IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロッテ ケミカル コーポレーションの特許一覧

特許7569452アミン系化合物触媒を用いて異種の線状カーボネートを製造する方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】アミン系化合物触媒を用いて異種の線状カーボネートを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 68/06 20200101AFI20241009BHJP
   C07C 69/96 20060101ALI20241009BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241009BHJP
【FI】
C07C68/06
C07C69/96 Z
C07B61/00 300
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023532180
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 KR2021015846
(87)【国際公開番号】W WO2022114577
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2020-0161740
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511123485
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジョン ミョン
(72)【発明者】
【氏名】ペク、ミ ファ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ワン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ウ ネ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジン ヒョン
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1597113(CN,A)
【文献】特表2017-521422(JP,A)
【文献】特開2010-120011(JP,A)
【文献】特表平11-514010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 68/06
C07C 69/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の存在下にジメチルカーボネート(Dimethyl Carbonate,DMC)とエタノール(Ethanol,EtOH)のエステル交換反応を行う段階を含み、
前記触媒は、沸点が150℃以上のアミン系化合物であり、
前記アミン系化合物は、1,6-ジアミノヘキサン(1,6-Diaminohexane)、1,8-ジアミノオクタン(1,8-Diaminooctane)、1,9-ティアミノノナン(1,9-Diaminononane)、ジエタノールアミン(Diethanolamine)、トリエタノールアミン(Triethanolamine)、ポリエーテルアミン(Polyetheramine,PEA)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、異種の線状カーボネートの製造方法。
【請求項2】
前記触媒は、沸点が150℃以上400℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の異種の線状カーボネートの製造方法。
【請求項3】
前記アミン系化合物は、ポリエーテルアミン(Polyetheramine,PEA)であることを特徴とする請求項に記載の異種の線状カーボネートの製造方法。
【請求項4】
前記アミン系化合物は、重量平均分子量が150以上500g/mol以下であることを特徴とする請求項1に記載の異種の線状カーボネートの製造方法。
【請求項5】
前記触媒は、ジメチルカーボネート重量を基準として0.1以上30重量%以下で投入されることを特徴とする請求項1に記載の異種の線状カーボネートの製造方法。
【請求項6】
前記エステル交換反応は、連続撹拌槽型反応器(CSTR)で行われることを特徴とする請求項1に記載の異種の線状カーボネートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミン系化合物触媒を用いて異種の線状カーボネートを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリー電解液有機溶媒に用いるエチルメチルカーボネート(Ethyl Methyl Carbonate,EMC)、ジエチルカーボネート(Diethyl Carbonate,DEC)は、ジメチルカーボネート(Dimethyl Carbonate,DMC)とエタノールのエステル交換反応により製造する方法が一般的に広く知られている。
【0003】
この際、前記反応時に触媒を用いるが、前記触媒としては、活性に優れたナトリウムメトキシド(Sodium Methoxide,NaOCH,SME)とナトリウムヒドロキシド(Sodium Hydroxide,NaOH)を主に用いる。
【0004】
しかしながら、前記SMEまたはNaOHは、有機溶媒に対する溶解度が低く、DMC、EMC、DECに溶けない問題があるので、反応蒸留工程や精製工程でカラムプラッギング(Column plugging)を誘発し、工程トラブルの原因となる。
【0005】
これと関連して、特許文献1には、前記塩基性均一触媒であるSME触媒と反応蒸留を活用してDECを高い割合で製造するという内容がある。しかしながら、この場合、前記触媒が蒸留系に移り、蒸留過程中に逆反応を起こしたり、析出して配管を塞いだり、蒸留カラム内部に吸着し、腐食を起こすことができる。
【0006】
これより、特許文献2には、塩基性均一触媒であるSMEを用いる代わりに、不均一触媒である強塩基性アニオン交換樹脂を触媒として用いてDECを製造することによって、反応生成物と触媒分離を容易にしたが、触媒活性が不十分で、生産性が低い。また、触媒不活性化の問題に起因して周期的に製品生産を中断し、触媒を再生させなければならないので、製品生産性がさらに低くなり、生産費用が上昇するという問題がある。
