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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】高解像度ライトフィールド投影装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20241009BHJP
   H04N 13/302 20180101ALI20241009BHJP
   G02C 11/00 20060101ALN20241009BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N13/302
G02C11/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023530864
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 IB2020061091
(87)【国際公開番号】W WO2022112818
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】519171480
【氏名又は名称】クリアル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】スルカ・トマシュ
【審査官】弓指 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-510241(JP,A)
【文献】特開2010-230984(JP,A)
【文献】特表2017-515162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/00-30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像を投影するライトフィールド投影装置であって、前記ライトフィールド投影装置が、
像生成装置を備える像源であって、前記像生成装置が、複数の変調光線を発生する複数の画素成分を備える、像源と、
前記複数の変調光線をコリメートする結像光学素子と、
第1投影素子を備える投影光学系であって、前記投影光学系は、アイボックスを画定するようにそして前記画素成分の投影装置の画素像を、前記第1投影素子と前記アイボックスの間の、投影装置の像の平面にて形成するように前記変調光線を投影するべく構成されていて、前記変調光線が、前記第1投影素子と前記アイボックスの間の、投影装置の仮想画素像に交差している、前記投影光学系と
を備え、
前記結像光学素子が、前記投影装置の前記像の平面を、前記第1投影素子と前記アイボックスの間でシフト平面にずらすように構成されていて、前記シフト平面では前記投影装置の画素像が前記投影装置の仮想画素像に一致する、ライトフィールド投影装置。
【請求項2】
前記結像光学素子が可動なレンズを備える、請求項1に記載のライトフィールド投影装置。
【請求項3】
前記結像光学素子が、可変の焦点距離を持つ光学素子を備える、請求項1に記載のライトフィールド投影装置。
【請求項4】
前記ライトフィールド投影装置によって投影される像成分を形成する前記画素成分の空間分布を調整するように、前記像生成装置が制御される、請求項1に記載のライトフィールド投影装置。
【請求項5】
前記像源が、時間で順番に起動可能な複数の点光のアレイを備える光源を備えて、各前記点光が、前記像生成装置を照らす光線を生成して、
前記像生成装置が空間光変調器(SLM)を備える、
請求項1に記載のライトフィールド投影装置。
【請求項6】
前記像源が発光表示部を備える、請求項1に記載のライトフィールド投影装置。
【請求項7】
前記発光表示部は、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)又はマイクロLEDを備える、請求項6に記載のライトフィールド投影装置。
【請求項8】
前記光源が、互いにコヒーレントな複数の光線を表示部に投影するコヒーレントな光源を備える、請求項に記載のライトフィールド投影装置。
【請求項9】
前記表示部が、前記結像光学素子の各光学素子の前、各画素成分にて、変調光線を回折しかつ広げるように構成されている、請求項8に記載のライトフィールド投影装置。
【請求項10】
前記結像光学素子が、前記結像光学素子が前記光源の像を投影する光源の像の平面内に位置されている複数のコリメート光学素子のアレイを備える、請求項に記載のライトフィールド投影装置。
【請求項11】
前記投影光学系が、センサ画素像を形成すべく前記変調光線を投影装置の像の平面から投影する光学的コンバイナーを備え、
前記結像光学素子が投影装置の像の前記平面を、前記センサの画素像がセンサ仮想画素像に一致する位置にずらしている、
