(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】制御棒操作監視装置および制御棒操作監視方法
(51)【国際特許分類】
G21C 17/10 20060101AFI20241009BHJP
G21C 7/36 20060101ALI20241009BHJP
G21C 7/14 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
G21C17/10 710
G21C7/36
G21C7/14
(21)【出願番号】P 2022036362
(22)【出願日】2022-03-09
【審査請求日】2024-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】中尾 慎人
(72)【発明者】
【氏名】北村 純一
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-122475(JP,A)
【文献】特開平08-021891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 17/00-17/14
G21C 7/36
G21C 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの運転時に電動駆動により制御棒を挿入もしくは引き抜きする制御棒操作監視装置であって、
前記制御棒と同数設けられている制御棒駆動モータと、
前記制御棒より少ない数設けられている駆動用インバータ電源と、
前記制御棒を駆動する際に、前記制御棒駆動モータと前記駆動用インバータ電源とを接続するスイッチング部と、
前記駆動用インバータ電源のうちいずれの前記駆動用インバータ電源を用いるかを決定し、前記スイッチング部を制御するインバータ選択制御部と、
前記スイッチング部を切り替える際に前記制御棒駆動モータの回転軸角度から換算される前記制御棒の軸方向の位置を前記制御棒ごとに記憶する第1記憶部と、
前記駆動用インバータ電源の駆動情報を記憶する第2記憶部と、を備え
、
前記インバータ選択制御部は、前記第2記憶部に記憶された前記駆動情報に基づいて、使用頻度の低い前記駆動用インバータ電源を優先的に用いるようにする
ことを特徴とする制御棒操作監視装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の制御棒操作監視装置において、
前記第2記憶部は、前記駆動情報として前記駆動用インバータ電源の入り切り回数を記憶する
ことを特徴とする制御棒操作監視装置。
【請求項3】
請求項
1に記載の制御棒操作監視装置において、
前記第2記憶部は、前記駆動情報として前記駆動用インバータ電源の積算電力消費量を記憶する
ことを特徴とする制御棒操作監視装置。
【請求項4】
請求項1に記載の制御棒操作監視装置において、
前記駆動用インバータ電源よりも大型の緊急駆動用インバータ電源を更に備える
ことを特徴とする制御棒操作監視装置。
【請求項5】
プラントの運転時に電動駆動により制御棒を挿入もしくは引き抜きする制御棒操作監視方法であって、
前記制御棒より少ない数だけ設けられている駆動用インバータ電源のうちいずれの前記駆動用インバータ電源を用いるかを決定するインバータ選択制御工程と、
前記制御棒を駆動する際に、前記駆動用インバータ電源と前記制御棒と同数設けられている制御棒駆動モータとを接続するスイッチング工程と、
前記スイッチング工程において用いる前記駆動用インバータ電源を切り替える際に、前記制御棒駆動モータの回転軸角度から換算される前記制御棒の軸方向の位置を前記制御棒ごとに記憶する第1記憶工程と、
前記駆動用インバータ電源の駆動情報を記憶する第2記憶工程と、を有
し、
前記インバータ選択制御工程では、前記第2記憶工程において記憶された前記駆動情報に基づいて、使用頻度の低い前記駆動用インバータ電源を優先的に用いるようにする
ことを特徴とする制御棒操作監視方法。
【請求項6】
請求項
5に記載の制御棒操作監視方法において、
前記第2記憶工程では、前記駆動情報として前記駆動用インバータ電源の入り切り回数を記憶する
ことを特徴とする制御棒操作監視方法。
【請求項7】
請求項
5に記載の制御棒操作監視方法において、
