IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジクラの特許一覧

特許7569441光送受信装置及びそれを用いた光通信装置
<>
  • 特許-光送受信装置及びそれを用いた光通信装置 図1
  • 特許-光送受信装置及びそれを用いた光通信装置 図2
  • 特許-光送受信装置及びそれを用いた光通信装置 図3
  • 特許-光送受信装置及びそれを用いた光通信装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】光送受信装置及びそれを用いた光通信装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20241009BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20241009BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20241009BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20241009BHJP
   H04B 10/80 20130101ALI20241009BHJP
【FI】
G02B6/12 301
G02B6/02 461
G02B6/125 311
G02B6/42
H04B10/80
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023500824
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 JP2022005659
(87)【国際公開番号】W WO2022176804
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2021026756
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小田 拓弥
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-116466(JP,A)
【文献】米国特許第05519801(US,A)
【文献】国際公開第2013/157245(WO,A1)
【文献】特表2012-514768(JP,A)
【文献】特開2020-160260(JP,A)
【文献】特開2020-101623(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0051729(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0199332(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0309261(US,A1)
【文献】特開2008-040490(JP,A)
【文献】特開2009-104064(JP,A)
【文献】特開2015-106099(JP,A)
【文献】特開2009-055054(JP,A)
【文献】特開2010-191365(JP,A)
【文献】特開2006-330423(JP,A)
【文献】特開2020-160261(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102819066(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02-6/24
6/255-6/27
6/30-6/34
6/36-6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送信用導波路と、
複数の受信用導波路と、
電気信号を光信号に変換し、変換した当該光信号をそれぞれの前記送信用導波路の一方の端部から当該送信用導波路に送信する光信号送信部と、
それぞれの前記受信用導波路の一方の端部から光信号を受信し、受信した当該光信号を電気信号に変換する光信号受信部と、
それぞれの前記送信用導波路及びそれぞれの前記受信用導波路が設けられる基板と、
を備え、
それぞれの前記送信用導波路及びそれぞれの前記受信用導波路は、前記基板の主面に設けられ、
それぞれの前記送信用導波路の前記一方の端部間には前記受信用導波路が位置せず、
それぞれの前記受信用導波路の前記一方の端部間には前記送信用導波路が位置せず、
少なくとも1つの前記送信用導波路と少なくとも1つの前記受信用導波路とが前記基板の前記主面において平面的に交差し、
前記送信用導波路の他方の端部と前記受信用導波路の他方の端部との距離が、それぞれの前記送信用導波路の他方の端部間の距離及びそれぞれの前記受信用導波路の他方の端部間の距離よりも小さい前記送信用導波路と前記受信用導波路とから成る導波路対を少なくとも1つ含み、
それぞれの前記送信用導波路における前記他方の端部及びそれぞれの前記受信用導波路における前記他方の端部は、マルチコアファイバに含まれる複数の導波路であって、当該マルチコアファイバの端面において直線上に配置された複数の導波路のそれぞれと光学的に結合される、
ことを特徴とする光送受信装置。
【請求項2】
複数の送信用導波路と、
複数の受信用導波路と、
電気信号を光信号に変換し、変換した当該光信号をそれぞれの前記送信用導波路の一方の端部から当該送信用導波路に送信する光信号送信部と、
それぞれの前記受信用導波路の一方の端部から光信号を受信し、受信した当該光信号を電気信号に変換する光信号受信部と、
それぞれの前記送信用導波路及びそれぞれの前記受信用導波路が設けられる基板と、
を備え、
それぞれの前記送信用導波路における前記一方の端部側及びそれぞれの前記受信用導波路の前記一方の端部側は、前記基板の主面に設けられ、
それぞれの前記送信用導波路の前記一方の端部間には前記受信用導波路が位置せず、
それぞれの前記受信用導波路の前記一方の端部間には前記送信用導波路が位置せず、
それぞれの前記送信用導波路における他方の端部側及びそれぞれの前記受信用導波路の他方の端部側は、前記基板の内部に設けられ、
少なくとも1つの前記送信用導波路と少なくとも1つの前記受信用導波路とが前記基板の内部において立体的に交差し、
前記送信用導波路の前記他方の端部と前記受信用導波路の前記他方の端部との距離が、
それぞれの前記送信用導波路の前記他方の端部間の距離及びそれぞれの前記受信用導波路の前記他方の端部間の距離よりも小さい前記送信用導波路と前記受信用導波路とから成る導波路対を少なくとも1つ含み、
それぞれの前記送信用導波路における前記他方の端部及びそれぞれの前記受信用導波路における前記他方の端部は、マルチコアファイバに含まれる複数の導波路であって、当該マルチコアファイバの端面において円環上に配置された複数の導波路のそれぞれと光学的に結合される、
ことを特徴とする光送受信装置。
【請求項3】
前記導波路対を複数含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光送受信装置。
【請求項4】
複数の前記導波路対において、前記送信用導波路及び前記受信用導波路の一方が共有されており、前記送信用導波路及び前記受信用導波路の他方が非共有である
ことを特徴とする請求項3に記載の光送受信装置。
【請求項5】
それぞれの前記送信用導波路の前記他方の端部とそれぞれの前記受信用導波路の前記他方の端部とが、前記直線上に交互に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の光送受信装置。
【請求項6】
それぞれの前記送信用導波路の前記他方の端部とそれぞれの前記受信用導波路の前記他方の端部とが、前記円環上に交互に配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の光送受信装置。
【請求項7】
複数の送信用導波路と、
複数の受信用導波路と、
電気信号を光信号に変換し、変換した当該光信号をそれぞれの前記送信用導波路の一方の端部から当該送信用導波路に送信する光信号送信部と、
それぞれの前記受信用導波路の一方の端部から光信号を受信し、受信した当該光信号を電気信号に変換する光信号受信部と、
