(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】アンテナ配置構造及びアンテナ配置構造の使用方法
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/24 20060101AFI20241009BHJP
H01Q 7/08 20060101ALI20241009BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20241009BHJP
【FI】
H01Q21/24
H01Q7/08
H02J50/10
(21)【出願番号】P 2021534165
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2019086295
(87)【国際公開番号】W WO2020127725
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-09-14
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516149435
【氏名又は名称】ボンバルディアー プリモーフ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Bombardier Primove GmbH
【住所又は居所原語表記】Eichhornstrasse 3, 10785 Berlin, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【氏名又は名称】江森 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ツァインスキ
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0120739(US,A1)
【文献】特開2003-298348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 21/24
H01Q 7/08
H02J 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両への誘導電力伝達用システムにおける位置決め信号を生成するアンテナ配置構造であって、当該アンテナ配置構造が、電圧源と、第1の誘導性アンテナ素子(L1)と、第2の誘導性アンテナ素子(L2)と、少なくとも1つの容量性素子(C)とを備えており、
前記電圧源が、少なくとも前記第1の誘導性アンテナ素子(L1)を含む第1の回路セクションと、第2の回路セクションとの直列接続に対して、
直列に電気接続されており、
前記第2の回路セクションが、
第1のサブセクションと、第2のサブセクションと、の並列接続を含んでおり、
前記第1のサブセクションが、前記少なくとも1つの容量性素子(C)を含んでおり、
前記アンテナ配置構造が、少なくとも1つの抵抗性素子(R)を更に備えており、
前記第2のサブセクションが、少なくとも前記第2の誘導性アンテナ素子(L2)と、前記少なくとも1つの抵抗性素子(R)と、の直列接続を含み、
前記第1の誘導性アンテナ素子(L1)の中心軸と、前記第2の誘導性アンテナ素子(L2)の中心軸とが非平行であり、
かつ、
前記位置決め信号として、楕円形状、又は、円形状の電磁場を生成することを特徴とするアンテナ配置構造。
【請求項2】
前記第1の誘導性アンテナ素子(L1)と、前記第2の誘導性アンテナ素子(L2)との位相シフトが、90°であることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ配置構造。
【請求項3】
前記第1の回路セクションのリアクタンスが、前記第2の回路セクションの前記第1のサブセクションのリアクタンスと等しく、及び/又は、前記第2の回路セクションの前記第2のサブセクションのリアクタンスと等しいことを特徴とする
請求項1又は2に記載のアンテナ配置構造。
【請求項4】
前記アンテナ配置構造が、少なくとも1つの追加の補償容量性素子(CC1、CC2)を備えていることを特徴とする
請求項1~3のいずれか一項に記載のアンテナ配置構造。
【請求項5】
前記第1の回路セクションが、補償容量性素子(CC1)と、前記第1の誘導性アンテナ素子(L1)と、の直列接続を含んでおり、及び/又は、前記第2の回路セクションの前記第2のサブセクションが、補償容量性素子(CC2)と、前記第2の誘導性アンテナ素子(L2)と、の直列接続を含んでいることを特徴とする
請求項4に記載のアンテナ配置構造。
【請求項6】
前記アンテナ配置構造が、少なくとも1つの追加の補償誘導性素子(CL1、CL2)を備えることを特徴とする
請求項1~5のいずれか一項に記載のアンテナ配置構造。
【請求項7】
前記第1の回路セクションが、
前記追加の補償誘導性素子(CL1)と、前記第1の誘導性アンテナ素子(L1)と、の直列接続を含んでおり、及び/又は、前記第2の回路セクションの前記第2のサブセクションが、
前記追加の補償誘導性素子(CL2)と、前記第2の誘導性アンテナ素子(L2)と、の直列接続を含んでいることを特徴とする
請求項6に記載のアンテナ配置構造。
【請求項8】
前記アンテナ配置構造が、少なくとも2つの補償誘導性素子(CL1、CL2)を備えており、前記少なくとも2つの補償誘導性素子(CL1、CL2)が、
それぞれコイルによって構成されており、当該コイルが、逆に席巻されていることを特徴とする
請求項6又は7に記載のアンテナ配置構造。
【請求項9】
前記アンテナ配置構造が、少なくとも1つの磁気伝導性素子を備えており、少なくとも1つの、
