(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】決済処理装置、決済処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/10 20120101AFI20241009BHJP
【FI】
G06Q20/10
(21)【出願番号】P 2023141281
(22)【出願日】2023-08-31
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】397077955
【氏名又は名称】株式会社三井住友銀行
(73)【特許権者】
【識別番号】594103301
【氏名又は名称】三井住友カード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 陽介
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 遼子
(72)【発明者】
【氏名】太田 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】飯島 晋
(72)【発明者】
【氏名】岩元 悠希
【審査官】山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-123017(JP,A)
【文献】特開2016-099658(JP,A)
【文献】特開2002-063515(JP,A)
【文献】特開2020-009488(JP,A)
【文献】特開2007-011549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部ネットワークと通信するための通信部、記憶部、及び制御部を備えた決済処理装置であって、
前記記憶部は、
ユーザ情報及びユーザ口座の情報を含むユーザマスタと、請求情報及び資金移動情報
とを格納し、
前記制御部は、
引落日が予め定められた期間に含まれるデータを前記請求情報及び資金移動情報から読み出し、読み出した前記データに含まれる債権者情報及び債務者情報に基づいて前記ユーザマスタに問い合わせを行って債権者口座及び債務者口座を取得することと、
取得した前記債権者口座及び前記債務者口座の情報と、読み出した前記データに含まれる引落日
及び請求金額の情報
とを含む口座振替依頼を生成し、生成した前記口座振替依頼を
前記請求情報及び資金移動情報に格納するとともに、前記通信部を介して口座振替システムに送信することと、
前記口座振替依頼に基づいて実行された口座振替の結果情報を
前記口座振替システムから受信し、前記
請求情報及び資金移動情報に格納することであって、前記結果情報は、
前記口座振替依頼に基づいて実行された口座振替に関連付けられる前記引落日
、引落金額、引落口座としての前記債務者口座、及び最終的な入金口座としての当座貸越枠が設定されている業者口座の情報を含む、ことと、
前記請求情報及び資金移動情報から読み出した、振込日としての前記引落日、振込元口座
としての前記業者口座、振込先口座
としての前記債権者口座、及び
振込金額としての前記引落金額の情報を含む振込データを生成し、前記振込データに基づく振込電文を生成すること
であって、前記業者口座と前記債権者口座は、同じ金融機関によって管理されている口座である、ことと
、
生成した前記振込電文を前記振込元口座に関連付けられる銀行システムに送信することと、
を実行する決済処理装置。
【請求項2】
前記債権者口座は、前記請求情報
及び資金移動情報に関連付けられる企業間取引における債権者であるサプライヤーの口座を示し、
前記債務者口座は、前記請求情報
及び資金移動情報に関連付けられる企業間取引における債務者であるバイヤーの口座を示す、
請求項
1の決済処理装置。
【請求項3】
決済処理装置によって実行される方法であって、
前記決済処理装置は、外部ネットワークと通信するための通信部、記憶部、及び制御部を備え、前記記憶部は、
ユーザ情報及びユーザ口座の情報を含むユーザマスタと、請求情報及び資金移動情報
とを格納し、前記方法は、
前記制御部が、引落日が予め定められた期間に含まれるデータを前記請求情報及び資金移動情報から読み出し、読み出した前記データに含まれる債権者情報及び債務者情報に基づいて前記ユーザマスタに問い合わせを行って債権者口座及び債務者口座を取得することと、
前記制御部が、
取得した前記債権者口座及び前記債務者口座の情報と、読み出した前記データに含まれる引落日
及び請求金額の情報
とを含む口座振替依頼を生成し、生成した前記口座振替依頼を
前記請求情報及び資金移動情報に格納するとともに、前記通信部を介して口座振替システムに送信することと、
前記制御部が、前記口座振替依頼に基づいて実行された口座振替の結果情報を
前記口座振替システムから受信し、前記
請求情報及び資金移動情報に格納することであって、前記結果情報は、
前記口座振替依頼に基づいて実行された口座振替に関連付けられる前記引落日
、引落金額、引落口座としての前記債務者口座、及び最終的な入金口座としての当座貸越枠が設定されている業者口座の情報を含む、ことと、