【0007】
したがって、前記問題を解決し、バッテリー電解液用異種の線状カーボネートを効果的に製造できる方法に対する研究が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国特許公告第10-1668571号公報
【文献】日本国特許公告第3340188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、沸点が相対的に高いアミン系化合物を触媒として用いることによって、塩基性アニオン交換樹脂より触媒活性に優れていて、高い生産性を得ることができるだけでなく、触媒析出の問題が発生せず、目的化合物と沸点差が大きいため、蒸留により容易に分離が可能であるから、優れた収率で目的化合物を得ることができる異種の線状カーボネートを製造する方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施態様は、触媒の存在下にジメチルカーボネート(Dimethyl Carbonate,DMC)とエタノール(Ethanol,EtOH)のエステル反応を行う段階を含み、
前記触媒は、沸点が150℃以上のアミン系化合物である、異種の線状カーボネートの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明による異種の線状カーボネートの製造方法は、沸点が相対的に高いアミン系化合物を触媒として用いることによって、塩基性アニオン交換樹脂より触媒活性に優れており、触媒再生による生産中断の問題がないので、より高い生産性を得ることができるという効果がある。
【0012】
また、前記沸点が高いアミン系化合物を用いる場合、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびエタノールに良好に溶解するので、触媒析出の問題が発生しないだけでなく、その結果、合成されるジエチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートとの沸点差が大きいため、蒸留により容易に分離が可能であるから、優れた収率で目的化合物を得ることができるという効果がある。
【0013】
さらに、本発明によれば、エステル交換反応のためにCSTRを使用することによって、原料であるジメチルカーボネートとエタノールの割合を調節することによって、目的とする異種の線状カーボネートの製造比率を調整することが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本明細書において、任意の部分が或る構成要素を「含む」というとき、これは、特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0015】
本明細書において、単位「重量%」は、全体成分において一定の成分が占める重量の割合を意味し得る。
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
本発明の一実施態様は、触媒の存在下にジメチルカーボネート(Dimethyl Carbonate,DMC)とエタノール(Ethanol,EtOH)のエステル反応を行う段階を含み、
前記触媒は、沸点が150℃以上のアミン系化合物である、異種の線状カーボネートの製造方法を提供する。
【0018】
本発明において、前記異種の線状カーボネートというのは、前記ジメチルカーボネートと異なる種のカーボネートを意味し、詳細には、非対称線状カーボネートおよび対称線状カーボネートを意味し、より詳細には、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジエチルカーボネート(DEC)を意味する。
【0019】
従来、前記エステル交換反応に用いられる触媒は、リチウムメトキシド(Lithium Methoxide,LME)、リチウムエトキシド(Lithium Ethoxide,LEE)、ナトリウムメトキシド(Sodium Methoxide,SME)、ナトリウムヒドロキシド(Sodium Hydroixde,NaOH)およびこれらの混合物などがあった。
【0020】
しかしながら、前述したように、このような触媒は、有機溶媒に対する溶解度が低く、反応原料であるジメチルカーボネート、目的物であるエチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどに溶けない問題があり、反応工程や精製工程でカラムプラッギングを誘発するという問題がある。
【0021】
また、このような問題を解決するために、塩基性アニオン交換樹脂を触媒として用いる技術が提案されたが、前記塩基性アニオン交換樹脂は、触媒活性が不十分で、生産性が低いという問題があった。
【0022】
これより、本出願の発明者らは、このような問題を効果的に解決できる方法を鋭意検討した結果、アミン系化合物を触媒として用いる場合、前記アミン系触媒がカーボネート物質とエタノールに良好に溶解するところ、触媒析出の問題がなく、触媒活性も増加することを確認し、本発明を完成するに至った。
【0023】
ただし、前記アミン系化合物を触媒として用いても、沸点が低いアミン系化合物は、その後、蒸留過程で合成された目的化合物との分離が難しいという致命的な短所がある。
【0024】
したがって、本発明による触媒に用いられるアミン系化合物は、少なくとも150℃以上の沸点を有しなければならず、詳細には、アミン系化合物の沸点が150℃以上400℃以下、より詳細には、200℃以上300℃以下の沸点を有することが好ましい。
【0025】
このような前記沸点が150℃以上のアミン系化合物は、前記条件を満たす場合、限定されないが、例えば、1,6-ジアミノヘキサン(1,6-Diaminohexane)、1,8-ジアミノオクタン(1,8-Diaminooctane)、1,9-ティアミノノナン(1,9-Diaminononane)、ジエタノールアミン(Diethanolamine)、トリエタノールアミン(Triethanolamine)、ポリエーテルアミン(Polyetheramine,PEA)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上であってもよく、詳細には、ポリエーテルアミン(Polyetheramine,PEA)であってもよい。
