(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】カニューレアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 60/857 20210101AFI20241009BHJP
A61M 60/13 20210101ALI20241009BHJP
A61M 60/237 20210101ALI20241009BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
A61M60/857
A61M60/13
A61M60/237
A61M25/00 502
A61M25/00 550
(21)【出願番号】P 2022092103
(22)【出願日】2022-06-07
(62)【分割の表示】P 2021007721の分割
【原出願日】2015-05-13
【審査請求日】2022-07-07
(32)【優先日】2014-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510121444
【氏名又は名称】アビオメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】コーベット スコット シー.
(72)【発明者】
【氏名】ヘイスティー ケイトリン
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0172655(US,A1)
【文献】特表2007-501644(JP,A)
【文献】特開平11-239617(JP,A)
【文献】特表2012-527269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/857
A61M 60/13
A61M 60/237
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カニューレと、
前記カニューレと連結し
たピグテール延長部とを備え、
前記ピグテール延長部は、
第一の剛性を有する近位部、および
第二の剛性を有する遠位部
を含み、
前記第一の剛性が該第二の剛性よりも大きく、
前記近位部は、血管内心臓ポンプシステムによって生成される推力に応じて座屈に抵抗するように
、少なくとも60ショアDの硬度を有する材料からなり、
前記遠位部は、前記近位部の材料より硬度が小さい材料からなり、
前記近位部が、
前記カニューレと
前記遠位部の少なくとも一部分との間に位置決めされている
、
血管内心臓ポンプシステム用のカニューレアセンブリ。
【請求項2】
前記ピグテール延長部の前記近位部が、60~100ショアDの範囲内の硬度を有する、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項3】
前記ピグテール延長部の前記遠位部が、20~50ショアDの範囲内の硬度を有する、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項4】
前記遠位部が湾曲部分を含む、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項5】
前記湾曲部分が、前記カニューレの中心軸に対して実質的に垂直な軸の周りに湾曲している、請求項4に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項6】
前記湾曲部分が、180度超湾曲している、請求項5に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項7】
前記遠位部の材料が、前記血管内心臓ポンプシステムによって生成される前記推力に応じて
前記遠位部が座屈するように
、50ショアD以下の硬度を有する、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項8】
前記ピグテール延長部の前記近位部が10mm超の長さを有する、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項9】
前記ピグテール延長部が、前記カニューレに取り外し可能に連結するように構成されている、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項10】
前記ピグテール延長部の前記遠位部が、該ピグテール延長部の全長の25%~75%である、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項11】
前記カニューレに連結されたポンプをさらに備え、該カニューレが該ポンプと前記ピグテール延長部との間に位置決めされている、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項12】
前記ポンプが、複数の排血用アパーチャを含むポンプハウジングコンポーネントによって前記カニューレに連結されている、請求項11に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項13】
前記カニューレが血液インレットマニホールドを含む、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項14】
前記ピグテール延長部の前記近位部がナイロンから構成される、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項15】
前記ピグテール延長部の前記近位部がポリウレタンおよびペバックス(登録商標)のうちの1つまたは複数を含むポリマーから構成される、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項16】
前記ピグテール延長部の前記遠位部がペバックス(登録商標)から構成される、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項17】
前記ピグテール延長部の前記遠位部がポリウレタンから構成される、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項18】