前記制御部が、
前記請求情報及び資金移動情報から読み出した、振込日としての前記引落日、振込元口座
としての前記業者口座、振込先口座
としての前記債権者口座、及び
振込金額としての前記引落金額の情報を含む振込データを生成し、前記振込データに基づく振込電文を生成することであって、
前記業者口座と前記債権者口座は、同じ金融機関によって管理されている口座である、ことと、
前記制御部が、生成した前記振込電文を前記振込元口座に関連付けられる銀行システムに送信することと、
を備える方法。
【請求項4】
請求項
3に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済処理装置、決済処理方法、及びプログラムに関する。より詳細に言えば、本発明は、口座振替により引落口座から資金を引き落とした当日中に入金口座への入金処理を実行する決済処理装置、決済処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業間取引(BtoB:Business to Business)の分野において、金融機関は、バイヤー(債務者)からサプライヤー(債権者)への資金移動オペレーションに関与する。企業間取引の代金決済方法としては、口座振替(「口座引落」ともいう)が知られている(特許文献1)。口座引落は、バイヤー、サプライヤー、収納代行業者及び金融機関の間で所定の条件で行われる資金移動であり、バイヤー口座(引落口座)から口座引落を行って、引き落とした資金を収納代行業者経由でサプライヤー口座(入金口座)に入金する処理である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バイヤーからの代金回収について収納代行業者を利用する従来スキームでは、バイヤー口座から代金を引き落とした後、サプライヤー口座に入金されるまで数営業日かかっていた。従来スキームでは、バイヤー口座→収納銀行口座→収納代行業者口座→サプライヤー口座へと資金が移動していくが、収納銀行口座及び収納代行業者口座で資金が滞留する期間があったため、サプライヤーに資金が渡るまで数営業日かかっていた。
【0005】
サプライヤーは、手元資金を必要とするケースが多々ある。口座振替の入金が行われるまで所要日数がかかるため、資金移動のスキームとして口座振替が利用されにくいものとなっていた。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、口座振替によりバイヤー口座から代金を引き落とした当日中にサプライヤー口座への入金処理を実行する決済処理装置、決済処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の決済処理装置は、外部ネットワークと通信するための通信部、記憶部、及び制御部を備えた決済処理装置であって、
前記記憶部は、請求情報及び資金移動情報を格納し、
前記制御部は、
少なくとも引落日の情報を含む口座振替依頼を前記通信部を介して口座振替システムに送信することと、
前記口座振替依頼に基づいて実行された口座振替の結果情報を受信し、前記記憶部に格納することであって、前記結果情報は、少なくとも前記引落日の情報を含む、ことと、
少なくとも前記引落日、振込元口座、振込先口座及び金額の情報を含む振込データを生成し、前記振込データに基づく振込電文を生成することを実行し、前記振込元口座は、当座貸越枠が設定されている口座である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、決済処理装置は、サプライヤーの口座振替依頼を処理した当日中にサプライヤー口座への入金処理を実行することが可能となる。それにより、サプライヤーは、早期に代金回収を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書において開示される実施形態の詳細な理解は、添付図面に関連して例示される以下の説明から得ることができる。
【
図1】決済処理装置10を含むシステム全体の構成図である。
【
図3】ユーザマスタ106のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】契約/決済情報107のデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】請求&資金移動データ108のデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】バイヤー口座から引き落とした代金を当日中にサプライヤー口座へ入金する処理を説明する図である。
【
図7】
図6の処理フローを資金の流れとともに説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る決済処理装置10、口座振替システム11、第1の銀行システム12及び第2の銀行システム13を含むシステム全体の構成図である。決済処理装置10、口座振替システム11、第1の銀行システム12及び第2の銀行システム13は、任意のネットワーク14を介して相互に通信可能に接続される。
