00314-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C、C07D、C07F、C07B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)のヒドロキシルアミンをもたらす、式(IIIa)又は式(IIIb)のイリジウム触媒及び酸の存在下における式(I)のオキシムの水素化に係るプロセス:
であって、
ここで、アスタリスクを付した位置は不斉中心であり、及び、式(II)のヒドロキシルアミンの1種の立体異性体が過剰量で生成され;
R
1及びR
2は各々独立して、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8ヒドロキシアルキル、C
1~C
8シアノアルキル、C
1~C
6アルコキシC
1~C
8アルキル、C
1~C
8ハロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
3~C
8シクロアルキル、フェニル、フェニルC
1~C
3アルキル、フェニルスルホニルC
1~C
3アルキル、C
1~C
6アルコキシカルボニル、架橋カルボシクリル、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、ここで、前記シクロアルキル、フェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール部分は各々、任意選択により、ヒドロキシル、ハロゲン、C
1~C
6アルキル、C
3~C
8シクロアルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
1~C
6アルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、C
1~C
6アルコキシカルボニル、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド及びC
2~C
6アルケニルから選択される1個~5個の基;又は、ピナコールボラン、フェニルスルホニル、フェニルC
1~C
3アルキル若しくはフェニルC
1~C
3アルコキシから選択される1個の基で置換されており;
R
3は、水素、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8ヒドロキシアルキル、C
1~C
8シアノアルキル、C
1~C
6アルコキシC
1~C
8アルキル、C
1~C
8ハロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
3~C
8シクロアルキル、フェニルC
1~C
3アルキル、ヘテロシクリルC
1~C
3アルキル又はヘテロビシクリルC
1~C
3アルキルであり、ここで、前記シクロアルキル及びヘテロシクリル部分は各々、任意選択により、ヒドロキシル、ハロゲン、C
1~C
6アルキル、C
3~C
8シクロアルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
1~C
6アルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、C
1~C
6アルコキシカルボニル、アシルアミノ、アミド、シアノ、アジド、ニトロ及びC
2~C
6アルケニルから選択される1個~5個の基で置換されており;
並びに、ここで、R
1及びR
2は同一であることはできず;又は
R
1及びR
2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、4員~9員飽和若しくは部分飽和不斉シクロアルキル又は不斉ヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、1個、2個又は3個のヘテロ原子を含む非芳香族単環式環であり、ここで、前記ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択され;又は
R
1及びR
3は、これらがそれぞれ結合している炭素原子及び酸素原子と一緒になって、5員~8員非芳香族ヘテロシクリル環又は8員~10員部分飽和ヘテロビシクリルを形成し得;
ここで、式(IIIa)及び(IIIb)のイリジウム触媒は:
であり、ここで、
は任意選択により置換されているシクロペンタジエニルリガンドを表し;
は、構造(IVc)又は(IVe) :
((構造(IVc)中、R
18、R
19A、R
19B、R
20、R
22、R
23、R
24及びR
25は各々独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8ハロアルキル、C
1~C
8ハロアルコキシ又はC
1~C
8アルコキシカルボニルであり、ここで、各C
1~C
8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されており;
R
21は、水素、C
1~C
8アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C
1~C
8アルキル及びC
1~C
8アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されており;又は
R
20及びR
21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員~8員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、前記複素環式部分は、1個又は2個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、前記ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択される);および
(構造(IVe)中、R
19A、R
19B、R
20、R
23、R
24及びR
25は各々独立して、水素、C
1~C
8アルキル又はC
1~C
8アルコキシであり;
R
21は、水素、C
1~C
8アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C
1~C
8アルキル及びC
1~C
8アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されており;又は
R
20及びR
21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員~8員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、前記複素環式部分は、1個又は2個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、前記ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択され;
R
22は、水素、ハロゲン、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8ハロアルキル、C
1~C
8ハロアルコキシ又はC
1~C
8アルコキシカルボニルであり、ここで、各C
1~C
8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されており;
R
26は、以下の構造の誘導体:
(式中、R
27、R
28、R
29、R
30及びR
31は各々独立して、水素、C
1~C
8アルキル、C
3~C
6シクロアルキル及びフェニルから選択され、ここで、各フェニル部分は、C
1~C
3アルキル、ハロゲン及びC
1~C
3アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換され、ここで、R
27及びR
28は同一でなくてもよく、又は、R
29及びR
30は同一ではなくてもよく;又は
R
29及びR
30は、これらが結合している炭素と一緒になって、オキソ(=O)基を形成する)
である))の二座キレートリガンドを表し;
Xはアニオン基を表し;
Yは中性リガンドを表し;並びに
Zはアニオン基を表す、プロセス。
【請求項2】
前記イリジウム触媒は、式(IIIa-1)若しくは(IIIb-1)又は対応するエナンチオマ式(IIIa-1-ent)若しくは(IIIb-1-ent):
(式中、R
4、R
5及びR
6は各々独立して、水素又はC
1~C
3アルキルであり;
R
7及びR
8は各々独立して、水素、ヒドロキシル、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシ、C
3~C
8シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、ナフチル、ベンジル又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、各フェニル、ナフチル又はベンジル部分の芳香族環は、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル及びC
1~C
6アルコキシから選択される1個~5個の基で任意選択により置換されている)
のものである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記イリジウム触媒は、式(IIIa-2)若しくは(IIIb-2)又は対応するエナンチオマ式(IIIa-2-ent)若しくは(IIIb-2-ent):
(式中、R
4、R
5及びR
6は各々独立して、水素又はC
1~C
3アルキルであり;
R
7及びR
8は各々独立して、水素、ヒドロキシル、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシ、C
3~C
8シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、ナフチル、ベンジル又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、各フェニル、ナフチル又はベンジル部分の芳香族環は、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル及びC
1~C
6アルコキシから選択される1個~5個の基で任意選択により置換されており;
R
32及びR
33は各々独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
3アルキル又はC
1~C
3アルコキシであり;
R
34は、ハロゲン、C
1~C
3アルキル又はC
1~C
3アルコキシであり;又は
R
32及びR
33、又は、R
33及びR
34、又は、R
32及びR
34は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、5員~10員カルボシクリル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、前記複素環式部分は、1個、2個又は3個のヘテロ原子を含む単環式環であり、ここで、前記ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択されている)
のものである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
Xは、式R
14-SO
2O-又はR
15-C(O)O-のアニオン基を表し、ここで、
R
14は、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6ハロアルキル又はフェニルであり、ここで、前記フェニル部分は、同一であっても異なっていてもよい、R
16から選択される1個、2個、3個又は4個の置換基により任意選択により置換されており;
R
16は、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4ハロアルキル、ニトロ又はハロゲンであり;
R
15はC
1~C
6ハロアルキル又はフェニルであり、ここで、前記フェニル部分は、同一であっても異なっていてもよい、R
17から選択される1個、2個、3個又は4個の置換基により任意選択により置換されており;並びに
R
17は、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4ハロアルキル、ニトロ又はハロゲンである、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
Zは、R
14-SO
2O
-、メシレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフェニルボレート又はテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートであ
り、
ここでR
14
は、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1
~C
6
アルキル、C
1
~C
6
アルコキシ、C
1
~C
6
ハロアルキル又はフェニルであり、ここで、前記フェニル部分は、同一であっても異なっていてもよい、R
16
から選択される1個、2個、3個又は4個の置換基により任意選択により置換されており;
R
16
は、C
1
~C
4
アルキル、C
1
~C
4
ハロアルキル、ニトロ又はハロゲンである、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記酸は、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、硫酸、トリフルオロ酢酸又はトリフリック酸である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
YはH
2O又はMeCNである、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記式(I)のオキシムはN-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-イミン(I-1)である、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記イリジウム触媒は、式(III-1)、(III-2)、(III-3)、(III-4)、(III-15)、(III-16)又は(III-24):
の化合物である、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記式(II)のヒドロキシルアミンは(2R)-N-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-アミン(II-1)である、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記(2R)-N-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-アミン(II-1)を3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-ピラゾール-4-塩化カルボニル(XII)とさらに反応させて、3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[(1R)-1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロフェニル)エチル]ピラゾール-3-カルボキサミド(XIII-1):
を得る、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記イリジウム触媒は、式(III-1-ent)、(III-2-ent)、(III-3-ent)、(III-4-ent)、(III-15-ent)、(III-16-ent)又は(III-24-ent):
の化合物である、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記式(II)のヒドロキシルアミンは(2S)-N-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-アミン(II-1-ent)である、請求項1~8のいずれか一項又は請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記(2S)-N-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-アミン(II-1-ent)を3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-ピラゾール-4-塩化カルボニル(XII)とさらに反応させて、3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[(1S)-1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロフェニル)エチル]ピラゾール-3-カルボキサミド(XIII-1-ent):
を得る、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
式(IIIc)、(IIId)、(IIIc-ent)又は(IIId-ent):
(式中、R
4、R
5及びR
6は各々独立して、水素又はC
1~C
3アルキルであり;
R
7及びR
8は各々独立して、水素、ヒドロキシル、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシ、C
3~C
8シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、ナフチル、ベンジル又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、各フェニル、ナフチル又はベンジル部分の芳香族環は、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル及びC
1~C
6アルコキシから選択される1個~5個の基で任意選択により置換されており;
R
18、R
19A、R
19B、R
20、R
22、R
23、R
24及びR
25は各々独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8ハロアルキル、C
1~C
8ハロアルコキシ、C
1~C
8アルコキシカルボニルであり、ここで、各C
1~C
8アルコキシ部分は、ヒドロキシル、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個~2個の基により任意選択により置換されており;
R
21は、水素、C
1~C
8アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C
1~C
8アルキル及びC
1~C
8アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されており;又は
R
20及びR
21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員~8員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、前記複素環式部分は、1個又は2個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、前記ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択され;
Xは、メシレート、トシレート、ノシレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、トリフレート又はトリフルオロアセテートであり;
Yは、H
2O、PhCN又はMeCNであり;並びに
Zは、メシレート、トシレート、ノシレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、トリフレートテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフェニルボレート又はテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートである)
の化合物。
【請求項16】
式(IIIe)又は(IIIf):
(式中、Xはアニオン基を表し;Yは中性リガンドを表し;並びにZはアニオン基を表し、
各Rは独立して、水素又はC
1~C
8アルキルであり;
R
19A、R
19B、R
20、R
22、R
23、R
24及びR
25は各々独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6ハロアルキル、C
1~C
6ハロアルコキシ又はC
1~C
6アルコキシカルボニルであり、ここで、各C
1~C
6アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されており;
R
21は、水素、C
1~C
8アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C
1~C
8アルキル及びC
1~C
8アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されており;又は
R
20及びR
21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員~8員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、前記複素環式部分は、1個又は2個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、前記ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択され;
R
26は、以下の構造の誘導体:
(式中、R
27、R
28、R
29、R
30及びR
31は各々独立して、水素、C
1~C
8アルキル、C
3~C
6シクロアルキル及びフェニルから選択され、ここで、各フェニル部分は、C
1~C
3アルキル、ハロゲン及びC
1~C
3アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されており;並びに、ここで、R
27及びR
28は同一でなくてもよく、又は、R
29及びR
30は同一ではなくてもよい)
である)
の化合物。
【請求項17】
式(IIIg)、(IIIh)、(IIIg-ent)又は(IIIh-ent):
(式中、R
4、R
5及びR
6は各々独立して、水素又はC
1~C
3アルキルであり;
R
7及びR
8は各々独立して、水素、ヒドロキシル、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシ、C
3~C
8シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、ナフチル、ベンジル又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、各フェニル、ナフチル又はベンジル部分の芳香族環は、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル及びC
1~C
6アルコキシから選択される1個~5個の基で任意選択により置換されており;
R
18、R
19A、R
19B、R
20、R
22、R
23、R
24及びR
25は各々独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8ハロアルキル、C
1~C
8ハロアルコキシ又はC
1~C
8アルコキシカルボニルであり、ここで、各C
1~C
8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されており;
R
21は、水素、C
1~C
8アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C
1~C
8アルキル及びC
1~C
8アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されており;又は
R
20及びR
21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員~8員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、前記複素環式部分は、1個又は2個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、前記ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択され;
R
32及びR
33は各々独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
3アルキル又はC
1~C
3アルコキシであり;
R
34は、ハロゲン、C
1~C
3アルキル又はC
1~C
3アルコキシであり;又は
R
32及びR
33、又は、R
33及びR
34、又は、R
34及びR
34は、これらが結合している前記炭素原子と一緒になって、5員~10員カルボシクリル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、前記複素環式部分は、1個、2個又は3個のヘテロ原子を含む単環式環であり、ここで、前記ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択され;
Xは、メシレート、トシレート、ノシレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、トリフレート又はトリフルオロアセテートであり;
Yは、H
2O、PhCN又はMeCNであり;並びに
Zは、メシレート、トシレート、ノシレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、トリフレートテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフェニルボレート又はテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートである)