【0026】
前記アミン系化合物の分子量は、特に限定されるものでないが、重量平均分子量が150以上500g/mol以下であってもよく、詳細には、200以上400g/mol以下、より詳細には、200以上300g/mol以下であってもよい。
【0027】
前記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、具体的には、PLGEL Aqua OH 30-40 300mmの長さカラムを用いてWaters PL-GPC220装置を用いて評価した。評価温度は、30℃であり、0.1M NaNO3 in Distilled waterを溶媒として用い、流速は、1mL/minの速度で測定した。サンプルは、10mg/10mLの濃度で調製した後、15μLの量で供給した。ポリスチレン標準を用いて形成された検定曲線を用いてMwの値を誘導した。ポリエチレングリコール標準品の分子量は、2,000/10,000/30,000/70,000/200,000/700,000/2,000,000/4,000,000/10,000,000の9種を用いた(または回転式レオメータ(rotational rheometer)およびGPCを用いて分子量分布を実測した。また、前記サンプルの構造パラメーターでアミン系化合物内分岐状高分子構造として、Comb高分子の重量比(Wt)と主鎖の重量平均分子量(Mw)を選定した。)
【0028】
前記範囲外であり、重量平均分子量が150g/mol未満の場合、触媒と反応物であるジメチルカーボネートの反応が起こることがあり、副産物の生成量が増加することができ、重量平均分子量が500g/molを超える場合、触媒活性が過度に低くなり、粘度の増加によって流れ性が低くなり、工程効率が劣化することがある。
【0029】
このような観点から、前記重量平均分子量を有するポリエーテルアミン(Polyetheramine,PEA)を触媒として用いることが最も好ましい。
【0030】
また、これら触媒の使用量は、ジメチルカーボネート重量を基準として0.1以上30重量%以下、詳細には、1以上20重量%以下、より詳細には、5以上10重量%以下であってもよい。
【0031】
前記範囲外であり、非常に少ない含有量で投入されると、触媒活性が非常に低くなり、生産性が低下し、非常に多い含有量で投入されると、使用しない触媒量が多いにもかかわらず、投入量が多くなるので、経済性の観点から、好ましくない。
【0032】
このようなアミン系化合物を用いる場合、従来の問題を解決し、触媒析出を防止するだけでなく、触媒活性が増加し、生産性の低下をも防止することができる。
【0033】
なお、前記反応原料として含まれるジメチルカーボネートは、市販品を購入して使用することができ、一酸化炭素と亜硝酸エステルを気相接触反応させることによって得られたものや、二酸化炭素とアルコールを固体触媒下に反応させて得られたものなど、公知の方法で製造されたジメチルカーボネートを用いることができる。
【0034】
また、さらに他の反応原料としてエタノールは、市販品をそのまま使用することもできるが、本発明のエステル交換反応に影響を及ぼさないように、含有水分量が0.20質量%以下(2000ppm以下)のエタノールを用いることが好ましい。ここで、含有水分の除去は、例えば、分子篩、無水硫酸マグネシウムおよび/または酸化カルシウムなどの乾燥剤で脱水操作などで行われる。
【0035】
エタノールの使用量は、ジメチルカーボネート重量を基準として、50以上150重量%以下、詳細には、80以上130重量%以下、より好ましくは、100以上130重量%以下であってもよい。
【0036】
前記エタノールの投入量が少なすぎると、反応が効率的に進行されず、一方、過多使用すると、反応後に除去する煩雑さが増加し、また、経済的な観点から、好ましくない。
【0037】
さらに、本発明による異種の線状カーボネート、すなわちエチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートの製造時に必須のエステル交換反応は、連続撹拌槽型反応器(CSTR)で行われ得る。
【0038】
具体的には、前記CSTRで、前記ジメチルカーボネートとエタノールがエステル交換触媒の存在下に交換反応を起こし、これから目的物を収得することができる。より具体的には、製造原料であるジメチルカーボネート、エタノール、触媒がCSTRに連続的に供給されると、前記反応器で生成される反応物が排出ストリームで排出され、その後、蒸留カラムに導入されて蒸留されることによって、目的物であるエチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを選択的に分離して収得する。
【0039】
この際、前記エステル交換反応の反応温度は、反応器であるCSTR内温度に影響を受ける。前記反応温度は、30以上130℃以下であってもよく、詳細には、60以上120℃以下に調節することができる。
【0040】
前記範囲外であり、前記反応温度が低すぎる場合には、反応が容易に行われないので、反応効率が低く、高すぎる場合には、エネルギー費用が増加し、反応副産物の生成量が増加するという問題があるので、好ましくない。
【0041】
また、前記反応の圧力は、大きく限定されず、反応温度、および反応組成によって異なっていてもよく、例えば、常圧~1000kPaであってもよい。
【0042】
また、前記反応のpHは、6以上9以下の範囲に維持される。pHを維持するのに必要であれば、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を反応に添加することができる。例示的なアルカリ土類金属化合物は、酸化物、水酸化物、カーボネートおよびカルボン酸塩を含むが、これらに限定されない。
【0043】
前記反応時間は、反応条件、反応原料および反応に影響を与えることができる他の因子によって変わる。しかしながら、典型的に、反応時間は、0.5~20時間である。CSTRを使用する連続工程の場合、反応時間(滞留時間)は、使用された圧力、温度および触媒によって決定されるシステムの動力学によって決定される。
【0044】
このようにCSTRによるエステル交換反応は、前記反応圧力、温度、反応物の濃度、pHおよび所望の反応生成物を製造するのに適合した反応時間を含む。この工程で使用される任意の特定条件は、特に制限されず、工程を用いて生成された反応原料および合成物に基づいて選択される。
【0045】