ピグテール延長部をカニューレに連結する段階であって、
前記ピグテール延長部が、第一の剛性を有する近位部および第二の剛性を有する遠位部を含み、
前記近位部が、該カニューレと
前記遠位部の少なくとも一部分との間に位置決めされ、
前記近位部は、血管内心臓ポンプシステムによって生成される推力に応じて座屈に抵抗するように
、少なくとも60ショアDの硬度を有する材料からなり、前記遠位部は、前記近位部の材料より硬度が小さい材料からなる、段階;及び
ポンプを該カニューレに連結する段階であって、該カニューレが該ポンプと該ピグテール延長部との間に位置決めされる、段階を含む、該血管内心臓ポンプシステム用のカニューレアセンブリを製造する方法。
【請求項19】
前記ピグテール延長部の前記近位部が、60~100ショアDの範囲内の硬度を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ピグテール延長部の前記遠位部が、20~50ショアDの範囲内の硬度を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記ポンプが、複数の排血用アパーチャを含むポンプハウジングコンポーネントによって前記カニューレに連結されている、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記ピグテール延長部が、血液インレットマニホールドを介して前記カニューレに連結されている、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記ピグテール延長部が、前記カニューレに取り外し可能に連結されている、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記遠位部の材料が、前記血管内心臓ポンプシステムによって生成される前記推力に応じて
前記遠位部が座屈するように
、50ショアD以下の硬度を有する、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C. § 119(e) の元、2014年5月13日に提出され参照によりその内容全体が本明細書に組み入れられる米国特許仮出願第61/992,825号による優先権の恩典を主張する。
【0002】
技術分野
本開示はカニューレアセンブリに関する。より具体的には、本開示は、血管内心臓ポンプシステムなどの血液ポンプアセンブリとともに実施可能なカニューレアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
心臓から動脈に血液を送達するため、心臓内または血管内の血液ポンプなどの血液ポンプアセンブリが心臓内に導入されることがある。血液ポンプアセンブリは、心臓治療手技の際に、血管系を通じて経皮的に導入されることがある。具体的には、血液ポンプアセンブリは、カテーテル手技によって、大腿動脈または腋窩/鎖骨下動脈を通り、上行大動脈に入り、弁を越え、そして左心室に挿入されることがある。挿入された血液ポンプアセンブリは、カニューレを通して左心室から血液を引き、そして血液を大動脈内へと駆出する。
【0004】
心室内の血液ポンプアセンブリの安定性は、ポンプの使用および性能に影響を及ぼす。心室尖部に近すぎるところに血液ポンプアセンブリを位置決めすると、吸引および不整脈の問題につながることがある。心室内の深すぎるところに血液ポンプアセンブリを位置決めすると、アウトレットが大動脈弁上または心室内に来ることがある。血液ポンプアセンブリの位置決めが不適切であると、血液ポンプアセンブリが再位置決めされる際に貴重な時間が消費される。このような実施形態を必要とする手技は患者の生命の維持可能性および質に影響を及ぼすため、血液ポンプアセンブリの再位置決めに消費される時間は、生命にかかわることがある。
【発明の概要】
【0005】
概要
本明細書に開示されるシステム、方法、およびデバイスは、血管内血液ポンプ用のカニューレアセンブリを提供する。カニューレアセンブリは、二重剛性ピグテール延長部に連結されたカニューレを含む。二重剛性ピグテール延長部は、比較的剛性の近位部と、比較的軟性の遠位部とを有する。血管内血液ポンプは、患者の組織に対してカニューレアセンブリを圧迫する推力を生じさせてもよい。剛性の近位部は、そのような圧迫下で実質的に座屈に抵抗できるだけ充分に剛性である(例えば、ショアDスケール上で60、70、80、90、100、またはそれより高い硬度など)。対照的に、遠位部分は、患者の組織に対して座屈する傾向を示すように充分軟性または可撓性であってもよい(例えば、ショアDスケール上で50、40、30、20、またはそれより低い硬度など)。このコントロールされた座屈によって、ピグテール延長部の近位領域は、機械的なスペーサーとして作用できるように元の長さを実質的に維持することが可能となる。このスペーシングは、患者の心臓または血管系に対して血管内血液ポンプを適切に位置決めすることを促すことができる。例えば、剛性の近位部は、組織を吸引することを避けるため、血液インレットが心室壁に近くなりすぎることを防いでもよい。さらに、剛性の近位部は、血液ポンプのアウトレットが、インレットに対して弁(例えば大動脈弁)の反対側に確実に位置決めされるようにしてもよい。このことは、血液が心室から汲み出されて心拍出量が増えることを可能にする。同時に、比較的軟性の遠位部が、患者の組織に対する外傷を減少させてもよい。例えば、遠位部の、より軟性の材料は、患者の組織内に局所的に誘発される応力を減少させてもよい。さらに、ピグテールの遠位部の変形は、組織に伝えられる力が分布する面積を増大させてもよい。本明細書において用いられる「血管内の」は、患者の血管系内か、患者の心臓の中か、またはその両方の中に全体または一部が位置決めされる構成要素を参照する。さらに、本明細書において用いられる二重剛性は、剛性が異なる少なくとも2つのセクションを有する構成要素を参照する。
【0006】