前記誘導性アンテナ素子(L1、L2)が、前記磁気伝導性素子の少なくとも1つのセクションに席巻されていることを特徴とする
請求項1~8のいずれか一項に記載のアンテナ配置構造。
【請求項10】
前記第1の誘導性アンテナ素子(L1)及び第2の誘導性アンテナ素子(L2)が、前記磁気伝導性素子の異なるセクションに席巻されていることを特徴とする
請求項9に記載のアンテナ配置構造。
【請求項11】
前記アンテナ配置構造が、
前記少なくとも1つの磁気伝導性素子として、第1の磁気伝導性素子及び第2の磁気伝導性素子を備えており、前記第1の誘導性アンテナ素子(L1)が、前記第1の磁気伝導性素子に席巻され、前記第2の誘導性アンテナ素子(L2)が、前記第2の磁気伝導性素子に席巻されていることを特徴とする
請求項9又は10に記載のアンテナ配置構造。
【請求項12】
前記磁気伝導性素子は、誘導電力伝達用システムの二次ユニットの磁気伝導性素子であることを特徴とする
請求項9~11のいずれか一項に記載のアンテナ配置構造。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のアンテナ配置構造の使用方法であって、電圧源により交流電圧を生成することを特徴とするアンテナ配置構造の使用方法。
【請求項14】
前記交流電圧の周波数が、前記第1の回路セクションと、前記第2の回路セクションと、の直列接続の共振周波数に等しいことを特徴とする
請求項13に記載のアンテナ配置構造の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ配置構造(以下、単に、アンテナ構成、又はアンテナ配列と称する場合がある。)及び、そのようなアンテナ配置構造の使用方法に関する。
特に、位置決め目的の信号(以下、位置決め信号又は測位信号と称する場合がある。)を生成するためのアンテナ配置構造において、より具体的には、車両への誘導電力伝達用システムの一次巻線構造に対する車両側の二次巻線構造の位置決めを実行するためのアンテナ配置構造、及び、そのようなアンテナ配置構造の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、特に軌道系車両、及び/又は道路系自動車は、誘導電力伝達によって伝達される電気エネルギーによって作動することができる。
このような車両は、交流電磁界を受信し、電磁誘導によって交流電流を生成するように適合された、いわゆる受信装置を含むことができる。
このような受信装置は、いわゆる二次巻線構造からなるか、又はそれを提供することができる。
更に、このような車両は、交流(AC)を直流(DC)に変換するように適合された整流器を含むことができる。この直流は、トラクション・バッテリーの充電や電気機械の作動に使用することができる。そして、整流器は、受信装置から供給されたACをDCに変換する機能を発揮する。
【0003】
又、誘導電力伝達は、通常、一次巻線構造によって交流電磁界を生成する一次ユニットと、交流電磁界を受信するための受信装置を構成する二次ユニットと、を用いて行われる。
かかる一次ユニット及び二次ユニットは、例えば、前述の一次巻線構造及び二次巻線構造を提供する三相巻線のセットから構成することが好ましい。
従って、一次ユニットの一組の巻線である一次巻線構造は、地面に設置することができ、ウェイサイドパワーコンバーター(Wayside Power Converter)によって供給することができる。
一方、二次ユニットの一組の巻線である二次巻線構造は、車両に設置される。例えば、二次巻線構造は、車両の下に、路面電車の場合はそのワゴンの一部の下に取り付けることができる。
又、一次ユニットの一次巻線構造は、一次側と呼ぶこともでき、二次ユニットの二次巻線構造は、二次側と呼ぶこともできる。
このような一次側と二次側は、電気エネルギーを車両に伝達するための高周波トランスの一部とすることができる。そして、かかる誘導電力伝達は、車両が動いていない静的状態でも、車両が動いている動的状態でも、行うことができる。
【0004】
又、誘導電力伝達には、通常、伝達電力量を最大化するために、車両側の二次巻線構造と、一次巻線構造と、の正しい位置関係が必要であり、又、安全要件を満たし、電磁両立性を確保するためにも正しい位置関係が必要である。
【0005】
かかる相対的な位置関係は、例えば、位置決め信号を生成するアンテナ配置構造と、位置決め信号を受信する受信アンテナ配置構造と、の間の相対的な位置に応じて決定することができ、ここで、配置間の相対的な位置関係は、受信した位置決め信号の信号特性に応じて決定される。
この場合、位置決め信号を生成するアンテナ配置構造を一次側アンテナ配置構造とし、受信アンテナ配置構造を二次側アンテナ配置構造とすることができ、またその逆も可能である。
【0006】
ここで、従来技術としての特許文献1によれば、誘導電力伝達ユニットが開示されており、かかる誘導電力伝達ユニットは、少なくとも1つの巻線構造又は少なくとも1つの磁束案内手段を備えている。
そして、かかる誘導電力伝達ユニットは、少なくとも1つのアンテナ素子を更に備えており、少なくとも1つの磁束案内手段の一部分は、アンテナ素子の一部を構成している。
【0007】
又、別な従来技術としての特許文献2によれば、誘導電力伝達用システムの一次巻線構造と、二次巻線構造と、の間の相対的な位置及び/又は向きを決定するための決定システムが開示されている。
【0008】
又、更に別の従来技術としての特許文献3によれば、第1及び第2のデバイス間で電力及び全二重データ信号を誘導的に伝送するための誘導伝送システムが開示されている。
