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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20241009BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20241009BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20241009BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
H02J3/38 180
H02J3/14
H02J7/34 G
H02J13/00 311T
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023516301
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 JP2022005983
(87)【国際公開番号】W WO2022224560
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2021073505
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐喜
(72)【発明者】
【氏名】外山 裕太
(72)【発明者】
【氏名】竹野 和彦
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-102916(JP,A)
【文献】特開2019-201481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02J 3/14
H02J 7/34
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、バスを介して前記直流電力を負荷に供給する整流器と、電圧変換器を介して前記バスに接続された電気自動車と、前記バスに接続された蓄電池とを含む電源システムにおける電力を制御する制御装置であって、
停電又は節電要請が生じた場合に、前記電気自動車を放電モードに切り替える切替部と、
前記電気自動車が放電モードに切り替えられた場合に、前記蓄電池が充放電されないように、前記電圧変換器の出力電圧値を調整する調整部と、
を備え
前記調整部は、前記電圧変換器の前記出力電圧値を、前記負荷が許容する電圧範囲の下限値から、所定時間が経過するごとに所定値ずつ増加させ、前記蓄電池が放電しなくなった電圧値に維持する、制御装置。
【請求項2】
停電が生じたか否かを判定する第1判定部を更に備える、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1判定部は、前記バスのバス電圧に基づいて停電が生じたか否かを判定する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
節電要請が生じたか否かを判定する第2判定部を更に備え、
前記調整部は、節電要請が生じたと判定された場合に、前記整流器の出力電圧値を前記下限値に変更させる、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記切替部は、復電した場合又は節電要請が解除された場合に、前記電気自動車を前記放電モードから待機モードに切り替える、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バックアップ電源として、定置用の蓄電池だけでなく電気自動車(EV)が用いられることがある。例えば、特許文献1には、商用電源からの電力供給が電力需要を下回るおそれがある場合に、電力供給を補う電力供給システムが記載されている。この電力供給システムにおいては、バックアップ用バッテリ及び電気自動車の走行用バッテリに放電順位が設定され、停電発生時又はデマンドレスポンス指令(節電要請)受信時に放電順位が高いバッテリから順に放電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-96416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
定置用の蓄電池は緊急時に用いられるので、定置用の蓄電池の蓄電量をなるべく使用しないことが求められる。特許文献1に記載の電力供給システムでは、放電順位を設定することができるので、電気自動車及び定置用の蓄電池の順に放電させることができる。しかしながら、電気自動車から放出された電力は負荷に供給されるだけでなく、定置用の蓄電池にも供給される可能性がある。したがって、電気自動車の蓄電量が余分に消費されるおそれがある。
【0005】
本開示は、蓄電池の蓄電量を確保しつつ、電気自動車から放出される電力を削減可能な制御装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る制御装置は、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、バスを介して直流電力を負荷に供給する整流器と、電圧変換器を介してバスに接続された電気自動車と、バスに接続された蓄電池とを含む電源システムにおける電力を制御する装置である。この制御装置は、停電又は節電要請が生じた場合に、電気自動車を放電モードに切り替える切替部と、電気自動車が放電モードに切り替えられた場合に、蓄電池が充放電されないように、電圧変換器の出力電圧値を調整する調整部と、を備える。
【0007】
この制御装置においては、停電又は節電要請が生じた場合に、電気自動車が放電モードに切り替えられ、蓄電池が充放電されないように、電圧変換器の出力電圧値が調整される。この構成によれば、蓄電池の蓄電量が低下する可能性が低減されるとともに、電気自動車から放出された電力が蓄電池の充電に用いられる可能性が低減される。その結果、蓄電池の蓄電量を確保しつつ、電気自動車から放出される電力を削減することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、蓄電池の蓄電量を確保しつつ、電気自動車から放出される電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る制御装置を含む電源システムの概略構成図である。