いくつかの実施形態において、カニューレと、長さがさまざま(例えば、10mm、20mm、30mm、40mm、50mm、60mm、または他の任意の好適な長さ)である比較的剛性の近位部を有する2つまたはそれ以上のピグテール延長部とを含む、キットが提供される。キット中の各ピグテール延長部は、カニューレの遠位端部分に連結するように構成された近位端部分を有する。連結は、カニューレアセンブリにもともと連結されているピグテール延長部を医師が変えることができるように、取り外し可能であってもよい。このことは、特定の患者に合わせて血管内血液ポンプを位置決めするための適切なスペーシングを提供するピグテール延長部を医師が選択することを可能にする。いくつかの実施形態において、剛性の近位部の妥当な長さは、画像法(例えば、X線、MRI、CTスキャン、蛍光透視、もしくは超音波)を用いて決定されるか、または、患者データ(例えば、身長、性別、年齢、もしくは体重)を用いて推定される。
【0007】
さまざまな実施形態が、血液ポンプアセンブリ、ならびに、血液ポンプアセンブリを製造および実施する方法を提供する。さまざまな実施形態が、カニューレと、カニューレに連結されたピグテール延長部とを含むカニューレアセンブリを提供する。ピグテール延長部は、第一の剛性を有する近位部と、第二の剛性を有する遠位部とを含み、第一の剛性は第二の剛性より大きい。ピグテール延長部の近位部は、カニューレと遠位部の少なくとも一部分との間に位置決めされる。
【0008】
特定の実施形態において、カニューレアセンブリは、カニューレに連結されたポンプを含む。カニューレはポンプとピグテール延長部との間に位置決めされる。カニューレアセンブリは、ポンプモーターに回転可能に連結されたインペラブレードを含んでいてもよい。特定の実施形態に従って、ポンプは、複数の排血用アパーチャを含むポンプハウジングコンポーネントによってカニューレに連結される。特定の実施形態において、ポンプハウジングコンポーネントは、インペラブレードの回転軸の周りに伸びている周壁を含む。周壁は複数の排血用アパーチャを含み;複数の排血用アパーチャの各排血用アパーチャは、アパーチャ周囲縁部によって取り囲まれる。アパーチャ周囲縁部は、周壁内面から周壁外面まで、周壁を横切って伸びている。特定の実施形態に従って、アパーチャ周囲縁部は、周壁内面と周壁外面との間で丸み付けされた丸み付け縁部分を含む。カニューレコンポーネントは血液インレットマニホールドを含んでいてもよい。血液インレットマニホールドは複数のインレット開口部を含んでいてもよい。特定の実施形態において、ピグテール延長部の近位部はナイロンから構成される。特定の実施形態において、ピグテール延長部の近位部は、ポリウレタンまたはペバックス(登録商標)のうち1つまたは複数を非限定的に含むポリマーから構成される。特定の実施形態において、ピグテール延長部の遠位部はペバックスから構成される。特定の実施形態において、ピグテール延長部の遠位部は、ポリウレタンを非限定的に含むポリマーから構成される。ピグテール延長部の近位部は、60~100 ショアDの範囲内の硬度またはデュロメーター値を有していてもよい。ピグテール延長部の遠位部は、20~50 ショアDの範囲内の硬度またはデュロメーター値を有していてもよい。近位部分の剛性は、ガラス充填材または金属製もしくはファイバー製の組紐など、他の材料の添加によって変更されてもよい。
【0009】
さまざまな実施形態が、カニューレアセンブリを製造する方法を提供する。方法は、ピグテール延長部をカニューレに連結する段階を含む。ピグテール延長部は、第一の剛性を有する近位部と、第一の剛性より小さい第二の剛性を有する遠位部とを含む。近位部は、カニューレと遠位部の少なくとも一部分との間に位置決めされる。方法はまた、カニューレにポンプを連結する段階も含む。カニューレはポンプとピグテール延長部との間に位置決めされる。
【0010】
特定の実施形態において、インペラブレードがポンプモーターに回転可能に連結される。特定の実施形態に従って、インペラブレードは、少なくとも部分的にポンプハウジングコンポーネント内に位置決めされる。特定の実施形態に従って、ポンプは、複数の排血用アパーチャを含むポンプハウジングコンポーネントによってカニューレに連結される。ピグテール延長部は血液インレットマニホールドを介してカニューレに連結されてもよい。血液インレットマニホールドは複数のインレット開口部を含んでいてもよい。特定の実施形態において、ピグテール延長部の近位部はナイロンから構成される。特定の実施形態において、ピグテール延長部の近位部は、ポリウレタンまたはペバックスのうち1つまたは複数を非限定的に含むポリマーから構成される。特定の実施形態において、ピグテール延長部の遠位部はペバックスから構成される。特定の実施形態において、ピグテール延長部の遠位部は、ポリウレタンを非限定的に含むポリマーから構成される。
【0011】
[本発明1001]
カニューレと、
該カニューレに連結されており、
第一の剛性を有する近位部、および
第二の剛性を有する遠位部
を含み、
該第一の剛性が該第二の剛性より大きく、かつ
該近位部が、該カニューレと該遠位部の少なくとも一部分との間に位置決めされている、
ピグテール延長部と
を備える、血管内心臓ポンプシステム用のカニューレアセンブリ。
[本発明1002]
前記ピグテール延長部の前記近位部が、約60~100 ショアDの範囲内の硬度を有する、本発明1001のカニューレアセンブリ。
[本発明1003]
前記ピグテール延長部の前記遠位部が、約20~50 ショアDの範囲内の硬度を有する、本発明1001または1002のカニューレアセンブリ。
[本発明1004]
前記遠位部が湾曲部分を含む、本発明1001~1003のいずれかのカニューレアセンブリ。
[本発明1005]
前記湾曲部分が、前記カニューレの中心軸に対して実質的に垂直な軸の周りに湾曲している、本発明1001~1004のいずれかのカニューレアセンブリ。
[本発明1006]
前記湾曲部分が約180度超湾曲している、本発明1001~1005のいずれかのカニューレアセンブリ。
[本発明1007]
前記近位部が、血液ポンプアセンブリによって生成された推力より大きい座屈荷重を有するような寸法にされている、本発明1001~1006のいずれかのカニューレアセンブリ。
[本発明1008]
前記遠位部が、血液ポンプアセンブリによって生成された推力より小さい座屈荷重を有するような寸法にされている、本発明1001~1007のいずれかのカニューレアセンブリ。
[本発明1009]
前記ピグテール延長部の前記近位部が約10mm超の長さを有する、本発明1001~1008のいずれかのカニューレアセンブリ。
