(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】エアロゾル生成デバイス及びシステム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20241009BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20241009BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2022516767
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2020080217
(87)【国際公開番号】W WO2021083921
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-08-14
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローガン, アンドリュー ロバート ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ライト, アレク
【審査官】芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103989252(CN,A)
【文献】中国実用新案第208581841(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第110101122(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110279164(CN,A)
【文献】中国実用新案第208274077(CN,U)
【文献】中国実用新案第208821740(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第109645573(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成デバイス(10、50)であって、
エアロゾル生成物質(26)を受容する空洞(18)を画定するハウジング(16)と、
電源(20)及びコントローラ(22)と、
前記エアロゾル生成物質(26)を加熱するための複数の加熱回路(40a~e)であって、各加熱回路が、電気回路構成要素であって該電気回路構成要素が前記エアロゾル生成物質(26)内に延在しない第1の位置と、該電気回路構成要素が前記エアロゾル生成物質(26)内に延在する第2の位置との間で移動可能な電気回路構成要素(42a~e、52a~e)を含む、複数の加熱回路(40a~e)と、を含み、
前記コントローラ(22)は、前記電気回路構成要素が前記第2の位置にある場合に、前記複数の加熱回路(40a~e)のうちの1つ又は複数に電気エネルギーを独立して供給するように前記電源(20)を制御するように構成され
、
前記電気回路構成要素(42a~e、52a~e)は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で順次移動可能である、エアロゾル生成デバイス(10、50)。
【請求項2】
前記コントローラ(22)は、前記電気回路構成要素が前記第2の位置にある場合に、前記複数の加熱回路のうちの1つ又は複数に電気エネルギーを順次供給するように前記電源(20)を制御するように構成される、請求項1に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項3】
前記空洞(18)は、長手方向軸を有する細長い空洞であり、前記電気回路構成要素は、前記長手方向軸に沿って離間される、請求項1又は2に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項4】
前記エアロゾル生成デバイス(10、50)は、前記電気回路構成要素を、前記第1の位置と前記第2の位置との間で、前記長手方向軸に実質的に直交する方向に移動させるように構成された位置決め機構(54、58)を含む、請求項3
に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項5】
前記位置決め機構(54)は、半径方向に移動可能なプッシャー(56)を含む、請求項
