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特許7569374ダブル・ドア移送システムのためのシール試験デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】ダブル・ドア移送システムのためのシール試験デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/04 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
G01M3/04 N
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022523954
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 FR2020051884
(87)【国際公開番号】W WO2021079053
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】1911997
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511107784
【氏名又は名称】ゲティンゲ ライフ サイエンス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】パパン,ディディエ
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-193323(JP,A)
【文献】特表2015-508460(JP,A)
【文献】特表2005-525940(JP,A)
【文献】実開昭60-118653(JP,U)
【文献】実開昭63-026558(JP,U)
【文献】特開平08-258872(JP,A)
【文献】実開平04-096040(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0212054(US,A1)
【文献】中国実用新案第201421418(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの閉じられたボリュームの間におけるダブル・ドア・シール付き移送システムの少なくとも一部のシールを試験するためのシール試験デバイスであって、前記システムは、互いに堅固に接続されることが可能な第1および第2のフランジ(18,20)と、前記第1および前記第2のフランジによってそれぞれ画定される開口部を正常にシールする第1および第2のドア(22,24)とを包含し、前記シール試験デバイスは、前記第1のフランジと前記第1のドアの間、および前記第2のフランジと前記第2のドアの間の前記シールを別々に試験するよう構成され、前記デバイスが、開口部(44,144)を備えるキャビティ(38,138)を包含するケーシング(36,136)と、前記第1(18)および第2(20)のフランジのうちの1つと前記第1(22)および第2(24)のドアのうちの1つによって前記キャビティ(38,138)が閉じられるように、前記第1(18)および第2(20)のフランジのうちの少なくとも1つに対する機械的な接続をするための手段(50)と、膨張された状態において前記第1(18)および第2(20)のフランジのうちの1つと接触することと、前記第1のフランジ(18)と前記第1のドア(22)の間または前記第2のフランジ(20)と前記第2のドア(24)の間の前記シールの検証を可能にするシールを確保することが意図された膨張可能なジョイント(48,148)と、を含む、シール試験デバイス。
【請求項2】
前記膨張可能なジョイント(48)を膨張させるための手段(56)と、前記キャビティ(38)内の圧力をコントロールするための手段(58)と、を含む、請求項1に記載のシール試験デバイス。
【請求項3】
前記ケーシング(36)は、前記キャビティ(38)の前記開口部(44)と境界をなし、かつ前記膨張可能なジョイント(48)を受け入れる溝(46)を含む、請求項1または2に記載のシール試験デバイス。
【請求項4】
前記膨張可能なジョイント(48)は、膨張されていない状態において、溝(46)内に完全に収容される、請求項1から3のいずれか一項に記載のシール試験デバイス。
【請求項5】
前記膨張可能なジョイント(48)内の圧力を監視する圧力スイッチ(64)を含む、請求項2を引用する請求項1から4のいずれか一項に記載のシール試験デバイス。
【請求項6】