の化合物。
【請求項18】
式(III-1)、(III-2)、(III-3)、(III-4)、(III-15)、(III-16)、(III-24)、(III-1-ent)、(III-2-ent)、(III-3-ent)、(III-4-ent)、(III-16-ent)、(III-24-ent)又は(III-15-ent):
の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキシムのエナンチオ選択的イリジウム-触媒水素化に係る新規プロセスに関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、式(II)のヒドロキシルアミン及びその塩をもたらす、イリジウム触媒及び酸の存在下における式(I)のオキシムの水素化に係る新規プロセス:
【化1】
に関し、ここで、アスタリスクを付した位置は不斉中心であり、及び、式(II)のヒドロキシルアミンの1種の立体異性体が過剰量で生成される。
【背景技術】
【0003】
国際公開第14/206855号及び国際公開第15/052076号から、いく種かの一般式(II)のキラルヒドロキシルアミンが、殺有害生物有効性化合物の中間体であることが公知である。
【0004】
均一系金属-触媒イミン水素化を介したキラルアミンの数多くの既存の生成方法(Chem.Rev.2011,111,1713)とは対照的に、オキシム還元を介したキラルヒドロキシルアミンの同様の合成は、実現が困難なままである。
【0005】
オキシムエーテルの不斉還元は、J.Org.Chem.1997,5385、及び、国際公開第14/206855号において、キラルアミノアルコールの存在下に還元剤としてボラン錯体を用いるものとして文献に記載されている。水素化と比したボラン還元法の主な欠点は、還元剤の高いコスト、化学量論量の廃棄物の形成をもたらすプロセスに係る低い原子効率である。J.Chem.Soc.Perkin Trans.I,1985,2039;Tetrahedron:Asymmetry 2003,14,1463などのさらに多くの事例においては、ボランオキシム還元では、対応する第一級アミンへの過還元が生じてしまう。
【0006】
オキシム及びオキシムエーテルのヒドロキシルアミンへの均一系水素化に係る報告はほとんどない。オキシムの遷移金属-触媒水素化は通例、対応する第一級アミンへの過還元、並びに、低い触媒効率により苦労を伴うものである(コバルト触媒-Bull.Chem.Soc.Jpn.1963,36,763;ルテニウム触媒-Tetrahedron:Asymmetry 1992,3,1283;ロジウム触媒-J.Chem.Soc.Chem.Commun.1995,1767;Org.Lett.2013,15,484;Tetrahedron:Asymmetry 2016,27,268;イリジウム触媒-Synth.Commun.2001,31,2767)。
【0007】
欧州特許第1862446号明細書は、水素、ビス(1,5-シクロオクタジエン)イリジウム(I)テトラフルオロボレート又はビス(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート、及び、(R)-1-[(S)-2-ジフェニルホスフィノフェロセニル]エチルジ-tert-ブチルホスフィンの組み合わせを用いる3-メトキシイミノエステルの均一系エナンチオ選択的水素化を開示する。しかしながら、実際においては、この方法は、3-ケトエステルのオキシムに範囲が限定されてしまうものである。このような基材は2,3-不飽和エステルに互変異性化し得、従って、記載のオキシム水素化反応は、実際には炭素-炭素二重結合還元である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
意外なことに、鏡像異性体的に富化された式(II)の化合物は、式(IIIa)又は式(IIIb)のキラルイリジウム触媒及び酸の存在下におけるオキシムと水素との反応:
【化2】
を介して調製可能であることがここに見出され、ここで、アスタリスクを付した位置は不斉中心であり、及び、式(II)のヒドロキシルアミンの1種の立体異性体が過剰量で生成され;
R
1及びR
2は各々独立して、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8ヒドロキシアルキル、C
1~C
8シアノアルキル、C
1~C
6アルコキシC
1~C
8アルキル、C
1~C
8ハロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
3~C
8シクロアルキル、フェニル、フェニルC
1~C
3アルキル、フェニルスルホニルC
1~C
3アルキル、C
1~C
6アルコキシカルボニル、架橋カルボシクリル、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、ここで、シクロアルキル、フェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール部分は各々、任意選択により、ヒドロキシル、ハロゲン、C
1~C
6アルキル、C
3~C
8シクロアルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
1~C
6アルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、C
1~C
6アルコキシカルボニル、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド及びC
2~C
6アルケニルから選択される1個~5個の基;又は、ピナコールボラン、フェニルスルホニル、フェニルC
1~C
3アルキル若しくはフェニルC
1~C
3アルコキシから選択される1個の基で置換されており;
R
3は、水素、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8ヒドロキシアルキル、C
1~C
8シアノアルキル、C
1~C
6アルコキシC
1~C
8アルキル、C
1~C
8ハロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
3~C
8シクロアルキル、フェニルC
1~C
3アルキル、ヘテロシクリルC
1~C
3アルキル又はヘテロビシクリルC
1~C
3アルキルであり、ここで、シクロアルキル及びヘテロシクリル部分は各々、任意選択により、ヒドロキシル、ハロゲン、C
1~C
6アルキル、C
3~C
8シクロアルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
1~C
6アルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、C
1~C
6アルコキシカルボニル、アシルアミノ、アミド、シアノ、アジド、ニトロ及びC
2~C
6アルケニルから選択される1個~5個の基で置換されており;
並びに、ここで、R
1及びR
2は同一であることはできず;又は
R
1及びR
2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、4員~9員飽和若しくは部分飽和不斉シクロアルキル又は不斉ヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、1個、2個又は3個のヘテロ原子を含む非芳香族単環式環であり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択され;又は
R
1及びR
3は、これらがそれぞれ結合している炭素原子及び酸素原子と一緒になって、5員~8員非芳香族ヘテロシクリル環又は8員~10員部分飽和ヘテロビシクリル環を形成し得る。
【0009】
ここで、式(IIIa)及び(IIIb)のイリジウム触媒は:
【化3】
であり、ここで、
【化4】
は、任意選択により置換されているシクロペンタジエニルリガンドを表し;
【化5】
は、イリジウムに配位する少なくとも1個の炭素原子及びイリジウムに配位する少なくとも1個の窒素原子を含む二座キレートリガンドを表し;
Xはアニオン基を表し;
Yは中性リガンドを表し;並びに
Zはアニオン基を表す。
【0010】
ここで、置換基は「任意選択により置換されている」と表記されており、これは、これらが、1個以上の同等又は異なる置換基を有していてもいなくてもよいことを意味する。例えば、1個、2個又は3個のハロゲンによって置換されているC1~C8アルキルは、特に限定されないが、-CH2Cl、-CHCl2、-CCl3、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2CF3又は-CF2CH3基を含み得る。他の例として、1個、2個又は3個のハロゲンによって置換されているC1~C6アルコキシは、特にこれらに限定されないが、CH2ClO-、CHCl2O-、CCl3O-、CH2FO-、CHF2O-、CF3O-、CF3CH2O-又はCH3CF2O-基を含み得る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において用いられるところ、用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)又はヨウ素(ヨード)、好ましくはフッ素、塩素又は臭素を指す。最も好ましくは、ハロゲンは塩素である。
【0012】
本明細書において用いられるところ、シアノは-CN基を意味する。
【0013】
本明細書において用いられるところ、「ヒドロキシル」又は「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を意味する。
【0014】
本明細書において用いられるところ、アミノは-NH2基を意味する。
【0015】
本明細書において用いられるところ、アミドは-(C=O)NRaRa基を意味し、ここで、Raは、以下に一般的に定義されているとおり、C1~C4アルキルラジカルである。
【0016】
本明細書において用いられるところ、ニトロは-NO2基を意味する。
【0017】
本明細書において用いられるところ、アジドは-N3基を意味する。
【0018】
本明細書において用いられるところ、「C1~C8アルキル」という用語は、単に炭素及び水素原子からなり、不飽和を含有せず、1個~8個の炭素原子を有し、並びに、単結合によって分子の残部に結合している直鎖又は分岐鎖炭化水素鎖ラジカルを指す。C1~C6アルキル、C1~C4アルキル、C1~C3アルキル及びC1~C2アルキルは相応に解釈されるべきである。C1-8アルキルの例としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル及び1-ジメチルエチル(t-ブチル)が挙げられる。「C1~C2アルキレン」基は、C1~C2アルキルの対応する定義を参照するが、ただし、このようなラジカルが2つの単結合によって分子の残部に結合することを除く。C1~C2アルキレンの例は、-CH2-及び-CH2CH2-である。
【0019】
本明細書において用いられるところ、「C2~C6アルケニル」という用語は、単に炭素及び水素原子からなり、(E)-又は(Z)-立体配置のいずれかであることが可能である少なくとも1つの二重結合を含有し、2個~6個の炭素原子を有し、単結合によって分子の残部に結合している直鎖又は分岐鎖炭化水素鎖ラジカル基を指す。C2~C6アルケニルの例としては、これらに限定されないが、エテニル(ビニル)、プロプ-1-エニル、プロプ-2-エニル(アリル)及びブタ-1-エニルが挙げられる。
【0020】
本明細書において用いられるところ、「C1~C8アルコキシ」という用語は、RaがC1-8アルキルラジカルである、上記に一般的に定義されている式-ORaのラジカルを指す。C1~C6アルコキシ、C1~C4アルコキシ、C1~C3アルコキシ及びC1~C2アルコキシという用語は、相応に解釈されるべきである。C1~C8アルコキシの例としては、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ及びt-ブトキシが挙げられる。
【0021】
本明細書において用いられるところ、「C1~C8ヒドロキシアルキル」という用語は、1個以上のヒドロキシ基により置換されている、上記に一般的に定義されているC1~C8アルキルラジカルを指す。C1~C8ヒドロキシアルキルの例としては、これらに限定されないが、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル及びヒドロキシブチルが挙げられる。
【0022】
本明細書において用いられるところ、「C1~C8シアノアルキル」という用語は、1個以上のシアノ基により置換されている、上記に一般的に定義されているC1~C8アルキルラジカルを指す。C1~C8シアノアルキルの例としては、これらに限定されないが、シアノメチル、シアノエチル及びシアノブチルが挙げられる。
【0023】
本明細書において用いられるところ、「C1~C6アルコキシC1~C8アルキル」という用語は、式RaORb-のラジカル(式中、Raは、上記に一般的に定義されているC1~C6アルキルラジカルであり、及び、Rbは、上記に一般的に定義されているC1~C8アルキレンラジカルである)を指す。C1~C6アルコキシC1~C8アルキルの例としては、これらに限定されないが、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシブチル、エトキシメチル及びエトキシエチルが挙げられる。
【0024】
本明細書において用いられるところ、「C1~C8ハロアルコキシ」という用語は、上記に定義されているとおり、同一又は異なる1個以上のハロゲン原子により置換されている-ORaラジカルを指す。C1~C8ハロアルコキシの例としては、これらに限定されないが、フルオロメトキシ、フルオロエトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ及び3,3,3-トリフルオロプロポキシが挙げられる。
【0025】
本明細書において用いられるところ、「(ヒドロキシ)-C1~C8アルコキシ」という用語は、上記に定義されている、1個以上のヒドロキシ基で置換されている-ORaラジカルを指す。(ヒドロキシ)-C1~C8アルコキシの例としては、これらに限定されないが、2-ヒドロキシエトキシが挙げられる。
【0026】
本明細書において用いられるところ、「(C1~C8アルコキシ)-C1~C8アルコキシ」という用語は、-ORaラジカルを指し、ここで、Raは、上記に定義されている1個のC1~C8アルコキシ基で置換されている、上記に定義されているC1~C8アルキルラジカルである。(C1~C8アルコキシ)-C1~C8アルコキシの例としては、これらに限定されないが、2-メトキシエトキシが挙げられる。
【0027】
本明細書において用いられるところ、「(C1~C8アルコキシC1~C8アルコキシ)-C1~C8アルコキシ」という用語は、式(RaORbO)RcO-ラジカルのラジカルを指し、ここで、Ra、Rb及びRcは各々独立して、上記に一般的に定義されているC1~C8アルキルラジカルである。(C1~C8アルコキシC1~C8アルコキシ)-C1~C8アルコキシの例としては、これらに限定されないが、2-(2-メトキシエトキシ)エトキシが挙げられる。
【0028】
本明細書において用いられるところ、「C1~C4アルコキシ(C1~C4アルコキシC1~C4アルキル)-C1~C4アルコキシ」という用語は、式RaO(RbORc)RdO-のラジカルを指し、ここで、Ra、Rb、Rc及びRdは各々独立して、上記に一般的に定義されているC1~C4アルキルラジカルである。C1~C4アルコキシ(C1~C4アルコキシC1~C4アルキル)-C1~C4アルコキシの例としては、これらに限定されないが、[2-メトキシ-1-(メトキシメチル)エトキシ]が挙げられる。
【0029】
本明細書において用いられるところ、「C1~C8ハロアルキル」という用語は、同一又は異なる1個以上のハロゲン原子により置換されている、上記に一般的に定義されているC1~C8アルキルラジカルを指す。C1~C8ハロアルキルの例としては、これらに限定されないが、フルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル及び3,3,3-トリフルオロプロピルが挙げられる。
【0030】
本明細書において用いられるところ、「C1~C6アルコキシカルボニル」という用語は、Raが上記に一般的に定義されているC1~C6アルキルラジカルである、式RaOC(O)-のラジカルを指す。
【0031】
本明細書において用いられるところ、「(C1~C3アルコキシカルボニル)-C1~C3アルコキシ」という用語は、式(RaOC(O))RbO-のラジカル(ここで、Ra及びRbは各々独立して、上記に一般的に定義されているC1~C3アルキルラジカルである)を指す。(C1~C3アルコキシカルボニル)-C1~C3アルコキシの例としては、これらに限定されないが、2-メトキシ-2-オキソ-エトキシが挙げられる。
【0032】
本明細書において用いられるところ、「C3~C8シクロアルキル」という用語は、飽和若しくは部分飽和であり、及び、3個~8個の炭素原子を含有する単環式環ラジカルを指す。C3~C6シクロアルキル及びC3~C5シクロアルキルは、相応に解釈されるべきである。C3~C8シクロアルキルの例としては、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンタン-1-イル、シクロペンタン-3-イル及びシクロヘキセン-3-イルが挙げられる。
【0033】
本明細書において用いられるところ、「カルボビシクリル」という用語は、2つの環を含み、及び、5個~9個の炭素原子を含有する部分飽和環系を指す。カルボビシクリルの例としては、これらに限定されないが、インダニルが挙げられる。
【0034】
本明細書において用いられるところ、「架橋カルボシクリル」という用語は、7~10個の炭素原子を含有し、例えば3つの環といった2つ以上の環を含み、及び、少なくとも1つの架橋、すなわち、2個の橋頭原子を接続する1個の原子又は原子の未分岐鎖をさらに含む飽和系を指す。架橋カルボシクリルの例としては、これらに限定されないが、ノルボルニル、二環式[2.2.2]オクタニル及びアダマンチルが挙げられる。
【0035】
本明細書において用いられるところ、「フェニルC1~C3アルキル」という用語は、上記に定義されているC1~C3アルキレンラジカにより分子の残部に結合しているフェニル環を指す。フェニルC1~C3アルキルの例としては、これらに限定されないが、ベンジルが挙げられる。
【0036】
本明細書において用いられるところ、「フェニルスルホニル」という用語は、S(O)2-ラジカルにより分子の残部に結合しているフェニル環を指す。
【0037】
本明細書において用いられるところ、「フェニルスルホニルC1~C3アルキル」という用語は、上記に定義されているC1~C3アルキレンラジカルにより分子の残部に結合している上記に定義されているフェニルスルホニルを指す。フェニルスルホニルC1~C3アルキルの例としては、これらに限定されないが、フェニルスルホニルメチルが挙げられる。
【0038】
本明細書において用いられるところ、「ヘテロシクリル」という用語は、1個、2個又は3個のヘテロ原子を含む安定な4-、5-又は6員非芳香族単環式環を指し、ここで、ヘテロ原子は、N、O、及びSから個々に選択される。ヘテロシクリルラジカルは、炭素原子又はヘテロ原子を介して分子の残部に結合し得る。ヘテロシクリルの例としては、これらに限定されないが、アジリジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ジオキソラニル、ジチオラニル及びチアゾリジニルが挙げられる。
【0039】
本明細書において用いられるところ、「ヘテロシクリルC1~C3アルキル」という用語は、上記に定義されているC1~C3アルキレンリンカーにより分子の残部に結合している上記に定義されているヘテロシクリル環を指す。
【0040】
本明細書において用いられるところ、「ヘテロビシクリル」という用語は、2つの環を含み、及び、4個~10個の炭素原子を含有する部分飽和環系を指す。ヘテロビシクリルの例としては、これらに限定されないが、3,4-ジヒドロ-1H-2,3-ベンゾキサジンが挙げられる。
【0041】
本明細書において用いられるところ、「ヘテロビシクリルC1~C3アルキル」という用語は、上記に定義されているC1~C3アルキレンリンカーにより分子の残部に結合している上記に定義されているヘテロ二環系を指す。
【0042】
本明細書において用いられるところ、「ヘテロアリール」という用語は、一般に、窒素、酸素及び硫黄から個々に選択される1個又は2個のヘテロ原子を含む5員又は6員単環式芳香族環ラジカルを指す。ヘテロアリールラジカルは、炭素原子又はヘテロ原子を介して分子の残部に結合していてもよい。ヘテロアリールの例としては、これらに限定されないが、フラニル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジル及びピリジルが挙げられる。
【0043】
本明細書において用いられるところ、=Oは、例えば、カルボニル(-C(=O)-)基において見出されるものといったオキソ基を意味する。
【0044】
本明細書において用いられるところ、O-メシル又はメシレートは、式-OS(O)2CH3のラジカルを指す。
【0045】
本明細書において用いられるところ、O-トシル又はトシレートは、式-OS(O)2C6H4-p-CH3のラジカルを指す。
【0046】
本明細書において用いられるところ、O-ノシル又はノシレートは、式-OS(O)2C6H4-p-NO2のラジカルを指す。
【0047】
本明細書において用いられるところ、O-トリフリル又はトリフレートは、式-OS(O)2CF3のラジカルを指す。
【0048】
本明細書において用いられるところ、O-トリフルオロアセチル又はトリフルオロ酢酸塩は、式-OC(O)CF3のラジカルを指す。
【0049】
本明細書において用いられるところ、テトラフルオロボレートは、式BF4
-のラジカルを指す。
【0050】
本明細書において用いられるところ、テトラフェニルボレートは、式B(C6H5)4
-のラジカルを指す。
【0051】
本明細書において用いられるところ、テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボリルは、式B(3,5-(CF3)2C6H3)4
-のラジカルを指す。
【0052】
本明細書において用いられるところ、ヘキサフルオロリン酸は、式PF6
-のラジカルを指す。
【0053】
本明細書において用いられるところ、スルフェートは、式SO4
2-のラジカルを指す。
【0054】
本明細書において用いられるところ、ハイドロジェンスルフェートは、式HSO4
-のラジカルを指す。
【0055】
本明細書において用いられるところ、「芳香族」又は「アリール」という用語は、単に炭素及び水素原子からなり、単環式、二環式又は三環式であり得る芳香族環系を指す。このような環系の例としては、フェニル、ナフタレニル、アントラセニル、インデニル又はフェナントレニルが挙げられる。
【0056】
以下のリストは、本明細書において開示されている化合物を参照した、置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R18、R19A、R19B、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、X、Y及びZに係る好ましい定義を含む定義を提供する。これらの置換基のいずれか1つについて、以下に記載されている定義のいずれかが、本明細書中以下又は他の個所に記載されているいずれかの他の置換基のいずれかの定義と組み合わされてもよい。
【0057】
R1及びR2は各々独立して、C1~C8アルキル、C1~C8ヒドロキシアルキル、C1~C8シアノアルキル、C1~C6アルコキシC1~C8アルキル、C1~C8ハロアルキル、C2~C6アルケニル、C3~C8シクロアルキル、フェニル、フェニルC1~C3アルキル、フェニルスルホニルC1~C3アルキル、C1~C6アルコキシカルボニル、架橋カルボシクリル、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、ここで、シクロアルキル、フェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール部分は各々、任意選択により、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C1~C6ハロアルキル、C1~C6アルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、C1~C6アルコキシカルボニル、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド及びC2~C6アルケニルから選択される1個~5個の基;又は、ピナコールボラン、フェニルスルホニル、フェニルC1~C3アルキル及びフェニルC1~C3アルコキシから選択される1個の基で置換されている。
【0058】
一実施形態において、R1は、C1~C6アルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、C1~C4シアノアルキル、C1~C4アルコキシC1~C4アルキル、C1~C4ハロアルキル、C2~C6アルケニル、C5~C8シクロアルキル、フェニル、フェニルC1~C3アルキル、フェニルスルホニルC1~C3アルキル、C1~C2アルコキシカルボニル、架橋C7~C10カルボシクリル、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、ここで、シクロアルキル、フェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール部分は各々、任意選択により、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、C1~C3アルコキシカルボニル、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド及びC2~C6アルケニルから選択される1個~3個の基;又は、ピナコールボラン、フェニルスルホニル、フェニルC1~C2アルキル及びフェニルC1~C2アルコキシから選択される1個の基で置換されている。