4に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項6】
前記半径方向に移動可能なプッシャー(56)は、ユーザーによる手動作動のために構成される、請求項
5に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項7】
前記位置決め機構(58)は、前記電気回路構成要素を、前記第1の位置から前記第2の位置まで順次移動させるように配置される、請求項
4に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項8】
前記位置決め機構(58)は、ユーザーによる手動作動のために構成され得る、軸方向に移動可能なプッシャー(60)を含む、請求項
7に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項9】
各電気回路構成要素は、電気接点(42a~e)の対を含み、
前記コントローラ(22)は、前記電気接点が前記第2の位置にある場合に、前記電気接点(42a~e)のうちの1つ又は複数の対に独立して電気エネルギーを供給するように前記電源(20)を制御するように構成される、請求項1から
8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項10】
前記コントローラ(22)は、前記電気接点が前記第2の位置にある場合に、前記電気接点(42a~e)のうちの1つ又は複数の対に電気エネルギーを順次供給するように前記電源(20)を制御するように構成される、請求項
9に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項11】
前記電気接点(42a~e)は、前記電気接点が前記第1の位置にある場合に、前記エアロゾル生成物質(26)内に配置された加熱要素(27)から離間され、
前記電気接点は、前記第2の位置にある場合に、前記電気接点がさまざまな位置で前記加熱要素(27)に接触するように配置される、請求項
9又は1
0に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項12】
前記加熱要素(27)は、前記ハウジング(16)に取り付けられ、前記空洞(18)内に突出する、請求項1
1に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項13】
各電気回路構成要素は、加熱要素(52a~e)を含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項14】
前記コントローラ(22)は、前記加熱要素が前記第2の位置にある場合に、前記複数の加熱要素(52a~e)のうちの1つ又は複数に電気エネルギーを順次供給するように前記電源(20)を制御するように構成される、請求項1
3に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項15】
前記又は各加熱要素(27、52a~e)は、抵抗性加熱要素を含む、請求項1
2から1
4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項16】
請求項1から1
1のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(10)と、前記空洞(18)内に配置されたエアロゾル生成物品(24)とを含む、エアロゾル生成システム(1)であって、前記エアロゾル生成物品(24)は、前記エアロゾル生成物質(26)と、前記エアロゾル生成物質(26)内に配置された加熱要素(27)とを含む、エアロゾル生成システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、エアロゾル生成デバイスに、特に、エアロゾル生成物質を加熱し、ユーザーが吸入するためのエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成デバイスに関する。本開示の実施形態は、エアロゾル生成デバイスにも関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エアロゾル生成物質を燃やすのではなく、加熱して、吸入のためのエアロゾルを生じさせるデバイスが消費者に人気になってきている。そのようなデバイスは、いくつかの異なる手法のうちの1つを使用して、エアロゾル生成物質に熱を供給することができる。