【0011】
本明細書では、決済処理装置10を1つのシステムあるいは装置として説明するが、決済処理装置10によって実行される様々な処理を複数のシステムあるいは装置で分散して実行するように構成してもよい。
【0012】
決済処理装置10及び口座振替システム11は、金融機関のシステムとは独立したシステムとして説明するが、両者の機能は、金融機関のシステム(例えば、第2の銀行システム13)の内部に実装されてもよい。
【0013】
決済処理装置10は、企業間取引の決済関連処理に使用される装置であり、サプライヤー及びバイヤー間取引の請求明細データ、サプライヤー及びバイヤーの企業間取引契約データなどの情報を格納する。本明細書では、決済処理装置10によって実行される収納代行サービスの当日入金処理について説明する。詳細に言えば、決済処理装置10は、サプライヤー及びバイヤー間取引の請求明細データとサプライヤー及びバイヤーの企業間取引契約データとに基づいて、引落日当日までに口座振替依頼データを生成して、口座振替システム11に送信する。口座振替依頼データは、引落口座、引落金額などの情報を含む。決済処理装置10は、口座振替結果データを口座振替システム11から受信すると、振込電文を生成して第2の銀行システム13に送信する。
【0014】
第1の銀行システム12及び第2の銀行システム13は、金融機関によって制御される勘定系システムなどの銀行システムである。第1の銀行システム12は、バイヤーの取引銀行のシステムであり、バイヤーの口座を管理し、バイヤーの口座に対する入出金処理を実行する。第2の銀行システム13は、サプライヤー及び収納代行業者の取引銀行のシステムであり、サプライヤー及び収納代行業者の口座を管理し、サプライヤー及び収納代行業者の口座に対する入出金処理を実行する。バイヤーの取引銀行と、サプライヤー及び収納代行業者の取引銀行とが同一金融機関となる場合には、第1の銀行システム12及び第2の銀行システム13は同一のシステムである。
【0015】
口座振替システム11は、口座振替依頼データを受信したら、引落日当日までに口座振替電文を生成して第1の銀行システム12に送信する。口座振替電文は、引落日、引落口座及び引落額の情報を含む。第1の銀行システム12は、口座振替電文に基づいて口座振替処理(口座引落処理)を実行し、口座振替結果を生成して口座振替システム11に送信する。口座振替システム11は、第1の銀行システム12から受信した第1の口座振替結果の内容を、決済処理装置10に送信する。
【0016】
第1の銀行システム12によって口座引落された資金は、第1の銀行システム12内の所定の口座(例えば、別段口座などの収納銀行口座)を経由して、収納代行業者の口座に入金される。その後、口座引落された資金は、第1の銀行システム12内の収納代行業者口座から、第2の銀行システム13内の収納代行業者口座に入金される。第2の銀行システム13は、収納代行業者口座への着金前にサプライヤー口座に対して振込を行う。
【0017】
(決済処理装置10のシステム構成)
図2は、本発明の実施形態に係る決済処理装置10のシステム構成図である。
図2に示すように、決済処理装置10は、一般的なコンピュータと同様に、バス120などによって相互に接続される制御部101、主記憶部102、補助記憶部103、IF部104、及び出力部105を備える。補助記憶部103は、決済処理装置10の各機能を実装するプログラム、及び当該プログラムで取り扱うデータを格納する。補助記憶部103に格納されている各種プログラムは、決済処理装置10によって実行される。補助記憶部103は、ファイル/データベースなどの形式で、ユーザマスタ106、契約/決済情報107、及び請求&資金移動データ108を備える。決済処理装置10は、ユーザマスタ106、契約/決済情報107、及び請求&資金移動データ108に格納されている情報を読み出し、編集し、あるいは更新できる。
【0018】
制御部101は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、決済処理装置10の各構成要素の制御やデータの演算を行い、また、補助記憶部103に格納されている各種プログラムを主記憶部102に読み出して実行する。主記憶部102は、メインメモリとも呼ばれ、受信した各種データ、コンピュータ実行可能な命令及び当該命令による演算処理後のデータなどを記憶する。補助記憶部103は、ハードディスク(HDD)などに代表される記憶装置であり、データやプログラムを長期的に保存する際に使用される。
【0019】
図2の実施形態は、制御部101、主記憶部102及び補助記憶部103を同一のコンピュータの内部に設ける実施形態について説明するが、他の実施形態として、決済処理装置10は、制御部101、主記憶部102及び補助記憶部103を複数個使用することにより、複数のコンピュータによる並列分散処理を実現するように構成することもできる。他の実施形態として、決済処理装置10のための複数のサーバを設置し、複数サーバが一つの補助記憶部103を共有する実施形態にすることも可能である。
