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特許7569320ハイブリッド車の伝熱流体回路用の温度管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】ハイブリッド車の伝熱流体回路用の温度管理装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6568 20140101AFI20241009BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241009BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241009BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20241009BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20241009BHJP
   H01M 10/663 20140101ALI20241009BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20241009BHJP
   B60W 10/30 20060101ALI20241009BHJP
   B60W 20/50 20160101ALI20241009BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/633
H01M10/663
B60K6/40 ZHV
B60W10/30 900
B60W20/50
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021534397
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2019084241
(87)【国際公開番号】W WO2020126619
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】1873752
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ユ, ロベール
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0199313(US,A1)
【文献】特開平05-131848(JP,A)
【文献】特開2014-020280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/52 - 10/667
B60K 6/40
B60W 10/30
B60W 20/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却されるべき少なくとも1つの機能部材(4、7、8、9、40)が各々に配設されて、各々が公称の動作温度閾値を有する主枝路(1、2、3)を含む、ハイブリッド車の伝熱流体回路の温度管理装置であって、2次枝路(37、44、45)と、ラジエータ(6、33、46)を通過する冷却剤流体を使用して、回路の中を循環する伝熱流体を冷却するための冷却枝路(20、22、24)と、を含む温度管理装置において、前記温度管理装置が、主枝路(1、2、3)を少なくとも2つの冷却枝路(20、22、24)に接続するために、前記回路の他の部分から絶縁された循環ループまたは前記回路の他の部分に接続された循環ループを生成するように、前記冷却枝路(20、22、24)のうちの少なくとも1つを前記2次枝路(37、44、45)のうちの少なくとも1つおよび/または前記主枝路(1、2、3)のうちの少なくとも1つに接続するように適合された流体接続手段(15、60、61、62)を備えることにより、複数の所定の動作モード(M1、M2、M3、M4、M5)から選択された車両の瞬時動作モードにおいて、少なくとも2つのラジエータが前記冷却剤流体を通過させるようになっており、
前記2次枝路(37、44、45)の各々が前記流体接続手段(15、60、61、62)によって前記主枝路(1、2、3)のいずれか1つに接続され得ることを特徴とする温度管理装置。
【請求項2】
第1の主枝路(1)、第2の主枝路(2)および第3の主枝路(3)を少なくとも含み、前記第1の主枝路(1)が90℃から105℃までの公称温度(HT)を有し、前記第2の主枝路(2)が40℃から80℃までの公称温度(LT)を有し、前記第3の主枝路(3)が0℃から40℃までの公称温度(VLT)を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第1の冷却枝路(20)に配設された高温ラジエータ(6)と、第2の冷却枝路(22)に配設された低温ラジエータ(33)と、第3の冷却枝路(24)に配設された極低温ラジエータ(46)と、を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
第1の2次枝路(37)、第2の2次枝路(44)および第3の2次枝路(45)を少なくとも含み、
前記第1の2次枝路(37)、前記第2の2次枝路(44)および前記第3の2次枝路(45)のそれぞれが、流体循環流路のタイプであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記所定の動作モード(M1、M2、M3、M4、M5)が、純粋な熱モード(M1)、純粋な電気モード(M2)、ハイブリッドモード(M3)、車載充電器によってバッテリ(40)を充電するためのモード(M4)、および前記車両の外部の充電器によって前記バッテリ(40)を充電するためのモード(M5)を少なくとも含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記主枝路(1、2、3)の各々が前記流体接続手段(15、60、61、62)によって複数の冷却枝路(20、22、24)に接続され得ることにより、前記車両の異なる所定の動作モード(M1、M2、M3、M4、M5)に対して、前記ラジエータ(6、33、46)が、直列または並列に使用され得ることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記流体接続手段が4ポート弁(60、61、62)および3ポート弁(V3)を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
