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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】印刷版
(51)【国際特許分類】
   B41N 1/12 20060101AFI20241009BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20241009BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
B41N1/12
G02F1/1337 525
G02F1/13 101
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023066519
(22)【出願日】2023-04-14
【審査請求日】2023-12-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594101226
【氏名又は名称】株式会社コムラテック
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】池田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】浦野 雅明
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-338491(JP,A)
【文献】特開2016-076538(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104669772(CN,A)
【文献】特開平06-118414(JP,A)
【文献】特開2006-240283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41N 1/00
G02F 1/1337
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂面に複数の突起が分布形成された印刷用凸部を備えたフレキソ印刷版であって、
上記複数の突起が列毎に並び、各列をなす各突起は、他の列をなす各突起に対して平行に離間して並んで配置され、他の列をなす各突起とは、突起が並ぶ方向における位置をずらして配置されており、
上記各突起が、隣り合う周囲6方向に配置される各突起とのそれぞれの距離が等しくなるように配置されており、
上記突起の形状が平面視において円形であり、
ある突起から、その突起に対し隣り合う周囲6方向に配置されるいずれかの突起までを側断面視すると、これらの突起間には1つの凹部を有し、
ある突起から、その突起に対し隣り合う周囲6方向に配置される各突起のうち、隣り合う2つの突起の間からみえる最も近い突起までを側断面視すると、これらの突起間には2つの凹部と1つの凸部を有し、
上記1つの凹部の深度は各突起間の隙間部で最も浅い深度M1であり、
上記2つの凹部の少なくとも1つの深度は各突起間の隙間部で最も深い深度M2であり、
上記各突起間の隙間部の最も深い深度M2に対する、上記各突起間の隙間部の最も浅い深度M1の比(M1/M2)が0.4以上であることを特徴とするフレキソ印刷版。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキソ印刷等の印刷に用いられる印刷版に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは、アレイ基板と、アレイ基板に対向して配置されるカラーフィルター基板と、その間に挟持される液晶層とを含んで構成されている。アレイ基板は、例えば、透明基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体層、第1保護膜、ソース電極、ドレイン電極、第2保護膜及び樹脂膜等を有する。そして、ドレイン電極の表面上に形成された第2保護膜及び樹脂膜には、下の方が狭いテーパー形状のコンタクトホールが形成されている。当該コンタクトホールにより、ドレイン電極の表面が露出される。樹脂膜の上には、スパッター法等により、透明電極が形成され、透明電極は、コンタクトホールの底でドレイン電極と電気的に接続されている。
【0003】
上記透明電極及び樹脂膜を覆い、コンタクトホールを埋めるように、ポリイミド等の配向膜材料を塗布することにより、透明電極等の表面全体に配向膜を形成することができる。上記配向膜材料を塗布する方式としては、例えば、フレキソ等の印刷方式及びインクジェット方式等があげられる。