【0003】
1つの手法は、抵抗性加熱システムを採用するエアロゾル生成デバイスを備えることである。このようなデバイスでは、抵抗性加熱要素が備えられ、デバイスの空洞内に配置されたエアロゾル生成物質を加熱し、それによって蒸気を生成するが、これは通常、冷却及び凝縮して、デバイスのユーザーによる吸入用のエアロゾルを形成する。
【0004】
抵抗性加熱システムは、エアロゾル生成デバイスの使用中に、1つ又は複数の抵抗性加熱要素(例えば、デバイスの空洞内に配置された加熱ブレード)が、エアロゾル生成物質内に配置されるように配置された内側抵抗性加熱システム、及び/又は1つ又は複数の抵抗性加熱要素が、エアロゾル生成物質を少なくとも部分的に取り囲むように配置された外側抵抗性加熱システムであり得る。他の構成要素への最小限の熱移動で、熱の大部分が直接的に加熱要素からエアロゾル生成物質に伝達されるという事実によって加熱プロセスが一般的により効率的であり、必要な電力入力が少ないために、内側抵抗性加熱システムの使用が好ましいであろう。
【0005】
エアロゾル生成デバイス、及び必要な電力が低減され、及び/又はエアロゾル生成物質の加熱に対する制御が改善されているエアロゾル生成システムを提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、
エアロゾル生成物質を受容する空洞を画定するハウジングと、
電源及びコントローラと、
エアロゾル生成物質を加熱する複数の加熱回路であって、各加熱回路が、電気回路構成要素であって該電気回路構成要素がエアロゾル生成物質内に延在しない第1の位置と、該電気回路構成要素がエアロゾル生成物質内に延在する第2の位置との間で移動可能な電気回路構成要素を含む、複数の加熱回路とを含み、
コントローラは、電気回路構成要素が第2の位置にある場合に、複数の加熱回路のうちの1つ又は複数に独立して電気エネルギーを供給するように電源を制御するように構成される、エアロゾル生成デバイスが備えられる。
【0007】
エアロゾル生成デバイスは、エアロゾル生成物質を燃やすのではなく、エアロゾル生成物質を加熱して、エアロゾル生成物質の少なくとも1つの成分を揮発させ、それによって蒸気を生成し、それがエアロゾル生成システム/デバイスのユーザーによる吸入のためのエアロゾルを形成するために冷却し、凝縮するように適合されている。
【0008】
一般論として、蒸気とは、その臨界温度よりも低い温度で気相である物質であり、これは、温度を低下させることなく圧力を増加させることにより、蒸気を液体に凝縮させ得ることを意味するが、一方、エアロゾルは、空気中又は別のガス中の微細な固体粒子又は液滴の浮遊物である。しかしながら、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特に、ユーザーによる吸入のために生成される吸入可能媒体の形態に関して、互換的に使用され得ることに留意されたい。
【0009】
電源から電気エネルギーを独立して供給することができる複数の加熱回路を備えることにより、加熱回路に選択的にエネルギーを供給することができる。これにより、エアロゾル生成物質のさまざまな部分を選択的に加熱して、ユーザーによる吸入に適した特性を備えたエアロゾルを生成でき、空洞内のすべてのエアロゾル生成物質を同時に加熱する必要がなくなる。これにより、エアロゾル生成物質の加熱にかかる時間が短縮され、それにより、エアロゾル生成デバイスのエネルギー効率が向上する。さらに、エアロゾル生成物質は、電気回路構成要素が第1の位置にある場合に、空洞内に容易に配置することができ、一方、電気回路構成要素の第2の位置への移動は、エアロゾル生成物質を空洞内に保持するのに有利に役立ち得る。
【0010】
各電気回路構成要素は、電気回路構成要素が空洞内に延在しない第1の位置と、電気回路構成要素が空洞内に、そしてエアロゾル生成物質の一部内に延在する第2の位置との間で移動可能であり得る。そのような配置は、第1の位置にある場合に、電気回路構成要素が空洞内に延在しないことを確実にすることによって、空洞内へのエアロゾル生成物質の挿入を容易にし得る。
【0011】
電気回路構成要素は、第1の位置と第2の位置との間で同時に、又は順次移動することができる。したがって、電気回路構成要素の移動は、簡単な方法で達成される。
【0012】