周囲温度が20℃から40℃までの熱閾値よりも高いときには、純粋な熱動作モード(M1)もしくはハイブリッド動作モード(M3)、またはバッテリ(40)の温度が40℃から55℃までの熱閾値未満であるときには、前記バッテリ(40)を冷却するために前記伝熱流体のみを利用するように、純粋な電気モード(M2)、もしくは車載充電器によって前記バッテリ(40)を充電するためのモード(M4)、のいずれかにおいて、前記流体接続手段(15、60、61、62)が、第1の冷却枝路(20)と第3の冷却枝路(24)とを直列または並列に接続するように適合されることを特徴とする、請求項6と組み合わせた、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記流体接続手段(15、60、61、62)が、第2の主枝路(2)の出口における前記伝熱流体の温度(T3)が70℃以上であるとき、純粋な熱動作モード(M1)またはハイブリッド動作モード(M3)において第2の冷却枝路(22)と第3の冷却枝路(24)とを直列に接続するように適合されており、前記バッテリ(40)が、第3の主枝路(3)と第3の2次枝路(37)とを直列に接続する独立した冷却ループに配設されていることにより、前記伝熱流体と冷却流体との間の熱を交換するタイプの1台のみの冷却装置(42)が前記バッテリ(40)を冷却するように適合されることを特徴とする、請求項5と組み合わせた、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記流体接続手段(15、60、61、62)が、純粋な電気動作モード(M2)または車載充電器によってバッテリ(40)を充電するためのモード(M4)において第1の冷却枝路(20)と第2の冷却枝路(22)とを直列に接続するように適合されていることを特徴とする、請求項5と組み合わせた、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記車両が前記車両の外部の充電器によってバッテリ(40)を充電するための動作モード(M5)であるときには第1の冷却枝路(20)および第2の冷却枝路(22)の熱交換器の全てが並列に配設されるように、前記流体接続手段(15、60、61、62)が、第3の主枝路(3)を、前記第1の冷却枝路(20)、第2の冷却枝路(22)および第3の冷却枝路(24)に接続するように適合されており、前記バッテリ(40)の温度が40℃から55℃までの熱閾値未満であって周囲温度が20℃から40℃までの熱閾値未満であるとき、熱交換器のこの組合せは、前記第2の冷却枝路(22)に対して直列に配設されることを特徴とする、請求項5と組み合わせた、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記車両が純粋な電気動作モード(M2)または車載充電器によってバッテリ(40)を充電するためのモード(M4)であるときには第1の冷却枝路(20)および第3の冷却枝路(24)の熱交換器の組合せが並列に配設されるように、前記流体接続手段(15、60、61、62)が、第2の主枝路(2)を、前記第1の冷却枝路(20)、第2の冷却枝路(22)および前記第3の冷却枝路(24)に接続するように適合されており、熱交換器のこの組合せが前記第2の冷却枝路(22)に対して直列に配設され、第3の主枝路(3)が前記第2の主枝路(2)から分離されることにより、周囲温度が20℃から40℃までの熱閾値を超えたときには前記バッテリ(40)が前記冷却剤流体によって冷却されることを特徴とする、請求項5と組み合わせた、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度管理が制御されるパワートレインの種々の機能性部材の類型を含む車両用の温度管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日の車両には、複数の温度閾値または温度レベルでの温度管理に関する要件がある。たとえば、第1のタイプの機能部材には、90℃から105℃までであり得る第1の温度閾値による温度管理が必要になる。第2の機能部材および第3の機能部材については、一方には40℃から80℃までという第2の温度閾値による温度管理要件、他方には0℃から40℃までという第3の温度閾値による温度管理要件といった具合に、他の温度管理要件も必要である。
【0003】
したがって、伝熱流体の温度を、冷却される部材の公称動作温度と正確に一致させるために、車両の伝熱流体循環回路の種々の部分の温度を制御する必要がある。伝熱流体循環回路の様々な部分について、以下では、第3の温度閾値に対応する極低温を表す略語「VLT」、第2の温度閾値に対応する低温を表す略語「LT」、および第1の温度閾値に対応する高温を表す略語「HT」が採用される。
【0004】
VLT部分は、電気エネルギー蓄積バッテリなどのエネルギー蓄積手段の温度管理を意図し得る主枝路を備える。電気推進車両またはハイブリッド推進車両の場合には、VLT部分の主枝路は、冷却剤流体から伝熱流体へとフリゴリーを伝達するように構成された冷却装置を同様に含み得る。VLT部分は、伝熱流体にカロリーを伝達するように構成された、正特性サーミスタなどの特に電気式の加熱器も含み得る。VLT部分の主枝路は、前述の機能部材、すなわち冷却装置および/または加熱器および/またはバッテリを通して伝熱流体を流すように構成された水圧ポンプも含み得る。伝熱流体と熱を交換するこれらの機能部材は、望ましくはVLT部分の主枝路の中に直列に配設される。
