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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】メモリ回路のスクリーニング
(51)【国際特許分類】
   G11C 29/12 20060101AFI20241009BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
G11C29/12
G01R31/28 B
G01R31/28 V
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021555167
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 US2020022534
(87)【国際公開番号】W WO2020186131
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】62/955,516
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/817,925
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/817,096
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ アドルフォ カノ
(72)【発明者】
【氏名】デヴァナサン ヴァラダラジャン
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー マーティン ヒル
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-157287(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0130546(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0013470(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0232242(US,A1)
【文献】特開2002-298598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 29/12
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリアレイをスクリーニングするための組込み自己テスト(BIST)システムであって、
前記メモリアレイのメモリセルに向けられる読み出し命令を含む複数の命令を有するテストプログラムを受け取るように構成される外部インタフェースであって、前記メモリセルが前記メモリセルのアクセスに関連する公称ワード線電圧を有し、前記読み出し命令が前記公称ワード線電圧と異なる変調されたワード線電圧を特定する、前記外部インタフェースと、
前記複数の命令を受信するために前記外部インタフェースに結合されるプロセッサと、
前記複数の命令に基づいて前記メモリセルに対する予期値を含む1組のテストデータと1組のアドレスとを生成するために前記プロセッサによって制御されるように構成されるアドレス/データ生成器と、
前記読み出し命令に基づいて前記変調されたワード線電圧を前記メモリセルに提供するために前記プロセッサによって制御されるように構成されるワード線マージン制御と、
前記変調されたワード線電圧を用いて前記メモリセルから読み出し値を読み出すために前記プロセッサによって制御されるように構成される書き込み/読み出し制御生成器と、
前記読み出し値を前記予期値と比較するように構成される出力コンパレータと、
を含む、BISTシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のBISTシステムであって、
前記変調されたワード線電圧が第1の変調されたワード線電圧であり、前記複数の命令が前記メモリセルに向けられる書き込み命令を更に含み、前記書き込み命令が前記公称ワード線電圧と異なる第2の変調されたワード線電圧を特定し、
前記ワード線マージン制御が、前記書き込み命令に基づいて前記メモリセルに前記第2の変調されたワード線電圧を提供するために前記プロセッサによって制御されるように更に構成され、
前記書き込み/読み出し制御発生器が、前記第2の変調されたワード線電圧を用いて書き込み値を前記メモリセルに書き込むために前記プロセッサによって制御されるように更に構成される、BISTシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のBISTシステムであって、
前記メモリセルが前記メモリセルのアクセスに関連する公称ビット線電圧を更に有し、前記書き込み命令が前記公称ビット線電圧と異なる変調されたビット線電圧を特定し、
前記BISTシステムが、
前記書き込み命令に基づいて前記メモリセルに前記変調されたビット線電圧を提供するために前記プロセッサによって制御されるように構成されるビット線マージン制御を更に含み、