それぞれの前記送信用導波路及びそれぞれの前記受信用導波路が設けられる基板と、
を備え、
前記光信号送信部は、前記基板上に設けられ、
前記送信用導波路の他方の端部と前記受信用導波路の他方の端部との距離が、それぞれの前記送信用導波路の他方の端部間の距離及びそれぞれの前記受信用導波路の他方の端部間の距離よりも小さい前記送信用導波路と前記受信用導波路とから成る導波路対を少なくとも1つ含み、
それぞれの前記送信用導波路の前記一方の端部間には前記受信用導波路が位置せず、
それぞれの前記受信用導波路の前記一方の端部間には前記送信用導波路が位置せず、
前記導波路対の少なくとも1つにおいて、前記送信用導波路における前記一方の端部では、前記基板の主面に沿って光が導波し、当該送信用導波路における前記他方の端部では、前記主面から離れる方向に沿って光が出射し、前記受信用導波路における前記一方の端部では、前記主面に沿って光が導波し、当該受信用導波路における前記他方の端部では、前記主面に向かう方向に沿って光が入射する
ことを特徴とする光送受信装置。
【請求項8】
一対の請求項1から6のいずれか1項に記載の光送受信装置と、
前記マルチコアファイバと、を備え、
前記マルチコアファイバは、一方の前記光送受信装置のそれぞれの前記送信用導波路と他方の前記光送受信装置のそれぞれの前記受信用導波路とを個別に光学的に結合させ、一方の前記光送受信装置のそれぞれの前記受信用導波路と他方の前記光送受信装置のそれぞれの前記送信用導波路とを個別に光学的に結合させる、
ことを特徴とする光通信装置。
【請求項9】
一対の請求項7に記載の光送受信装置と、
一方の前記光送受信装置のそれぞれの前記送信用導波路と他方の前記光送受信装置のそれぞれの前記受信用導波路とを個別に光学的に結合させ、一方の前記光送受信装置のそれぞれの前記受信用導波路と他方の前記光送受信装置のそれぞれの前記送信用導波路とを個別に光学的に結合させる導波路デバイスと、
を備える
ことを特徴とする光通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送受信装置及びそれを用いた光通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入力する電気信号を光信号に変換して送信用導波路に光信号を送信する光信号送信部と、受信用導波路から受信する光信号を電気信号に変換して出力する光信号受信部と、を備える光送受信装置が知られている。下記特許文献1には、このような光送受信装置が記載されている。この光送受信装置では、1つの平面上において、複数の送信用導波路が纏まって並列して設けられ、それらと並列するように複数の受信用導波路が纏まって並列して設けられている。複数の送信用導波路同士の間隔、複数の受信用導波路同士の間隔、及び互いに隣り合う送信用導波路と受信用導波路との間隔は、それぞれ等しい。
【0003】
【文献】特開2020-46542号公報
【発明の概要】
【0004】
このような、光送受信装置において、導波路間の間隔を小さくして、出来るだけ小型化や高密度実装化したいとの要請がある。しかし、導波路同士を近づけると、通信に影響のあるクロストークが増加する懸念がある。
【0005】
そこで、本発明は、小型化や高密度実装化することができ、通信に影響のあるクロストークを抑制し得る光送受信装置及びそれを用いた光通信装置を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的の達成のため、本発明の光送受信装置は、複数の送信用導波路と、複数の受信用導波路と、電気信号を光信号に変換し、変換した当該光信号をそれぞれの前記送信用導波路の一方の端部から当該送信用導波路に送信する光信号送信部と、それぞれの前記受信用導波路の一方の端部から光信号を受信し、受信した当該光信号を電気信号に変換する光信号受信部と、を備え、前記送信用導波路の他方の端部と前記受信用導波路の他方の端部との距離が、それぞれの前記送信用導波路の他方の端部間の距離及びそれぞれの前記受信用導波路の他方の端部間の距離よりも小さい前記送信用導波路と前記受信用導波路とから成る導波路対を少なくとも1つ含むことを特徴とするものである。
【0007】
この光送受信装置は、互いに隣り合う送信用導波路の端部と受信用導波路の端部との距離が、送信用導波路における他方の端部間の距離及び受信用導波路における他方の端部間の距離以上の場合と比べて、小型化や高密度実装化することができる。ところで、この導波路対での他方の端部間におけるクロストークは、送信用導波路の他方の端部間におけるクロストークや受信用導波路の他方の端部間におけるクロストークよりも大きい傾向にある。しかし、送信用導波路の他方の端部と受信用導波路の他方の端部においてクロストークが生じる場合であっても、送信用導波路から受信用導波路にクロストークする光は光信号受信部側に伝搬することを抑制し得、受信用導波路から送信用導波路にクロストークする光は送信先に伝搬することを抑制し得る傾向にある。従って、この導波路対における送信用導波路の他方の端部と受信用導波路の他方の端部において生じるクロストークが通信へ影響することは抑制される傾向にある。従って、本発明の光送受信装置は、小型化や高密度実装化に寄与しつつも、通信に影響のあるクロストークを抑制し得る。
【0008】
なお、一般的に、光送受信装置は、送信用導波路及び受信用導波路に個別に光学的に結合される複数の導波路を有する導波路デバイスが用いられて光通信装置とされる。本発明の光通信装置に接続される導波路デバイスでは、この上記導波路対の送信用導波路に光学的に結合される導波路と当該導波路対の受信用導波路に光学的に結合される導波路との距離は、送信用導波路に光学的に結合される導波路同士の距離や受信用導波路に光学的に結合される導波路同士の距離も小さくなる傾向にある。従って、導波路デバイスも小型化や高密度実装化する傾向にある。また、導波路デバイスでは、このような導波路対に光学的に結合される導波路間におけるクロストークは、送信用導波路に光学的に結合される導波路間におけるクロストークや受信用導波路に光学的に結合される導波路間におけるクロストークよりも大きい傾向にある。しかし、この導波路対の導波路間では通信に用いられる光信号の伝搬方向が逆であるため、このようなクロストークが生じても通信への影響が抑制され得る。従って、本発明の光送受信装置は、互いに隣り合う送信用導波路の端部と受信用導波路の端部との距離が、送信用導波路における他方の端部間の距離及び受信用導波路における他方の端部間の距離以上の場合と比べて、通信に影響のあるクロストークが抑制された光通信装置の実現に寄与し得る。
【0009】
また、上記光送受信装置は、前記導波路対を複数含むことが好ましい。
【0010】
このような構成により、光送受信装置をより小型化や高密度実装化することができる。
【0011】
この場合、複数の前記導波路対において、前記送信用導波路及び前記受信用導波路の一方が共有されており、前記送信用導波路及び前記受信用導波路の他方が非共有であることが好ましい。
【0012】
このような構成であることで、複数の導波路対で共有される導波路に、複数の導波路対で共有されない複数の導波路をそれぞれ近づけることができ、光送受信装置をより小型化や高密度実装化することができる。なお、複数の導波路対で共有される導波路には、複数の導波路対で共有されない導波路のそれぞれからクロストークにより光が伝搬するが、この光は複数の導波路対で共有される導波路を本来伝搬すべき光信号とは逆方向に伝搬するため、通信への影響は抑制される。
【0013】
また、それぞれの前記送信用導波路の前記一方の端部間には前記受信用導波路が位置せず、それぞれの前記受信用導波路の前記一方の端部間には前記送信用導波路が位置しないことが好ましい。
【0014】
この場合、送信用導波路の一方の端部を集めて光信号送信部に接続し易くし得、受信用導波路の一方の端部を集めて光信号受信部に接続し易くし得る。また、光信号送信部や光信号受信部を構成するデバイスを集積でき、光送受信装置をより小型化し得る。また、上記のように、送信用導波路の一方の端部を集めて光信号送信部に接続し得、受信用導波路の一方の端部を集めて光信号受信部に接続し得るため、電気信号を処理する部位の構成をシンプルにでき、光信号送信部に入力される送信用電気信号や、光信号受信部から出力される電気信号を処理するICまでの配線距離を短くし得る。