【0059】
好ましくは、R1は、C1~C6アルキル、C1~C3ヒドロキシアルキル、C1~C3アルコキシC1~C3アルキル、C2~C4アルケニル、C5~C6シクロアルキル、フェニル、フェニルC1~C3アルキル、C1~C2アルコキシカルボニル、架橋C8~C10カルボシクリル、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、ここで、シクロアルキル、フェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール部分は各々、任意選択により、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド及びC2~C6アルケニルから選択される1個~3個の基;又は、ピナコールボラン、フェニルスルホニル、フェニルC1~C2アルキル及びフェニルC1~C2アルコキシから選択される1個の基で置換されている。
【0060】
より好ましくは、R1は、C1~C6アルキル、シクロヘキシル、フェニル、フェニルC1~C2アルキル、アダマンチル又はヘテロアリールであり、ここで、フェニル及びヘテロアリール部分は各々、任意選択により、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、ニトロ、アジド及びC2~C6アルケニルから選択される1個~3個の基;又は、ピナコールボラン、フェニルスルホニル及びフェニルC1~C3アルコキシから選択される1個の基で置換されている。
【0061】
さらにより好ましくは、R1は、C1~C4アルキル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、アダマンチル又はヘテロアリールであり、ここで、フェニル及びヘテロアリール部分は各々、任意選択により、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、ニトロ、アジド及びC2~C6アルケニルから選択される1個~3個の基;又は、ピナコールボラン及びフェニルスルホニルから選択される1個の基で置換されている。
【0062】
さらにより好ましくは、R1は、イソプロピル、t-ブチル、シクロヘキシル、アダマンチル、フェニル、2-メトキシフェニル、2-ニトロフェニル、4-メトキシフェニル、4-トリフルオロフェニル、4-アジドフェニル、4-ビニルフェニル、2-ナフチルメトキシフェニル、[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,2,3-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]、1-ヒドロキシベンジル、2-ブロモベンジル、4-メトキシベンジル、1,1-ジフェニルメチル、1,1-ジメチルベンジル、2,4,6-トリメチルベンジル、2,4,6-トリクロロベンジル、2-チエニル又は1-(ベンゼンスルホニル)ピロール-3-イルである。
【0063】
一実施形態において、R2は、C1~C6アルキル、ヒドロキシC1~C4アルキル、C1~C4シアノアルキル、C1~C4アルコキシC1~C6アルキル、C1~C4ハロアルキル、C2~C4アルケニル、C1~C4アルコキシカルボニル、C3~C8シクロアルキル、フェニル、フェニルC1~C3アルキル、フェニルスルホニルC1~C3アルキル、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、ここで、シクロアルキル、フェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール部分は各々、任意選択により、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C4アルキル、C3~C6シクロアルキル、C1~C4ハロアルキル、C1~C4アルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、C1~C3アルコキシカルボニル、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド及びC2~C4アルケニルから選択される1個~3個の基で置換されている。
【0064】
好ましくは、R2は、C1~C4アルキル、ヒドロキシC1~C3アルキル、C1~C3シアノアルキル、C1~C3アルコキシC1~C4アルキル、C1~C3ハロアルキル、C2~C3アルケニル、C1~C3アルコキシカルボニル、C3~C6シクロアルキル、フェニルスルホニルC1~C3アルキル、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、ここで、シクロアルキル、フェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール部分は各々、任意選択により、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ及びC1~C2アルコキシカルボニルから選択される1個~3個の基で置換されている。
【0065】
より好ましくは、R2は、C1~C4アルキル、ヒドロキシC1~C3アルキル、C1~C3アルコキシC1~C4アルキル、C1~C3アルコキシカルボニル、C3~C6シクロアルキル、フェニルスルホニルC1~C3アルキル又はヘテロシクリルであり、ここで、フェニル部分は、ヒドロキシル、ハロゲン、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルから選択される1個又は2個の基で任意選択により置換されている。
【0066】
さらにより好ましくはR2は、C1~C4アルキル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、メトキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、C5~C6シクロアルキル、フェニルスルホニルC1~C2アルキル又はヘテロシクリルであり、ここで、フェニル部分は、ハロゲン、メチル、トリフルオロメチル及びメトキシから選択される1個の基で任意選択により置換されている。
【0067】
さらにより好ましくは、R2は、メチル、イソプロピル、t-ブチル、ヒドロキシメチル、メトキシブチル、エトキシカルボニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル又はp-トルエンスルホニルメチルである。
【0068】
一実施形態において、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、4員~9員飽和若しくは部分飽和不斉シクロアルキル、不斉ビシクリル又は不斉ヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、1個、2個又は3個のヘテロ原子を含む非芳香族単環式環であり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択され、ここで、シクロアルキル、ビシクリル及びヘテロシクリル環系は各々、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C3アルキル、C3~C4シクロアルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3アルコキシカルボニル、シアノ及びニトロから選択される1個~3個の基で任意選択により置換され得る。
【0069】
好ましくは、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、4員~9員飽和若しくは部分飽和不斉シクロアルキル、不斉ビシクリル又は不斉ヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は1個又は2個のヘテロ原子を含む非芳香族単環式環であり、ここで、ヘテロ原子はN及びOから個々に選択され、並びに、ここで、シクロアルキル、ビシクリル及びヘテロシクリル環系は各々、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C3アルキル、C3~C4シクロアルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3アルコキシカルボニル、シアノ及びニトロから選択される1個~3個の基で任意選択により置換され得る。
【0070】
より好ましくは、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、4員~9員飽和若しくは部分飽和不斉シクロアルキル又は不斉カルボビシクリルを形成し得、ここで、シクロアルキル及びビシクリル環系は各々、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C3アルキル、C3~C4シクロアルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3アルコキシカルボニル、シアノ及びニトロから選択される1個~3個の基で任意選択により置換され得る。
【0071】
さらにより好ましくは、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、8員~9員飽和若しくは部分飽和不斉カルボビシクリルを形成し得、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C3アルキル、C3~C4シクロアルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3アルコキシカルボニル、シアノ及びニトロから選択される1個~3個の基で任意選択により置換される。
【0072】
さらにより好ましくは、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C3アルキル、C3~C4シクロアルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3アルコキシカルボニル、シアノ及びニトロから選択される1個~3個の基で任意選択により置換されている不斉インダニル部分を形成し得る。実施形態の特に好ましい組において、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、ヒドロキシル、ハロゲン、メチル、エチル、シクロプロピル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ及びメトキシカルボニルから選択される1個の基で任意選択により置換されている不斉インダニル部分を形成し得る。実施形態のさらに特に好ましい組において、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、不斉2-メチルインダン-1-イル又は不斉2-メトキシカルボニルインダン-1-イルを形成し得る。
【0073】
実施形態の1つの組において、R3は、水素、C1~C8アルキル、C1~C8ヒドロキシアルキル、C1~C8シアノアルキル、C1~C6アルコキシC1~C8アルキル、C1~C8ハロアルキル、C2~C6アルケニル、C3~C8シクロアルキル、フェニルC1~C3アルキル、ヘテロシクリルC1~C3アルキル又はヘテロビシクリルC1~C3アルキルであり、ここで、シクロアルキル及びヘテロシクリル部分は各々、任意選択により、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C1~C6ハロアルキル、C1~C6アルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、C1~C6アルコキシカルボニル、アシルアミノ、アミド、シアノ、アジド、ニトロ、オキソ及びC2~C6アルケニルから選択される1個~5個の基で置換されている。
【0074】
好ましくは、R3は、水素、C1~C6アルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、C1~C4シアノアルキル、C1~C2アルコキシC1~C4アルキル、C1~C4ハロアルキル、C2~C4アルケニル、C3~C6シクロアルキル、フェニルC1~C3アルキル、ヘテロシクリルC1~C3アルキル又はヘテロビシクリルC1~C3アルキルであり、ここで、シクロアルキル及びヘテロシクリル部分は各々、任意選択により、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C3アルキル、C3~C6シクロアルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ、オキソ及びC2~C4アルケニルから選択される1個~3個の基で置換されている。
【0075】
より好ましくは、R3は、水素、C1~C4アルキル、フェニルC1~C2アルキル、ヘテロシクリルC1~C2アルキル又はヘテロビシクリルC1~C2アルキルであり、ここで、ヘテロシクリル部分は各々、任意選択により、ハロゲン、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、シアノ、ニトロ、オキソ及びC2~C4アルケニルから選択される1個又は2個の基で置換されている。
【0076】
さらにより好ましくは、R3は、水素、C1~C4アルキル、ベンジル、2-メチル-1,3-ジオキソラニル又はイソインドリン-1,3-ジオン-N-エチルである。より好ましくは、R3は、水素、メチル、t-ブチル、ベンジル、2-メチル-1,3-ジオキソラニル又はイソインドリン-1,3-ジオン-N-エチルである。
【0077】
実施形態の1つの組において、R1及びR3は、これらがそれぞれ結合している炭素原子及び酸素原子と一緒になって、酸素及び窒素から選択される2個~3個のヘテロ原子を含む部分飽和10員ヘテロ二環式基を形成し得る。好ましくは、R1及びR3は、これらがそれぞれ結合している炭素原子及び酸素原子と一緒になって、3,4-ジヒドロ-1H-2,3-ベンゾキサジン環を形成し得る。
【0078】
実施形態のさらなる組において、R1及びR2は各々独立して、C1~C8アルキル、C1~C8ヒドロキシアルキル、C1~C8シアノアルキル、C1~C6アルコキシC1~C8アルキル、C1~C8ハロアルキル、C2~C6アルケニル、C3~C8シクロアルキル、フェニル、フェニルC1~C3アルキル又はヘテロアリールであり、ここで、シクロアルキル及びフェニル部分は各々、任意選択により、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C1~C6ハロアルキル、C1~C6アルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、C1~C6アルコキシカルボニル、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ及びC2~C6アルケニルから選択される1個~5個の基で置換されており;
R3は、水素、C1~C8アルキル、C1~C8ヒドロキシアルキル、C1~C8シアノアルキル、C1~C6アルコキシC1~C8アルキル、C1~C8ハロアルキル、C2~C6アルケニル、C3~C8シクロアルキル、フェニル、フェニルC1~C3アルキル及びヘテロアリールであり、ここで、シクロアルキル及びフェニル部分は各々、任意選択により、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C1~C6ハロアルキル、C1~C6アルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、C1~C6アルコキシカルボニル、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ及びC2~C6アルケニルから選択される1個~5個の基で置換されており;
並びに、ここで、R1及びR2は同一であることはできず;又は
R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、4員~8員不斉飽和シクロアルキル又は不斉ヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、1個、2個又は3個のヘテロ原子を含む非芳香族単環式環であり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択される。
【0079】
実施形態の他の組において、R1はフェニル又はベンジルであり、ここで、各フェニル又はベンジル部分の芳香族環は、クロロ、メチル、メトキシ、メトキシカルボニル及びニトロから独立して選択される1個、2個又は3個の基で任意選択により置換されており;
R2はメチル又はイソプロピルを表し;及び
R3は、水素、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル、アリル又はベンジルを表し、好ましくは、水素、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル又はベンジルを表す。
【0080】
好ましくは、式(I)のオキシムは、N-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-イミン(すなわち、式I-1の化合物);
【化6】
である。
【0081】
好ましくは、式(II)のヒドロキシルアミンは、(2R)-N-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-アミン(すなわち、式II-1の化合物)又は(2S)-N-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-アミン(すなわち、式II-1-entの化合物)であり、最も好ましくは、(2S)-N-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-アミン(すなわち、式II-1-entの化合物):
【化7】
である。
【0082】
式(IIIa)又は式(IIIb)のキラルイリジウム触媒において、シクロペンタジエニルリガンド
【化8】
は、キラルシクロペンタジエニルリガンドであり;又は
二座キレートリガンド
【化9】
は、キラル二座キレートリガンドであり;又は
シクロペンタジエニルリガンド及び二座キレートリガンドは共にキラルである。
【0083】
一実施形態において、シクロペンタジエニルリガンドはキラルシクロペンタジエニルリガンドであり、このようなリガンドは、例えばAngew.Chem.Int.Ed.2018,57,5459;J.Am.Chem.Soc.2016,138,5242;J.Am.Chem.Soc.2016,138,3935;Acc.Chem.Res.2015,48,1308;J.Am.Chem.Soc.2015,137,12478;Angew.Chem.Int.Ed.2015,54,12149;Organometallics 2019,38,3939;及び、Synlett 2015,26,1490において記載されている。当業者は、キラルシクロペンタジエニルリガンドの両方の鏡像異性体は、実質的に同一の調製方法を用いるが、出発材料の反対の鏡像異性体から出発することで調製され得ることを認識するであろう。
【0084】
好ましくは、イリジウム触媒は、式(IIIa-1)(IIIb-1)又は対応するエナンチオマ式(IIIa-1-ent)若しくは(IIIb-1-ent):
【化10】
のものであり、ここで、R
4、R
5及びR
6は各々独立して、水素又はC
1~C
3アルキルである。好ましくは、R
4、R
5及びR
6は各々独立して、水素、メチル又はイソプロピルであり、より好ましくは、R
4、R
5及びR
6は各々、水素を表す。
【0085】
R7及びR8は各々独立して、水素、ヒドロキシル、C1~C8アルキル、C1~C8アルコキシ、C3~C8シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、ナフチル、ベンジル又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、各フェニル、ナフチル又はベンジル部分の芳香族環は、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C6アルコキシから選択される1個~5個の基で任意選択により置換されている。
【0086】
好ましくは、R7及びR8は各々独立して、C1~C6アルコキシ、フェニル、ナフチル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。より好ましくは、R7及びR8は各々独立して、C1~C6アルコキシ、フェニル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。さらにより好ましくは、C1~C3アルコキシ及びフェニルであって、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。さらにより好ましくは、R7及びR8は各々独立して、メトキシ、イソ-プロポキシ、フェニル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシである。なおさらにより好ましくは、R7及びR8は各々独立して、メトキシ、イソ-プロポキシ又はフェニルである。
【0087】
実施形態の1つの組において、R7及びR8は各々独立して、メトキシ、イソ-プロポキシ、フェニル、4-メトキシフェニル又はナフチルである。
【0088】
ここで、
【化11】
、X、Y及びZは上記に定義されているとおりである。
【0089】
シクロペンタジエニルリガンドの特に好ましい例は、以下に示されている式(IX-1)、(IX-2)、(IX-3)、(IX-4)、(IX-5)、(X-1)又は(X-2):
【化12】
のC
2-対称キラルシクロペンタジエニルリガンド及び、その反対の鏡像異性体(IX-1-ent)、(IX-2-ent)、(IX-3-ent)、(IX-4-ent)、(IX-5-ent)、(X-1-ent)又は(X-2-ent):
【化13】
である。
【0090】
本発明のさらなる実施形態においては、式(IIIa-2)及び(IIIb-2)のイリジウム触媒及び対応するエナンチオマ式(IIIa-2-ent)又は(IIIb-2-ent):
【化14】
もまた提供されており、ここで、R
4、R
5及びR
6は各々独立して、水素又はC
1~C
3アルキルである。好ましくは、R
4、R
5及びR
6は各々独立して、水素、メチル又はイソプロピルであり、より好ましくは、R
4、R
5及びR
6は各々水素を表す。
【0091】
R7及びR8は各々独立して、水素、ヒドロキシル、C1~C8アルキル、C1~C8アルコキシ、C3~C8シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、ナフチル、ベンジル又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、各フェニル、ナフチル又はベンジル部分の芳香族環は、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C6アルコキシから選択される1個~5個の基で任意選択により置換されている。
【0092】
好ましくは、R7及びR8は各々独立して、C1~C6アルコキシ、フェニル、ナフチル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。より好ましくは、R7及びR8は各々独立して、C1~C6アルコキシ、フェニル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。さらにより好ましくは、C1~C3アルコキシ及びフェニルであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。さらにより好ましくは、R7及びR8は各々独立して、メトキシ、イソ-プロポキシ、フェニル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシである。さらにより好ましくは、メトキシ、イソ-プロポキシ又はフェニルである。
【0093】
実施形態の1つの組において、R7及びR8は各々独立して、メトキシ、イソ-プロポキシ、フェニル、4-メトキシフェニル又はナフチルである。
【0094】
R32及びR33は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、C3~C8シクロアルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3ハロアルコキシ又はフェニルである。好ましくは、R32及びR33は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、R32及びR33は各々独立して、水素、メチル又はメトキシである。最も好ましくは、R32及びR33は共に水素である。
【0095】
R34は、ハロゲン、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、C3~C8シクロアルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3ハロアルコキシ又はフェニルである。好ましくは、R34は、ハロゲン、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、R34はメチル又はメトキシであり、最も好ましくはメトキシである。
【0096】
或いは、R32及びR33、又は、R33及びR34、又は、R32及びR34は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、5員~10員カルボシクリル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、1個、2個又は3個のヘテロ原子を含む単環式環であり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択される。