図2図2は、図1に示されるコンバータ装置の概略構成例を示す図である。
図3図3は、図2に示される制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図4図4は、図2に示される制御装置が行う電力制御方法の一連の処理を示すフローチャートである。
図5図5は、図4の停電制御を詳細に示すフローチャートである。
図6図6は、図4の節電制御を詳細に示すフローチャートである。
図7図7は、図1に示されるコンバータ装置の別の概略構成例を示す図である。
図8図8は、図2及び図7に示される制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1を参照して、一実施形態に係る制御装置を含む電源システムの構成を説明する。図1は、一実施形態に係る制御装置を含む電源システムの概略構成図である。図1に示される電源システム1は、負荷Lに電力を供給するシステムである。本実施形態では、電源システム1は、直流電源システムである。電源システム1は、例えば、商用電源PSから交流電力Pacを受けて、負荷Lに直流電力Ploadを供給する。
【0012】
負荷Lは、電源システム1から直流電力Ploadを受け、直流電力Ploadを消費することによって動作する電力消費装置である。負荷Lは、例えば、無線通信装置(通信負荷)である。無線通信装置は、移動体通信網に用いられる無線基地局における無線通信を実行する装置である。なお、負荷Lとして、無線通信装置以外の負荷が用いられてもよい。負荷Lは、所定の電圧範囲(以下、「電圧範囲VR」と称する。)において動作可能である。言い換えると、電圧範囲VRは、負荷Lが許容する電圧範囲である。負荷Lが無線通信装置である場合、電圧範囲VRは、例えば、41V~57Vである。
【0013】
電源システム1は、HEMS(Home Energy Management System)2と、スマートメータ3と、整流器4と、コンバータ装置5と、電気自動車6と、蓄電池7と、制御装置10と、を備える。
【0014】
HEMS2は、電源システム1における種々の情報を取得する装置である。HEMS2は、電源システム1に対して、電気事業者もしくはアグリゲータからDR要請(デマンドレスポンス要請)を受信する。DR要請は、電源システム1にDRの実施を要請する信号である。例えば、猛暑日にはエアコン等の使用量が増加することに伴って電力需要の増大が見込まれるので、電源システム1等の需要家に電力需要量(消費電力)の抑制を要請することによって需給調整が行われる(下げDR、ネガワット取引)。一方、昼間時間帯に太陽光発電の発電量が電力需要量を超えた際に、電源システム1等の需要家の電力需要量(消費電力)を増大させることにより、需給調整が行われる(上げDR)。HEMS2は、DR開始指令、及びDR解除指令を制御装置10に送信する。
【0015】
スマートメータ3は、商用電源PSと整流器4との間に設けられ、商用電源PSから電源システム1に供給される交流電力Pacを計測する。スマートメータ3は、商用電源PSから電源システム1に供給された交流電力Pacを示す需要データ(Bルートデータ)を保持する。
【0016】
整流器4は、商用電源PSから供給される交流電力Pacを直流電力Pdcに変換する装置(電源装置)である。整流器4は、バスBを介して負荷Lに接続されている。整流器4は、バスBを介して直流電力Pdcを負荷Lに供給する。整流器4は、直流電力Pdcを電気自動車6及び蓄電池7に供給して、電気自動車6及び蓄電池7を充電し得る。整流器4は、例えば、整流回路及び電圧変換回路(昇圧回路又は降圧回路)等を含む。整流器4は、交流電力Pac(入力電圧)が喪失した場合に停電指令を制御装置10に送信し、交流電力Pac(入力電圧)が回復した場合に復電指令を制御装置10に送信する。整流器4は、制御装置10からの指令に基づいて、出力電圧Vr(図2参照)の電圧値(出力電圧値)を変更し得る。出力電圧Vrは、整流器4の出力電圧であり、バスBに接続される整流器4の端子電圧(開放電圧)である。通常時において、出力電圧Vrの電圧値は、例えば、48Vに設定されている。
【0017】
コンバータ装置5は、電気自動車6が充放電する直流電力Pevを調整する装置である。コンバータ装置5は、電気自動車6との間で電力を授受する際に、電流及び電圧を調整する機能を有する。
【0018】
電気自動車6は、直流電力Pevを充放電可能に構成されている。具体的には、電気自動車6は、蓄電池を備えており、蓄電池が充放電される。説明の便宜上、電気自動車6の蓄電池を充電することを、単に「電気自動車6を充電する」と表現する場合がある。同様に、電気自動車6の蓄電池を放電することを、単に「電気自動車6を放電する」と表現する場合がある。電気自動車6は、後述の電圧変換器53を介してバスBに接続されている。電気自動車6は、バスB及び電圧変換器53を介して直流電力Pevを充電し、電圧変換器53及びバスBを介して直流電力Pevを放電し得る。
【0019】
蓄電池7は、直流電力Pbtを充放電可能な装置である。蓄電池7は、定置用の蓄電池である。蓄電池7の例としては、リチウムイオン電池(LiB)、及び鉛蓄電池が挙げられる。蓄電池7は、バスBに接続されている。蓄電池7は、バスBを介して直流電力Pbtを充電し、バスBを介して直流電力Pbtを放電し得る。例えば、無線基地局等においては、停電発生時にも通信サービスを提供する必要があることから、災害による停電に備えて蓄電池7が設けられる。なお、蓄電池7の出力電圧Vb(図2参照)は、蓄電池7の蓄電量(SOC;State Of Charge)に応じて変化する。出力電圧Vbは、蓄電池7の端子電圧(開放電圧)である。蓄電池7の蓄電量が大きいほど、出力電圧Vbは大きくなる。出力電圧Vbの下限値は、電圧範囲VRの下限値よりも大きく、出力電圧Vbの上限値は、出力電圧Vrの通常時の電圧値よりも小さい。
【0020】
負荷Lには、整流器4から直流電力Pdcが供給され、電気自動車6から直流電力Pevが供給され、蓄電池7から直流電力Pbtが供給され得る。つまり、負荷Lには、直流電力Pdc、直流電力Pev、及び直流電力Pbtを合計した電力である直流電力Ploadが供給される。例えば、整流器4から直流電力Pdcが負荷Lに供給されない場合でも、負荷Lは電気自動車6又は蓄電池7から直流電力を受けて動作し得る。