【0005】
電気推進車両またはハイブリッド推進車両の場合には、LT部分の主枝路は、パワーエレクトロニクスを含む制御モジュールと、車両を駆動するための電動モータであることが多い電動機械と、の冷却をそれぞれ目的とした熱交換器を含み得る。熱機関を装備した車両用の伝熱流体循環回路のLT部分はまた、過給機空冷装置および/または凝縮器を含み得る。伝熱流体と熱交換するこれらの機能部材は、望ましくはLT部分の主枝路の中に並列に配設される。
【0006】
熱機関を有する車両の場合、HT部分の主枝路は、伝熱流体を流して熱交換を可能にする内部流路が形成されている熱機関自体ばかりでなく、ガス抜き瓶、客室を暖めるための強制的な空気加熱器、オイル冷却装置、およびHT部分における伝熱流体の動きを駆動するためのポンプも含み得る。伝熱流体と熱を交換するこれらの機能部材は、望ましくはHT部分の主枝路の中に並列に配設される。
【0007】
VLT部分、LT部分またはHT部分の主枝路を、ラジエータが配設されている冷却枝路に関連づけることが知られている。従来のハイブリッド型車両が、VLT部分、LT部分およびHT部分の公称の冷却要件にそれぞれ対応する個別のラジエータを含むのはこのためである。これらの冷却要件が各ラジエータに特定の寸法を課し、このような寸法の各々が、VLT部分、LT部分またはHT部分のうち1つの専用の機能に割り当てられる。ラジエータの各々が、VLT部分、LT部分およびHT部分の主枝路のうち1つに接続された冷却枝路に配設されるのはこのためである。冷却空気との熱交換という要求の高まりを満たすために、これらのラジエータを車両のフロントパネルに設置するのは、熱交換管束のサイズが増大してしまうので困難である。
【0008】
伝熱流体循環回路自体の設計において、とりわけ、回路の各々の部分が、関わる部分の冷却要件に準拠した単一の熱交換器に関連づけられるという事実において、不利益が生じている。このような結果は、スタイリングや、車両の燃料消費量を低減することを目標とする環境要求事項に悪影響を及ぼす。冷却要素の配置に割り当てられる領域が今まで以上に制限されていることを考えれば、これによって統合問題も生じる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、冷却されるべき少なくとも1つの機能部材が各々に配設されて、各々が公称の動作温度閾値を有する主枝路を含む、ハイブリッド車の伝熱流体回路の温度管理装置を提案することによってこれらの不利益に対する解決策を提供することを目標とするものであり、この温度管理装置は、2次枝路と、回路の中で循環する伝熱流体を、ラジエータを通過する冷却剤流体を使用して冷却するための冷却枝路と、を含む。
【0010】
詳細には、温度管理装置は、回路の他の部分から絶縁された循環ループまたは主枝路を少なくとも2つの冷却枝路に接続するように回路の他の部分に接続された循環ループを生成するように、冷却枝路のうちの少なくとも1つを、2次枝路のうちの少なくとも1つおよび/または主枝路のうちの少なくとも1つに接続するように適合された流体接続手段を含み、その結果、複数の所定の動作モード(M1、M2、M3、M4、M5)から選択された車両の瞬時動作モードにおいて、少なくとも2つのラジエータが冷却剤流体を通過させるようになってれる。本発明の管理装置は、以下の特徴も、個別に、または互いに組み合わせて有し得る。
【0011】
この管理装置は、第1の主枝路、第2の主枝路および第3の主枝路を少なくとも含み得、第1の主枝路は90℃から105℃までの公称温度を有し、第2の主枝路は40℃から80℃までの公称温度を有し、第3の主枝路は0℃から40℃までの公称温度を有する。
【0012】
この装置は、第1の冷却枝路に配設された高温ラジエータ、第2の冷却枝路に配設された低温ラジエータおよび第3の冷却枝路に配設された極低温ラジエータを含み得る。
【0013】
この装置は、第1の2次枝路、第2の2次枝路および第3の2次枝路を少なくとも含み得、それぞれが流体循環流路のタイプである。
【0014】
この装置は、所定の動作モードが、純粋な熱モード、純粋な電気モード、ハイブリッドモード、車載充電器によってバッテリを充電するためのモード、および車両の外部の充電器によってバッテリを充電するためのモードを少なくとも含むことを特徴とする。
【0015】
この装置は、2次枝路の各々が前記流体接続手段によって主枝路のうちの任意のものに接続され得ることを特徴とする。
【0016】
この装置は、主枝路の各々が前記流体接続手段によって複数の冷却枝路に接続され得、その結果、ラジエータは、車両の種々の所定の動作モードのために直列または並列で使用され得ることを特徴とする。
【0017】
この装置は、流体接続手段が4ポート弁および3ポート弁を含むことを特徴とする。
【0018】
この装置は、周囲温度が20℃から40℃までの熱閾値よりも高いときには、純粋な熱動作モードまたはハイブリッド動作モードのいずれかにおいて、とりわけ熱機関を冷却するために、あるいは、バッテリの温度が40℃から55℃までの熱閾値未満であるときには、純粋な電気モードまたは車載充電器によってバッテリを充電するためのモードにおいて、伝熱流体をバッテリの冷却にのみ利用するために、流体接続手段が第1の冷却枝路と第3の冷却枝路を直列または並列に接続するように適合されることを特徴とする。その上、バッテリの温度が40℃から55℃までの熱閾値を超えているときには、バッテリ40は伝熱流体/冷却剤流体のタイプの冷却装置によって冷却される。
【0019】