このようにCSTRを用いてエステル交換反応が完了すると、エチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートを含む反応濃縮液、合成物が排出ストリームで取得される。また、これがフィルター後に蒸留を経ると、触媒析出なしで優れた収率で高純度のエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートを収得することができる。
【0046】
このようにCSTRを使用する場合には、原料であるジメチルカーボネートとエタノールの比率を調節することによって、目的とする異種の線状カーボネートの製造比率を調整することが容易である。
【実施例
【0047】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例に基づいて詳細に説明することとする。しかしながら、本発明による実施例は、様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が下記で記述する実施例に限定されると解されない。本明細書の実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0048】
[実施例1]
ジメチルカーボネート(DMC)135g、エタノール(EtOH)104gを体積が500mLのガラス反応器に投入して混合し、触媒として、ポリエーテルアミン(polyetheramine,PEA、重量平均分子量:230g/mol)をDMC重量に対して1wt%となるようにガラス反応器に投入し、500rpmで撹拌しつつ混合し、1barの下で、温度を70℃まで昇温して1時間維持し、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを合成した。
反応が完了した後、反応器の温度を常温まで冷却した後、反応器で合成物を回収し、気孔の平均直径が450nmのPTFE素材のフィルターに通過させて、固体沈殿物を除去した。
【0049】
[実施例2]
実施例1において前記触媒としてポリエーテルアミンをDMC重量に対して5wt%となるようにガラス反応器に投入したことを除いて、実施例1と同一にエチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを合成し、フィルターを用いて固体沈殿物を除去した。
【0050】
[実施例3]
実施例1において前記触媒としてポリエーテルアミン(polyetheramine,PEA、重量平均分子量:400g/mol)をガラス反応器に投入したことを除いて、実施例1と同一にエチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを合成し、フィルターを用いて固体沈殿物を除去した。
【0051】
[実施例4]
実施例1において前記触媒としてポリエーテルアミン(polyetheramine,PEA、重量平均分子量:400g/mol)をDMC重量に対して5wt%となるようにガラス反応器に投入したことを除いて、実施例1と同一にエチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを合成し、フィルターを用いて固体沈殿物を除去した。
【0052】
[比較例1]
実施例1において前記触媒としてポリエーテルアミンの代わりに強塩基イオン交換樹脂(TRILITE MA-12OH)をDMC重量に対して5wt%となるようにガラス反応器に投入したことを除いて、実施例1と同一にエチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを合成し、フィルターを用いて固体沈殿物を除去した。
【0053】
[比較例2]
実施例1において前記触媒としてポリエーテルアミンの代わりにナトリウムメトキシド(SME)をDMC重量に対して1wt%となるようにガラス反応器に投入したことを除いて、実施例1と同一にエチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを合成し、フィルターを用いて固体沈殿物を除去した。
【0054】
[実験例1]
前記実施例1~4、比較例1~2で製造原料であるジメチルカーボネートの消費量、および目的物であるエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートの生成量などに対する定性および定量分析を行い、その結果を下記表1に示した。
【0055】
前記定性および定量分析は、前記フィルターを通過した製品1gを取り、0.1gのm-Xyleneと混合した後、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて濃度を測定した(YL6500GC;YOUNGIN Chromass社製、GCカラム:DB-1 30m×0.53mm、GC検出器:FID)。また、製造原料のジメチルカーボネートの反応転換率は、使用量対比消費量をモル%で計算し、目的物であるエチルメチルカーボネート反応選択度は、それぞれ生成されるエチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートの総含有量に対するエチルメチルカーボネートの含有量をモル%で計算した。
【0056】
また、前記合成物をフィルターに通過させる前のフィルターの重量と合成物を通過させた後のフィルターの重量の差により沈殿物の濃度を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0057】
【表1】
【0058】
前記表1を参照すると、本発明により製造される場合、比較例2と比較すると、触媒の析出が全くなされないことを確認できる。したがって、触媒の析出によるプラッギング問題を完全に解決することができる。なお、比較例1と比較すると、本発明によるアミン系化合物を触媒として用いると、強塩基イオン交換樹脂を用いる場合と比較して、触媒活性が高く、DMC転化率がより高いことを確認できる。
【0059】
また、実施例1と実施例3、実施例2と実施例4を比較すると、触媒の分子量が高くなるにつれて活性が低下することを確認することができるので、適切な重量平均分子量の触媒を選択することが好ましい。
【0060】
また、実施例1と2、実施例3と4を検討すると、触媒の重量を大きくなるほど活性が良いので、5wt%以上で含まれることがさらに好ましい。