前記移送システムの前記第1および第2のフランジが、互いにロックするための手段を含み、前記機械的接続手段(50)が、好都合には前記第1(18)および第2(20)のフランジのうちの少なくとも1つの前記ロック手段と協働する、請求項1から5のいずれか一項に記載のシール試験デバイス。
【請求項7】
前記機械的接続手段(50)は、バヨネット・タイプである、請求項1から6のいずれか一項に記載のシール試験デバイス。
【請求項8】
前記膨張可能なジョイント(48)が、前記膨張された状態において、前記第1(22)または第2(24)のドアの面に対して実質的に平行に、前記第1(18)または第2(20)のフランジの面と接触するように、溝(46)が前記ケーシング(36)の面内に開口する、請求項3または4を引用する請求項1から7のいずれか一項に記載のシール試験デバイス。
【請求項9】
前記膨張可能なジョイント(148)が、前記膨張された状態において、前記第2のフランジ(20)の半径方向外側の周縁と接触するように、溝(146)が前記ケーシング(136)の前記キャビティ(138)内に開口する、請求項3または4を引用する請求項1から7のいずれか一項に記載のシール試験デバイス。
【請求項10】
前記第1のフランジ(18)と前記第1のドア(22)は、インシュレータのそれらであり、前記第2のフランジ(20)と前記第2のドア(24)は、コンテナのそれらである、請求項1から9のいずれか一項に記載のシール試験デバイス。
【請求項11】
請求項2を引用する請求項1から10のいずれか一項に記載のシールを試験するためのデバイスを実装する2つの閉じられたボリュームの間のダブル・ドア・シール付き移送システムの少なくとも一部のシールを試験するための方法であって、前記第1のフランジと前記第2のフランジは、互いから接続解除されており、前記方法が、
- シールを試験するための前記デバイスを前記第1または第2のフランジ上に機械的に接続する段階と、
- 前記膨張可能なジョイントを所定の圧力まで膨張させる段階と、
- 前記キャビティ内の圧力をコントロールするサイクルと、
- 前記第1のフランジと前記第1のドアまたは前記第2のフランジと前記第2のドアの間の前記シールに関するメッセージを発する段階と、
を包含する方法。
【請求項12】
前記試験の持続期間全体を通じて前記膨張可能なジョイント内の前記圧力を監視するステップ、を含む、請求項11に記載のシール試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信頼性が向上したダブル・ドア移送システムのためのシール試験デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力、医療、製薬、および農業食品部門を含む一定数の産業部門においては、閉じ込められた雰囲気中において特定のタスクを実行することが、たとえば放射能から、あるいは毒性から環境を保護するために、またはその逆に、無菌または無塵の雰囲気中においてそれらのタスクを実行可能とするために、またはその両方同時のために、必要であるか、または望ましい。
【0003】
それらのボリュームのそれぞれのシールがいかなる瞬間においても外側に関して破られることなく、1つの閉じられたボリュームから別のそれへ装置または製品を移送することは、解決が複雑になる問題を提起する。この問題は、ダブル・ドア接続デバイスによって克服することが可能である。
【0004】
複数の安全性を伴うコントロールが備えられたその種のダブル・ドア・デバイスは、たとえば、特許文献1から周知である。各ボリュームが、フランジ内にマウントされたドアによって閉じられる。各ドアが、バヨネット・リンクによってそれのフランジに堅固に接続され、それら2つのフランジは、バヨネット・リンクによって互いに堅固に接続されることが意図されている。
【0005】
たとえば、閉じられたボリュームのうちの1つが、インシュレータによって形成され、他方のボリュームがコンテナによって形成される。
【0006】
慣習的に、インシュレータによって担持される接続部がアルファ部と呼ばれ、コンテナによって担持される接続部がベータ部と呼ばれる。
【0007】
これらの2つの閉じられたボリュームの接続の前には、これらの2つの閉じられたボリュームの接続の間における内側または外側の汚染のリスクを回避するために、各ボリュームがシール基準を遵守していることを検証することが望ましい。
【0008】