【0015】
また、それぞれの前記送信用導波路の前記他方の端部とそれぞれの前記受信用導波路の前記他方の端部とが、交互に配置されることが好ましい。
【0016】
この場合、他方の端部において互いに隣り合う導波路同士を近づけ得、光送受信装置をより小型化や高密度実装化できる。また、他方の端部において互いに隣り合う導波路同士で、光の伝搬方向が互いに異なる。従って、他方の端部における互いに隣り合うそれぞれの導波路同士でクロストークが生じる場合であっても、当該クロストークの影響を抑制し得る。また、上記導波路デバイスにおける互いに隣り合う導波路間で生じるクロストークの通信への影響を抑制することができる。
【0017】
この場合、それぞれの前記送信用導波路の前記他方の端部とそれぞれの前記受信用導波路の前記他方の端部とが、円環状に交互に配置されることが好ましい。
【0018】
他方の端部がこのように配置されることで、本発明の光送受信装置に、コアが円環状に配置されたマルチコアファイバを上記導波路デバイスとして接続し易くできる。また、この場合、マルチコアファイバ内において互いに隣り合うコア同士でクロストークが生じても、通信に影響のあるクロストークを抑制し得る。
【0019】
このように、それぞれの前記送信用導波路の前記他方の端部とそれぞれの前記受信用導波路の前記他方の端部とが円環状に交互に配置される場合、それぞれの前記送信用導波路における前記他方の端部側及びそれぞれの前記受信用導波路の前記他方の端部側は、それぞれの前記送信用導波路及びそれぞれの前記受信用導波路が設けられる基板の内部に設けられ、それぞれの前記送信用導波路における前記一方の端部側及びそれぞれの前記受信用導波路の前記一方の端部側は、前記基板の主面に設けられることとしてもよい。
【0020】
このように構成することで、送信用導波路の一方の端部と光信号送信部及び受信用導波路の一方の端部と光信号受信部とを接続し易くし得る。また、光信号が入出射する送信用導波路の一方の端部と及び受信用導波路の一方の端部において、外乱による光の影響を軽減し得る。
【0021】
また、それぞれの前記送信用導波路の前記他方の端部とそれぞれの前記受信用導波路の前記他方の端部とが交互に配置される場合、それぞれの前記送信用導波路の前記一方の端部間には前記受信用導波路が位置せず、それぞれの前記受信用導波路の前記一方の端部間には前記送信用導波路が位置せず、少なくとも1つの前記送信用導波路と少なくとも1つの前記受信用導波路とが交差することが好ましい。
【0022】
この場合、送信用導波路の一方の端部から他方の端部まで、及び、受信用導波路の一方の端部から他方の端部までが基板の主面に設けられるのであれば、少なくとも1つの送信用導波路と少なくとも1つの受信用導波路とが平面的に交差する。また、それぞれの送信用導波路の他方の端部とそれぞれの受信用導波路の他方の端部とが円環状に配置される場合には、少なくとも1つの送信用導波路と少なくとも1つの受信用導波路とが立体的に交差する。送信用導波路と受信用導波路とが立体的に交差する場合、送信用導波路及び受信用導波路が設けられる基板の主面を正面視する場合に、送信用導波路と受信用導波路とが交差して見える。このように構成することで、それぞれの導波路が交差していない場合と比べ、送信用導波路や受信用導波路の配置の自由度を高めることができる。
【0023】
或いは、それぞれの前記送信用導波路及びそれぞれの前記受信用導波路は同一平面上に配置され、それぞれの前記送信用導波路及びそれぞれの前記受信用導波路の一方における前記一方の端部から前記他方の端部までが、それぞれの前記送信用導波路及びそれぞれの前記受信用導波路の他方と交互に配置されることが好ましい。
【0024】
この場合、送信用導波路及び受信用導波路の上記の一方が上記の他方から受けるクロストークの通信に与える影響はより抑制される。従って、送信用導波路と受信用導波路とをより長い区間において近づけ得、光送受信装置をより小型化や高密度実装化することができる。また、送信用導波路の少なくとも一部同士が互いに隣り合い、かつ、受信用導波路の少なくとも一部同士が互いに隣り合う場合と比べて、通信に影響のあるクロストークを抑制し得る。
【0025】
また、前記導波路対の少なくとも1つにおいて、前記送信用導波路における前記一方の端部では、それぞれの前記送信用導波路及びそれぞれの前記受信用導波路が設けられる基板の主面に沿って光が導波し、当該送信用導波路における前記他方の端部では、前記主面から離れる方向に沿って光が出射し、前記受信用導波路における前記一方の端部では、前記主面に沿って光が導波し、当該受信用導波路における前記他方の端部では、前記主面に向かう方向に沿って光が入射することが好ましい。
【0026】
このような構成により、導波路対において、光信号送信部や光信号受信部が光を送受信する方向と、光送受信装置に接続される上記導波路デバイスが光を送受信する方向とを変えることができる。このため、導波路デバイスの配置の自由度が上がり、光送受信装置の設計自由度が上がる。
【0027】
また、本発明の光通信装置は、一対の上記のいずれかの光送受信装置と、一方の前記光送受信装置のそれぞれの前記送信用導波路と他方の前記光送受信装置のそれぞれの前記受信用導波路とを個別に光学的に結合させ、一方の前記光送受信装置のそれぞれの前記受信用導波路と他方の前記光送受信装置のそれぞれの前記送信用導波路とを個別に光学的に結合させる導波路デバイスと、を備えることを特徴とするものである。
【0028】
このような光通信装置は、他方の端部同士の距離が送信用導波路同士の他方の端部間の距離及び受信用導波路同士の他方の端部間の距離よりも小さい上記導波路対を光送受信装置が有し、また、導波路デバイスがこの導波路対の送信用導波路及び受信用導波路に光学的に結合される導波路を有するため、光通信装置や導波路デバイスを小型化や高密度実装化することができ、その結果、光通信装置を小型化や高密度実装化することができる。また、この導波路対における他方の端部同士や、導波路デバイスの当該導波路対に光学的に結合される導波路同士においてクロストークがある場合であっても、当該クロストークによる通信への影響は抑制され得る。
【0029】
以上のように、本発明によれば、小型化や高密度実装化することができ、通信に影響のあるクロストークが抑制され得る光送受信装置及びそれを用いた光通信装置が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1実施形態に係る光通信装置の概略を示す図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る光通信装置の一部の概略を示す図である。
図3】本発明の第3実施形態に係る光通信装置の一部の概略を示す図である。
図4】本発明の第4実施形態に係る光通信装置の一部の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る光送受信装置及びそれを用いた光通信装置を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。また、本明細書では、理解を容易にするために、各部材の寸法が誇張して示されている場合がある。
【0032】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る光通信装置の概略を示す図である。図1に示すように、本実施形態の光通信装置1は、一対の光送受信装置100と、導波路デバイス200と、を主な構成として備える。
【0033】
本実施形態では、光通信装置1の一方の光送受信装置100と他方の光送受信装置100とは、同様の構成である。従って、光送受信装置100の一方について説明する。本実施形態の光送受信装置100は、基板10と、光信号送信部20と、光信号受信部30と、複数の送信用導波路41と、複数の受信用導波路42と、を主な構成として備える。なお、図1では、送信用導波路41及び複数の受信用導波路42がそれぞれ2つである例が示されている。
【0034】
