(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】光源モジュールおよび点灯回路
(51)【国際特許分類】
H05B 47/16 20200101AFI20241009BHJP
H05B 45/345 20200101ALI20241009BHJP
H05B 45/46 20200101ALI20241009BHJP
【FI】
H05B47/16
H05B45/345
H05B45/46
(21)【出願番号】P 2022530576
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2021021726
(87)【国際公開番号】W WO2021251376
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2024-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2020102589
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】市川 知幸
(72)【発明者】
【氏名】伊東 徹
(72)【発明者】
【氏名】小澤 篤
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-198173(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0187329(US,A1)
【文献】国際公開第2019/146641(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05B 47/00
B60Q 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切替信号に応じて、第1機能と第2機能が切替可能な光源モジュールであり、
直列に設けられたM個(M≧2)の第1発光素子を含む第1発光部と、
前記第1発光部と並列な経路上に設けられた、N個(N<M)の第2発光素子を含む第2発光部と、ドレインまたはコレクタが前記第2発光部と接続される切替トランジスタと、
前記第1発光部および前記第2発光部の両方に対して直列に接続され、駆動電流を生成する定電流出力の定電流ドライバと、
前記切替トランジスタのゲートドレイン間、またはベースコレクタ間に設けられたキャパシタを含み、前記切替信号に応じた駆動信号を前記切替トランジスタのゲートまたはベースに発生させる駆動回路と、
を備
え、
前記切替信号は、ハイまたはハイインピーダンスの二状態が切り替え可能であり、
前記駆動回路は、
前記切替信号が入力される制御端子と前記切替トランジスタのゲートまたはソースの間に設けられた第1抵抗と、
前記切替トランジスタのゲートソース間またはベースエミッタ間に設けられた第2抵抗と、
を含むことを特徴とする光源モジュール。
【請求項2】
切替信号に応じて、第1機能と第2機能が切替可能な光源モジュールであり、
直列に設けられたM個(M≧2)の第1発光素子を含む第1発光部と、
前記第1発光部と並列な経路上に設けられた、N個(N<M)の第2発光素子を含む第2発光部と、ドレインまたはコレクタが前記第2発光部と接続される切替トランジスタと、
前記第1発光部および前記第2発光部の両方に対して直列に接続され、駆動電流を生成する定電流出力の定電流ドライバと、
前記切替トランジスタのゲートドレイン間、またはベースコレクタ間に設けられたキャパシタを含み、前記切替信号に応じた駆動信号を前記切替トランジスタのゲートまたはベースに発生させる駆動回路と、
を備え、
前記切替信号は、ハイまたはローの二状態が切り替え可能であり、
前記駆動回路は、
前記切替信号が入力される制御端子と前記切替トランジスタのゲートまたはソースの間に設けられた第1抵抗と、
前記第1抵抗と並列な経路上に直列に設けられた整流素子および第2抵抗と、
を含むことを特徴とする光源モジュール。
【請求項3】
前記駆動回路は、前記切替トランジスタのターンオフ時間が、ターンオン時間より長くなるように構成されることを特徴とする請求項1
または2に記載の光源モジュール。
【請求項4】
切替信号に応じて、第1機能と第2機能が切替可能な光源モジュールであり、
第1経路上に設けられたS個(S≧1)の第1発光素子を含む第1発光部およびドレインまたはコレクタが前記第1発光部と接続される第1切替トランジスタと、
前記第1経路と並列な第2経路上に設けられたS個の第2発光素子を含む第2発光部およびドレインまたはコレクタが前記第2発光部と接続される第2切替トランジスタと、
前記第1経路および前記第2経路の両方に対して直列に接続され、駆動電流を生成する定電流出力の定電流ドライバと、
前記第1切替トランジスタのゲートドレイン間、またはベースコレクタ間に設けられた第1キャパシタを含み、前記切替信号に応じた第1駆動信号を前記第1切替トランジスタのゲートまたはベースに発生させる第1駆動回路と、
前記第2切替トランジスタのゲートドレイン間、またはベースコレクタ間に設けられた第2キャパシタを含み、前記切替信号に応じた第2駆動信号を前記第2切替トランジスタのゲートまたはベースに発生させる第2駆動回路と、
を備えることを特徴とする光源モジュール。
【請求項5】
前記第1駆動回路は、前記第1切替トランジスタのターンオフ時間が、ターンオン時間より長くなるように構成され、
前記第2駆動回路は、前記第2切替トランジスタのターンオフ時間が、ターンオン時間より長くなるように構成されることを特徴とする請求項
4に記載の光源モジュール。
【請求項6】
前記切替信号は、ハイまたはハイインピーダンスの二状態が切り替え可能であり、