【0004】
ここで、フレキソ印刷において配向膜の形成のために用いられる印刷版P1は、一般に、図7(a)に平面図で示し、図7(b)に図7(a)のT-T断面図で示すように、平板状の基部11と、この基部11の表面の中央部に形成された印刷用凸部12とを備えている。その印刷用凸部12が上記印刷領域であり、その印刷用凸部12の周囲の上記基部11の部分は、印刷に関与しない。また、図7(c)に図7(b)の要部を拡大した断面図で示すように、上記印刷用凸部12の頂面には、複数の突起13が隙間部14をあけて分布形成されており、その隙間部14に、インクが保持されるようになっている。そして、上記印刷版P1は、上記版胴51(図6参照)の周側面に沿って装着できるように柔軟性を有している。
【0005】
図8(a)は、上記印刷用凸部12に形成されている突起13を示す平面図であり、図8(b)は、突起13の3次元的に示す模式図である。
図8(a)、(b)に示したように、複数の突起13は、印刷用凸部12に直行に配列されている。また、図8(a)、(b)に示した突起13は微小であり、この例では、印刷用凸部12に1インチ当たり400個(1平方インチ当たり160,000個)形成されている。
【0006】
図8(a)中の矢印が示す距離S11,S12はそれぞれ、隣り合う突起13間のピッチ(中心間距離)を示している。距離S11は、突起13間の横方向のピッチを示し、その距離は63.5μm(縦方向も同じ)である。一方、距離S12は、突起13間の斜め方向のピッチを示し、その距離は89.8μmである。
【0007】
ここで、図9は、上記印刷用凸部12に形成されている突起13の配列を模式的に示す平面図である。突起13は、すでに述べたとおり、直行に配列されている。各突起13に囲まれる、細線で示すひし形の領域G11が、隙間部14となりインクが保持される部分である。
【0008】
図10は、上記印刷用凸部12に形成されている突起13を拡大して示す平面図である。図11(a)は、図10のW1-W1断面の高低差を示すグラフ図を示し、図11(b)は、図10のW2-W2断面の高低差を示すグラフ図を示している。図10及び図11(a)に示す、突起13間の位置Aの深度(突起13の頂面の高さを基準としてそこからの深さ、以下同じ)は19.07μmで、図10及び図11(b)に示す、突起13間の位置Bの深度は4.65μmである。また、この例では、上記突起13が形成された印刷用凸部12を備える印刷版P1のセル容積(インクを保持できる容量を表す)は4.60cm3/m2である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2017-164979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような印刷版P1を使って、透明電極上にインク(配向膜材料)を塗布するには、直行に配列された微小な突起13間(隙間部14)にインクを保持させ、その印刷版P1を被印刷体Q(配向膜が形成されていないアレイ基板又はカラーフィルター基板)に当接させることにより、被印刷体Qにインクを転写する。
【0011】
このとき、印刷版P1が備える印刷用凸部12に形成されている各突起13間(隙間部14)の深度のばらつきが大きいと、隙間部14に保持されるインク量の差異が場所別に大きくなるため、得られる配向膜の膜均一性が悪くなることがある。図8等に例を示した、従来の突起13間の深度は、上記の例における値からすると、最も浅い深度M1が4.65μmであり、最も深い深度M2が19.07μmであり、最も浅い深度と最も深い深度との比率(M1/M2)は0.24(≒4.65/19.07)である(M1、M2については図11(a),(b)を参照)。
【0012】
また、被印刷体Qがアレイ基板である場合には、アレイ基板に形成されるコンタクトホール周辺において、表面張力やコンタクトホール形成時に生じた微細なくず(残渣)等によってインクがはじかれ、コンタクトホール内にインクが十分に入り込まず、コンタクトホール周辺での配向膜の膜厚が、他部分にできる膜厚と異なることがある。配向膜の膜厚が不均一な部分は、液晶パネルが点灯状態(特に中間調)であるときに、輝度むらとなり視認され易くなるため、より高いレベルでの膜厚の均一性を図ることが望まれている。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、配向膜の膜厚の均一性を向上させる印刷版の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するため、本発明の印刷版は、頂面に複数の突起が分布形成された印刷用凸部を備えた印刷版であって、上記複数の突起が列毎に並び、各列をなす各突起は、他の列をなす各突起に対して平行に離間して並べて配置され、他の列をなす各突起とは、突起が並ぶ方向における位置をずらして配置されているという構成をとる。