基板10は、例えば、シリコン基板と当該シリコン基板上に形成されたガラス層とから成る基板である。この場合、このガラス層にシリコンにより構成されたコアとして上記のそれぞれの送信用導波路41及びそれぞれの受信用導波路42が設けられる。なお、基板10は、送信用導波路41及び受信用導波路42を設けることができる限りにおいて、上記構成に限定されない。例えば、全体がガラスや樹脂から成る基板であってもよい。また、導波路コアの材料は上記構成に限定されない。例えば、リン化インジウムやニオブ酸リチウムなどの化合物半導体や、酸化ゲルマニウムを添加したSiO、ポリマーなどであってもよい。
【0035】
本実施形態では、それぞれの送信用導波路41及びそれぞれの受信用導波路42が基板10の主面上に設けられている。それぞれの送信用導波路41の一方の端部41a及びそれぞれの受信用導波路42の一方の端部42aは基板10の互いに対向し合う縁の間において互いに同じ方向を向いて設けられ、それぞれの送信用導波路41の他方の端部41b及びそれぞれの受信用導波路42の他方の端部42bは基板10の互いに対向し合う縁の一方において互いに同じ方向を向いて設けられている。従って、それぞれの導波路の上記一方の端部41a,42aは、基板10の一方の主面内に位置し、上記他方の端部41b,42bは、基板10の縁から露出している。
【0036】
本実施形態では、送信用導波路41と受信用導波路42とが互いに平行に設けられており、受信用導波路42の長さが送信用導波路41の長さよりも短い。また、それぞれの送信用導波路41の他方の端部41bとそれぞれの受信用導波路42の他方の端部42bとは、交互に設けられている。このため、受信用導波路42における一方の端部42aから他方の端部42bまでが、それぞれの送信用導波路41と交互に設けられ、送信用導波路41における一方の端部41aと他方の端部41bとの途中から他方の端部41bまでが、それぞれの受信用導波路42と交互に設けられている。従って、送信用導波路41の一方の端部41aの近傍では、送信用導波路41間に受信用導波路42が位置しない。
【0037】
本実施形態では、送信用導波路41及び受信用導波路42が上記構成とされるため、光送受信装置100は、送信用導波路41の他方の端部41bと受信用導波路42の他方の端部42bとの距離が、それぞれの送信用導波路41の他方の端部41b間の距離及びそれぞれの受信用導波路42の他方の端部42b間の距離よりも小さい送信用導波路41と受信用導波路42とから成る点線で囲われる複数の導波路対WP1~WP3を含む。本実施形態では、互いに隣り合う全ての送信用導波路41と受信用導波路42が導波路対を形成する。なお、特に点線で囲わずに符号を付していないが、他方の光送受信装置100においても一方の光送受信装置100と同様にして複数の導波路対を含む。
【0038】
また、上記構成のため、最も端に位置する送信用導波路41とこの送信用導波路41と隣り合い一対の送信用導波路41で挟まれる受信用導波路42とから成る導波路対WP1と、一対の送信用導波路41で挟まれる受信用導波路42とこの受信用導波路42と隣り合い一対の受信用導波路42で挟まれる送信用導波路41とから成る導波路対WP2と、においては、受信用導波路42が共有され、それぞれの送信用導波路41がそれぞれの導波路対WP1,WP2で非共有である。また、最も端に位置する受信用導波路42とこの受信用導波路42と隣り合い一対の受信用導波路42で挟まれる送信用導波路41とから成る導波路対WP3と、一対の受信用導波路42で挟まれる送信用導波路41とこの送信用導波路41と隣り合い一対の送信用導波路41で挟まれる受信用導波路42とから成る導波路対WP2と、においては、送信用導波路41が共有され、それぞれの受信用導波路42がそれぞれの導波路対WP3,WP2で非共有である。つまり、本実施形態の光送受信装置100では、複数の導波路対において、送信用導波路41及び受信用導波路42の一方が共有されており、送信用導波路41及び受信用導波路42の他方が非共有である。
【0039】
上記の送信用導波路41及び受信用導波路42は、通信に用いられる波長の光を例えばシングルモードで伝搬する。ただし、それぞれの送信用導波路41及び受信用導波路42は通信に用いられる波長の光を数モードで伝搬してもよく、この場合にはそれぞれのモードの光に信号を重畳し得る。
【0040】
本実施形態の光信号送信部20は、基板10上に設けられており、それぞれの送信用導波路41の一方の端部41aと光学的に結合されている。光信号送信部20は、不図示の配線から入力する電気信号を光信号に変換し、変換した当該光信号をそれぞれの送信用導波路41の一方の端部41aから送信用導波路41に送信する。なお、光信号送信部20が電気信号を光信号に変換する方式は特に限定されない。
【0041】
本実施形態の光信号受信部30は、基板10上に設けられており、受信用導波路42の一方の端部42aと光学的に結合されている。上記のように受信用導波路42の一方の端部42aは送信用導波路41に挟まれているため、本実施形態では、受信用導波路42と個別に光学的に結合する複数の光信号受信部30を有し、1つの光信号受信部30が送信用導波路41に挟まれている。光信号受信部30は、それぞれの受信用導波路42の一方の端部42aから光信号を受信し、受信した光信号を電気信号に変換し、変換した当該電気信号を不図示の配線から出力する。なお、光信号受信部30が光信号を電気信号に変換する方式は特に限定されない。
【0042】
光信号送信部20や光信号受信部30は、外部電源若しくは外部機器接続用ICチップの電気回路や、外部電源若しくは外部機器接続用FPCの電気配線と電気的に接続される。この接続の例として、ワイヤボンディングを用いた接続や、フリップチップ実装による接続が挙げられる。当該電気回路または当該電気配線は、基板10上に設けられていてもよく、基板10の外側に設けられていてもよい。この様に電気的に接続される事で外部電源からの電気信号を光送受信装置100に入力させることができ、光送受信装置100の電気信号を外部機器に出力することができる。
【0043】
本実施形態では、導波路デバイス200としてフレキシブルなポリマー導波路が用いられている。導波路デバイス200はそれぞれの光送受信装置100に接続されている。導波路デバイスと光送受信装置の接続方法は特に限定されない。導波路デバイス200を構成する材料は特に限定されない。導波路デバイス200にフレキシブルな導波路を用いる場合、2つの光送受信装置100間の距離を調整することが容易である。また、導波路デバイス200としてリジッドな導波路を用いてもよい。この場合、それぞれの光送受信装置100を配置させた導波路とすることで、プリント基板上に当該導波路を配置させても導波路の屈曲を抑制でき、プリント基板上での当該導波路の実装が容易である。導波路デバイス200は、送信用導波路41と同数の第1導波路201、及び、受信用導波路42と同数の第2導波路202を含む。第1導波路201及び第2導波路202は、一方の光送受信装置100における送信用導波路41及び受信用導波路42と同様の並びで並列されている。従って、第1導波路201と第2導波路202とは交互に設けられている。このため、導波路デバイス200は、第1導波路201と第2導波路202との距離が、それぞれの第1導波路201間の距離及びそれぞれの第2導波路202間の距離よりも小さい第1導波路201と第2導波路202とから成る導波路対を複数含む。なお、図1では、第1導波路201と第2導波路202とから成る導波路対については、特に点線で囲っていない。このような構成であるため、本実施形態の導波路デバイス200では、複数の導波路対において、第1導波路201及び第2導波路202の一方が共有されており、第1導波路201及び第2導波路202の他方が非共有である。
【0044】