前記第1駆動回路および前記第2駆動回路はそれぞれ、
前記切替信号が入力される制御端子と駆動対象の切替トランジスタのゲートまたはソースの間に設けられた第1抵抗と、
駆動対象の切替トランジスタのゲートソース間またはベースエミッタ間に設けられた第2抵抗と、
を含むことを特徴とする請求項
4に記載の光源モジュール。
【請求項7】
前記切替信号は、ハイまたはローの二状態が切り替え可能であり、
前記第1駆動回
路は、
前記切替信号が入力される制御端子と前記
第1切替トランジスタのゲートまたはソースの間に設けられた第1抵抗と、
前記第1抵抗と並列な経路上に直列に設けられた整流素子および第2抵抗と、
を含
み、
前記第2駆動回路は、
前記切替信号が入力される制御端子と前記第2切替トランジスタのゲートまたはソースの間に設けられた第1抵抗と、
前記第1抵抗と並列な経路上に直列に設けられた整流素子および第2抵抗と、
を含むことを特徴とする請求項
4に記載の光源モジュール。
【請求項8】
前記第1発光部および前記第2発光部の両方に対して直列な経路上に設けられた少なくともひとつの第3発光素子を含む第3発光部をさらに備えることを特徴とする請求項1から
7のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項9】
前記第1機能はハイビームであり、前記第2機能はロービームであることを特徴とする請求項1から
8のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項10】
前記第1機能はデイタイムランニングランプであり、前記第2機能はクリアランスランプであることを特徴とする請求項1から
8のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項11】
切替信号に応じて第1機能と第2機能が切替可能な光源モジュールに使用され、光源を駆動する点灯回路であって、
前記光源は、
第1経路上に設けられたS個(S≧1)の第1発光素子と、
前記第1経路と並列な第2経路上に設けられたS個の第2発光素子と、
を含み、
前記点灯回路は、
前記S個の第1発光素子のカソードと接続される第1接続端子と、
前記S個の第2発光素子のカソードと接続される第2接続端子と、
前記第1接続端子と接地ラインの間に設けられた第1切替トランジスタと、
前記第2接続端子と前記接地ラインの間に設けられた第2切替トランジスタと、
前記第1経路および前記第2経路の両方に対して直列に接続され、駆動電流を生成する定電流出力の定電流ドライバと、
前記第1切替トランジスタの制御電極と前記第1接続端子の間に設けられた第1キャパシタを含み、前記切替信号に応じた第1駆動信号を前記第1切替トランジスタの前記制御電極に供給する第1駆動回路と、
前記第2切替トランジスタの制御電極と前記第2接続端子の間に設けられた第2キャパシタを含み、前記切替信号に応じた第2駆動信号を前記第2切替トランジスタの前記制御電極に供給する第2駆動回路と、
を備えることを特徴とする点灯回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車などに用いられる光源モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具(たとえば前照灯)は、ハイビーム、ロービーム、クリアランスランプ(ポジションランプ)やDRL(Daytime Running Lamp)など、複数の機能を備える。
【0003】
図1は、従来の車両用灯具10Rを備える灯具システム1Rのブロック図である。
図1には、ロービームとハイビームに関連するブロックが示される。車両用灯具10Rは、スイッチ4を介してバッテリ2からの直流電圧(入力電圧V
IN)を受け、入力電圧V
INを電源として、ロービーム用の光源12Lとハイビーム用の光源12Hを点灯させる。光源12H,12Lはそれぞれ、直列(あるいは並列)に設けられた複数の発光素子(たとえばLED)を含む。
【0004】
車両用灯具10Rは、ロービーム用の点灯回路14Lと、ハイビーム用の点灯回路14Hと、を備える。車両用灯具10Rには、ハイビームとロービームを切り替えるためのH/L切替信号が入力される。点灯回路14Lは、入力電圧VINが供給されると、光源12Lに駆動電流ILED1を供給し、それを点灯させる。
【0005】
点灯回路14Hは、H/L切替信号に応じて、イネーブル(動作、オン)、ディセーブル(非動作、オフ)が切り替えられ、イネーブル状態において光源12Hに駆動電流ILED2を供給し、それを点灯させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の車両用灯具10Rでは、ハイビームとロービームは、独立した回路として形成されており、コストおよびサイズが大きいという問題があった。
【0008】
本開示はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、複数の機能が切替可能な光源モジュールの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のある態様は光源モジュールに関する。光源モジュールは、切替信号に応じて、第1機能と第2機能が切替可能である。光源モジュールは、直列に設けられたM個(M≧2)の第1発光素子を含む第1発光部と、第1発光部と並列な経路上に直列に設けられたN個(N<M)の第2発光素子を含む第2発光部およびドレインまたはコレクタが第2発光部と接続される切替トランジスタと、第1発光部および第2発光部の両方に対して直列に接続され、駆動電流を生成する定電流出力の定電流ドライバと、切替トランジスタのゲートドレイン間、またはベースコレクタ間に設けられたキャパシタを含み、切替信号に応じた駆動信号を切替トランジスタのゲートまたはベースに発生させる駆動回路と、を備える。