【0021】
制御装置10は、電源システム1における電力を制御する装置(コントローラ)である。制御装置10は、例えば、通信線を介してHEMS2、整流器4、及びコンバータ装置5に通信可能に接続されている。なお、電源システム1は蓄電池7の充放電を制御するための装置を備えていないので、充放電の制御方法として、電圧制御が用いられる。例えば、後述の出力電圧Vc(図2参照)の電圧値(出力電圧値)を出力電圧Vrの電圧値よりも大きくすることによって、電気自動車6から放電される。出力電圧Vrの電圧値を出力電圧Vbの電圧値よりも大きくすることによって、蓄電池7が充電される。さらに、蓄電池7の充電電流を大きくする場合には、出力電圧Vrの電圧値が更に増加される。蓄電池7の充電電流を小さくする場合には、出力電圧Vbの電圧値を下回らない範囲で、出力電圧Vrの電圧値が減少される。制御装置10の機能構成については後述する。
【0022】
なお、本実施形態では、コンバータ装置5が制御装置10を備えている。したがって、コンバータ装置5は、図2に示されるように、実質的には、電気自動車6との電力の授受だけでなく、整流器4、蓄電池7、及び負荷Lとの電力の授受を調整している。
【0023】
次に、図2を参照しながら、電源システム1におけるコンバータ装置5の構成を中心に各部との連携について説明する。図2は、図1に示されるコンバータ装置の概略構成例を示す図である。
【0024】
図2に示されるように、コンバータ装置5は、端子T1,T2,T3,T4を備えている。端子T1には、整流器4が接続されている。端子T2には、負荷Lが接続されている。端子T3には、電気自動車6が接続されている。端子T4には、蓄電池7が接続されている。
【0025】
コンバータ装置5は、電流検出部51と、動作モード切替部52と、電圧変換器53と、制御装置10と、を備えている。電流検出部51は、蓄電池7の充放電電流を計測する。電流検出部51は、計測した充放電電流の電流値を制御装置10に出力する。本実施形態では、正の値を有する電流値は、蓄電池7に向かって電流が流れること(充電電流)を意味し、負の値を有する電流値は、蓄電池7からコンバータ装置5に電流が流れること(放電電流)を意味する。電流検出部51は、例えば、電流センサである。
【0026】
動作モード切替部52は、制御装置10からの指令に基づいて電気自動車6の動作モードを切り替える。電気自動車6の動作モードは、充電モード、放電モード、及び待機モードを含む。充電モードは、充電可能な動作モード(状態)である。放電モードは、放電可能な動作モード(状態)である。待機モードは、負荷L等の他の装置との間で電力の授受を行わない動作モード(状態)である。動作モード切替部52は、例えば、双方向コンバータである。
【0027】
電圧変換器53は、制御装置10からの指令に基づいて、電気自動車6の出力電圧を出力電圧Vcに変換する。出力電圧Vcは、電圧変換器53の出力電圧であり、バスBに接続される電圧変換器53の端子電圧(開放電圧)である。電圧変換器53は、電圧範囲VR内において、出力電圧Vcの電圧値を変更し得る。電圧変換器53は、例えば、DC/DCコンバータである。なお、動作モード切替部52及び電圧変換器53が、1つの双方向コンバータによって実現されてもよい。
【0028】
次に、図3を参照しながら、制御装置10の機能構成を説明する。図3は、図2に示される制御装置の機能構成を示すブロック図である。図3に示されるように、制御装置10は、機能的には、判定部11(第1判定部)と、判定部12(第2判定部)と、切替部13と、調整部14と、計時部15と、を備えている。後述の電力制御方法の説明において、各機能部の機能(動作)を詳細に説明するので、ここでは各機能部の機能を簡単に説明する。
【0029】
判定部11は、停電が発生したか否かを判定する機能部である。言い換えると、判定部11は、商用電源PSからの電力供給が停止したか否かを判定する。判定部11は、停電時において復電したか否かを更に判定する。言い換えると、判定部11は、商用電源PSからの電力供給が復旧したか否かを判定する。本実施形態では、判定部11は、停電が発生したことを示す停電指令を整流器4から受信したことに応じて、停電が発生したと判定する。判定部11は、復電したことを示す復電指令を整流器4から受信したことに応じて、復電したと判定する。
【0030】
判定部12は、節電要請が生じたか否かを判定する機能部である。本実施形態では、判定部12は、制御装置10がHEMS2から下げDR開始指令を受信したことに応じて、節電要請が生じたと判定する。判定部12は、節電要請が解除されたか否か(要請期間が終了したか否か)を判定する。本実施形態では、判定部12は、制御装置10がHEMS2から下げDR解除指令を受信したことに応じて、節電要請が解除された(要請期間が終了した)と判定する。
【0031】
切替部13は、電気自動車6の動作モードを切り替える機能部である。切替部13は、例えば、停電又は節電要請が生じた時に、電気自動車6を放電モードに切り替える。切替部13は、例えば、復電した場合又は節電要請が解除された場合に、電気自動車6を放電モードから待機モードに切り替える。
【0032】
調整部14は、出力電圧Vrの電圧値及び出力電圧Vcの電圧値を調整する機能部である。調整部14は、例えば、電気自動車6が放電モードに切り替えられた場合に、蓄電池7が充放電されないように、出力電圧Vcの電圧値を調整する。具体的には、調整部14は、出力電圧Vcの電圧値を電圧範囲VRの下限値から増加させ、蓄電池7が放電しなくなった電圧値に維持する。より具体的には、調整部14は、所定時間が経過するごとに、電圧範囲VRの下限値から所定値だけ出力電圧Vcの電圧値を増加させ、蓄電池7が放電しなくなった電圧値に維持する。調整部14は、節電要請が生じたと判定された場合に、出力電圧Vrの電圧値を電圧範囲VRの下限値に変更させる。
【0033】
計時部15は、時間を計測する機能部である。計時部15は、所定時間が経過するごとに調整部14にタイミング信号を出力する。所定時間は、例えば、5秒程度に設定される。
【0034】