この誘導伝送システムによれば、2つのデバイス間の双方向誘導チャネルと、誘導チャネルを介して第1のデバイスから第2のデバイスに第1の周波数で電力信号を送信する送信機と、第1のデータ信号を第1の変調周波数で変調する第1の変調デバイスと、第2のデータ信号を第2の変調周波数で変調する第2の変調デバイスと、を含んで構成されている。
更に、送信機は、変調された第1のデータ信号を第1の機器から第2の機器に誘導チャネルを介して送信し、変調された第2のデータ信号を第2の機器から第1の機器に誘導チャネルを介して送信する。
そして、第1の変調周波数と、第2の変調周波数とは、少なくとも2倍離れていることが好ましいとされている。
【0009】
又、更に別の一つの従来技術としての特許文献4によれば、車両に付随するワイヤレスパワーアンテナのワイヤレス充電と、ワイヤレスパワーの整合性と、の関係について開示されている。
【0010】
又、その上、更に別な一つの従来技術としての特許文献5によれば、車両及び誘導充電ユニットが開示されている。そして、誘導充電ユニットは、一次コイルを備え、車両は、二次コイルを備えている。
又、充電位置において、二次コイルは、一次コイルに対して好ましい空間位置に配置されており、その結果、充電位置を設定するために、決定システムによれば、三角測量を用いた電磁的な距離及び角度の測定によって、一次コイルに対する二次コイルの時間依存の空間位置に関する所定場所(ロケーション)を決定している。
従って、かかる所定場所の決定システムによれば、ロケーションと、充電位置と、によって、充電位置のロケーションに近づくことができる少なくとも1つの部分的な駆動方向を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】WO2017/064326 A1(特許請求の範囲等)
【文献】WO2017/042364 A1(特許請求の範囲等)
【文献】US7454170 B2(特許請求の範囲等)
【文献】WO2011/127455 A2(特許請求の範囲等)
【文献】WO2014/023595 A2(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明によれば、予め定められた所望の特性を有する位置決め信号を確実かつ正確に生成することができ、かつ少数の素子しか必要としないアンテナ配置構造、及び、そのようなアンテナ配置構造の使用方法を提供することが目的(技術的課題)である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の技術的課題に対する解決策は、特許請求の範囲に記載の請求項1及び14の特徴を有する主題によって提供される。更に本発明の有利な実施形態は、従属請求項の特徴を持つ主題によって提供される。
【0014】
本発明によれば、位置決め信号を生成するためのアンテナ配置構造を提供する。
そして、かかる位置決め信号は、アンテナ配置構造を構成するユニットと、位置決め信号受信ユニットと、の間の相対的な位置及び/又は向きを決定するための方法を実行するために使用される。
これらのユニットは、例えば、特に車両に誘導電力を伝達するシステムのユニット、特に二次ユニット及び一次ユニットとすることが好ましい。
この場合、アンテナ配置構造は、一次側アンテナ配置構造とすることが好ましく、位置決め信号受信配置構造(以下、位置決め信号受信配置又は位置決め信号受信構成と称する場合がある。)は、二次側配置構造(以下、二次側配置又は二次側構成と称する場合がある。)とすることが好ましい。
或いは、アンテナ配置構造を二次側配置構造とし、位置決め信号受信配置構造を一次側配置構造(以下、一次側配置又は一次側構成と称する場合がある。)とすることも好ましい。
すなわち、位置決め信号を生成するためのアンテナ配置構造と、位置決め信号受信配置構造と、の間の相対的な位置及び/又は向きは、例えば、位置決め信号受信配置構造によって受信された位置決め信号に応じて、特に受信された位置決め信号の信号特性に応じて決定することが好ましい。
そして、信号特性は、例えば、位置決め信号のスペクトルパワー(Spectral Power)とすることが好ましい。そして、相対位置は、例えば、二次側座標系システム又は一次側座標系システムで決定することが好ましい。
【0015】
又、相対的な位置及び/又は向きは、より具体的には、例えば、二次側制御ユニット又は一次側制御ユニットによって決定することが好ましい。
このような制御ユニットは、例えば、1つ又は複数のマイクロコントローラから構成されることが好ましい。
【0016】
又、アンテナ配置構造は、特にAC(交流)電圧を生成するための電圧源を備えていることが好ましい。
かかるAC電圧は、所定の特性、特に所定の周波数を有することが好ましい。
そして、かかる電圧源、特にAC電圧の少なくとも1つの特性は、例えば、アンテナ配置構造の一部であり得る制御ユニットによって制御されることである。
このような制御ユニットは、少なくとも1つのマイクロコントローラ及び/又は少なくとも1つの集積回路によって構成されることが好ましい。
【0017】
更に、アンテナ配置構造は、第1の誘導性アンテナ素子(以下、第1のアンテナ素子、又は、単に、誘導性アンテナ素子と称す場合がある。)と、第2の誘導性アンテナ素子(以下、第2のアンテナ素子、又は、単に、誘導性アンテナ素子と称する場合がある。)と、を備えていることが好ましい。
そして、かかる第1の誘導性アンテナ素子である誘導性アンテナ素子は、例えば、アンテナ巻線又はアンテナコイルによって構成されていることが好ましい。
すなわち、かかる誘導性アンテナ素子は、位置決め信号を提供する電磁場を生成するための素子である。