コントローラは、電気回路構成要素が第2の位置にある場合に、複数の加熱回路のうちの1つ又は複数に電気エネルギーを順次供給するように電源を制御するように構成され得る。そのような配置は、エアロゾル生成物質のさまざま部分又は領域を順次加熱することを可能にし、それによって、エネルギー効率をさらに改善し、最適な特性を備えたエアロゾルの生成を提供する。
【0013】
空洞は、長手方向軸を有する細長い空洞であり得、そして、電気回路構成要素は、長手方向軸に沿って離間され得る。そのような配置は、空洞内にエアロゾル生成物質を配置すること、及び/又は、空洞内に配置されたエアロゾル生成物質の最適な加熱を促進することができる。
【0014】
エアロゾル生成デバイスは、電気回路構成要素を、第1の位置と第2の位置との間で、長手方向軸に実質的に直交する方向に移動させるように構成された位置決め機構を含み得る。したがって、電気回路構成要素の移動は、比較的容易に実現することができる。
【0015】
電気回路構成要素を、第1の位置から第2の位置まで同時に移動させるために、位置決め機構を配置することができる。このモードでは、位置決め機構は、半径方向に移動可能なプッシャーを含み得る。半径方向に移動可能なプッシャーは、ユーザーが手動で作動させることができる。
【0016】
別の方法として、位置決め機構は、電気回路構成要素を、第1の位置から第2の位置まで順次移動させるように配置され得る。このモードでは、位置決め機構は、軸方向に移動可能なプッシャーを含み得る。軸方向に移動可能なプッシャーは、ユーザーが手動で作動させることができる。
【0017】
一実施形態では、各電気回路構成要素は、一対の電気接点を含み得、また、コントローラが、電気接点が第2の位置にある場合に、電気接点の対のうちの1つ又は複数に独立して電気エネルギーを供給するように電源を制御するように構成され得、また場合によっては、電気接点が第2の位置にある場合に、電気接点の対のうちの1つ又は複数に電気エネルギーを順次供給する。
【0018】
電気接点は、電気接点が第1の位置にある場合に、エアロゾル生成物質内に配置された加熱要素から離間され得、そして電気接点が第2の位置にある場合に、さまざまな位置で加熱要素に接触するように配置され得る。さまざまな位置での電気接点と加熱要素との間の接触により、加熱要素のさまざまなセクションを選択的に加熱することができる。これにより、エアロゾル生成物質のさまざまな部分又は領域を選択的に加熱することができる。
【0019】
加熱要素は、ハウジングに取り付けられてもよく、空洞内に突き出ていてもよい。このような配置では、加熱要素はエアロゾル生成デバイスの構成要素部分である。したがって、エアロゾル生成デバイスと共に使用するための、例えばエアロゾル生成物質を含む、エアロゾル生成物品の製造を単純化することができる。
【0020】
或いは、加熱要素は、例えば、エアロゾル生成物質と、エアロゾル生成物質内に配置された加熱要素とを含む、エアロゾル生成物品の形態で、エアロゾル生成物質を備えていてもよい。そのような配置では、加熱要素は、消耗要素、すなわちエアロゾル生成物品の一部を形成する。これは、加熱効率のさらなる改善につながる可能性があり、デバイスの構成要素部分である加熱要素を備える必要性を回避することによって、エアロゾル生成デバイスの構造を単純化できる可能性がある。これにより、次に、加熱要素の洗浄及び/又は交換の必要性を回避することができる。
【0021】
別の実施形態では、各電気回路構成要素は、加熱要素を含み得る。このような配置では、加熱要素はエアロゾル生成デバイスの構成要素部分である。
【0022】
コントローラは、加熱要素が第2の位置にある場合に、複数の加熱要素のうちの1つ又は複数に独立して電気エネルギーを供給するように電源を制御するように、また場合によっては、加熱要素が第2の位置にある場合に、複数の加熱要素のうちの1つ又は複数に電気エネルギーを順次供給するように構成され得る。
【0023】
当該の、又は各加熱要素は、抵抗性加熱要素を含み得る。当該の、又は各加熱要素は、電気抵抗性物質を含み得る。適切な電気抵抗性物質の例には、金属、金属合金、導電性セラミック、例えばタングステン及びそれらの合金、並びに、金属物質及びセラミック物質を含む複合物質が含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