次に、図4図6を参照して、制御装置10が行う電力制御方法を説明する。図4は、図2に示される制御装置が行う電力制御方法の一連の処理を示すフローチャートである。図5は、図4の停電制御を詳細に示すフローチャートである。図6は、図4の節電制御を詳細に示すフローチャートである。図4に示される一連の処理は、例えば、所定の時間が経過するごとに開始される。
【0035】
図4に示されるように、まず、判定部11が、停電が発生したか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、判定部11は、整流器4から停電指令を受信した場合に、停電が発生したと判定する。判定部11は、整流器4から停電指令を受信していない場合に、停電が発生していないと判定する。ステップS11において、停電が発生したと判定された場合(ステップS11;YES)、ステップS12の停電制御が実施される。
【0036】
ステップS12の停電制御では、図5に示されるように、まず切替部13が電気自動車6の動作モードを放電モードに切り替える(ステップS21)。具体的には、切替部13は、電気自動車6の動作モードを放電モードに切り替えるための指令を動作モード切替部52に送信する。そして、動作モード切替部52が当該指令を受信すると、電気自動車6の動作モードを放電モードに切り替える。そして、調整部14は、出力電圧Vcの電圧値を電圧範囲VRの下限値(例えば、41V)に設定するための指令を電圧変換器53に送信する。そして、電圧変換器53が当該指令を受信すると、出力電圧Vcの電圧値を電圧範囲VRの下限値に設定する。
【0037】
続いて、判定部11は、復電したか否かを判定する(ステップS22)。具体的には、判定部11は、整流器4から復電指令を受信した場合に、復電したと判定する。判定部11は、整流器4から復電指令を受信していない場合に、復電していないと判定する。ステップS22において、復電していないと判定された場合(ステップS22;NO)、調整部14は、蓄電池7が放電しているか否かを判定する(ステップS23)。具体的には、調整部14は、電流検出部51によって計測された電流値に基づいて、蓄電池7が放電しているか否かを判定する。例えば、電流値が放電を示す値(例えば、負の値)である場合には、調整部14は、蓄電池7が放電していると判定する。電流値が放電を示す値でない場合には、調整部14は、蓄電池7が放電していないと判定する。
【0038】
ステップS23において、蓄電池7が放電していると判定された場合(ステップS23;YES)、調整部14は、出力電圧Vcの電圧値を所定値(例えば、0.1V)だけ増加させる(ステップS24)。具体的には、調整部14は、出力電圧Vcの電圧値を所定値だけ増加させるための指令を電圧変換器53に送信する。そして、電圧変換器53が当該指令を受信すると、出力電圧Vcの電圧値を所定値だけ増加する。そして、ステップS25が行われる。一方、ステップS23において、蓄電池7が放電していないと判定された場合(ステップS23;NO)、調整部14は、出力電圧Vcの電圧値を維持する。つまり、調整部14は、電圧変換器53に指令を送信しない。そして、ステップS25が行われる。
【0039】
ステップS25では、調整部14は、所定時間(例えば、5秒)が経過したか否かを判定する。調整部14は、例えば、計時部15からタイミング信号を受け取ったことにより、所定時間が経過したと判定する。所定時間が経過していないと判定された場合(ステップS25;NO)、所定時間が経過するまでステップS25の判定が繰り返される。一方、所定時間が経過したと判定された場合(ステップS25;YES)、ステップS22の判定が再び行われる。
【0040】
ステップS22において、復電したと判定された場合(ステップS22;YES)、切替部13は電気自動車6の動作モードを放電モードから待機モードに切り替える(ステップS26)。具体的には、切替部13は、電気自動車6の動作モードを待機モードに切り替えるための指令を動作モード切替部52に送信する。そして、動作モード切替部52が当該指令を受信すると、電気自動車6の動作モードを待機モードに切り替える。以上により、ステップS12の停電制御が終了し、電力制御方法の一連の処理が終了する。
【0041】
ステップS11において、停電が発生していないと判定された場合(ステップS11;NO)、判定部12は、節電要請が生じたか否かを判定する(ステップS13)。具体的には、判定部12は、HEMS2から下げDR開始指令を受信した場合に、節電要請が生じたと判定する。判定部12は、HEMS2から下げDR開始指令を受信していない場合に、節電要請が生じていないと判定する。ステップS13において、節電要請が生じたと判定された場合(ステップS13;YES)、ステップS14の節電制御が実施される。
【0042】
ステップS14の節電制御では、図6に示されるように、まず調整部14が整流器4の出力電圧Vrの電圧値を電圧範囲VRの下限値に変更させる(ステップS31)。具体的には、調整部14は、出力電圧Vrの電圧値を電圧範囲VRの下限値に設定するための指令を整流器4に送信する。そして、整流器4が当該指令を受信すると、出力電圧Vrの電圧値を電圧範囲VRの下限値に設定する。
【0043】
続いて、切替部13は、電気自動車6の動作モードを放電モードに切り替える(ステップS32)。ステップS32の処理は、ステップS21の処理と同じであるので、詳細な説明を省略する。なお、ステップS32においても、調整部14は、出力電圧Vcの電圧値を電圧範囲VRの下限値に設定するための指令を電圧変換器53に送信する。そして、電圧変換器53が当該指令を受信すると、出力電圧Vcの電圧値を電圧範囲VRの下限値に設定する。
【0044】
続いて、判定部12は、要請期間が終了したか否かを判定する(ステップS33)。具体的には、判定部12は、HEMS2から下げDR解除指令を受信した場合に、要請期間が終了したと判定する。判定部12は、HEMS2から下げDR解除指令を受信していない場合に、要請期間が終了していないと判定する。ステップS33において、要請期間が終了していないと判定された場合(ステップS33;NO)、調整部14は、蓄電池7が放電しているか否かを判定する(ステップS34)。以降のステップS34~ステップS36の処理は、ステップS23~ステップS25の処理と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0045】