[本発明1010]
前記ピグテール延長部が、前記カニューレに取り外し可能に連結するように構成されている、本発明1001~1009のいずれかのカニューレアセンブリ。
[本発明1011]
前記ピグテール延長部の前記遠位部が、該ピグテール延長部の全長の約25%~75%である、本発明1001~1010のいずれかのカニューレアセンブリ。
[本発明1012]
前記カニューレに連結されたポンプをさらに備え、該カニューレが該ポンプと前記ピグテール延長部との間に位置決めされている、本発明1001~1011のいずれかのカニューレアセンブリ。
[本発明1013]
前記ポンプが、複数の排血用アパーチャを含むポンプハウジングコンポーネントによって前記カニューレに連結されている、本発明1001~1012のいずれかのカニューレアセンブリ。
[本発明1014]
前記カニューレが血液インレットマニホールドを含む、本発明1001~1013のいずれかのカニューレアセンブリ。
[本発明1015]
前記ピグテール延長部の前記近位部がナイロンから構成されている、本発明1001~1014のいずれかのカニューレアセンブリ。
[本発明1016]
前記ピグテール延長部の前記近位部が、ポリウレタンおよびペバックス(pebax)のうち1つまたは複数を含むポリマーから構成されている、本発明1001~1015のいずれかのカニューレアセンブリ。
[本発明1017]
前記ピグテール延長部の前記遠位部がペバックスから構成されている、本発明1001~1016のいずれかのカニューレアセンブリ。
[本発明1018]
前記ピグテール延長部の前記遠位部がポリウレタンから構成されている、本発明1001~1017のいずれかのカニューレアセンブリ。
[本発明1019]
ピグテール延長部をカニューレに連結する段階であって、該ピグテール延長部が、第一の剛性を有する近位部と第二の剛性を有する遠位部とを含み、該近位部が、該カニューレと該遠位部の少なくとも一部分との間に位置決めされる、段階;および
ポンプを該カニューレに連結する段階であって、該カニューレが、該ポンプと該ピグテール延長部との間に位置決めされる、段階
を含む、血管内心臓ポンプシステム用のカニューレアセンブリを製造する方法。
[本発明1020]
前記ピグテール延長部の前記近位部が、60~100 ショアDの範囲内の硬度を有する、本発明1019の方法。
[本発明1021]
前記ピグテール延長部の前記遠位部が、20~50 ショアDの範囲内の硬度を有する、本発明1019または1020の方法。
[本発明1022]
前記ポンプが、複数の排血用アパーチャを含むポンプハウジングコンポーネントによって前記カニューレに連結される、本発明1019~1021のいずれかの方法。
[本発明1023]
前記ピグテール延長部が、血液インレットマニホールドを介して前記カニューレに連結される、本発明1019~1022のいずれかの方法。
[本発明1024]
前記ピグテール延長部が、前記カニューレに取り外し可能に連結される、本発明1019~1023のいずれかの方法。
[本発明1025]
カニューレと、
第一の剛性および第一の長さを有する第一の近位部ならびに第二の剛性を有する第一の遠位部を含み、該第一の剛性が該第二の剛性より大きい、第一のピグテール延長部と、
第三の剛性および第二の長さを有する第二の近位部ならびに第四の剛性を有する第二の遠位部を含み、該第三の剛性が該第四の剛性より大きい、第二のピグテール延長部と
を備え、
該第二の長さが該第一の長さより大きく、かつ
該第一のピグテール延長部および該第二のピグテール延長部がそれぞれ、該カニューレに取り外し可能に連結するように構成されている、
血管内心臓ポンプシステム用のカニューレアセンブリキット。
当業者には、本開示の検討後、バリエーションおよび修正が想起されるであろう。開示されている特徴は、本明細書に説明されている1つまたは複数の他の特徴とともに、任意の組み合わせおよび下位の組み合わせ(複数の従属的な組み合わせおよび下位の組み合わせを含む)において実施されてもよい。以上に説明または例示されている種々の特徴は、それらの任意の構成要素も含めて、他のシステムに組み合わされるかまたは統合されてもよい。さらに、特定の特徴は省略されてもよいか、または実施されなくてもよい。前述の概念および以下により詳しく述べる追加の概念のすべての組み合わせは、(そのような概念が互いに矛盾しない限り、)本明細書に開示される発明内容の一部であると企図されていることが理解されるべきである。特に、本開示の最後にある、特許請求される内容のすべての組み合わせは、本明細書に開示される発明内容の一部であると企図されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
当業者は、添付の図面が、主として例示を目的としたものであり、本明細書に説明される内容の範囲を制限することを意図していないことを理解するであろう。図面は必ずしも縮尺が一律でなく、場合によっては、異なる特徴の理解を助けるため、本明細書に開示される内容のさまざまな局面が、図面において誇張または拡大して示されることもある。図面において、類似の参照記号は、概して類似の特徴を参照する(例えば、機能的に似ている、かつ/または構造的に似ている要素など)。
【
図1】例示的実施形態に従ってカニューレアセンブリを示している。
【
図2】例示的実施形態に従ってピグテール延長部の側断面図を示している。
【
図3】
図2のピグテール延長部の端面図を示している。
【
図4】特定の実施形態に従って、カニューレアセンブリを製造する方法を図示している。
【0013】
本明細書に開示される本発明の概念の特徴および利点は、これら図面とともに以下の説明を読むことによって、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
以下は、カニューレアセンブリを提供する本発明のシステムおよび方法に関するさまざまな概念、および、本発明のシステムおよび方法の実施形態についての、より詳細な説明である。開示される概念は、実施形態のいかなる特定の様式にも限定されることはなく、したがって、上記で概説されかつ以下により詳しく述べられるさまざまな概念は、多数あるうちの任意の手法で実施されてもよいことが理解されるべきである。特定の実施形態および用途の例は、主として例示の目的で提供される。