【0020】
IF部104は、他のシステムや装置との間でデータを送受信する際のインターフェース(IF)の役割を果たし、また、システムオペレータから各種コマンドや入力データ(各種マスタ、テーブルなど)を受け付けるインターフェースを提供する。出力部105は、処理されたデータを表示する表示画面や当該データを印刷するための印刷手段などを提供する。
【0021】
ユーザマスタ106は、決済処理装置10を利用するサプライヤー及びバイヤーなどのユーザの情報を格納する。
図3は、本発明の実施形態に係るユーザマスタ106のデータ構造の一例を示す図である。ユーザマスタ106は、ユーザID301、ユーザ名称302、及び決済口座303を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことができる。
【0022】
ユーザID301は、決済処理装置10を利用するユーザ、例えば、企業間取引におけるサプライヤー及びバイヤー、並びに収納代行業者を識別する識別子である。ユーザ名称302は、ユーザの名称(企業名など)を示す。決済口座303は、入出金処理の際に使用されるユーザの口座情報を示す。
【0023】
収納代行業者の決済口座のうち、第2の銀行システム13に格納されている決済口座については、金融機関によって当座貸越枠が設定される。当座貸越とは、預金残高が不足した場合に、不足額を自動的に借入れできるサービスである。当座貸越枠が設定されている口座は、赤残、すなわち、マイナス残高(例えば、-100万円の残高)が許容される。
【0024】
図2に戻って説明すると、契約/決済情報107は、企業間取引におけるサプライヤー及びバイヤー間の取引に関する契約情報及び決済情報を格納する。
図4は、本発明の実施形態に係る契約/決済情報107のデータ構造の一例を示す図である。契約/決済情報107は、サプライヤーID401、バイヤーID402、及び決済条件403を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことができる。
【0025】
サプライヤーID401は、企業間取引におけるサプライヤーを示す識別子である。バイヤーID402は、企業間取引におけるバイヤーを示す識別子である。サプライヤーID401及びバイヤーID402として設定される識別子は、ユーザID301であってよい。決済条件403は、サプライヤーとバイヤーの間で予め取り交わされている決済条件、例えば、支払日などであってよい。
【0026】
図2に戻って説明すると、請求&資金移動データ108は、サプライヤーとバイヤー間の取引に関する請求情報及び資金移動情報を格納する。
図5は、本発明の実施形態に係る請求&資金移動データ108のデータ構造の一例を示す図である。請求&資金移動データ108は、サプライヤーID401、バイヤーID402、請求番号501、請求内容502、請求金額503、支払日504,口座振替依頼情報505、口座振替結果情報506、及び振込データ507を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことができる。
【0027】
サプライヤーID401は、請求情報に関するサプライヤーを示す識別子である。バイヤーID402は、請求情報に関するバイヤーを示す識別子である。請求情報に関して、サプライヤーは債権者であり、バイヤーは債務者である。請求番号501は、請求情報を識別する識別子である。請求内容502は、請求の内容(例えば、物品代、サービス代)を示す。請求金額503は、サプライヤーがバイヤーに対して請求した金額を示す。支払日504は、請求に対する支払日、すなわち、バイヤー口座から請求金額が引き落とされる引落日を示す。口座振替依頼情報505は、請求情報に基づいて作成される口座振替依頼の情報を含み、引落口座であるバイヤー口座(「債務者口座」ともいう)、引落金額などの情報を含む。口座振替結果情報506は、口座振替依頼に基づいて実行された口座振替処理の結果情報を含む。結果情報には、成功裏に引落がなされた、残高不足により引落ができなかった、などの情報と、引落口座などの情報が含まれる。振込データ507は、口座振替処理が成功裏に完了した後に実行される、収納代行業者口座からサプライヤー口座への入金処理の情報を含む。
【0028】
(バイヤー口座から引き落とした代金を当日中にサプライヤー口座へ入金する処理)
図6は、バイヤー口座から引き落とした代金を当日中にサプライヤー口座へ入金する処理を説明する図である。この処理の前提として、決済処理装置10は、サプライヤー及びバイヤー間の取引についての請求情報データを請求&資金移動データ108に格納しており、また、第2の銀行システム13に格納されている、収納代行業者の決済口座は、当座貸越枠が設定され、赤残(マイナス残高)が許容されているものとする。
【0029】
S601にて、決済処理装置10は、支払日504によって示される引落日が予め定められた期間に含まれるデータを請求&資金移動データ108から読み出し、読み出したデータのサプライヤーID401及びバイヤーID402に基づいてユーザマスタ106に問い合わせを行い、サプライヤーの決済口座及びバイヤーの決済口座を取得する。予め定められた期間は、