【0097】
シクロペンタジエニルリガンドの特に好ましい例は、式(IX-6)、(IX-7)、(X-3)又は(X-4):
【化15】
のC
2-対称キラルシクロペンタジエニルリガンド及び、その反対の鏡像異性体(IX-6-ent)、(IX-7-ent)、(X-3-ent)又は(X-4-ent):
【化16】
である。
【0098】
特定の鏡像異性体(II又はII-ent)に富化された式(II)の化合物が触媒(III)の特定の鏡像異性体を用いて得られる場合、式(II)の化合物の反対の鏡像異性体は、触媒(III-ent)の反対の鏡像異性体を用いることで得られることが、エナンチオ選択的触媒の分野において一般的であると共に、当業者に公知である。本発明は、キラル異性体のいずれか一方が富化している式(II)の化合物及びその塩のエナンチオ選択的調製に係るプロセスに関する。対応するキラル異性体(II):(II-ent)の比は、例えば1:100~100:1、最も特定的には、60:40、70:30、80:20、90:10、95:5、99:1であり得、又は、対応するキラル異性体(II):(II-ent)の比は、例えば40:60、30:70、20:80、10:90、5:95、1:99であり得る。
【0099】
【化17】
は、イリジウムに配位する少なくとも1個の炭素原子及びイリジウムに配位する少なくとも1個の窒素原子を含む二座キレートリガンドを表す。多くの金属-キレートリガンドが当業者に公知であり、本発明における使用に好適であろう。特に好適な二座キレートリガンドは、配位している窒素及び炭素原子において1,4-関係を有するもの、好ましくは、配位している炭素原子が芳香族環の一部を形成し、ここで、前記芳香族環がオルト位で置換されているものである。
【0100】
好適な二座キレートリガンドの例は、構造(IV)、(IVa)又は(IVb):
【化18】
の誘導体である。
【0101】
好ましい二座キレートC,Nリガンドは、構造(IVc):
【化19】
のリガンドであり、ここで、R
18、R
19A、R
19B、R
20、R
22、R
23、R
24及びR
25は各々独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8ハロアルキル、C
1~C
8ハロアルコキシ又はC
1~C
8アルコキシカルボニルであり、ここで、各C
1~C
8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されており、好ましくは、各C
1~C
8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8アルキル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されている。
【0102】
好ましくは、R18、R19A、R19B、R20、R22、R23、R24及びR25は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ又はC1~C6アルコキシカルボニルであり、ここで、各C1~C6アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換され、好ましくは、各C1~C6アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されている。
【0103】
好ましくは、R18は、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ、(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシ、(C1~C8アルコキシC1~C8アルコキシ)-C1~C8アルコキシ、C1~C4アルコキシ(C1~C4アルコキシC1~C4アルキル)-C1~C4アルコキシ、又は(C1~C3アルコキシカルボニル)-C1~C3アルコキシ、より好ましくは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。さらにより好ましくは、R18は、水素、メトキシ、エトキシ、2-ヒドロキシエトキシ、2-メトキシエトキシ、[2-メトキシ-1-(メトキシメチル)エトキシ]、2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ、2-メトキシ-2-オキソ-エトキシ又は(2-イソ-プロポキシ-2-オキソ-メトキシ)である。さらにより好ましくは、R18は、水素、メトキシ、エトキシ、2-ヒドロキシエトキシ、2-メトキシエトキシ、[2-メトキシ-1-(メトキシメチル)エトキシ]又は2-(2-メトキシエトキシ)エトキシである。
【0104】
好ましくは、R19Aは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。より好ましくは、R19Aは、水素又はC1~C3アルコキシ、さらにより好ましくは、水素又はメトキシである。
【0105】
好ましくは、R19Bは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。より好ましくは、R19Bは、水素又はC1~C3アルコキシであり、さらにより好ましくは、水素又はメトキシである。
【0106】
好ましくは、R20は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシである。より好ましくは、R20は、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R20は、水素、メチル又はメトキシである。さらにより好ましくは、R20は水素である。
【0107】
R21は、水素、C1~C8アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C1~C8アルキル及びC1~C8アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されている。好ましくは、R21は、水素、C1~C6アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C1~C3アルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基により任意選択により置換されている。より好ましくは、R21は、水素、C1~C3アルキル又はフェニルであり、さらにより好ましくは、C1~C3アルキルである。さらにより好ましくは、R21はメチルである。
【0108】
好ましくは、R22は、水素又はC1~C3アルキルであり、より好ましくは、R22は水素である。
【0109】
好ましくは、R23は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R23は、水素又はメチルである。さらにより好ましくは、R23はメチルである。
【0110】
好ましくは、R24は、C1~C3アルコキシであり、より好ましくは、メトキシである。
【0111】
好ましくは、R25は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシである。より好ましくは、R25は、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R25は、水素又はメチルであり、さらにより好ましくは、メチルである。
【0112】
一実施形態において、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員~8員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、1個又は2個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択される。好ましくは、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員若しくは7員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は1個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、ヘテロ原子はO及びSから選択される。さらにより好ましくは、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員若しくは7員部分飽和シクロアルキル環又は6員部分飽和ジヒドロピラニル環を形成し得る。
【0113】
一実施形態において、R24及びR25は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員不飽和環を形成し得る。
【0114】
構造(IVc)に係る二座キレートリガンドにおいて、好ましくは:
R18は、水素、メトキシ、2-メトキシエトキシ、[2-メトキシ-1-(メトキシメチル)エトキシ]、2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ、2-ヒドロキシエトキシ、2-メトキシ-2-オキソ-エトキシ又は(2-イソ-プロポキシ-2-オキソ-メトキシ)であり;
R19A及びR19Bは各々独立して、水素及びメトキシから選択され;
R20は、水素、メチル又はメトキシであり;
R21はメチルであり;又は
R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、1個の酸素を含む、6若しくは7員部分飽和シクロアルキル環又は非芳香族ヘテロシクリル環を形成し得;
R22は水素であり;
R23は水素又はメチルであり;
R24はメトキシであり;並びに
R25は水素又はメチルである。
【0115】
より好ましくは、R18は、水素、メトキシ、2-メトキシエトキシ、[2-メトキシ-1-(メトキシメチル)エトキシ]又は2-(2-メトキシエトキシ)エトキシであり;
R19A及びR19Bは各々独立して、水素及びメトキシから選択され;
R20は、水素、メチル又はメトキシであり;
R20は水素であり;
R21はメチルであり;又は
R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6又は7員部分飽和シクロアルキル環を形成し得;
R22は水素であり;
R23は水素又はメチルであり;
R24はメトキシであり;並びに
R25は水素又はメチルである。
【0116】
実施形態の1つの組において、R18は、水素、メトキシ、メトキシエトキシ、2(2-メトキシエトキシ)エトキシ、[2-メトキシ-1-(メトキシメチル)エトキシ]、2-ヒドロキシエトキシ又は2-メトキシ-2-オキソ-エトキシであり;
R19A及びR19Bは各々独立して、水素及びメトキシから選択され;
R20は水素であり;
R21はメチルであり;又は
R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6又は7員部分飽和シクロアルキル又は6員部分飽和ジヒドロピラニル環を形成し;
R22は水素であり;
R23及びR25は各々独立して、水素及びメチルから選択され;並びに
R24はメトキシであり;又は
R24及びR25は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員不飽和環を形成する。
【0117】
二座キレートリガンドの好ましい例は、以下に示すとおり、式(IV-1)、(IV-2)、(IV-3)、(IV-4)、(IV-5)、(IV-6)、(IV-7)、(IV-8)、(IV-9)、(IV-10)、(IV-13)、(IV-14)、(IV-15)、(IV-16)、(IV-17)又は(IV-18):
【化20】
の化合物、特に、式(IV-1)、(IV-2)、(IV-3)、(IV-4)、(IV-5)、(IV-6)、(IV-7)、(IV-8)、(IV-9)、(IV-10)、(IV-13)及び(IV-14)の化合物である。
【0118】
本発明によれば、Xはアニオン基、すなわち、正味で負の電荷を有する基を表し、ここで、Xはハロゲンではない。Xがハロゲンである(IIIa)の錯体においては、アニオン基が金属に対して過度に強固に結合しており、このような錯体は、酸性水素化条件下において、触媒的に活性な水素化物中間体を十分な量で提供しないことを本発明者らは見出した。好適なアニオン基Xの例としては、式R14-SO2O-又はR15-C(O)O-のアニオン性リガンドが挙げられる。
【0119】
R14は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル又はフェニルであり、ここで、フェニル部分は、同一であっても異なっていてもよい、R16から選択される1個、2個、3個又は4個の置換基により任意選択により置換されている。
【0120】
R16は、C1~C4アルキル、C1~C4ハロアルキル、ニトロ又はハロゲンであり、好ましくはメチル、エチル、トリフルオロメチル、ニトロ又はハロゲンであり、より好ましくはメチル又はハロゲンであり、さらにより好ましくはメチル、クロロ又はフルオロである。
【0121】
好ましくは、R14は、ヒドロキシ、メチル、トリフルオロメチル、フェニル又はトリルである。
【0122】
R15はC1~C6ハロアルキル又はフェニルであり、ここで、フェニル部分は、同一であっても異なっていてもよい、R17から選択される1個、2個、3個又は4個の置換基により任意選択により置換されている。
【0123】
R17は、C1~C4アルキル、C1~C4ハロアルキル、ニトロ又はハロゲンである。
【0124】
好ましくは、R15はトリフルオロメチルである。
【0125】
一実施形態において、Xは、メシレート、トシレート、ノシレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、トリフレート又はトリフルオロ酢酸塩である。
【0126】
Yは、中性リガンド、すなわち、全体で無電荷であるリガンドを表す。中性リガンドの例としては、H2O、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、アミド及びニトリルが挙げられる。好ましくは、Yは、H2O、PhCN又はMeCNであり、より好ましくはH2O又はMeCNであり、最も好ましくは、YはH2Oである。
【0127】
Zは、アニオン基、すなわち、正味で負の電荷を有する基を表し、ここで、Zはハロゲン又はアセテートではない。アニオン基の例としては、式R14-SO2O-(ここで、R14は上記に記載されている)のリガンド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロリン酸、過塩素酸、テトラフェニルボレート、テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フッ素化アルコキシアルミネート、メシレート、トリフレート、トシレート、ニトレート、ハイドロジェンスルフェート又はスルフェート、及び、他の弱く配位するアニオン基が挙げられる。好ましくは、Zは、式R14-SO2O-(ここで、R14は上記に記載されている)のもの、メシレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロリン酸、テトラフェニルボレート又はテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、より好ましくは、メシレート又はテトラフルオロボレートである。
【0128】
キラルイリジウム触媒が式(IIIa)又は式(IIIb)の化合物である他の実施形態において、二座キレートリガンドはキラル二座キレートリガンドである。シクロペンタジエニルリガンドはキラルシクロペンタジエニルリガンド(上記に記載のとおり)又はキラルシクロペンタジエニルリガンドであり、このようなキラルシクロペンタジエニルリガンドは、例えばHartwig,J.Organotransition Metal Chemistry:From Bonding to Catalysis;University Science Books:Sausalito,CA,2010;Chem.Soc.Rev.2012,41,4484-4510;Coord.Chem.Rev.2015,296,45-90に記載されている。好適なキラルシクロペンタジエニルリガンドの例は、シクロペンタジエン(Cp)及び1,2,3,4,5-ペンタメチルシクロペンタジエン(Cp*)及びその誘導体である。
【化21】
【0129】
好適なキラル二座キレートリガンド
【化22】
の例は、構造(Ive):
【化23】
の誘導体であり、式中、R
19A、R
19B、R
20、R
22、R
23、R
24及びR
25は各々独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8ハロアルキル、C
1~C
8ハロアルコキシ又はC
1~C
8アルコキシカルボニルであり、ここで、各C
1~C
8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されており、好ましくは、各C
1~C
8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8アルキル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されている。
【0130】
好ましくは、R19A、R19B、R20、R22、R23、R24及びR25は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ又はC1~C6アルコキシカルボニルであり、ここで、各C1~C6アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換され、好ましくは、各C1~C6アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されている。
【0131】
実施形態の1つの組において、R19A、R19B、R20、R23、R24及びR25は各々独立して、水素、C1~C8アルキル又はC1~C8アルコキシである。
【0132】
好ましくは、R19Aは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。より好ましくは、R19Aは、水素又はC1~C3アルコキシであり、さらにより好ましくは、水素又はメトキシである。
【0133】
好ましくは、R19Bは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。より好ましくは、R19Bは、水素又はC1~C3アルコキシであり、さらにより好ましくは、水素又はメトキシである。
【0134】
好ましくは、R20は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシである。より好ましくは、R20は、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R20は、水素、メチル又はメトキシである。さらにより好ましくは、R20は水素である。
【0135】
R21は、水素、C1~C8アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C1~C8アルキル及びC1~C8アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されている。好ましくは、R21は、水素、C1~C6アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C1~C3アルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基により任意選択により置換されている。より好ましくは、R21は、水素、C1~C3アルキル又はフェニルであり、さらにより好ましくは、C1~C3アルキルである。さらにより好ましくは、R21はメチルである。
【0136】
好ましくは、R22は、水素又はC1~C3アルキルであり、より好ましくは、R22は水素である。
【0137】
好ましくは、R23は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R23は水素又はメチルである。さらにより好ましくは、R23はメチルである。
【0138】
好ましくは、R24はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、メトキシである。
【0139】
好ましくは、R25は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシである。より好ましくは、R25は、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R25は、水素又はメチルであり、さらにより好ましくは、メチルである。
【0140】
一実施形態において、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員~8員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、1個又は2個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択される。好ましくは、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員若しくは7員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は1個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、ヘテロ原子はO及びSから選択される。さらにより好ましくは、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員若しくは7員部分飽和シクロアルキル環又は6員部分飽和ジヒドロピラニル環を形成し得る。
【0141】
一実施形態において、R24及びR25は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員不飽和環を形成し得る。
【0142】
R
26は、キラルC
1~C
20アルキル置換基である。特に、R
26は以下の構造:
【化24】
の誘導体であり、ここで、R
27、R
28、R
29、R
30及びR
31は各々独立して、水素、C
1~C
8アルキル、C
3~C
6シクロアルキル及びフェニルから選択され、ここで、各フェニル部分は、C
1~C
3アルキル、ハロゲン及びC
1~C
3アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換され、ここで、R
27及びR
28は同一でなくてもよく、又は、R
29及びR
30は同一ではなくてもよい。好ましくは、R
27、R
28、R
29、R
30及びR
31は各々独立して、水素、C
1~C
3アルキル、C
3~C
6シクロアルキル及びフェニルから選択され、ここで、各フェニル部分は、C
1~C
3アルキル、ハロゲン及びC
1~C
3アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されている。
【0143】
より好ましくは、R27は、メチル、クロロ、フルオロ及びメトキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されたフェニルである。R28、R29及びR30は各々独立して、水素及びメチルから選択され、好ましくは水素である。R31は、好ましくはC1~C3アルキルであり、より好ましくはメチルである。
【0144】
或いは、R27及びR29は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、3員~8員飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、1個又は2個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択される。好ましくは、R27及びR29は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、3員~6員飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、N及びOから選択される1個のヘテロ原子を含む非芳香族環である。さらにより好ましくは、R27及びR29は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、5又は6員炭素環を形成し得る。
【0145】
或いは、R29及びR30は、これらが結合している炭素と一緒になって、オキソ(=O)基を形成する。
【0146】
本発明に係る構造(Ive)のキラル二座キレートリガンドにおいて、好ましくは:
R
19A及びR
19Bは水素であり;
R
20及びR
21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員~8員部分飽和シクロアルキル環を形成し得;
R
22、R
23及びR
25は各々独立して、水素又はメチルであり;
R
24はメトキシであり;
R
26は
【化25】
であり、
ここで、R
27はフェニルであり;
R
28、R
29及びR
30は各々独立して、水素であり;並びに
R
31はメチル又は水素であり、特にR
31はメチルである。
【0147】
二座キレートリガンドの特に好ましい例は、以下に示されている式(IV-11)、(IV-11-ent)、(IV-12)又は(IV-12-ent):
【化26】
の化合物である。
【0148】
上記のプロセスによってもたらされる(2S)-N-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-アミン(II-1-ent)を3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-ピラゾール-4-塩化カルボニル(XII)とさらに反応させて、
