IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-バスリング構造 図1
  • 特許-バスリング構造 図2
  • 特許-バスリング構造 図3
  • 特許-バスリング構造 図4
  • 特許-バスリング構造 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】バスリング構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/52 20060101AFI20241009BHJP
   H02K 3/50 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
H02K3/52 E
H02K3/50 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022158620
(22)【出願日】2022-09-30
(65)【公開番号】P2024052122
(43)【公開日】2024-04-11
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白砂 貴盛
(72)【発明者】
【氏名】久保田 良
(72)【発明者】
【氏名】河野 優人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 涼太
【審査官】北川 大地
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-259259(JP,A)
【文献】特開2010-233327(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0288544(US,A1)
【文献】特開2022-071978(JP,A)
【文献】特開2020-043738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/52
H02K 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバスバー(2~5)が同心状に配置されたバスリング構造(1)であって、
電動機の三相線に対応する第1のバスバー(2)、第2のバスバー(3)および第3のバスバー(4)と、中性線に対応する第4のバスバー(5)と、を含み、
前記第1のバスバー(2)から前記第4のバスバー(5)は、
円弧状のリング部(2a~5a)と、
前記リング部(2a~5a)から径方向外側に突出する外側端子部(2c~5c)と、を有し、
前記第1のバスバー(2)から前記第3のバスバー(4)は、前記リング部(2a~4a)から径方向内側に突出する内側端子部(2b~4b)を有し、
前記第1のバスバー(2)から前記第3のバスバー(4)の間で前記外側端子部(2c、3c)と前記リング部(3a、4a)とが交差する部位において前記リング部(3a、4a)が前記外側端子部(3c、4c)を迂回するように前記リング部(3a、4a)に軸方向に突出する突出部(3e、4e、4f)が形成され
前記第4のバスバー(5)は、複数に分割された構成を有し、前記第1のバスバー(2)から前記第3のバスバー(4)の周囲に周方向に離間して配置され、
前記離間して配置された前記第4のバスバー(5)の間に、前記第1のバスバー(2)の外側端子部(2c)が軸方向一方側から径方向外側に延び、
前記第2のバスバー(3)および前記第3のバスバー(4)の外側端子部(3c、4c)が軸方向他方側から径方向外側に延びていることを特徴とするバスリング構造。
【請求項2】
複数のバスバー(2~5)が同心状に配置されたバスリング構造(1)であって、
電動機の三相線に対応する第1のバスバー(2)、第2のバスバー(3)および第3のバスバー(4)と、中性線に対応する第4のバスバー(5)と、を含み、
前記第1のバスバー(2)から前記第4のバスバー(5)は、
円弧状のリング部(2a~5a)と、
前記リング部(2a~5a)から径方向外側に突出する外側端子部(2c~5c)と、を有し、
前記第1のバスバー(2)から前記第3のバスバー(4)は、前記リング部(2a~4a)から径方向内側に突出する内側端子部(2b~4b)を有し、
前記第1のバスバー(2)から前記第3のバスバー(4)の間で前記外側端子部(2c、3c)と前記リング部(3a、4a)とが交差する部位において前記リング部(3a、4a)が前記外側端子部(3c、4c)を迂回するように前記リング部(3a、4a)に軸方向に突出する突出部(3e、4e、4f)が形成され、
前記第2のバスバー(3)は、前記第1のバスバー(2)の径方向外側に配置され、前記第3のバスバー(4)は、前記第2のバスバー(3)より径方向外側に配置され、
前記第3のバスバー(4)のリング部(4a)は、前記第1のバスバー(2)と交差する第1の突出部(4e)と、前記第2のバスバー(3)と交差する第2の突出部(4f)とを有し、
前記第1の突出部(4e)の軸方向の高さは前記第2の突出部(4f)の軸方向の高さよりも低いことを特徴とするバスリング構造。
【請求項3】
複数のバスバー(2~5)が同心状に配置されたバスリング構造(1)であって、