前記第2記憶工程では、前記駆動情報として前記駆動用インバータ電源の積算電力消費量を記憶する
ことを特徴とする制御棒操作監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御棒操作監視装置および制御棒操作監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
システムの小型化を図る制御棒駆動システムの一例として、特許文献1には、9本の制御棒を9台のモータで駆動するときに、制御棒を3つのギャンググループに分け、3台のインバータの分担すべきモータを3つのグループに分け、リレー、リレー接点の作動によってインバータが分担すべきモータを3台ずつ切り替えて駆動し、インバータを共用化する、ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
沸騰水型原子炉では、電動駆動を用いた制御棒の挿入や引抜により原子炉出力を変更する機能を設けている。この電動駆動を用いた制御棒の挿入や引抜操作は、自動出力制御装置等を用いた自動操作、または運転員の手動操作にて制御棒操作監視装置にて実施される。
【0005】
制御棒の挿入には通常の運転で用いる通常挿入操作と緊急時に用いる緊急制御棒挿入操作との2種類があり、前者は通常運転時の原子炉出力調整時に使用される。一方、後者はスクラムなどの水圧駆動による制御棒挿入動作のバックアップとして電動駆動による緊急挿入機能として使用される。
【0006】
改良型の沸騰水型原子炉では、計205本の制御棒に対して駆動モータ及び電源は1体の制御棒にそれぞれ1台ずつ装備されており、制御棒ごとに電動駆動できるようにしている。
【0007】
現状の設備構成では、原子炉の通常運転時における制御棒挿入引抜動作において、同時に操作できる制御棒の本数が全205本の内26本に制限されているため、全制御棒が同時に駆動する動作は無い。一方、緊急挿入信号が成立した場合には全制御棒に全挿入の信号が出力され、全制御棒が同時に駆動する動作となる。
【0008】
上記の技術では、原子炉の通常運転時においては、同時に操作できる制御棒の本数は最大でも26本であることから、制御棒駆動用インバータ電源の多くが待機状態にあるため稼働率は低く、さらに制御棒の駆動電源は1体の制御棒にそれぞれ1台ずつ装備されているため、設備コストが大きい。
【0009】
これに対し、上述の特許文献1のように、インバータを共用することが一案として考えられるが、インバータを複数の制御棒で共用するために必要な具体的構成が明確でなく、改良の余地があることが明らかとなった。
【0010】
本発明は、原子力プラント建設時の初期設備を合理化することが可能な制御棒操作監視装置および制御棒操作監視方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、プラントの運転時に電動駆動により制御棒を挿入もしくは引き抜きする制御棒操作監視装置であって、前記制御棒と同数設けられている制御棒駆動モータと、前記制御棒より少ない数設けられている駆動用インバータ電源と、前記制御棒を駆動する際に、前記制御棒駆動モータと前記駆動用インバータ電源とを接続するスイッチング部と、前記駆動用インバータ電源のうちいずれの前記駆動用インバータ電源を用いるかを決定し、前記スイッチング部を制御するインバータ選択制御部と、前記スイッチング部を切り替える際に前記制御棒駆動モータの回転軸角度から換算される前記制御棒の軸方向の位置を前記制御棒ごとに記憶する第1記憶部と、前記駆動用インバータ電源の駆動情報を記憶する第2記憶部と、を備え、前記インバータ選択制御部は、前記第2記憶部に記憶された前記駆動情報に基づいて、使用頻度の低い前記駆動用インバータ電源を優先的に用いるようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、原子力プラント建設時の初期設備を合理化することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】制御棒が205体の場合の参考技術の制御棒操作監視装置の構成の一例を示す図。
【
図2】本発明の実施例の制御棒操作監視装置を含む原子炉の全体概略構成の一例を示す図。
【
図3】制御棒が205体の場合の本発明の実施例の制御棒操作監視装置の構成の一例を示す図。
【