3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[(1S)-1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロフェニル)エチル]ピラゾール-3-カルボキサミド(XIII-1-ent)を得るプロセス:
【化27】
がさらに提供される。
【0149】
上記のプロセスによってもたらされる(2R)-N-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-アミン(II-1)を3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-ピラゾール-4-塩化カルボニル(XII)とさらに反応させて、
3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[(1R)-1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロフェニル)エチル]ピラゾール-3-カルボキサミド(XIII-1)を得るプロセス:
【化28】
もまた提供される。
【0150】
本発明の一実施形態において、イリジウム触媒は、式(III-1)、(III-2)、(III-3)、(III-4)、(III-15)、(III-16)又は(III-24)の化合物;
【化29】
特に、式(III-1)、(III-2)、(III-3)又は(III-15)の化合物であり;式(III-1)、(III-2)、(III-3)、(III-4)、(III-15)、(III-16)又は(III-24)の化合物、特に、式(III-1)、(III-2)、(III-3)又は(III-15)の化合物もまた提供される。
【0151】
本発明の他の実施形態において、イリジウム触媒は、式(III-1-ent)、(III-2-ent)、(III-3-ent)、(III-4-ent)、(III-15-ent)、(III-16-ent)又は(III-24-ent)の化合物:
【化30】
特に、式(III-1-ent)、(III-2-ent)、(III-3-ent)又は(III-15-ent)の化合物であり;式(III-1-ent)、(III-2-ent)、(III-3-ent)、(III-4-ent)、(III-15-ent)、(III-16-ent)又は(III-24-ent)の化合物、特に、式(III-1-ent)、(III-2-ent)、(III-3-ent)又は(III-15-ent)の化合物もまた提供される。
【0152】
本発明の他の実施形態において、式(IIIc)又は(IIId):
【化31】
の化合物が提供されており、ここで、R
4、R
5及びR
6は各々独立して、水素又はC
1~C
3アルキルである。好ましくは、R
4、R
5及びR
6は各々独立して、水素、メチル又はイソプロピルであり、より好ましくは、R
4、R
5及びR
6は各々水素を表す。
【0153】
R7及びR8は各々独立して、水素、ヒドロキシル、C1~C8アルキル、C1~C8アルコキシ、C3~C8シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、ナフチル、ベンジル又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、各フェニル、ナフチル又はベンジル部分の芳香族環は、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C6アルコキシから選択される1個~5個の基で任意選択により置換されている。
【0154】
好ましくは、R7及びR8は各々独立して、C1~C6アルコキシ、フェニル、ナフチル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。より好ましくは、R7及びR8は各々独立して、C1~C6アルコキシ、フェニル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。さらにより好ましくは、C1~C3アルコキシ及びフェニルであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。さらにより好ましくは、R7及びR8は各々独立して、メトキシ、イソ-プロポキシ、フェニル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシである。さらにより好ましくは、メトキシ、イソ-プロポキシ又はフェニルである。
【0155】
実施形態の1つの組において、R7及びR8は各々独立して、メトキシ、イソ-プロポキシ、フェニル、4-メトキシフェニル又はナフチルである。
【0156】
R18、R19A、R19B、R20、R22、R23、R24及びR25は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C8アルキル、C1~C8アルコキシ、C1~C8ハロアルキル、C1~C8ハロアルコキシ又はC1~C8アルコキシカルボニルであり、ここで、各C1~C8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C8アルコキシ、C1~C8アルキル、C1~C8アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されており、好ましくは、各C1~C8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C8アルコキシ、C1~C8アルキル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されている。
【0157】
好ましくは、R18、R19A、R19B、R20、R22、R23、R24及びR25は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ又はC1~C6アルコキシカルボニルであり、ここで、各C1~C6アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換され、好ましくは、各C1~C6アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されている。
【0158】
好ましくは、R18は、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ、(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシ、(C1~C8アルコキシC1~C8アルコキシ)-C1~C8アルコキシ、C1~C4アルコキシ(C1~C4アルコキシC1~C4アルキル)-C1~C4アルコキシ又は(C1~C3アルコキシカルボニル)-C1~C3アルコキシ、より好ましくは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。さらにより好ましくは、R18は、水素、メトキシ、エトキシ、2-ヒドロキシエトキシ、2-メトキシエトキシ、[2-メトキシ-1-(メトキシメチル)エトキシ]、2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ、2-メトキシ-2-オキソ-エトキシ又は(2-イソ-プロポキシ-2-オキソ-メトキシ)である。さらにより好ましくは、R18は、水素、メトキシ、エトキシ、2-ヒドロキシエトキシ、2-メトキシエトキシ、[2-メトキシ-1-(メトキシメチル)エトキシ]又は2-(2-メトキシエトキシ)エトキシである。
【0159】
好ましくは、R19Aは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。より好ましくは、R19Aは、水素又はC1~C3アルコキシ、及び、さらにより好ましくは、水素又はメトキシである。
【0160】
好ましくは、R19Bは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。より好ましくは、R19Bは、水素又はC1~C3アルコキシ、及び、さらにより好ましくは、水素又はメトキシである。
【0161】
好ましくは、R20は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシである。より好ましくは、R20は、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R20は、水素、メチル又はメトキシである。さらにより好ましくは、R20は水素である。
【0162】
R21は、水素、C1~C8アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C1~C8アルキル及びC1~C8アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されている。好ましくは、R21は、水素、C1~C6アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C1~C3アルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基により任意選択により置換されている。より好ましくは、R21は、水素、C1~C3アルキル又はフェニルであり、さらにより好ましくは、C1~C3アルキルである。さらにより好ましくは、R21はメチルである。
【0163】
好ましくは、R22は、水素又はC1~C3アルキルであり、より好ましくは、R22は水素である。
【0164】
好ましくは、R23は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R23は水素又はメチルである。さらにより好ましくは、R23はメチルである。
【0165】
好ましくは、R24はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、メトキシである。
【0166】
好ましくは、R25は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシである。より好ましくは、R25は、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R25は、水素又はメチルであり、さらにより好ましくは、メチルである。
【0167】
一実施形態において、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員~8員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、1個又は2個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択される。好ましくは、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員若しくは7員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は1個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、ヘテロ原子はO及びSから選択される。さらにより好ましくは、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員若しくは7員部分飽和シクロアルキル環又は6員部分飽和ジヒドロピラニル環を形成し得る。
【0168】
一実施形態において、R24及びR25は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員不飽和環を形成し得る。
【0169】
Xは、メシレート、トシレート、ノシレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、トリフレート又はトリフルオロ酢酸塩であり;
Yは、H2O、PhCN又はMeCNであり;及び
Zは、メシレート、トシレート、ノシレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、トリフレートテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロリン酸、テトラフェニルボレート又はテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートである。
【0170】
本発明のさらなる実施形態において、式(IIIc-ent)又は(IIId-ent):
【化32】
の化合物が提供されており、ここで、R
4、R
5及びR
6は各々独立して、水素又はC
1~C
3アルキルである。好ましくは、R
4、R
5及びR
6は各々独立して、水素、メチル又はイソプロピルであり、より好ましくは、R
4、R
5及びR
6は各々水素を表す。
【0171】
R7及びR8は各々独立して、水素、ヒドロキシル、C1~C8アルキル、C1~C8アルコキシ、C3~C8シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、ナフチル、ベンジル又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、各フェニル、ナフチル又はベンジル部分の芳香族環は、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C6アルコキシから選択される1個~5個の基で任意選択により置換されている。
【0172】
好ましくは、R7及びR8は各々独立して、C1~C6アルコキシ、フェニル、ナフチル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。より好ましくは、R7及びR8は各々独立して、C1~C6アルコキシ、フェニル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。さらにより好ましくは、C1~C3アルコキシ及びフェニルであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。さらにより好ましくは、R7及びR8は各々独立して、メトキシ、イソ-プロポキシ、フェニル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシである。さらにより好ましくは、メトキシ、イソ-プロポキシ又はフェニルである。
【0173】
実施形態の1つの組において、R7及びR8は各々独立して、メトキシ、イソ-プロポキシ、フェニル、4-メトキシフェニル又はナフチルである。
【0174】
R18、R19A、R19B、R20、R22、R23、R24及びR25は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C8アルキル、C1~C8アルコキシ、C1~C8ハロアルキル、C1~C8ハロアルコキシ又はC1~C8アルコキシカルボニルであり、ここで、各C1~C8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C8アルコキシ、C1~C8アルキル、C1~C8アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されており、好ましくは、各C1~C8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C8アルコキシ、C1~C8アルキル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されている。
【0175】
好ましくは、R18、R19A、R19B、R20、R22、R23、R24及びR25は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ又はC1~C6アルコキシカルボニルであり、ここで、各C1~C6アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換され、好ましくは、各C1~C6アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されている。
【0176】
好ましくは、R18は、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ、(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシ、(C1~C8アルコキシC1~C8アルコキシ)-C1~C8アルコキシ、C1~C4アルコキシ(C1~C4アルコキシC1~C4アルキル)-C1~C4アルコキシ又は(C1~C3アルコキシカルボニル)-C1~C3アルコキシ、より好ましくは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。さらにより好ましくは、R18は、水素、メトキシ、エトキシ、2-ヒドロキシエトキシ、2-メトキシエトキシ、[2-メトキシ-1-(メトキシメチル)エトキシ]、2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ、2-メトキシ-2-オキソ-エトキシ又は(2-イソ-プロポキシ-2-オキソ-メトキシ)である。さらにより好ましくは、R18は、水素、メトキシ、エトキシ、2-ヒドロキシエトキシ、2-メトキシエトキシ、[2-メトキシ-1-(メトキシメチル)エトキシ]又は2-(2-メトキシエトキシ)エトキシである。
【0177】
好ましくは、R19Aは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。より好ましくは、R19Aは、水素又はC1~C3アルコキシ、及び、さらにより好ましくは、水素又はメトキシである。
【0178】
好ましくは、R19Bは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。より好ましくは、R19Bは、水素又はC1~C3アルコキシ、及び、さらにより好ましくは、水素又はメトキシである。
【0179】
好ましくは、R20は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシである。より好ましくは、R20は、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R20は、水素、メチル又はメトキシである。さらにより好ましくは、R20は水素である。
【0180】
R21は、水素、C1~C8アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C1~C8アルキル及びC1~C8アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されている。好ましくは、R21は、水素、C1~C6アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C1~C3アルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されている。より好ましくは、R21は、水素、C1~C3アルキル又はフェニルであり、さらにより好ましくは、C1~C3アルキルである。さらにより好ましくは、R21はメチルである。
【0181】
好ましくは、R22は、水素又はC1~C3アルキルであり、より好ましくは、R22は水素である。
【0182】
好ましくは、R23は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R23は水素又はメチルである。さらにより好ましくは、R23はメチルである。
【0183】
好ましくは、R24はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、メトキシである。
【0184】
好ましくは、R25は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシである。より好ましくは、R25は、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R25は、水素又はメチルであり、さらにより好ましくは、メチルである。
【0185】
一実施形態において、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員~8員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、1個又は2個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択される。好ましくは、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員若しくは7員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は1個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、ヘテロ原子はO及びSから選択される。さらにより好ましくは、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員若しくは7員部分飽和シクロアルキル環又は6員部分飽和ジヒドロピラニル環を形成し得る。
【0186】
一実施形態において、R24及びR25は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員不飽和環を形成し得る。
【0187】
Xは、メシレート、トシレート、ノシレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、トリフレート又はトリフルオロ酢酸塩であり;
Yは、H2O、PhCN又はMeCNであり;及び
Zは、メシレート、トシレート、ノシレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、トリフレートテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロリン酸、テトラフェニルボレート又はテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートである。
【0188】
本発明の他の実施形態において、式(IIIe)又は(IIIf):
【化33】
の化合物が提供されており、ここで、各Rは独立して、水素又はC
1~C
8アルキルであり、好ましくは水素又はC
1~C
3アルキルであり、より好ましくは水素又はメチルである。
【0189】
R19A、R19B、R20、R22、R23、R24及びR25は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C8アルキル、C1~C8アルコキシ、C1~C8ハロアルキル、C1~C8ハロアルコキシ又はC1~C8アルコキシカルボニルであり、ここで、各C1~C8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C8アルコキシ、C1~C8アルキル、C1~C8アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されており、好ましくは、各C1~C8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C8アルコキシ、C1~C8アルキル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されている。
【0190】
好ましくは、R19A、R19B、R20、R22、R23、R24及びR25は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ又はC1~C6アルコキシカルボニルであり、ここで、各C1~C6アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換され、好ましくは、各C1~C6アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されている。
【0191】
好ましくは、R19Aは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。より好ましくは、R19Aは、水素又はC1~C3アルコキシ、及び、さらにより好ましくは、水素又はメトキシである。
【0192】
好ましくは、R19Bは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。より好ましくは、R19Bは、水素又はC1~C3アルコキシ、及び、さらにより好ましくは、水素又はメトキシである。
【0193】
好ましくは、R20は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシである。より好ましくは、R20は、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R20は、水素、メチル又はメトキシである。さらにより好ましくは、R20は水素である。
【0194】
R21は、水素、C1~C8アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C1~C8アルキル及びC1~C8アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されている。好ましくは、R21は、水素、C1~C6アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C1~C3アルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されている。より好ましくは、R21は、水素、C1~C3アルキル又はフェニルであり、さらにより好ましくは、C1~C3アルキルである。さらにより好ましくは、R21はメチルである。
【0195】
好ましくは、R22は、水素又はC1~C3アルキルであり、より好ましくは、R22は水素である。
【0196】
好ましくは、R23は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R23は水素又はメチルである。さらにより好ましくは、R23はメチルである。