この装置は、流体接続手段が、第2の主枝路の出口における伝熱流体の温度が70℃以上であるときには、純粋な熱動作モードまたはハイブリッド動作モードにおいて第2の冷却枝路と第3の冷却枝路を直列に接続するように適合され、バッテリが、第3の主枝路と第3の2次枝路を直列に接続する独立した冷却ループに配設され、その結果、伝熱流体と冷却流体の間の熱を交換するタイプの1台の冷却装置だけがバッテリを冷却するように適合されることを特徴とする。この場合、第1の冷却枝路が第2の冷却枝路および第3の冷却枝路から分離されており、その結果、伝熱流体は、第2の冷却枝路および第3の冷却枝路の中を循環する伝熱流体から独立して第1の冷却枝路の中を循環する。したがって、冷却回路は3つの個別の伝熱流体循環ループを含む。HTループおよびLTループによって伝熱流体の空気冷却が可能になり、VLTループによって、バッテリを冷却するように構成された伝熱流体を冷却剤流体で冷却することが可能になる。
【0020】
この装置は、流体接続手段が、純粋な電気動作モードまたは車載充電器によってバッテリを充電するためのモードにおいて第1の冷却枝路と第2の冷却枝路を直列に接続するように適合されることを特徴とする。したがって、冷却管束は各熱交換器から成り、第1の冷却枝路および第2の冷却枝路の伝熱流体がこれらの熱交換器を連続して通されることにより、パワーエレクトロニクスおよび電気機械の冷却が改善する。第3の冷却枝路は第1の冷却枝路および第2の冷却枝路から分離されており、その結果、バッテリの温度が40℃から55℃までの熱閾値未満であるときには、バッテリは第3の冷却枝路によって冷却され得る。バッテリをさらに冷却する必要があるときには、熱交換器を介して、伝熱流体とバッテリの上流にある冷却剤流体との間で、フリゴリーが冷却剤流体から伝熱流体に伝達される。
【0021】
この装置は、流体接続手段が、車両が車両の外部の充電器によってバッテリを充電するための動作モードであるときには第1の冷却枝路および第3の冷却枝路の熱交換器の組合せが並列に配設されるように、第3の主枝路を、第1の冷却枝路、第2の冷却枝路および第3の冷却枝路に接続するように適合されており、熱交換器のこの組合せは、バッテリの温度が40℃から55℃までの熱閾値未満であって周囲温度が20℃から40℃までの熱閾値未満であるとき、第2の冷却枝路に対して直列に配設されることを特徴とする。
【0022】
この装置は、流体接続手段が、車両が純粋な電気動作モードまたは車載充電器によってバッテリを充電するためのモードであるときには第1の冷却枝路および第3の冷却枝路の熱交換器の組合せが並列に配設されるように、第2の主枝路を、第1の冷却枝路、第2の冷却枝路および第3の冷却枝路に接続するように適合されており、熱交換器のこの組合せが第2の冷却枝路に対して直列に配設され、第3の主枝路が第2の主枝路から分離され、その結果、周囲温度が20℃から40℃までの熱閾値を超えたときにはバッテリが冷却剤流体によって冷却されることを特徴とする。
【0023】
本発明の他の利点および特徴は、添付図面を参照しながら非限定な例によって示される本発明の望ましい実施形態の以下の説明の過程で明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明によるハイブリッド車の伝熱流体循環回路を概略的に示す図である。
図2図1の回路に採用された、流体の流れを制御するための手段を概略的に示す図である。
図3】車両の牽引モードの類型に応じて伝熱流体循環回路の種々の動作モードを可能にする図2の制御手段の動作状態の表を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、機能部材と熱を交換するための、第1の主枝路1が配設されている冷却部分HTと、第2の主枝路2が配設されている冷却部分LTと、第3の主枝路3が配設されている冷却部分VLTと、を含む、ハイブリッド車の伝熱流体循環回路の温度管理装置を表すものである。温度管理装置は、機能部材の類型に依拠して、所定の熱目標に応じてカロリーと同量のフリゴリーを加えることによって第1の主枝路1、第2の主枝路2、および第3の主枝路3のうちの1つを熱的に調整するために、これに配置される。車両を始動してすぐに、後に冷却に変換される加熱を達成するのが有効なことがある。
【0026】
第1の主枝路1は並列に配設された機能部材を含み、その結果、熱的に管理されるべきこれらの部材の各々が主要なサブ枝路のうちの1つに配置される。主要なサブ枝路のうち1つがエンジン4を含み、別のサブ枝路がガス抜き瓶7を含み、別のサブ枝路が強制的空気加熱器8を含み、別のサブ枝路がオイル冷却装置9を含む。エンジンブロック4の上流に主ポンプ5が配置されている。これらの機能部材を通って循環する伝熱流体によって熱の交換が可能になり、その結果、エンジン4からカロリーを奪って空熱機器8および/またはオイル冷却装置9に戻すことが可能になる。カロリーは、特にエンジン4の暖気段階中に主ポンプ5が活動しているときには、オイル冷却装置9から空熱機器8および/またはエンジン4にも伝達され得る。主ポンプ5は、プーリによって熱機関4のクランク軸に接続されている付属のベルトによって回転駆動されるという点において、望ましくは機械式である。第1の主枝路1は伝熱流体循環回路のHT部分の構成要素である。
【0027】
第2の主枝路2は並列に配設された機能ユニットを含み、その結果、熱的に管理されるべきこれらのユニットの各々が並列の主要なサブ枝路30、31、32のうちの1つに配置される。
【0028】
主要なサブ枝路30のうち1つは、専用の熱交換器が備わっている別のサブ枝路31に配設された電気機械の動作を制御するパワーエレクトロニクスを含む。第3の主要なサブ枝路32は、空調凝縮器、再循環ガスまたはEGR(排気ガス再循環)熱交換器、および過給機空気(RAS)交換器を含む。これらの3つの主要なサブ枝路は、上流側で同一の入口接続点に、下流側で同一の出口接続点に、接続されており、「上流」や「下流」という用語は、2次ポンプ35を始動することによって生成される流体が循環する方向によって決定される。2次ポンプ35は望ましくは電気式であり、これらの機能部材を通って伝熱流体が循環することによって熱の交換が可能になるように入口接続点の上流に配置される。したがって、サブ枝路30の電子機器、サブ枝路31の電気機械、および/または過給機空冷装置、空調凝縮器、再循環ガスの熱交換器や、第3の主要なサブ枝路32の一部である過給機空気交換器からカロリーを奪うこと、あるいは、それらの機能部材を、2次ポンプ35が活動しているとき他の機能部材によってたとえば直列に接続された主枝路1、2、3のうちの少なくとも2つを用いて以前に加熱された伝熱流体からカロリーを伝達することによって、加熱すること、のいずれかが可能になる。