それぞれの閉じられたボリュームのシールの検証に使用される1つのテクニックは、開口部が薄く比較的硬質のOリングによって境界設定されるキャビティと、それとともに試験ボリュームを画定するためにアルファ部またはベータ部のフランジの精密表面に対して適用されることが意図されたジョイントとを含むデバイスを実装し、そのシールが、コンテナまたはインシュレータの内容積に関して試験される。たとえば、ボリューム内において所定レベルの圧力が生成され、前記圧力が経時的に安定しているか否かが検証される。
【0009】
デバイスは、アルファ部またはベータ部の表面に対してジョイントが加圧されるように、たとえばねじを介してアルファ部またはベータ部上に固定される。
【0010】
ジョイントが接触するとともに外側からの試験ボリュームのシールを確保することが意図されたベータまたはアルファ部の表面は、操作の間に衝撃に曝される。この表面の劣化のリスクは、このように有意であり、試験ボリュームの外側とのシールが妨げられるおそれがあり、そのことがジョイントと当該表面の間におけるシールの欠如に起因して失敗するというシール試験の否定的な結果を招く。しかしながら、小さいサイズのOリングおよびそれの堅固性は、表面の劣化の吸収を可能にしない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】仏国特許発明第2695343号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、信頼性のある動作を有するダブル・ドア接続システムの少なくとも一部のシールを試験するためのデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上に述べられている目的は、膨張可能なジョイントによって境界設定される開口部を備えるキャビティを含むシール試験デバイスと、試験されることになる部品上に前記デバイスを固定するための手段によって達成される。
【0014】
前記デバイスは、試験されることになる部品の上にマウントされ、前記試験されることになる部品のシール表面と接触するように前記ジョイントが膨張される。膨張可能なジョイントの実装は、前記シール表面が受ける劣化の吸収を可能にする。実際、これが大きな柔軟性を提供し、したがって前記表面の瑕疵に順応することが可能である。
【0015】
それに加えて、前記試験されることになる部品上への前記デバイスの固定がバヨネット・システムによって獲得される場合においては、膨張可能なジョイントの実装が、摩擦を減じ、かつ接続を容易にするという利点を有する。それに加えて、前記ジョイントが固定の間に劣化するリスクがない。
【0016】
非常に好都合には、前記固定手段が、前記2つの閉じられたボリュームの前記フランジを互いにロックするべく実装された手段、たとえばバヨネットまたはレバー・ロック手段を使用する。固定が容易になり、たとえばねじといった別個の手段の使用が回避される。
【0017】
前記試験デバイスは、前記2つの閉じられたボリュームを検証するべく適合される。
【0018】
したがって、本発明の1つの要旨は、2つの閉じられたボリュームの間におけるダブル・ドア・シール付き移送システムの少なくとも一部のシールを試験するためのデバイスであって、前記システムは、互いに堅固に接続されることが可能な第1および第2のフランジと、前記第1および前記第2のフランジによってそれぞれ画定される開口部を正常にシールする第1および第2のドアとを包含し、前記デバイスは、開口部を備えるキャビティを包含するケーシングと、前記第1および第2のフランジのうちの1つと前記第1および第2のドアのうちの1つによって前記キャビティが閉じられるように、前記第1および第2のフランジのうちの少なくとも1つに対して機械的に接続するための手段と、膨張された状態において前記第1および第2のフランジのうちの1つと接触することと、前記第1のフランジと前記第1のドアの間または前記第2のフランジと前記第2のドアの間の前記シールの検証を可能にするシールを確保することが意図された膨張可能なジョイントと、を含む。
【0019】
好都合には、前記デバイスが、前記膨張可能なジョイントを膨張させるための手段と、前記キャビティ内の圧力をコントロールするための手段と、を含む。前記デバイスは、好都合には前記膨張可能なジョイント内の圧力を監視する圧力スイッチを含むことが可能である。
【0020】
たとえば、前記ケーシングは、前記キャビティの前記開口部と境界をなし、かつ前記膨張可能なジョイントを受け入れる溝を含む。好ましくは、前記膨張可能なジョイントが、膨張されていない状態において、前記溝内に完全に収容される。
【0021】
たとえば、前記移送システムの前記第1および第2のフランジが、互いにロックするための手段を含み、前記機械的接続手段が、好都合には前記第1および第2のフランジのうちの少なくとも1つの前記ロック手段と協働する。したがって、シール試験の実行が追加の接続手段を必要としない。