【0015】
すなわち、上記各突起間の隙間部の深度のばらつきが大きいと、上記配向膜の膜均一性が悪くなることを鑑みると、上記突起間の隙間部の深度のばらつきを抑えれば、上記配向膜の膜均一性を向上させることが可能である。また、上記コンタクトホール周辺で上記配向膜の膜厚が厚くなることがあるが、これはコンタクトホール周辺でのインクはじきを改善することで回避可能である。
本発明の発明者らは、これらの点に着目し、上記突起間の隙間部の深度のばらつきを抑えると共に、コンタクトホール周辺でのインクはじきを改善することで上記配向膜の膜均一性を向上可能であることを見出し、本発明に到達した。
【0016】
本発明は、上記の目的を達成するために、以下の[1],[2]を提供する。
[1]
頂面に複数の突起が分布形成された印刷用凸部を備えた印刷版であって、上記複数の突起が列毎に並び、各列をなす各突起は、他の列をなす各突起に対して平行に離間して並んで配置され、他の列をなす各突起とは、突起が並ぶ方向における位置をずらして配置されていることを特徴とする印刷版。
[2]
上記各突起が、隣り合う周囲6方向に配置される各突起とのそれぞれの距離が等しくなるように配置されている[1]記載の印刷版。
【発明の効果】
【0017】
本発明の印刷版は、複数の突起が列毎に並び、当該各列をなす各突起は、他の列をなす各突起に対して平行に離間して並んで配置され、他の列をなす各突起は、突起が並ぶ方向における位置をずらして配置されている。
そのため、従来のように上記各突起が直行に配列される場合よりも、上記各突起間のピッチを短くすることが可能となり、各突起間の隙間部を同一面積内に多数設けることができ、印刷時に、上記コンタクトホール上に上記隙間部が位置する可能性を高くすることができる。
コンタクトホール上に上記隙間部が位置すると、コンタクトホール内にインクを効率よく充填させることができるため、コンタクトホール周辺でのインクはじきの発生を抑制することができる。その結果、上記コンタクトホール周辺においても上記配向膜の膜均一性を向上させることができる。
【0018】
また、各突起が、隣り合う周囲6方向に配置される各突起とのそれぞれの距離が等しくなるように配置されている場合には、上記突起間が同一ピッチかつ狭ピッチとなるため、上記配向膜の膜均一性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の印刷版の一実施の形態を模式的に示し、(a)は、その印刷版の平面図であり、(b)は、(a)のR-R断面での要部拡大図である。
図2】(a)は、本発明の一実施の形態に係る印刷版が備える印刷用凸部に形成されている突起を示す平面図であり、(b)は、その突起の3次元的に示す模式図である。
図3】本発明の突起の配列を模式的に示す平面図である。
図4】本発明の印刷版が備える印刷用凸部に形成されている突起を示す平面図である。
図5】(a)は、図4のV1-V1断面により印刷用凸部を側断面視でみたときに、上記突起と隙間部により印刷用凸部に形成される高低差を示すグラフ図である。(b)は、図4のV2-V2断面により印刷用凸部を側断面視でみたときに、上記突起と隙間部により印刷用凸部に形成される高低差を示すグラフ図である。
図6】印刷版を用いる印刷機を模式的に示す説明図である。
図7】従来の印刷版を模式的に示し、(a)は、その印刷版の平面図であり、(b)は、(a)のT-T断面図であり、(c)は、(b)の要部断面拡大図である。
図8】(a)は、従来の印刷版が備える印刷用凸部に形成されている突起を示す平面図であり、(b)は、その突起の3次元的に示す模式図である。
図9】従来の突起の配列を模式的に示す平面図である。
図10】従来の印刷版が備える印刷用凸部に形成されている突起を拡大して示す平面図である。
図11】(a)は、図10のW1-W1断面により印刷用凸部を側断面視でみたときに、上記突起と隙間部により印刷用凸部に形成される高低差を示すグラフ図である。(b)は、図10のW2-W2断面により印刷用凸部を側断面視でみたときに、上記突起と隙間部により印刷用凸部に形成される高低差を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する。