前記書き込み/読み出し制御生成器が、前記変調されたビット線電圧を用いて前記メモリセルに前記書き込み値を書き込むために前記プロセッサによって制御されるように更に構成される、BISTシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のBISTシステムであって、
前記複数の命令が前記メモリセルに向けられる書き込み命令を更に含み、前記メモリセルが前記メモリセルのアクセスに関連する公称ビット線電圧を更に有し、前記書き込み命令が前記公称ビット線電圧と異なる変調されたビット線電圧を特定し、
前記BISTシステムが、
前記書き込み命令に基づいて前記メモリセルに前記変調されたビット線電圧を提供するために前記プロセッサによって制御されるように構成されるビット線マージン制御を更に含み、
前記書き込み/読み出し制御生成器が、前記変調されたビット線電圧を用いて前記メモリセルに書き込み値を書き込むために前記プロセッサによって制御されるように更に構成される、BISTシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のBISTシステムであって、
前記メモリセルが、Fin電界効果トランジスタを含む、BISTシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のBISTシステムであって、
前記変調されたワード線電圧が、前記公称ワード線電圧の±5%内である、BISTシステム。
【請求項7】
メモリセルをスクリーニングする方法であって、
前記メモリセルに向けられる読み出し命令を受信することであって、前記メモリセルが公称ワード線電圧を有し、前記読み出し命令が前記公称ワード線電圧と異なる変調されたワード線電圧を特定する、前記読み出し命令を受信することと、
前記メモリセルに結合されるワード線に前記変調されたワード線電圧を提供することと、
前記変調されたワード線電圧を用いてセル値を得るために前記メモリセルを読み出すことと、
前記セル値を予期値と比較することと、
を含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記変調されたワード線電圧が、前記公称ワード線電圧の±5%内である、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、
前記メモリセルが、Fin電界効果トランジスタを含む、方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であって、
前記メモリセルに向けられる書き込み命令を受信することであって、前記変調されたワード線電圧が第1の変調されたワード線電圧であり、前記書き込み命令が前記公称ワード線電圧と異なる第2の変調されたワード線電圧を特定する、前記書き込み命令を受信することと、
前記ワード線に前記第2の変調されたワード線電圧を提供することと、
前記第2の変調されたワード線電圧を用いて書き込み値を前記メモリセルに書き込むことと、
を更に含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記メモリセルが公称ビット線電圧を更に有し、前記書き込み命令が前記公称ビット線電圧と異なる変調されたビット線電圧を特定し、
前記方法が、
前記メモリセルに結合されるビット線に前記変調されたビット線電圧を提供することを更に含み、
前記書き込み値を書き込むことが、前記変調されたビット線電圧を更に用いる、方法。
【請求項12】
請求項7に記載の方法であって、
前記メモリセルに向けられる書き込み命令を受信することであって、前記メモリセルが公称ビット線電圧を更に有し、前記書き込み命令が前記公称ビット線電圧と異なる変調されたビット線電圧を特定する、前記書き込み命令を受信することと、
前記メモリセルに結合されるビット線に前記変調されたビット線電圧を提供することと、
前記変調されたビット線電圧を用いて前記メモリセルに書き込み値を書き込むことと、
を更に含む、方法。
【請求項13】
第1のビット線と第2のビット線とワード線とに結合されるメモリセルをスクリーニングする方法であって、
前記メモリセルに書き込み値を書き込むことであって、前記メモリセルの公称ビット線電圧よりも低い変調されたビット線電圧を前記第1のビット線と前記第2のビット線との少なくとも1つに提供することと、前記メモリセルの公称ワード線電圧よりも高い変調されたワード線電圧を前記ワード線に提供することとを含む、前記書き込むことと、
読み出し値を得るために前記メモリセルを読み出すことと、
前記読み出し値を前記書き込み値と比較することと、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記変調されたワード線電圧が、前記公称ワード線電圧の5%内である、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、
前記メモリセルが、Fin電界効果トランジスタを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