【0022】
前記機械的接続手段は、たとえばバヨネット・タイプのものである。
【0023】
1つの実施態様においては、前記膨張可能なジョイントが、前記膨張された状態において、前記第1または第2のドアの面に対して実質的に平行に、前記第1または第2のフランジの面と接触するように、前記溝が前記ケーシングの面内に開口する。
【0024】
別の実施態様においては、前記膨張可能なジョイントが、前記膨張された状態において、前記第2のフランジの半径方向外側の周縁と接触するように、前記溝が前記ケーシングの前記キャビティ内に開口する。
【0025】
たとえば、前記第1のフランジと前記第1のドアは、インシュレータのそれであり、前記第2のフランジと前記第2のドアは、コンテナのそれである。
【0026】
本発明の別の要旨は、本発明に従ったシール試験デバイスを実装する2つの閉じられたボリュームの間のダブル・ドア・シール付き移送システムの少なくとも一部のシールを試験するための方法であって、前記方法は、
- 前記シール試験デバイスを前記第1または第2のフランジ上に機械的に接続する段階と、
- 前記膨張可能なジョイントを所定の圧力まで膨張させる段階と、
- 前記キャビティ内の圧力をコントロールするサイクルと、
- 前記第1のフランジと前記第1のドアまたは前記第2のフランジと前記第2のドアの間の前記シールに関するメッセージを発する段階と、
を包含する。
【0027】
好都合には、前記方法が、前記試験の持続期間全体を通じて前記膨張可能なジョイント内の前記圧力を監視するステップを含む。
【0028】
本発明は、以下の説明および添付図面に基づいてより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】バヨネット・タイプを用いるダブル・ドア・シール付き移送システムを介したセル上へのコンテナの接続を略図的に図解した長さ方向断面図である。
図2A】インシュレータへのマウント前の、ジョイントが膨張されていない状態のシール試験デバイスの例を略図的に示した長さ方向断面図である。
図2B】インシュレータにマウントされた、ジョイントが膨張されていない状態の図2Aのシール試験デバイスを略図的に示した長さ方向断面図である。
図2C】インシュレータにマウントされた、ジョイントが膨張された状態の図2Aのシール試験デバイスを略図的に示した長さ方向断面図である。
図3A】コンテナへのマウント前の、ジョイントが膨張されていない状態のシール試験デバイスの例を略図的に示した長さ方向断面図である。
図3B】コンテナにマウントされた、ジョイントが膨張されていない状態の図3Aのシール試験デバイスを略図的に示した長さ方向断面図である。
図3C】コンテナにマウントされた、ジョイントが膨張された状態の図3Aのシール試験デバイスを略図的に示した長さ方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、ダブル・ドア移送システムの一例の図解を示している。
【0031】
以下の説明において、接続前にシールを試験することが望ましい2つの閉じられたボリュームは、インシュレータ10とコンテナ12にそれぞれ対応する。しかしながら、これらの閉じられたボリュームが、非限定的態様で、たとえば一方についてグローブ・ボックス、他方についてコンテナまたはグローブ・ボックスとなる場合においても本発明が適用可能であることが理解される。
【0032】
インシュレータ10は、壁14によって画定されるが、図においては、それの一部だけが見えている。通例に従えば、たとえば、壁14に堅固に接続されたリモート・マニプレータおよび/またはグローブ(図示せず)等のリモート操作のための手段が装備され、それを介してこのセル10の内側から集中型コントロール・メカニズムが操作され得る。コンテナ12もまた、特に図1に図解されているとおり、壁16によって画定される。
【0033】
ダブル・ドア・シール付き移送デバイスは、主として、インシュレータ・フランジ18と、コンテナ・フランジ20と、インシュレータ・フランジ18によって画定される円形の開口部を正常にシールするインシュレータ・ドア22と、コンテナ・フランジ20によって画定される開口部を正常にシールするコンテナ・ドア24とを包含する。インシュレータ・フランジ18およびコンテナ・フランジ20は、それぞれ、セル10の壁14上、およびコンテナ12の壁16上に固定されている。この例においては、インシュレータのドア22が、ヒンジ26によってインシュレータ・フランジ18に関節接続される。