本開示の第2の態様によれば、上記で定義されたエアロゾル生成デバイスと、空洞内に配置されたエアロゾル生成物品とを含むエアロゾル生成システムが備えられ、エアロゾル生成物品は、エアロゾル生成物質と、エアロゾル生成物質中に配置された加熱要素とを含む。
【0025】
上記のように、そのような配置では、加熱要素は、消耗要素、すなわち、エアロゾル生成物品の一部を形成する。これは、デバイスの構成要素部分である加熱要素を備える必要性を回避することによって、エアロゾル生成デバイスの構造を単純化することができる。これにより、加熱要素の洗浄及び/又は交換の必要がなくなる。
【0026】
エアロゾル生成物品は、包装紙が周囲を囲むエアロゾル生成物質を含み得る。エアロゾル生成物品は、実質的に棒状に形成され得る。エアロゾル生成物品は、例えば酢酸セルロース繊維を含むフィルタを含み得る。フィルタは、エアロゾル生成物質と隣接して同軸に整列していてもよい。或いは、エアロゾル生成物品は、実質的に円盤又は板状に形成され得る。
【0027】
エアロゾル生成物質は、任意のタイプの固体又は半固体の物質であり得る。エアロゾル生成固体の例示的なタイプとしては、粉末、顆粒、ペレット、破片、ストランド、粒子、ゲル、条片、ルーズリーフ、カットリーフ、カットフィラー、多孔質物質、発泡物質、又はシートが挙げられる。エアロゾル生成物質は、植物由来の物質を含み得、特にタバコを含み得る。それは、有利に、再構成されたタバコを含み得る。
【0028】
エアロゾル生成物質は、エアロゾル形成剤を含み得る。エアロゾル形成剤の例としては、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコール及びその混合物が挙げられる。典型的には、エアロゾル生成物質は、乾燥重量ベースで約5%~約50%のエアロゾル形成剤含有量を含み得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成物質は、乾燥重量ベースで約10%~約20%、また場合によっては乾燥重量ベースで約15%のエアロゾル形成剤含有量を含み得る。
【0029】
加熱すると、エアロゾル生成物質は、揮発性化合物を放出し得る。揮発性化合物は、ニコチン又はタバコ香味料などの香味化合物を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1-2】
図1及び2は、エアロゾル生成物品の加熱要素に接触するために、複数の可動電気接点の対を利用するエアロゾル生成デバイスの第1の実施例の概略断面図である。
【
図3-4】
図3及び4は、エアロゾル生成物品内に挿入可能な複数の可動加熱要素を利用するエアロゾル生成デバイスの第2の実施例の概略断面図である。
【
図5-6】
図5及び6は、
図1及び2に図示されるエアロゾル生成デバイスの第1の実施例の概略図であり、第1のタイプの位置決め機構を図示している。
【
図7-8】
図7及び8は、
図3及び4に図示されるエアロゾル生成デバイスの第2の実施例の概略図であり、第2のタイプの位置決め機構を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、本開示の実施形態について、あくまで実施例として、添付の図面を参照しながら説明する。
【0032】
まず、
図1及び2を参照すると、エアロゾル生成システム1の第1の実施例が図示されている。エアロゾル生成システム1は、エアロゾル生成デバイス10と、第1の実施例のエアロゾル生成物品24とを含む。エアロゾル生成デバイス10は、近位端12と、遠位端14とを有し、且つ空洞18を画定するハウジング16を含む。ハウジング16は、空洞18に空気を供給するための1つ又は複数の空気入口19を含む。エアロゾル生成デバイス10は、さらに電源20と、コントローラ22とを含む。電源20は、典型的には、例えば、誘導充電式であり得る1つ又は複数のバッテリを含む。
【0033】
エアロゾル生成デバイス10は、一般に円筒形であり、且つ、ハウジング16によって画定される空洞18もまた円筒形であり、さらに円筒形加熱区画の形態をとる。空洞18は、エアロゾル生成物質26と、エアロゾル生成物質26内に配置された抵抗性加熱要素27とを含む、対応する形状のほぼ円筒形又はロッド状のエアロゾル生成物品24を受容するように配置される。抵抗性加熱要素27は、細長い加熱要素27であり、エアロゾル生成物質26を介して長手方向に延在する。