電動機の三相線に対応する第1のバスバー(2)、第2のバスバー(3)および第3のバスバー(4)と、中性線に対応する第4のバスバー(5)と、を含み、
前記第1のバスバー(2)から前記第4のバスバー(5)は、
円弧状のリング部(2a~5a)と、
前記リング部(2a~5a)から径方向外側に突出する外側端子部(2c~5c)と、を有し、
前記第1のバスバー(2)から前記第3のバスバー(4)は、前記リング部(2a~4a)から径方向内側に突出する内側端子部(2b~4b)を有し、
前記第1のバスバー(2)から前記第3のバスバー(4)の間で前記外側端子部(2c、3c)と前記リング部(3a、4a)とが交差する部位において前記リング部(3a、4a)が前記外側端子部(3c、4c)を迂回するように前記リング部(3a、4a)に軸方向に突出する突出部(3e、4e、4f)が形成され、
前記第1のバスバー(2)は外側端子部(2c)が軸方向一方側から延び、前記第2のバスバー(3)および前記第3のバスバー(4)は外側端子部(3c~4c)が軸方向他方側から延び、
前記第2のバスバー(3)は、前記第1のバスバー(2)の径方向外側に配置され、前記第3のバスバー(4)は、前記第2のバスバー(3)より径方向外側に配置されていることを特徴とするバスリング構造。
【請求項4】
前記第1のバスバー(2)の外側端子部(2c)と前記リング部(2a)との接続部における、前記リング部(2a)の軸方向一方側に切り欠き(2e)が設けられ、
前記リング部(2a)の軸方向他方側に突出する段差部(2f)が設けられていることを特徴とする請求項1または3に記載のバスリング構造。
【請求項5】
前記第4のバスバー(5)は前記突出部を有していないことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のバスリング構造。
【請求項6】
前記第1のバスバー(2)は、前記第1のバスバー(2)から前記第4のバスバー(5)のうち最も径方向内側に配置されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のバスリング構造。
【請求項7】
前記第2のバスバー(3)は、前記第1のバスバー(2)の径方向外側に配置され、前記第3のバスバー(4)は、前記第2のバスバー(3)より径方向外側に配置され、
前記第3のバスバー(4)のリング部(4a)は、前記第1のバスバー(2)と交差する第1の突出部(4e)と、前記第2のバスバー(3)と交差する第2の突出部(4f)とを有し、
前記第1の突出部(4e)の軸方向の高さは前記第2の突出部(4f)の軸方向の高さよりも低いことを特徴とする請求項1に記載のバスリング構造。
【請求項8】
前記第4のバスバー(5)は、複数に分割された構成を有し、前記第1のバスバー(2)から前記第3のバスバー(4)の周囲に周方向に離間して配置され、
前記離間して配置された前記第4のバスバー(5)の間に、前記第1のバスバー(2)の外側端子部(2c)が軸方向一方側から径方向外側に延びていることを特徴とする請求項に記載のバスリング構造。
【請求項9】
前記第3のバスバー(4)のリング部(4a)は、前記第1のバスバー(2)と交差する第1の突出部(4e)と、前記第2のバスバー(3)と交差する第2の突出部(4f)とを有し、
前記第1の突出部(4e)の軸方向の高さは前記第2の突出部(4f)の軸方向の高さよりも低いことを特徴とする請求項3または8に記載のバスリング構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機のバスリング構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低炭素社会又は脱炭素社会の実現に向けた取り組みが活発化し、車両においてもCO排出量の削減やエネルギ効率の改善のために、電気自動車や電動二輪車などの電動車両に搭載される電動機に関する研究開発が行われている。
【0003】
特許文献1には、接続部の逃げとなる切り欠きを設けることで一方向からバスバーをセット可能な電動機のバスリング構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3382916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、接続部に切り欠きを形成するとバスバーの軸方向の高さが減少してしまうため、通電効率が低下してしまう。
【0006】
また、複数のバスバーを順次組み付けていく過程で、互いのバスバーの端子部が邪魔になる場合、それぞれのバスバーの姿勢を変えて干渉を回避しながら組み付ける必要があり、組み付けに時間がかかる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、バスバーの導電率の低下を抑えつつ、バスバーの組み付け時間を短縮でき、エネルギ効率の改善に寄与するバスリング構造を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る第1から第3の形態は、複数のバスバー(2~5)が同心状に配置されたバスリング(1)の構造であって、電動機の三相線に対応する第1のバスバー(2)、第2のバスバー(3)および第3のバスバー(4)と、中性線に対応する第4のバスバー(5)と、を含み、前記第1のバスバー(2)から前記第4のバスバー(5)は、円弧状のリング部(2a~5a)と、前記リング部(2a~5a)から径方向外側に突出する外側端子部(2c~5c)と、を有し、前記第1のバスバー(2)から前記第3のバスバー(4)は、前記リング部(2a~4a)から径方向内側に突出する内側端子部(2b~4b)を有し、前記第1のバスバー(2)から前記第3のバスバー(4)の間で前記外側端子部(2c、3c)と前記リング部(3a、4a)とが交差する部位において前記リング部(3a、4a)が前記外側端子部(3c、4c)を迂回するように前記リング部(3a、4a)に軸方向に突出する突出部(3e、4e、4f)が形成されている。