【0010】
本開示のある態様は光源モジュールに関する。光源モジュールは、切替信号に応じて、第1機能と第2機能が切替可能である。光源モジュールは、第1経路上に設けられたS個(S≧1)の第1発光素子を含む第1発光部およびドレインまたはコレクタが第1発光部と接続される第1切替トランジスタと、第1経路と並列な第2経路上に設けられたS個の第2発光素子を含む第2発光部およびドレインまたはコレクタが第2発光部と接続される第2切替トランジスタと、第1経路および第2経路の両方に対して直列に接続され、駆動電流を生成する定電流出力の定電流ドライバと、第1切替トランジスタのゲートドレイン間、またはベースコレクタ間に設けられた第1キャパシタを含み、切替信号に応じた第1駆動信号を第1切替トランジスタのゲートまたはベースに発生させる第1駆動回路と、第2切替トランジスタのゲートドレイン間、またはベースコレクタ間に設けられた第2キャパシタを含み、切替信号に応じた第2駆動信号を第2切替トランジスタのゲートまたはベースに発生させる第2駆動回路と、を備える。
【0011】
本開示のある態様は点灯回路に関する。点灯回路は、切替信号に応じて第1機能と第2機能が切替可能な光源モジュールに使用され、光源を駆動する。光源は、第1経路上に直列に設けられたM個(M≧2)の第1発光素子と、第1経路と並列な第2経路上に設けられたN個(N<M)の第2発光素子と、を含む。点灯回路は、M個の第2発光素子のカソードと接続される接続端子と、接続端子と接地ラインの間に設けられた切替トランジスタと、第1経路および第2経路の両方に対して直列に接続され、駆動電流を生成する定電流出力の定電流ドライバと、切替トランジスタの制御電極と接続端子の間に設けられたキャパシタを含み、切替信号に応じた駆動信号を切替トランジスタの制御電極に発生させる駆動回路と、を備える。
【0012】
本開示のある態様は点灯回路に関する。点灯回路は、切替信号に応じて第1機能と第2機能が切替可能な光源モジュールに使用され、光源を駆動する。光源は、第1経路上に設けられたS個(S≧1)の第1発光素子と、第1経路と並列な第2経路上に設けられたS個の第2発光素子と、を含む。点灯回路は、S個の第1発光素子のカソードと接続される第1接続端子と、S個の第2発光素子のカソードと接続される第2接続端子と、第1接続端子と接地ラインの間に設けられた第1切替トランジスタと、第2接続端子と接地ラインの間に設けられた第2切替トランジスタと、第1経路および第2経路の両方に対して直列に接続され、駆動電流を生成する定電流出力の定電流ドライバと、第1切替トランジスタの制御電極と第1接続端子の間に設けられた第1キャパシタを含み、切替信号に応じた第1駆動信号を第1切替トランジスタの制御電極に供給する第1駆動回路と、第2切替トランジスタの制御電極と第2接続端子の間に設けられた第2キャパシタを含み、切替信号に応じた第2駆動信号を第2切替トランジスタの制御電極に供給する第2駆動回路と、を備える。
【0013】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、あるいは本開示の表現を、方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本開示のある態様によれば、複数の機能を有する光源モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】従来の車両用灯具を備える灯具システムのブロック図である。
【
図2】実施形態1に係る光源モジュールを備える灯具システムのブロック図である。
【
図3】
図2の光源モジュールの動作を説明する図である。
【
図4】
図4(a)~(c)は、駆動回路の構成例を示す回路図である。
【
図5】実施形態2に係る光源モジュールのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。またこの概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、実施形態の欠くべからざる構成要素を限定するものではない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態または複数の実施形態を指すものとして用いる場合がある。
【0017】
一実施形態に係る光源モジュールは、切替信号に応じて、第1機能と第2機能が切替可能である。光源モジュールは、直列に設けられたM個(M≧2)の第1発光素子を含む第1発光部と、第1発光部と並列な経路上に直列に設けられたN個(N<M)の第2発光素子を含む第2発光部およびドレインまたはコレクタが第2発光部と接続される切替トランジスタと、第1発光部および第2発光部の両方に対して直列に接続され、駆動電流を生成する定電流出力の定電流ドライバと、切替トランジスタのゲートドレイン間、またはベースコレクタ間に設けられたキャパシタを含み、切替信号に応じた駆動信号を切替トランジスタのゲートまたはベースに発生させる駆動回路と、を備える。
【0018】
(i)切替トランジスタがオフの状態では、定電流ドライバが生成する駆動電流は、M個の第1発光素子に供給されるため、M個の第1発光素子が点灯し、N個の第2発光素子は消灯状態となる(第1機能)。(ii)切替トランジスタがオンの状態では、定電流ドライバが生成する駆動電流は、N個の第2発光素子側に流れる。発光素子1段の電圧降下(順方向電圧)をVfと書くとき、切替スイッチがオンのときの第2経路の両端間電圧は、N×Vfとなり、これは、M×Vfに満たないから、M個の第1発光素子は点灯せず、N個の第2発光素子のみが点灯した状態となる(第2機能)。このように1個の切替トランジスタによって、二つの機能を切り替えることができる。