【0029】
第2の主枝路2は、熱交換流体循環回路のLT部分の構成要素である。
【0030】
この回路の第3の主枝路3は、直列に配設された機能部材を含む。電気エネルギー蓄積バッテリパック40の上流側には、第2の2次ポンプ43、熱交換流体/冷却剤流体タイプの冷却装置42、特に正特性サーミスタタイプの加熱器41が配置されている。冷却装置42は、バッテリパック40の上流側に配置されており、その結果、第2の2次ポンプ43が活動しているとき第3の主枝路3の中を循環する伝熱流体にフリゴリーを供給することができる。第2の2次ポンプ43は電気式でよい。加熱器41は、バッテリパック40の上流側に配置されており、その結果、第2の2次ポンプ43が活動していて同時に加熱器41が給電されているとき第3の主枝路3の中を循環する伝熱流体にカロリーを供給することができる。第3の主枝路3は伝熱流体循環回路のVLT部分の構成要素である。
【0031】
伝熱流体循環回路は、それぞれが伝熱流体を冷却するために冷却用空気を通過させるように構成されたラジエータを含んでいる冷却枝路も含む。各冷却枝路は、望ましくはマルチポート弁である流体接続手段によって直列に配設され得る。これによって、伝熱流体循環回路において前記流体接続手段によって直列に配置された少なくとも2つのラジエータの中を伝熱流体が循環することが可能になる。したがって、ラジエータの管束をプールすることが可能になってこれらのサイズが縮小され得、その結果、車両のフロントパネル上へのこれらのフットプリントが容易になる。
【0032】
第1の冷却枝路20は、この回路のHT部分から伝熱流体を受け取るように設計されたラジエータ6を含む。冷却枝路は、ラジエータにおける伝熱流体の流れをこれの温度に応じて制御する、ラジエータ6の上流側に配置されたサーモスタット10も含み、その結果、伝熱流体は、ある特定の閾値を超えるとラジエータ6の中を循環し、ラジエータ6の管束を通過する冷却用空気によってそこで冷却される。冷却用空気は、車両の動きまたはファンによって取得され得る。
【0033】
バイパス枝路19により、伝熱流体が冷却空気によって冷却されないHTループの第1の主枝路を必要に応じて生成することが可能になる。この種の運転状況が生じるのは、たとえば、エンジン4の温度を急上昇させることによって汚染物質の放出を制限する必要があるエンジン始動段階である。
【0034】
この回路は、冷却枝路24を含み、冷却枝路24において、第2のラジエータ33、サーモスタット34、および第2のバイパス枝路36が相互接続される。サーモスタット34は第2のラジエータ33の上流側に配置されている。第2のバイパス経路36は、一端がサーモスタット34に接続されており、他端が第2のラジエータ33の出口に接続されている。サーモスタット34は、第2のラジエータ33の下流側に配設された並列のサブ枝路30、31、32の機能部材を熱的に調整するために、伝熱流体を、温度が60℃から70℃までであるときには第2のラジエータ33において循環させるように較正される。伝熱流体は、上記の温度未満であるときには第2のバイパス枝路36を通って循環する。適切な換気手段が、必要なときには第2のラジエータ33にパルス状の空気流れを通すことを可能にする。これは、第1のラジエータ6と第2のラジエータ33が積み重ねて配置されているとき回路のHT部分のラジエータ6を通して空気を強制循環させるように使用される手段と同一のものでよい。
【0035】
この回路は、第3の冷却枝路24を含み、第3の冷却枝路24には、伝熱流体の温度を0℃から40℃までの温度範囲に保つように適合された第3のラジエータ46が配設されている。したがって、第3のラジエータ46は、望ましくは、回路のVLT部分において循環する流体伝達する流体の温度を熱的に調整するように設計される。
【0036】
温度管理装置は、主枝路のうちの少なくとも1つが配設される、回路から絶縁されたループ、または主枝路のうちの少なくとも1つと連通する複数の冷却枝路を含むループのいずれかを生成するように流体接続手段を相互接続する2次枝路37、44、45を含む。
【0037】
この目的のために、温度管理装置は、2次枝路に直接接続された流体接続手段を含む。前記接続手段は望ましくはマルチポート弁である。したがって、管理装置は、第1の4ポート弁60、第2の4ポート弁61、第3の4ポート弁62、および3ポート弁15を含む。4ポート弁は、少なくとも1つのポートが他の3つのポートのうちの少なくとも1つに接続され得るように設計されている。3ポート弁は、少なくとも1つのポートが他の2つのポートのうちの1つに接続され得るように設計されている。
【0038】
第1の2次枝路37が、第2の4ポート弁61と第3の4ポート弁62を接続する。第2の2次枝路44が、第1の4ポート弁60を3ポート弁15に接続する。第3の2次枝路45が、第1の4ポート弁60と第2の4ポート弁61を接続する。
【0039】
この回路は、複数の回路部分に接続された接続点を含む。第1の接続点Aは、第1の主枝路1の出口を第1の冷却枝路20およびバイパス枝路19に接続するように適合されている。第2の接続点Bは、第1の4ポート弁60を第1の冷却枝路20および第1の主枝路1の入口に接続するように適合されている。第3の接続点Cは、第3の冷却枝路24の出口および第2のバイパス弁36の出口を、図1の30、31、32で参照される3つのサブ枝路への枝路を含んでいる第2の主枝路2の入口に接続するように適合されている。第4の接続点Dは、第2の主枝路2の出口を、すなわち冷却される機能部材に関連したサブ枝路30、31、32の各々を、第2の4ポート弁61に接続するように適合されている。ここで、3つのサブ枝路30、31、32は互いに並列に配設されている。第5の接続点Eは、第1の4ポート弁60と第3の4ポート弁62によって形成された弁のセットを3ポート弁15に接続するように適合されている。