【0034】
全体が参照番号28によって指定されている手段は、ドア22およびドア24の開閉のコントロールを可能にする。
【0035】
たとえば、コンテナ・フランジ20上へのコンテナ・ドア24の固定は、仏国特許発明第2695343号明細書に記述されているようなバヨネット・リンク30によって確保される。たとえば、インシュレータ・フランジ18上へのコンテナ・フランジ20の接続およびインシュレータ・ドア22上へのコンテナ・ドア24の接続を可能にするために、ダブル・ドア・シール付き移送システムは、参照番号32および34によってそれぞれ指定される2つの他のバヨネット・リンクも包含する。3つのバヨネット・リンク30、32、および34は、インシュレータ・フランジ18上へのコンテナ・フランジ20のドッキングの後に、コンテナ12の軸周りの、コンテナ12の、たとえば時計方向における回転が、コンテナ・フランジ20とインシュレータ・フランジ18を接続する効果と、コンテナ・ドア24とインシュレータ・ドア22を接続する効果と、コンテナ・フランジ20からコンテナ・ドア24の接続解除する効果とを有するような方法で配される。後の2つの操作は、コンテナを開くことが、インシュレータ・ドア22にコンテナ・ドア24が接続されてダブル・ドアが形成された後にだけ生じるような方法で連続的に実行される。
【0036】
インシュレータ・フランジとインシュレータ・ドアによって形成されるアッセンブリは、慣習的に『アルファ部』と呼ばれる。コンテナ・フランジとコンテナ・ドアによって形成されるアッセンブリは、慣習的に『ベータ部』と呼ばれる。
【0037】
概して言えば、ダブル・ドア移送システムは、インシュレータ・フランジの軸である軸X周りに回転対称性を有する。
【0038】
図2A乃至2Cは、2つの異なる状態でアルファ部上にマウントされたシール試験デバイスD1を示している。
【0039】
図2A乃至2Cは、アルファ部のドア22を詳細に示している。これには、外面22.1上およびフランジ18の外周上にマウントされるジョイント23が含まれる。ジョイント23は、ドアの外面22.1上およびそれの側縁22.2上の両方に延びる。ジョイント23は、一方においてインシュレータ・ドア22とインシュレータ・フランジ18の間のシールを、およびインシュレータ・ドア22の外面とコンテナ・ドア24の外面の間のシールを確保し、これらの外面と閉じられたボリュームの内側を遮断する。
【0040】
ジョイント23は、インシュレータ・ドア22に形成された環状の溝21にマウントされた『ヒール』と呼ばれる環状ビード25を介してインシュレータ・ドア22上に固定される。
【0041】
潜在的な漏れは、矢印F1によって記号化されているジョイント23とインシュレータ・フランジ18の間、および矢印F2によって記号化されているドア22とヒール25のマウントにおけるジョイント23の間に生じる可能性がある。
【0042】
試験デバイスD1は、漏れF1およびF2の検出を可能にするべく作られる。試験デバイスD1は、ボトム40と、側壁42と、ボトムとは反対側の開口部44を含むキャビティ38を画定するケーシングまたはヘッド36を含む。キャビティ38は、長さ方向の軸X1に沿って延びる。
【0043】
ケーシング36は、開口部44を取り囲む溝46と、溝46内にマウントされた膨張可能なジョイント48を含む。膨張されていない状態においては(図2Aおよび2B)、膨張可能なジョイント48が、好都合には溝から突出せず、アルファ部上への試験デバイスD1の接続の間における摩擦が減じられる。それに加えて、ジョイントが保護される。たとえば、膨張可能なジョイント48は、膨張が意図された面とは反対側の面で接着される。
【0044】
膨張可能なジョイントは、たとえばエラストマから、たとえばシリコンから、スチレンブタジエンまたはSBR(スチレンブタジエンゴム)から、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマ)から、フルオロポリマから、たとえばFKMから、水素化ニトリルまたはHNBR(水素化ニトリルブタジエンゴム)から作られる。
【0045】
キャビティの直径は、膨張可能なジョイント48が、膨張された状態においてインシュレータの潜在的な漏れF1およびF2のゾーンをカバーしないように選択される。好ましくは、ケーシングがジョイント23と接触しないようにする。ケーシングの寸法は、開口部44と隣り合う溝46の縁、言い換えると溝46と開口部44の間の壁が、ジョイント23と接触しないようなものとする。試験デバイスD1の位置決めは、固定手段、たとえばバヨネット固定手段によって確保される;ケーシング、特に溝46の内側縁は充分に短く、接続された状態においてジョイント23に触れない。