【0197】
好ましくは、R24はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、メトキシである。
【0198】
好ましくは、R25は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシである。より好ましくは、R25は、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R25は、水素又はメチルであり、さらにより好ましくは、メチルである。
【0199】
一実施形態において、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員~8員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、1個又は2個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択される。好ましくは、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員若しくは7員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は1個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、ヘテロ原子はO及びSから選択される。さらにより好ましくは、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員若しくは7員部分飽和シクロアルキル環又は6員部分飽和ジヒドロピラニル環を形成し得る。
【0200】
一実施形態において、R24及びR25は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員不飽和環を形成し得る。
【0201】
R
26は、キラルC
1~C
20アルキル置換基である。特に、R
26は、以下の構造の誘導体:
【化34】
であり、ここで、R
27、R
28、R
29、R
30及びR
31は各々独立して、水素、C
1~C
8アルキル、C
3~C
6シクロアルキル及びフェニルから選択され、ここで、各フェニル部分は、C
1~C
3アルキル、ハロゲン及びC
1~C
3アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換され、ここで、R
27及びR
28は同一でなくてもよく、又は、R
29及びR
30は同一ではなくてもよい。好ましくは、R
27、R
28、R
29、R
30及びR
31は各々独立して、水素、C
1~C
3アルキル、C
3~C
6シクロアルキル及びフェニルから選択され、ここで、各フェニル部分は、C
1~C
3アルキル、ハロゲン及びC
1~C
3アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されている。
【0202】
より好ましくは、R27は、メチル、クロロ、フルオロ及びメトキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されたフェニルである。R28、R29及びR30は各々独立して、水素及びメチルから選択され、好ましくは水素である。R31は、好ましくはC1~C3アルキルであり、より好ましくはメチルである。
【0203】
或いは、R27及びR29は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、3員~8員飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、1個又は2個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択される。好ましくは、R27及びR29は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、3員~6員飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、N及びOから選択される1個のヘテロ原子を含む非芳香族環である。さらにより好ましくは、R27及びR29は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、5又は6員炭素環を形成し得る。
【0204】
本発明の一実施形態において、式(IIIg)又は(IIIh):
【化35】
の化合物が提供されており、ここで、R
4、R
5及びR
6は各々独立して、水素又はC
1~C
3アルキルである。好ましくは、R
4、R
5及びR
6は各々独立して、水素、メチル又はイソプロピルであり、より好ましくは、R
4、R
5及びR
6は各々水素を表す。
【0205】
R7及びR8は各々独立して、水素、ヒドロキシル、C1~C8アルキル、C1~C8アルコキシ、C3~C8シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、ナフチル、ベンジル又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、各フェニル、ナフチル又はベンジル部分の芳香族環は、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C6アルコキシから選択される1個~5個の基で任意選択により置換されている。
【0206】
好ましくは、R7及びR8は各々独立して、C1~C6アルコキシ、フェニル、ナフチル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。より好ましくは、R7及びR8は各々独立して、C1~C6アルコキシ、フェニル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。さらにより好ましくは、C1~C3アルコキシ及びフェニルであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。さらにより好ましくは、R7及びR8は各々独立して、メトキシ、イソ-プロポキシ、フェニル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシである。さらにより好ましくは、メトキシ、イソ-プロポキシ又はフェニルである。
【0207】
実施形態の1つの組において、R7及びR8は各々独立して、メトキシ、イソ-プロポキシ、フェニル、4-メトキシフェニル又はナフチルである。
【0208】
R18、R19A、R19B、R20、R22、R23、R24及びR25は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C8アルキル、C1~C8アルコキシ、C1~C8ハロアルキル、C1~C8ハロアルコキシ又はC1~C8アルコキシカルボニルであり、ここで、各C1~C8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C8アルコキシ、C1~C8アルキル、C1~C8アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されており、好ましくは、各C1~C8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C8アルコキシ、C1~C8アルキル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されている。
【0209】
好ましくは、R18、R19A、R19B、R20、R22、R23、R24及びR25は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ又はC1~C6アルコキシカルボニルであり、ここで、各C1~C6アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換され、好ましくは、各C1~C6アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されている。
【0210】
好ましくは、R18は、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ、(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシ、(C1~C8アルコキシC1~C8アルコキシ)-C1~C8アルコキシ、C1~C4アルコキシ(C1~C4アルコキシC1~C4アルキル)-C1~C4アルコキシ又は(C1~C3アルコキシカルボニル)-C1~C3アルコキシ、より好ましくは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。さらにより好ましくは、R18は、水素、メトキシ、エトキシ、2-ヒドロキシエトキシ、2-メトキシエトキシ、[2-メトキシ-1-(メトキシメチル)エトキシ]、2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ、2-メトキシ-2-オキソ-エトキシ又は(2-イソ-プロポキシ-2-オキソ-メトキシ)である。さらにより好ましくは、R18は、水素、メトキシ、エトキシ、2-ヒドロキシエトキシ、2-メトキシエトキシ、[2-メトキシ-1-(メトキシメチル)エトキシ]又は2-(2-メトキシエトキシ)エトキシである。
【0211】
好ましくは、R19Aは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。より好ましくは、R19Aは、水素又はC1~C3アルコキシ、及び、さらにより好ましくは、水素又はメトキシである。
【0212】
好ましくは、R19Bは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。より好ましくは、R19Bは、水素又はC1~C3アルコキシ、及び、さらにより好ましくは、水素又はメトキシである。
【0213】
好ましくは、R20は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシである。より好ましくは、R20は、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R20は、水素、メチル又はメトキシである。さらにより好ましくは、R20は水素である。
【0214】
R21は、水素、C1~C8アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C1~C8アルキル及びC1~C8アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されている。好ましくは、R21は、水素、C1~C6アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C1~C3アルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されている。より好ましくは、R21は、水素、C1~C3アルキル又はフェニルであり、さらにより好ましくは、C1~C3アルキルである。さらにより好ましくは、R21はメチルである。
【0215】
好ましくは、R22は、水素又はC1~C3アルキルであり、より好ましくは、R22は水素である。
【0216】
好ましくは、R23は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R23は水素又はメチルである。さらにより好ましくは、R23はメチルである。
【0217】
好ましくは、R24はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、メトキシである。
【0218】
好ましくは、R25は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシである。より好ましくは、R25は、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R25は、水素又はメチルであり、さらにより好ましくは、メチルである。
【0219】
一実施形態において、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員~8員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、1個又は2個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択される。好ましくは、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員若しくは7員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は1個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、ヘテロ原子はO及びSから選択される。さらにより好ましくは、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員若しくは7員部分飽和シクロアルキル環又は6員部分飽和ジヒドロピラニル環を形成し得る。
【0220】
一実施形態において、R24及びR25は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員不飽和環を形成し得る。
【0221】
R32及びR33は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、C3~C8シクロアルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3ハロアルコキシ又はフェニルである。好ましくは、R32及びR33は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、R32及びR33は各々、水素、メチル又はメトキシを表す。
【0222】
R34は、ハロゲン、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、C3~C8シクロアルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3ハロアルコキシ又はフェニルである。好ましくは、R34はハロゲン、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシであり、より好ましくはR34は各々、メチル又はメトキシを表し;又は
R32及びR33、又は、R33及びR34、又は、R34及びR34は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、5員~10員カルボシクリル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、1個、2個又は3個のヘテロ原子を含む単環式環であり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択される。
【0223】
Xは、メシレート、トシレート、ノシレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、トリフレート又はトリフルオロ酢酸塩であり;
Yは、H2O、PhCN又はMeCNであり;及び
Zは、メシレート、トシレート、ノシレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、トリフレートテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロリン酸、テトラフェニルボレート又はテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートである。
【0224】
本発明の他の実施形態において、式(IIIg-ent)又は(IIIh-ent):
【化36】
の化合物が提供されており、ここで、R
4、R
5及びR
6は各々独立して、水素又はC
1~C
3アルキルである。好ましくは、R
4、R
5及びR
6は各々独立して、水素、メチル又はイソプロピルであり、より好ましくは、R
4、R
5及びR
6は各々水素を表す。
【0225】
R7及びR8は各々独立して、水素、ヒドロキシル、C1~C8アルキル、C1~C8アルコキシ、C3~C8シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、ナフチル、ベンジル又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、各フェニル、ナフチル又はベンジル部分の芳香族環は、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C6アルコキシから選択される1個~5個の基で任意選択により置換されている。
【0226】
好ましくは、R7及びR8は各々独立して、C1~C6アルコキシ、フェニル、ナフチル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。より好ましくは、R7及びR8は各々独立して、C1~C6アルコキシ、フェニル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。さらにより好ましくは、C1~C3アルコキシ及びフェニルであり、ここで、フェニル部分は各々、任意選択により、C1~C3アルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~3個の基で置換されている。さらにより好ましくは、R7及びR8は各々独立して、メトキシ、イソ-プロポキシ、フェニル、フェノキシ又はtert-ブチルジフェニルシリルオキシである。さらにより好ましくは、メトキシ、イソ-プロポキシ又はフェニルである。
【0227】
実施形態の1つの組において、R7及びR8は各々独立して、メトキシ、イソ-プロポキシ、フェニル、4-メトキシフェニル又はナフチルである。
【0228】
R18、R19A、R19B、R20、R22、R23、R24及びR25は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C8アルキル、C1~C8アルコキシ、C1~C8ハロアルキル、C1~C8ハロアルコキシ又はC1~C8アルコキシカルボニルであり、ここで、各C1~C8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C8アルコキシ、C1~C8アルキル、C1~C8アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されており、好ましくは、各C1~C8アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C8アルコキシ、C1~C8アルキル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されている。
【0229】
好ましくは、R18、R19A、R19B、R20、R22、R23、R24及びR25は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ又はC1~C6アルコキシカルボニルであり、ここで、各C1~C6アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換され、好ましくは、各C1~C6アルコキシ部分は、ヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキル及びフェニルから選択される1個又は2個の基により任意選択により置換されている。
【0230】
好ましくは、R18は、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ、(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシ、(C1~C8アルコキシC1~C8アルコキシ)-C1~C8アルコキシ、C1~C4アルコキシ(C1~C4アルコキシC1~C4アルキル)-C1~C4アルコキシ又は(C1~C3アルコキシカルボニル)-C1~C3アルコキシ、より好ましくは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。さらにより好ましくは、R18は、水素、メトキシ、エトキシ、2-ヒドロキシエトキシ、2-メトキシエトキシ、[2-メトキシ-1-(メトキシメチル)エトキシ]、2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ、2-メトキシ-2-オキソ-エトキシ又は(2-イソ-プロポキシ-2-オキソ-メトキシ)である。さらにより好ましくは、R18は、水素、メトキシ、エトキシ、2-ヒドロキシエトキシ、2-メトキシエトキシ、[2-メトキシ-1-(メトキシメチル)エトキシ]又は2-(2-メトキシエトキシ)エトキシである。
【0231】
好ましくは、R19Aは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。より好ましくは、R19Aは、水素又はC1~C3アルコキシ、及び、さらにより好ましくは、水素又はメトキシである。
【0232】
好ましくは、R19Bは、水素、C1~C3アルコキシ、(ヒドロキシ)-C1~C3アルコキシ又は(C1~C3アルコキシ)-C1~C3アルコキシである。より好ましくは、R19Bは、水素又はC1~C3アルコキシ、及び、さらにより好ましくは、水素又はメトキシである。
【0233】
好ましくは、R20は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシである。より好ましくは、R20は、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R20は、水素、メチル又はメトキシである。さらにより好ましくは、R20は水素である。
【0234】
R21は、水素、C1~C8アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C1~C8アルキル及びC1~C8アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されている。好ましくは、R21は、水素、C1~C6アルキル又はフェニルであり、ここで、各フェニル部分は、C1~C3アルキル及びC1~C3アルコキシから選択される1個~5個の基により任意選択により置換されている。より好ましくは、R21は、水素、C1~C3アルキル又はフェニルであり、さらにより好ましくは、C1~C3アルキルである。さらにより好ましくは、R21はメチルである。
【0235】
好ましくは、R22は、水素又はC1~C3アルキルであり、より好ましくは、R22は水素である。
【0236】
好ましくは、R23は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R23は水素又はメチルである。さらにより好ましくは、R23はメチルである。
【0237】
好ましくは、R24はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、メトキシである。
【0238】
好ましくは、R25は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシである。より好ましくは、R25は、水素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。さらにより好ましくは、R25は、水素又はメチルであり、さらにより好ましくは、メチルである。
【0239】
一実施形態において、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員~8員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、1個又は2個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択される。好ましくは、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6若しくは7員部分飽和シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は1個のヘテロ原子を含む非芳香族環であり、ここで、ヘテロ原子はO及びSから選択される。さらにより好ましくは、R20及びR21は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員若しくは7員部分飽和シクロアルキル環又は6員部分飽和ジヒドロピラニル環を形成し得る。
【0240】
一実施形態において、R24及びR25は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員不飽和環を形成し得る。
【0241】
R32及びR33は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、C3~C8シクロアルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3ハロアルコキシ又はフェニルである。好ましくは、R32及びR33は各々独立して、水素、ハロゲン、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、R32及びR33は各々独立して、水素、メチル又はメトキシである。最も好ましくは、R32及びR33は共に水素である。
【0242】
R34は、ハロゲン、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、C3~C8シクロアルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3ハロアルコキシ又はフェニルである。好ましくは、R34は、ハロゲン、C1~C3アルキル又はC1~C3アルコキシであり、より好ましくは、R34はメチル又はメトキシであり、最も好ましくはメトキシである。