【0019】
第1機能と第2機能の切替に際して、駆動回路のキャパシタは、ミラー容量として作用するため、切替トランジスタのターンオン、ターンオフに要する時間(それぞれ、ターンオン時間、ターンオフ時間という)を引き延ばすように作用する。これにより、第1経路および第2経路の両端間の電圧の変化速度を緩やかにでき、したがって、第1機能と第2機能を切り替える際の過電流や電圧不足による消灯を抑制できる。
【0020】
一実施形態において、駆動回路は、切替トランジスタのターンオフ時間が、ターンオン時間より長くなるように構成されてもよい。これにより、第2発光素子が緩やかに消灯することになり、第1発光素子の点灯時間との第2発光素子の点灯時間をオーバーラップさせ、同時消灯を防止できる。
【0021】
一実施形態において、切替信号は、ハイまたはハイインピーダンスの二状態が切り替え可能であってもよい。駆動回路は、切替信号が入力される制御端子と切替トランジスタのゲートまたはソースの間に設けられた第1抵抗と、切替トランジスタのゲートソース間またはベースエミッタ間に設けられた第2抵抗と、を含んでもよい。これにより、切替トランジスタのターンオフ時間をターンオン時間より長くすることができる。
【0022】
一実施形態において、切替信号は、ハイまたはローの二状態が切り替え可能であってもよい。駆動回路は、切替信号が入力される制御端子と切替トランジスタのゲートまたはソースの間に設けられた第1抵抗と、第1抵抗と並列な経路上に直列に設けられた整流素子および第2抵抗と、を含んでもよい。これにより、切替トランジスタのターンオフ時間をターンオン時間より長くすることができる。
【0023】
一実施形態に係る光源モジュールは、切替信号に応じて、第1機能と第2機能が切替可能である。光源モジュールは、第1経路上に設けられたS個(S≧1)の第1発光素子を含む第1発光部およびドレインまたはコレクタが第1発光部と接続される第1切替トランジスタと、第1経路と並列な第2経路上に設けられたS個の第2発光素子を含む第2発光部およびドレインまたはコレクタが第2発光部と接続される第2切替トランジスタと、第1経路および第2経路の両方に対して直列に接続され、駆動電流を生成する定電流出力の定電流ドライバと、第1切替トランジスタのゲートドレイン間、またはベースコレクタ間に設けられた第1キャパシタを含み、切替信号に応じた第1駆動信号を第1切替トランジスタのゲートまたはベースに発生させる第1駆動回路と、第2切替トランジスタのゲートドレイン間、またはベースコレクタ間に設けられた第2キャパシタを含み、切替信号に応じた第2駆動信号を第2切替トランジスタのゲートまたはベースに発生させる第2駆動回路と、を備える。
【0024】
(i)第1切替トランジスタがオン、第2切替トランジスタがオフの状態では、定電流ドライバが生成する駆動電流は、S個の第1発光素子に供給されるため、S個の第1発光素子が点灯し、S個の第2発光素子は消灯状態となる(第1機能)。(ii)第1切替トランジスタがオフ、第2切替トランジスタがオンの状態では、定電流ドライバが生成する駆動電流は、N個の第2発光素子側に流れ、S個の第1発光素子は点灯せず、S個の第2発光素子のみが点灯した状態となる(第2機能)。このように2個の切替トランジスタによって、二つの機能を切り替えることができる。
【0025】
第1機能と第2機能の切替に際して、第1駆動回路、第2駆動回路の第1キャパシタ、第2キャパシタは、ミラー容量として作用するため、切替トランジスタのターンオン、ターンオフに要する時間(それぞれ、ターンオン時間、ターンオフ時間という)を引き延ばすように作用する。これにより、第1経路および第2経路の両端間電圧の変化速度を緩やかにでき、したがって、第1機能と第2機能を切り替える際の過電流や電圧不足による消灯を抑制できる。
【0026】
第1駆動回路は、前記第1切替トランジスタのターンオフ時間が、ターンオン時間より長くなるように構成されてもよい。第2駆動回路は、第2切替トランジスタのターンオフ時間が、ターンオン時間より長くなるように構成されてもよい。これにより、第1発光素子、第2発光素子が緩やかに消灯することになり、第1発光素子の点灯時間との第2発光素子の点灯時間をオーバーラップさせ、同時消灯を防止できる。
【0027】
切替信号は、ハイまたはハイインピーダンスの二状態が切り替え可能であり、第1駆動回路および第2駆動回路はそれぞれ、切替信号が入力される制御端子と切替トランジスタのゲートまたはソースの間に設けられた第1抵抗と、切替トランジスタのゲートソース間またはベースエミッタ間に設けられた第2抵抗と、を含んでもよい。
【0028】
切替信号は、ハイまたはローの二状態が切り替え可能であり、第1駆動回路および第2駆動回路は、切替信号が入力される制御端子と切替トランジスタのゲートまたはソースの間に設けられた第1抵抗と、第1抵抗と並列な経路上に直列に設けられた整流素子および第2抵抗と、を含んでもよい。
【0029】
一実施形態に係る光源モジュールは、第1発光部および第2発光部の両方に対して直列な経路上に設けられた少なくともひとつの第3発光素子を含む第3発光部をさらに備えてもよい。少なくともひとつの第3発光素子は、第1機能、第2機能の両方において点灯させることができる。
【0030】
第1機能はハイビームであり、第2機能はロービームであってもよい。
【0031】
第1機能はデイタイムランニングランプであり、第2機能はクリアランスランプであってもよい。
【0032】