図1及び2に示される実施例では、抵抗性加熱要素27が、エアロゾル生成物品24の製造中に、エアロゾル生成物質26内に配置される。図示されていない代替の実施例では、抵抗性加熱要素27をハウジング16に取り付け、それが空洞18内に突出し、そして、ユーザーによる、エアロゾル生成物品24の(一体型加熱要素27なしでの)空洞18内への挿入中に、エアロゾル生成物質26内に挿入されるようにすることができる。例えば、加熱要素27は、エアロゾル生成物質26が空洞18内に配置されるので、エアロゾル生成物質26に入るブレード又は細長いピンであり得る。
【0034】
エアロゾル生成物品24は使い捨ての物品であり、例えば、エアロゾル生成物質26としてタバコを含み得る。エアロゾル生成物品24は、第1及び第2の端部28、30を有し、且つエアロゾル生成物質26を取り囲む包装紙32を含む。エアロゾル生成物品24はまた、エアロゾル生成物質26及び包装紙32に同軸で突き合わされた第1の端部28にフィルタ34を含む。フィルタ34は、マウスピースとして機能し、例えば酢酸セルロース繊維を含む通気性プラグを含む。包装紙32とフィルタ34の両方とも、典型的には先端紙を含む外側包装体36によって包まれている。図示されていない代替の実施例では、フィルタ34を省略でき、そして代わりにエアロゾル生成デバイス10は一体型マウスピースを含むことができた。
【0035】
エアロゾル生成デバイス10は、エアロゾル生成物質26を加熱する複数の加熱回路40a~eを含む。複数の加熱回路40a~eは、簡単にするために電気的接続は図面に示されていないが、電源20及びコントローラ22に電気的に接続されている。
【0036】
図示された第1の実施例では、各加熱回路40a~eは、電気接点42a~eの対の形態の電気回路構成要素を含む。電気接点42a~eの対は、
図1に示される、電気接点42a~eが、空洞18内に配置されたエアロゾル生成物品24のエアロゾル生成物質26内に延在しない第1の位置と、
図2に示される、電気接点42a~eが、エアロゾル生成物質26内に延在する第2の位置との間で移動可能である。
図1と
図2の比較から明らかなように、電気接点42a~eの対が第1の位置にある場合に、電気接点42a~eは、エアロゾル生成物品24の加熱要素27から離間しているが、電気接点42a~eは、それらが第2の位置にある場合に、加熱要素27に接触するように配置されている。
【0037】
コントローラ22は、複数の加熱回路40a~eのうちの1つ又は複数に独立して電気エネルギーを供給するように、特に、電気接点42a~eのうちの1つ又は複数の対に電気エネルギーを順次供給するように電源20を制御するように構成される。より詳細に、1つのモードでは、コントローラ22は、第1の、電気接点42aの対に電気エネルギーを供給するように電源20を制御するように構成された制御回路を含む。これにより、加熱要素27は、
図2にAで示される領域で加熱され、その結果、加熱要素27の加熱領域Aに近接するエアロゾル生成物質26の第1の部分は、加熱領域Aから伝達される熱によって加熱される。
【0038】
コントローラ22は、例えば、エアロゾル生成デバイス10のユーザーによる吸入又は「パフ」の数を検出することによって、又は所定の期間が経過したことを検出することによって、エアロゾル生成物質26の第1の部分の消費を検出するように構成され得る。所定の数のパフを検出した後、又は所定の期間が経過したことを検出した後、第1の、電気接点42aの対へのエネルギー供給が停止し、そして第2の、電気接点42bの対へのエネルギー供給が最大レベルに達するまで、コントローラ22は、第1の、電気接点42aの対への電気エネルギーの供給を減少させ、同時に第2の、電気接点42bの対への電気エネルギーの供給を増加させるように構成され得る。結果として、加熱要素27は、
図2にBで示される領域で加熱され、その結果、加熱要素27の加熱領域Bに近接するエアロゾル生成物質26の第2の部分は、加熱領域Bから伝達される熱によって加熱される。
【0039】
所定の数のパフを検出した後、又は所定の期間が経過したことを検出した後、第2の、電気接点42bの対へのエネルギー供給が停止し、そして第3の、電気接点42cの対へのエネルギー供給が最大レベルに達するまで、コントローラ22は、第2の、電気接点42bの対への電気エネルギーの供給を減少させ、同時に第3の、電気接点42cの対への電気エネルギーの供給を増加させるように構成され得る。結果として、加熱要素27は、