それぞれの第1導波路201は一方の端部において、一方の光送受信装置100のそれぞれの送信用導波路41と個別に光学的に結合し、それぞれの第2導波路202は、一方の端部において、一方の光送受信装置100のそれぞれの受信用導波路42と個別に光学的に結合している。また、それぞれの第1導波路201は、他方の端部において、他方の光送受信装置100のそれぞれの受信用導波路42と個別に光学的に結合し、それぞれの第2導波路202は、他方の端部において、他方の光送受信装置100のそれぞれの送信用導波路41と個別に光学的に結合する。従って、導波路デバイス200は、一方の光送受信装置100のそれぞれの送信用導波路41と他方の光送受信装置100のそれぞれの受信用導波路42とを個別に光学的に結合させ、一方の光送受信装置100のそれぞれの受信用導波路42と他方の光送受信装置100のそれぞれの送信用導波路41とを個別に光学的に結合させる。なお、それぞれの送信用導波路41とそれぞれの第1導波路201とが個別に光学的に結合し、それぞれの受信用導波路42とそれぞれの第2導波路202とが個別に光学的に結合すれば、光送受信装置100と導波路デバイス200とが離間していてもよい。
【0045】
上記の第1導波路201及び第2導波路202は、送信用導波路41及び受信用導波路42が伝搬する光と同じ波長の光を例えば光送受信装置100の送信用導波路41及び受信用導波路42が伝搬する光のモードと同じモードで伝搬する。
【0046】
このような構成の光通信装置1では、一方の光送受信装置100の図示せぬ配線から電気信号が入力すると、光信号送信部20が当該電気信号を光信号に変換して、当該光信号をそれぞれの送信用導波路41に送信する。この光信号は、一方の光送受信装置100のそれぞれの送信用導波路41から導波路デバイス200のそれぞれの第1導波路201を介して、他方の光送受信装置100のそれぞれの受信用導波路42に伝搬し、他方の光送受信装置100の光信号受信部30で受信される。光信号受信部30で受信された光信号は電気信号に変換されて、他方の光送受信装置100の図示せぬ配線から出力される。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の光送受信装置100は、送信用導波路41の他方の端部41bと受信用導波路42の他方の端部42bとの距離が、それぞれの送信用導波路41の他方の端部41b間の距離及びそれぞれの受信用導波路42の他方の端部42b間の距離よりも小さい送信用導波路41と受信用導波路42とから成る導波路対WP1~WP3を含む。
【0048】
このような光送受信装置100よれば、互いに隣り合う送信用導波路41の他方の端部41bと受信用導波路42の他方の端部42bとの距離が、送信用導波路41における他方の端部41b間の距離及び受信用導波路42における他方の端部42b間の距離よりも大きい場合と比べて、小型化や高密度実装化することができる。ところで、この導波路対WP1~WP3での他方の端部41b,42b間におけるクロストークは、送信用導波路41の他方の端部41b間におけるクロストークや受信用導波路42の他方の端部42b間におけるクロストークよりも大きい傾向にある。しかし、送信用導波路41の他方の端部41bと受信用導波路42の他方の端部41b,42b間においてクロストークが生じる場合であっても、送信用導波路41から受信用導波路42にクロストークする光は光信号受信部30側に伝搬せず、受信用導波路42から送信用導波路41にクロストークする光は送信先に伝搬しない傾向にある。従って、導波路対WP1~WP3における送信用導波路41の他方の端部41bと受信用導波路42の他方の端部42bにおいて生じるクロストークは通信への影響が小さい傾向にある。従って、本実施形態の光送受信装置100は、小型化や高密度実装化に寄与しつつも、通信に影響のあるクロストークを抑制し得る。
【0049】
また、本実施形態の光送受信装置100は、上記導波路対を複数含んでいる。従って、上記導波路対を1対のみ含む場合と比べて、光送受信装置100をより小型化や高密度実装化することができる。さらに本実施形態では、複数の導波路対WP1、WP2及び複数の導波路対WP3、WP2において、送信用導波路41及び受信用導波路42の一方が共有されており、送信用導波路41及び受信用導波路42の他方が非共有である。従って、複数の導波路対で共有される導波路に、複数の導波路対で共有されない複数の導波路をそれぞれ近づけることができ、光送受信装置100をより小型化や高密度実装化することができる。なお、複数の導波路対で共有される導波路には、複数の導波路対で共有されない導波路のそれぞれからクロストークにより光が伝搬するが、この光は複数の導波路対で共有される導波路を本来伝搬すべき光信号とは逆方向に伝搬する傾向にあるため、通信への影響は抑制される。
【0050】
また、本実施形態の光送受信装置100では、それぞれの送信用導波路41の他方の端部41bとそれぞれの受信用導波路42の他方の端部42bとが、交互に配置されている。従って、他方の端部41b,42bにおいて互いに隣り合う導波路同士を近づけ得、光送受信装置100をより小型化や高密度実装化できる。また、光送受信装置100に接続される導波路デバイス200における互いに隣り合う導波路間でクロストークが生じる場合であっても、このクロストークによる通信への影響を抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態の光送受信装置100では、それぞれの送信用導波路41及びそれぞれの受信用導波路42は同一平面上に配置され、それぞれの受信用導波路42における一方の端部42aから他方の端部42bまでが、それぞれの送信用導波路41と交互に配置されている。なお、上記実施形態と異なり、それぞれの送信用導波路41における一方の端部41aから他方の端部41bまでが、それぞれの受信用導波路42と交互に配置されてもよい。つまり、それぞれの送信用導波路41及びそれぞれの受信用導波路42は同一平面上に配置され、それぞれの送信用導波路41及びそれぞれの受信用導波路42の一方における一方の端部から他方の端部までが、それぞれの送信用導波路41及びそれぞれの受信用導波路42の他方と交互に配置される。このように構成されることで、送信用導波路41及び受信用導波路42の上記の一方が上記の他方から受けるクロストークの通信に与える影響はより抑制される。従って、送信用導波路41と受信用導波路42とをより長い区間において近づけ得、光送受信装置100をより小型化や高密度実装化することができる。また、このような構成の本実施形態の光送受信装置100は、送信用導波路41の少なくとも一部同士が互いに隣り合い、かつ、受信用導波路42の少なくとも一部同士が互いに隣り合う場合と比べて、通信に影響のあるクロストークを抑制し得る。
【0052】
また、本実施形態の光通信装置1は、一対の光送受信装置100と、一方の光送受信装置100のそれぞれの送信用導波路41と他方の光送受信装置100のそれぞれの受信用導波路42とを個別に光学的に結合させ、一方の光送受信装置100のそれぞれの受信用導波路42と他方の光送受信装置100のそれぞれの送信用導波路41とを個別に光学的に結合させる導波路デバイス200と、を備える。
【0053】
この光通信装置1における導波路デバイス200では、上記導波路対WP1~WP3の送信用導波路41に光学的に結合される第1導波路201と受信用導波路42に光学的に結合される第2導波路202との距離は、第1導波路201同士の距離や第2導波路202同士の距離も小さくなる傾向にある。従って、導波路デバイス200も小型化や高密度実装化する傾向にある。また、導波路デバイス200では、このような導波路対WP1~WP3に光学的に結合される第1導波路201と第2導波路202の間とにおけるクロストークは、第1導波路201間におけるクロストークや第2導波路202間におけるクロストークよりも大きい傾向にある。しかし、第1導波路201と第2導波路202間では通信に用いられる光信号の伝搬方向が逆であるため、このようなクロストークが生じても通信への影響が抑制され得る。従って、本実施形態の光通信装置1は、互いに隣り合う送信用導波路41の他方の端部41bと受信用導波路42の他方の端部42bとの距離が、送信用導波路41における他方の端部41b間の距離及び受信用導波路42における他方の端部42b間の距離よりも大きい光送受信装置が用いられる場合と比べて、小型化や高密度実装化することができつつ、通信に影響のあるクロストークを抑制し得る。
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図2を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0055】