【0015】
本明細書に開示されるシステム、方法、およびデバイスは、血管内血液ポンプ用のカニューレアセンブリを提供する。カニューレアセンブリは、二重剛性ピグテール延長部に連結されたカニューレを含む。二重剛性ピグテール延長部は、比較的剛性の近位部と、比較的軟性の遠位部とを有する。血管内血液ポンプは、患者の組織に対してカニューレアセンブリを圧迫する推力を生じさせてもよい。剛性の近位部は、そのような圧迫下で実質的に座屈に抵抗できるだけ充分に剛性である(例えば、ショアDスケール上で60、70、80、90、100、またはそれより高い硬度など)。対照的に、遠位部分は、患者の組織に対して座屈する傾向を示すように充分に軟性または可撓性であってもよい(例えば、ショアDスケール上で50、40、30、20、またはそれより低い硬度など)。このコントロールされた座屈によって、ピグテール延長部の近位領域は、機械的なスペーサーとして作用できるように元の長さを実質的に維持することが可能となる。このスペーシングは、患者の心臓または血管系に対して血管内血液ポンプを適切に位置決めすることを促すことができる。例えば、剛性の近位部は、組織を吸引することを避けるため、血液インレットが心室壁に近くなりすぎることを防いでもよい。さらに、剛性の近位部は、血液ポンプのアウトレットが、インレットに対して弁(例えば大動脈弁)の反対側に確実に位置決めされるようにしてもよい。このことは、血液が心室から汲み出されて心拍出量が増えることを可能にする。同時に、比較的軟性の遠位部が、患者の組織に対する外傷を減少させてもよい。例えば、遠位部の、より軟性の材料は、患者の組織内に局所的に誘発される応力を減少させてもよい。さらに、ピグテールの遠位部の変形は、組織に伝えられる力が分布する面積を増大させてもよい。本明細書において用いられる血管内のは、患者の血管系内か、患者の心臓の中か、またはその両方の中に全体または一部が位置決めされる構成要素を参照する。さらに、本明細書において用いられる二重剛性は、剛性が異なる少なくとも2つのセクションを有する構成要素を参照する。
【0016】
図1は、例示的実施形態に従って血液ポンプアセンブリを示している。血液ポンプアセンブリ100は、血液ポンプ101と、ハウジングコンポーネント102と、血液ポンプ101に回転可能に連結されたインペラブレード103と、カニューレ104と、血液インレットマニホールド105と、ピグテール延長部106と、カテーテル107とを含む。血液ポンプ101は、カニューレ104の遠位端において、ハウジングコンポーネント102によってカニューレ104に連結される。血液ポンプ101はまたカテーテル107にも連結されている。いくつかの実施形態において、血液ポンプ101はモーターを含む。そのような場合、カテーテル107は、ポンプ101を1つまたは複数の電気式コントローラまたは他のセンサーに通信可能に連結する導線を収容していてもよい。特定の実施形態において、ポンプ101は可撓性シャフトによって駆動される。そのような場合、モーターの駆動部分は患者の体外に位置していてもよく、かつカテーテル107は可撓性シャフトを収容していてもよい。カテーテル107はまた、例えばパージ用流体コンジット、または、ガイドワイヤかもしくは手技に関連する他の構成要素かを受けるように構成された他のコンジットなど、他の構成要素も収容していてもよい。ハウジングコンポーネント102は、カニューレ104に引き入れられた血液を血液ポンプアセンブリ100の外に駆出または排出するように構成された、1つまたは複数のアパーチャまたは開口部109を含む。特定の実施形態において、ハウジングコンポーネント102は血液ポンプ101を封入する。
【0017】
特定の実施形態において、血液ポンプ101は、5L/分~2.5L/分の範囲を非限定的に含むポンピング能力を有するマイクロ軸流ポンプを含む。特定の実施形態において、血液ポンプ101は、21Fr~10Frの範囲を非限定的に含む直径を有するマイクロ軸流ポンプを含む。
【0018】
カニューレ104は、細長い可撓性のホース部分を含んでいてもよく、例えばニチノールコイルなどの形状記憶コイルを含んでいてもよい。特定の実施形態において、カニューレ104は、少なくとも部分的に、ポリウレタン材料から構成される。特定の実施形態において、カニューレ104は、12Fr~9Frの範囲を非限定的に含む直径を有する。特定の実施形態において、カニューレ104は45°の曲がり部を含む。カニューレ104は、血流を血液ポンプアセンブリ100内に受けるため、カニューレ104の近位端においてカニューレ104に連結された血液インレットマニホールド105を含む。血液インレットマニホールド105は、インレットマニホールド105内に位置決めされた、1つまたは複数の血液インレット開口部を含む。血液インレットマニホールド105はカニューレ104にピグテール延長部106を連結する。
【0019】
ピグテール延長部106は、血液ポンプアセンブリ100を左心室内の正しい位置に安定化および位置決めするのを補助する。特定の実施形態において、ピグテール延長部は4Fr ~8Frの範囲を非限定的に含む外径を有する。実施において、血液ポンプアセンブリ100は、大腿動脈または腋窩/鎖骨下動脈を通り、そして左心室内へと経皮的に挿入される。適切に位置決めされた場合、血液ポンプアセンブリ100は、左心室の内側にある血液インレットマニホールド105のインレットエリアから、カニューレ104を通り、上行大動脈内に位置決めされたハウジングコンポーネント102のアウトレット開口部へと、血液を送達する。
【0020】
特定の実施形態に従って、ピグテール延長部106は、まっすぐな構成から、部分的に湾曲した構成まで、構成可能である。