図2にCで示される領域で加熱され、その結果、加熱要素27の加熱領域Cに近接するエアロゾル生成物質26の第3の部分は、加熱領域Cから伝達される熱によって加熱される。
【0040】
コントローラ22は、電気エネルギーが、電源20によって、第4及び第5の、電気接点42d、42eの対に順次供給されるように、上記の方法論を引き続き実施し、それにより、エアロゾル生成物質26の第4及び第5の部分が順次加熱されるように、
図2にD及びEで示される領域で、加熱要素27を順次加熱する。
【0041】
第5の、電気接点42eの対への電気エネルギーの供給中に、所定の数のパフを検出した後、又は所定の期間が経過したことを検出した後、電気接点42eに供給される電気エネルギーが停止するまで、コントローラ22は、第5の、電気接点42eの対への電気エネルギーの供給を減少させる。この時点で、エアロゾル生成物質26のさらなる加熱は行われず、使用されたエアロゾル生成物品24が空洞18から除去され、そして、事前に加熱されていないエアロゾル生成物質26を含む交換用エアロゾル生成物品24が空洞18内に挿入されるまで、コントローラ22は、電源20から電気接点42a~eの対への電気エネルギーの供給を防止するように構成され得る。
【0042】
別のモードでは、複数の加熱回路40a~eのうちの2つ以上に同時に電気エネルギーを供給し、エアロゾル生成物質26の2つ以上の部分を同時に加熱することができる。例えば、方法論は、加熱回路40a、40bの対に電気エネルギーを供給し、加熱要素27の2つの領域A及びBを同時に加熱することからなり、それによって、エアロゾル生成物質26の対応する部分を加熱し得るが、他の加熱回路40c~40eは電気供給されないままである。加熱動作は、加熱回路40c~eを用いて、個別に、又は、対又はグループで、加熱要素27の他の領域C、D、Eを加熱するために継続することができる。
【0043】
ここで
図3及び4を参照すると、上述した第1の実施例のエアロゾル生成システム1と同様の第2の実施例のエアロゾル生成システム2が図示されており、対応する構成要素は、同じ参照番号を使用して図示されている。
【0044】
エアロゾル生成システム2は、エアロゾル生成物質26を加熱する複数の加熱回路40a~eを含むエアロゾル生成デバイス50を含む。図示された第2の実施例では、各加熱回路40a~eは、加熱要素52a~eを含む。加熱要素52a~eは、
図3に示される、加熱要素52a~eが空洞18内に配置されたエアロゾル生成物品24のエアロゾル生成物質26内に延在しない第1の位置と、
図4に示される、加熱要素52~eがエアロゾル生成物質26内に延在する第2の位置との間で同時に移動することができる。
図3及び4に示される第2の実施例では、エアロゾル生成物品24は、一体型加熱要素27を含まないことに留意されたい。
【0045】
コントローラ22は、複数の加熱回路40a~eのうちの1つ又は複数に電気エネルギーを供給し、そしていくつかの実施形態では、加熱要素52a~eの各々に電気エネルギーを順次供給するように電源20を制御するように構成される。より詳細に、1つのモードでは、コントローラ22は、第1の加熱要素52aに電気エネルギーを供給するように電源20を制御するように構成される制御回路を含む。これにより、第1の加熱要素52aから伝達された熱は、
図4にAで示される領域で、エアロゾル生成物質26の第1の部分を加熱する。
【0046】
所定の数のパフを検出した後、又は所定の期間が経過したことを検出した後、第1の加熱要素52aへのエネルギー供給が停止し、そして第2の加熱要素52bへのエネルギー供給が最大レベルに達するまで、コントローラ22は、第1の加熱要素52aへの電気エネルギーの供給を減少させ、同時に第2の加熱要素52bへの電気エネルギーの供給を増加させるように構成され得る。結果として、エアロゾル生成物質26の第2の部分は、第2の加熱要素52bから伝達される熱によって、
図4にBで示される領域で加熱される。
【0047】
第2の加熱要素52bへの電気エネルギーの供給中、所定の数のパフを検出した後、又は所定の期間が経過したことを検出した後、第2の加熱要素52bへのエネルギー供給が停止し、そして第3の加熱要素52cへのエネルギー供給が最大レベルに達するまで、コントローラ22は、第2の加熱要素52bへの電気エネルギーの供給を減少させ、同時に第3の加熱要素52cへの電気エネルギーの供給を増加させるように構成され得る。結果として、エアロゾル生成物質26の第3の部分は、第3の加熱要素52cから伝達される熱によって、