図2は、本実施形態に係る光通信装置の一部の概略を示す図である。本実施形態においても光通信装置は、一対の光送受信装置100と、一対の光送受信装置100同士を接続する導波路デバイス200と、を主な構成として備える。ただし、図2では、一方の光送受信装置100と導波路デバイス200が記載され、他方の光送受信装置は省略されている。図2に示すように、本実施形態の光送受信装置100は、光送受信部101と光路変換部102とから成る点において、第1実施形態の光送受信装置100と異なる。なお、本実施形態では、光通信装置の一方の光送受信装置100と他方の光送受信装置とは、同様の構成である。
【0056】
光送受信部101は、基板10と同様の構成の基板11と、光信号送信部20と、光信号受信部30と、複数の送信用導波路411と、複数の受信用導波路421と、を主な構成として備える。なお、図2では、送信用導波路411及び複数の受信用導波路421がそれぞれ4つである例が示されている。
【0057】
光路変換部102は、基板11と同様の構成の基板12と、送信用導波路411と同数の送信用導波路412と、受信用導波路421と同数の受信用導波路422と、を主な構成として備える。
【0058】
本実施形態では、基板11と基板12とで基板10を構成し、それぞれの送信用導波路411とそれぞれの送信用導波路412とが個別に光学的に結合して複数の送信用導波路41を構成し、それぞれの受信用導波路421とそれぞれの受信用導波路422とが個別に光学的に結合して複数の受信用導波路42を構成している。
【0059】
それぞれの送信用導波路411及びそれぞれの受信用導波路421は、基板11の主面に設けられ、それぞれの送信用導波路412及びそれぞれの受信用導波路422は、基板12の主面に設けられている。従って、第1実施形態の光送受信装置100と同様にして、それぞれの送信用導波路41及びそれぞれの受信用導波路42が基板10の主面上に設けられており、それぞれの送信用導波路41及びそれぞれの受信用導波路42の一方の端部41a,42aは基板11の互いに対向し合う縁の間に設けられ、それぞれの送信用導波路41及びそれぞれの受信用導波路42の他方の端部41b,42bは基板12の基板11側と反対側の縁から露出している。
【0060】
本実施形態では、それぞれの送信用導波路41の一方の端部41aとそれぞれの受信用導波路42の一方の端部42aとが交互に設けられておらず、それぞれの送信用導波路41の一方の端部41a間には受信用導波路42が位置せず、複数の送信用導波路41の一方の端部41aが並列して設けられ、それぞれの受信用導波路42の一方の端部42a間には送信用導波路41が位置せずに、複数の受信用導波路42の一方の端部42aが並列して設けられている。従って、本実施形態では、光送受信部101において、それぞれの送信用導波路411間に受信用導波路421は位置せず、それぞれの受信用導波路421間に送信用導波路411は位置せずに、それぞれの送信用導波路411が並列され、それぞれの受信用導波路421が並列されている。それぞれの送信用導波路411の一方の端部は光信号送信部20に光学的に結合され、それぞれの受信用導波路421の一方の端部は光信号受信部30に光学的に結合されている。また、それぞれの送信用導波路411の他方の端部はそれぞれの送信用導波路412の一方の端部と個別に光学的に結合され、それぞれの受信用導波路421の他方の端部は受信用導波路422の一方の端部と個別に光学的に結合されている。
【0061】
しかし、本実施形態においても、それぞれの送信用導波路41の他方の端部41bとそれぞれの受信用導波路42の他方の端部42bとは、交互に設けられている。このため、本実施形態では、光路変換部102において、一部の送信用導波路412と一部の受信用導波路422とが交差している。つまり、光路変換部102では、それぞれの送信用導波路412の他方の端部とそれぞれの受信用導波路422の他方の端部とが交互に設けられ、それぞれの送信用導波路412の一方の端部間には受信用導波路422が位置せず、それぞれの送信用導波路412の一方の端部が並列して設けられ、それぞれの受信用導波路422の一方の端部間には送信用導波路412が位置せずに、それぞれの受信用導波路422の一方の端部が並列して設けられている。
【0062】
送信用導波路412と受信用導波路422とが交差する角度は90度に近いことが、送信用導波路412と受信用導波路422とのクロストークを抑制する観点から好ましい。ただし、送信用導波路412と受信用導波路422とが交差することで、送信用導波路412と受信用導波路422とにクロストークが生じる場合であっても、送信用導波路412を伝搬する光信号と受信用導波路422と伝搬する光信号とでは、逆方向に伝搬する傾向にあるため、当該クロストークは通信への影響が抑制される。
【0063】
このような構成の本実施形態の光送受信装置100では、第1実施形態の光送受信装置100と同様に、送信用導波路41の他方の端部41bと受信用導波路42の他方の端部42bとの距離が、それぞれの送信用導波路41の他方の端部41b間の距離及びそれぞれの受信用導波路42の他方の端部42b間の距離よりも小さい送信用導波路41と受信用導波路42とから成る複数の導波路対を含む。図2では、図1と同様にして、それぞれの導波路対が点線で囲われているが、特に符号は付されていない。また、本実施形態の光送受信装置100においても、これら複数の導波路対において、送信用導波路41及び受信用導波路42の一方が共有されており、送信用導波路41及び受信用導波路42の他方が非共有である。
【0064】
また、本実施形態の光通信装置では、マルチコアファイバが導波路デバイス200として用いられている点で第1実施形態の光通信装置と異なる。この導波路デバイス200は、送信用導波路41と同数の第1導波路201、及び、受信用導波路42と同数の第2導波路202を含み、それぞれの第1導波路201が、一方の光送受信装置100のそれぞれの送信用導波路41と他方の光送受信装置のそれぞれの受信用導波路42とを個別に光学的に結合させ、それぞれの第2導波路202が、一方の光送受信装置100のそれぞれの受信用導波路42と他方の光送受信装置100のそれぞれの送信用導波路41とを個別に光学的に結合させている。なお、図の複雑化を避けるため、図2では、光送受信装置100と導波路デバイス200とが離間した状態で記載されているが、実際には、光送受信装置100と導波路デバイス200とは接続されている。なお、それぞれの送信用導波路41とそれぞれの第1導波路201とが個別に光学的に結合し、それぞれの受信用導波路42とそれぞれの第2導波路202とが個別に光学的に結合すれば、光送受信装置100と導波路デバイス200とが離間していてもよい。
【0065】
本実施形態の光送受信装置100によれば、それぞれの送信用導波路41の一方の端部41a間には受信用導波路42が位置せず、それぞれの受信用導波路42の一方の端部42a間には送信用導波路41が位置しないため、送信用導波路41の一方の端部41aを集めて光信号送信部に接続し易くし得、受信用導波路42の一方の端部42aを集めて光信号受信部に接続し易くし得る。
【0066】
なお、本実施形態において、基板10は、基板11と基板12とが一体となった1つの基板から構成されてもよい。また、基板11と基板12は同じ材料で形成されても、異なる材料で形成されても良い。
【0067】
本実施形態では、それぞれの送信用導波路41の一方の端部41a間には受信用導波路42が位置せず、それぞれの受信用導波路42の一方の端部42a間には送信用導波路41が位置せず、少なくとも1つの送信用導波路41と少なくとも1つの受信用導波路42とが交差している。それぞれの導波路が交差していない場合と比べ、送信用導波路41や受信用導波路42の配置の自由度を高めることができる。
【0068】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図3を参照して詳細に説明する。なお、第2実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0069】