一実施形態に係る点灯回路は、切替信号に応じて第1機能と第2機能が切替可能な光源モジュールに使用され、光源を駆動する。光源は、第1経路上に直列に設けられたM個(M≧2)の第1発光素子と、第1経路と並列な第2経路上に設けられたN個(N<M)の第2発光素子と、を含む。点灯回路は、M個の第2発光素子のカソードと接続される接続端子と、接続端子と接地ラインの間に設けられた切替トランジスタと、第1経路および第2経路の両方に対して直列に接続され、駆動電流を生成する定電流出力の定電流ドライバと、切替トランジスタの制御電極と接続端子の間に設けられたキャパシタを含み、切替信号に応じた駆動信号を切替トランジスタの制御電極に発生させる駆動回路と、を備える。
【0033】
一実施形態に係る点灯回路は、切替信号に応じて第1機能と第2機能が切替可能な光源モジュールに使用され、光源を駆動する。光源は、第1経路上に設けられたS個(S≧1)の第1発光素子と、第1経路と並列な第2経路上に設けられたS個の第2発光素子と、を含む。点灯回路は、S個の第1発光素子のカソードと接続される第1接続端子と、S個の第2発光素子のカソードと接続される第2接続端子と、第1接続端子と接地ラインの間に設けられた第1切替トランジスタと、第2接続端子と接地ラインの間に設けられた第2切替トランジスタと、第1経路および第2経路の両方に対して直列に接続され、駆動電流を生成する定電流出力の定電流ドライバと、第1切替トランジスタの制御電極と第1接続端子の間に設けられた第1キャパシタを含み、切替信号に応じた第1駆動信号を第1切替トランジスタの制御電極に供給する第1駆動回路と、第2切替トランジスタの制御電極と第2接続端子の間に設けられた第2キャパシタを含み、切替信号に応じた第2駆動信号を第2切替トランジスタの制御電極に供給する第2駆動回路と、を備える。
【0034】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0035】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0036】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0037】
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは抵抗値、容量値を表すものとする。
【0038】
(実施形態1)
図2は、実施形態1に係る光源モジュール100Aを備える灯具システム1Aのブロック図である。灯具システム1Aは、バッテリ2、スイッチ4、車両側ECU(Electronic Control Unit)6および光源モジュール100Aを備える。
【0039】
光源モジュール100Aは、車両用灯具の複数の機能のうち、第1機能と第2機能を受け持っており、第1機能と第2機能が切替可能である。本実施形態では、車両用灯具10は前照灯(ヘッドランプ)であり、第1機能はハイビーム、第2機能はロービームである。
【0040】
光源モジュール100Aの入力端子INは、スイッチ4を介してバッテリ2と接続される。点消灯信号ON/OFFに応じてスイッチ4がオンすると、入力端子INには、バッテリ電圧VBATに応じた入力電圧(電源電圧ともいう)VINが供給される。点消灯信号ON/OFFは、車両側ECU6が生成してもよいし、コクピットのスイッチと連動して生成されてもよい。光源モジュール100Aの接地端子GNDは接地される。
【0041】
光源モジュール100Aの切替端子SELには、車両側ECU6から、光源モジュール100Aのハイビーム、ロービームを指示する切替信号Hi/Loが供給される。切替信号Hi/Loは、二状態で変化する信号である。
【0042】
光源モジュール100Aは、光源110および点灯回路200Aを備え、それらがユニット化されたものであり、光源モジュール100Aの完成品が、車両用灯具に組み付けられる。
【0043】
光源110は、第1発光部U1、第2発光部U2、第3発光部U3を含む。第1発光部U1は、第1経路121上に直列に設けられたM個(M≧2)の第1発光素子112_3,112_4を含む。第2発光部U2は、第1経路121と並列な第2経路122上に設けられたN個(N<M)の第2発光素子112_5を含む。第3発光部U3は、第1経路121および第2経路122の両方に対して直列な第3経路123上に設けられたL個(L≧1)の発光素子112_1,112_2を含む。この例では、M=2,N=1,L=2である。発光素子は、LED(発光ダイオード)が好適であるが、その他の半導体発光素子、たとえばLD(レーザダイオード)や有機EL素子などを用いてもよい。
【0044】
第1発光部U1は、第1機能すなわちハイビームの配光の一部を形成する。第2発光部U2は、第2機能すなわちロービームの配光の一部を形成する。第3発光部U3は、第1機能(ハイビーム)、第2機能(ロービーム)に共通する配光を形成する。
【0045】
点灯回路200Aは、定電流ドライバ210、切替トランジスタM1、駆動回路220を備える。点灯回路200Aは、ひとつの半導体基板に集積化されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよいし、ディスクリート部品で構成してもよい。
【0046】
点灯回路200Aは、入力端子(あるいはピン)IN、制御端子CNT、接地端子GND、光源110の接続端子Po1~Po3を有する。入力端子INには、入力電圧VINが供給され、接地端子GNDは接地される。制御端子CNTには、切替信号Hi/Loが入力される。接続端子Po1からPo3には、光源110の対応する端子が接続される。
【0047】