請求項1に記載のライトフィールド投影装置。
【請求項12】
前記表示部により生成された複数の変調光線が相互にコヒーレントであり、かつセンサの仮想画素像にて複数の波面成分からなる波面を作るように構成される、請求項に記載のライトフィールド投影装置。
【請求項13】
前記光源の像の平面がフーリエフィルタを備える、請求項10に記載のライトフィールド投影装置。
【請求項14】
前記ライトフィールド投影装置が複数の像を、センサを備える結像光学装置に投影するように構成されていて、
画素成分のセンサの画素像が、前記センサにて実質的に形成されて前記センサの仮想画素像に一致する、
請求項11に記載のライトフィールド投影装置。
【請求項15】
前記ライトフィールド投影装置が、コンテンツを投影するか又はコンテンツに関連する指示に反応するように構成されている、請求項1に記載のライトフィールド投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。より詳細には、正しい単眼深度手がかりを提供する三次元(3D)表示装置のような、像を投影するライトフィールド投影装置に関する。特に、本開示は、仮想現実及び拡張現実ゴーグル及びメガネ、並びに仮想及び拡張現実用途用のニアアイライトフィールド投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日のライトフィールド表示装置は、他の概念の中でも、空間的に異なる仮想ピンホールのセットを介して一連の「常に焦点を合わせている」像の順次投影を使用している。この技術の方向では、像成分が時系列で投影されるのに対し、波面再構成には干渉が必要であり、したがって波面成分の一致が必要であるため、仮想画素の波面を再構築できない。その結果、知覚される解像度は、結像(イメージング)センサ(例えば眼)に送達される解像度又は個々のライトフィールド成分によって制限される。解像度は、ピンホールの有効開口数と、像源の像の焦点平面、すなわち像画素の平面と、結像光学系(通常は人間の眼)が焦点を合わせる平面との差によって決定される。したがって、「常に焦点が合っている」という表現は、ライトフィールド成分の光路が常に有限の開口を持ち、大きい場合は像の被写界深度が有限であり、小さい場合は絞りの回折により像源の解像度が低下するため、近似的である。
【0003】
同じ問題は、発光表示装置とレンズアレイに基づくライトフィールドシステムに存在する。個々の画素は分離されていて、干渉を許さない相互に結合した位相を持つ相互に可干渉性(コヒーレントな)ビーム(光線)を提供しないが、レンズアレイ内のレンズの有限の開口部は、個々のライトフィールド成分の解像度と被写界深度を制御する。
【0004】
ライトフィールド像は、典型的には、光路内の空間的に異なる瞳孔を通して投影される複数の像によって構築される。これは、シーケンシャルライトフィールド投影(ライトフィールドの順次投影)を含む様々な方法で、又はレンズアレイ(複数レンズを配列した光学系)によって発光表示部からの光線を分割及びコリメートすることによって達成される。
【0005】
これらの光学系は、平面像源自体とは異なる焦点平面に仮想画素を明らかに表示している。像源上の実際の画素よりも仮想画素への見かけの焦点合わせの促進を可能にする素子は、全ての個々の空間的に異なるサブ瞳孔の複合開口と比較して、各ライトフィールド成分が通過する小さな瞳孔によって確保されている各ライトフィールド成分の大きな被写界深度をいっしょに持つコンテンツ自体である。一方、各サブ瞳孔の有限の開口は、特には像源自体の像の焦点平面から遠い場所でのライトフィールド像の有効解像度を制限する。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、像を投影するライトフィールド投影装置に関し、このライトフィールド投影装置は、
複数の変調光線を生成する複数の画素成分を備える像生成装置を備える像源と、
前記複数の変調光線をコリメートする結像光学素子と、
第1投影素子を備える投影光学系であって、前記投影光学系が、アイボックスを画定するようにそして前記画素成分の投影装置の画素像を、前記第1投影素子と前記アイボックスの間の、投影装置の像の平面にて形成するように前記変調光線を投影するべく構成されていて、前記変調光線が前記第1投影素子と前記アイボックスの間の、投影装置の仮想画素像に交差している、前記投影光学系と
を備える。
結像光学素子が、前記投影装置の前記像の平面を、前記第1投影素子と前記アイボックスの間でシフト平面にずらすように構成されていて、前記シフト平面では前記投影装置の画素像が前記投影装置の仮想画素像に一致する。
【0007】