図3は、本実施形態に係る光通信装置の一部の概略を示す図である。本実施形態においても光通信装置は、一対の光送受信装置100と、一対の光送受信装置100同士を接続する導波路デバイス200と、を主な構成として備える。ただし、図3においても、図2と同様にして、一方の光送受信装置100と導波路デバイス200が記載され、他方の光送受信装置は省略されている。図3に示すように、本実施形態の光送受信装置100は、光路変換部102の代わりに光路変換部103が用いられる点において、第2実施形態の光送受信装置100と異なる。なお、本実施形態では、光通信装置の一方の光送受信装置100と他方の光送受信装置とは、同様の構成である。
【0070】
光路変換部103は、内部に導波路が形成される基板13と、送信用導波路411と同数の送信用導波路413と、受信用導波路421と同数の受信用導波路423と、を主な構成として備える。基板13としては、例えば、ガラス基板やポリマー基板を挙げることができる。
【0071】
本実施形態では、基板11と基板13とで基板10を構成し、送信用導波路411と送信用導波路413とが個別に光学的に結合して送信用導波路41を構成し、受信用導波路421と受信用導波路423とが個別に光学的に結合して受信用導波路42を構成する。
【0072】
それぞれの送信用導波路413及びそれぞれの受信用導波路423は、基板13の内部に設けられており、他方の端部41b,42bは基板13の基板11側と反対側の側面から露出している。また、第2実施形態と同様にして、それぞれの送信用導波路412及びそれぞれの受信用導波路422は、基板12の主面に設けられている。つまり、それぞれの送信用導波路41における他方の端部41b側及びそれぞれの受信用導波路42の他方の端部42b側は、それぞれの送信用導波路41及びそれぞれの受信用導波路42が設けられる基板10の内部に設けられ、それぞれの送信用導波路41における一方の端部41a側及びそれぞれの受信用導波路42の一方の端部42a側は、基板10の主面に設けられている。本実施形態の光送受信装置100は、それぞれの送信用導波路41の他方の端部41bとそれぞれの受信用導波路42の他方の端部42bとが、円環状に交互に設けられている点において、第2実施形態の光送受信装置100と異なる。しかし、それぞれの送信用導波路41の一方の端部41a間には受信用導波路42が位置せず、それぞれの送信用導波路41の一方の端部41aが並列して設けられ、それぞれの受信用導波路42の一方の端部42a間には送信用導波路41が位置せずに、それぞれの受信用導波路42の一方の端部42aが並列して設けられている点については、本実施形態の光送受信装置100は第2実施形態の光送受信装置100と同様である。
【0073】
このため、本実施形態では、光路変換部103において、一部の送信用導波路413と一部の受信用導波路423とが立体的に交差することで、それぞれの送信用導波路413の他方の端部とそれぞれの受信用導波路423の他方の端部とが円環状に交互に設けられ、それぞれの送信用導波路413の一方の端部間には受信用導波路423が位置せず、それぞれの受信用導波路423の一方の端部間には送信用導波路413が位置せずに、それぞれの送信用導波路413の一方の端部が並列され、それぞれの受信用導波路423の一方の端部が並列されている。送信用導波路と受信用導波路とが立体的に交差する場合、送信用導波路413及び受信用導波路423が設けられる基板13の主面を正面視する場合に、送信用導波路413と受信用導波路423とが交差して見える。それぞれの送信用導波路413の一方の端部はそれぞれの送信用導波路411の他方の端部と個別に光学的に結合され、それぞれの受信用導波路423の一方の端部は受信用導波路421の他方の端部と個別に光学的に結合される。
【0074】
以上の構成の本実施形態の光送受信装置100では、第2実施形態の光送受信装置100と同様に、送信用導波路41の他方の端部41bと受信用導波路42の他方の端部42bとの距離が、それぞれの送信用導波路41の他方の端部41b間の距離及びそれぞれの受信用導波路42の他方の端部42b間の距離よりも小さい送信用導波路41と受信用導波路42とから成る複数の導波路対を含む。図3においても、図2と同様にして、それぞれの導波路対が点線で囲われているが、特に符号は付されていない。本実施形態の光送受信装置100においても、複数の導波路対において、送信用導波路41及び受信用導波路42の一方が共有されており、送信用導波路41及び受信用導波路42の他方が非共有である。
【0075】
本実施形態の導波路デバイス200は、マルチコアファイバである点において第2実施形態の導波路デバイス200と同様であるが、コアの配置が円環状である点において、第2実施形態の導波路デバイス200と異なる。具体的には、第1導波路201と第2導波路202とが、一方の光送受信装置100における送信用導波路41の他方の端部41b及び受信用導波路42の他方の端部42bと同様の並びで、円環状に交互に配置されている。このようなコアの配置であっても、導波路デバイス200は、第1導波路201と第2導波路202との距離が、それぞれの第1導波路201間の距離及びそれぞれの第2導波路202間の距離よりも小さい第1導波路201と第2導波路202とから成る導波路対を複数含む。このような構成であるため、本実施形態の導波路デバイス200では、複数の導波路対において、第1導波路201及び第2導波路202の一方が共有されており、第1導波路201及び第2導波路202の他方が非共有である。なお、図の複雑化を避けるため、図3では、図2と同様にして、光送受信装置100と導波路デバイス200とが離間した状態で記載されているが、実際には、光送受信装置100と導波路デバイス200とは接続されている。
【0076】
本実施形態の光送受信装置100によれば、それぞれの送信用導波路41の他方の端部41bとそれぞれの受信用導波路42の他方の端部42bとが、円環状に交互に配置されるため、コアが円環状に配置されたマルチコアファイバを導波路デバイス200として接続し易くできる。また、この場合、導波路デバイス200内において互いに隣り合うコア同士でクロストークが生じても、通信に影響のあるクロストークを抑制し得る。また、第2実施形態の光送受信装置100のように、それぞれの送信用導波路41の他方の端部41bとそれぞれの受信用導波路42の他方の端部42bとが、直線状に交互に配置される場合と比べて、導波路対の数を1つ多くすることができる。
【0077】
本実施形態では、それぞれの送信用導波路41の一方の端部41a間には受信用導波路42が位置せず、それぞれの受信用導波路42の一方の端部42a間には送信用導波路41が位置せず、少なくとも1つの送信用導波路41と少なくとも1つの受信用導波路42とが交差している。このため、それぞれの導波路が交差していない場合と比べ、送信用導波路や受信用導波路の配置の自由度を高めることができ、導波路の密度を高め得る。また、本実施形態の光送受信装置100によれば、一部の送信用導波路41と一部の受信用導波路42とが立体的に交差することで、第2実施形態の光送受信装置100のように一部の送信用導波路41と一部の受信用導波路42とが平面的に交差する場合と比べて、クロストークを抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態では、それぞれの送信用導波路41における他方の端部41b側及びそれぞれの受信用導波路42の他方の端部42b側は、それぞれの送信用導波路41及びそれぞれの受信用導波路42が設けられる基板10の内部に設けられ、それぞれの送信用導波路41における一方の端部41a側及びそれぞれの受信用導波路42の一方の端部42a側は、基板10の主面に設けられている。このため、送信用導波路41の一方の端部41aと光信号送信部20及び受信用導波路42の一方の端部42aと光信号受信部30とを接続し易くし得る。また、光信号が入出射する送信用導波路41の他方の端部41b側及び受信用導波路42の他方の端部42b側において、外乱による光の影響を軽減し得る。
【0079】
なお、本実施形態において、基板10は、基板11と基板13とが一体となった1つの基板から構成されてもよい。また、基板11と基板13は同じ材料で形成されても、異なる材料で形成されても良い。