ステップS33において、要請期間が終了したと判定された場合(ステップS33;YES)、切替部13は電気自動車6の動作モードを放電モードから待機モードに切り替える(ステップS37)。ステップS37の処理は、ステップS26の処理と同じであるので、詳細な説明を省略する。続いて、調整部14は、整流器4の出力電圧Vrの電圧値を元に戻す(ステップS38)。具体的には、調整部14は、出力電圧Vrの電圧値をステップS31において変更される前の元の値に設定するための指令を整流器4に送信する。そして、整流器4が当該指令を受信すると、出力電圧Vrの電圧値を元の値に設定する。以上により、ステップS14の節電制御が終了し、電力制御方法の一連の処理が終了する。
【0046】
ステップS13において、節電要請が生じていないと判定された場合(ステップS13;NO)、切替部13は、電気自動車6の動作モードを待機モードに維持する(ステップS15)。つまり、切替部13は、動作モード切替部52に指令を送信しない。以上により、電力制御方法の一連の処理が終了する。
【0047】
なお、ステップS13は、ステップS11よりも前に行われてもよく、ステップS11と並行して行われてもよい。ステップS22、ステップS23、及びステップS25の実行順序は、任意に変更され得る。同様に、ステップS33、ステップS34、及びステップS36の実行順序は、任意に変更され得る。
【0048】
上記電力制御方法によれば、停電又は節電要請が発生したときに、出力電圧Vcの電圧値が電圧範囲VRの下限値に設定される。この時点では、出力電圧Vbの電圧値は出力電圧Vcの電圧値よりも大きいので、蓄電池7は放電する。そして、出力電圧Vcの電圧値が所定時間ごとに所定値ずつ増加され、出力電圧Vcの電圧値が出力電圧Vbの電圧値を上回った時点で蓄電池7が放電しなくなる。そして、蓄電池7が放電しなくなった時点での電圧値に、出力電圧Vcの電圧値が維持される。このような処理により、電気自動車6から放出される電力は、主に負荷Lに供給され、蓄電池7の充電に使用される程度を抑えることができる。
【0049】
以上説明した制御装置10においては、停電又は節電要請が生じた場合に、電気自動車6が放電モードに切り替えられ、蓄電池7が充放電されないように、電圧変換器53の出力電圧Vcの電圧値が調整される。この構成によれば、蓄電池7の蓄電量が低下する可能性が低減されるとともに、電気自動車6から放出された電力が蓄電池7の充電に用いられる可能性が低減される。その結果、蓄電池7の蓄電量を確保しつつ、電気自動車6から放出される電力を削減することが可能となる。
【0050】
判定部11は、停電が発生したか否かを判定する。具体的には、判定部11は、整流器4から停電指令を受信したことに応じて、停電が発生したと判定する。したがって、停電発生時に直ちに電気自動車6から電力を供給することができるので、蓄電池7に蓄えられている電力が消費されることを抑制することができる。その結果、蓄電池7の蓄電量を確保することが可能となる。
【0051】
負荷Lを継続して動作させるために、電圧範囲VR内の電圧値を有する電圧で負荷Lに直流電力Ploadを供給する必要がある。一方、出力電圧Vbの電圧値は、電圧範囲VRの下限値よりも大きく、電圧範囲VRの上限値よりも小さい。蓄電池7が充電も放電もしないようにするために、出力電圧Vcの電圧値を出力電圧Vbの電圧値に一致させることが求められる。しかしながら、出力電圧Vbの電圧値は蓄電池7の蓄電量に応じて変化するので、出力電圧Vcの電圧値を出力電圧Vbの電圧値に合わせることは困難である。
【0052】
この問題に対し、調整部14は、出力電圧Vcの電圧値を、電圧範囲VRの下限値から増加させ、蓄電池7が放電しなくなった電圧値に維持する。この構成においては、出力電圧Vcの電圧値が電圧範囲VRの下限値に設定された時点では、出力電圧Vbの電圧値が出力電圧Vcの電圧値よりも大きいので、蓄電池7が放電する。その後、出力電圧Vcの電圧値が増加されることによって、出力電圧Vcの電圧値が出力電圧Vbの電圧値よりも大きくなり、蓄電池7が放電しなくなる。その時点での電圧値に出力電圧Vcの電圧値が維持されることによって、蓄電池7が放電することが回避される。さらに、上述のように設定された出力電圧Vcの電圧値は出力電圧Vbの電圧値よりもわずかに大きいので、電気自動車6から放出される電力が、蓄電池7に充電される程度を抑えることができる。
【0053】
調整部14は、所定時間が経過するごとに、所定値だけ出力電圧Vcの電圧値を増加させる。この構成によれば、出力電圧Vcの電圧値を徐々に増加することができるので、蓄電池7が放電しなくなった時点での出力電圧Vcの電圧値を、出力電圧Vbの電圧値に近づけることができる。したがって、電気自動車6から放出される電力が、蓄電池7に充電される程度を更に抑えることができる。
【0054】
調整部14は、節電要請が生じたと判定された場合に、整流器4の出力電圧Vrの電圧値を電圧範囲VRの下限値に変更させる。この構成によれば、商用電源PSから供給される交流電力Pacを低減することができるので、節電を実現できる。
【0055】
復電した場合又は節電要請が解除された場合には、整流器4から負荷Lに直流電力Pdcを供給することが可能であるので、電気自動車6を放電させる必要が無い。したがって、切替部13は、復電した場合又は節電要請が解除された場合に、電気自動車6を放電モードから待機モードに切り替える。この構成によって、電気自動車6に蓄えられている電力が余分に消費されることを回避することができる。
【0056】
以上のように、電気自動車6から電力を放出することによって、蓄電池7を余分に充電することなく停電時においても負荷Lに継続的に電力を供給することが可能となる。同様に、電気自動車6から電力を放出することによって、蓄電池7を余分に充電することなく節電要請に応えることが可能となる。
【0057】
制御装置10は、電圧制御によって電気自動車6及び蓄電池7の充放電を制御している。この構成によれば、ハードウェアを追加することなく、電圧制御のためのソフトウェアを追加するだけで、上記電力制御方法を実現することが可能となる。このソフトウェアは、蓄電池7の種類によらず、共通に使用可能である。したがって、開発コストを低減することができる。
【0058】