【0009】
本発明に係る第の形態は、前記第4のバスバー(5)は、複数に分割された構成を有し、前記第1のバスバー(2)から前記第3のバスバー(4)の周囲に周方向に離間して配置され、前記離間して配置された前記第4のバスバー(5)の間に、前記第1のバスバー(2)の外側端子部(2c)が軸方向一方側から径方向外側に延び、前記第2のバスバー(3)および前記第3のバスバー(4)の外側端子部(3c、4c)が軸方向他方側から径方向外側に延びている。
【0010】
本発明に係る第の形態は、前記第2のバスバー(3)は、前記第1のバスバー(2)の径方向外側に配置され、前記第3のバスバー(4)は、前記第2のバスバー(3)より径方向外側に配置され、前記第3のバスバー(4)のリング部(4a)は、前記第1のバスバー(2)と交差する第1の突出部(4e)と、前記第2のバスバー(3)と交差する第2の突出部(4f)とを有し、前記第1の突出部(4e)の軸方向の高さは前記第2の突出部(4f)の軸方向の高さよりも低い。
【0011】
本発明に係る第の形態は、前記第1のバスバー(2)は外側端子部(2c)が軸方向一方側から延び、前記第2のバスバー(3)および前記第3のバスバー(4)は外側端子部(3c~4c)が軸方向他方側から延び、前記第2のバスバー(3)は、前記第1のバスバー(2)の径方向外側に配置され、前記第3のバスバー(4)は、前記第2のバスバー(3)より径方向外側に配置されている。
【0012】
本発明に係る第の形態は、第1または第3の形態において、前記第1のバスバー(2)の外側端子部(2c)と前記リング部(2a)との接続部における、前記リング部(2a)の軸方向一方側に切り欠き(2e)が設けられ、前記リング部(2a)の軸方向他方側に突出する段差部(2f)が設けられている。
【0013】
本発明に係る第の形態は、第1から第のいずれかの形態において、前記第4のバスバー(5)は前記突出部を有していない。
本発明に係る第6の形態は、第1から第3のいずれかの形態において、前記第1のバスバー(2)は、前記第1のバスバー(2)から前記第4のバスバー(5)のうち最も径方向内側に配置される。
本発明に係る第7の形態は、第1の形態において、前記第2のバスバー(3)は、前記第1のバスバー(2)の径方向外側に配置され、前記第3のバスバー(4)は、前記第2のバスバー(3)より径方向外側に配置され、前記第3のバスバー(4)のリング部(4a)は、前記第1のバスバー(2)と交差する第1の突出部(4e)と、前記第2のバスバー(3)と交差する第2の突出部(4f)とを有し、前記第1の突出部(4e)の軸方向の高さは前記第2の突出部(4f)の軸方向の高さよりも低い。
本発明に係る第8の形態は、第3の形態において、前記第4のバスバー(5)は、複数に分割された構成を有し、前記第1のバスバー(2)から前記第3のバスバー(4)の周囲に周方向に離間して配置され、前記離間して配置された前記第4のバスバー(5)の間に、前記第1のバスバー(2)の外側端子部(2c)が軸方向一方側から径方向外側に延びている。
本発明に係る第9の形態は、第3または第8の形態において、前記第3のバスバー(4)のリング部(4a)は、前記第1のバスバー(2)と交差する第1の突出部(4e)と、前記第2のバスバー(3)と交差する第2の突出部(4f)とを有し、前記第1の突出部(4e)の軸方向の高さは前記第2の突出部(4f)の軸方向の高さよりも低い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バスバーの導電率の低下を抑えつつ、バスバーの組み付け時間を短縮できるバスリング構造を実現でき、エネルギ効率の改善に寄与する。
【0015】
詳しくは、第1から第3の形態によれば、バスバー(2、3)の外側端子部(2c、3c)とバスバー(3、4)のリング部(3a、4a)が交差する部位におけるリング部(3a、4a)の軸方向の導体の断面積を確保できるので、単純に切り欠きを設けた従来の構成に対して導電率の低下を抑制することができる。
【0016】
また、第1、第3および第8の形態によれば、全てのバスバー(2~5)の外側端子部(2c~5c)がリング部(2a~5a)の軸方向の同じ側から延びていると、突出部を形成した場合に軸方向のサイズ(高さまたは幅)が大きくなり、材料コストが高くなるが、軸方向一方側と他方側に外側端子部を振り分けて形成することで突出部(3e、4e、4f)の軸方向のサイズが抑えられるので材料コストを低下できる。
【0017】
また、第1のバスバー(2)に対して、第2のバスバー(3)および第3のバスバー(4)を軸方向の他方側から組み付けることができるので、組み付け時間を短縮できる。