また、像源は、ライトフィールド投影装置によって投影される像成分を形成する画素成分の空間分布を調整するように制御可能である。制御可能な像源により、意図したライトフィールド出力を変調光線で構築できる。
【発明の効果】
【0008】
ここに開示されるライトフィールド投影装置は、既知のライトフィールド投影システムの有効解像度限界を超える。
【0009】
ライトフィールド投影装置は、変調光線が既知のライトフィールド投影システムによって作成されたライトフィールドの品質を維持可能にする。そしてさらに、像の解像度が像源の解像度と各ライトフィールド成分の個々の光路の開口部によってのみ制限される、どの焦点面が像源の像の平面と一致するかを制御できる。
【0010】
開示されたライトフィールド投影装置は、視線追跡情報に基づくバリフォーカル素子の作用によって達成される平らな像の焦点距離の動的な適応によって純粋に焦点深度を模倣する従来の投影システムよりもロバストである。これらの従来のシステムは、視聴者に依存しないライトフィールドを生成しないが、実際の焦点に応じて目が見るべきものを模倣する。
【0011】
ここに開示される発明では、観察者に依存しないライトフィールド機能が常に存在し、追加の行為なしに正しい調節キューを提供する。開示されたライトフィールド投影装置内のバリフォーカル機構は、ライトフィールドシーンにおける所望の焦点平面における解像度を、オンデマンドで促進可能にする。
【0012】
ライトフィールド投影装置は、仮想現実及び拡張現実ゴーグル及びメガネ、並びに仮想及び拡張現実用途用のニアアイライトフィールド表示装置に使用できる。
【0013】
本発明の例示的な実施形態は、説明内に開示され、図面によって例示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、ライトフィールド光源、結像光学素子及び投影光学系を備えるライトフィールド投影装置を示す。
図2図2は、1実施形態による結像光学素子を備えるライトフィールド投影装置を示し、ここではライトフィールド像源は、時間で順番に起動可能な点光のアレイを備える。
図3a図3aは、ライトフィールド像源が発光表示部を備えるライトフィールド投影装置を示す。
図3b図3bは、1実施形態に係る結像光学素子を備える図3aのライトフィールド投影装置を示す。
図3c図3cは、別の実施形態による結像光学素子を備える図3aのライトフィールド投影装置を示す。
図4図4は、ライトフィールドの像源が、反射型又は透過型で回折型表示部を照らすコヒーレント光源を備えている、1実施形態によるライトフィールド投影装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、像源1を備えるライトフィールド投影装置を示す。像源は、時間で順番に起動可能な点光(ピンライトともいう)のアレイを備える光源10を備え、各点光は光線110を生成する。図1には、2つの点灯10a、10bが示されている。ライトフィールド投影装置は、複数の画素成分15a、15bを備える空間光変調器(SLM)20aをさらに備え、それぞれが15a及び15bのように画素上で反射及び回折される光線成分111を変調する。
【0016】
図1の例では、画素成分15aは点光10aについて起動されていて(アクティブであり)、画素成分15bは点光10bについて起動している。しかしながら実際には、光源10は、任意の数、例えば時系列で照明される数十又は数百の空間的に異種の点光源10a、10bを備え得る。空間的視差は、単一の光源又はビームステアリングミラーや位相空間光変調器のような別の起動されている(アクティブな)素子によって乗算された光源のより小さなアレイによって生成される場合にのみ明らかになる。光源アレイの機能は、アクティブフェーズアレイで置換可能である。SLM20aは、数千又は数百万の起動された画素成分15a、15bを持つ複雑な像パターンを備え得る。
【0017】
像源1は、ピン光源の光源の像の平面34に光源10の像を投影する結像光学素子70をさらに備える。結像光学素子70は、変調光線111をさらにコリメートできる。
【0018】
ライトフィールド像源1は、SLM20a上の光線110をコリメートするコリメート素子50をさらに備え得る。ここで、第1及び第2光学素子50、70の組み合わせは、光源10の像をピン光源の光源の像の平面34に投影する。
【0019】
一観点では、光源の像の平面34は、パッシブ又はアクティブフーリエフィルタを備えてよい。フーリエフィルタは、ピンホールのアレイ又は光学シャッターのアレイから形成してよい。光学シャッターのアレイは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、強誘電性液晶(FLCOS)、相変化材料シャッター、又は光学シャッターとして作用する任意の他の装置のような高速変調器を備え得る。光源の像の平面34は、完全に構成されたライトフィールドが投影光学系に入る入射瞳孔と考えてよい。