【0040】
第1の弁60は、図2に表されるように1-60、2-60、3-60および4-60と番号を付けられた4つのポートを有する。ポート番号1-60は、第1の冷却枝路20によって、それぞれが第2の接続点Bに接続されている第1の主枝路1および第1のラジエータ6のフランジ12に接続されている。ポート番号2-60は、コンジット21によって第3のラジエータ46のフランジ17に接続されている。ポート番号3-60は、第3の2次枝路45によって第2の4ポート弁61のポート番号1-61に接続されている。ポート番号4-60は、第5の接続点Eに直接接続されており、3ポート弁15および第3の4ポート弁62のポート番号2-62との流体接続をもたらしている。
【0041】
第2の4ポート弁61は、図2に表されるように4つのポート番号1-61、2-61、3-61および4-61を備える。ポート番号1-61は、第3の2次枝路45によってポート番号3-60に接続されている。ポート番号2-61は第3の主枝路3の入口に接続されている。ポート番号3-61は、特に第4の接続点Dによって第2の主枝路2に接続されている。ポート番号4-61は、第1の2次枝路37によって第3の4ポート弁62のポート番号3-62に直接接続されている。
【0042】
回路のそのような構造により、純粋な熱モードM1、純粋な電気モードM2、熱と電気のハイブリッドモードM3、車載充電器を使用する充電のモードM4、車両の外部の充電ステーションの充電器を使用する充電のモードM5といった、車両の様々な動作モードに応じて、第1のラジエータ6、第2のラジエータ33および第3のラジエータ46の使用法が最適化される。接続手段は、少なくとも2つのラジエータを、さらには3つのラジエータを、動作モードに関連づけるようなやり方で制御される。これによって、熱交換管束の領域が有利に増大され得る。したがって、ラジエータの各々のサイズがより小さくなり得、車両に組み込むのが容易になる。
【0043】
図3は、ラジエータの4つの可能な組合せをもたらすための、車両の様々な動作モードに応じた接続手段の制御表を説明するものである。
【0044】
接続手段は、この分野で周知の温度センサなどの周囲の空気を測定するための手段とともに、エンジン4の出口において伝熱流体の温度を測定するための手段をさらに含み、その結果、70℃から100℃までの温度T4および20℃から40℃までの熱閾値を超える周囲の空気の温度については、第1のラジエータ6および第3のラジエータ46は伝熱流体を通過させる。これによって、特に、純粋な熱モードM1における車両のエンジン4の冷却を向上することができる。温度のこの同一の範囲について、熱と電気のハイブリッドモードM3では、第1のラジエータ6および第3のラジエータ46は伝熱流体も通過させ、その結果、特に熱機関4を冷却することが可能になるが、冷却装置42は、バッテリ40を冷却するために、熱機関のループとは無関係にループにおいて循環する伝熱流体を通過させる。純粋な電気ローリングモードM2またはバッテリの温度が40℃から55℃までの熱閾値未満のときに車載充電器によって充電するモードM4では、第1のラジエータ6および第3のラジエータ46は、バッテリ40のみを冷却するように伝熱流体を通過させる。第1の冷却枝路20と第2の冷却枝路22は、第1のラジエータ6と第3のラジエータ46の直列配置が適切になるように各ポートを相互接続するために、制御された前記接続手段によって直列に配設される。
【0045】
接続手段は、第2のラジエータ33と第3のラジエータ46の組合せを生成するように適合されており、第2の主枝路2の出口における伝熱流体の温度および周囲温度Taの測定を可能にし、その結果、70℃を超える温度T3および20℃から40℃の熱閾値を超える周囲温度に対して、第2のラジエータ33および第3のラジエータ46は伝熱流体を連続的に通過させることができる。これによって、純粋な熱モードM1においてサブ枝路32の構成要素の冷却が可能になる。繰り返しになるが、70℃を超える温度T3に対して、熱と電気のハイブリッドモードM3では、第2のラジエータ33および第3のラジエータ46も伝熱流体を連続的に通過させ、その結果、第2のラジエータおよび第3のラジエータはサブ枝路32を冷却するが、冷却装置42は、そのとき独立した冷却ループに配設されているバッテリ40を冷却する。第2の冷却枝路22と第3の冷却枝路24は前記接続手段によって直列に配設され、これらの冷却枝路のポートは、第2のラジエータ33と第3のラジエータ46の直列配置が適切になるように相互接続される。第3の主枝路3が第1の2次枝路37に接続されて、回路の他の部分から独立した冷却ループを形成し、他の部分では、バッテリにフリゴリーを伝えるのは冷却装置42のみとなる。接続手段は、そのとき直列に配置された第2の冷却枝路22と第3の冷却枝路24を含む冷却ループを生成するように制御される。
【0046】
接続手段は、車両が純粋な電気ローリングモードM2または車載充電器によって充電するためのモードM4であるときには、第1のラジエータ6と第2のラジエータ33を直列に配設するようにも適合される。純粋な電気ローリングモードM2または車載充電器によって充電するモードM4については、周囲温度が20℃から40℃までの熱閾値を超えたとき、第1の冷却枝路20と第2の冷却枝路22は、サブ枝路30および31のパワーエレクトロニクスおよび電気機械を含んでいる第2の主枝路2を冷却するために直列に配設される。バッテリ40を含んでいる第3の主枝路3は、回路の他の部分から絶縁された冷却ループを形成するために第1の2次枝路37に接続されているので、冷却装置42のみによって冷却される。
【0047】