図4】本発明の実施例の制御棒操作監視装置における、駆動用インバータ電源が8台の場合のインバータ選択論理回路の処理の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の制御棒操作監視装置および制御棒操作監視方法の実施例について
図1乃至
図4を用いて説明する。なお、本明細書で用いる図面において、同一のまたは対応する構成要素には同一、または類似の符号を付け、これらの構成要素については繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0015】
まず、制御棒操作監視装置の参考構成について
図1を用いて説明する。
【0016】
図1に示すように、参考技術の制御棒操作監視装置108では、制御棒挿入引抜論理回路11で生成された制御棒挿入引抜信号を受信した個別制御棒挿入引抜論理回路12内で個々の制御棒の状態を確認して挿入・引き抜きするかを決定してインバータ電源制御部13に対して駆動指令信号を出力し、制御棒2を駆動する制御棒駆動モータ6の全てに1台ずつ設置された駆動用インバータ電源107を通して、制御棒2を駆動していた。
【0017】
しかしながら、原子炉の通常運転時においては、同時に操作できる制御棒の本数は最大でも26本であることから、駆動用インバータ電源107の多くが待機状態にあるため稼働率は低く、さらに制御棒の駆動電源は1体の制御棒にそれぞれ1台ずつ装備されているため設備コストが大きい。
【0018】
これに対する本発明の制御棒操作監視装置の構成について
図2乃至
図4を用いて説明する。
図2は実施例の制御棒操作監視装置を含む原子炉の全体概略構成の一例を示す図、
図3は制御棒が205体の場合の実施例の制御棒操作監視装置の構成の一例を示す図、
図4は実施例の制御棒操作監視装置における、駆動用インバータ電源が8台の場合のインバータ選択論理回路の処理の流れを示す図である。
【0019】
最初に、本実施例の制御棒操作監視装置を含めた原子炉の全体構成について
図2を用いて説明する。
【0020】
図2に示すように、制御棒操作監視装置8は、運転員操作部9、自動出力制御装置10並びに原子炉緊急停止装置5からの制御棒挿入引抜指令信号S5、制御棒緊急挿入信号S4の信号により原子炉1内に配置された制御棒2を電動駆動させる構成である。
【0021】
原子炉緊急停止装置5では原子炉1内に配置された原子炉出力検出器3や原子炉水位・圧力検出器4からの原子炉出力信号S1や原子炉水位・圧力信号S2等を受け、原子炉の状態を常に監視している。
【0022】
原子炉出力信号S1が異常に上昇した場合や原子炉水位・圧力信号S2が異常に低下・上昇した場合には、原子炉1や燃料の健全性を確保するため、原子炉緊急停止信号S3を発信して制御棒2を水圧駆動により緊急挿入する。この時、原子炉緊急停止装置5は同時に制御棒緊急挿入信号S4を制御棒操作監視装置8に発信し、電動駆動によるバックアップの制御棒挿入動作を行う。
【0023】
次いで、制御棒操作監視装置8の構成を
図3に基づいて説明する。
【0024】
図3に示すように、制御棒操作監視装置8はプラントの運転時に電動駆動により制御棒2を挿入もしくは引き抜きするための装置であって、制御棒挿入引抜論理回路11、個別制御棒挿入引抜論理回路12、インバータ電源制御部13、制御棒駆動モータ6、駆動用インバータ電源7、スイッチング部20、制御棒座標・位置記憶装置16、インバータ選択制御部17、緊急時用インバータ制御部14、大型駆動用インバータ電源15から構成される。
【0025】
制御棒駆動モータ6は、制御棒2と同数設けられている。これに対し、駆動用インバータ電源7は、制御棒2より少ない数設けられている。スイッチング部20は、制御棒2を駆動する際に、制御棒駆動モータ6と駆動用インバータ電源7とを接続する。
【0026】
次いで、インバータ選択制御部17の構成を
図4を用いて説明する。
【0027】
インバータ選択制御部17は、従来は1体の制御棒2につき1台ずつ装備されていた駆動用インバータ電源7を複数台の制御棒2で共用化するために設けられており、複数台の駆動用インバータ電源7のうちいずれの駆動用インバータ電源7を用いるかを決定し、スイッチング部20を制御する部分であり、インバータ使用量記憶装置18及びインバータ選択論理回路19から構成される。
【0028】