【0020】
ライトフィールド投影装置は、アイボックス121を画定する変調光線111を投影するように構成された投影光学系2をさらに備える。アイボックス121は、ライトフィールド投影装置の投影軸線170に沿って画定してよいが、より一般的には、アイボックス121は、投影された変調光線111の方向に画定される。より詳細には、投影光学系2は、投影装置の像の平面115を形成するような変調光線111を投射するように、そして画素成分15a及び15bの投影装置の画素像16a及び16bをそれぞれ投影装置の平面115内に形成するように構成された第1投影素子32を備えてよい。図1は、画素成分15a、15bの2つの投影装置の画素像16a、16bをそれぞれ示す。
【0021】
投影光学系2は、投影された変調光線111の方向、任意の選択された位置に、投影装置の像の平面115の像を投影するように構成された第2投影素子40をさらに備えてよい。第2投影素子40は、接眼レンズ又はコンバイナを備えてよい。図2の例では、図1において、投影像の平面115の像は、アイボックス投影装置の像、すなわちアイボックス121から見た画素成分15a、15bの像が無限遠となるような「中立」位置に位置する。図1において、アイボックス投影装置の像は示されていないが、無限遠におけるその位置は、コリメート変調光線111によって示される。
【0022】
図1内で、画素15a及び15bからの2つの例示的な変調光線111は、投影装置の平面115とは異なる投影装置の仮想画素像26aで交差する。投影装置の仮想画素像26aは、第2投影素子40の前のライトフィールド投影装置における仮想画素像に相当する。その結果、アイボックス仮想画素像24は、アイボックス121から見た画素線の見かけの交点によって形成される。アイボックス仮想画素像24は、この例では無限遠にあるアイボックス投影装置の平面(図示せず)とは異なる距離に位置している。
【0023】
ライトフィールド投影装置は、図1に示すように、カメラや観察者の眼90のような結像光学装置に像を投影するように構成できる。ライトフィールド投影装置の射出瞳孔は、結像光学装置の入射瞳孔、例えば観察者の眼90の瞳孔130と一致し得る。
【0024】
ライトフィールド投影装置が観察者の眼90に向けて像を投影すると、眼90のレンズ130は、アイボックスの仮想画素像24の位置に焦点を合わせる。これにより、レンズ130は、変調光線111を同じ位置に投影し、ここでは眼の網膜92付近のセンサの仮想画素像27aとなる。ライトフィールド投影装置は、カメラに向かって像の投影も可能である。それから、カメラのレンズは変調光線111をカメラのセンサの近くのセンサの仮想画素像27aに投影するであろう。
【0025】
画素成分15のセンサの画素像17a、17bは、センサの仮想画素像27aとは異なる距離で網膜92(又はセンサ)の前に形成されている。センサの画素像17a、17bは、それぞれ、観察者の眼90又は結像光学装置における画素成分15a及び15bの第2像に相当する。
【0026】
いくつかの観点では、ライトフィールド投影装置は、関心のある仮想オブジェクト、例えば、特定の距離にある仮想テキストの解像度を促進するために、コンテンツを投影するか、又はコンテンツ関連の命令に反応するように構成してもよい。
【0027】
図2は、1実施形態のライトフィールド投影装置を表している。ここでは、結像光学素子70は、投影装置の像の平面115の位置が投影装置の画素像16a、16bの位置と一致できるように投影装置の像の平面115の位置を移動するように、構成されている。
【0028】
図2の例では、結像光学素子70は、可動なレンズを備える。本実施形態では、レンズ70がSLM20aに向かって移動されている。図1との比較で、投影装置の像の平面115は、投影装置の画素像16a、16bが投影装置の仮想画素像26aと一致するシフト平面114にずらしている。つまり、投影装置の画素像16a、16bは、画素15a及び15bからの変調光線111が交差する場所に位置する。
【0029】
結像光学素子70の他の構成は、投影装置の平面115の位置をシフト平面114に移動可能にする。例えば、結像光学素子70は、可変焦点距離を持つ光学素子、例えば可変形状を持つ素子を備える光学素子、屈折率が可変である媒体、電気光学材料、液晶のような偏光回転素子を持つ複屈折素子、又は他の素子を備えてよい。
【0030】
さらに、SLM20aは、ライトフィールド投影装置で投影される像の成分を形成する画素成分15a、5bの空間分布を調整するなどの制御が可能である。図2に見られるように、画素成分15a及び15bは、図1の構成と比較してSLM20a内で異なって(互いにより近く)分布している。像成分を形成する起動している画素成分15a、15bの調整により、意図したライトフィールド出力と、投影装置の仮想画素像26aとの投影画素像16a、16bの一致とを構築できる。