そして、第1の誘導性アンテナ素子によって、第1の位置決め信号を生成し、第2の誘導性アンテナ素子により、第2の位置決め信号を生成することが好ましい。
【0018】
更に、アンテナ配置構造は、少なくとも1つの容量性素子、特にコンデンサを備えていることが好ましい。
【0019】
更に、電圧源は、第1の回路セクションと、更なる回路セクションである第2の回路セクションとの直列接続に対して、並列に電気接続されていることが好ましい。
かかる第1の回路セクションは、少なくとも第1の誘導性アンテナ素子を含んでいることが好ましい。
そして、かかる第2の回路セクションは、第2の回路セクションの第1のサブセクションと、第2の回路セクションの更なるサブセクションである第2のサブセクションと、の並列接続を含んでいることが好ましい。
従って、かかる第2の回路セクションの第1のサブセクションは、少なくとも1つの容量性素子を含み、第2のサブセクションは、少なくとも第2の誘導性アンテナ素子を含んでいることが好ましい。
【0020】
又、電圧源は、第1の回路セクションと、第2の回路セクションと、が直列に接続された電気回路を駆動する駆動源とも呼ばれている。
従って、このような電気回路に交流電圧が印加されると、誘導性のアンテナ素子が電磁界を生成する。
すなわち、2つのアンテナ素子の端子を横切る電圧は、所定の位相シフト、特に90°の位相シフトを持つことになる。これにより、所定の位相シフトを有する位置決め信号が生成されることになる。
【0021】
又、所定の位相シフトを有する2つの位置決め信号を生成することは、有利には、位置決め信号を生成するアンテナ配置構造と、位置決め信号を受信する受信配置構造との間の相対的な位置及び/又は向きを安定的かつ正確に決定することを可能にする。
特に、所定の位相シフト情報を用いて、相対的な位置及び/又は向きを決定することができる。
更に、提案されたアンテナ配置構造は、有利には、大部分が異なる方向に向けられた電磁場であって、特に、2つ、3つ、又は3つ以上の複数の空間方向に向けられた電磁場の生成を可能にし、ここで、電磁場が形成される複数の空間方向は、互いに直角となるように配向されることが好ましい。
より詳細には、アンテナ配置構造は、有利には、円形状又は楕円形状の電磁場の生成を可能にするような電磁場の方向の時間的変化を考慮した場合、これにより、前述した相対的な位置及び/又は向きの安定的かつ正確な決定が単純化される。
【0022】
言い換えれば、少数の素子、特に単一の電圧源のみで、所定の位相シフトを持つ位置決め信号を正確に生成できる2次元(2D)のアンテナ配置構造とすることが好ましい。
【0023】
又、駆動交流電圧の周波数は、所定の共振周波数に等しいか、又は、当該所定の共振周波数から所定の量以上乖離しないようにすることが好ましい。
かかる所定の共振周波数は、例えば、第1の回路セクションと第2の回路セクションとの直列接続により提供される回路の共振周波数とすることが好ましい。
これにより、有利には、無効電力を低減して位置決め信号を生成すること、すなわち、位置決め信号を能動的に生成することができる。
【0024】
本発明の別の実施形態では、第1の回路セクションのリアクタンスが、第2の回路セクションの第1のサブセクションのリアクタンスと等しいことが好ましい。
或いは、又は更に、第1の回路セクションのリアクタンスが、第2の回路セクションの第2のサブセクションのリアクタンスと等しいことが好ましい。
或いは、又は更に、第2の回路セクションの第1のサブセクションのリアクタンスと、第2の回路セクションの第2のサブセクションのリアクタンスが等しいことも好ましい。
【0025】
特に、第1の回路セクションのリアクタンスの絶対値が、第2の回路セクションの第1のサブセクションのリアクタンスの絶対値と等しい、又は、第2の回路セクションの第2のサブセクションのリアクタンスの絶対値と等しいことが好ましい。
【0026】
この均等性は、例えば、1つ又は複数の所定の周波数/頻度、特に駆動電圧の駆動周波数を使用することにより達成しやすくなる。
この場合、第2の誘導性アンテナ素子を流れる電流は、駆動電圧にのみ比例し、容量性素子のリアクタンスに反比例するが、第1のサブセクションの抵抗、特に第2の誘導性アンテナ素子の抵抗又は追加の抵抗性素子の抵抗には依存しない。そのため、電圧源から供給される電流レベルが低下し、電流は下記式(1)で表されることになる。
【0027】
【0028】
ここで、Iは、第2の誘導性アンテナ素子に流れる電流、Udは、駆動電圧、及び、Xは、更なる回路セクションである第2の回路セクションのリアクタンスを示す。
【0029】
そして、リアクタンスの絶対値が等しい場合、第1の誘導性アンテナ素子と第2の誘導性アンテナ素子を流れる電流は90°位相がずれることになる。
従って、特に第1の誘導性アンテナ素子の中心軸が、第2の誘導性アンテナ素子の中心軸に対して円周方向に向けられている場合には、楕円形状、特に円形状の電磁場を形成するアンテナ配置構造とすることが好ましい。
【0030】
本発明の別の実施形態では、アンテナ配置構造は、少なくとも1つの抵抗性素子、特に抵抗器を備えていることが好ましい。
更に、第2の回路セクションの第2のサブセクションは、少なくとも第2の誘導性アンテナ素子と、少なくとも1つの抵抗性素子と、の直列接続を含むことが好ましい。
かかる抵抗性素子の種類については、第2の誘導性アンテナ素子とは異なることが好ましい。
【0031】
又、追加の抵抗性素子を設けることで、第1の誘導性アンテナ素子を流れる電流と、第2の誘導性アンテナ素子を流れる電流と、の間の比率、又はその逆を設定することが有利である。
そして、このような比率を設定することで、例えば、生成された電磁界の異なる部分、特に異なる空間方向に向けられた部分の信号強度又は振幅を設定することができる。