接続手段は、第1のラジエータ6と第3のラジエータ46を並列に配設するようにも適合されており、それらのラジエータは、車両が、純粋な電気ローリングモードM2、第2の主枝路2を冷却するために車載充電器によって充電するモードM4、または充電ステーションで充電するモードM5であるとき、バッテリ温度が40℃から55℃までの熱閾値未満である限りは、バッテリを冷却するために、冷却回路において第2のラジエータ33と直列に配設される。バッテリの温度が閾値を超えると、バッテリ40を冷却するために冷却装置42が介入することになる。
【0048】
第2の主枝路2は、たとえば40℃から80℃までの低温の機能部材の冷却専用である。この枝路は、機能部材が配設されている主要なサブ枝路30、31、32を含む。主要なサブ枝路のうちの1つであるサブ枝路30は、インバータおよび充電器などのパワーエレクトロニクスを含む。第2の主要なサブ枝路31は、電気機械などの電気牽引部材を含む。第3の主要なサブ枝路32は、過給機空気(RAS)交換器とともに、空調凝縮器、再循環ガスまたはEGR(排気ガス再循環)熱交換器を含む。この第2の主枝路2の中を循環する伝熱流体の温度は40℃から80℃までである必要があり、温度管理装置は2段階で冷却を達成し、その結果、伝熱流体は、最初に第1の冷却枝路20を循環してEGR交換器およびRAS交換器を冷却してから、低温ラジエータ33を通って循環する。
【0049】
第3の主枝路3は、40℃未満という極低温で伝熱流体を循環させるようになっており、冷却されるバッテリ40、伝熱流体と冷却剤流体の間の熱冷却装置42、抵抗性加熱素子を使用する加熱手段41、およびポンプ43を直列に含む。第3の主枝路3にはラジエータがなく、これによって、特に車両の始動段階においてバッテリの温度を改善することが可能になる。第3の冷却枝路24は、冷却剤流体が循環している空調回路から来るフリゴリーの使用を回避するために、25℃未満または35℃未満の温度を伴う通常の気候条件下でバッテリを冷却するためのラジエータ46を含む。このラジエータ46の、回路の他の部分との、詳細には熱機関6のラジエータとの、非常に特別な接続により、ラジエータ46を、他のすべての部材の冷却にも使用することが可能になる。
【0050】
2次枝路37、44、45は、特定のHT冷却ループ、LT冷却ループまたはVLT冷却ループの専用ではない。それと反対に、2次枝路37、44、45は、車両の動作モードに応じて主枝路1、2、3のうちの少なくとも1つと組み合わせるようになっており、動作モードは、純粋な電気モード、純粋な熱モード、ハイブリッドモード、あるいは、バッテリを充電するため、またはバッテリ、熱機関もしくは車両の客室をあらかじめ熱的に調整するための、充電状態でよい。3つの4ポート弁60、61、62および3ポート弁15を含む前記流体接続手段は、主枝路、2次枝路および冷却枝路を相互接続することによって、車両の循環回路の温度を管理するために循環の動作を制御する。
【0051】
冷却回路自体の構造は、主枝路2および3のうち1つに対して1つまたは複数の2次枝路が接続されていなければ、伝熱流体が循環し得ないようなものである。2次枝路の各々が、主枝路のうちの少なくとも1つと有利に共有され得る。主枝路と2次枝路の間の枝路接続は、3ポート弁または4ポート弁によって与えられ、それらの弁を制御することによってシステムの完全な温度管理が可能になる。
【0052】
LT枝路にラジエータ33を組み込むのは、ラジエータが必要なすべての冷却モードでは、エンジン温度を急上昇させる必要があるとき、熱機関の始動時は別として、これは特にラジエータ33をバイパスすることによって達成され、次いで伝熱流体がバイパス枝路36において循環するためである。これは、VLT枝路と称される、バッテリがある第3の主枝路3には当てはまらない。実際、バッテリラジエータ46が配設されている独立した枝路は、VLTループが回路の他の部分から絶縁されているとき、または第3の主枝路3が、たとえば第1の主枝路1の熱機関または第2の主枝路にあるすべての部材などの冷却されるべき他の機能部材を冷却するために使用される流体回路の主枝路1、2のうちの少なくとも1つに接続されているとき、バッテリを冷却するために使用される。
【0053】
本発明の概念は、すべての部材に共通の2次枝路とともに、冷却される部材に専用の主枝路を使用して、回路の温度管理性能をもたらすために、回路の動作する構成の数を増加させるように弁60、61、62、15を制御することである。
【0054】
以下で提案されるのは、ラジエータ6を有するHT冷却ループ、ラジエータ33を有するLT冷却ループおよびラジエータ46を有するVLT冷却ループといった3つの独立した冷却ループから成るものである。これらのループは、4つのポートを有する特別な弁60、61、62または3つのポートを有する特別な弁15によって相互に接続される。車両の動作モード、および車両が含んでいる冷却される部材の公称動作温度に依拠する熱交換要件に応じて、これらの3つのループの機能部材は、それぞれのループが、特定のHT、LTまたはVLTの温度レベルにおける熱調節を可能にするために他のループから絶縁されるという意味で、独立して冷却され得、あるいは、第1の主枝路、第2の主枝路または第3の主枝路のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの他のループの1つもしくは複数のラジエータによって、またはさらには第3の枝路の冷却装置によって、熱的に支援されるように、独立して冷却され得る。その上に、熱機関4またはバッテリ40の温度が最適な動作温度に到達していないときには、いくつかの他の機能部材によって与えられるカロリーが、熱機関および/または電気牽引バッテリを加熱するために使用され得る。客室を暖めるようにとの要求があるときには、これらの機能部材によって伝熱流体に伝えられるカロリーが車両の客室を暖めるためにも使用され得、伝熱流体は、次いで空熱機器8を通って循環する。
【0055】