【0031】
図2に示すように、アイボックスの仮想画素像24は、アイボックス121から見た変調光線111の見かけの交点によって形成される。アイボックスの仮想画素像24の位置は、アイボックスの投影装置の像18a、18bの位置と一致する。
【0032】
ライトフィールド投影装置が観察者の眼90に向けて像を投影すると、眼90のレンズ130は、アイボックスの仮想画素像24の位置に焦点を合わせる。レンズ130は、変調光線111を同じ位置に投影し、ここでは眼の網膜92付近のセンサの仮想画素像27aを投影する。画素成分15のセンサの画素像17a、17bも眼の網膜92付近に形成され、センサの仮想画素像27aと一致する。
【0033】
対象焦点距離、すなわちアイボックスの仮想画素像24の距離での、仮想像の知覚解像度は、SLM20a上の像源の解像度によってのみ本質的に制限される。
【0034】
一観点において、光源の像の平面34は、特に高回折SLM20aが使用されるときにフーリエフィルタを備えてよい。ここで、光源の像の平面34は投影像の平面115の位置を投影装置画素像16a、16bの位置と一致させるため、SLM20aに向かって、投影軸線170に沿ってずらせる。
【0035】
図3aは、ライトフィールド投影装置を示し、ここで、像源1は、発光表示部20bを備える。ここで、ライトフィールド投影装置は、発光表示部をレンズアレイによるコリメートされた画素線を持つ変調光線111に分解することに基づいている。発光表示部20bは、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、マイクロLED、又は他の適切な表示装置を備えてよい。仮想画素24の画素成分15a、15bは、発光表示部20bによって直接出射され、光源の像の平面34又は入射瞳に位置する結像光学素子70によってコリメートされる。ここで、結像光学素子70は、レンズのアレイのようなコリメート光学素子のアレイを備える。結像光学素子70はさらにフーリエフィルタとして作用し、各画素成分15a、15bについての個々の変調光線111に対応するピンホール開口を決定できる。
【0036】
図1及び図2のライトフィールド投影装置構成と同様に、投影光学系2は、第1投影素子32及び第2投影素子40を備えてよい。
【0037】
図3aでは、観察者の眼90のレンズ130は、中立位置の投影装置の像の平面115に集光されていて、アイボックス投影装置の位置が、アイボックス121から見た画素成分15a、15bの像が無限遠となるようになっている。アイボックス投影装置の像(投影装置SLM平面の像)は、図3aには示されていないが、無限遠におけるその位置がアイボックス121に入るコリメート変調光線111によって示される。
【0038】
投影装置の仮想画素像26aとセンサの仮想画素像27aは、画素15aと15bからの変調光線111との交点に対応し、投影装置の仮想画素像26bとセンサの仮想画素像27bは、画素15cと15dからの変調光線111との交点に対応する。投影装置の画素像16a、16b、16c、16dは、画素15a、15b、15c、15dからの投影装置の平面115内の変調光線111の像(焦点)に相当する。センサの画素像17a、17b、17c及び17dは、それぞれ、観察者の眼90又は結像光学装置における画素成分15a、15b、15c及び15dの第2像に相当する。
【0039】
図3aの構成では、投影装置の仮想画素像26a、26bのいずれも、投影装置の画素像16a、16b、16c及び16cと一致せず、センサの仮想画素像27a、27bのいずれもセンサの画素像17a、17b、17c及び17dと一致していない。
【0040】
図3bは、結像光学素子70が図3に示すその「中立」位置からずれている図3aのライトフィールド投影装置を示す。図3aは、発光表示部20bを発光表示部20bに近いシフト平面114に投影装置の平面115をずらすような位置に向ける。さらに、発光表示部20bは、ライトフィールド投影装置によって投影される像の成分を形成する起動されている画素成分15を調整するように制御される。図3bに見られるように、画素成分15a及び15bは、画素成分15c及び15dと比較して、発光表示部20bにおいて異なって(互いに接近して)分布している。
【0041】
その結果、投影装置の画素像16a、16bは、投影装置の仮想画素像26aと一致する。ライトフィールド投影装置が観察者の眼90と協働すると、レンズ130は変調光線111を眼の網膜92近傍のセンサの仮想画素像27aに投影し、センサの画素像17a、17bを眼の網膜92近傍に形成し、センサの仮想画素像27aと一致する。