【0046】
試験デバイスD1は、アルファ部上にケーシング36を、特にインシュレータ・フランジ18上にケーシングを、ジョイント48が、膨張された状態においてインシュレータ・フランジ18の外面18.1と接触するように、機械的に接続するための手段50を含む。
【0047】
好都合には、機械的接続手段50が、インシュレータ・フランジ18上にコンテナ・フランジ20を堅固に接続するための手段と協働する。説明している例においては、これらがバヨネット手段である。したがって、デバイスD1がコンテナに代わってフランジ上にマウントされることから、機械的接続手段50は、コンテナ・フランジ20によって担持されるものとまったく同じである。
【0048】
図2A乃至2Cに示されている例において、機械的接続手段は、したがって、インシュレータ・フランジ18の溝54内に侵入して平行移動する2つのフランジ18と20をロックするラグ52を含む。
【0049】
それに代えて、機械的接続手段をスナップオン・タイプのものとすること、ねじ留めによるものとすることが可能である。
【0050】
デバイスD1は、膨張可能なジョイント48を膨張させるための手段56も含むことが可能である。
【0051】
手段56は、膨張可能なジョイント48と、たとえば空気圧増幅型ポンプとの間における流体接続60を含む。非常に好都合には、手段56が、膨張可能なジョイント48内の圧力をあらかじめ定義済みの設定値に関して監視し、それの状態および/またはインシュレータ・フランジ18上におけるデバイスのマウントの検証を可能にするための監視手段64を含む。
【0052】
たとえば、監視手段64は、圧力スイッチを含む。圧力スイッチは、圧力の低下をコントロールする。上記のあらかじめ定義済みの設定値は、以前に設定されたジョイントの膨張の圧力値に対応する。圧力スイッチは、このあらかじめ定義済みの設定値とジョイントの実際の圧力測定値を比較する。この設定値と測定値の間の差がスレッショルドを超えるとき、たとえばジョイントに孔が空いている場合、圧力スイッチが信号を、たとえば光インジケータの形式のアラームを送出する。したがって、試験の持続期間全体にわたって圧力が安定した状態でとどまっているか否か、また試験の状態が有効であるか否かを検証することが可能である。膨張の間は、ジョイントの膨張圧力まで到達すると圧力スイッチがポンプの停止を命令する。
【0053】
デバイスD1は、たとえば、シールされたキャビティ内に特定レベルの圧力を生成させるためのポンプ62と、漏れが検出されたか否かに応じて色が変化する光信号またはスクリーンの形式で圧力の変化を操作者へ知らせるための手段と関連付けされた、経時的なキャビティ38内における圧力レベルの変化を監視し、かつシール試験を実施するための手段58とを含む。
【0054】
次に、シール試験デバイスの動作を説明する。
【0055】
最初に、膨張可能なジョイント48が膨張されていない状態で試験デバイスD1がアルファ部の近くへ移動され(図2A)、続いてアルファ部と堅固に接続される(図2B)。機械的接続手段50がインシュレータ・フランジ18と協働する。この例においては、接続がバヨネット手段によって獲得される。たとえば、デバイスがインシュレータ・フランジ18の近くへ、軸Xと軸X1を実質的に一直線にして軸方向に移動され、その後、デバイスのケーシングが軸X周りに枢動されてインシュレータ・フランジ18上におけるケーシング36の軸方向ロックが確保される。膨張可能なジョイント48が溝46から突出していないことから、それがインシュレータ・フランジ18を擦ることはなく、そのことが摩擦を減じてマウントを容易にし、ジョイントの損傷のリスク、たとえば、それに孔が開くリスクを減ずる(図2B)。
【0056】
その後、膨張可能なジョイント48が膨張されてインシュレータ・フランジ18の外面18.1と接触し、溝46内および外面18.1上におけるシールされた接触が確保される。好都合には、ジョイント内の圧力が監視される(図2C)。ケーシングと膨張可能なジョイント48は、アルファ部とともにボリュームVを画定し、インシュレータの内側に関するそれのシールが検証される。コントロール手段58が付勢される。キャビティ38内において特定の圧力が設定され、それの値の変化が監視される。ボリュームVは、通常、数cmである。
【0057】