メモリデバイスが信頼性をもって動作するように、メモリデバイスをスクリーニングすることが有益な場合がある。スクリーニングは、デバイスがより不安定な状態(less stable state)で適切に機能する場合にそのデバイスは安定した状態においても適切に機能するであろうという仮定の下で、より不安定な状態においてメモリデバイスをテストすることを含み得る。より不安定な状態とは、妨害を受けやすい状態であり得る。より不安定な状態は、例えば、温度を変化させることによって、メモリデバイスをストレス下に置くことによって得られ得る。スクリーニングは、より不安定な状態において適切に機能する部品を識別することによって、動作マージンを提供することができる。
【背景技術】
【0002】
プレーナトランジスタ、すなわち、酸化物又は絶縁体層に平坦な、アクティブドレイン及びソース部分を備えるトランジスタを含むメモリデバイスの場合、スクリーニングは、そういったメモリデバイスをより不安定な状態に置くためにNウェルを変調することを含み得る。本明細書で用いられるように、変調は、公称動作電圧と比べてより高い又はより低い電圧を印加することを意味する。しかしながら、このような方法は、フィン状に酸化物又は絶縁体層の上方に突出するアクティブなドレイン及びソース部分を有するFin電界効果(FinFET)トランジスタを用いるメモリデバイスには利用できない場合がある。FinFETトランジスタのアクティブなドレイン部分及びソース部分は、FinFETトランジスタアーキテクチャにおけるアクティブなドレイン部分及びソース部分とNウェルとの間の距離に起因して、Nウェルに対する変化の影響を受けない場合がある。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載される例示的な例は、メモリセルをスクリーニングする方法を含む。例示の方法は、ワード線を、ワード線上の公称動作電圧と比べて高く又は低く駆動することを含む。この方法はさらに、メモリセルを読み出してセル値を取得することと、セル値を予期値と比較することとを含む。
【0004】
また、本明細書で説明される例示的な例は、第1のビット線、第2のビット線、及びワード線を有するメモリセルをスクリーニングする方法を含む。例示の方法は、第1のビット線及び第2のビット線のうちの一方を、第1のビット線及び第2のビット線の公称動作電圧と比べて高く又は低く駆動することによって、書込み値をメモリセルに書き込むことを含む。この方法はまた、メモリセルを読み出してセル値を取得することと、セル値を予期値と比較することとを含む。
【0005】
また、本明細書で説明される例示的な例は、メモリアレイをスクリーニングするための組込み自己テスト(BIST)システムを含む。例示のBISTシステムは、複数の命令を有するテストプログラムを受け取るように構成される外部インタフェースを含む。複数の命令は、読み出し命令、書込み命令、又は読み出し命令と書込み命令の組合せを含む。BISTシステムはまた、複数の命令に基づいてメモリアレイをスクリーニングするためにBISTシステムの動作を制御するように構成される制御エンジン、及び、複数の命令に基づいて、読み出し命令及び書き込み命令のためのアドレスと、書き込み命令のためにメモリアレイに書き込まれるテストデータとを生成するように制御エンジンによって制御されるように構成されるアドレス/データ生成器を含む。BISTシステムは、複数の命令に基づいて書込み/読み出しメモリ命令を生成し、メモリアレイに提供するように、制御エンジンによって制御されるように構成される書込み/読み出し制御生成器をさらに含み、書込み/読み出し命令は、メモリ読み出し命令とメモリ書込み命令とから選択される1つである。BISTシステムはまた、複数の命令に基づいてメモリアレイにおいてワード線のためのワード線電圧を変調するために制御エンジンによって制御されるように構成されるワード線マージン制御と、複数の命令に基づいてメモリアレイにおいてビット線のためのビット線電圧を変調するために制御エンジンによって制御されるように構成されるビット線マージン制御と、メモリアレイから読み出しデータを受信し、読み出しデータを予期値と比較してテスト結果を得るように構成される出力コンパレータとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】例示のメモリセルを示す。
【0007】
図2図1のメモリセルをスクリーニングするために読み出し命令を用いるための例示の方法を示す。
【0008】
図3図1のメモリセルをスクリーニングするために書き込み命令を用いるための例示の方法を示す。
【0009】
図4】例示の組込み自己テストシステムを示す。
【0010】
図5図4の組込み自己テストシステムを動作させる例示の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、「結合する」という用語は、間接的又は直接的な有線又は無線接続を意味する。そのため、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接接続を介するもの、又は、他のデバイス及び接続を介した間接的接続を介するものであり得る。
【0012】