【0042】
発光表示部20bでは画素成分15c、15dが調整されていないため、投影装置の画素像16c、16dは投影装置の仮想画素像26aと一致せず、センサの画素像17a、17bはセンサの仮想画素像27bと一致しない。
【0043】
ここでも、結像光学素子70は、投影装置の像の平面115の位置が投影装置の画素像16a、16bの位置と一致するように、投影装置の像の平面115の位置を移動するように構成されたバリフォーカル光学素子を備えてよい。
【0044】
図3cは、図3aからのライトフィールド投影装置を示し、結像光学素子70は、図3に示すその「中立」位置からずらしている。図3aは、発光表示部20bから遠い方のシフト平面114に投影面115をずらすような位置に発光表示部20bに近い。また、発光表示部20bは、ライトフィールド投影装置によって投影される像の成分を形成する起動されている画素成分15aから15dを調整するように制御される。図に見られるように。図3bにおいて、画素成分15c及び15dは、画素成分15a及び15bと比較して、発光表示部20bにおいて異なる(より遠くに離れて)分布している。
【0045】
その結果、投影装置の画素像16a、16bは、投影装置の仮想画素像26aと一致する。ライトフィールド投影装置が観察者の眼90に向けて像を投影すると、レンズ130は変調光線111を眼の網膜92近傍のセンサの仮想画素像27aに投影し、センサの画素像17c、17dを眼の網膜92近傍に形成し、センサの仮想画素像27bと一致する。発光表示部20bでは画素成分15a、15bが調整されていないため、投影装置の画素像16a、16bは投影装置の仮想画素像26aと一致せず、センサの画素像17a、17bはセンサの仮想画素像27aと一致しない。
【0046】
図4は、図3a及び図3bのような構成内で、像源1が透過型又は反射型及び回折表示部20bを照らす、相互にコヒーレントな光線を投影するコヒーレント単色光源11を備える別の実施形態によるライトフィールド投影装置を示す。図4の実装では、ライトフィールド投影装置は、波面整形投影システムとして機能する。
【0047】
例えば、コヒーレント単色光源11は、レーザを備えてよい。表示部20bは、入射光の振幅及び場合によっては位相を変調する透過型又は反射型とできる。表示部20bはSLMとして作用し、コヒーレント光源11の光線を各画素で回折し、光源の像の平面34においてレンズアレイの各レンズの前の光線を広げる。コヒーレント光源11の光線は、コリメート素子50によって任意選択でコリメートされ、SLMとして作用する表示部20bにおいて変調され得る。
【0048】
結像光学素子70は、レンズのアレイのようなコリメート光学素子のアレイを備える。結像光学素子70は、さらにフーリエフィルタとして作用し、各画素成分15a、15bについての個々のライトフィールド成分の像に相当するピンホール開口を決定し得る。フーリエフィルタリングは、しかしながらこの実施形態では必要ではない。
【0049】
結像光学素子70の異なるレンズ、及び場合によっては光源の像の平面34を通って像光源1を出る変調光線111は、相互にコヒーレントである。変調光線111は、それゆえ、それらが複数の波面成分からなる波面を構築するそれらの入射点で干渉できる。その後、ライトフィールド成分が結像光学装置、例えば眼90の網膜92のセンサの近く又は正確に一致する場合に、任意の仮想画素の波面を再構成できる。
【0050】
波面構造は、図4の拡大部分に示されている。図4で、矢印は波動ベクトルを表し、線は個々のライトフィールド成分の波面を表す。平面波は説明のみを目的として考慮されている。実際には、各成分は互いに異なる起源を持つほぼ球形である。コヒーレントライトフィールド成分は、仮想点源に明らかな起源を持つ球状の波を構築し、仮想画素を表す。
本願は例えば次の観点を提供する。
[観点1]
像を投影するライトフィールド投影装置であって、前記ライトフィールド投影装置が、
像生成装置(20a、20b)を備える像源(1)であって、前記像生成装置が、複数の変調光線(111)を発生する複数の画素成分(15aから15d)を備える、像源(1)と、
複数の変調光線(111)の像を光源の像の平面(34)に投射する結像光学素子(70)と、
アイボックス(121)を画定し、投影装置の画素像(16aから16d)を形成するように、前記変調光線(111)を投影するように構成されている投影光学系(2)であって、前記投影光学系(2)は、投影装置の像の平面(115)にて投影装置の前記画素像(16aから16d)を形成し、シフト平面(114)にて投影装置の仮想画素像(26a)を形成するようにさらに構成されている、投影光学系(2)と
を備え、