【0018】
また、第2、第7および第9の形態によれば、リング部(4a)と交差する外側端子部(2c、3c)の高さに合わせて突出部(4e、4f)の軸方向の高さを設定することで、材料の使用量を最小限に抑えられるので、材料コストを低下できると共に、導電率の低下を抑えることができる。
【0019】
また、第4の形態によれば、第1のバスバー(2)のリング部(2a)と外側端子部(2c)の接続部が盛り上がらないように構成することができる。また、切り欠き(2e)を形成した分だけリング部(2a)の軸方向の断面積が減少しないように、外側端子部(2c)の接続部に対応するリング部(2a)に段差部(2f)を形成しているので、導電率の低下を抑えることができる。
【0020】
また、第5の形態によれば、第4のバスバー(5)を複数に分割して構成しなかった場合は第1のバスバー(2)の外側端子部(2c)と交差する部位に突出部を形成するとバスバー全体が軸方向に大型化してしまうが、第4のバスバー(5)を複数に分割して構成したことで突出部を形成する必要がなくなるので、コンパクトかつ組み付け容易なバスリング構造を実現できる。
【0021】
また、第6の形態によれば、外側端子部(2c)が軸方向他方側から延びる第1のバスバー(2)を最も径方向内側に配置することで、内側端子部(2b)が邪魔にならずに、第2のバスバー(3)および第3のバスバー(4)を軸方向一方側から配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態のバスリングの全体構成を示す正面図である。
図2】本実施形態のバスリングを構成するバスバーの平面図である。
図3】本実施形態のバスリングを構成するバスバーの斜視図である。
図4】本実施形態のバスバーの詳細な構成を説明する図である。
図5】本実施形態のバスリングを構成するバスバーの加工前の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち2つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0024】
[全体構成]
以下、図1を参照して、本実施形態のバスリング1の全体構成について説明する。
【0025】
図1は、本実施形態のバスリング1の全体構成を示す正面図である。
【0026】
本実施形態のバスリング1は、電気自動車や電動二輪車などの電動車両に搭載される電動機または発電機としての三相交流式のブラシレスモータにおけるステータの一部を構成する部品である。ステータは、鉄心にコイルが巻かれた複数のコアとバスリングを含み、コアに対向するようにマグネットからなるロータが配置される。バスリング1は、円周方向に等間隔に配置された複数のコアのうち同一相のコアを電気的に接続するバスバーと呼ばれる複数のリング状の導電部材が互いに絶縁(離間)された状態で円環状に配置された構造を有する。
【0027】
図1に示すように、バスリング1は、導電性の金属材料から形成される第1のバスバー2、第2のバスバー3、第3のバスバー4、第4のバスバー5および絶縁性の樹脂材料から形成されるフレーム6を備える。第1のバスバー2、第2のバスバー3および第3のバスバー4は、三相モータにおける三相線(U相、V相およびW相)のいずれかのコアに電気的に接続される。第4のバスバー5は、中性線(C相)としてU相、V相、W相に接続される。本実施形態では、例えば、第1のバスバー2がU相、第2のバスバー3がV相、第3のバスバー4がW相、第4のバスバー5がC相に対応する。
【0028】
なお、以下の説明において、軸方向は図1の紙面の表裏方向(法線方向)を表し、軸方向上側は図1の紙面の表面側を表し、軸方向下側は図1の紙面の裏面側を表す。径方向は軸方向と直交する図1の紙面と平行な方向を表し、径方向内側はバスリング1の中心軸axに近づく方向を表し、径方向外側はバスリング1の中心軸axから遠ざかる方向を表す。また、周方向はバスリング1の中心軸axまわりの方向を表す。
【0029】
第1のバスバー2は、バスバー本体を構成する円弧状のリング部2a、リング部2aから径方向内側に突出する単一の内側端子部2b、リング部2aから径方向外側に突出する複数(本実施形態では、4個)の外側端子部2cと、を含む。第2のバスバー3は、バスバー本体を構成する円弧状のリング部3a、リング部3aから径方向内側に突出する単一の内側端子部3b、リング部3aから径方向外側に突出する複数(本実施形態では、4個)の外側端子部3cと、を含む。第3のバスバー4は、バスバー本体を構成する円弧状のリング部4a、リング部4aから径方向内側に突出する単一の内側端子部4b、リング部4aから径方向外側に突出する複数(本実施形態では、4個)の外側端子部4cと、を含む。第4のバスバー5は、円弧状の複数(本実施形態では、4個)のリング部5aおよびリング部5aから径方向外側に突出する複数(本実施形態では、3個)の外側端子部5cと、を含む。
【0030】
第1のバスバー2、第2のバスバー3および第3のバスバー4の各内側端子部2b、3b、4bは、不図示のモータ駆動回路における各相の接続端子に電気的に接続される。第1のバスバー2、第2のバスバー3および第3のバスバー4の各外側端子部2c、3c、4cは、バスリング1に対向配置される各相のコアのコイルに電気的に接続される。