かかる比率は、例えば、0(但し、0を除く。)から無限大(但し、無限大を除く。)の範囲、特に0.1から10の範囲内の値に設定することが好ましい。
【0032】
本発明の別の実施形態では、アンテナ配置構造は、少なくとも1つの追加の補償容量性素子を備えることが好ましい。
かかる少なくとも1つの追加の補償容量性素子は、第2の回路セクションの第1のサブセクションに配置された容量性素子とは異なるものとすることが好ましい。
【0033】
又、少なくとも1つの追加の補償容量性素子によって、アンテナ駆動回路の共振周波数を、例えば電圧源の特性に適合させることが好ましい。
例えば、限られた範囲の特性を持つ選択されたアンテナ素子のみを使用することも好ましい。
かかる少なくとも1つの追加の補償容量性素子は、かかる選択されたアンテナ素子を備えた駆動回路の共振周波数が、電圧源によって提供される駆動周波数の範囲に適合するように、特に等しくなるように選択することが好ましい。
これにより、有利なことに、駆動回路をエネルギー効率の良い方法で動作させることができる。
【0034】
又、本発明の別の実施形態では、第1の回路セクションは、補償容量性素子と第1の誘導性アンテナ素子の直列接続を含むことが好ましい。
或いは、又は更に、第2の回路セクションの第2のサブセクションは、補償容量性素子と第2の誘導性アンテナ素子の直列接続を含むことが好ましい。
これにより、有利なことに、駆動回路の共振周波数を簡単に調整することができる。
【0035】
又、本発明の別の実施形態では、アンテナ配置構造は、少なくとも1つの追加の補償誘導性素子を備えていることが好ましい。
このように少なくとも1つの追加の補償誘導性素子によって、駆動回路の動作に対する外部電磁界の影響を低減又は除去することができる。
そして、外部電磁界は、例えば、一次巻線構造によって生成される誘導電力伝達用の電磁界とすることができる。特に、外部電磁界は、位置決め信号を提供する電磁界とは異なる。
従って、外部電磁界は、少なくとも1つの追加の補償誘導性素子に電圧を誘導し、この電圧は、外部電磁界に起因する駆動回路の更なる誘導電圧を低減するために使用されることが可能となる。
【0036】
これにより、本発明による位置決め信号の生成についての信頼性と安定性が、更に有利な方向に向上する。
【0037】
又、追加の補償誘導性素子と誘導性アンテナ素子は、これらの誘導性素子の間に相互結合がないように、又は相互結合が所定の小さな閾値よりも小さくなるように設計及び/又は配置されることが好ましい。
これは、例えば、少なくとも1つの追加の補償誘導性素子を誘導性アンテナ素子から所定の距離だけ離して配置することで実現できる。
しかしながら、低い相互結合を実現する他の手段も可能である。
これにより、有利なことに、少なくとも1つの追加の補償誘導性素子による位置決め信号又は当該補償誘導性素子によって生成される信号の望ましくない弱化を最小限に抑えることができる。
【0038】
本発明の更に別の実施形態では、第1の回路セクションが、補償誘導性素子と第1の誘導性アンテナ素子との直列接続を含んでいることが好ましい。
或いは、又は更に、第2の回路セクションの第2のサブセクションが、補償誘導性素子と第2の誘導性アンテナ素子との直列接続を含んでいることが好ましい。
この場合、第1の回路セクションは、補償誘導性素子、補償容量性素子、及び第1の誘導性アンテナ素子の直列接続で構成することができる。
又、第2の回路セクションの第2のサブセクションは、補償誘導性素子、補償容量性素子及び/又は抵抗性素子と、第2の誘導性アンテナ素子との直列接続で構成することができる。これにより、外部の電磁界の影響を安定的かつ正確に低減できるという利点がある。
【0039】
本発明の別の実施形態では、アンテナ配置構造は、少なくとも2つの補償誘導性素子を備えており、当該少なくとも2つの補償誘導性素子は、コイルによって提供され、コイルは、特に互いに逆に席巻(巻き付けていると称する場合がある。以下、同様である。)されていることが好ましい。
これは、外部電磁界によって、少なくとも2つの補償誘導性素子のうちの1つである、第1の補償誘導性素子に誘導される電圧が、もう1つである第2の補償誘導性素子に誘導される電圧と逆向きとなる。
そして、絶対値が等しく、電圧の合計がゼロ又はほぼゼロになるように、補償誘導性素子が駆動回路内に構成及び/又は配置されていることを意味する。
これにより、有利なことに、駆動回路に対する外部電磁界の影響を、簡単ではあるが確実かつ安定的に低減することができる。
【0040】
又、本発明の別の実施形態では、アンテナ配置構造は、少なくとも1つの磁気伝導性素子を備えており、少なくとも1つの誘導性アンテナ素子が、少なくとも1つの磁気伝導性素子の少なくとも1つのセクションに巻き付けられていることが好ましい。
かかる磁気伝導性素子は、例えば、フェライト素子、特に、フェライトバー又はフェライトロッドであることが好ましい。
この場合、少なくとも1つのアンテナ素子は、フェライトロッドアンテナとすることが好ましい。これにより、強力な位置決め信号の生成と、アンテナ配置構造のコンパクトな設計が有利に実現される。
【0041】
又、本発明の更に別の実施形態では、第1の誘導性アンテナ素子と、第2の誘導性アンテナ素子は、それぞれ磁気伝導性素子の異なるセクションの周囲に対して席巻されていることが好ましい。
この場合、アンテナ配置構造は、単一の磁気伝導性素子を備えており、第1の誘導性アンテナ素子及び第2の誘導性アンテナ素子は、当該単一の磁気伝導性素子の異なるセクションに席巻されていることが好ましい。