切替トランジスタM1は、第2経路122上にN個の第2発光素子112_5と直列に設けられる。切替トランジスタM1はNチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、そのドレインが第2発光部U2と接続される。切替トランジスタM1はNPN型バイポーラトランジスタであってもよく、その場合、そのコレクタが、第2発光部U2と接続される。
【0048】
定電流ドライバ210は、第1経路121および第2経路122の両方に対して直列に接続され、所定の目標量IREFに安定化された駆動電流ILEDを生成する定電流出力のドライバである。定電流ドライバ210の構成は特に限定されず、定電流出力のリニアレギュレータであってもよいし、定電流出力のスイッチングコンバータ(DC/DCコンバータ)であってもよいし、定電圧出力のスイッチングコンバータと定電流回路の組み合わせであってもよい。
【0049】
駆動回路220は、キャパシタC1を含む。キャパシタC1の一端は、接続端子Po2、言い換えると切替トランジスタM1のドレイン(あるいはコレクタ)と接続される。キャパシタC1の他端は、切替トランジスタM1の制御電極(すなわちゲートまたはベース)と接続される。
【0050】
駆動回路220の駆動信号生成回路224は、切替信号Hi/Loに応じた駆動信号VG(ゲート信号あるいはベース信号)を切替トランジスタM1の制御電極(ゲートまたはベース)に発生させる。具体的には切替信号Hi/Loが第1機能(ハイビーム)を指示するときには、切替トランジスタM1がオフとなるように、切替信号Hi/Loが第2機能(ロービーム)を指示するときには、切替トランジスタM1がオンとなるように、駆動信号VGを生成する。
【0051】
以上が光源モジュール100Aの構成である。続いてその動作を説明する。
図3は、
図2の光源モジュール100Aの動作を説明する図である。
【0052】
時刻t
0より前は、点消灯信号ON/OFFがオフレベルとなっており、
図2のスイッチ4がオフであり、光源モジュール100Aは消灯している。時刻t
0に点消灯信号ON/OFFがオンレベルに遷移すると、
図2のスイッチ4がオンとなり、光源モジュール100Aに電源電圧V
INが供給され、それが点灯指示となる。
【0053】
時刻t0において、切替信号Hi/Loは、第2機能(ロービーム)を指示している。入力電圧VINが供給されると、駆動回路220は、切替トランジスタM1のゲート信号VGを、ハイに遷移させる。
【0054】
切替トランジスタM1のターンオンの動作期間(ターンオン期間)TONは、3つの区間TA,TB,TCを含む。区間TAでは、駆動回路220によって、切替トランジスタM1のゲート容量が充電され、切替トランジスタM1のゲート電圧VGが上昇する。この区間TAでは、切替トランジスタM1はオフであるから、第2発光部U2はまだ点灯しない。
【0055】
ゲート電圧VGが、切替トランジスタM1のゲートソース間しきい値電圧VGS(th)付近まで上昇すると区間TBとなる。区間TBでは、ゲート電圧VGに加えて、切替トランジスタM1のドレイン電圧VDが上昇することとなるが、キャパシタC1に起因するミラー効果によって、ゲート電圧VGの上昇速度が非常に遅くなる。
【0056】
区間TBにおいて、切替トランジスタM1がゆっくりとターンオンしていく。これにより、定電流ドライバ210の出力電圧VOUTは、0Vから3×VFに向かってゆっくりと上昇していく。
【0057】
ゲート電圧VGがしきい値VGS(th)を超えると、切替トランジスタM1がオン状態となり、区間TCに移行する。区間TCでは、ミラー効果の影響がなくなり、駆動回路220によって切替トランジスタM1のゲート容量が充電される。区間TC以降、第3発光部U3および第2発光部U2には、駆動電流ILEDが流れ、ロービームの配光が形成される。このときの定電流ドライバ210の出力電圧VOUTは3×VFであり、第1発光部U1を点灯させるために必要な電圧(4×VF)に満たないから、第1発光部U1は点灯しない。
【0058】
時刻t1に、切替信号Hi/Loが、第1機能(ハイビーム)を指示する状態に変化する。これに応答して駆動回路220は、切替トランジスタM1のゲート信号VGを、ローに遷移させる。
【0059】
切替トランジスタM1のターンオフの動作期間(ターンオフ期間)TOFFは、3つの区間TD,TE,TFを含む。区間TDでは、駆動回路220によって、切替トランジスタM1のゲート容量が放電され、切替トランジスタM1のゲート電圧VGが低下する。この区間TDでは、切替トランジスタM1はまだオンを維持しており、第2発光部U2が点灯した状態となる。
【0060】
ゲート電圧VGが、切替トランジスタM1のゲートソース間しきい値電圧VGS(th)付近まで低下すると区間TEとなる。区間TEでは、ゲート電圧VGに加えて、切替トランジスタM1のドレイン電圧VDが低下することとなるが、キャパシタC1に起因するミラー効果によって、ゲート電圧VGの低下速度が非常に遅くなる。
【0061】
区間TEにおいて、切替トランジスタM1がゆっくりとターンオフしていく。これにより、第2発光部U2に流れる電流は、時間とともに緩やかに減少していき、代わりに第1発光部U1に流れる電流が時間とともに増加していく。このとき、出力電圧VOUTは、3×VFから4×VF向かってゆっくりと上昇していく。
【0062】
ゲート電圧VGがしきい値VGS(th)を下回ると、切替トランジスタM1がオフ状態となり、区間TFに移行する。区間TFでは、ミラー効果の影響がなくなり、駆動回路220によって切替トランジスタM1のゲート容量が放電される。区間TF以降、第3発光部U3および第1発光部U1に、駆動電流ILEDが流れ、ハイビームの配光が形成される。
【0063】
時刻t2に、切替信号Hi/Loが、第2機能(ロービーム)を指示する状態に変化する。これに応答して駆動回路220は、切替トランジスタM1のゲート信号VGを、ハイに遷移させる。