【0031】
第1~第4の各バスバー2~5は、バスリング1の中心軸axを基準として同心円状に組み付けられた状態で、絶縁性の樹脂成形品であるリング状のフレーム6に嵌め込まれることでバスリング1として一体的に構成される。
【0032】
フレーム6は、軸方向に所定の高さを有する円環状の外輪部6aおよび内輪部6bと、外輪部6aと内輪部6bを接続する径方向に放射状に延びる複数の接続部6cとを有する。
【0033】
[バスバーの構成]
図2は、本実施形態のバスリング1を構成するバスバーの平面図である。図3は、本実施形態のバスリング1を構成するバスバーの斜視図である。図4は、図2(d)のP1部分の詳細な構成を示す斜視図である。
【0034】
第1~第4のバスバー2~5のうち、第1のバスバー2は、バスリング1の中心軸axに最も近い最内径側に配置され、第4のバスバー5はバスリング1の中心軸axから最も遠い最外径側に配置され、第2のバスバー3および第3のバスバー4が第1のバスバー2と第4のバスバー5の間に配置される。
【0035】
まず、第1のバスバー2の構成について説明する。
【0036】
リング部2aは、軸方向に所定の高さを有する長尺のプレート部材が円弧状に曲げ加工されて構成される。リング部2aの両端部は、互いに離間した状態で曲げ加工される。
【0037】
内側端子部2bは、リング部2aの両端部の中間位置であって、両端部を除く2つの外側端子部2cの間に配置されている。内側端子部2bは、リング部2aから径方向内側に折り曲げられて中心軸axに向かって延びている。
【0038】
複数の外側端子部2cは、リング部2aの両端部と、両端部の間に等間隔に配置されている。複数の外側端子部2cは、リング部2aから径方向外側に折り曲げられて放射状に延びている。
【0039】
第2のバスバー3および第3のバスバー4は、平面視で第1のバスバー2と略同様の形状を有しているが、各バスバー2、3、4のリング部2a、3a、4aが異なる外径を有する。すなわち、第1のバスバー2のリング部2aの外径が最も小さく、第2のバスバー3のリング部3aの外径は、第1のバスバー2のリング部2aの外径より大きく、第3のバスバー4のリング部4aの外径は第2のバスバー3のリング部3aの外径より大きい。
【0040】
また、第1のバスバー2、第2のバスバー3および第3のバスバー4の外側端子部2c、3c、4cを含む外径は略同等である。すなわち、第1のバスバー2の外側端子部2cがリング部2aから最も径方向外側に延びている。第1のバスバー2の外側端子部2cは、リング部2aから折れ曲がって延びるクランク状のアーム部2dを有する。
【0041】
第2のバスバー3の外側端子部3cは第1のバスバー2の外側端子部2cより径方向外側に短く、リング部3aから折れ曲がって延びるアーム部3dを有する。
【0042】
第3のバスバー4の外側端子部4cは第2のバスバー3の外側端子部3cより径方向外側に短く、リング部4aから折れ曲がって延びるアーム部4dを有する。
【0043】
第4のバスバー5は、第3のバスバー4より径方向外側、すなわち、第1~第4のバスバー2~5の中で径方向の最も外側に配置される。第4のバスバー5は、円環状のリング部5aが周方向に等間隔で複数に分割して構成され、本実施形態では、60度間隔で4分割された4個のリング部5aを有する。それぞれのリング部5aには、両端部と中間位置に3個の外側端子部5cが設けられ、リング部5aから径方向外側に折れ曲がって延びている。
【0044】
また、4個の第4のバスバー5を第1のバスバー2、第2のバスバー3および第3のバスバー4の周囲に周方向に配置した状態における、第4のバスバー5の外側端子部5aを含む外径は、第1のバスバー2、第2のバスバー3および第3のバスバー4の外側端子部2a、3a、4aを含む外径と略同等である。
【0045】
第1のバスバー2の外側端子部2cは、リング部2aの軸方向における一方側の端縁(下端縁)から径方向外側に延びている。第1のバスバー2の内側端子部2bは、リング部2aの軸方向における他方側の端縁(上端縁)から径方向内側および径方向外側にそれぞれ延びている。
【0046】
これに対して、第2のバスバー3および第3のバスバー4の内側端子部3b、4bおよび外側端子接3c、4c、並びに第4のバスバー5の外側端子部5cは、リング部3a、4a、5aの軸方向における同じ端縁(上端縁)から延びている。
【0047】
詳しくは、第1のバスバー2の外側端子部2cは、リング部2aの軸方向における下端縁(図2の裏面側または図3の下側)から延びている一方、内側端子部2bは、リング部2aの軸方向における上端縁(図2の表面側または図3の上側)から延びている。これに対して、第2のバスバー3および第3のバスバー4の外側端子部3c、4cおよび内側端子接3b、4b、並びに第4のバスバー5の外側端子部5cは、リング部3a、4a、5aの軸方向における上端縁(図2の表面側または図3の上側)から延びている。
【0048】