これにより、提案されているアンテナ配置構造の素子数(要素数又はエレメント数)を有利に減らすことができ、結果として、アンテナ配置構造の製造コストを削減し、アンテナ配置構造の構築空間要件を低減することができる。
【0042】
又、本発明の更に別の実施形態では、アンテナ配置構造が、第1の磁気伝導性素子及び更なる磁気伝導性素子である第2の磁気伝導性素子を備えていることが好ましい。
そして、第1の誘導性アンテナ素子は、第1の磁気伝導性素子の周囲に巻かれ、第2の誘導性アンテナ素子は、第2の磁気伝導性素子の周囲に席巻されていることが好ましい。
この場合、第1の磁気伝導性素子と、第2の磁気伝導性素子と、は、同種であっても良いが、それぞれ種類や性能が異なる素子とすることがより好ましい。
【0043】
又、本発明の更に別の実施形態では、磁気伝導性素子は、誘導電力伝達用システムの二次ユニットの磁気伝導性素子であることが好ましい。
かかる磁気伝導性素子は、誘導電力伝達用の電磁界の磁束を案内する磁束案内手段とすることが好ましい。
これにより、誘導電力伝達用の電磁界の磁束を案内するための磁気伝導性素子が、位置決め信号を供給する電磁界の磁束を案内するためにも使用されるので、有利には、製造コスト及び構築空間を更に削減することができる。
【0044】
又、本発明の更に別の実施形態では、第1の誘導性アンテナ素子の中心軸と、第2の誘導性アンテナ素子の中心軸とが平行配置されていない、すばわち、非平行であることが好ましい。
これは、中心軸で囲まれた角度が0°(但し、0°を除く。)から180°(但し、180°を除く。)の範囲から選択できることを意味する。
すなわち、第1の誘導性アンテナ素子の中心軸と、第2の誘導性アンテナ素子の中心軸とは、互いに垂直方向に配置されることが好ましい。
この場合、第1の誘導性アンテナ素子と、第2の誘導性アンテナ素子と、がそれぞれ席巻されている磁気伝導性素子又は磁気伝導性素子のセクションの中心軸も、平行ではなく、特に互いに垂直になることが好ましい。
【0045】
第1の誘導性アンテナ素子の中心軸と、第2の誘導性アンテナ素子の中心軸とが平行配置されていないことにより、位置決めのための2次元電磁界を安定的かつ確実に生成することができる。
【0046】
本発明において、更に提案されているのは、本開示に記載されている実施形態の1つによるアンテナ配置構造の使用方法である。
かかるアンテナ配置構造の使用方法によれば、交流(AC)電圧が、電圧源によって生成される。この交流電圧は、所定の周波数を有することが好ましい。特に、駆動電圧とも呼ばれる交流電圧は、正弦波又は他の任意の周期的な電圧、例えば、矩形又は三角形の形状を有する電圧とすることが好ましい。
【0047】
又、アンテナ配置構造の使用方法において、所望の特性を持つ位置決め信号、特に円形状又は楕円形状の位置決め信号を生成することが好ましい。
このように構成すると、提案されているアンテナ配置構造と位置決め信号を受信するための受信配置構造との間の相対的な位置及び/又は向きを正確かつ確実に決定することができるという利点がある。
【0048】
又、本発明の更に別の実施形態では、生成された電圧(駆動電圧)の周波数は、第1の回路セクションと、第2の回路セクションと、の直列接続の共振周波数に等しいことが好ましい。これと対応する利点は、以前にも開示されている。
【0049】
更に、提案されたアンテナ配置構造と、提案されたアンテナ配置構造によって生成された位置決め信号を受信するための受信配置構造と、の間の相対的な位置及び/又は向きを決定するための決定方法に関する。
かかるアンテナ配置構造は、受信配置構造が残りの巻線構造に対して、位置及び/又は向きを固定して配置されている、誘導電力伝達用システムの一次巻線構造又は二次巻線構造に対して、位置及び/又は向きを固定して配置することが好ましい。
この場合、かかる決定方法によれば、本明細書にも記載されている誘導電力伝達用システムの一次巻線構造と、二次巻線構造と、の間の相対的な位置及び/又は向きを決定することも好ましい。
【0050】
又、開示されたアンテナ配置構造によって生成された位置決め信号を受信するための受信配置構造は、位置決め信号を生成するための提案されたアンテナ配置構造と同じ特徴を有することが好ましい。
特に、位置決め信号を生成するための提案されたアンテナ配置構造と、同様又は同一に設計することが好ましい。
従って、提案されたアンテナ配置構造に関して本開示で概説されたすべての特徴は、受信アンテナ配置構造の特徴とすることができる。
更に、位置決め信号を生成するために開示されたアンテナ配置構造と、受信配置構造と、からなる位置決定システムについて説明する。
この位置決定システムによれば、開示されたアンテナ配置構造と、開示されたアンテナ配置構造によって生成された位置決め信号を受信するための受信配置構造と、の間の相対的な位置及び/又は向きを決定することが好ましい。
従って、かかる位置決定システムは、例えば、マイクロコントローラ又は集積回路からなる制御ユニットを更に備えることが好ましい。かかる制御ユニットは、例えば、受信配置構造の出力信号の関数として、かかる相対的な位置及び/又は向きを決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】
図1は、2つの誘導性アンテナ素子を備えた磁気伝導性素子の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態によるアンテナ配置構造の概略回路図である。
【
図3】
図3は、本発明の第2の実施形態によるアンテナ配置構造の概略回路図である。
【
図4】
図4は、本発明の第3の実施形態によるアンテナ配置構造の概略回路図である。
【
図5】