このインバータ選択制御部17は、インバータ使用量記憶装置18に記憶された駆動情報に基づいて、使用頻度の低い駆動用インバータ電源7を優先的に用いるようにする。
【0029】
インバータ使用量記憶装置18は、駆動用インバータ電源7の駆動情報として、駆動用インバータ電源7の入り切り回数、あるいは駆動用インバータ電源7の積算電力消費量を記憶する。
【0030】
インバータ選択論理回路19は、インバータ使用量記憶装置18からのインバータ使用量の情報を入力として、以下の2つの判定を行うことで使用する駆動用インバータ電源7を選択するとともに、使用する駆動用インバータ電源7と駆動すべき制御棒2に接続された制御棒駆動モータ6とをつなげるためのスイッチング部20の切り替え選択を行う。
【0031】
図4に示すように、はじめに、インバータ選択論理回路19は、電源の入り切り回数が最小の駆動用インバータ電源7が1台のみ存在するかどうかを確認する(判定1)。存在すると判定された場合は、当該の電源入り切り回数が最小の駆動用インバータ電源7を選択し、その駆動用インバータ電源7を使用する信号を駆動用インバータ電源7に送信するとともに、駆動対象の制御棒2を駆動させる制御棒駆動モータ6と駆動用インバータ電源7とをつなげるためのスイッチング部20の切り替え信号を出力する(出力1)。
【0032】
判定1において電源の入り切り回数が最小の駆動用インバータ電源7が1台のみ存在しないと判定された場合は、判定2に移行する。次いで、インバータ選択論理回路19は、積算電力消費量が最小の駆動用インバータ電源7が1台のみ存在するかどうかを確認する(判定2)。
存在すると判定された場合は、当該の積算電力消費用が最小の駆動用インバータ電源7を選択し、その駆動用インバータ電源7を使用する信号を該当の駆動用インバータ電源7に送信するとともに、駆動対象の制御棒2を駆動させる制御棒駆動モータ6と駆動用インバータ電源7とをつなげるためのスイッチング部20の切り替え信号を出力する(出力2)。
【0033】
これに対し、判定2において積算電力消費量が最小の駆動用インバータ電源7が1台のみ存在しないと判定された場合は、各々の駆動用インバータ電源7に振られたインバータ番号のうち最も小さい番号の駆動用インバータ電源7を選択し、その駆動用インバータ電源7を使用する信号を、該当する駆動用インバータ電源7に送信するとともに、駆動対象の制御棒2を駆動させる制御棒駆動モータ6と駆動用インバータ電源7とをつなげるためのスイッチング部20の切り替え信号を出力する(出力3)。
【0034】
選択された駆動用インバータ電源7を使用して駆動対象の制御棒駆動モータ6に電力を供給する。
【0035】
また、出力1、出力2、あるいは出力3の信号を受けて、駆動用インバータ電源7が運転されるたびにインバータ使用量をインバータ使用量記憶装置18に送信し、各々の駆動用インバータ電源7の電源入り切り回数と積算電力消費量を記憶する。
【0036】
なお、
図4の判定1(電源入り切り回数に基づく判定)と判定2(電力消費量に基づく判定)の順序は入れ替え可能であり、制御棒2の挿入に想定以上の負荷がかかる場合は逆になることもあり得る。
【0037】
図3に戻り、制御棒座標・位置記憶装置16は、スイッチング部20を切り替える際に制御棒駆動モータ6の回転軸角度から換算される制御棒2の軸方向の位置を制御棒2ごとに記憶する。
【0038】
大型駆動用インバータ電源15は、駆動用インバータ電源7よりも大型の電源であり、駆動用インバータ電源7とは別に全ての制御棒2の一斉挿入を可能とするための電源である。緊急時用インバータ制御部14は、緊急時に大型駆動用インバータ電源15を制御して、原子炉緊急停止時の制御棒一斉挿入を実現する。
【0039】
次いで、制御棒操作監視装置8での処理の流れについて説明する。
【0040】
制御棒2が挿入されるような場合、制御棒挿入引抜論理回路11では原子炉緊急停止装置5からの制御棒緊急挿入信号S4や運転員操作部9、自動出力制御装置10からの制御棒挿入引抜指令信号S5を受け、どの制御棒2をどのように挿入引抜するかを判断し、その結果が個別制御棒挿入引抜論理回路12に受け渡される。
【0041】
個別制御棒挿入引抜論理回路12で個々の制御棒2に対する信号を生成する。生成された信号はインバータ電源制御部13を通して駆動用インバータ電源7に受け渡される。