これにより、第1のバスバー2、第2のバスバー3、第3のバスバー4および第4のバスバー5を、軸方向における同じ方向(図2の表面から裏面の方向または図3の上部から下部の方向)から組み付けることができるようになる。すなわち、図2の表面側または図3の上側を上方向、図2の裏側または図3の下側を下方向と定義すると、図2(a)に示す径方向の最も内側に配置される第1のバスバー2に対して、径方向の最も外側に配置される第4のバスバー5が同心状に配置された図2(b)に示す状態において、第2のバスバー3と第3のバスバー4を図2(c)から図2(d)の順で上方向から下方向に順次配置することができる。あるいは、第1のバスバー2、第2のバスバー3、第3のバスバー4および第4のバスバー5を、図3(a)から図3(d)の順で上方向から下方向に順次配置することができる。
【0049】
ところで、図2(b)に示す状態において、第1のバスバー2に対して、図2(c)に示すように第2のバスバー3を上方向から第1のバスバーの径方向外側に組み付ける場合、第1のバスバー2の外側端子部2cのアーム部2dと第2のバスバー3のリング部3aとが上下方向に交差する位置関係となる。
【0050】
そこで、本実施形態では、第2のバスバー3のリング部3aにおける、第1のバスバー2の外側端子部2cのアーム部2dと交差する部位に突出部3eが形成されている。突出部3eは、リング部3aの軸方向一方側(下端縁)が凹み、軸方向他方側(上端縁)が突出したアーチ状を有し、第2のバスバー3の組み付け時に第1のバスバー2の外側端子部2cのアーム部2dが邪魔にならないように構成されている。
【0051】
また、突出部3eが形成されている部位のリング部3aの軸方向の導体の断面積は、突出部3eが形成されていない部位のリング部3aの軸方向の断面積と略同等になるように構成されている。これにより、突出部3eが形成されたリング部3aの軸方向の導体の断面積が減少し、導電率が低下することを抑制することができる。本実施形態では、突出部3eは、第1のバスバー2の4個の外側端子部2cに対応する部位に設けられる。
【0052】
なお、第2のバスバー3の内側端子部3bはリング部3aの上端縁から径方向に延びているので第1のバスバー2のリング部2aと干渉する位置関係にはならず、また、第2のバスバー3の外側端子部3cはリング部3aの上端縁から径方向に延びているので第4のバスバー5のリング部5aと干渉する位置関係にはならない。
【0053】
さらに、図2(c)に示す状態において、第1のバスバー2および第2のバスバー3に対して、図2(d)に示すように第3のバスバー4を上方向から第2のバスバー3の径方向外側に組み付ける場合、第1のバスバー2の外側端子部2cのアーム部2dおよび第2のバスバー3の外側端子部3cのアーム部3dと第3のバスバー4のリング部4aとが上下方向に交差する位置関係となる。
【0054】
そこで、本実施形態では、第3のバスバー4のリング部4aにおける、第1のバスバー2の外側端子部2cのアーム部2dと交差する部位に第1の突出部4eが形成されている。第1の突出部4eは、リング部4aの軸方向一方側(下端縁)が凹み、軸方向他方側(上端縁)が突出したアーチ状を有し、第3のバスバー4の組み付け時に第1のバスバー2の外側端子部2cのアーム部2dが邪魔にならないように構成されている。
【0055】
また、第1の突出部4eが形成されている部位のリング部4aの軸方向の寸法は、第1の突出部4eが形成されていない部位のリング部4aの軸方向の寸法と略同等になるように構成されている。これにより、単純に切り欠きを設けた従来の構成のように第1の突出部4eが形成されたリング部4aの寸法が小さくなり、導電率が低下することを抑制することができる。本実施形態では、第1の突出部4eは、第1のバスバー2の4個の外側端子部2cに対応する部位に設けられる。
【0056】
さらに、第3のバスバー4のリング部4aにおける、第2のバスバー3の外側端子部3cのアーム部3dと交差する部位に第2の突出部4fが形成されている。第2の突出部4fは、リング部4aの軸方向一方側(下端縁)が凹み、軸方向他方側(上端縁)が突出したアーチ状を有し、第3のバスバー4の組み付け時に第2のバスバー3の外側端子部3cのアーム部3dが邪魔にならないように構成されている。
【0057】
これにより、第1から第4のバスバー2~5の外側端子部2c~5cがリング部2a~5aの軸方向の同じ端縁から延びていると、突出部を形成した場合に軸方向のサイズ(高さまたは幅)が大きくなり、材料コストが高くなるが、軸方向一方側と他方側に外側端子部を振り分けて形成することで突出部3e、4e、4fの軸方向のサイズが抑えられるので材料コストを低下できる。
【0058】
また、第1のバスバー2に対して、第2のバスバー3および第3のバスバー4を軸方向の他方側から組み付けることができるので、組み付け時間を短縮できる。
【0059】
なお、第4のバスバー5は、第1のバスバー2のリング部2aの径方向外側に、周方向に離間して配置され、隣接する第4のバスバー5の間に、第1のバスバー2の外側端子部2cが配置される。すなわち、第4のバスバー5のリング部5aが第1のバスバー2の外側端子部2cのアーム部2dと上下方向に交差しない位置関係となる。このため、第4のバスバー5には突出部が形成されておらず、リング部5aの軸方向のサイズは周方向に略一定に構成されている。
【0060】