次に、図7を参照しながら、コンバータ装置の別の構成例を説明する。図7は、図1に示されるコンバータ装置の別の概略構成例を示す図である。図7に示されるコンバータ装置5Aは、電圧検出部54を更に備える点、及び制御装置10に代えて制御装置10Aを備える点において、コンバータ装置5と主に相違している。
【0059】
電圧検出部54は、バス電圧Vbusを計測する。バス電圧Vbusは、バスBの電圧である。電圧検出部54は、計測したバス電圧Vbusの電圧値を制御装置10Aに出力する。電圧検出部54は、例えば、電圧センサである。
【0060】
制御装置10Aは、停電指令に代えてバス電圧Vbusに基づいて停電が発生したか否かを判定する点、及び復電指令に代えてバス電圧Vbusに基づいて復電したか否かを判定する点において、制御装置10と主に相違する。つまり、制御装置10Aが行う電力制御方法は、ステップS11及びステップS22において、制御装置10が行う電力制御方法と主に相違している。
【0061】
ステップS11において、判定部11は、電圧検出部54によって計測された電圧値を順次記憶しておき、電圧値が減少を開始した時の電圧値から閾値ΔVth以上単調減少した場合に、停電が発生したと判定する(ステップS11;YES)。閾値ΔVthは、例えば、0.5V程度に設定される。判定部11は、電圧値が減少を開始した時の電圧値から閾値ΔVth以上単調減少していない場合に、停電が発生していないと判定する(ステップS11;NO)。
【0062】
ステップS22において、判定部11は、電圧検出部54によって計測された電圧値が、出力電圧Vrの通常時の電圧値(例えば、48V)に戻ったことに応じて、復電したと判定する(ステップS22;YES)。判定部11は、電圧検出部54によって計測された電圧値が、出力電圧Vrの通常時の電圧値に戻っていない場合に、復電していないと判定する(ステップS22;NO)。なお、出力電圧Vrの通常時の電圧値は、予め設定され、記憶されている。
【0063】
商用電源PSの電力供給が停止した時(停電時)に整流器4の出力は停止する。しかしながら、蓄電池7がバスBに接続されているので、バス電圧Vbusは喪失されない。制御装置10においては、判定部11は、整流器4から停電指令を受信することによって停電を検出している。この構成では、整流器4は、停電を検出する機能を有している必要がある。
【0064】
一方、制御装置10Aの判定部11は、バス電圧Vbusに基づいて停電が発生したか否かを判定している。具体的に説明すると、停電が発生した時には整流器4の出力が停止して、蓄電池7が放電を開始する。蓄電池7は、蓄電池7の蓄電量が減少するにつれて、出力電圧Vbの電圧値が減少する特性を有する。停電時には出力電圧Vrの電圧値は0Vであるので、バス電圧Vbusの電圧値は出力電圧Vbの電圧値と等しくなる。したがって、バス電圧Vbusの電圧値が閾値ΔVth以上単調減少した場合には、停電が発生したとみなすことができる。この構成によれば、整流器4が停電を検出する機能を有することなく、停電を検出することができる。したがって、整流器4の構成を簡易化することが可能となる。
【0065】
同様に、制御装置10Aの判定部11は、バス電圧Vbusに基づいて復電したか否かを判定している。商用電源PSからの電力供給が復旧した場合には、出力電圧Vrの電圧値が通常時の電圧値(例えば、48V)に戻る。出力電圧Vrの電圧値は出力電圧Vbの電圧値よりも大きいので、バス電圧Vbusの電圧値は出力電圧Vrの電圧値と等しくなる。したがって、バス電圧Vbusの電圧値が出力電圧Vrの通常時の電圧値に戻った場合には、復電したとみなすことができる。この構成によれば、整流器4が復電を検出する機能を有することなく、復電を検出することができる。したがって、整流器4の構成を簡易化することが可能となる。
【0066】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。
【0067】
制御装置10は、物理的又は論理的に結合した1つの装置によって構成されていてもよく、互いに物理的又は論理的に分離している複数の装置によって構成されてもよい。例えば、制御装置10は、クラウドコンピューティングのようにネットワーク上に分散された複数のコンピュータによって実現されてもよい。以上のように、制御装置10の構成は、制御装置10の機能を実現し得るいかなる構成をも含み得る。制御装置10と同様に、制御装置10Aの構成は、制御装置10Aの機能を実現し得るいかなる構成をも含み得る。
【0068】
HEMS2は、コンバータ装置5,5Aの内部に設けられてもよい。制御装置10は、コンバータ装置5とは別の装置として構成されてもよい。制御装置10Aは、コンバータ装置5Aとは別の装置として構成されてもよい。電流検出部51は、コンバータ装置5,5Aとは別の装置として構成されてもよい。電圧検出部54は、コンバータ装置5Aとは別の装置として構成されてもよい。
【0069】
制御装置10,10Aは、判定部11を備えていなくてもよく、切替部13は、停電発生時において電気自動車6を放電モードに切り替えなくてもよい。制御装置10,10Aは、判定部12を備えていなくてもよく、切替部13は、節電要請が生じた場合に、電気自動車6を放電モードに切り替えなくてもよい。
【0070】
切替部13は、復電した場合又は節電要請が解除された場合に、電気自動車6を放電モードから充電モードに切り替えてもよい。この構成によれば、放電により減少した分の蓄電量が電気自動車6に充電される。
【0071】
調整部14は、出力電圧Vcの電圧値を電圧範囲VRの下限値から蓄電池7が放電しなくなるまで所定時間ごとに所定値ずつ増加させているが、出力電圧Vcの電圧値を設定する方法はこの手順に限られない。例えば、調整部14は、出力電圧Vcの電圧値を電圧範囲VRの上限値から蓄電池7が充電しなくなるまで所定時間ごとに所定値ずつ減少させてもよい。調整部14は、出力電圧Vcの電圧値を電圧範囲VRの下限値に変更した後、バス電圧Vbusの電圧値を計測し、計測された電圧値に出力電圧Vcの電圧値を変更してもよい。
【0072】
調整部14は、制御装置10,10Aの外部からタイミング信号を受信してもよい。この場合、制御装置10,10Aは、計時部15を備えていなくてもよい。
【0073】