図5は、本発明の第4の実施形態によるアンテナ配置構造の概略回路図である。
【
図6】
図6は、位置決め信号を生成するためのアンテナ配置構造と、位置決め信号を受信するための受信配置構造の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下では、本発明の実施形態を、添付の概略図を参照して説明する。又、以下では、同じ参照番号は、同じ又は類似の技術的特徴を示している。
【0053】
図1は、第1の誘導性アンテナ素子L1(以下、単に誘導性アンテナ素子と称する場合がある。)と第2の誘導性アンテナ素子L2(以下、単に誘導性アンテナ素子と称する場合がある。)の模式図である。第1の誘導性アンテナ素子L1及び第2の誘導性アンテナ素子L2は、巻線構造、特にコイルによって構成されることが好ましい。
更に、磁気伝導性素子2、特にフェライト素子が示されている。磁気伝導性素子2としてのフェライト素子は、クロス状の形状を有していることが好ましい。
又、第1の誘導性アンテナ素子L1及び第2の誘導性アンテナ素子L2は、磁気伝導性素子2の異なるセクションに席巻されている。
特に、第1の誘導性アンテナ素子L1及び第2の誘導性アンテナ素子L2は、第1の誘導性アンテナ素子L1の中心軸CL1´と第2の誘導性アンテナ素子L2の中心軸CL2´とが互いに直交するように配置されていることが好ましい。
更に、それぞれの第1の誘導性アンテナ素子L1及び第2の誘導性アンテナ素子L2が席巻されている磁気伝導性素子2のセクション、特にその中心軸も、互いに直角になるように配置されていることが好ましい。
【0054】
図1は、異なる誘導性アンテナ素子である第1の誘導性アンテナ素子L1及び第2の誘導性アンテナ素子L2を、単一の磁気伝導性素子の周囲に席巻された実施形態を示している。
しかしながら、第1の誘導性アンテナ素子L1及び第2の誘導性アンテナ素子L2を、別々の磁気伝導性素子の周囲に席巻された態様とすることも好適である。
【0055】
又、磁気伝導性素子2は、特に車両への誘導電力伝達用システムの、二次巻線構造を有する二次ユニット又は一次巻線構造を有する一次ユニットの磁気伝導性素子とすることが好ましい。
このような二次ユニット又は一次ユニットにおいて、磁気伝導性素子は、誘導電力伝達用の電磁場、特に一次巻線構造によって生成された電磁場又は二次巻線構造によって受け取られた電磁場の磁束を導くために使用することができる。
【0056】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ配置構造1の概略回路図である。
かかるアンテナ配置構造1は、電圧源3と、第1の誘導性アンテナ素子L1と、第2の誘導性アンテナ素子L2と、容量性素子Cと、抵抗性素子Rとを備えていることが好ましい。
従って、第1の誘導性アンテナ素子L1は、第1の回路セクションに配置されている。そして、この第1の回路セクションは、第2の回路セクション、又は第1の回路セクション及び第2の回路セクションを含む駆動回路の更なる回路セクションに、直列接続されていることが好ましい。
かかる第2の回路セクションは、容量性素子Cからなる第1のサブセクションと、第2の誘導性アンテナ素子L2と抵抗性素子Rの直列接続からなる第2のサブセクションと、が並列に接続されて構成されていることが好ましい。
【0057】
又、電圧源3は、交流電圧、特に周期的又は高調波の電圧を生成するための電圧源3である。駆動回路に印加される電圧、すなわち駆動電圧は、第1の回路セクションと第2の回路セクションの直列接続部にかかることが好ましい。
【0058】
図3は、本発明の第2の実施形態によるアンテナ配置構造1の概略回路図である。
図2に示した実施形態とは対照的に、
図3に示したアンテナ配置構造1は、追加の補償容量性素子としての第1の補償容量性素子CC1(以下、単に補償容量性素子と称する場合がある。)、特に補償コンデンサを備えていることを特徴とする。
又、第1の補償容量性素子CC1は、第1の回路セクションに電気的に配置されており、第1の回路セクションは、第1の補償容量性素子CC1と、第1の誘導性アンテナ素子L1と、の直列接続で構成されていることが好ましい。
【0059】
図4は、本発明の第3の実施形態によるアンテナ配置構造1の概略回路図である。
図3に示す実施形態とは対照的に、
図4に示したアンテナ配置構造1は、追加の第2の補償容量性素子CC2(以下、単に、補償容量性素子と称する場合がある。)、特に補償コンデンサを備えることを特徴としている。
このような第2の補償容量性素子CC2は、この場合、第2の回路セクションの第2のサブセクションに電気的に配置されている。
従って、かかる第2の回路セクションの第2のサブセクションは、第2の誘導性アンテナ素子L2、追加の第2の補償容量性素子CC2、及び抵抗性素子Rの直列接続を構成することができる。
【0060】
図5は、本発明の第4の実施形態によるアンテナ配置構造1の概略回路図である。
図2の実施形態とは対照的に、
図5に示すように、回路配置は追加の抵抗性素子Rを含まず、特に、第2の回路セクションの第2のサブセクションの抵抗が、第2の誘導性アンテナ素子L2の内部抵抗又は暗黙の抵抗によって構成されていることが特徴である。
【0061】
又、
図2に示した実施形態とは更に対照的に、
図5に示したアンテナ配置構造1は、第1の補償誘導性素子CL1(以下、単に補償誘導性素子と称する場合がある。)と、第2の補償誘導性素子CL2(以下、単に補償誘導性素子と称する場合がある。)と、から構成されていることが好ましい。
そして、第1の補償誘導性素子CL1は、第1の回路セクションに配置され、第1の誘導性アンテナ素子L1に直列に接続されていることが好ましい。