図1は湾曲部した構成のピグテール延長部を示している。湾曲部は、カニューレの中心軸に対して実質的に垂直な軸の周りにある。いくつかの実施形態において、湾曲部は180度超(例えば、200、220、240、260、270、300、320度、または任意の好適な角度)である。いくつかの実施形態において、湾曲部は180度未満(例えば、90、100、120、140、160度、または任意の好適な角度)である。したがって、ピグテール延長部106は、少なくとも部分的に、可撓性材料から構成されていてもよい。ピグテール延長部106は二重剛性を有する。具体的には、ピグテール延長部106は遠位部107と近位部108とを含み、近位部108は遠位部107より高い剛性を有する材料から構成されている。近位部108は、血液インレットマニホールド105およびカニューレ104と異なる材料から構成されていてもよく、かつこれらと異なる構造を有していてもよい。特定の実施形態において、近位部108は、近位部108の座屈を実質的に防ぐように充分剛性であり、これによって、血液インレットマニホールド105の血液インレット開口部を、心室尖部から離れるようにスペーシングする。近位部108の剛性はまた、ハウジングコンポーネント102の血液アウトレット開口部または排血用アパーチャ109が心臓の大動脈弁の中または心室の中に移動する可能性も減少させる。ピグテール延長部106の遠位部107は、心室壁と接触するための非外傷性先端を提供するため、近位部108と比較して可撓性である。この可撓性はまた、ピグテール延長部106の内部コンジット210を通してガイドワイヤを挿入することも可能にする。特定の実施形態において、ピグテール延長部の近位部108と遠位部107とは、異なる剛性を有する異なる材料から構成される。特定の実施形態において、ピグテール延長部の近位部108と遠位部107とは、異なる剛性を有する同じ材料から構成される。
【0021】
いくつかの実施形態において、ピグテール延長部の近位部108の長さは、具体的な患者の左心室のサイズに基づいて選択される。例えば、さまざまな長さの剛性近位部を有する2つまたはそれ以上のピグテール延長部を含むキットが医師に提供されてもよい。キット中の各ピグテール延長部は、(例えば血液インレットマニホールド105などにおいて)カニューレに連結するように構成された近位端部分を有していてもよい。特に、ピグテール延長部の近位端部分が、カニューレに取り外し可能に連結するように構成されていてもよい。例えば、ピグテール延長部の近位端部分は、スナップ接続部、締り嵌め、ねじ式コネクタ、または、他の任意の好適な可逆コネクタもしくは取り外し可能コネクタを含んでいてもよい。このことは、ピグテール延長部の接続が、患者の血管系内で外れることを防ぐよう充分に安全でありながら、カニューレにもともと連結されているピグテール延長部を医師が変えることを可能にする。特定の実施形態において、このことは、必要に応じてより大きいかまたはより小さいピグテールに交換されてもよい、カテーテル104に最初に連結されている「標準的」サイズのピグテールを有するカニューレを、キットが最初に含んでいることを可能にする。「標準的な」ピグテール延長部は、患者の大部分(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%)に適合するようにサイズ決定されてもよく、一方、より大きいかまたはより小さいサイズが、残りの患者に適合していてもよい。医師は、医用画像に基づいて、適切な長さの近位部を有するピグテール延長部を選択してもよい。例えば、医師は、MRI、CT、X線、超音波、蛍光透視、または他の任意の好適な画像法を用いて、心室サイズを決定してもよい。特定の実施形態において、このサイズは術前に決定される。いくつかの実施形態において、医師は、患者データ(例えば、年齢、身長、体重、性別)を用いて、心室サイズを推定する。
【0022】
図2は、例示的実施形態に従ってピグテール延長部206の側断面図を示している。
図3に、
図2のピグテール延長部206の端面図を示す。ピグテール延長部206は、近位部208と、湾曲した先端212を含む遠位部207と、ガイドワイヤとともに使用するためのコンジット210とを含む。近位部208は遠位部207より大きな剛性を有するので、ピグテール延長部206は二重剛性を有する。例示的実施形態において、遠位部207と近位部208とは、これら2つのセクションに異なる剛性を付与するために提供される材料の1つまたは複数の層から構成される。特定の実施形態において、近位部および遠位部は、対応する直径を有する。例えば、近位部208は、第一の厚さと第一の剛性とを有する第一の材料の単層から構成されてもよく、かつ、遠位部207は材料の2つの層から構成されてもよい。そのような場合、それら2つの層は、第一の厚さより少ない第二の厚さである第一の材料の第一の層と、第三の厚さ(第二および第三の厚さの総計は第一の厚さに対応する)および第二の剛性である第二の材料の第二の層とを含んでいてもよい。したがって、遠位部207は、近位部208より全体的に低い剛性を有しており、かつ具体的にはカールまたは座屈するように構成されていてもよい。剛性の近位部208は、そのような圧迫下で実質的に座屈に抵抗できるだけ充分に剛性である(例えば、ショアDスケール上で60、70、80、90、100、またはそれより高い硬度など)。遠位部分207は、患者の組織に対して座屈する傾向を示すように充分に軟性または可撓性である(例えば、ショアDスケール上で50、40、30、20、またはそれより低い硬度など)。いくつかの実施形態において、遠位部分は、金属、ファイバー、編組された金属もしくはファイバー、ガラス、または他の任意の好適な材料など、追加の材料が組み込まれることによって、剛性がより大きくなっていてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、近位部は、金属、ファイバー、編組された金属もしくはファイバー、ガラス、または他の任意の好適な材料など、追加の材料が近位部に組み込まれることによって、遠位部より剛性がより大きくなっていてもよい。追加の材料は、射出成形、共有押出し成形、接着、熱リフロー処理、または他の任意の好適な処理によって追加されてもよい。いくつかの実施形態において、追加の材料は、マトリックスまたは他の好適な構造を近位部内に形成する。近位部から遠位部への移行を補強するため、追加の材料は、近位部から部分的に遠位部に伸びていてもよい。特定の実施形態において、追加の材料は、剛性の近位部の第一の材料層と第二の材料層との間に置かれてもよい。近位部に追加の材料を組み込むことは、近位部と遠位部とで単一のベース材料を用いて剛性の違いを実現することを可能にする。近位部と遠位部とで単一のベース材料を用いることは、近位部と遠位部との間の移行領域において溶融を実現することを助けうる。このことは、製造中に近位部を遠位部に接合することを容易にしうる。