図6の処理フローを実施する処理日と支払日504によって示される引落日が一致する日付が少なくとも含まれ、追加で、
図6の処理フローを実施する処理日の翌日が営業日ではない場合、支払日504によって示される引落日が次の営業日までの範囲の日付が含まれてよい。例えば、処理日が2023年7月28日(金)である場合、支払日504が2023年7月28日(金)を示すデータと、追加で、支払日504が2023年7月31日(月)までのデータが読み出されてよい。
【0030】
決済処理装置10は、取得したサプライヤー決済口座、バイヤー決済口座と、読み出したデータの請求金額503、支払日504の情報とに基づいて口座振替依頼を生成し、口座振替依頼情報505に格納する。口座振替依頼は、少なくとも、引落日、バイヤー決済口座(債務者口座)、及び請求金額を含む。支払日504によって示される引落日が金融機関の営業日ではない場合、翌営業日が実際の引落日となる。
【0031】
S602にて、決済処理装置10は、生成した口座振替依頼を口座振替システム11に送信する。
【0032】
S603にて、口座振替システム11は、決済処理装置10から口座振替依頼を受信すると、受信した口座振替依頼の情報を読み出し、口座振替電文を生成する。口座振替電文は、口座振替依頼と関連付けられており、引落日、バイヤー決済口座、及び請求金額の他に、依頼元の情報を含んでいてよい。口座振替電文の取引銀行口座、すなわち、資金移動先の銀行口座は、第1の銀行システム12の収納代行業者の決済口座である。
【0033】
S604にて、口座振替システム11は、口座振替電文に含まれる引落口座、すなわち、バイヤー決済口座に関連付けられる金融機関の第1の銀行システム12に口座振替電文を送信する。
【0034】
S605にて、第1の銀行システム12は、口座振替電文を受信すると、受信した口座振替電文に含まれる引落口座(バイヤー決済口座)の情報に基づいて、引落口座の残高チェックを行って、残高不足でない場合には請求金額を引落口座から引き落とす処理を実行する。すなわち、第1の銀行システム12は、口座振替電文に含まれる引落日に口座引落処理を実行する。引き落とした資金は、第1の銀行システム12の別段口座などの収納銀行口座に一旦入金され、その後、第1の銀行システム12の収納代行業者口座に入金される。第1の銀行システム12は、第1の銀行システム12の収納代行業者口座から第2の銀行システム13の収納代行業者の口座に対して送金する。
【0035】
S606にて、第1の銀行システム12は、受信した口座振替電文の情報と、口座引落処理の結果とに基づいて第1の口座振替結果を生成して、口座振替システム11に送信する。第1の口座振替結果は、口座振替電文と関連付けられているため、引落口座(バイヤー決済口座)、引落額、口座振替処理結果、及び口座振替電文を識別するための情報を含むことができる。
【0036】
S607にて、口座振替システム11は、受信した第1の口座振替結果の情報と、第1の口座振替結果に関連付けられる口座振替電文から特定される口座振替依頼の情報とに基づいて第2の口座振替結果を生成して、決済処理装置10に送信する。
【0037】
S608にて、決済処理装置10は、口座振替システム11から第2の口座振替結果を受信すると、第2の口座振替結果に関連付けられるデータの口座振替結果情報506に、第2の口座振替結果の情報を格納する。第2の口座振替結果は、引落日、引落口座(バイヤー決済口座)、引落金額、及び口座振替処理結果を含むことができる。なお、口座振替結果の入金口座は、サプライヤー決済口座ではなく、口座振替処理によって実際に入金されることになる、当座貸越枠が設定されている収納代行業者口座である。口座振替処理結果が成功を示す場合のみ、S609以降の処理が実行される。
【0038】
S609にて、決済処理装置10は、請求&資金移動データ108から読み出したデータの口座振替結果情報506の情報に基づいて振込データを生成し、振込データ507に格納する。振込データは、振込日を口座振替の引落日とし、振込先をサプライヤー決済口座とし、振込元を収納代行業者の口座(当座貸越枠が設定されている口座)とし、振込金額を引落金額、すなわち、請求金額から口座振替処理が成功しなかった金額を除いた金額とするデータである。
【0039】
S610にて、決済処理装置10は、生成した振込データに基づいて、全銀フォーマットに従う振込電文を生成し、振込元口座を有する第2の銀行システム13に送信する。振込電文の全銀フォーマットは、振込振替のためのフォーマットであってよい。振込元口座は、当座貸越枠が設定されている収納代行業者口座である。
【0040】
S611にて、第2の銀行システム13は、決済処理装置10から受信した振込電文に基づいて、収納代行業者の口座からサプライヤー決済口座に対する振込処理を実行する。上述の処理により、口座振替処理実行日に、口座引落の通知が決済処理装置10に届き、サプライヤー口座への入金が行われるようになる。収納代行業者の口座は、一旦、赤残(マイナス残高)になるものの、その後、第1の銀行システム12の収納代行業者口座から第2の銀行システム13の収納代行業者の口座に対して送金された資金が入金されるので、入金後には赤残(マイナス残高)が解消する。