【0042】
その際に、インバータ選択制御部17では、インバータ使用量記憶装置18に記憶された情報を用いてインバータ選択論理回路19が制御棒2の駆動に使用する駆動用インバータ電源7を選択する(インバータ選択制御工程)。
【0043】
選択された駆動用インバータ電源7からスイッチング部20により指定された制御棒駆動モータ6に電源が供給され(スイッチング工程)、制御棒2が駆動する。この結果、制御棒2が挿入される仕組みとなる。
【0044】
この駆動用インバータ電源7を切り替える際に、制御棒駆動モータ6の回転軸角度から換算されるからの制御棒2の座標とその制御棒2の軸方向の位置情報、移動量の情報を制御棒座標・位置記憶装置16に送信し、各々の制御棒2の挿入位置を記憶する(第1記憶工程)。
【0045】
また、使用した駆動用インバータ電源7の駆動情報、例えばON,OFFの回数情報、および/あるいは電力消費量をインバータ使用量記憶装置18に記憶する(第2記憶工程)。
【0046】
次に、本実施例の効果について説明する。
【0047】
上述した本実施例の制御棒操作監視装置8はプラントの運転時に電動駆動により制御棒2を挿入もしくは引き抜きするものであって、制御棒2と同数設けられている制御棒駆動モータ6と、制御棒2より少ない数設けられている駆動用インバータ電源7と、制御棒2を駆動する際に、制御棒駆動モータ6と駆動用インバータ電源7とを接続するスイッチング部20と、駆動用インバータ電源7のうちいずれの駆動用インバータ電源7を用いるかを決定し、スイッチング部20を制御するインバータ選択制御部17と、スイッチング部20を切り替える際に制御棒駆動モータ6の回転軸角度から換算される制御棒2の軸方向の位置を制御棒2ごとに記憶する制御棒座標・位置記憶装置16と、を備える。
【0048】
よって、1体の制御棒2につき1台ずつ装備されていた駆動用インバータ電源7を複数台の制御棒2で共用化することができ、駆動用インバータ電源7の個数を最小限に抑え、設備の合理化を図ることができる。また、制御棒2の位置管理のために制御棒2の軸方向位置も記憶することで駆動用インバータ電源7の切り替えを行っても制御棒2の軸方向位置をロストすることが無く、具体的な実現も可能となる。
【0049】
また、駆動用インバータ電源7の駆動情報を記憶するインバータ使用量記憶装置18を更に備え、インバータ選択制御部17は、インバータ使用量記憶装置18に記憶された駆動情報に基づいて、使用頻度の低い駆動用インバータ電源7を優先的に用いるようにする、特に駆動用インバータ電源7の入り切り回数、あるいは積算電力消費量を記憶するため、使用頻度あるいは使用量の低い駆動用インバータ電源7から使用でき、共用化した駆動用インバータ電源7それぞれの使用頻度、使用量を平均化することができる。このため、設備の長寿命化が可能となるともに、メンテナンスや交換作業の頻度を同じような時期にあわせることができ、作業を省力化できる。
【0050】
更に、駆動用インバータ電源7よりも大型の大型駆動用インバータ電源15を更に備えることで、原子炉緊急挿入時に全ての制御棒2に対して電力を供給することができる。このため、従来の機能が損なわれることを防ぐことができる。
【0051】
<その他>
なお、本発明は上記の実施例に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
【符号の説明】
【0052】
1:原子炉
2:制御棒
3:原子炉出力検出器
4:原子炉水位・圧力検出器
5:原子炉緊急停止装置
6:制御棒駆動モータ
7:駆動用インバータ電源
8:制御棒操作監視装置
9:運転員操作部
10:自動出力制御装置
11:制御棒挿入引抜論理回路
12:個別制御棒挿入引抜論理回路
13:インバータ電源制御部
14:緊急時用インバータ制御部
15:大型駆動用インバータ電源(緊急駆動用インバータ電源)
16:制御棒座標・位置記憶装置(第1記憶部)
17:インバータ選択制御部
18:インバータ使用量記憶装置(第2記憶部)
19:インバータ選択論理回路
20:スイッチング部
107:駆動用インバータ電源
108:制御棒操作監視装置
S1:原子炉出力信号
S2:原子炉水位・圧力信号
S3:原子炉緊急停止信号(水圧駆動)
S4:制御棒緊急挿入信号
S5:制御棒挿入引抜指令信号(電動駆動)
S6:制御棒緊急挿入指令信号(電動駆動)