なお、上記実施形態の説明に用いられたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0074】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、及び割り振り(assigning)などがあるが、これらの機能に限られない。例えば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)又は送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0075】
例えば、本開示の一実施形態における制御装置10,10Aは、本開示の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。以下、制御装置10,10Aのハードウェア構成について説明する。図8は、本開示の一実施形態に係る制御装置10,10Aのハードウェア構成の一例を示す図である。上述の制御装置10,10Aは、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、及びバス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0076】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、及びユニットなどに読み替えられることができる。制御装置10,10Aのハードウェア構成は、図に示された各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0077】
制御装置10,10Aにおける各機能は、プロセッサ1001及びメモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0078】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、及びレジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、上述の制御装置10,10Aの各機能は、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0079】
プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、及びデータなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施形態において説明された動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、制御装置10,10Aの各機能は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0080】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、及びRAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、又はメインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施形態に係る電力制御方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、及びソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0081】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、及びBlu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、及びキードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、及び磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバ、又はその他の適切な媒体であってもよい。
【0082】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、又は通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、及び周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、制御装置10,10Aが各装置との間で指令を送受信する機能などは、通信装置1004によって実現されてもよい。
【0083】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、及びセンサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、及びLEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、例えば、タッチパネルのように一体に構成されてもよい。
【0084】
プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0085】
制御装置10,10Aは、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0086】
情報の通知は、本開示において説明された態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。
【0087】
本開示において説明された各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、及びフローチャートなどにおいては、矛盾の無い限り、処理の順序が入れ替えられてもよい。例えば、本開示において説明された方法は、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示された特定の順序に限定されない。
【0088】
情報等は、上位レイヤから下位レイヤへ出力されてもよく、又は下位レイヤから上位レイヤへ出力されてもよい。情報等は、複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