前記結像光学素子(70)が、投影装置の像の前記平面(115)の位置が前記シフト平面(114)と一致するように構成されている、ライトフィールド投影装置。
[観点2]
前記結像光学素子(70)が可動なレンズを備える、観点1に記載のライトフィールド投影装置。
[観点3]
前記結像光学素子(70)が、可変の焦点距離を持つ光学素子を備える、観点1に記載のライトフィールド投影装置。
[観点4]
前記ライトフィールド投影装置によって投影される前記像成分を形成する前記画素成分(15aから15d)の空間分布を調整するように、前記像生成装置(20a、20b)が制御される、観点1から3のいずれか一つに記載のライトフィールド投影装置。
[観点5]
前記像源(1)が、時間で順番に起動可能な複数の点光(10)のアレイを備える光源(10)を備えて、各前記点光(10)が、前記像生成装置を照らす光線(110)を生成して、
前記像生成装置が空間光変調器(SLM)(20a)を備える、
観点1から4のいずれか一つに記載のライトフィールド投影装置。
[観点6]
前記像源(1)が発光表示部(20b)を備える、観点1から4のいずれか一つに記載のライトフィールド投影装置。
[観点7]
前記発光表示部(20b)は、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)又はマイクロLEDを備える、観点6に記載のライトフィールド投影装置。
[観点8]
前記光源が、互いにコヒーレントな複数の光線を表示部(20b)に投影するコヒーレントな光源(11)を備える、観点1から4のいずれか一つに記載のライトフィールド投影装置。
[観点9]
前記表示部(20b)が、第2光学素子(70)の各光学素子の前、各画素成分(15a、15b)にて、変調光線(111)を回折しかつ広げるように構成されている、観点8に記載のライトフィールド投影装置。
[観点10]
前記第2光学素子(70)が、光源の像の平面(34)内に位置されている複数のコリメート光学素子のアレイを備える、観点6から9のいずれか一つに記載のライトフィールド投影装置。
[観点11]
前記投影光学系(2)が、投影装置の画素像(16a、16b)を投影装置の像の平面(115)にて形成するように変調光線(111)を投影する第3光学素子(32)をさらに備える、観点1から10のいずれか一つに記載のライトフィールド投影装置。
[観点12]
前記投影光学系(2)が、センサ画素像(17aから17d)を形成すべく前記変調光線(111)を投影装置の像の平面(115)から投影する光学的コンバイナー(40)を備え、
結像光学素子(70)が投影装置の像の前記平面(115)を、センサ画素像(17aから17d)が第2仮想画素像(27a)に一致する位置にずらしている、観点1から11のいずれか一つに記載のライトフィールド投影装置。
[観点13]
前記表示部(20b)により生成された複数の変調光線(111)が相互にコヒーレントであり、かつ前記センサの仮想画素像(27a)にて複数の波面成分からなる波面を作るように構成される、観点8と12のいずれか一つに記載のライトフィールド投影装置。
[観点14]
前記光源の像の平面(34)がフーリエフィルタを備える、観点1から13のいずれか一つに記載のライトフィールド投影装置。
[観点15]
前記ライトフィールド投影装置が複数の像を、センサ(92)を備える結像光学装置(90)に投影するように構成されていて、
画素成分(15aから15d)のセンサの画素像(17aから17d)が、前記センサ(92)にて実質的に形成されてセンサの仮想画素像(27a)に一致する、観点12から14のいずれか一つに記載のライトフィールド投影装置。
[観点16]
前記ライトフィールド投影装置が、コンテンツを投影するか又はコンテンツに関連する指示に反応するように構成されている、観点1又は14に記載のライトフィールド投影装置。
【符号の説明】
【0051】
1 像源
2 ライトフィールド投影光学系
10 光源
10a、10b 点光
11 コヒーレント単色光源
15aから15d 画素成分
16aから16d 投影画素像
17aから17d センサの画素像
18a、18b アイボックス投影像
20a 空間光変調器
20b 表示部
24 アイボックスの仮想画素像
26a 投影装置の仮想画素像
26b 投影装置の仮想画素像
27a センサの仮想画素像
27b センサの仮想画素像
32 第1投影素子、レンズ
34 光源の像の平面、フーリエフィルタ
40 第2投影素子
50 コリメート素子
70 結像光学素子
90 結像光学装置、眼
92 センサ、網膜
110 光線
111 変調光線
114 シフト平面
115 投影装置の像の平面
121 アイボックス
130 眼の瞳孔、レンズ
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4