但し、本発明は、次に説明する実施の形態に限定されるものではない。
また、本発明において、「F以上」(Fは任意の数字)と表現した場合、「Fより大きいことが好ましい」旨の意も包含する。
【0021】
図1(a)は、本発明の一実施の形態である印刷版Pを示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)のR-R断面の要部拡大図である。
【0022】
本発明の一実施の形態に係る印刷版Pは、平面視長方形の平板状の基部1と、この基部1の表面の中央部に形成された平面視長方形の印刷用凸部2とを備えており、この印刷用凸部2の頂面には複数の突起3(図2参照)が分布形成されている。印刷版Pは、フレキソ印刷に用いられるものであり、図6に示すように、印刷機の版胴51の周側面に装着可能となるよう柔軟性を有している。このような印刷版Pの形成材料は、例えば、感光性樹脂、ゴム等である。
【0023】
上記基部1と印刷用凸部2と突起3とは、一体に形成されている。そして、この実施の形態では、平面視長方形の上記印刷用凸部2の長辺に沿う矢印の方向が印刷方向に設定されている。上記印刷用凸部12の頂面には、以下に示すように、複数の突起3が隙間部4をあけて分布形成されており、その隙間部4に、インクが保持されるようになっている。
【0024】
図2(a)は、印刷用凸部2に形成されている突起3を示す平面図であり、図2(b)は、突起3部分を3次元的に示す模式図である。図2(a)、(b)に示すように、印刷用凸部2上には、複数の突起3が複数の列毎に並んで配置されている。当該各列をなす各突起3は、他の列をなす各突起3に対して平行に並べられ、かつ他の列をなす各突起3に対して離間して並べて配置されている。さらに、当該各列をなす各突起3は、他の列をなす各突起3とは、突起3が並ぶ方向における位置をずらして配置されている。
そして、上記突起3は、隣り合う周囲6方向の突起3間の距離が互いに等しくなるように配列されている(ハニカム配列)。
また、図2(a)、(b)に示した突起3は微小であり、例えば、印刷用凸部2に1平方インチ当たり184,752個形成されている。図8等に例を示した従来の突起13との比較では、従来の突起13の1.15(≒184,752/160,000)倍である。
【0025】
図2(a)中の矢印が示す距離S1~S3は、隣り合う突起3間のピッチ(中心間距離)を示している。距離S1~S3はいずれも同一である。距離S1~S3は、例えば63.5μmである。
【0026】
図3は、突起3の配列を模式的に示す平面図である。上記のように、上記複数の突起3は列毎に並んで印刷用凸部2に形成され、当該各列をなす各突起3は、他の列をなす各突起3に対して平行に離間して並べて配置され、他の列をなす各突起3とは、突起3が並ぶ方向における位置をずらして配置されている。突起3に囲まれる、細線で示す三角形の領域G1が、インクが保持される部分(隙間部4)である。
【0027】
図4は、印刷用凸部2に形成されている突起3を拡大して示す平面図である。図5(a)は、図4のV1-V1断面により印刷用凸部2を側断面視でみたときに、上記突起3と隙間部4により印刷用凸部2に形成される高低差を示すグラフ図である。
図5(b)は、図4のV2-V2断面により印刷用凸部2を側断面視でみたときに、上記突起3と隙間部4により印刷用凸部2に形成される高低差を示すグラフ図である。
【0028】
図4に示す突起3間の位置Aの深度は、図5(a)に示すように14.91μmであり、隙間部4における最も深い深度M2である。また、図4に示す突起3間の位置Bの深度は、図5(b)に示すように11.03μmであり、隙間部4における最も浅い深度M1である。
このため、この例では、最も浅い深度M1と最も深い深度M2との比率(M1/M2)は0.74(≒11.03/14.91)となる。また、上記突起3が形成された印刷版Pのセル容積は4.54cm3/m2である。なお、これら各値は、単に一例である。
【0029】
このような印刷版Pの形成方法としては、例えば、予め定められたパターンが形成されたネガフィルムを作成する工程と、上記ネガフィルムを印刷版Pとなる感光性樹脂に載置する工程と、上記ネガフィルムが載置された上記感光性樹脂に光を照射し、光が上記ネガフィルムを通過する位置で上記感光性樹脂を硬化させる工程と、を有するフォトリソグラフィ法があげられる。上記ネガフィルムを光が通過して光が当たった感光性樹脂部分が固まり、固まった部分が上記突起3となる。上記ネガフィルムを光が通過せず光が当たらない感光性樹脂部分は、上記隙間部4となる。