3つのラジエータ6、33および46は、温度に大差のある3つの個別の冷却ループに組み込まれ得るばかりでなく、車両の運転に関連した汚染排出をゼロにするための純粋な電気牽引モード、電気牽引の一部が不活性化されるときの純粋な熱牽引モード、または車両の牽引モードとして熱エネルギーと電気エネルギーを組み合わせるためのハイブリッド牽引モードにおいて、車両の動作モードに応じて他のループによっても使用され得、車両は、充電ステーションにおいて電気バッテリを充電していてよく、または配電ネットワークの端子に電気接続することによってあらかじめ調整していてもよい。
【0056】
この装置の別の特別な特徴は、HTラジエータ6の一体部分を形成し得るHT/VLTの第3のラジエータ46の設計にあり、これは、HT部分6およびHT/VLT部分46といった2つの別個の部分から成るものである。この単一のラジエータは、水平の管の束によって相互に接続された垂直の冷却缶を有する。2つのラジエータの分離は、冷却缶の片側から挿入された隔壁14と、冷却缶の同じ高さの反対側に挿入されて垂直流路を形成する穴あきプラグ18と、によって実現される。この単一のラジエータは、回路に接続するための4つのコネクタ11、12、16および17を有する。ラジエータ6の管束の中を循環する伝熱流体は、減圧オリフィスとして働くプラグ18を通じてラジエータ46の管束と連通している。これら2つのラジエータ6および46が異なる温度において2つのループによって使用されるとき、プラグ18は、1つのループから異なる調整温度を有する別のループへの流体の循環を低減する。ここで、コネクタ11がエンジン4のサーモスタット10の出口に接続されており、他のコネクタ12がエンジンの機械ポンプ5の入口への接続を可能にする。これら2つの第1のコネクタ11、12は単一のラジエータのHT部分に見いだされる。他の2つのコネクタ16および17は、その単一のラジエータのLT/THT部分に見いだされる。
【0057】
代替実施形態によれば、HT管束およびVLT管束を有する単一のラジエータは、それぞれが前述の減圧プラグの機能をもたらす管を受け入れるように適合された相互接続オリフィスを有する2つの別個のラジエータによって置換され得る。この変形形態では、2つのラジエータが、特にHT/VLTラジエータをHTラジエータの前に配設するためのスタックを生成する可能性を伴って、2つの異なる面に配設され得る。
【0058】
この温度管理装置には、車両の動作モードに応じてすべての構成が最適化される高性能冷却回路を提供する、という長所がある。これによって、一方では、全体として独立したやり方で、3つの温度レベルに応じて、3つの冷却ループHT、LTおよびVLTの熱を制御することが可能になる。これによって、車両の同一の動作モードに関するラジエータの冷却のために、車両のフロントパネルにおける交換器の統合化を改善することも可能になる。ラジエータの設計は、別々のHT、LTおよび/またはVLTの熱調整ループにおいて同一のラジエータを使用することの可能性を考慮に入れるものである。温度管理装置は、第1のラジエータ6と第3のラジエータ46、第2のラジエータ33と第3のラジエータ46、第1のラジエータ6と第2のラジエータ33、第1のラジエータ6と第2のラジエータ33と第3のラジエータ46を、同時に使用することができる。ラジエータを冷却するこの可能性のために、それぞれが最小サイズでよく、それに対応して車両におけるそれらの統合化が容易になる。
【0059】
特定の動作のモードでは、いくつかの機能部材は作動せず、したがって冷却する必要はない。この場合、接続手段が、通常はそれらに割り当てられる冷却枝路における伝熱流体の循環を適切なものにする。したがって、機能部材を冷却するための、特に冷却装置からのフリゴリーである冷源の完全利用が可能になるので、冷却システムの性能が最適化される。本発明の管理装置を用いるラジエータのサイズは、それぞれのラジエータを最も過酷な条件下で寸法設定する必要がある従来の解決策と比較して縮小される。したがって、いくつかは増大した能力を有する別々のパワートレインに対して同一の伝熱流体回路を使用することが可能になる。より有利には、常温始動において、第1の主枝路、第2の主枝路および/または第3の主枝路を組み合わせることにより、伝熱流体が、熱機関、バッテリおよび/または車両の客室を暖めるために作動部材からカロリーを奪うことが可能になる。
【0060】
本発明の温度管理装置は、純粋な電気モード、熱モード、ハイブリッドモード、充電モードといった車両の動作モードと、空気および/または伝熱流体の瞬時温度と、の両方に応じて、伝熱流体回路において直列または並列に配設された一連のラジエータを通して伝熱流体を循環させることを可能にするという点において注目すべきである。これによって、所定の周囲温度の環境で動作する車両の通常の運転向けに較正された冷却用構成要素を用いて伝熱流体回路を設計しておいて、周囲温度が他の温度条件に変化しても、選択されたモードにおいて車両の運転を維持することが可能になる。これは少なくとも1つの他のラジエータを用いることによって可能になり、このラジエータは、車両の動作モードを所与として望ましくは不活性状態にあって少なくとも伝熱流体を通過させないものである。したがって、車両の特定の動作モード専用に設計されたラジエータを車両の少なくとも1つの他の動作モードに使用することが可能になる。これによって、車両の異なる動作モード向けの冷却用構成要素が冷却される。結果的に、主としてラジエータである冷却用構成要素の外形寸法がより小さくなり得、ボンネット下にこれらを組み込むのが容易になり、対応して製造原価が低減される。たとえば、本発明の主題である管理装置を用いると、バッテリは、標準的な環境における車両の動作中に専用のラジエータによって冷却され得、周囲の空気の温度が危機的なものになったとき、すなわち公称動作温度を超えたとき、たとえば熱機関の冷却専用のラジエータといった別のラジエータによってさらに冷却され得る。この場合のバッテリの温度管理では、冷却空気は、バッテリを冷却するために冷却装置を通過する冷却剤流体向けが優先され、これによって、冷却剤流体が通る冷却装置の使用範囲を縮小すること、したがって車両の空調回路の使用範囲を縮小することが可能になり、それに対応して車両の消費量および汚染排出が低減される。
図1
図2
図3