又、第2の補償誘導性素子CL2は、第2の回路セクションの第2のサブセクションに配置され、第2の誘導性アンテナ素子L2に直列に接続されていることが好ましい。
【0062】
図5に示すドットは、外部電磁界、特に誘導電力伝達用の電磁界によって第1の補償誘導性素子CL1に誘起される電圧が、かかる電磁界によって第2の補償誘導性素子CL2に誘起される電圧に対して逆向きであることを示している。
しかしながら、同じ絶対値を持つように、第1の補償誘導性素子CL1、第2の補償誘導性素子CL2が構成及び/又は配置されていることを示している。
なお、反対方向とは、特に、第1の補償誘導性素子CL1に誘起される電圧が、電圧源3に接続されている第1の回路セクションの端子から、第2の回路セクションに接続されている第1の回路セクションの端子に向かって配向されることを意味する。
又、第2の補償誘導性素子CL2に誘起される電圧が、電圧源3に接続されている第2の回路セクションの端子から、第1の回路セクションに接続されている第2の回路セクションの端子に向かって配向されることを意味する。
【0063】
図2、
図3、
図4、
図5に示す本発明の実施形態の例では、誘導性素子としての、第1の補償誘導性素子CL1、第2の補償誘導性素子CL2、第1の誘導性アンテナ素子L1、第2の誘導性アンテナ素子L2、容量性素子としての、第1の補償容量性素子CC1、第2の補償容量性素子CC2、容量性素子C、及び抵抗性素子Rは、第1の回路セクションのリアクタンスの絶対値が、第2の回路セクションの第1のサブセクションのリアクタンスと等しく、かつ、第2の回路セクションの第2のサブセクションのリアクタンスと等しくなるように選択又は選定することが好ましい。
【0064】
更に、駆動回路の共振周波数が駆動電圧の所定の周波数に対応するように、これらの素子を選択することも好ましい。
【0065】
すなわち、電圧源3が、駆動電圧を生成すると、第1の誘導性アンテナ素子L1及び第2の誘導性アンテナ素子L2は、電磁的な位置決め場による位置決め信号を生成することが好ましい。
これらの位置決め信号は、楕円形状の、特に円形状の二次元電磁場が図示のアンテナ配置構造1によって生成されるように生成される。
特に、
図2、
図3、
図4及び
図5に示すアンテナ配置構造1は、第1の誘導性アンテナ素子L1、第2の誘導性アンテナ素子L2内に、第1の誘導性アンテナ素子L1を流れる電流が第2の誘導性アンテナ素子L2に流れる90°の位相シフトを有する電流の流れを提供することになる。
【0066】
又、第1の誘導性アンテナ素子L1、第2の誘導性アンテナ素子L2によって生成された位置決め信号は、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の受信アンテナ素子で構成される受信アンテナ配置構造によって受信することが好ましい。
かかる受信アンテナ配置構造は、特にマイクロコントローラによって提供されるか、又はマイクロコントローラで構成される評価ユニットを更に含むことが好ましい。
この評価ユニットは、位置決め信号を生成するためのアンテナ配置構造1と、受信アンテナ配置構造と、の間の相対的な位置及び/又は向きを決定することができる。
特に、かかる評価ユニットは、位置決め信号を受信した場合に、受信アンテナ配置構造に誘導される電圧の信号特性を決定することが好ましい。
【0067】
例えば、位置決め信号を生成するための提案されたアンテナ配置構造1と同じ回路配置の受信アンテナ配置構造を提供することが可能である。
【0068】
図6は、本発明によるアンテナ配置構造1と、受信アンテナ配置構造4の概略ブロック図である。
更に、長手方向軸x1及び垂直軸z1と、アンテナ配置構造1に対して位置及び/又は向きが固定されている更なる横方向軸(図示せず)とからなる座標系CS1が示されている。
又、更に、縦軸x4及び縦軸z4と、受信アンテナ配置構造4に対して位置及び/又は向きが固定されている横軸(図示せず)とからなる、更なる座標系CS4が示されている。
ここで、アンテナ配置構造1と受信アンテナ配置構造4との間の相対的な位置及び/又は向きは、座標系CS1及び座標系CS4の間の相対的な位置及び/又は向きに対応することが好ましい。
更に、前記相対的な位置及び/又は向きを、これらの座標系CS1及び座標系CS4のいずれかで決定することも好ましい。
【0069】
位置決め信号を生成するためのアンテナ配置構造1は、ユニット5、特に、誘導電力伝達用システムの一次又は二次ユニットの一部にできることが更に示されている。
このユニット5は、誘導電力伝達用の電磁場を生成又は受信するための巻線構造を含むことが好ましい。
更に、ユニット5は、特に車両用の経路上又は経路下に設置することが好ましい。或いは、ユニット5は、車両、特に車両の下側に、又は車両内に配置することが好ましい。
更に示されているのは、受信アンテナ配置構造4が、ユニット6、特に誘導電力伝達用システムの更なるユニット、特に二次ユニット又は一次ユニットの一部でもあり得るということである。
【符号の説明】
【0070】
1:アンテナ配置構造、2:磁気伝導性素子、3:電圧源、4:受信アンテナ配置構造、5、6:ユニット、C:容量性素子、CC1:第1の補償容量性素子(補償容量性素子)、CC2:第2の補償容量性素子(補償容量性素子)、CL1:第1の補償誘導性素子(補償誘導性素子)、CL2:第2の補償誘導性素子(補償誘導性素子)、CL1´、CL2´:中心軸、CS1、CS4:座標系、L1:第1の誘導性アンテナ素子(誘導性アンテナ素子)、L2:第2の誘導性アンテナ素子(誘導性アンテナ素子)、R:抵抗性素子、x1:長手方向軸、x4、z4:縦軸、z1:垂直軸