【0030】
フレキソ印刷は、図6に示すような印刷機によりなされる。この印刷機は、印刷版Pを装着する円柱状の版胴51と、上記印刷版Pにインクを付着させるアニロックスロール52と、このアニロックスロール52の表面にインクを供給するインク供給装置53と、上記アニロックスロール52の表面の余剰なインクをかきとるドクター54と、印刷対象となる被印刷体Qを載置する印刷ステージ55とを備えている。
【0031】
そして、上記印刷機によるフレキソ印刷は、つぎのようにしてなされる。すなわち、印刷版Pを版胴51の周側面に装着し、その版胴51を回転させながら、インク供給装置53から供給されたインクを、アニロックスロール52を介して、印刷版Pの印刷領域に付着させ、その付着したインクを、印刷ステージ55に載置したガラス基板等の被印刷体Qに転写することにより、印刷がなされる。このとき、版胴51の回転に同期させて、印刷ステージ55をスライドさせる。
【0032】
ここで、印刷版Pは、図2(b)に示したように、上記印刷用凸部2の頂面には、複数の突起3が隙間部4をあけて分布形成されており、その隙間部4に、インクが保持される。
【0033】
印刷版Pを用いて、例えば、液晶パネルの配向膜を形成するために、被印刷体Q(例えば、透明電極等)上にインク(配向膜材料)を塗布する場合には、印刷用凸部2上に形成されている複数の隙間部4にインクを流し込み、この状態の印刷版Pから、被印刷体Qにインクを転写する。
【0034】
上記印刷版Pは、前述のとおり、上記複数の突起3が列毎に並んで印刷用凸部2に形成され、当該各列をなす各突起3は、他の列をなす各突起3に対して平行に離間して並んで配置され、他の列をなす各突起3とは、突起3が並ぶ方向における位置をずらして配置されている。
このため、図7及び図8に示したような、突起13が直行に配列された従来の印刷版P1を用いる場合よりも、各突起3間のピッチが短くなり、各突起3間の隙間部4の深度のばらつきが抑えられる。
これにより、各隙間部のインク保持量及びインク転写量のバラつきが少なくなり、配向膜の膜均一性が向上する。
また、本発明の一実施の形態に係る印刷版Pは、上記突起3間のピッチが短く、隙間部4が密な状態で多数形成される(図3参照)。これは、従来の印刷版P1に形成される突起13及び隙間部14と対比しても明らかである(図9参照)。
このように、本発明の一実施の形態に係る印刷版Pは、微細な凹凸が印刷用凸部2に形成されるため、印刷時にコンタクトホールに重なる位置に隙間部4が配置される可能性が高くなり、コンタクトホール近傍でインクがはじかれることなく、コンタクトホールをインクで埋めることができる。したがって、上記コンタクトホール周辺での上記配向膜の膜均一性も向上する。
【0035】
そして、上記印刷版Pでは、突起3が、隣り合う周囲6方向に配置される各突起とのそれぞれの距離が等しい状態で配置されているため、上記突起3間が同一ピッチかつ狭ピッチとなり、上記コンタクトホール周辺での上記配向膜の膜均一性がより向上する。
【0036】
なお、上記印刷版Pでは、上記各突起3が、隣り合う上記各突起3間の隙間部4の深度のうちの最も浅い深度M2と最も深い深度M1との比率(M1/M2)が0.74に形成されているが、その他の任意の比率としてもよい。
ただし、配向膜の膜均一性をより高める点から、上記隣り合う各突起3間の隙間部4の深度は、深度のうちの最も浅い深度M1と最も深い深度M2との比率(M1/M2)が0.4以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.6以上であることがさらに好ましく、0.7以上であることが一層好ましい。
【符号の説明】
【0037】
P 印刷版
2 印刷用凸部
3 突起
【要約】
【課題】液晶パネルを構成する透明電極表面にインク(配向膜材料)を塗布して形成される配向膜の膜厚の均一性を向上させる。
【解決手段】印刷版Pは、頂面に複数の突起3が分布形成された印刷用凸部2を備え、上記複数の突起3が列毎に並び、当該各列をなす各突起3は、他の列をなす各突起3に対して平行に離間して並んで配置され、他の列をなす各突起3とは、突起3が並ぶ方向における位置をずらして配置されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11