【0080】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図4を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0081】
図4は、本実施形態に係る光通信装置の一部の概略を示す図である。本実施形態においても光通信装置は、一対の光送受信装置100と、一対の光送受信装置100同士を接続する導波路デバイス200と、を主な構成として備える。ただし、図4においても、図2と同様にして、一方の光送受信装置100と導波路デバイス200が記載され、他方の光送受信装置100は省略されている。図4に示すように、本実施形態の光送受信装置100は、送信用導波路41の一方の端部41a及び受信用導波路42の一方の端部42aと、送信用導波路41の他方の端部41b及び受信用導波路42の他方の端部42bとが互いに異なる方向を向く点において、第1実施形態の光送受信装置100と異なる。なお、本実施形態では、光通信装置の一方の光送受信装置100と他方の光送受信装置100とは、同様の構成である。
【0082】
本実施形態の送信用導波路41及び受信用導波路42の他方の端部41b,42bは、基板10における導波路が設けられる主面上に設けられており、それぞれの他方の端部41b,42bはグレーティングカプラから成る。従って、それぞれの他方の端部41b,42bでは、当該主面の面方向に沿って光を送受信する。なお、図4では、送信用導波路41及び複数の受信用導波路42がそれぞれ4つである例が示されている。
【0083】
本実施形態では、第2実施形態の光送受信装置100と同様にして、それぞれの送信用導波路41の一方の端部41a間には受信用導波路42が位置せず、それぞれの受信用導波路42の一方の端部42a間には送信用導波路41が位置せずに、それぞれの送信用導波路41の一方の端部41aが並列され、それぞれの受信用導波路42の一方の端部42aが並列されている。
【0084】
また、本実施形態では、それぞれの送信用導波路41の他方の端部41bが並列して設けられており、それぞれの受信用導波路42の他方の端部42bがそれぞれの送信用導波路41の端部と個別に対向して並列して設けられている。互いに対向する送信用導波路41の端部と受信用導波路42の端部との距離は、互いに隣り合う送信用導波路41の他方の端部41b同士の距離及び互いに隣り合う受信用導波路42の他方の端部42b同士の距離よりも小さい。従って、本実施形態では、互いに対向する送信用導波路41の他方の端部41bと受信用導波路42の他方の端部42bを有する当該送信用導波路41と当該受信用導波路42とにより、送信用導波路41の他方の端部41bと受信用導波路42の他方の端部42bとの距離が、それぞれの送信用導波路41の他方の端部41b間の距離及びそれぞれの受信用導波路42の他方の端部42b間の距離よりも小さい導波路対が構成される。図4においても、図2と同様にして、それぞれの導波路対が点線で囲われているが、特に符号は付されていない。本実施形態では、互いに隣り合うそれぞれの導波路対において、送信用導波路41及び受信用導波路42のいずれもが共有されない。このように導波路対が構成されることで、本実施形態では、導波路対において、送信用導波路41における一方の端部41aでは、それぞれの送信用導波路41及びそれぞれの受信用導波路42が設けられる基板10の主面に沿って光が導波し、当該送信用導波路41における他方の端部41bでは、主面から離れる方向に沿って光が出射し、受信用導波路42における一方の端部42aでは、主面に沿って光が導波し、受信用導波路42における他方の端部42bでは、主面に向かう方向に沿って光が入射する。
【0085】
本実施形態では、マルチコアファイバが導波路デバイス200として用いられている。本実施形態の導波路デバイス200では、第1導波路201及び第2導波路202は、一方の光送受信装置100における送信用導波路41の他方の端部41b及び受信用導波路42の他方の端部42bと同様の並びで配置されている。従って、それぞれの第1導波路201が並列しており、それぞれの第2導波路202がそれぞれの第1導波路201と個別に対向して並列している。本実施形態では、互いに対向する第1導波路201と第2導波路202とにより、第1導波路201と第2導波路202との距離が、それぞれの第1導波路201間の距離及びそれぞれの第2導波路202間の距離よりも小さい導波路対が構成される。なお、図の複雑化を避けるため、図4では、図2と同様にして、光送受信装置100と導波路デバイス200とが離間した状態で記載されているが、実際には、光送受信装置100と導波路デバイス200とは接続されている。なお、それぞれの送信用導波路41とそれぞれの第1導波路201とが個別に光学的に結合し、それぞれの受信用導波路42とそれぞれの第2導波路202とが個別に光学的に結合すれば、光送受信装置100と導波路デバイス200とが離間していてもよい。
【0086】
本実施形態の光送受信装置100では、それぞれの送信用導波路41の一方の端部41aとの他方の端部41bとは互いに異なる方向を向き、それぞれの受信用導波路42における一方の端部42aと他方の端部42bとは互いに異なる方向を向く。このため、光信号送信部20や光信号受信部30が光を送受信する方向と、光送受信装置100に接続される導波路デバイス200であるマルチコアファイバが光を送受信する方向とを変えることができる。このため、導波路デバイス200の配置の自由度が上がり、光送受信装置100の設計自由度が上がる。また、本実施形態の光送受信装置100によれば、送信用導波路41や受信用導波路42を基板10の縁まで形成していないため、光の伝搬損失を低減し得る。
【0087】
なお、本実施形態において、基板10は、グレーティングカプラが設けられる部位が別基板とされて、当該別基板と光信号送信部20及び光信号受信部30が設けられる基板とにより、基板10が構成されてもよい。また、本実施形態では、他方の端部41b,42bがグレーティングカプラから成る例により説明したが、他方の端部41b,42bは、基板10における送信用導波路41や受信用導波路42が設けられる主面の面方向に沿って光を送受信する他の構成から成ってもよい。
【0088】
以上、本発明について上記実施形態を例に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。
【0089】
例えば、上記実施形態の光送受信装置100において、送信用導波路41及び受信用導波路42の数は、それぞれ複数である限りにおいて、上記実施形態と異なってもよく、送信用導波路41の数と受信用導波路42の数とが異なってもよい。
【0090】
また、本発明の光通信装置では、一方の光送受信装置100と他方の光送受信装置100とが異なる構成であってもよい。
【0091】
また、本発明の光送受信装置100は、送信用導波路41の他方の端部41bと受信用導波路42の他方の端部42bとの距離が、それぞれの送信用導波路41の他方の端部41b間の距離及びそれぞれの受信用導波路42の他方の端部42b間の距離よりも小さい送信用導波路41と受信用導波路42とから成る導波路対を少なくとも1つ含めばよく、当該導波路対が複数でなくてもよい。
【0092】
また、導波路デバイス200は、一方の光送受信装置100のそれぞれの送信用導波路41と他方の光送受信装置100のそれぞれの受信用導波路42とを個別に光学的に結合させ、一方の光送受信装置100のそれぞれの受信用導波路42と他方の光送受信装置100のそれぞれの送信用導波路41とを個別に光学的に結合させる導波路デバイスであれば、ポリマー導波路、マルチコアファイバ、イメージファイバ、またはプラスチック光ファイバのみならず、複数のシングルコアファイバが束ねられて樹脂で一体とされたマルチエレメントファイバや、複数のシングルコアファイバの端部がコネクタにおいて並列されたファイバアレイであってもよい。
【0093】
本発明によれば、小型化や高密度実装化することができ、通信に影響のあるクロストークが抑制され得る光送受信装置及びそれを用いた光通信装置が提供され得、例えば光通信等の分野において利用可能である。
図1
図2
図3
図4