【0041】
図7は、
図6の処理フローを資金の流れとともに説明する図である。
図7では、処理当日をN日として説明する。
【0042】
図6のS604で説明したように、決済処理装置10からの口振依頼に基づく口振電文が口座振替システム11から第1の銀行システム12に送信される(N日)。S605で説明したように、第1の銀行システム12は、口座振替電文を受信したことに応答して、引落口座(バイヤー決済口座)から請求金額を引き落とし(資金引落(N日))、第1の銀行システム12の収納代行業者口座に入金する(資金入金(N日またはN+1日))。
【0043】
一方、第1の銀行システム12は、口座引落処理後、S606~S607で説明したように、処理結果を通知する。すなわち、第1の口振結果の送信(N日)、第2の口振結果の送信(N日)が実行される。
【0044】
図6のS609~S611で説明したように、決済処理装置10は、振込電文を生成して第2の銀行システム13に送信し(N日)、その後、第2の銀行システム13は、振込電文に従って、当座貸越枠が設定されている代行業者口座からサプライヤー口座に対する振込処理を実行する(N日)。
【0045】
振込処理が実行された場合、当座貸越枠が設定されている代行業者口座の残高は、赤残となるが、第2の銀行システム13は、第1の銀行システム12からの振込による入金によって赤残が解消される(N+2日)。
【0046】
図7の例では、第2の銀行システム13は、代行業者口座として、当座貸越枠が設定されている口座と、他の金融機関から入金を受ける口座の2種類の口座を有している。
【0047】
上述の処理では、同一のサプライヤー口座に対して同一日に複数のバイヤー口座から引き落とした資金を入金することが想定される。かかる場合、決済処理装置10は、S609にて振込データを生成する際、同一のサプライヤー口座に対する入金情報をマージして一つの振込データを生成することができる。
【0048】
例えば、サプライヤーA社がバイヤーX社から10万円を口座振替で回収し、バイヤーY社から15万円を口座振替で回収するケースを考える。第1の銀行システム12は、それぞれの口振結果を口座振替システム11に送信し、口座振替システム11は、それぞれの結果を決済処理装置10に送信する。決済処理装置10は、請求&資金移動データ108から読み出したデータの口座振替結果情報506の情報のうち、入金口座が同一のデータの請求金額を合算し、振込先をサプライヤー決済口座とし、振込元を収納代行業者の口座とし、振込金額を合算金額とする振込データを生成して第2の銀行システム13に送信する。この振込データは、サプライヤーA社の口座に対して合算金額25万円を入金することを示す。
【0049】
上述の処理により、バイヤー口座から代金が引き落とされた事実を、その引落当日に決済処理装置10が把握し、回収資金が収納代行業者口座に実際に着金する前に収納代行業者からサプライヤー口座に振込できるようになるため、バイヤー口座から代金を引き落とした当日中にサプライヤー口座への入金が可能となる。
【0050】
以上、例示的な実施形態を参照しながら本発明の原理を説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく、構成及び細部において変更する様々な実施形態を実現可能であることを当業者は理解するだろう。すなわち、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施態様を採ることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 決済処理装置
11 口座振替システム
12 第1の銀行システム
13 第2の銀行システム
14 ネットワーク
101 制御部
102 主記憶部
103 補助記憶部
104 IF部
105 出力部
106 ユーザマスタ
107 契約/決済情報
108 請求&資金移動データ
【要約】
【課題】口座振替によりバイヤー口座から代金を引き落とした当日中にサプライヤー口座への入金処理を実行する。
【解決手段】決済処理装置は、記憶部及び制御部を備えている。制御部は、少なくとも引落日の情報を含む口座振替依頼を口座振替システムに送信することと、口座振替依頼に基づいて実行された口座振替の結果情報を受信し、記憶部に格納することであって、結果情報は、少なくとも引落日の情報を含む、ことと、少なくとも引落日、振込元口座、振込先口座及び金額の情報を含む振込データを生成し、振込データに基づく振込電文を生成することを実行する。振込元口座は、当座貸越枠が設定されている口座である。制御部は、記憶部の請求情報から引落日のデータを読み出し、読み出したデータに基づいて取得した債権者口座、債務者口座の情報と、読み出したデータの引落日、請求金額の情報とに基づいて口座振替依頼を生成する。
【選択図】
図6