図1は、トランジスタM1、M2、M3、M4、M5、及びM6を有する例示の6トランジスタのスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)メモリセル1を示す。アクセストランジスタMlはビット線BL7をノードAに結合し、アクセストランジスタM6はビット線BB8をノードBに結合する。トランジスタM2及びM3のドレイン端子は、ノードAにおいて共に互いに結合される。トランジスタM2のソース端子が、電源(例えば、VCC)に結合され、トランジスタM3のソース端子が、VSS(例えば、接地)に結合される。トランジスタM4及びM5のドレイン端子は、互いに及びノードBに結合される。トランジスタM4のソース端子が電源(例えば、VCC)に結合され、トランジスタM5のソース端子がVSS(例えば、接地)に結合される。トランジスタM2及びM3のゲート端子が共にノードBに結合される。トランジスタM4及びM5のゲート端子が共にノードAに結合される。トランジスタM2及びM4はそれぞれN‐ウェル5及び6を有する。アクセストランジスタMl及びM6のゲート端子はワード線WL2に結合される。図1において、トランジスタM2及びM4は、p型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(PMOSトランジスタ)を含み、トランジスタMl、M3、M5及びM6は、n型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(NMOSトランジスタ)を含む。メモリセルの他のアーキテクチャも同様に実装され得る。
【0013】
トランジスタMl、M2、M3、M4、M5、及びM6がプレーナトランジスタである場合、メモリセル1は、Nウェル5及び6上の電圧を変調してマージンを作ることによってスクリーニングされ得る。しかしながら、このようなスクリーニング方法は、トランジスタMl、M2、M3、M4、M5、及びM6がFinFETトランジスタである場合には利用できない。N‐ウェル領域は、トランジスタのアクティブ部分とは反対側にある場合があり、FinFETトランジスタにおいて、アクティブ部分は、N‐ウェルとは反対側のトランジスタの表面から離れて、したがってN‐ウェルから一層遠くに、延在し得る。このように、Nウェル領域とアクティブなドレイン部分及びソース部分との間の距離は、プレーナトランジスタよりもFinFETトランジスタの方が大きい。そのため、電子が移動する距離が長すぎるので、FinFETトランジスタにおいてNウェルをバイアスすることが、トランジスタのアクティブなドレイン及びソース部分に影響を与えない可能性がある。
【0014】
図2は、Nウェル5及び/又は6ではなく、ワード線WL2上の電圧を変調することによって、読み出し動作の間にメモリセル1をスクリーニングする例示の方法を示す。したがって、図2の方法は、FinFETメモリセル又はプレーナメモリセルをスクリーニングするために用いることができる。図2のスクリーニング方法は、例えば、チップが現場で用いられる前に、品質検査として行われる。
【0015】
工程201において、ワード線WL2は、ワード線WL2の公称動作電圧よりも高い電圧又は低い電圧に駆動される。例えば、ワード線WL2は、公称動作電圧の+/-5%に駆動され得る。工程202において、ビット線BL7及びBB8は、(例えば、コンパレータによって)読み出され、セル値が演算される。例えば、ビット線BL7上の電圧とビット線BB8上の電圧との間の差を計算することによってセルの値を決定することができる。演算されたセル値は、工程203において、予期セル値と比較される。値が同じである場合、そのセルは、充分なマージンを有するとしてスクリーニングに合格する。
【0016】
図3は、Nウェル5及び/又は6ではなく、ビット線BL7又はBB8及び/又はワード線WL2上の電圧を変調することによって、書込み動作の間にメモリセル1をスクリーニングする例示の方法を示す。したがって、図3の方法は、FinFETメモリセル又はプレーナメモリセルをスクリーニングするために用いることができる。図3のスクリーニング方法は、例えば、チップが現場で用いられる前に工場で品質検査として行われる。
【0017】
工程301において、ビット線BL7及びBB8は高く、例えばビット線BL7及びBB8の公称動作電圧まで、プリチャージされる。工程302において、書き込まれる値に対応するビット線BL7又はBB8は、そのフィールドにおいて書き込み動作に使用されるであろう電圧よりも高い電圧又は低い電圧に駆動される。書き込み動作の間、ビット線BL7は、「0」を書き込むために低く駆動され得、ビット線BB8は「1」を書き込むために低く駆動され得、又はその逆であってもよい。ビット線BL7又はBB8は、対応するアクセストランジスタMl又はM6が、対応するPMOSトランジスタM4又はM2を確実にオンにできるように、充分に低く駆動されるべきである。例えば、ビット線BL7又はBB8が書込み動作のために0ボルトまでプルダウンされ得る場合、それは、代わりに+/-100mVまで駆動され得る。工程303において、ワード線WL2は、ワード線WL2の公称電圧よりも高い電圧又は低い電圧に駆動される。例えば、ワード線WL2は公称動作電圧の+/-5%に駆動され得る。
【0018】