キャビティ38内の圧力の値が変化した場合には、ジョイントとインシュレータ・ドア22および/またはインシュレータ・フランジ18の間に1つ以上の漏れが存在すると見做される。信号が、操作者に、シール試験が肯定的であったかまたは否定的であったかを通知する。
【0058】
シール試験の間には、膨張可能なジョイント48が、外側に対して、たとえば約2.10Paの最大圧力まで膨張され、キャビティ内の圧力が、たとえば約-4000Paまで下げられる。
【0059】
本発明に従ったデバイスD1は、より信頼性のある試験の実行を可能にする。
【0060】
実際、膨張可能なジョイントは、Oリングより柔軟性がある。それが膨張されているときには、インシュレータ・フランジの座面に順応する。座面上に瑕疵が、たとえば切れ込みまたは凹部がある場合、膨張可能なジョイントは、ある程度までその表面の瑕疵に適応してそれを補償する。したがって、試験デバイスとアルファ部の間のシールの瑕疵によってもたらされる偽の否定的な結果のリスクが大きく減じられる。
【0061】
それに加えて、試験デバイスは、膨張可能なジョイントが溝内に保護されていることからより堅牢であり、シール試験に有害な衝撃、パンク、傷つき、切れ込みのリスクが減じられる。
【0062】
膨張可能なジョイントの実装には、さらに、より大きな接触表面を有し、したがってOリングより大きなシール表面を有するという利点がある。
【0063】
試験デバイスのマウントは、迅速かつ比較的単純である。不正確な試験のリスクが、実質的に減じられる。
【0064】
図3A乃至3Cは、ベータ部のシールの試験に特に適合されたシール試験デバイスD2を示している。コンテナ・フランジ20は、ジョイント23と類似の、インシュレータ・ドア22上にマウントされるジョイント27を含む。
【0065】
デバイスD2は、これもまた、ベータ部とともにシールされたキャビティを画定する膨張可能なジョイントを実装することからデバイスD1と非常に類似している。デバイスD1とは、膨張可能なジョイント148がコンテナ・フランジ20の半径方向外側の周縁と接触する点が異なる。デバイスD2は、長さ方向の軸X1’を有する。
【0066】
ケーシング136は、ボトム140と側壁142によって画定されるキャビティ138と、膨張可能なジョイント148を収容するケーシング内に半径方向の溝146が画定されるように、キャビティの内径より小さい直径を有する開口部144とを含む。
【0067】
たとえば、膨張可能なジョイント148は、膨張が意図された面とは反対側の面で接着される。膨張可能なジョイント148は、半径方向の溝146のボトムに接着される。ジョイント48について与えられている材料の例が、ジョイント148に適用できる。
【0068】
好都合には、開口部144が、傾斜付きの半径方向内側縁を有し、ベータ部へのケーシングのマウントを容易にする。
【0069】
ベータ部へのデバイスのマウントは、ベータ部の自由面とキャビティ138のボトム140の間にクリアランスが残され、ベータ部とデバイスの間に試験ボリュームV’が作り出されて潜在的な漏れF1’およびF2’のゾーンのシールが回避されるようなものとなる。ボリュームV’は、通常、数cmである。
【0070】
図3A乃至3Cに示されている例においては、試験デバイスD2が、バヨネット・タイプの接続によってベータ部と接続されるべく構成されている。この例においては、デバイスD2が、キャビティ138のボトムとジョイント148の間の半径方向の溝146内に配置され、コンテナ・フランジ20の外周縁と協働するラグ152を含む。
【0071】
それに代えて、機械的接続手段をスナップオン・タイプのものとすること、ねじ留めによるものとすることが可能である。
【0072】
デバイスD1と同様に、デバイスD2は、膨張可能なジョイント148を膨張させるための手段156も含むことが可能である。
【0073】
手段156は、膨張可能なジョイント148と、たとえば空気圧増幅型ポンプとの間における流体接続160を含む。非常に好都合には、手段156が、膨張可能なジョイント148内の圧力をあらかじめ定義済みの設定値に関して監視し、それの状態および/またはコンテナ・フランジ20上におけるデバイスのマウントの検証を可能にするための監視手段164を含む。
【0074】
たとえば、監視手段164は、圧力スイッチを含む。圧力スイッチは、圧力の低下をコントロールする。上記のあらかじめ定義済みの設定値は、以前に設定されたジョイントの膨張の圧力値に対応する。圧力スイッチは、このあらかじめ定義済みの設定値とジョイントの実際の圧力測定値を比較する。この設定値と測定値の間の差がスレッショルドを超えるとき、たとえばジョイントに孔が空いている場合、圧力スイッチが信号を、たとえば光インジケータの形式のアラームを送出する。したがって、試験の持続期間全体を通じて圧力が安定した状態でとどまっているか否か、また試験の状態が有効であるか否かを検証することが可能である。膨張の間は、ジョイントの膨張圧力まで到達すると圧力スイッチがポンプの停止を命令する。