【0024】
血管内または心臓内の血液ポンプは、患者の組織に対してカニューレアセンブリを圧迫する推力を生じさせてもよく、かつ、近位部分の剛性は、近位領域が元の長さを維持して、血管内血液ポンプの適切な位置決めを維持する機械的なスペーサーとして作用することを可能にする。ゆえに、剛性の近位部分208は、組織を吸引することを避けるため、血液インレットが心室壁に近くなりすぎることを防ぎうる。剛性の遠位部分208は、血液ポンプ(例えば血液ポンプ101)のアウトレットが、インレットに対して弁(例えば大動脈弁)の反対側に位置決めされることを確実にしうる。このことは、血液が心室から汲み出されて心拍出量が増えることを可能にする。同時に、比較的軟性の遠位領域が、患者の組織に対する外傷を減少させうる。例えば、遠位部のより軟性の材料は、患者の組織内に局所的に誘発される応力を減少させうる。さらに、ピグテールの遠位部の変形は、組織に伝えられる力が分布する面積を増大させうる。
【0025】
特定の実施形態において、ピグテール延長部206は、湾曲した先端212を含む。いくつかの実施形態において、ピグテール延長部206は、まっすぐな構成から部分的に湾曲した構成まで、構成可能である。湾曲した先端の湾曲部は、カニューレの中心軸に対して実質的に垂直な軸の周りにある。いくつかの実施形態において、湾曲部は180度超(例えば、200、220、240、260、270、300、320度、または任意の好適な角度)である。特定の実施形態において、湾曲部は180度未満(例えば、90、100、120、140、160度、または任意の好適な角度)である。
【0026】
ピグテール延長部206はまた、近位部および遠位部を通って伸びているコンジット210も含む。コンジット210は、ピグテール延長部206を通してガイドワイヤを受けるようにサイズ決定される。特定の実施形態において、ピグテール延長部206の近位部208はナイロンから構成される。いくつかの実施形態において、ピグテール延長部206の近位部208は、ポリウレタンまたはペバックスのうち1つまたは複数を非限定的に含むポリマーから構成される。特定の実施形態において、ピグテール延長部206の遠位部207はペバックスから構成される。特定の実施形態において、ピグテール延長部208の遠位部207は、ポリウレタンを非限定的に含むポリマーから構成される。ピグテール延長部206の近位部208は、60~100 ショアDの範囲内の硬度またはデュロメーター値を有していてもよい。ピグテール延長部208の遠位部207は、20~50 ショアDの範囲内の硬度またはデュロメーター値を有していてもよい。特定の実施形態に従って、ピグテール延長部206の遠位部207は、ピグテール延長部206の全長の25~75%を含む。
【0027】
図4は、特定の実施形態に従って、カニューレアセンブリを製造するための方法400を図示している。方法400は、前述の任意の実施形態におけるカニューレアセンブリ100を製造するために実施されてもよい。段階402において、
図1および2のピグテール延長部106または206などの二重剛性ピグテール延長部が、カニューレに連結される。ピグテール延長部は、比較的剛性の近位部と比較的可撓性の遠位部とを含む。ピグテール延長部はカニューレに取り外し可能に連結されてもよいか、または、ピグテール延長部は永久的にカニューレに連結されてもよい。段階404において、ポンプとピグテール延長部との間にカニューレが位置決めされるように、カニューレにポンプが連結される。
【0028】
本明細書において使用される場合、「およそ」、「約」、「実質的に」、および類似の用語は、本開示の内容が属する技術分野の当業者により受け入れられている一般的な用法と調和する、広い意味を持つことが意図されている。本開示を検討する当業者に理解されるべきこととして、これらの用語は、説明される特定の特徴を記述することを可能にするが、提供される精密な数値範囲にそれらの特徴を限定するわけではないことが意図されている。したがって、これらの用語は、説明される内容に対する非実質的または非重要な修正または変更は本開示の範囲内に入るとみなされることを示しているとして解釈されるべきである。
【0029】
本開示の目的に関して、「連結された」という用語は、2つの部材を直接的または間接的に互いに接続することを意味する。そのような接続は、その性質が静止または可動であってもよい。そのような接続は、それら2つの部材か、もしくは、2つの部材と、互いに単一の単位体として一体式に形成された任意の追加的中間部材とによって、または、それら2つの部材か、もしくは、2つの部材と、互いに取り付けられた任意の追加的中間部材とによって、実現されてもよい。そのような接続は、永久的な性質のものであってもよいか、または、取り外しもしくは解放可能な性質のものであってもよい。
【0030】
他の例示的な実施形態に従って、さまざまな要素の配向が異なっていてもよいこと、および、そのようなバリエーションは本開示によって包含されると意図されていることに注意されたい。開示される実施形態の特徴は、開示される他の実施形態に組み込まれてもよいことが認識される。
【0031】
重要な点として、さまざまな例示的実施形態に示されている、装置またはその構成要素の構造および配置は、実例的なものにすぎないことに注意されたい。本開示においては少数の実施形態を詳しく説明したのみであるが、開示内容の新規の教示および利点から著しく逸脱することなく多数の変更(例えば、種々の要素のサイズ、寸法、構造、形状、および割合、パラメータの値、取り付け配置、材料の使用、色、向きなどのバリエーション)が可能であることが、本開示を検討する当業者には容易に理解されるであろう。例えば、一体式に形成されるとして示されている要素が複数の部品または要素として構築されてもよく、要素の位置が逆転またはその他変更されてもよく、かつ、別個の要素または位置の性質または数が修正または変更されてもよい。任意のプロセスまたは方法の段階の順序は、代替の実施形態に従って変更または並び替えされてもよい。本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな例示的実施形態の設計、作動条件、および配置に対して、他の代用、修正、変更、および省略を行うことも可能である。