工程304において、メモリセル1が読み出される。ワールドラインWL2は任意選択で、図2の工程201に記載されたように、工程304の間、高く又は低く駆動され得る。工程305において、工程304で読み出された値が、工程301~303で書き込まれた値と比較される。値が同じである場合、そのセルは、充分なマージンを有するとしてスクリーニングに合格する。図3の方法は、ビット線BL7又はBB8とワード線WL2の両方が、セルをより安定でない状態にするために高く又は低く駆動されることを示しているが、この方法は、ビット線BL7又はBB8のみ又はワード線WL2のみを高く又は低く駆動することを代替的に含み得る。
【0019】
図4は、メモリアレイ401におけるメモリセル上で図2及び/又は図3の方法を実施するためにチップを出荷する前に工場で用いることができる、組込み自己テスト(BIST)システム400の例示の図を示す。メモリアレイ401は、例えば、図1のメモリセル1のような複数のメモリセルを含むSRAMメモリアレイとすることができる。BISTシステム400は、ビット線マージン制御402、ワード線マージン制御403、書込み/読出し制御生成器404、及びアドレス/データ生成器405に結合される、制御エンジン406を含む。制御エンジン406は、例えば、プロセッサ又はコンピュータであり得、例えば、メモリ409に記憶されたソフトウェアに基づいて、BIST400の他の構成要素の動作を制御する。以下でより詳細に説明するように、ソフトウェアには、公称動作電圧から変動する電圧を用いてメモリアレイ401の個々のセルへ書き込むこと及び/又は個々のセルから読み出すことによって、メモリアレイ401をテストするように制御エンジン406に命令するテストプログラムが含まれ得る。
【0020】
その目的のため、ビット線マージン制御402は、電圧バイアス回路とすることができ、メモリアレイ401におけるビット線(例えば、ビット線BL7及び/又はBB8)上に、テストプログラムによって特定されるように、変調電圧を供給し得る。ワード線マージン制御403は、電圧バイアス回路とすることができ、メモリアレイ401におけるワード線(例えば、ワード線WL2)に、テストプログラムによって特定されるように、変調電圧を供給し得る。ビット線マージン制御402及びワード線マージン制御403はまた、メモリアレイ401に制御データを提供する回路要素であり得、メモリアレイ401が、制御データに基づいて、それぞれビット線又はワード線上の電圧を調整し得るようにしてもよい。
【0021】
BISTシステム400はまた、メモリアレイ401から読み出しデータを受け取り、読み出しデータを書き込まれたデータと比較して、テストされているメモリセルが予期値を有するかどうかを判定するための出力コンパレータ408を含む。値が一致する場合、それは、それぞれのセルが充分な動作マージンを有することを示し得る。BISTシステム400はさらに、テストプログラムを受け取るため、及び/又は、テストプログラムの結果を例えば外部コンピュータに出力するための外部インタフェース407を含む。
【0022】
図5は、BISTシステム400を用いてメモリアレイ401における1つ又は複数のセルをスクリーニングする例示の方法を示す。図5のスクリーニング方法は、例えば、メモリアレイチップが現場で使用される前に、工場で品質チェックとして行われる。工程501において、テストプログラムが、例えば外部コンピュータから外部インタフェース407で受信される。外部インタフェース407は、プログラムを、例えばメモリ409に記憶することができる。テストプログラムは、例えば、図2及び図3の方法に従った一連の書き込み及び/又は読み出し命令であってもよい。例えば、書込み命令は下記のフォーマットを有し得る。
WriteBL1 WL2A0,D0
ここで、Writeは命令を書き込み命令として識別し、D0は書き込むデータであり、A0はデータの書き込み先のアドレスである。BL1は、書き込み動作の過程中にビット線に印加されるべき電圧を特定するビット線電圧変調値である。ビット線変調値は、電圧を直接示すことによって、他の場所で特定された公称電圧からのオフセットを示すことによって、又は他の適切な手段によって、電圧を特定することができる。同様に、WL2はワード線電圧変調値であり、電圧を直接示すことによって、他の場所で特定された公称電圧からのオフセットを示すことによって、又は他の適切な手段によって、書込み動作の過程中にワード線に印加されるべき電圧を特定することができる。
【0023】
サンプル読み取り命令は下記であり得る。
ReadWL2A0
ここで、Readは、命令を読み出し命令として識別し、A0はデータが読み出されるべき元のアドレスであり、WL2は、読み出し動作の過程中にワード線に印加されるべき電圧を特定するワード線変調値である。ワード線変調値は、電圧を直接示すことによって、他の場所で特定された公称電圧からのオフセットを示すことによって、又は他の適切な手段によって、電圧を特定することができる。テストプログラムは、公称電圧で行なわれる読出し及び/又は書込みのための命令が点在された、上述したような電圧変調値を有する命令を含み得る。
【0024】
工程502において、制御エンジン406は、メモリ409からテストプログラムを取得する。工程503において、制御エンジン406は電圧変調値の有無にかかわらず、読み出し命令又は書き込み命令であり得る、テストプログラム内の次の命令を取得又は読み出す。制御エンジン406は、他の命令がまだ処理されていない場合、最初の命令を取得してもよい。
【0025】