【0064】
切替トランジスタM1のターンオンの動作は、時刻t0直後のターンオン動作と同様であり、3つの区間TA,TB,TCを含む。
【0065】
区間TBにおいて、切替トランジスタM1がゆっくりとターンオンしていく。これにより、第2発光部U2に流れる電流は、時間とともに緩やかに増大していき、代わりに第1発光部U1に流れる電流が時間とともに減少していく。このとき、出力電圧VOUTは、4×VFから3×VF向かってゆっくりと低下していく。
【0066】
以上が光源モジュール100Aの動作である。
【0067】
光源モジュール100Aの利点は、比較技術との対比によって明確となる。
【0068】
(1)比較技術では、ロービームからハイビーム、ハイビームからロービームへの切りかえを瞬時に行うものとする。比較技術では、ハイビームとロービームの切りかえが短時間で発生するため、運転者の視界の明るさが部分的に急峻に変化するため、運転者に違和感を与えるおそれがある。
【0069】
これに対して、光源モジュール100Aによれば、ロービームからハイビームに切りかえる際に、期間TEを利用して、それらを両方点灯させることができる。同様にハイビームからロービームに切りかえる際に、期間TBを利用して、それらを両方点灯させることができる。これにより比較技術に比べて、運転者に与える違和感を低減できる。
【0070】
(2)比較技術では、ロービームからハイビームに切りかえる際に、出力電圧VOUTを3×VFから4×VFに高速に上昇させる必要があるが、そのような定電流ドライバ210の設計は容易ではなく、またコストアップの要因となる。定電流ドライバ210の応答速度が遅い場合、出力電圧VOUTが4×VFに不足し、ロービームとハイビームが両方消灯するという問題がある。
【0071】
光源モジュール100Aによれば、時刻t1におけるロービームからハイビームの切りかえに際して、期間TEの間、駆動電流ILEDは、ロービーム用の第2発光部U2からハイビーム用の第1発光部U1にゆっくりと入れ替わりながら流れる。これにより、出力電圧VOUTの上昇速度を小さくすることができ、ロービームとハイビームの同時消灯の問題を解決できる。また定電流ドライバ210に要求される応答速度を下げることができ、設計が容易となり、またコストを下げることができる。
【0072】
(3)また比較技術では、ハイビームからロービームに切りかえる際に、出力電圧VOUTを4×VFから3×VFに高速に低下させる必要がある。定電流ドライバ210の応答速度が遅い場合、電圧差(4VF-3VF)に比例する電荷量Q=VF×COUTが、光源110に流れ込むこととなり、過電流が発生するおそれがある。COUTは、定電流ドライバ210の出力段に設けられる平滑用のキャパシタである。
【0073】
これに対して、光源モジュール100Aによれば、時刻t2におけるハイビームからロービームの切りかえに際して、期間TBの間、駆動電流ILEDは、ハイビーム用の第1発光部U1からロービーム用の第2発光部U2にゆっくりと入れ替わりながら流れる。これにより、出力電圧VOUTの低下速度が遅くなり、過電流を抑制できる。また定電流ドライバ210に要求される応答速度を下げることができ、設計が容易となり、またコストを下げることができる。
【0074】
(4)加えて、光源モジュール100Aによれば、ハイビームとロービームの切りかえを、1個の切替トランジスタM1で実現できる。これにより点灯回路200Aのコストを削減できる。
【0075】
(5)また、切替トランジスタM1のゲートドレイン間にキャパシタを接続し、ミラー効果によって、ターンオン時間およびターンオフ時間を引き延ばしている。これにより、ゲートソース間にキャパシタを接続した場合に比べて、同じ遅延時間を生成するのに必要な容量を小さくできる。キャパシタC1をICに集積化する場合には、チップサイズを削減できる。
【0076】
(6)またキャパシタC1をゲートソース間に接続した場合、区間TA,TB,TC(TD,TE,TF)すべてが、キャパシタC1に依存して変化するため、設計が難しくなる。これに対してキャパシタC1をゲートドレイン間に接続した場合、キャパシタC1は、区間TB(TE)に大きく影響を与える一方、TA,TC(TD,TF)にはほとんど影響を与えないため、ターンオン時間TON,ターンオフ時間TOFFの設計が容易となる。
【0077】
なお、時刻t0の直後のターンオン時間TONの間に、定電流ドライバ210が動作可能となると、定電流ドライバ210が生成する駆動電流ILEDが第1発光部U1側に流れてハイビームが点灯することとなる。これを防止するため、定電流ドライバ210の起動時間は、ターンオン時間TONより長いことが好ましい。あるいは定電流ドライバ210の出力電流IOUTが、ターンオン時間TONの間は、遮断されるようにすることが好ましい。
【0078】
駆動回路220は、切替トランジスタM1のターンオフ時間TOFFが、ターンオン時間TONより長くなるように構成されてもよい。
【0079】
図4(a)~(c)は、駆動回路220の構成例を示す回路図である。
図4(a)において、切替信号Hi/Loは、ハイまたはハイインピーダンスの二状態で変化する。たとえば車両側ECU6の出力段は、オープンドレインのPMOSトランジスタMP1を含みうる。PMOSトランジスタMP1のオフ状態が、ハイビーム点灯指示に対応し、オン状態が、ロービーム点灯指示に対応する。
【0080】
駆動信号生成回路224は、抵抗R11,R12を含む。第1抵抗R11は、切替トランジスタM1のゲートと制御端子CNTの間に設けられる。第2抵抗R12は、切替トランジスタM1のゲートと接地の間に設けられる。
【0081】