【0032】
本発明のさまざまな実施形態を本明細書に説明および例示したが、当業者には、本明細書に説明されている機能を行うための、ならびに/または、本明細書に説明されている結果および/もしくは本明細書に説明されている利点のうち1つもしくは複数を得るための、他のさまざまな機構ならびに/または構造が容易に想像できるものと考えられ、そのようなバリエーションならびに/または修正の各々は、本明細書に説明されている発明の実施形態の範囲内に入るものと考えられる。より一般的には、本明細書に説明されているパラメータ、寸法、材料、および構成は、特に断りのない限り、いずれも例示的なものであると意図されていること、ならびに、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、本発明の教示が用いられる具体的な用途によって異なることが、当業者に容易に理解されるであろう。当業者は、本明細書に説明されている本発明の具体的な実施形態に対する多数の同等物を、ルーチンの実験のみを用いて、認識するかまたは確認できるであろう。したがって、上記の実施形態は例としてのみ提示されていること、ならびに、具体的に説明および特許請求されている以外にも、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内において発明の実施形態が行われうることが、理解されるべきである。本開示の発明の実施形態は、本明細書に説明されている個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法に関する。加えて、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法のうち2つまたはそれ以上の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が互いに相反しないのであれば、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0033】
また、本明細書に説明されている技術は、その少なくとも1つの実施例が上記に提供されている方法として実施されてもよい。方法の一部として行われる行為は、特に断りがない限り、任意の好適なやり方で順序付けされてもよい。したがって、実施形態は、例示と異なる順序で行為が行われるように構築されてもよく、これには、例示的実施形態においては逐次的な行為として示されているものであっても、いくつかの行為を同時に行うことも含まれうる。
【0034】
本明細書および特許請求の範囲で使用される不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、明確な断りがない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または・もしくは」は、上記で定義されているように「および・ならびに/もしくは・または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、列挙中の項目を分ける際に、「または・もしくは」または「および・ならびに/もしくは・または」は、包括的、すなわち少なくとも1つを含むが、複数の要素のうちまたは要素の列挙のうち2つ以上も含み、かつ任意で、列挙されていない追加的項目も含むと解釈されるべきである。そうでないことが明記されている用語、例えば「~のうち1つのみ」または「~のうち厳密に1つ」などのみが、複数の要素または要素の列挙のうち厳密に1つの要素のみを含むことを意味する。全体として、本明細書において使用される「または・もしくは」という用語は、「いずれか」、「~のうち1つ」、「~のうち1つのみ」、または「~のうち厳密に1つ」など、排他的な用語が先行している場合にのみ、排他的なもの(すなわち「一方または他方であるが両方ではない」)を示すものと解釈されるべきである。
【0035】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、1つまたは複数の要素に関する「少なくとも1つ」という句は、その要素列挙内の要素のうち任意の1つまたは複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素列挙内に具体的に列挙されている各々の要素のうち少なくとも1つを必ずしも含むわけではなく、かつ、要素列挙内の要素の任意の組み合わせを除外するわけではないことが、理解されるべきである。この定義はまた、「少なくとも1つ」の句が指す要素の列挙内に具体的に特定されている要素と関係していてもしていなくても、具体的に特定されているそれら要素と異なる要素が任意で存在しうることも可能にする。ゆえに、非限定的な例として、「AおよびBのうち少なくとも1つ」(または、同等である「AまたはBのうち少なくとも1つ」、または、同等である「Aおよび/またはBのうち少なくとも1つ」)は、1つの実施形態において、Bがない(かつ任意でB以外の要素を含む)、任意で2つ以上を含む少なくとも1つのAを指すことができ;別の実施形態において、Aがない(かつ任意で、A以外の要素を含む)、任意で2つ以上を含む少なくとも1つのBを指すことができ;また別の実施形態において、2つ以上を含む少なくとも1つのAと、任意で2つ以上を含む少なくとも1つのB(かつ任意で、他の要素を含む)を指すことができるなどである。
【0036】
特許請求の範囲においてならびに上記の明細書において、「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保持する」、「~から構成される」などのすべての移行句は、制約的でない、すなわち、含むがそれに限定されるわけではないことを意味すると理解されるべきである。
【0037】
特許請求の範囲は、その旨の記述がない限り、説明されている順序または要素に限定されるものとして読まれるべきでない。添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって形態および詳細にさまざまな変更が行われうることが、理解されるべきである。以下の特許請求の範囲およびその同等物の精神および範囲に入るすべての実施形態が特許請求される。