第4のバスバー5を複数に分割して構成しなかった場合は第1のバスバー2の外側端子部2cと交差する部位に突出部を形成するとバスバー全体が軸方向に大型化してしまうが、第4のバスバー5を複数に分割して構成したことで突出部を形成する必要がなくなるので、コンパクトかつ組み付け容易なバスリング構造を実現できる。
【0061】
また、第2の突出部4fが形成されている部位のリング部4aの軸方向の寸法は、第2の突出部4fが形成されていない部位のリング部4aの軸方向の寸法と略同等になるように構成されている。これにより、第2の突出部4fが形成されたリング部4aの寸法が小さくなり、導電率が低下することを抑制することができる。本実施形態では、第2の突出部4fは、第2のバスバー3の4個の外側端子部3cに対応する部位に設けられる。
【0062】
なお、第1の突出部4eは、第1のバスバー2のリング部2aの下端縁から延びている外側端子部2cのアーム部2dを迂回する形状である一方、第2の突出部4fは、第2のバスバー3のリング部3aの上端縁から延びている外側端子部3cのアーム部3dを迂回する形状である。このため、第2の突出部4feは、第1の突出部4eよりも上方向に突出している。
【0063】
このように、第3のバスバー4のリング部4aと交差する第1のバスバー2の外側端子部2cのアーム部2dおよび第2のバスバー3の外側端子部3cのアーム部3dの高さに合わせて第1の突出部4eおよび第2の突出部4fの軸方向の高さを設定することで、材料の使用量を最小限に抑えられるので、材料コストを低下できると共に、導電率の低下を抑えることができる。
【0064】
なお、第3のバスバー4の内側端子部4bはリング部4aの上端縁から径方向に延びているので第1のバスバー2のリング部2aや第2のバスバー3のリング部3aと干渉する位置関係とはならず、また、第3のバスバー4の内側端子部4cはリング部4aの上端縁から径方向に延びているので第4のバスバー5のリング部5aと干渉する位置関係とはならない。
【0065】
第1のバスバー2の外側端子部2cは、図5で後述するように、リング部2aに対して径方向外側に折り曲げて形成される。このような曲げ加工において、第1のバスバー2の外側端子部2cをリング部2aとの接続部から径方向外側に折り曲げると、リング部2aの接続部が外側端子部2cの板厚の分だけ軸方向に段差となって盛り上がり(図3(a)、(c)、(d)の外側端子部5c、3c、4cとリング部5a、3a、4aの付け根を参照)、リング部2aの下端縁の高さが一定とならない。
【0066】
ところが、第1のバスバー2は、第2のバスバー3、第3のバスバー4および第4のバスバー5が組み付けられ、フレーム6に嵌め込まれた状態で、第4のバスバー5と共にバスリング1の下端部を規定し、この下端部がコアに取り付けるときの基準面となる。このため、第1のバスバー2のリング2aの下端縁の高さが一定とならないと、コアとの位置関係を最適化することが困難となる。
【0067】
そこで、本実施形態では、第1のバスバー2の外側端子部2cとリング部2aとの接続部に切り欠き2eが形成されている。切り欠き2eは、リング部2aの端部の外側端子部2cとリング部2aとの接続部には外部端子部2cの周方向の一方側に形成され、リング部2aの端部以外の外側端子部2cとリング部2aとの接続部には外部端子部2cを挟むように周方向の両側に形成されている。これにより、外側端子部2cを折り曲げたときにリング部2aの下端縁が外側端子部2cの板厚の分だけ下方向に盛り上がらないように構成できる。また、切り欠き2eを形成した分だけリング部2aの軸方向の導体の断面積が減少してしまうため、外側端子部2cの接続部に対応するリング部2aの上縁部に上方向に突出する段差部2fを形成し、導電率の低下を抑制することができる。なお、段差部2fの高さは、第3のバスバー4のリング4aの第2の突出部4fの高さを超えない程度に構成される。
【0068】
[バスバーの製造方法]
図5は、本実施形態のバスリングを構成するバスバーの加工前の展開図である。
【0069】
第1~第4のバスバー2~5は、導電性の金属材料をプレス加工して形成される。
【0070】
第1~第3のバスバー2~4は、図5に示すように打ち抜かれた金属製品の内側端子部2b~4bと外側端子部2c~4cをリング部2a~4aに対して相反する方向(径方向内側および径方向外側)に折り曲げ、リング部2a~4aを円弧状に曲げ加工することにより形成される。
【0071】
第4のバスバー5は、図5に示すように打ち抜かれた金属製品の外側端子部5cをリング部5aに対して所定の方向(径方向外側)に折り曲げ、リング部5cを円弧状に曲げ加工することにより形成される。
【0072】
第1のバスバー2、第2のバスバー3、第3のバスバー4および第4のバスバー5のL字状に打ち抜かれた外側端子部2c、3c、4c、5cのリング部2a、3a、4a、5cとは反対側の自由端部は周方向に曲げ加工され、熱加締め加工により各相のコアのコイルと結線される。
【0073】
このようにして加工された第1~第4のバスバー2~5は、第1のバスバー2のリング部2aの径方向外側に、周方向に4個の第4のバスバー5が離間して配置され、隣接する第4のバスバー5の間に、第1のバスバー2の外側端子部2cが配置された状態(図2(b)の状態)で、上方向から第2のバスバー3のリング部3aが第1のバスバー2のリング部2aと第4のバスバー5のリング部5aの間に配置され(図2(c)の状態)、続いて、上方向から第3のバスバー4のリング部4aが第2のバスバー3のリング部3aと第4のバスバー5のリング部5aの間に配置される(図2(d)の状態)。