PMOSトランジスタMP1がオンすると、抵抗R11を介して切替トランジスタM1のゲートが充電され、ゲート電圧VGが上昇する。PMOSトランジスタMP1がオフすると、抵抗R12を介して切替トランジスタM1のゲートが放電され、ゲート電圧VGが低下する。ターンオフ時間TOFFをターンオン時間TONより長くしたい場合、R12>R11とすればよい。
【0082】
図4(b)において、切替信号Hi/Loは、ハイまたはローの二状態が切り替え可能である。たとえば車両側ECU6の出力段は、CMOSインバータで構成される。NMOSトランジスタMN1のオン状態が、ハイビーム点灯指示に対応し、PMOSトランジスタMP1のオン状態が、ロービーム点灯指示に対応する。
【0083】
駆動信号生成回路224は、抵抗R21,R22,R23、整流素子D21を含む。第1抵抗R21は、制御端子CNTと切替トランジスタM1のゲートの間に設けられる。第2抵抗R22および整流素子D2は、第1抵抗R21と並列な経路上に直列に設けられる。
【0084】
PMOSトランジスタMP1がオンすると、抵抗R11およびR22の並列接続回路を介して切替トランジスタM1のゲートが充電され、ゲート電圧VGが上昇する。NMOSトランジスタMN1がオンすると、抵抗R12(および抵抗R23)を介して切替トランジスタM1のゲートが放電され、ゲート電圧VGが低下する。
【0085】
図4(c)では、切替信号\Hi/Lo(\は反転論理を表す)は、
図4(b)と反転している。駆動信号生成回路224は、トランジスタM31,M32、抵抗R31,R32を含む。
【0086】
切替信号\Hi/LOがローのとき、トランジスタM31および抵抗R32を介して切替トランジスタM1のゲートが充電され、ゲート電圧VGが上昇する。切替信号\Hi/LOがハイのとき、トランジスタM32および抵抗R31,R32を介して切替トランジスタM1のゲートが充電され、ゲート電圧VGが低下する。
【0087】
(実施形態2)
図5は、実施形態2に係る光源モジュール100Bのブロック図である。光源モジュール100Bの構成について、
図2の光源モジュール100Aとの相違点を説明する。
【0088】
第1発光部U1と第2発光部U2はいずれも同じS個の発光素子を含む。第1機能をハイビーム、第2機能をロービームとしてもよい。
図5ではS=2であるが、S=1であってもよいし、S≧3であってもよい。
【0089】
点灯回路200Bは、定電流ドライバ210、第1切替トランジスタM1、第2切替トランジスタM2、第1駆動回路220_1、第2駆動回路220_2を備える。第1駆動回路220_1は、第1切替トランジスタM1のゲートドレイン間に設けられた第1キャパシタC1を含む。第1駆動回路220_1は、切替信号Hi/Loに応じた第1駆動信号VG1を第1切替トランジスタM1のゲートに発生させる。同様に第2駆動回路220_2は、第2切替トランジスタM2のゲートドレイン間に設けられた第2キャパシタC2を含む。第2駆動回路220_2は、切替信号Hi/Loに応じた第2駆動信号VG2を第2切替トランジスタM2のゲートに発生させる。第1駆動信号VG1と第2駆動信号VG2は相補的な関係にある。
【0090】
以上が光源モジュール100Bの構成である。続いて光源モジュール100Bの動作を説明する。
【0091】
切替信号Hi/Loがハイビームを指示するとき、第1切替トランジスタM1がオン、第2切替トランジスタM2がオフとなり、第3発光部U3および第1発光部U1に駆動電流ILEDが流れ、ハイビームの配光が形成される。
【0092】
切替信号Hi/Loがロービームを指示するとき、第1切替トランジスタM1がオフ、第2切替トランジスタM2がオンとなり、第3発光部U3および第2発光部U2に駆動電流ILEDが流れ、ロービームの配光が形成される。
【0093】
ハイビームとロービームの切りかえに際しては、ミラー効果によって、第1駆動電圧VG1、第2駆動電圧VG2が緩やかに変化する。これにより、切りかえに際して、ハイビームとロービームを時間的にオーバーラップして点灯させることができる。
【0094】
上述した実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なことが当業者に理解される。以下、こうした変形例について説明する。
【0095】
(変形例1)
実施形態1や2では、定電流ドライバ210を電流ソース型で構成したが、電流シンク型で構成してもよい。この場合、点灯回路200Aや点灯回路200Bを天地反転し、トランジスタM1,M2をPMOSトランジスタあるいはPNP型のバイポーラトランジスタで構成すればよい。
【0096】
(変形例2)
第1機能をデイタイムランニングランプ、第2機能をクリアランスランプとしてもよい。
【0097】
(変形例3)
第1発光部U1、第2発光部U2、第3発光部U3それぞれに含まれる発光素子の個数は特に限定されない。また第3発光部U3は省略してもよい。
【0098】
実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにさまざまな変形例が存在すること、またそうした変形例も本開示または本発明の範囲に含まれることは当業者に理解されるところである。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、自動車などに用いられる光源モジュールに関する。
【符号の説明】
【0100】
1…灯具システム、2…バッテリ、4…スイッチ、6…車両側ECU、100…光源モジュール、110…光源、112…発光素子、U1…第1発光部、U2…第2発光部、U3…第3発光部、200…点灯回路、210…定電流ドライバ、M1,M2…切替トランジスタ、220…駆動回路、222…キャパシタ、224…駆動信号生成回路。