【0075】
デバイスD2は、たとえば、シールされたキャビティ内に特定レベルの圧力を生成させるためのポンプ162と、漏れが検出されたか否かに応じて色が変化する光信号またはスクリーンの形式で圧力の変化を操作者へ知らせるための手段と関連付けされた、経時的なキャビティ138内における圧力レベルの変化を監視し、かつシール試験を実施するための手段158とを含む。
【0076】
デバイスD2を用いたベータ部のシールの試験は、デバイスD1を用いたアルファ部のシールの試験と実質的に同じ態様で実行される。デバイスD2がベータ部上にロックされ(図3B)、膨張可能なジョイント148が膨張されて(図3C)ボリュームV’が画定され、それの圧力がコントロールされる。
【0077】
このデバイスD2の実施態様においては、ジョイントが溝のボトムに収容される座面と接触し、操作の間にコンテナが受ける可能性のある衝撃から比較的保護される。それに加えて、これは加工された表面であり、したがって良好な表面状態を有し、その表面は、従来技術の試験デバイスが接触するフランジの表面と比較して広い。試験の間におけるベータ部のフランジと膨張可能なジョイントの間におけるシール不良のリスクが実質的に減じられる。
【0078】
それにもかかわらず、代替として、より大きな表面積を有するコンテナ・フランジを使用することによって、デバイスD2を、膨張可能なジョイントがフランジの前面と接触するための構成とすることが可能である。したがって、アルファ部のシールを試験するためのデバイスを、ベータ部のシールの試験に使用することも可能である。
【0079】
ここに述べられている例においては、試験デバイスとアルファ部またはベータ部の間の接続が、インシュレータとコンテナのフランジを互いにロックするための手段であるバヨネット・タイプが用いられて獲得される。
【0080】
一方においては、試験デバイスを、試験されることになる部品と、これら2つのフランジの間の接続を可能にするものとは異なる手段によって固定することが可能であるが、これは、特にベータおよび/またはアルファ部を複雑にする。たとえば、ねじによって、レバー・システムによって、スナップオンによってデバイスを試験されることになる部品上に固定することが可能である。
【0081】
他方においては、フランジを互いに、バヨネット・タイプの手段以外の手段によって、たとえばレバーを用いる、あるいはカムを用いるといった手段によってロックすることは可能である。それに加えて、これらの手段は、試験デバイスと協働してそれの固定を確保することが可能である。
【0082】
2つのフランジを互いにロックするべく実装される手段を使用して試験デバイスを試験されることになる部品上に固定することは、操作者が多様なロック/固定テクニックを操作しなければならなくなることを回避し、操作不良のリスクを減ずるという利点を有する。
【符号の説明】
【0083】
10 インシュレータ、セル
12 コンテナ
14 壁
16 壁
18 インシュレータ・フランジ
18.1 外面
20 コンテナ・フランジ
21 環状の溝
22 インシュレータ・ドア
22.1 外面
22.2 側縁
23 ジョイント
24 コンテナ・ドア
25 環状ビード、ヒール
26 ヒンジ
27 ジョイント
30 バヨネット・リンク
36 ヘッド、ケーシング
38 キャビティ
40 ボトム
42 側壁
44 開口部
46 溝
48 膨張可能なジョイント
50 機械的接続手段
52 ラグ
54 溝
56 膨張させるための手段
58 シール試験を実施するための手段、コントロール手段
60 流体接続
62 ポンプ
64 監視手段
136 ケーシング
138 キャビティ
140 ボトム
142 側壁
144 開口部
146 半径方向の溝
148 膨張可能なジョイント
152 ラグ
156 膨張させるための手段
158 シール試験を実施するための手段
162 ポンプ
164 監視手段
D1 シール試験デバイス、試験デバイス、デバイス
D2 シール試験デバイス、試験デバイス、デバイス
F1 漏れ
F1’ 漏れ
F2 漏れ
V ボリューム
V’ ボリューム
X 軸
X1 長さ方向の軸
X1’ 長さ方向の軸
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C