工程504において、制御エンジン406は、テストプログラムからの命令を実行するためにメモリアレイ401に送信する命令及びデータを準備する。この準備は、例えば、テストプログラムからの命令における値A0に基づいて、アドレス/データ生成器405に、読み出される又は書き込まれアドレスのシーケンスを生成させることを含み得る。アドレスは、テストされているメモリアレイ401におけるメモリセルの一部又は全部に対応し得る。パフォーマンスは空間成分を有し得るので、アドレスは、メモリアレイ401のメモリセルにわたって分散された物理パターン、例えば、チェッカーボードパターン、行ストライプパターン、又は列ストライプパターンに対応し得る。
【0026】
書き込み命令の場合、制御エンジン406は、例えば、テストプログラムからの命令における値D0に基づいて、アドレス/データ生成器405に、書き込まれるべきテストデータを生成させ得る。生成されたテストデータは、例えば、値D0のバイナリ表現である一連の1及び0であり得る。
【0027】
また、制御エンジン406は、例えば、テストプログラムからの命令に基づいて、メモリアレイ401に、各アドレスに対して対応する書き込み又は読み出し命令を実行させる信号を、書き込み/読み出し制御生成器404に生成させてもよい。これらの信号は、それぞれ、メモリアレイ401の書込みイネーブル入力又は読み出しイネーブル入力に供給される書込みイネーブル信号又は読み出しイネーブル信号を含み得る。読み出しイネーブル入力に送られる読み出しイネーブル信号、又は書込みイネーブル入力に送られる書込みイネーブル信号が、例えばメモリアレイ401内のアドレス入力を介して、メモリアレイ401に提供されるアドレスで、それぞれ、メモリアレイに読み出しするか又はメモリアレイから書込むように、メモリアレイに命令し得る。メモリアレイ401に送られる命令及びデータの形成は、概して、メモリアレイ401の要件に依存する。
【0028】
制御エンジン406はまた、例えば、テストプログラムからの命令におけるBL1値及びWL2値に基づいて、ビット線マージン制御402及び/又はワード線マージン制御403に、ビット線及び/又はワード線上の電圧を変調するように命令し得る。ビット線マージン制御402及びワード線マージン制御403がバイアス回路である例では、ビット線マージン制御402及び/又はワード線マージン制御403が、それぞれ、BL1値及びWL2値に基づいて電圧を生成し得る。ビット線マージン制御402及びワード線マージン制御403が変調制御値を生成する回路要素である例では、ビット線マージン制御402及び/又はワード線マージン制御403は、メモリアレイ401の要件に基づいて、それぞれ、BL1及び/又はWL2に対応する変調制御値を生成し得る。例えば、ワード線マージン制御403は、公称電圧から0mVオフセットされたワード線電圧を示すための変調制御値「0」、公称電圧から300mVオフセットされたワード線電圧を示すための変調制御値「1」、公称電圧から-300mVオフセットされたワード線電圧を示すための変調制御値「2」をメモリアレイ401に提供し得る。ワード線マージン制御403がワード線電圧を直接特定する別の例では、ワード線マージン制御403は、0mVのワード線電圧で行われる読み出し又は書き込みを示すための変調制御値「0」、300mVのワード線電圧で行われる読み出し又は書き込みを示すための変調制御値「1」、及び-300mVのワード線電圧で行われる読み出し又は書き込みを示すための変調制御値「2」をメモリアレイ401に提供し得る。
【0029】
工程505において、BISTシステム400は、工程504で生成された読み出し及び/又は書き込み命令をメモリアレイ401に送る。工程504で生成された命令及び/又はデータは、それぞれの命令及び/又はデータを生成した構成要素(例えば、ビット線マージン制御402、ワード線マージン制御403、書込み/読出し制御生成器404、及び/又はアドレス/データ生成器405)によってBISTシステム400に送信され得る。書き込み命令の場合、工程504で生成されたデータは、メモリアレイ401内の適切なメモリ位置に書き込まれる。読み出し命令の場合、特定されたアドレスのセルが読み出される。
【0030】
工程506において、命令が読出し命令である場合、メモリアレイ401は、読出しデータを出力コンパレータ408に出力する。出力コンパレータ408は、読み出し命令の結果を、メモリ409に記憶され得る予期結果と比較して、読み出しデータが予期結果と一致するかどうかをテストする。コンパレータ408は、比較の結果を制御エンジン406に提供する。工程507において、制御エンジン406は、実行されていない命令がテストプログラムに残っているかどうかを判定する。残っている場合、制御エンジン406は、工程503で次の読み出し又は書込み命令を読み出し、その命令は工程504~506で処理される。テストプログラムに命令が残っていない場合、工程508において、制御エンジン406は、テストプログラムの結果を外部インタフェース407に出力する。あるいは、テストプログラムの結果は、それらが生成されるときに外部インタフェース407に出力されてもよく、及び/又はメモリ409に記憶されてもよい。
【0031】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5