【0074】
このようにして中心軸axに対して同心状に組み付けられ、円環状に配置された第1~第4のバスバー2~5がフレーム6に嵌め込まれることでバスリング1として一体的に構成される。
【0075】
このように、第1のバスバー2および第4のバスバー5に対して、上方向から第2のバスバー3を組み付ける場合、第1のバスバー2の内側端子部2bはリング部2aの上端縁から径方向内側に延びている一方、第2のバスバー2の外側端子部2cはリング部2aの上端縁から径方向外側に延びているので、第1のバスバー2の外側端子部2cと第2のバスバー3のリング部3aとが上下方向で干渉する位置関係にはならず、また、第2のバスバー3の内側端子部3bはリング部3aの上端縁から径方向内に延びているので、第1のバスバー2のリング部2aと干渉する位置関係にもならない。
【0076】
また、第1のバスバー2、第2のバスバー3および第3のバスバー4は、それぞれの内側端子部2b、3b、4bが互いに干渉しない位置関係となり、かつそれぞれの外側端子部2c、3c、4cが互いに干渉しない位置関係となるように中心軸axまわりに位相をずらして配置される。
【0077】
また、第1~第4のバスバー2~5のうち、外側端子部2cが軸方向他方側から延びる第1のバスバー2を最も径方向内側に配置することで、内側端子部2bが邪魔にならずに、第2のバスバー3および第3のバスバー4を軸方向他方側から配置することができる。
【0078】
また、図2(b)に示す状態において、第1のバスバー2と第4のバスバー5の間に、図2(c)に示すように第2のバスバー3を上方向から第1のバスバー2の径方向外側に組み付ける場合、第1のバスバー2の外側端子部2cのアーム部2dと第2のバスバー3のリング部3aとが上下方向に交差する位置関係となるが、第2のバスバー3のリング部3aに突出部3eが形成されていることにより、第1のバスバー2の外側端子部2cのアーム部2dとの干渉が回避される。
【0079】
なお、第2のバスバー3の内側端子部3bはリング部3aの上端縁から径方向に延びているので第1のバスバー2のリング部2aと干渉した位置関係とはならず、また、第2のバスバー3の外側端子部3cはリング部3aの上端縁から径方向に延びているので第4のバスバー5のリング部5aと干渉した位置関係とはならない。
【0080】
また、第2のバスバー3の内側端子部3bおよび外側端子部3cは、第1のバスバー2の内側端子部2bおよび第4のバスバー5の外側端子部5cとは干渉しない位置関係となるように配置される。
【0081】
また、図2(c)に示す状態において、第2のバスバー3と第4のバスバー5の間に、図2(d)に示すように第3のバスバー4を上方向から第2のバスバー3の径方向外側に組み付ける場合、第1のバスバー2の外側端子部2cのアーム部2dおよび第2のバスバー3の外側端子部3cのアーム部3dと第3のバスバー4のリング部4aとが上下方向に交差する位置関係となるが、第3のバスバー4のリング部4aに第1の突出部4eと第2の突出部4fが形成されていることにより、第1のバスバー2の外側端子部2cのアーム部2dおよび第2のバスバー3の外側端子部3cのアーム部3dとの干渉が回避される。
【0082】
なお、第3のバスバー4の内側端子部4bはリング部4aの上端縁から径方向に延びているので第1のバスバー2のリング部2aや第2のバスバー3のリング部3aと干渉した位置関係とはならず、また、第3のバスバー4の外側端子部4cはリング部4aの上端縁から径方向に延びているので第4のバスバー5のリング部5aと干渉した位置関係とはならない。
【0083】
また、第3のバスバー4の内側端子部4bおよび外側端子部4cは、第1のバスバー2の内側端子部2bおよび外側端子部2c、第2のバスバー3の内側端子部3bおよび外側端子部3c、並びに第4のバスバー5の外側端子部5cとは干渉しない位置関係となるように配置される。
【0084】
以上のように、本実施形態によれば、第1~第4のバスバー2~5を上方向から順番に組み付けることができるので、バスバーの組み付け時間を短縮でき、エネルギ効率の改善に寄与する。
【0085】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【0086】
本実施形態のバスリング1の構造は、モータ全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
1…バスリング
2…第1のバスバー
2a…リング部
2b…内側端子部
2c…外側端子部
2d…アーム部
2e…切り欠き
2f…段差部
3…第2のバスバー
3a…リング部
3b…内側端子部
3c…外側端子部
3d…アーム部
3e…突出部
4…第3のバスバー
4a…リング部
4b…内側端子部
4c…外側端子部
4d…アーム部
4e…第1の突出部
4f…第2の突出部
5…第4のバスバー
5a…リング部
5c…外側端子部
6…フレーム
6a…外輪部
6b…内輪部
6c…接続部
ax…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5