【0243】
或いは、R32及びR33、又は、R33及びR34、又は、R32及びR34は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、5員~10員カルボシクリル又はヘテロシクリル環を形成し得、ここで、複素環式部分は、1個、2個又は3個のヘテロ原子を含む単環式環であり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSから個々に選択される。
【0244】
Xは、メシレート、トシレート、ノシレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、トリフレート又はトリフルオロ酢酸塩であり;
Yは、H2O、PhCN又はMeCNであり;及び
Zは、メシレート、トシレート、ノシレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、トリフレートテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロリン酸、テトラフェニルボレート又はテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートである。
【0245】
一実施形態において、式(II)のヒドロキシルアミンは、(2S)-N-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-アミン(II-1-ent)であると共に、イリジウム触媒が式(III-1-ent)、(III-2-ent)、(III-3-ent)、(III-4-ent)、(III-16-ent)、(III-18-ent)、(III-19-ent)、(III-22-ent)、(III-23-ent)、(III-24-ent)又は(III-15-ent)の化合物であり、特に、イリジウム触媒が式(III-1-ent)、(III-2-ent)、(III-3-ent)又は(III-15-ent)の化合物であるプロセスによってもたらされる。
【0246】
他の実施形態において、式(II)のヒドロキシルアミンは、(2R)-N-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-アミン(II-1)であると共に、イリジウム触媒が式(III-1)、(III-2)、(III-3)、(III-4)、(III-16)、(III-18)、(III-19)、(III-22)、(III-23)、(III-24)又は(III-15)の化合物であり、特に、イリジウム触媒が式(III-1)、(III-2)、(III-3)又は(III-15)の化合物であるプロセスによってもたらされる。
【0247】
国際公開第14/206855号及び国際公開第15/052076号に記載されているとおり、一般式(II)のいく種かのキラルヒドロキシルアミン及びキラルヒドロキシルアミン塩が、殺有害生物有効性化合物の中間体であることが公知である。
【0248】
好適なC,Nリガンド(ここで、C,Nリガンドは、式(IV)、(IVc)及び(IVe)の化合物において定義されている)は、対応するケトン又はアルデヒド(IV-ケト)及びアニリン(IV-アニリン)から、縮合反応を介して調製され得る。この縮合反応は、出発材料を加熱することにより熱的に実施されるか、又は、脱水剤を用いることにより実施され得る。反応温度は通常-80℃~200℃であり、任意選択により、溶剤の存在下、及び、触媒の存在下に実施され得る。好適な脱水剤としては、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、四塩化チタン及び分子ふるいが挙げられる。好適な触媒としては、硫酸及びパラ-トルエンスルホン酸が挙げられる。好適な溶剤はトルエン及びジクロロメタンである。縮合反応に係るさらなる試薬及び反応条件は、例えば国際公開第2013/153407号において報告されている。
【化37】
【0249】
式(IIIa)、(IIIc)、(IIIe)及び(IIIg)のイリジウム触媒は、公知のイリジウム錯体(VI)(ここで、Halは、ハロゲン(ヨージド、ブロミド、クロリド又はフッ化物)であり、好ましくはヨージド、ブロミド又はクロリドである)から開始して調製され得る。このような錯体は、例えばAngew.Chem.Int.Ed.2015,54,12149に記載されている。ステップ(a)において、イリジウム錯体(VI)は、好適なC,Nリガンド(ここで、C,Nリガンドは、式(IIIa)、(IIIc)、(IIIe)及び(IIIg)の化合物において定義されている)を伴うシクロメタル化反応を介して反応に供される。好ましくは、シクロメタル化反応は、例えば酢酸ナトリウム又は酢酸銀といった塩基、及び、例えばジクロロメタンといった溶剤の存在下で実施される。反応温度は通常、-20℃~150℃、好ましくは0℃~120℃、より好ましくは20℃~100℃である。シクロメタル化反応に係るさらに好適な塩基、溶剤及び反応条件は、例えばDalton Trans.2003,4132;Org.Biomol.Chem.2013,11,6934;国際公開第2013/153407号;及び、Chem.Soc.Rev.2014,43,2799において報告されている。ステップ(b)において、イリジウム錯体(VII)は、銀メシレート、硫酸銀、銀p-トシレート、ナトリウムテトラフルオロボレート又はナトリウムメシレートなどの好適な金属塩(X-M、ここで、Xは(IIIa-1)において定義されており、及び、Mは金属を表す)を用いるハロゲン引き抜き(リガンド交換)反応において反応に供される。このような反応は、好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン又はテトラヒドロフランなどの非配位性又は弱配位性溶剤中において実施される。反応温度は通常、-20℃~150℃、好ましくは0℃~100℃、より好ましくは0℃~80℃である。
【化38】
【0250】
触媒合成を例えばアセトニトリル又は水といった配位性溶剤(ステップb-2)の存在下で行う場合、構造(IIIb)、(IIId)、(IIIf)及び(IIIh)の錯体が代わりに単離され得る。ハロゲン引き抜き反応に係るさらに好適な試薬及び条件は、例えばChem.Rev.1988,88,1405;Chem.Rev.1993,93,927;Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,2066;及び、Organometallics 2017,36,801において報告されている。ここに記載のものと同一の条件が、錯体(VI)の反対の鏡像異性体から、及び/又は、C,Nリガンドの反対の鏡像異性体から開始される、触媒(IIIa-ent)、(IIIb-ent)、(IIIc-ent)、(IIId-ent)、(IIIe-ent)、(IIIf-ent)、(IIIg-ent)、(IIIh-ent)の反対の鏡像異性体の調製に好適である。
【0251】
化合物(VII)は単離されてもよく、又は、形成され、及び、インサイツで用いられてもよく、これは、ステップ(a)及び(b)の両方が単離を伴わずに行われることを意味する。ステップ(a)及び(b)の順番は入れ替えられてもよく、ここでは、ステップ(b)又は(b-2)がステップ(a)の前に行われる。
【0252】
本発明のプロセスによれば、イリジウム触媒の量は通常、オキシム基材のモル数を基準として、0.001mol%~5mol%、好ましくは0.01mol%~1mol%である。
【0253】
本発明のプロセスによれば、水素圧は通常、1~100bar、好ましくは5~80bar、より好ましくは7~60bar、最も好ましくは10~50barである。
【0254】
本発明のプロセスによれば、反応温度は通常、-20℃~120℃、好ましくは0℃~100℃、より好ましくは0℃~80℃、さらにより好ましくは10℃~60℃である。
【0255】
好ましくは、オキシム水素化は少なくとも化学量論量の酸の存在下で行われる。従って、酸のモル量は、還元されるオキシム基材の量以上であるべきであり、例えば少なくとも1~3モル当量、好ましくは1~2モル当量、及び、特に1、1.1又は2モル当量である。
【0256】
酸のpKaは、オキシム基材及びヒドロキシルアミン生成物を少なくとも部分的にプロトン化することが可能であるようなものでなければならない。従って、酸のpKaは、生成物であるヒドロキシルアミン塩(II)のpKaよりも低いことが好ましい。ほとんどのオキシム基材に好適な酸としては、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、硫酸、トリフリック酸、トリフルオロ酢酸及びテトラフルオロ硼酸が挙げられる。好ましくは、酸は、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、硫酸、トリフルオロ酢酸及びトリフリック酸から選択される。より好ましくは、酸は、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸及び硫酸から選択される。
【0257】
典型的には、オキシム水素化反応は溶剤の存在下で行われ、好ましい溶剤は、アルコール、エステル、エーテル又は炭化水素などの有機溶剤である。最も好ましい溶剤は、メタノール、エタノール、トリフルオロエタノール、イソプロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-ブタノールなどのアルコール、並びに、テトラヒドロフラン及びメチルテトラヒドロフランなどのエーテルである。好ましくは、溶剤は、イソプロパノール、2-メチル-2-ブタノール、エタノール及びメタノールである。
【0258】
一実施形態において、式(II)のヒドロキシルアミンの主立体異性体は、60%の鏡像異性体過剰率で、より好ましくは、80%の鏡像異性体過剰率、及び、さらにより好ましくは、90%の鏡像異性体過剰率で得られる。
【実施例】
【0259】
以下の実施例は本発明を例示するためのものである。
【0260】
以下の略語が用いられている:s=一重項;bs=幅広の一重項;d=二重項;br d=幅広の二重項、dd=二重の二重項、dt=二重の三重項、t=三重項、tt=三重の三重項、q=四重項、hept=七重項、m=多重項、ddd=二重項の二重項の二重項、dtd=二重項の三重項の二重項、dddt=三重項の二重項の二重項の二重項、RT=室温、Rt=保持時間、MH+=分子カチオン+プロトンの質量。
【0261】
1H、13C及び19F NMRスペクトルを、Bruker Avance III 400分光計(400MHz)及びBruker DRX600(600MHz)分光計で記録した。
【0262】
融点をBuechi融点装置、モデルB-540で計測したが、補正はされていない。
【0263】
赤外分光を、Αlpha-P Bruker FT-IR分光計で記録した。強く及び関連する吸収のみが報告されている。
【0264】
旋光性を、0.5cmセルとNa 589nmフィルタを用いて、Polartronic M旋光計で計測した。
【0265】
HRMS計測値をAgilent LC-MS TOF質量分光計(ESI)で記録した。高分解能での質量は、m/zで示し、分子イオン[M-I]+、[M-OMs]+、[M+H]+及び[M+Na]+のみを報告した。
【0266】
特段の記載がない限り、キラル分析は、Waters UPLC-HClass、Waters SFC Acquity UPC2/QDa、Agilent HPLC及びShimadzu UPLCシステムで実施した。
【0267】
キラルシクロペンタジエニルイリジウムヨージドダイマー錯体(VI)は、以下の文献の手順:Angew.Chem.Int.Ed.2015,54,12149;Angew.Chem.Int.Ed.2018,57,5459;Organometallics(DOI:10.1021/acs.organomet.9b00365)に従って調製した。(VI-ent)の反対の鏡像異性体は、同等の手順に従い、出発材料の反対の鏡像異性体から出発することにより調製した。メタンスルホン酸は、Sigma Aldrichから>99%エクストラピュアグレードとして購入し、デシケータに保管した。
【0268】
実施例1:基本手順1:キラルシクロペンタジエニルイリジウムヨージドダイマー錯体(VI-1-ent)の調製
【化39】
キラルシクロペンタジエニルリガンド(J.Am.Chem.Soc.2015,137,12478に従って調製した;二重結合異性体の混合物、350mg、0.629mmol、1.00当量)をベンゼン(4.0mL、凍結脱気により脱気、3サイクル)中に溶解し、タリウムエトキシド(220mg、0.880mmol、1.40当量)を、ベンゼン(2.0mL、脱気)中の溶液として、窒素雰囲気下、暗中に、室温で添加した。混合物を、シールしたチューブ中において、2時間、80℃に加熱した。平行して、[Ir(coe)
2Cl]
2(394mg、0.440mmol、0.70当量)のTHF(6.0mL)中の懸濁液に、0℃で、清透な黄色の溶液が得られるまで、エチレンガスを通気させた。「インサイツ」で生成された[Ir(エチレン)
2Cl]
2のこの溶液を上記で調製した反応混合物に、室温、窒素雰囲気下で添加し、18時間撹拌した。得られた赤色のエマルジョンをフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO2;nHex:トルエン 70:30から0:100)により精製して、対応する[Cp
xIr(エチレン)
2]錯体(409mg)を薄い黄色のガム/固体として得た。[Cp
xIr(エチレン)
2]錯体(409mg、0.491mmol、1.00当量)をトルエン(3.0mL)中に溶解し、ヨウ素(137mg、0.540mmol、1.1当量)のトルエン(2.00mL)中の溶液を、0℃、窒素雰囲気下で添加した。得られた茶色の溶液を30分間、0℃で撹拌した。n-ヘキサン(15mL)を添加し、濃色の沈殿物をろ出し、ペンタンで洗浄し(3×5mL)、再度ジクロロメタン中に溶解させた。溶剤を除去した後、キラルシクロペンタジエニルイリジウムヨージドダイマー錯体(VI-1-ent)を、明るい焦げ茶色の固体(489mg、78%収率)として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ
H=8.08(d,J=8.2Hz,2H),7.94-7.88(m,2H),7.87(d,J=0.8Hz,2H),7.83(s,2H),7.49(dddd,J=17.5,8.1,6.8,1.2Hz,4H),7.36-7.27(m,8H),7.14-7.10(m,2H),7.10-7.03(m,8H),7.02-6.96(m,2H),6.76(d,J=8.6Hz,4H),5.17-5.12(m,2H),4.73(t,J=2.2Hz,2H),4.59(t,J=1.7Hz,2H),3.96(s,6H),3.84(s,6H),3.79(d,J=14.1Hz,2H),3.73(d,J=16.2Hz,2H),3.59(d,J=14.0Hz,2H),3.16(d,J=16.1Hz,2H);
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ
C=159.41,158.79,140.93,139.49,138.17,136.41,133.86,132.75,132.68,132.60,132.51,132.00,131.69,131.53,131.00,130.73,129.95,129.56,128.17,128.02,126.77,126.63,126.58,126.55,114.30,114.23,95.79,90.76,84.02,80.65,68.04,55.75,55.64,30.22,27.73;HRMS(ESI
+):C
82H
62I
3Ir
2O
4[M-I]
+のm/z計算値1877.1041、実測値1877.1048。
【0269】
【0270】
実施例2:基本手順2A、式(IV)のリガンドの合成
【化40】
凝縮器を備える丸底フラスコに、アニリン(IV-アニリン)(1当量)、ケトン(IV-ケト)(1当量)、分子ふるい4Å及び乾燥トルエンを仕込んだ。反応混合物を撹拌し、20時間還流した。室温に冷却した後、混合物を細いセライトパッドを通してろ過した。得られたろ液を減圧下で濃縮して粗イミンを得、これをヘキサン:Et
2O中における倍散により、又は、フラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、所望のイミン生成物(IV)を得た。
【0271】
実施例2:基本手順2B、式(IV)のリガンドの代替的合成
火炎で乾燥させた丸底フラスコに、アニリン(IV-アニリン)(1当量)、ケトン(IV-ケトン)(1当量)、トリエチルアミン(2.5当量)及び乾燥ジクロロメタンを、窒素雰囲気下で仕込んだ。-78℃に冷却した後、四塩化チタン(0.5当量)のジクロロメタン中の溶液を滴下し、反応混合物を室温に温め、2時間撹拌した。反応混合物を、飽和Na2CO3水溶液を添加することにより失活させた。ジクロロメタンで希釈した後、固形分をろ出し、相を分離した。水性層をジクロロメタンで2回抽出した。有機層を組み合わせ、乾燥させ、ろ過し、蒸発させて粗イミンを得、これをヘキサン:Et2O中における倍散により、又は、フラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、所望のイミン生成物(IV)を得た。
【0272】
実施例3:(E)-4-メトキシ-N-(7-(2-メトキシエトキシ)-3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-イリデン)-3,5-ジメチルアニリン(IV-8)の調製
【化41】
ステップ1:火炎で乾燥させたシールしたチューブに、7-ヒドロキシ-1-テトラロン(100mg、0.617mmol)及び乾燥炭酸カリウム(256mg、1.850mmol)を仕込んだ。DMF(1.2mL)を添加し、混合物を10分間、室温で撹拌した。1-ブロモ-2-メトキシエタンブロミド(0.12mL、1.233mmol)を添加し、反応混合物を16時間、65℃で撹拌した。反応混合物を水とジエチルエーテルとの間に分割した。水性相をジエチルエーテルで3回抽出し、組み合わせた有機層を水、次いで、塩水で2回洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、粗生成物(IV-8-ケト)(139mg)を茶色の油として得た。Rf 0.15(SiO
2;nHex:EtOAc 90:10);
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ=7.51(d,J=2.8Hz,1H),7.16(d,J=8.4Hz,1H),7.11(dd,J=8.4,2.8Hz,1H),4.17-4.14(m,2H),3.77-3.73(m,2H),3.45(s,3H),2.89(t,J=6.1Hz,2H),2.63(dd,J=7.2,5.8Hz,2H),2.11(p,J=6.5Hz,2H).
【0273】
ステップ2:基本手順2Aに従って、4-メトキシ-3,5-ジメチルアニリン(30.0mg、0.198mmol)を、7-(2-メトキシエトキシ)-3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オン(IV-8-ケト)(43.7mg、0.198mmol)及び分子ふるい(4Å)と、乾燥トルエン(2.0mL)中において、撹拌しながら、還流下に20時間反応させた。粗イミン生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO2;nHex:Et2O:Et3N 80:20:1から60:40:1)により精製して、表題の化合物(50mg、71% >95:5 E:Z)を薄い黄色の固体として得た。Rf 0.4(nHex:Et2O:Et3N 60:40:1);融点=86~88℃;IR(原液、cm-1):νmax=2927、1627、1600、1492、1480、1219;1H NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.81(d,J=2.8Hz,1H),7.09(d,J=8.4Hz,1H),7.00(dd,J=8.4,2.8Hz,1H),6.44(s,2H),4.21-4.16(m,2H),3.77-3.73(m,2H),3.72(s,3H),3.44(s,3H),2.82(t,J=6.1Hz,2H),2.55-2.49(m,2H),2.27(s,6H),1.88(p,J=6.3Hz,2H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ=165.44,157.43,152.97,147.22,134.87,134.16,131.32,129.93,119.76,119.65,109.19,71.19,67.47,59.99,59.27,29.88,29.30,23.36,16.30;HRMS(ESI+):C22H28NO3[M+H]+のm/z計算値354.2064、実測値354.2060。
【0274】
実施例4:(S,E)-4-メトキシ-N-(7-(2-メトキシ-1-フェニルエトキシ)-3,4-ジヒドロ-ナフタレン-1(2H)-イリデン)-3,5-ジメチルアニリン(IV-12)の調製
【化42】
ステップ1:火炎で乾燥させた丸底フラスコ中において、(R)-2-メトキシ-1-フェニルエタノール(60mg、0.394mmol)及びトリエチルアミン(66μL、0.473mmol)の無水ジクロロメタン(2.0mL)中の溶液に、0℃で、メタンスルホニルクロリド(37μL、0.473mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で2時間撹拌した。反応混合物を、H
2OとCH
2Cl
2との間に分割した。水性相をさらに、CH
2Cl
2で2回抽出した。組み合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥し、ろ過し、溶剤を減圧下で除去して粗生成物(R)-2-メトキシ-1-フェニルエチルメタンスルホン酸(85mg)を得、これをさらに精製することなく次のステップにおいて用いた。
【0275】
ステップ2:火炎で乾燥させたシールしたチューブに、7-ヒドロキシ-1-テトラロン(40mg、0.247mmol)及び乾燥セシウムカーボネート(121mg、0.370mmol)を仕込んだ。無水1,4-ジオキサン(1.0mL)を添加し、混合物を10分間、室温で撹拌した。(R)-2-メトキシ-1-フェニルエチルメタンスルホン酸(85mg)の1,4-ジオキサン(0.5mL)中の溶液を添加し、反応混合物を24時間、100℃で撹拌した。溶剤を減圧下で除去した。残った残渣を水とジエチルエーテルとの間に分割した。水性相をジエチルエーテルで3回抽出し、組み合わせた有機層を水、次いで、塩水で2回洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO2;nHex:EtOAc 90:05から80:20)により精製して、ケトン(IV-12)-ケト(20mg、2ステップで28%)を無色の油として得た。Rf 0.35(SiO2;nHex:EtOAc 80:20);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.53-7.48(m,1H),7.42-7.37(m,2H),7.36-7.30(m,2H),7.29-7.22(m,1H),7.08(d,J=1.6Hz,2H),5.41(dd,J=7.8,3.5Hz,1H),3.81(dd,J=10.8,7.8Hz,1H),3.63(dd,J=10.9,3.5Hz,1H),3.44(s,3H),2.83(t,J=6.1Hz,2H),2.59-2.52(m,2H),2.10-1.99(m,2H).13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 198.16,156.69,138.15,137.36,133.41,129.97,128.78,128.23,126.64,122.74,112.70,79.56,59.53,39.08,28.98,23.51.キラルHPLC:Chiralpak IAカラム、4.6×250mm;nHex:iPrOH 90:10、流量=1.0mL/分間;T=25℃;λ=254nm。tR,A=9.1分間(副)、tR,B=19.4分間(主);94:6鏡像体比。
【0276】
ステップ3:基本手順2Aに従って、4-メトキシ-3,5-ジメチルアニリン(10.2mg、0.067mmol)を、(S)-7-(2-メトキシ-1-フェニルエトキシ)-3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オン(IV-12-ケト)(20.0mg、0.067mmol)及び分子ふるい(4Å)と、乾燥トルエン(0.7mL)中において、撹拌しながら、還流で20時間反応させた。粗イミン生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO2;nHex:Et2O:Et3N 80:20:1から60:40:1)により精製して、表題の化合物(IV-12)(9mg、31% >95:5 E:Z)を薄い黄色の油として得た。Rf 0.5(nHex:Et2O:Et3N 60:40:1);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.87(d,J=2.8Hz,1H),7.45-7.39(m,2H),7.36-7.30(m,2H),7.29-7.22(m,2H),7.00(d,J=8.4Hz,1H),6.92(dd,J=8.4,2.7Hz,1H),6.40(s,2H),5.44(dd,J=7.6,3.7Hz,1H),3.80(dd,J=10.8,7.6Hz,1H),3.72(s,3H),3.64(dd,J=10.8,3.7Hz,1H),3.43(s,3H),2.75(t,J=6.1Hz,2H),2.54-2.39(m,2H),2.27(s,6H),1.83(p,J=6.4Hz,2H).