図4にCで示される領域で加熱される。
【0048】
コントローラ22は、電気エネルギーが電源20によって、第4及び第5の加熱要素52d、52eに順次供給され、それによって、
図4にD及びEで示された領域のエアロゾル生成物質26の第4及び第5の部分を順次加熱するように、上記の方法論を引き続き実施する。
【0049】
第5の加熱要素52eへの電気エネルギーの供給中、所定の数のパフを検出した後、又は所定の期間が経過したことを検出した後、コントローラ22は、加熱要素52eへの電気エネルギーの供給が停止するまで、第5の加熱要素52eへの電気エネルギーの供給を減少させる。この時点で、エアロゾル生成物質26のさらなる加熱は行われず、使用されたエアロゾル生成物品24が空洞18から除去され、事前に加熱されていないエアロゾル生成物質26を含む交換用エアロゾル生成物品24が空洞18内に挿入されるまで、コントローラ22は、電源20から加熱要素52a~eへの電気エネルギーの供給を防止するように構成され得る。
【0050】
別のモードでは、複数の加熱回路40a~eのうちの2つ以上に同時に電気エネルギーを供給し、エアロゾル生成物質26の2つ以上の部分を同時に加熱することができる。例えば、方法論は、エアロゾル生成物質26の2つの領域A及びBを同時に加熱することからなり得、一方で他の領域C、D、Eは加熱されないままである。加熱動作は、他の領域C、D、Eを、個別に、又は、対又はグループで、加熱要素52c~52eで加熱するために継続することができる。
【0051】
図5及び6を参照すると、
図1及び2に図示される第1の実施例のエアロゾル生成デバイス10と組み合わせて、
図1及び5に示される第1の位置から、
図2及び6に示される第2の位置まで、電気接点42a~eの対を同時に移動するための、第1のタイプの位置決め機構54が示される。位置決め機構54は、半径方向に移動可能なプッシャー56を含み、これは、ユーザーによって手動で作動させることができる。半径方向に移動可能なプッシャー56は、
図5に示される第1の(後退)位置と、
図6に示される第2の(前進)位置との間で半径方向に(
図5及び6の両方向矢印によって示されるように)移動可能である。
【0052】
図7及び
図8を参照すると、
図3及び4に図示される第2の実施例のエアロゾル生成デバイス50と組み合わせて、加熱要素52a~eを、
図3及び7に示される第1の位置から、
図4及び8に示される第2の位置まで順次移動させるための第2のタイプの位置決め機構58が示される。位置決め機構58は、軸方向に移動可能なプッシャー60を含み、これは、ユーザーによって手動で作動させることができる。軸方向に移動可能なプッシャー60は、
図7に示される第1の(後退)位置と、
図8に示される第2の(前進)位置との間で軸方向に(
図7及び8の両方向矢印で示されるように)移動可能である。
【0053】
第1のタイプの位置決め機構54は、
図1及び2に図示される第1の実施例のエアロゾル生成デバイス10と組み合わせて説明されてきたが、
図3及び4に図示される第2の実施例のエアロゾル生成デバイス50と同様に使用することができる。同様に、第2のタイプの位置決め機構58は、
図3及び4に図示される第2の実施例のエアロゾル生成デバイス50と組み合わせて説明されてきたが、
図1及び2に図示される第1の実施例のエアロゾル生成デバイス10と同様に使用することができる。
【0054】
これまでの段落では例示的な実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な修正を加えることができることを理解されたい。したがって、特許請求の幅及び範囲は、上述した例示的な実施形態に限定されるべきではない。
【0055】
本明細書において、別途記載のない限り、又は文脈に明らかに矛盾しない限り、上述した特徴の任意の組み合わせが、その全ての可能な変形形態にて、本開示によって包含される。
【0056】
文脈上、明らかに他の意味に解すべき場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、「含む」、「含んでいる」などの語は、排他的意味又は網羅的意味とは反対に、包括的に、すなわち「含むが、限定されない」という意味で解釈されるべきである。