【0089】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理されてもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0090】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0091】
本開示において説明された各態様/実施形態は単独で用いられてもよいし、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的な通知に限られず、暗黙的に(例えば、当該所定の情報の通知を行わないことによって)行われてもよい。
【0092】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明された実施形態に限定されないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とし、本開示に対して何ら制限的な意味を有しない。
【0093】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、及び機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0094】
ソフトウェア、命令、及び情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、及びデジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、及びマイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0095】
本開示において説明された情報、及び信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、及びチップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0096】
なお、本開示において説明された用語及び本開示の理解に必要な用語は、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えられてもよい。
【0097】
本開示において使用される「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0098】
本開示において説明された情報、及びパラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
【0099】
上述したパラメータに使用される名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示された数式等と異なる場合もある。
【0100】
本開示で使用される「判断(determining)」、及び「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」及び「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、及び確認(ascertaining)とみなされてもよい。「判断」及び「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、及びアクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)とみなされてもよい。「判断」及び「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、及び比較(comparing)などとみなされてもよい。つまり、「判断」及び「決定」は、「判断」及び「決定」に関連する何らかの動作とみなされてもよい。「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、又は「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0101】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的に行われてもよく、論理的に行われてもよく、或いはこれらの組み合わせで実現されてもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で「接続」又は「結合」が使用される場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えられてもよく、いくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えられてもよい。
【0102】
本開示において使用される「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0103】
本開示において使用される「第1の」、及び「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、及び何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことのいずれも意味しない。
【0104】
上記の各装置の構成における「部」は、「回路」、又は「デバイス」等に置き換えられてもよい。
【0105】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0106】
本開示において、例えば、英語での「a」,「an」及び「the」のように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0107】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、及び「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1…電源システム、2…HEMS、4…整流器、5,5A…コンバータ装置、6…電気自動車、7…蓄電池、10,10A…制御装置、11…判定部(第1判定部)、12…判定部(第2判定部)、13…切替部、14…調整部、15…計時部、51…電流検出部、52…動作モード切替部、53…電圧変換器、54…電圧検出部、B…バス、L…負荷。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8