【0277】
【0278】
実施例5:基本手順3、式(III)のキラル触媒の合成
【化43】
ステップ(1)-方法A:火炎で乾燥させたシールしたチューブに、イリジウム錯体(VI)(1.0当量ダイマー)、酢酸ナトリウム(20当量)及び対応するイミンリガンド(IV)(2.2当量)を仕込んだ。1,2-DCE(0.015~0.100M)を窒素雰囲気下で添加し、反応混合物を50~80℃に、20時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、混合物を、フラッシュカラムクロマトグラフィにより直接精製して、対応するCp*Ir(III)-ヨージド錯体(VII)(典型的には、ジアステレオ異性体の混合物)を得た。
【0279】
ステップ(1)-方法B:火炎で乾燥させたシールしたマイクロ波チューブに、イリジウム錯体(VI)(1.0当量のダイマー)、酢酸ナトリウム(10当量)、酢酸銀(2.0当量)及び対応するイミンリガンド(IV)(3.0当量)を仕込んだ。1,2-DCE(0.015~0.100M)を窒素雰囲気下で添加し、反応混合物を、マイクロ波反応器中において、3時間撹拌しながら100℃に加熱した。室温に冷却した後、混合物を、フラッシュカラムクロマトグラフィにより直接精製して、対応するCp*Ir(III)-ヨージド錯体(VII)(典型的には、ジアステレオ異性体の混合物)を得た。
【0280】
ステップ(2):アルミニウム箔で包んだ、火炎で乾燥させたシールしたチューブに、イリジウム-ヨージド錯体(VII)(1.0当量)及びAgOMs(1.0~2.0当量)を仕込んだ。クロロホルム(0.015~0.100M)を窒素雰囲気下に添加し、反応混合物を室温で、20時間撹拌した。混合物を、Celite(登録商標)のパッドを通してろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、対応するCpIr(III)-OMs錯体(III)(典型的には、1つの種として、又は、メシレート錯体(IIIa)と水性錯体(IIIb、また、水性-III)との混合物として)を得、これを、さらに精製することなくオキシム還元において触媒として用いた。
【0281】
実施例6:[(R)-BINOL-diPh]CpIr[(E)-4-メトキシ-N-(7-(2-メトキシエトキシ)-3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-イリデン)-3,5-ジメチルアニリン]メタンスルホン酸(III-3)の調製
【化44】
基本手順3(ステップ1-方法B)に従って、対応するキラルシクロペンタジエニルイリジウムヨージドダイマー[(R)-BINOL-diPh]CpIrI
2]
2(200mg、0.106mmol;Angew.Chem.Int.Ed.2015,54,12149)を、NaOAc(87mg、1.062mmol)、AgOAc(36mg、0.212mmol)及び(E)-4-メトキシ-N-(7-(2-メトキシエトキシ)-3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-イリデン)-3,5-ジメチルアニリン(113mg、0.319mmol)と、1,2-DCE(2.1mL)中において、100℃で、撹拌しながら、3時間、反応させた。室温に冷却した後、混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO
2;nHex:Et
2O 80:20から65:35)により直接精製して、対応するイリジウム-ヨージド錯体(VII-3)(200mg、81%、85:15 dr)をオレンジ色の固体として得た。R
f 0.35(SiO
2;nHex:Et
2O 60:40);
【数1】
=+151.6(c=0.1、CHCl
3);IR(原液、cm
-1):ν
max=2925、1588、1566、1480、1447、1402、1228、1211、704;
1H NMR(400MHz,CDCl
3)(0.85:0.15の比のジアステレオ異性体の混合物;別段の定めがある場合を除き、主ジアステレオ異性体に対応する):δ=7.99(s,1H),7.97(d,J=7.8Hz,1H),7.82(d,J=8.3Hz,1H),7.79(s,1H),7.74(d,J=2.6Hz,1H),7.56-7.44(m,4H),7.38-7.29(m,3H),7.17(ddd,J=8.3,6.8,1.3Hz,1H),7.09(ddt,J=8.7,7.5,2.5Hz,4H),6.81(dd,J=8.3,3.2Hz,2H),6.73(d,J=8.0Hz,1H),6.60-6.48(m,3H),6.00(s,0.15H,副ジアステレオ異性体),5.79(t,J=1.7,1.3Hz,1H),5.60(d,J=2.7Hz,1H),4.86(t,J=2.2Hz,0.15H,副ジアステレオ異性体),4.79(t,J=2.2Hz,1H),4.21(t,J=1.6Hz,1H),4.07(dd,J=7.1,2.9Hz,2H),3.67-3.61(m,2H),3.31(s,3H),3.30(s,3H),3.24(s,0.45H,副ジアステレオ異性体),3.20(s,0.45H,副ジアステレオ異性体),2.93-2.78(m,2H),2.78-2.67(m,3H),2.65-2.52(m,1H),2.16(s,3H),2.14(s,0.3H),2.05(d,J=13.5Hz,1H),1.80-1.62(m,2H),1.02(s,0.45H,副ジアステレオ異性体),1.00(s,3H);
3C NMR(151MHz,CDCl
3)(0.85:0.15の比のジアステレオ異性体の混合物;別段の定めがある場合を除き、主ジアステレオ異性体に対応するピーク;副ジアステレオ異性体に対応するいくつかのピークは、強度が低いために失われている)δ
C=183.50,160.82,160.02(副ジアステレオ異性体),155.06,152.10,151.64(副ジアステレオ異性体),146.88(副ジアステレオ異性体),146.32,145.70,145.38(副ジアステレオ異性体),141.74,140.87,140.57,139.85,138.06,137.99,135.28,133.32,132.58,132.19,132.17,131.95,131.83,131.25,130.42,129.83,129.77,129.74,129.47,128.51,128.07,128.05,128.01,127.23,126.77,126.51,126.41,126.30,126.27,126.17,125.98,125.67(副ジアステレオ異性体),122.58,122.19,115.70(副ジアステレオ異性体),115.27,107.16(副ジアステレオ異性体),106.36,90.67(副ジアステレオ異性体),90.16,86.73,81.45,71.88,71.71(副ジアステレオ異性体),68.16,64.14,59.70,58.91,34.40(副ジアステレオ異性体),32.11(副ジアステレオ異性体),31.49,30.60,30.46,28.88,25.64,24.10,22.85(副ジアステレオ異性体),21.37(副ジアステレオ異性体),15.86,15.30,14.29(副ジアステレオ異性体);HRMS(ESI+):C
61H
53IrNO
3[M-I]
+のm/z計算値1040.3655、実測値1040.3654。
【0282】
次いで、基本手順3(ステップ2)に従って、イリジウム-ヨージド錯体(VII-3)(180mg、0.154mmol)を、CDCl3(3.1mL)中のAgOMs(32mg、0.154mmol)と、撹拌しながら、室温で、20時間反応させた。混合物をCelite(登録商標)の細いパッドを通してろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、対応するイリジウム-メタンスルホン酸錯体(III-3)(168mg、96%、(III-3):(水性-III-3)の90:10NMR混合物)を明るい茶色の固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)(別段の定めがある場合を除き、(III-3)に対応するピーク):δ=7.97(d,J=8.1Hz,2H),7.81(d,J=8.2Hz,1H),7.79(s,1H),7.55-7.44(m,4H),7.38-7.28(m,3H),7.24-7.15(m,3H),7.08(dddd,J=8.4,6.9,3.3,1.4Hz,2H),6.93(d,J=8.1Hz,1H),6.88(d,J=8.1Hz,0.15H,(水性-III-3)),6.78(d,J=8.5Hz,1H),6.73(d,J=8.2Hz,1H),6.63-6.47(m,3H),6.10(t,J=2.0Hz,0.85H),6.00(s,0.10H,(水性-III-3)),5.59(d,J=2.5Hz,1H),5.44(t,J=2.3Hz,0.85H),4.85(t,J=2.2Hz,0.10H,(水性-III-3)),4.54(s,1H),4.18-4.09(m,1H),3.99-3.91(m,1H),3.74-3.62(m,2H),3.33(s,2.5H),3.31(s,3H),3.30(s,0.3H,(水性-III-3)),2.90(d,J=16.2Hz,1H),2.86(d,J=13.9Hz,1H),2.79-2.68(m,2H),2.66-2.43(m,2H),2.17-2.11(m,4H),2.08(d,J=13.5Hz,1H),2.01(s,2.5H),1.98(s,0.3H,(水性-III-3)),1.84-1.66(m,2H),1.02(d,J=2.7Hz,3H);13C NMR(151MHz,CDCl3)(種(III-3)及び(水性-III-3)の両方に対応するピーク;(水性-III-3)錯体のいくつかのピークは、低い強度のために失われている可能性がある)δ=185.87(水性-III-3)),183.60(III-3),160.13,160.01,155.15,154.90,153.90,148.18,146.84,145.36,144.43,141.72,141.50,140.86,140.56,140.53,139.94,139.91,138.07,138.04,137.94,137.55,135.25,135.22,133.28,132.85,132.57,132.23,132.18,132.11,131.89,131.84,131.57,131.50,130.63,130.53,130.18,129.87,129.78,129.75,129.62,129.43,128.60,128.52,128.50,128.34,128.06,128.00,127.91,127.22,127.19,126.77,126.75,126.50,126.44,126.40,126.37,126.29,126.24,126.03,125.96,125.67,124.48,124.44,124.03,123.00,122.19,122.10,115.59,114.33,107.63,107.13,90.69,83.21,82.89,82.78,73.86,71.75,71.68,71.08,68.10,67.58,67.23,66.08,64.01,59.71,59.05,58.89,31.17,30.45,30.08,29.72,28.80,28.69,25.81,24.04,23.90,22.82,22.78,15.93,15.82,15.30,15.27,14.29;HRMS(ESI+):C61H53IrNO3[M-OMs]+のm/z計算値1040.3655、実測値1040.3662。
【0283】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【0284】
実施例7:基本手順4:オキシムエーテル基材(I)の合成
【化45】
Teflon製の蓋をしたシールしたチューブにおいて、アルコキシル塩化アンモニウム(H)(1.2~3.0当量)を、ケトン(K)(1.0当量)のEtOH(0.3M)中の溶液に添加した。水(0.33v/v)を添加し、混合物を室温で5分間撹拌した。酢酸ナトリウム(1.5~4.0当量)を数回に分けて添加し、反応混合物を70℃で16時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を、CH
2Cl
2と水との間に分割した。水性相をCH
2Cl
2で2回抽出した。組み合わせた有機相を塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、ろ過し、溶剤を減圧下で除去した。粗生成物(典型的には、E/Zジアステレオ異性体の混合物)をフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、所望のE又はZオキシムエーテル生成物を得た。
【0285】
実施例8:基本手順5:N-(ベンジルオキシ)カルボキサミド(XV-31)及び(XV-32)の脱水環化を介した4-置換-1H-2,3-ベンゾキサジン(I-31)及び(I-32)の合成
【化46】
ステップ1:丸底フラスコ中において、対応する塩化アシル[A](1.1当量)を、O-ベンジル塩酸ヒドロキシルアミン[H](1.0当量)及びトリメチルアミン(2.2当量)のジクロロメタン(0.2M)中の溶液に、0℃で滴下した。反応混合物を1時間、室温で撹拌した。反応混合物をH
2Oで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、ろ過し、溶剤を減圧下で除去して粗生成物を得た。ペンテン(pent):EtOAc 50:50で溶出する細いシリカプラグを通したろ過で、純粋なN-(ベンジルオキシ)カルボキサミド生成物(XV)を定量的収率で得た(XV-31;Synth.Commun.2005,731)(XV-32;Bioorg.Med.Chem.Lett.2015,4933)。
【0286】
ステップ2:火炎で乾燥させたシュレンクチューブ中において、窒素雰囲気下で、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.1当量)を、対応するN-(ベンジルオキシ)カルボキサミド(XV)(1.0当量)及び2-クロロピリジン(1.2当量)のジクロロメタン(0.25M)中の撹拌混合物に、-78℃で滴下した。5分後、反応混合物を氷水浴中に入れ、0℃に温めた。15分後、反応混合物を室温でさらに2時間撹拌した。反応をNaHCO3(飽和、水性)で失活させた。水性相をCH2Cl2中において2回抽出し、組み合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、溶剤を減圧下で除去して、粗生成物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO2、ペンテン(pent):EtOAc 99:1から90:10)による精製で、純粋な生成物を得た(I-31、60%収率;I-32、65%収率)。化合物(I-31)及び(I-32)の実験データは表4に含まれている。
【0287】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【表4-8】
【表4-9】
【表4-10】
【0288】
実施例9:不斉オキシム水素化を介したエナンチオ富化(2R)-N-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-アミン(II-1)の合成
【化47】
ガラス製のインレットを有する50mLのハステロイ反応器に、(E)-N-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-イミン(I-1)(267mg)、触媒(III-1)(9.5mg)、iPrOH(5mL、無水、アルゴンで脱気)及びメタンスルホン酸(144mg)を、アルゴン雰囲気下で仕込んだ。反応器を水素でパージし(3×5bar)、H
2で50barに加圧し、16時間、23℃で撹拌した。水素を放出し、反応器をアルゴンでパージした。粗反応混合物のGC及びNMR分析は完全な転換を示していた。反応混合物を飽和NaHCO
3溶液(15mL)及び水(10mL)にゆっくりと添加し、ジクロロメタンで抽出した(2×15mL)。組み合わせた有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過し、蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカ、酢酸エチル-シクロヘキサン勾配)によりさらに精製して、250mgの所望の生成物(II-1)を得た。無色の油;
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=7.32(s,2H),5.47(br.s,1H),3.55(s,3H),3.44(dp,J=8.0,6.4Hz,1H),3.16(dd,J=13.4,5.9Hz,1H),2.91(dd,J=13.4,8.0Hz,1H),1.08(d,J=6.5Hz,3H).キラルSFC分析:カラム=Daicel Chiralpak IA 3×100mm、粒径=3μ、λ=220nm、CO
2:iPrOH 85:15、流量=2.0ml/分間、T=40℃;t
R,A=0.45分間(副鏡像異性体、34%)、t
R,B=0.51分間(主鏡像異性体、66%)。
【0289】
表5:オキシムエーテル(I-1)の不斉水素化を介したエナンチオ富化N-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-アミン(II-1)の合成;触媒(III)のスクリーニング:
【化48】
標準条件:基本手順4に従い、E-オキシム(E-I-1)を、1.5当量のメタンスルホン酸、iPrOH溶剤(0.5molオキシム/1L溶剤)、1mol%触媒(III)、50bar H
2と、別段の定めがある場合を除き、室温、20時間で反応させた。すべての反応において、所望の生成物に対する高い選択性(>95%)が観察された。
【0290】
【0291】
表6:エナンチオ富化アルコキシルアミン(II-1)及び(II-7)を得るためのE又はZ-オキシムエーテル(I-1)及び(I-7)の立体特異性不斉水素化;溶剤及び酸の変更:
条件:基本手順4に従い、E又はZオキシム(I-1)を、酸、溶剤(0.5molオキシム/1L溶剤)、1mol%(III-3-ent)、50bar H2と、別段の定めがある場合を除き、室温、20時間で反応させた。すべての反応において、所望の生成物に対する高い選択性(>95%)が観察された。
【0292】
【0293】
実施例10:4-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[(1R)-1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロフェニル)エチル]ピラゾール-3-カルボキサミド(XIII-1)の合成
【化49】
反応バイアルに、N-メトキシ-1-(2,4,6-トリクロロフェニル)プロパン-2-アミン(II-1)(実施例10に従って調製;25mg、66:34 R:S)及びジクロロメタン(0.4mL)を仕込んだ。トリエチルアミン(0.027mL)、続いて、ジクロロメタン(0.2mL)中に溶解した3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-ピラゾール-4-塩化カルボニル(XII)(20mg)を、室温で滴下した。反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水性HCl(1M)、水性NaHCO
3、塩水で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO
2;酢酸エチル-シクロヘキサン勾配)により単離して、20mgの所望の生成物(XIII-1)を得た。分析データは、国際公開第14/206855号において報告されていたものと対応する。キラルSFC分析:Daicel SFC Chiralpak ICカラム3×100mm、波長:220nm、溶剤:A=CO
2、B=EtOH、勾配:1.8分間で50%B、注入体積:1μl、流量:2.0ml/分間、保持時間=0.90分間(副(S)-鏡像異性体、33.3%)、1.41分間(主(R)-鏡像異性体、66.7%)。
【0294】
実施例11:基本手順6:本発明の触媒を用いて、エナンチオ富化N-アルコキシルアミンを得るオキシムエーテルの不斉水素化
【化50】
磁気撹拌棒及びセプタムシールを備える火炎で乾燥させた試験管に、対応する触媒(1mol%)及びオキシム基材(1当量)を仕込んだ。乾燥ROH溶剤(0.5M;R=t-アミル、i-プロピル、エチル、メチル)を添加し、続いて、トリフルオロ酢酸又はメタンスルホン酸(1.0~5.0当量)のいずれかを滴下した。セプタムに針を挿入し、試験管を高圧反応器に入れた。反応器を水素でパージし(3×5bar)、H
2で50barに加圧し、反応混合物を25℃で16時間撹拌した。水素を放出し、反応混合物をNaHCO
3(水性、飽和)にゆっくりと添加し、CH
2Cl
2で3回抽出した。組み合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥し、ろ過し、溶剤を減圧下で除去して、粗N-アルコキシルアミン生成物を得た(典型的には、>95%NMR純度で)。フラッシュカラムクロマトグラフィによる精製で、純粋な生成物を得た。生成物の鏡像異性体過剰率を、キラル固定相HPLCにより測定した。
【0295】
実施例12:基本手順7:塩化ベンゾイルを伴うN-アシル化によるN-アルコキシアミン生成物誘導体化
【化51】
試験管中において、トリエチルアミン(2.0当量)及び塩化ベンゾイル(1.2当量)をN-アルコキシアミン(II)のCH
2Cl
2中の溶液に、室温で添加した。反応混合物を1~16時間、室温で撹拌した。反応混合物を、フラッシュカラムクロマトグラフィにより直接精製して、対応するN-ベンゾイル-N-アルコキシアミン生成物(II-Bz)を得た。生成物の鏡像異性体過剰率をキラル固定相HPLCにより測定した。
【0296】
表7:触媒(III-3-ent)を用いるオキシム(I)の不斉水素化を介したヒドロキシルアミン(II)の合成、基材範囲:
【化52】
反応条件:別段の定めがある場合を除き、基本手順4に従って、1当量のオキシム(I)、1.0~5.0当量のMsOH又はTFA酸、ROH溶剤(0.5molオキシム/1L溶剤;R=t-アミル、i-プロピル、エチル、メチル)、1mol%触媒(III-3-ent)、50barH
2、室温、16時間。すべての反応において、所望の生成物に対する高い選択性(>95%)が観察された。
【0297】
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【表7-6】
【表7-7】
【表7-8】
【表7-9】
【表7-10】
【表7-11】
【表7-12】
【表7-13】
【表7-14】
【表7-15】
【0298】
比較例1:表8:
2種の溶剤(THF/TFA及びMeOH)中、T=60℃、及び、H2=50barの圧力、2%の触媒充填量における、96種の多様な均一系触媒-金属前駆体(Rh、Ir、Pt、Ru、中性/カチオン性)/リガンド分類(単座/二座、ホスフィン、亜リン酸塩等)のスクリーニング。所望の生成物(II-1、以下の表において「生成物」とラベルを付した)に向かう転換をGCにより測定したところ、これは面積割合に基づいている。
【0299】
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【0300】
これらの実験は、すべての事例において、形成された生成物(II-1)の量が<1%であったため、通例用いられる金属前駆体及びリガンドの組み合わせでは、(I-1)などのオキシム基材の均一系な水素化は可能ではないことを実証する。
【0301】
比較例2:表9:
【化53】
水素化条件:温度=60℃、及び、H
2圧力=60bar、時間=20時間。欧州特許第1862446号明細書に記載の反応条件。所望の生成物((II-1)、以下の表において「生成物」とラベルを付した)に向かう転換をGCにより測定し、これは面積割合に基づいている。
【0302】
【0303】
すべての事例において、低い選択性、及び、所望の生成物(II-1、上記の表において「生成物」とラベルを付した)のゼロ又はきわめて低い収率が観察された。これらの実験は、欧州特許第1862446号明細書に記載の触媒及び条件は、(II-1)などのオキシム基材の効率的な水素化が可能ではないことを実証する。